JP2015218290A - 高分子化合物およびそれを用いた有機半導体素子 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、高分子化合物およびそれを用いた有機半導体素子に関する。
有機半導体材料を利用した有機トランジスタは、従来の無機半導体材料を利用したトランジスタと比較して低温で製造できること、有機半導体材料として高分子化合物を用いることで、インクジェットプリント法に代表される塗布法により有機トランジスタの活性層を形成することができることから、簡易な製造プロセスが可能であり、盛んに研究開発が行われている。
有機トランジスタの性能の一つである電界効果移動度は、活性層に用いる有機半導体材料の移動度に大きく依存するため、様々な有機半導体材料を有機トランジスタの活性層に用いることが検討されている。
有機トランジスタに用いる有機半導体材料として、例えば、下記式で表される構造単位からなる高分子化合物が提案されている(非特許文献1)。
Macromolecules、2008年、第41巻、6952頁
しかしながら、上記の高分子化合物を活性層に用いた有機トランジスタは、電界効果移動度が必ずしも十分ではない。
そこで、本発明は、電界効果移動度に優れる有機トランジスタの製造に有用な高分子化合物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の高分子化合物、該高分子化合物を含有する有機半導体材料、有機半導体素子および有機トランジスタを提供する。
[1]式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物。
〔式中、
R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Eは、硫黄原子または酸素原子を表す。
A環は、芳香族炭化水素環または複素環を表す。A環において、実線と波線とで表される結合は、単結合または二重結合を表す。
R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
mは、0以上の整数を表す。
R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シリル基、アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
nは、0または1を表す。
Arは、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。〕
[2]前記式(1)で表される構造単位が、式(2)で表される構造単位である、[1]に記載の高分子化合物。
〔式中、
m’は、0以上の整数を表す。
R1、E、A環、R2およびR3は、前記と同じ意味を表す。複数存在するR1、EおよびR2はそれぞれ、同一でも異なっていてもよい。〕
[3]前記R2が、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基である、[1]または[2]に記載の高分子化合物。
[4]前記A環が、ベンゼン環またはナフタレン環である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の高分子化合物。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する、有機半導体材料。
[6][5]に記載の有機半導体材料を含有する有機層を備える、有機半導体素子。
[7]ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極および活性層を有し、該活性層に[5]に記載の有機半導体材料を含有する、有機トランジスタ。
R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Eは、硫黄原子または酸素原子を表す。
A環は、芳香族炭化水素環または複素環を表す。A環において、実線と波線とで表される結合は、単結合または二重結合を表す。
R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
mは、0以上の整数を表す。
R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シリル基、アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
nは、0または1を表す。
Arは、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。〕
[2]前記式(1)で表される構造単位が、式(2)で表される構造単位である、[1]に記載の高分子化合物。
m’は、0以上の整数を表す。
R1、E、A環、R2およびR3は、前記と同じ意味を表す。複数存在するR1、EおよびR2はそれぞれ、同一でも異なっていてもよい。〕
[3]前記R2が、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基である、[1]または[2]に記載の高分子化合物。
[4]前記A環が、ベンゼン環またはナフタレン環である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の高分子化合物。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する、有機半導体材料。
[6][5]に記載の有機半導体材料を含有する有機層を備える、有機半導体素子。
[7]ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極および活性層を有し、該活性層に[5]に記載の有機半導体材料を含有する、有機トランジスタ。
本発明によれば、電界効果移動度に優れる有機トランジスタの製造に有用な高分子化合物を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照することにより、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<共通する用語の説明>
以下、本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
以下、本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
「アルキル基」は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基のいずれでもよい。アルキル基が有する炭素原子数は、通常1〜30(分岐アルキル基の場合、通常3〜30)であり、1〜20(分岐アルキル基の場合、3〜20)であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有しているアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロヘキシル基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有しているアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」が有する炭素原子数は、通常3〜30であり、3〜20であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
シクロアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
シクロアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
「アルコキシ基」は、直鎖アルコキシ基、分岐アルコキシ基のいずれでもよい。アルコキシ基が有する炭素原子数は、通常1〜30(分岐アルコキシ基の場合、通常3〜30)であり、1〜20(分岐アルコキシ基の場合、3〜20)であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基等の直鎖アルコキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基等の分岐アルコキシ基が挙げられる。
アルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基等の直鎖アルコキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基等の分岐アルコキシ基が挙げられる。
アルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」が有する炭素原子数は、通常3〜30であり、3〜20であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
シクロアルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
シクロアルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
「アルキルチオ基」は、直鎖アルキルチオ基、分岐アルキルチオ基のいずれでもよい。アルキルチオ基が有する炭素原子数は、通常1〜30(分岐アルキルチオ基の場合、通常3〜30)であり、1〜20(分岐アルキルチオ基の場合、3〜20)であることが好ましい。
アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等の直鎖アルキルチオ基、イソプロピルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基等の分岐アルキルチオ基が挙げられる。
アルキルチオ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等の直鎖アルキルチオ基、イソプロピルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基等の分岐アルキルチオ基が挙げられる。
アルキルチオ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
「シクロアルキルチオ基」が有する炭素原子数は、通常3〜30であり、3〜20であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
シクロアルキルチオ基としては、例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基が挙げられる。
シクロアルキルチオ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
シクロアルキルチオ基としては、例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基が挙げられる。
シクロアルキルチオ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
「アリール基」は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団であり、縮合環を有する基、独立したベンゼン環および縮合環からなる群から選ばれる2個以上が直接結合した基を含む。アリール基が有する炭素原子数は、通常6〜30であり、6〜20であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、4−フェニルフェニル基が挙げられる。
アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、1価の複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有しているアリール基としては、例えば、4−ヘキサデシルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。アリール基が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基またはシクロアルキル基が好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、4−フェニルフェニル基が挙げられる。
アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、1価の複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有しているアリール基としては、例えば、4−ヘキサデシルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。アリール基が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基またはシクロアルキル基が好ましい。
「1価の複素環基」は、置換基を有していてもよい複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団であり、縮合環を有する基、独立した複素環および縮合環からなる群から選ばれる2個以上が直接結合した基を含む。1価の複素環基が有する炭素原子数は、通常2〜30であり、3〜20であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
1価の複素環基としては、例えば、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−チエノチエニル基、4−(2,1,3−ベンゾチアジアゾリル)基が挙げられる。
1価の複素環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有している1価の複素環基としては、例えば、5−オクチル−2−チエニル基、5−フェニル−2−フリル基が挙げられる。1価の複素環基が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基またはシクロアルキル基が好ましい。
1価の複素環基としては、例えば、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−チエノチエニル基、4−(2,1,3−ベンゾチアジアゾリル)基が挙げられる。
1価の複素環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有している1価の複素環基としては、例えば、5−オクチル−2−チエニル基、5−フェニル−2−フリル基が挙げられる。1価の複素環基が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基またはシクロアルキル基が好ましい。
「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「シリル基」は、置換基を有していてもよい。シリル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられる。置換基を有しているシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルシリル基、トリフェニルシリル基が挙げられる。
「アミノ基」は、置換基を有していてもよい。アミノ基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられる。置換基を有しているアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖アルケニル基、分岐アルケニル基のいずれでもよい。アルケニル基が有する炭素原子数は、通常2〜30(分岐アルケニル基の場合、通常3〜30)であり、2〜20(分岐アルケニル基の場合、3〜20)であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ヘキセニル基、1−ドデセニル基、1−ヘキサデセニル基、1−シクロヘキセニル基が挙げられる。
アルケニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、シリル基が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ヘキセニル基、1−ドデセニル基、1−ヘキサデセニル基、1−シクロヘキセニル基が挙げられる。
アルケニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、シリル基が挙げられる。
「シクロアルケニル基」が有する炭素原子数は、通常3〜30であり、3〜20であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基が挙げられる。
シクロアルケニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、シリル基が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基が挙げられる。
シクロアルケニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、シリル基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖アルキニル基、分岐アルキニル基のいずれでもよい。アルキニル基が有する炭素原子数は、通常2〜30(分岐アルキニル基の場合、通常4〜30)であり、2〜20(分岐アルキニル基の場合、4〜20)であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ヘキシニル基、1−ドデシニル基、1−ヘキサデシニル基が挙げられる。
アルキニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、シリル基が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ヘキシニル基、1−ドデシニル基、1−ヘキサデシニル基が挙げられる。
アルキニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、シリル基が挙げられる。
「シクロアルキニル基」が有する炭素原子数は、通常6〜30であり、6〜20であることが好ましい。なお、上記の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
シクロアルキニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、シリル基が挙げられる。
シクロアルキニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、シリル基が挙げられる。
<高分子化合物>
(第1構造単位)
本発明の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位(以下、「第1構造単位」ということがある。)を含む高分子化合物である。第1構造単位は、高分子化合物中に1種のみ含まれていても2種以上含まれていてもよい。本実施形態の高分子化合物は、共役高分子化合物であることが好ましい。
(第1構造単位)
本発明の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位(以下、「第1構造単位」ということがある。)を含む高分子化合物である。第1構造単位は、高分子化合物中に1種のみ含まれていても2種以上含まれていてもよい。本実施形態の高分子化合物は、共役高分子化合物であることが好ましい。
R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Eは、硫黄原子または酸素原子を表す。
A環は、芳香族炭化水素環または複素環を表す。A環において、実線と波線とで表される結合は、単結合または二重結合を表す。
R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
mは、0以上の整数を表す。
R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シリル基、アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
nは、0または1を表す。
Arは、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。〕
本発明の高分子化合物の合成が容易となるため、式(1)で表される構造単位は、式(1’)で表される構造単位であることが好ましい。
本発明の高分子化合物の合成が容易となるため、R1は、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
本発明の高分子化合物の合成が容易となるため、Eは、硫黄原子であることが好ましい。
A環で表される芳香族炭化水素環が有する炭素原子数は、通常6〜30であり、好ましくは6〜14である。
芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、ピレン環、ペンタセン環、ペリレン環が挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、ピレン環、ペンタセン環、ペリレン環が挙げられる。
A環で表される複素環が有する炭素原子数は、通常2〜30であり、好ましくは2〜14である。
複素環としては、例えば、チオフェン環、チエノチオフェン環、ジチエノチオフェン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾジチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、ベンゾジフラン環、セレノフェン環、ベンゾセレノフェン環、ベンゾジセレノフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾジチアゾール環、ピロール環、ピリジン環、キノリン環、2,1,3−ベンゾチアジアゾール環が挙げられる。
複素環としては、例えば、チオフェン環、チエノチオフェン環、ジチエノチオフェン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾジチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、ベンゾジフラン環、セレノフェン環、ベンゾセレノフェン環、ベンゾジセレノフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾジチアゾール環、ピロール環、ピリジン環、キノリン環、2,1,3−ベンゾチアジアゾール環が挙げられる。
本発明の高分子化合物を用いて製造される有機トランジスタの電界効果移動度がより優れるため、A環は、芳香族炭化水素環であることが好ましく、ベンゼン環またはナフタレン環であることがより好ましく、ベンゼン環であることがさらに好ましい。
本発明の高分子化合物を用いて製造される有機トランジスタの電界効果移動度がより優れるため、R2は、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが好ましい。
本発明の高分子化合物の合成が容易となるため、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、アルキル基またはシクロアルキル基であることがより好ましい。
本発明の高分子化合物の合成が容易となるため、mは、0〜4の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
本発明の高分子化合物の合成が容易となるため、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることがより好ましい。
本発明の高分子化合物を用いて製造される有機トランジスタの電界効果移動度がより優れるため、nは、1であることが好ましい。
Arで表されるアリーレン基とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団である。芳香族炭化水素の炭素原子数は通常6〜60であり、好ましくは6〜20である。なお、アリーレン基の炭素原子数には、置換基の炭素数は含まれない。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ベンゼンを含む炭化水素縮合環化合物、ベンゼンおよびベンゼンを含む炭化水素縮合環化合物からなる群から選ばれる2個以上が直接結合した化合物が含まれる。
アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、1価の複素環基またはハロゲン原子が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ベンゼンを含む炭化水素縮合環化合物、ベンゼンおよびベンゼンを含む炭化水素縮合環化合物からなる群から選ばれる2個以上が直接結合した化合物が含まれる。
アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、1価の複素環基またはハロゲン原子が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば、式(001)〜式(012)で表される基が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。
Arで表される2価の複素環基とは、複素環式化合物から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団である。複素環式化合物の炭素原子数は通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。なお、2価の複素環基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。2価の複素環基は、2価の芳香族複素環基であることが好ましい。
複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。
複素環式化合物としては、単環の複素環式化合物、複素環式化合物を含む縮合環化合物、単環の複素環式化合物および複素環式化合物を含む縮合環化合物からなる群から選ばれる2個以上が直接結合した化合物が含まれる。
2価の複素環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基またはハロゲン原子が挙げられる。
複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。
複素環式化合物としては、単環の複素環式化合物、複素環式化合物を含む縮合環化合物、単環の複素環式化合物および複素環式化合物を含む縮合環化合物からなる群から選ばれる2個以上が直接結合した化合物が含まれる。
2価の複素環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基またはハロゲン原子が挙げられる。
2価の複素環基としては、例えば、式(013)〜式(067)で表される2価の複素環基が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。
Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
aおよびbは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。〕
aおよびbは、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0または1である。
本発明の高分子化合物を用いて製造される有機トランジスタの電界効果移動度がより優れるため、Arは、2価の複素環基であることが好ましく、式(013)〜式(016)、式(033)〜式(035)、式(065)〜式(067)で表される2価の複素環基であることがより好ましく、式(065)〜式(067)で表される2価の複素環基がさらに好ましく、式(066)で表される2価の複素環基が特に好ましい。
本発明の高分子化合物を用いて製造される有機トランジスタの電界効果移動度がより優れるため、前記式(1)で表される構造単位は、式(2)で表される構造単位であることが好ましい。
本発明の高分子化合物の合成が容易となるため、式(2)で表される構造単位は、式(2’)で表される構造単位であることが好ましい。
本発明の高分子化合物の合成が容易となるため、m’は、0〜4の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
式(1)で表される構造単位(式(1’)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位、式(2’)で表される構成単位であってもよい)としては、例えば、式(1−01)〜式(1−33)で表される構造単位が挙げられ、本発明の高分子化合物を用いて製造される有機トランジスタの電界効果移動度がより優れるため、式(1−01)〜式(1−08)、式(1−17)〜式(1−21)で表される構造単位であることが好ましく、式(1−17)〜式(1−21)で表される構造単位であることがより好ましく、式(1−17)〜式(1−19)で表される構造単位であることがさらに好ましい。
(第2構造単位)
本発明の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位(式(1’)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位、式(2’)で表される構成単位であってもよい)のほかに、さらに式(3)で表される構造単位(ただし、式(1)で表される構造単位とは異なる。)(以下、「第2構造単位」ということがある。)を含んでいることが好ましい。
本発明の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位(式(1’)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位、式(2’)で表される構成単位であってもよい)のほかに、さらに式(3)で表される構造単位(ただし、式(1)で表される構造単位とは異なる。)(以下、「第2構造単位」ということがある。)を含んでいることが好ましい。
−Ar2− (3)
〔式中、Ar2は、ビニレン基、エチニレン基、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。〕
〔式中、Ar2は、ビニレン基、エチニレン基、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。〕
Ar2が表すアリーレン基および2価の複素環基の定義および具体例は、上記のArが表すアリーレン基および2価の複素環基の定義および具体例と同様である。
本発明の高分子化合物を用いて製造される有機トランジスタの電界効果移動度がより優れるため、Ar2は、2価の複素環基であることが好ましく、式(026)、式(038)〜式(040)、式(048)〜式(053)、式(058)〜式(064)で表される2価の複素環基であることがより好ましく、式(038)、式(050)、式(053)または式(064)で表される2価の複素環基であることがさらに好ましく、式(050)で表される2価の複素環基が特に好ましい。
本発明の高分子化合物が第2構造単位を含む場合、式(1)で表される構造単位(式(1’)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位、式(2’)で表される構成単位であってもよい)と、式(3)で表される構造単位とが共役を形成していることが好ましい。
本明細書において、共役とは、不飽和結合−単結合−不飽和結合の順に連鎖し、π軌道の2個のπ結合が隣り合い、それぞれのπ電子が平行に配置し、不飽和結合上にπ電子が局在するのではなく、隣の単結合上にπ電子が広がってπ電子が非局在化している状態のことを指す。ここで不飽和結合とは、二重結合や三重結合を指す。
本明細書において、共役とは、不飽和結合−単結合−不飽和結合の順に連鎖し、π軌道の2個のπ結合が隣り合い、それぞれのπ電子が平行に配置し、不飽和結合上にπ電子が局在するのではなく、隣の単結合上にπ電子が広がってπ電子が非局在化している状態のことを指す。ここで不飽和結合とは、二重結合や三重結合を指す。
本発明の高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と言う。)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常、1×103〜1×107である。薄膜作製の際に良好な薄膜を形成する観点から、数平均分子量は3×103以上が好ましい。溶媒への溶解度を高め、薄膜作製を容易にする観点から、数平均分子量は1×106以下であることが好ましい。
また、本発明の高分子化合物は、溶媒(好ましくは、有機溶媒)溶解度が高いものであるが、具体的には、本発明の高分子化合物を1.5重量%(以下、「wt%」ということがある。)以上含む溶液を作製し得る溶解度を有することが好ましく、2wt%以上含む溶液を作製し得る溶解度を有することがより好ましい。
本発明の高分子化合物において、式(1)で表される構造単位(式(1’)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位、式(2’)で表される構成単位であってもよい)の含有量は、高分子化合物中に少なくとも1つ含まれていればよいが、好ましくは、高分子化合物中に3個以上含まれ、さらに好ましくは、高分子化合物中に5個以上含まれる。
本発明の高分子化合物は、いかなる種類の共重合体であってもよく、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体等のいずれであってもよい。式(1)で表される構造単位(式(1’)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位、式(2’)で表される構成単位であってもよい)と、式(3)で表される構造単位との共重合体であることが好ましく、式(1)で表される構造単位と、式(3)で表される構造単位との交互共重合体であることがより好ましい。
本発明の高分子化合物は、分子鎖末端に重合反応に活性である基が残っていると、該高分子化合物を用いて製造される有機トランジスタの電界効果移動度が低下する可能性がある。そのため、該分子鎖末端は、アリール基、1価の芳香族複素環基等の安定な基であることが好ましい。
<高分子化合物の製造方法>
次に、本発明の高分子化合物の製造方法を説明する。
本発明の高分子化合物は、いかなる方法で製造してもよいが、例えば、式:X11−A11−X12で表される化合物と、式:X13−A12−X14で表される化合物とを、必要に応じて有機溶媒に溶解し、必要に応じて塩基を加え、適切な触媒を用いた公知のアリールカップリング等の重合方法により合成することができる。
次に、本発明の高分子化合物の製造方法を説明する。
本発明の高分子化合物は、いかなる方法で製造してもよいが、例えば、式:X11−A11−X12で表される化合物と、式:X13−A12−X14で表される化合物とを、必要に応じて有機溶媒に溶解し、必要に応じて塩基を加え、適切な触媒を用いた公知のアリールカップリング等の重合方法により合成することができる。
A11は、式(1)で表される構造単位(式(1’)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位、式(2’)で表される構成単位であってもよい)を表し、A12は式(3)で表される構造単位を表す。X11、X12、X13およびX14は、それぞれ独立に、重合反応性基を表す。
重合反応性基としては、例えば、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基、有機スズ残基が挙げられる。ここで、ホウ酸残基とは、−B(OH)2で表される基を意味する。
重合反応性基であるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
重合反応性基であるホウ酸エステル残基としては、例えば、下記式で示される基が挙げられる。
重合反応性基である有機スズ残基としては、例えば、3つのメチル基を有するトリメチルスズ基、3つのブチル基を有するトリブチルスズ基が挙げられる。
上記のアリールカップリング等の重合方法としては、例えば、Suzukiカップリング反応により重合する方法(Chemical Review、1995年、第95巻、2457−2483項)、Stilleカップリング反応により重合する方法(European Polymer Journal、2005年、第41巻、2923−2933項)が挙げられる。
重合反応性基は、Suzukiカップリング反応等のニッケル触媒またはパラジウム触媒を用いる場合には、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基またはホウ酸残基であることが好ましく、重合反応の簡便となるため、臭素原子、ヨウ素原子またはホウ酸エステル残基であることが好ましい。
本発明の高分子化合物をSuzukiカップリング反応により重合する場合は、上記の重合反応性基である臭素原子およびヨウ素原子の合計モル数と、上記の重合反応性基であるホウ酸エステル残基の合計モル数との比率が、0.7〜1.3とすることが好ましく、0.8〜1.2とすることがより好ましい。
本発明の高分子化合物をSuzukiカップリング反応により重合する場合は、上記の重合反応性基である臭素原子およびヨウ素原子の合計モル数と、上記の重合反応性基であるホウ酸エステル残基の合計モル数との比率が、0.7〜1.3とすることが好ましく、0.8〜1.2とすることがより好ましい。
重合反応性基は、Stilleカップリング反応等のパラジウム触媒を用いる場合には、ハロゲン原子または有機スズ残基であることが好ましく、重合反応の簡便となるため、臭素原子、ヨウ素原子または有機スズ残基であることが好ましい。
本発明の高分子化合物をStilleカップリング反応により重合する場合は、上記の重合反応性基である臭素原子およびヨウ素原子の合計モル数と、上記の重合反応性基である有機スズ残基の合計モル数との比率が、0.7〜1.3とすることが好ましく、0.8〜1.2とすることがより好ましい。
本発明の高分子化合物をStilleカップリング反応により重合する場合は、上記の重合反応性基である臭素原子およびヨウ素原子の合計モル数と、上記の重合反応性基である有機スズ残基の合計モル数との比率が、0.7〜1.3とすることが好ましく、0.8〜1.2とすることがより好ましい。
重合に用いられる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサンが挙げられる。これらの有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
重合に用いられる塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。
重合に用いられる触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、パラジウムアセテート、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム等のパラジウム錯体等の遷移金属錯体と、必要に応じて、トリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の配位子とからなる触媒であることが好ましい。これらの触媒は、予め合成したものを用いてもよいし、反応系中で調製したものをそのまま用いてもよい。また、これらの触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
重合の反応温度は、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは0〜150℃であり、更に好ましくは0〜120℃である。
重合の反応時間は、通常1時間以上であり、好ましくは2〜500時間である。
重合の後処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、メタノール等の低級アルコールに上記重合で得られた反応液を加えて析出させた沈殿をろ過、乾燥させる方法が挙げられる。
本発明の高分子化合物の純度が低い場合には、再結晶、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の方法にて精製することが好ましい。
<化合物>
式(11)で表される化合物は、本発明の高分子化合物の製造に好適に使用することができる。
式(11)で表される化合物は、本発明の高分子化合物の製造に好適に使用することができる。
R1、E、A環、R2、m、R3、nおよびArは、前記と同じ意味を表す。
W1およびW2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基または有機スズ残基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。〕
W1およびW2で表されるハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基および有機スズ残基の定義や例は、上記のX11およびX12で表されるハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基および有機スズ残基の定義や例と同じである。
式(11)で表される化合物の製造方法を、式(12)で表される化合物を例として説明する。
式(12)で表される化合物は、例えば、下記の方法により製造することができる。
W1およびW2がハロゲン原子の場合、例えば、
式(S1)で表される化合物と、式(S2)で表される化合物と、式(S3)で表される化合物をSuzukiカップリング反応により反応させる第一工程と、
第一工程で得られた式(S4)で表される化合物とN−ハロスクシンイミドを反応させる第二工程と
により製造することができる。この場合に得られる化合物は、式(S5)で表される化
合物である。
なお、式(S4)で表される化合物は、W1およびW2が水素原子である化合物である。
式(S1)で表される化合物と、式(S2)で表される化合物と、式(S3)で表される化合物をSuzukiカップリング反応により反応させる第一工程と、
第一工程で得られた式(S4)で表される化合物とN−ハロスクシンイミドを反応させる第二工程と
により製造することができる。この場合に得られる化合物は、式(S5)で表される化
合物である。
なお、式(S4)で表される化合物は、W1およびW2が水素原子である化合物である。
R1、E、A環、R2、m’、R3、W1およびW2は、前記と同じ意味を表す。
Hal1、Hal2およびHal3は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。
M1およびM2は、それぞれ独立に、ホウ酸エステル残基またはホウ酸残基を表す。〕
Hal1、Hal2およびHal3で表されるハロゲン原子としては、例えば、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子が挙げられる。
W1およびW2がホウ酸エステル残基である式(12)で表される化合物は、W1およびW2がハロゲン原子である式(12)で表される化合物を、ジクロロ(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム等のパラジウム触媒の存在下において、ピナコレートジボラン等のアルコラートジボランと反応させることにより、製造することができる。
W1およびW2がホウ酸残基である式(12)で表される化合物は、式(S4)で表される化合物を、ブチルリチウムやリチウムジイソプロピルアミド等のリチウム試薬によりアニオン化した後、トリアルコキシボランと反応させ、さらに、酸で加水分解することにより、製造することができる。
W1およびW2が有機スズ残基である式(12)で表される化合物は、W1およびW2がハロゲン原子である式(12)で表される化合物を、ジクロロ(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム等のパラジウム触媒の存在下において、ヘキサメチルジチン、ヘキサブチルジチン等の有機ジスズ化合物と反応させることにより、製造することができる。
また、W1およびW2が有機スズ残基である式(12)で表される化合物は、式(S4)で表される化合物を、ブチルリチウムやリチウムジイソプロピルアミド等のリチウム試薬によりアニオン化した後、有機スズハライドと反応させることにより、製造することができる。
<有機半導体材料>
本発明の有機半導体材料は、本発明の高分子化合物を1種類単独で含むものであってもよく、2種類以上を含むものであってもよい。また、本実施形態の有機半導体材料は、本発明の高分子化合物に加え、キャリア輸送性を有する化合物または高分子化合物を更に含んでいてもよい。本実施形態の有機半導体材料が、本発明の高分子化合物以外の成分を含む場合は、本発明の高分子化合物を30重量%以上含むことが好ましく、50重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましい。
本発明の有機半導体材料は、本発明の高分子化合物を1種類単独で含むものであってもよく、2種類以上を含むものであってもよい。また、本実施形態の有機半導体材料は、本発明の高分子化合物に加え、キャリア輸送性を有する化合物または高分子化合物を更に含んでいてもよい。本実施形態の有機半導体材料が、本発明の高分子化合物以外の成分を含む場合は、本発明の高分子化合物を30重量%以上含むことが好ましく、50重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましい。
キャリア輸送性を有する化合物としては、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、オリゴチオフェンおよびその誘導体、オキサジアゾール誘導体、フラーレン類およびその誘導体等の低分子化合物、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体等が挙げられる。
有機半導体材料は、その特性を向上させるため、本発明の高分子化合物とは異なる高分子化合物材料を高分子バインダーとして含有していてもよい。高分子バインダーとしては、キャリア輸送性を過度に低下させないものが好ましい。
高分子バインダーの例としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが挙げられる。
<有機半導体素子>
本発明の高分子化合物は、高い移動度を有することから、本発明の高分子化合物を含む有機薄膜を有機半導体素子に用いた場合、電極から注入された電子やホール、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして、本発明の高分子化合物は、光電変換素子、有機トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子等の種々の有機半導体素子に好適に用いることができる。以下、これらの素子について個々に説明する。
本発明の高分子化合物は、高い移動度を有することから、本発明の高分子化合物を含む有機薄膜を有機半導体素子に用いた場合、電極から注入された電子やホール、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして、本発明の高分子化合物は、光電変換素子、有機トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子等の種々の有機半導体素子に好適に用いることができる。以下、これらの素子について個々に説明する。
(有機トランジスタ)
有機トランジスタとしては、ソース電極およびドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられる。このような構成を有する有機トランジスタとしては、電界効果型有機トランジスタ、静電誘導型有機トランジスタ等が挙げられる。
有機トランジスタとしては、ソース電極およびドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられる。このような構成を有する有機トランジスタとしては、電界効果型有機トランジスタ、静電誘導型有機トランジスタ等が挙げられる。
電界効果型有機トランジスタは、通常、ソース電極およびドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極と、活性層とゲート電極との間に配置される絶縁層とを有する有機トランジスタである。特に、ソース電極およびドレイン電極が、活性層に接して設けられており、さらに活性層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられている有機トランジスタが好ましい。
静電誘導型有機トランジスタは、通常、ソース電極およびドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを有し、該ゲート電極が活性層中に設けられている有機トランジスタである。特に、ソース電極、ドレイン電極および前記ゲート電極が、前記活性層に接して設けられている有機トランジスタが好ましい。
ゲート電極は、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成でき、かつ、ゲート電極に印加した電圧で該電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし型電極である。
図1は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の一例を示す模式断面図である。図1に示す有機トランジスタ100は、基板1と、基板1上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極5およびドレイン電極6を覆うようにして基板1上に形成された活性層2と、活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレイン電極6との間の領域上の絶縁層3を覆うように絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備えるものである。
図2は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図2に示す有機トランジスタ110は、基板1と基板1上に形成されたソース電極5と、ソース電極5を覆うようにして基板1上に形成された活性層2と、ソース電極5と所定の間隔を持って活性層2上に形成されたドレイン電極6と、活性層2およびドレイン電極6上に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレイン電極6との間の領域上の絶縁層3を覆うように絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備えるものである。
図3は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図3に示す有機トランジスタ120は、基板1と基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域の一部を覆うように、絶縁層3上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極5およびドレイン電極6の一部を覆うように絶縁層3上に形成された活性層2とを備えるものである。
図4は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図4に示す有機トランジスタ130は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域の一部を覆うように絶縁層3上に形成されたソース電極5と、ソース電極5の一部を覆うようにして絶縁層3上に形成された活性層2と、活性層2の一部を覆うように、ソース電極5と所定の間隔を持って絶縁層3上に形成されたドレイン電極6とを備えるものである。
図5は、本発明の有機トランジスタ(静電誘導型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図5に示す有機トランジスタ140は、基板1と、基板1上に形成されたソース電極5と、ソース電極5上に形成された活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って複数形成されたゲート電極4と、ゲート電極4の全てを覆うようにして活性層2上に形成された活性層2a(活性層2aを構成する材料は、活性層2と同一であっても異なっていてもよい)と、活性層2a上に形成されたドレイン電極6とを備えるものである。
図6は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図6に示す有機トランジスタ150は、基板1と、基板1上に形成された活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極5およびドレイン電極6の一部を覆うようにして活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース電極5が下部に形成されている絶縁層3の領域とドレイン電極6が下部に形成されている絶縁層3の領域とをそれぞれ一部覆うように、絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備えるものである。
図7は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図7に示す有機トランジスタ160は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域を覆うように形成された活性層2と、活性層2の一部を覆うように活性層2上に形成されたソース電極5と、活性層2の一部を覆うように、ソース電極5と所定の間隔を持って活性層2上に形成されたドレイン電極6とを備えるものである。
図8は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図8に示す有機トランジスタ170は、ゲート電極4と、ゲート電極4上に形成された絶縁層3と、絶縁層3上に形成された活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、を備えるものである。この場合、ゲート電極4は基板1を兼ねる構成となっている。
図9は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図9に示す有機トランジスタ180は、ゲート電極4と、ゲート電極4上に形成された絶縁層3と、絶縁層3上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極5およびドレイン電極6の一部を覆うように絶縁層3上に形成された活性層2とを備えるものである。
上述した本発明の有機トランジスタにおいては、活性層2および/または活性層2aは、本発明の高分子化合物を含有する膜によって構成され、ソース電極5とドレイン電極6との間の電流通路(チャネル)となる。また、ゲート電極4は、電圧を印加することにより電流通路(チャネル)を通る電流量を制御する。
このような電界効果型有機トランジスタは、公知の方法、例えば特開平5−110069号公報記載の方法により製造することができる。また、静電誘導型有機トランジスタは、特開2004−006476号に公報記載の方法等の公知の方法により製造することができる。
基板1の材料は、有機トランジスタの特性を阻害しない材料であればよい。基板としては、ガラス基板、フレキシブルなフィルム基板、プラスチック基板を用いることができる。
絶縁層3の材料は、電気の絶縁性が高い材料であればよく、SiOx、SiNx、Ta2O5、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、有機ガラス、フォトレジスト等を用いることができるが、低電圧化の観点からは、誘電率の高い材料を用いることが好ましい。
絶縁層3の上に活性層2を形成する場合は、絶縁層3と活性層2の界面特性を改善するため、シランカップリング剤等の表面処理剤で絶縁層3の表面を処理して表面改質した後に活性層2を形成することも可能である。
電界効果型トランジスタの場合、電子やホール等の電荷は、一般に絶縁層と活性層の界面付近を通過する。従って、この界面の状態がトランジスタの電界効果移動度に大きな影響を与える。そこで、界面状態を改良して特性を向上させる方法として、シランカップリング剤による界面の制御が提案されている(例えば、表面化学、2007年、第28巻、第5号、p.242−248)。
シランカップリング剤の例としては、アルキルクロロシラン類(オクチルトリクロロシラン(OTS)、オクタデシルトリクロロシラン(ODTS)、フェニルエチルトリクロロシラン等)、アルキルアルコキシシラン類、フッ素化アルキルクロロシラン類、フッ素化アルキルアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシリルアミン化合物が挙げられる。また、表面処理剤で処理する前に、絶縁層表面をオゾンUV処理、O2プラズマ処理してもよい。
このような処理によって、絶縁層として用いられるシリコン酸化膜等の表面エネルギーを制御することができる。また、表面処理により、活性層を構成している膜の絶縁層上での配向性が向上し、より高い電界効果移動度が得られる。
ゲート電極4には、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、低抵抗ポリシリコン、低抵抗アモルファスシリコン等の金属や、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(ITO)等の材料を用いることができる。
これらの材料は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、ゲート電極4としては、高濃度にドープされたシリコン基板を用いることも可能である。高濃度にドープされたシリコン基板は、ゲート電極としての性能とともに、基板としての性能も併有する。このような基板としての性能も有するゲート電極4を用いる場合には、基板1とゲート電極4とが接している有機トランジスタにおいて、基板1を省略してもよい。
これらの材料は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、ゲート電極4としては、高濃度にドープされたシリコン基板を用いることも可能である。高濃度にドープされたシリコン基板は、ゲート電極としての性能とともに、基板としての性能も併有する。このような基板としての性能も有するゲート電極4を用いる場合には、基板1とゲート電極4とが接している有機トランジスタにおいて、基板1を省略してもよい。
ソース電極5およびドレイン電極6は、低抵抗の材料から構成されることが好ましく、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン等から構成されることが特に好ましい。これらの材料は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記有機トランジスタにおいて、ソース電極5およびドレイン電極6と、活性層2との間には、更に他の化合物から構成された層が介在していてもよい。このような層としては、電子輸送性を有する低分子化合物、ホール輸送性を有する低分子化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、これらの金属と有機化合物との錯体、ヨウ素、臭素、塩素、塩化ヨウ素等のハロゲン、硫酸、無水硫酸、二酸化硫黄、硫酸塩等の酸化硫黄化合物、硝酸、二酸化窒素、硝酸塩等の酸化窒素化合物、過塩素酸、次亜塩素酸等のハロゲン化化合物、アルキルチオール化合物、芳香族チオール類、フッ素化アルキル芳香族チオール類等の芳香族チオール化合物等からなる層が挙げられる。
また、上記のような有機トランジスタを作製した後には、素子を保護するため、有機トランジスタ上に保護膜を形成することが好ましい。これにより、有機トランジスタが大気から遮断され、有機トランジスタの特性の低下を抑制することができる。また、有機トランジスタの上に駆動する表示デバイスを形成する場合、その形成工程における有機トランジスタへの影響も該保護膜により低減することができる。
保護膜を形成する方法としては、有機トランジスタを、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂や無機のSiONx膜等で覆う方法等が挙げられる。大気との遮断を効果的に行うため、有機トランジスタを作製後、有機トランジスタを大気にさらすことなく(例えば、乾燥した窒素雰囲気中、真空中等で)保護膜を形成することが好ましい。
このように構成された有機トランジスタの一種である電界効果型トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子等として適用できる。そして、上述した本実施形態の電界効果型トランジスタは、活性層として本発明の高分子化合物を含有し、そのことにより移動度に優れた活性層を備えているため、その電界効果移動度が高いものとなる。したがって、十分な応答速度を持つディスプレイの製造等に有用である。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(NMR分析)
NMR測定は、化合物を重クロロホルムに溶解させ、NMR装置(Varian社製、INOVA300)を用いて行った。
NMR測定は、化合物を重クロロホルムに溶解させ、NMR装置(Varian社製、INOVA300)を用いて行った。
(分子量分析)
高分子化合物の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC、Waters社製、商品名:Alliance GPC 2000)を用いて求めた。測定する高分子化合物は、オルトジクロロベンゼンに溶解させ、GPCに注入した。
GPCの移動相にはオルトジクロロベンゼンを用いた。カラムは、TSKgel GMHHR−H(S)HT(2本連結、東ソー製)を用いた。検出器にはUV検出器を用いた。
高分子化合物の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC、Waters社製、商品名:Alliance GPC 2000)を用いて求めた。測定する高分子化合物は、オルトジクロロベンゼンに溶解させ、GPCに注入した。
GPCの移動相にはオルトジクロロベンゼンを用いた。カラムは、TSKgel GMHHR−H(S)HT(2本連結、東ソー製)を用いた。検出器にはUV検出器を用いた。
合成例1
(化合物2の合成)
(化合物2の合成)
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)=7.07(s,2H)、3.81(d,4H)、1.00−1.80(m,82H)、0.88(t,12H).
合成例2
(化合物3の合成)
(化合物3の合成)
合成例3
(化合物4の合成)
(化合物4の合成)
合成例4
(化合物5の合成)
(化合物5の合成)
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)=8.01(s,2H)、7.81(s,2H)、4.14(d,4H)、2.00(m,2H)、1.20−1.60(m,80H)、0.88(t,12H).
合成例5
(化合物6の合成)
(化合物6の合成)
反応容器内の気体を窒素ガスで置換した後、化合物2を1.00g(1.06mmol)、2−(トリブチルスタンニル)チオフェンを0.793g(2.12mmol)、トルエンを50mL、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを78mg、トリオルトトリルホスフィンを100mg加え、5時間還流させた。得られた反応溶液を濃縮した後、シリカゲルカラムを用いて精製し、化合物6を0.51g得た。収率は51%であった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)=7.52(d,2H)、7.33(d,2H)、7.30(s,2H)、7.09(m,2H)、3.95(d,4H)、1.88(m,2H)、1.20−1.60(m,80H)、0.88(t,12H).
合成例6
(化合物7の合成)
(化合物7の合成)
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)=7.23(d,2H)、7.14(s,2H)、7.01(d,2H)、3.93(d,4H)、1.90(m,2H)、1.20−1.60(m,80H)、0.88(t,12H).
実施例1
(高分子化合物P1の合成)
(高分子化合物P1の合成)
比較例1
(高分子化合物P2の合成)
(高分子化合物P2の合成)
実施例2
(有機トランジスタ1の作製および評価)
高分子化合物P1を含む溶液を用いて、図1に示す構造を有する有機トランジスタ1を作製した。
ガラス基板(基板1)に対し、アセトンで10分間超音波洗浄した後、オゾンUVを20分間照射した。その後、基板1上に、蒸着法によりソース電極5およびドレイン電極6を形成した。該ソース電極5および該ドレイン電極6は金であり、チャネル長は20μm、チャンネル幅は2mmであった。その後、フェニルエチルトリクロロシランのトルエン希釈液に、基板を2分間浸漬することにより、基板表面をシラン処理した。その後、ペンタフルオロベンゼンチオールのイソプロピルアルコール希釈液に、基板を2分間浸漬することにより、基板上に形成した電極の表面を修飾した。
その後、0.5重量%の高分子化合物P1のテトラリン溶液を上記の表面処理した基板上にスピンコート法により塗布し、大気雰囲気中において、ホットプレート上で、150℃、30分間乾燥させることにより、有機半導体層2を形成した。有機半導体層2の厚さは、約30nmであった。
その後、有機半導体層2の上に、テフロン(登録商標)製の絶縁膜をスピンコート法により塗布し、大気雰囲気中において、ホットプレート上で、80℃、10分間乾燥させることにより、絶縁層3を形成した。絶縁層3の厚さは約500nmであった。
その後、絶縁膜3上に、蒸着法によりアルミニウムを成膜して、ゲート電極4を形成した。
(有機トランジスタ1の作製および評価)
高分子化合物P1を含む溶液を用いて、図1に示す構造を有する有機トランジスタ1を作製した。
ガラス基板(基板1)に対し、アセトンで10分間超音波洗浄した後、オゾンUVを20分間照射した。その後、基板1上に、蒸着法によりソース電極5およびドレイン電極6を形成した。該ソース電極5および該ドレイン電極6は金であり、チャネル長は20μm、チャンネル幅は2mmであった。その後、フェニルエチルトリクロロシランのトルエン希釈液に、基板を2分間浸漬することにより、基板表面をシラン処理した。その後、ペンタフルオロベンゼンチオールのイソプロピルアルコール希釈液に、基板を2分間浸漬することにより、基板上に形成した電極の表面を修飾した。
その後、0.5重量%の高分子化合物P1のテトラリン溶液を上記の表面処理した基板上にスピンコート法により塗布し、大気雰囲気中において、ホットプレート上で、150℃、30分間乾燥させることにより、有機半導体層2を形成した。有機半導体層2の厚さは、約30nmであった。
その後、有機半導体層2の上に、テフロン(登録商標)製の絶縁膜をスピンコート法により塗布し、大気雰囲気中において、ホットプレート上で、80℃、10分間乾燥させることにより、絶縁層3を形成した。絶縁層3の厚さは約500nmであった。
その後、絶縁膜3上に、蒸着法によりアルミニウムを成膜して、ゲート電極4を形成した。
得られた有機トランジスタ1のゲート電圧Vg、ソース・ドレイン間電圧Vsdを変化させ、トランジスタ特性を測定した。電界効果移動度は、0.028cm2/Vsであった。結果を表1に表す。
比較例2
(有機トランジスタ2の作製および評価)
実施例2の高分子化合物P1に代えて、高分子化合物P2を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、有機トランジスタ2を作製した。
(有機トランジスタ2の作製および評価)
実施例2の高分子化合物P1に代えて、高分子化合物P2を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、有機トランジスタ2を作製した。
得られた有機トランジスタ2のゲート電圧Vg、ソース・ドレイン間電圧Vsdを変化させ、トランジスタ特性を測定した。電界効果移動度は、0.0036cm2/Vsであった。結果を表1に表す。
1…基板、
2、2a…活性層、
3…絶縁層、
4…ゲート電極、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
100、110、120、130、140、150、160、170、180…有機トランジスタ。
2、2a…活性層、
3…絶縁層、
4…ゲート電極、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
100、110、120、130、140、150、160、170、180…有機トランジスタ。
Claims (7)
- 式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物。
R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Eは、硫黄原子または酸素原子を表す。
A環は、芳香族炭化水素環または複素環を表す。A環において、実線と波線とで表される結合は、単結合または二重結合を表す。
R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
mは、0以上の整数を表す。
R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シリル基、アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
nは、0または1を表す。
Arは、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。〕 - 前記R2が、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基である、請求項1または2に記載の高分子化合物。
- 前記A環が、ベンゼン環またはナフタレン環である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する、有機半導体材料。
- 請求項5に記載の有機半導体材料を含有する有機層を備える、有機半導体素子。
- ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極および活性層を有し、該活性層に請求項5に記載の有機半導体材料を含有する、有機トランジスタ。
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