JP2015218109A - 3−ブテン−2−オールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ラセミ体、(S)または(R)−体の3−ブテン−2−オールを効率よく製造する方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)
【化1】
Figure 2015218109

(式(1)中、R、R及びRはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、XはOH、HCO 、CO 2−、R、RCO 、RSO (R、R、Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)及びハロゲン化物イオンを表し、XがCO 2−の場合にnは0.5を表し、XがCO 2−以外の場合にnは1を表す。*が付された炭素原子は不斉炭素原子である。)
で表されるアンモニウム塩化合物を、ホフマン脱離させることを特徴とする、3−ブテン−2−オールの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、医農薬製造中間体として有用な3−ブテン−2−オールの製造方法に関する
3−ブテン−2−オールの製造方法としては、以下のような方法が報告されている。
非特許文献1、2、3、4、5、及び6に記載されるような1,3−ブタンジオールの脱水反応が挙げられるが、高い転化率を得るためには300℃以上の非常に高温な条件が必要であったり、有害なメチルビニルケトンが副生したり、選択性が低かったりする問題がある。
非特許文献7及び8に記載されるような3−ブチン−2−オールの水素化においては、1,3−ブタンジオールに比べて原料の3−ブチン−2−オールは高価であり、特に光学活性体を合成する場合には、光学活性1,3−ブタンジオールが例えば比較的安価な4−ヒドロキシ―2―ブタノンの不斉水素化によって簡便に1工程で合成できるのに対し、光学活性3−ブチン−2−オールは例えば3−ブチン−2−オンの不斉還元、ラセミの3−ブチン−2−オールの光学分割、アセチレン末端が保護された3−ブチン−2−オンの不斉還元後に脱保護を行うなど、高価な原料を使用したり、工程が複雑なためコスト的な問題がある。また、用いる触媒量が比較的多いこと、反応時間が長いことや収率が低い場合があるなどの問題もある。
非特許文献9、10、及び11にはエポキシド経由の合成法が記載されている。非特許文献9に記載された方法では、ビタミンB12を用いた光学活性体の合成法が記載されているが、高価な触媒が多量に必要で光学純度も高くない問題がある。非特許文献10に記載された方法では、インジウム触媒を用いたラセミ体の合成法が記載されているが、触媒効率が低く、特定化学物質に指定され健康障害を発生させる懸念が高いインジウムを多量に使用する問題がある。非特許文献11に記載された光学活性体の合成方法では、多量のヨウ化ナトリウムと亜鉛−銅合金をする問題があり、光学純度も74%ee程度しかない。さらに、求電子剤であるエポキシドはDNA中の求核性の高いグアニン塩基と反応して変異原性を有する懸念が持たれている。
非特許文献12に記載されるようなメチルビニルケトンの水素化においては、メチルビニルケトンの有害性が高いという問題がある。
非特許文献13に記載されるような不斉アルキル化においては、原料合成にアクロレインが用いられている。また、非特許文献14に記載されるようなアクロレインとメチルグリニャール試薬から合成する方法が挙げられるが、アクロレインの有害性が高いことや、不安定で工業的に入手困難という問題がある。
非特許文献15に記載されるようなアリルアルコールの異性化方法においては、光学活性体の合成に応用できないという問題があり、非特許文献16に記載されるようなマイゼンハイマー転移による合成法においては、超音波バス中で22時間反応させなければならないことや、基質合成時に−40℃という極低温条件が必要といったスケールアップ時に問題となる工程がある。
非特許文献17に記載されるような3−クロロブタン−2−オンの酵母還元を経由する方法は、(S)−体しか合成できないことや、酵母還元時の溶媒量が多く生産性が低い問題がある。
Catalysis Communication, 2003, 4, p.77 - 81 J. Mol. Catal. A: Chemical, 2004, 221, p.177 - 183 App. Catal. A: General, 2007, 328, p.109 -116 J. Mol. Catal. A: Chemical, 2009, 310, p.166 - 173 Top. Catal. 2009, 52, p.609 - 617 App. Catal. A: General, 2010, 377, p.92 - 98 Helvetica Chim. Acta, 2006, 89, p.542 - 557 ChemCatChem, 2012, 4, p.1737 - 1740 Helvetica Chim. Acta, 1988, 71, p.1073 - 1078 Tetrahedron Lett. 2004, 45, p. 8579 - 8581 J. Chem. Soc. Perkin Trans. I 1993, p. 399 - 400 Tetrahedron Lett. 1981, 22, p. 3663 - 3666 J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, p. 15572 - 15573 Tetrahedron Asymm. 2002, 13, p.261 - 268 Tetrahedron Lett. 2000, 41, p. 1549 - 1552 Synlett 1994, p.969 - 971. J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 1990, p.3317 - 3319.
本発明の目的は、ラセミ体、(S)または(R)−体の3−ブテン−2−オールを効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記の事情に鑑み、鋭意検討を行った結果、ラセミ体及び高光学純度の両鏡像体が容易に入手可能な1,3−ブタンジオールを原料とし、ホフマン脱離を経由してラセミ体、(S)または(R)−体の3−ブテン−2−オールを比較的温和な条件下で、有害性の高い原料を用いることなく効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は以下の[1]及び[2]に関するものである。
[1]下記一般式(1)
Figure 2015218109
(式(1)中、R、R及びRは同一又は異なっていてもよく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、XはOH、HCO 、CO 2−、R(Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)、RCO (Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)、RSO (Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)及びハロゲン化物イオンを表し、XがCO 2−の場合にnは0.5を表し、XがCO 2−以外の場合にnは1を表す。*が付された炭素原子は不斉炭素原子であり、式(1)で表される化合物はラセミ体であっても光学活性体であってもよい。)
で表されるアンモニウム塩化合物を、ホフマン脱離させることを特徴とする、下記式(2)
Figure 2015218109
(式(2)中、*が付された炭素原子は不斉炭素原子であり、式(2)で表される化合物はラセミ体であっても光学活性体であってもよい。)
で表される3−ブテン−2−オールの製造方法。
[2]下記一般式(1’)で表される化合物。
Figure 2015218109
(式(1’)中、R1’、R2’及びR3’は同一又は異なっていてもよく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、Xaは、RSO−(Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)を表す。*が付された炭素原子は不斉炭素原子であり、式(1’)で表される化合物はラセミ体であっても光学活性体であってもよい。)
本発明の製造方法により、3−ブテン−2−オールが較的温和な条件下で有害性の高い原料を用いることなく効率よく製造することが可能である。また、容易に入手可能な光学活性原料を用いることで高い光学純度で(S)及び(R)−体を製造することが可能である。
一般式(1)及び(1’)で表される化合物における各基について説明する。
アルキル基としては、炭素数1〜50、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。
また、アリール基としては、炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数6〜14の単環式、多環式又は縮合環式のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
また、アラルキル基としては、前記したアルキル基の少なくとも1個の水素原子が前記したアリール基で置換された基が挙げられ、例えば炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、具体的にはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−ナフチルプロピル基等が挙げられる。
次に、一般式(1)におけるXについて説明する。
としてはHO、HCO (炭酸水素アニオン)、CO 2−(炭酸アニオン)、下記式(3)で表されるアルコキシアニオン、下記式(4)で表されるカルボキシラートアニオン、または下記式(5)で表されるがスルホニルオキシアニオンが挙げられる。
(3)
CO (4)
SO (5)
(一般式(3)、(4)及び(5)におけるR、R及びRは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、これらの基の具体例としては一般式(1)におけるR、R及びRで説明したような基と同様の基を表す。)
が炭酸アニオンである場合には炭酸アニオンが2価のアニオンであるため、アニオン1分子にアンモニウムカチオン2分子が結合した一般式(6)のような構造を有する。
Figure 2015218109
(式(6)中、R、R及びRは同一又は異なっていてもよく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表。*が付された炭素原子は不斉炭素原子であり、式(6)で表される化合物はラセミ体であっても光学活性体であってもよい。)
本発明のホフマン脱離反応は、無溶媒又は溶媒中で好適に実施することができる。用いられる溶媒としては、反応温度以上の沸点を有するものが好ましく、単一溶媒あるいは混合溶媒が用いられる。具体的にはトルエン、キシレン、クメン、パラシメン等の芳香族炭化水素、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジグライム、テトラグライム等のエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類が挙げられる。この中でも芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましく、特に好ましい溶媒としては、流動パラフィンが挙げられる。溶媒の使用量は、反応条件等により適宜選択することができる。反応は必要に応じ撹拌下に行われる。
ホフマン脱離を行う際の反応温度は、50℃〜300℃、好ましくは80℃〜150℃である。反応温度が低すぎると未反応の原料が多く残存する場合があり好ましくない。本発明において、ホフマン脱離を行う際は、あらかじめ加熱した反応容器または溶媒に基質を滴下してもよく、また基質を入れた反応容器を加熱してもよい。また、3−ブテン−2−オールの沸点より高い温度で反応した場合には、留出してくる3−ブテン−2−オールを適宜取り出すこともできる。
反応終了後は、蒸留により精製することで目的の3−ブテン−2−オールを高純度で得ることができる。
次に、一般式(1’)で表されるアンモニウムスルホネートについて説明する。
一般式(1’)で表されるアンモニウムスルホネートは塩基で処理することで、アニオンを変換することが可能である。塩基としてはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、カルボキシラート塩が挙げられ、より具体的には水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、及び酢酸カリウムなどが挙げられる。
本発明の方法に使用される原料化合物(1)は、Xがヒドロキシイオンの場合、例えば以下のスキームによって製造することができる。
Figure 2015218109
なお、原料の1,3−ブタンジオールは市販のラセミ化合物又は光学活性化合物を使用してもよく、または4−ヒドロキシ−2−ブタノンを不斉水素化したものを使用してもよい。
以下に実施例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
分析機器は以下のとおりである。
GC機器:島津 GC−2010
GCキャピラリー:DB−1(長さ:60m、径:0.25mm、膜厚:1.00μm)
注入温度200℃,検出温度280℃
35℃(10分保持)−10℃/分−230℃(10℃/分)−230℃(0.5分保持)
また、ガスクロマトグラフィーを用いた定量分析は、内部標準物質としてデカンを用い、市販の3−ブテン−2−オールを標準物質とし、3点にて検量線を作成しておこなった。
H−NMR及び13C−NMR:MERCURY plus 300(バリアン社製)
HPLC機器:ジーエルサイエンス GL−7430
HPLCカラム:Phenomenex Prodigy ODS(2)(長さ:150mm、径:4.6mm、粒径:5.0μm)
オーブン温度:40℃,波長:210nm、流速:1.0mL/分
溶離液A:20nMリン酸水溶液、B:アセトニトリル
[参考例1](R)−1,3−ブタンジオールの合成
5Lオートクレーブに4−ヒドロキシ−2−ブタノン(2.5kg,28.38mol)、[MeNH][(RuCl((R)−segphos)(u−Cl)](高砂香料工業社製)(4.67g,0.0057mol)、メタノール(2.5L)を加え、窒素置換後、水素加圧下(1.5〜3MPa)、60℃で8時間攪拌した。冷却後、窒素置換し反応液(4.5kg)を得た。反応液を減圧下濃縮することで、2.56kgの濃縮液を得た。得られた濃縮液を減圧蒸留(75℃〜87℃/666.6〜133.3Pa)することで、(R)−1,3−ブタンジオール(1.99kg、22.1mol)を得た。得られた(R)−1,3−ブタンジオールをジベンゾエートへと誘導し、光学活性カラム(Chiralcel OD-H)を用いたHPLCにより測定したところ、光学純度は、98.8%eeであった。
[参考例2]1,3−ブタンジオールのトシル化
Figure 2015218109
1Lの4つ口フラスコに、1,3−ブタンジオール(73.7g,0.818mol)、ジクロロメタン(163.7mL)、及びトリエチルアミン(114.6g,1.13mol)を加え、氷浴にて冷却した。N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(385.8mg)を加え、塩化パラトルエンスルホニル(120.0g,0.629mol)のジクロロメタン(340.9mL)溶液を5〜9℃で1時間かけて滴下した。40分後、氷浴を外し室温にて1.5時間撹拌した後、水(185mL)を加えて分液後、得られた有機層を2規定塩酸(185mL)で2回、飽和重曹水(185mL)、飽和食塩水(185mL)の順で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮することで146.5gの濃縮物を得た。HPLC分析でのトシラートとジトシラートの面積比は91:9であった。またH−NMRで確認するとトシラートとジトシラート生成比は約95:5であった。
[実施例1]アンモニウム塩の合成
Figure 2015218109
1Lの4つ口フラスコに、参考例2で得られた濃縮物100g、30%トリメチルアミン水溶液(343g)及びエタノール(20mL)を加えた。31〜38℃で、3時間撹拌した後、減圧濃縮した。濃縮物にエタノール(200mL)を加え減圧濃縮する操作を5回行い得られた結晶を減圧乾燥することでトリメチルアンモニウムトシラート(121.0g)を得た。
H−NMR(300MHz,DO):δ 7.54(d,J=8.1Hz,2H), 7.20(d,J=8.1Hz,2H),3.75−3.65(m,1H),3.30−3.10(m,2H),2.91(s,9H),2.22(s,3H),1.80−1.60(m,2H),1.07(d,J=6.3Hz,3H)
13C−NMR(75.4MHz,DO):δ 142.5,139.9,129.7,125.5,65.1,64.1,53.0,31.2,22.3,20.7
[参考例3]アニオン交換
Figure 2015218109
500mLの4つ口フラスコに、実施例1で得られたトリメチルアンモニウムトシラートのうちの115g及びエタノール(157.7mL)を加え、室温にて水酸化カリウム(28.9g)のエタノール(262.7mL)溶液を15分かけて滴下した。30分撹拌後、濾過にて塩を除去した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、99.6gの濃縮物を得た。濃縮物にはトリメチルアンモニウムヒドロキシドの他にエタノール及びトシル酸カリウム塩が残留していた。
H−NMR(300MHz,DO):δ 7.42(d,J=8.1Hz,0.2H,残留トシル酸カリウム塩), 7.11(d,J=8.1Hz, 0.2H,残留トシル酸カリウム塩), 3.70−3.50(m,1H),3.37(q,J=7.0Hz,4.7H,残留エタノール), 3.30−3.10(m,2H),2.85(s,9H), 2.13(s,0.3H,残留トシル酸カリウム塩),1.80−1.50(m,2H),0.96(d,J=6.3Hz,3H),0.91(t,J=7.0 Hz,7.0H,残留エタノール)
13C−NMR(75.4MHz,DO):δ 129.5 (残留トシル酸カリウム塩), 125.5 (残留トシル酸カリウム塩), 64.7, 64.2, 57.3(残留エタノール), 52.9, 31.4, 22.5, 17.1(残留エタノール)
[実施例2]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
参考例3で得られた濃縮物を120〜130℃で加熱し、66.7kPaにて留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集することで、77.6gの留分を得た。GCにて分析したところ、含有物としてトリメチルアミン、エタノール、及び3−ブテン−2−オールが検出され、それぞれの面積%は20.1%、50.5%、22.1%であった。また、GCによる定量分析の結果、3−ブテン−2−オールが12.9g含まれていた。
[参考例4]1,3−ブタンジオールのトシル化
Figure 2015218109
1Lの4つ口フラスコに、1,3−ブタンジオール(121.8g, 1.35mol)、トルエン(200mL)、及びトリエチルアミン(246.2g, 2.43mol)を加え、氷浴にて冷却した。N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(1.65g)を加え、塩化パラトルエンスルホニル(198.2g, 1.04mol)のトルエン(400mL)溶液を3〜12℃で1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し室温で2時間撹拌した後、水(400mL)を加え分液後、得られた有機層を、4規定塩酸(400mL)、飽和重曹水(200mL)、水(200mL)の順で洗浄し、減圧下で濃縮することで241.0gの濃縮物を得た。HPLC分析でのトシラートとジトシラートの面積比は89:11であった。
[実施例3]ジメチルベンジルアンモニウムトシラートの合成
Figure 2015218109
参考例4で得られた濃縮物のうちの100.0gに、エタノール(240.8mL)及びジメチルベンジルアミン(55.3g)を加え8時間還流した。
生成物をHPLCで分析したところ、面積%は原料のトシラートが0.1%、目的物のジメチルベンジルアンモニウムトシラートが41.6%、トルエンスルホン酸が43.3%、ジメチルベンジルアミンが11.4%であった。
生成物からエタノールを留去した残渣のNMRデータを下記に示す。
H−NMR(300MHz,DO):δ 7.71(2H,d,J=8.1Hz), 7.43−7.19(7H(うち2H分は残留N,N−ジメチルベンジルアミン),m)、7.08(2H,d,J=8.1 Hz), 4.52(2H,s),3.80−3.45(3H,m),3.47(0.8H,s,残留N,N−ジメチルベンジルアミン),3.00−2.84(6H),2.30−2.20(4.4H,(うち2.4Hは残留N,N−ジメチルベンジルアミン)),1.95−1.80(2H,m),1.14(3H,d,J=6.3Hz)
13C−NMR(75.4MHz,DO):δ 143.4,139.4,133.1,130.3,129.2(残留N,N−ジメチルベンジルアミン),128.9,128.7,128.2(残留N,N−ジメチルベンジルアミン),127.3,127.2(残留N,N−ジメチルベンジルアミン),125.7,67.5,64.4,64.0(残留N,N−ジメチルベンジルアミン),62.2,49.3,49.1,44.9(残留N,N−ジメチルベンジルアミン),31.7,23.5,21.2
[実施例4]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
実施例3で得られたジメチルベンジルアンモニウムトシラートの反応液に、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(110.9g)を滴下した。滴下後氷冷し、生じた塩を濾過した。濾液を減圧下で濃縮した後、140℃で加熱し、70.0〜50.0kPaにて留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集することで、73.7gの留分を得た。GCにて分析したところ、メタノール、エタノール、3−ブテン−2−オール及びN,N−ジメチルベンジルアミンの面積%はそれぞれ、9.0%、72.3%、10.5%、及び2.6%であった。
[実施例5]ジメチルベンジルアンモニウムトシラートの合成
Figure 2015218109
参考例4で得られた濃縮物のうちの111.2gに、エタノール(133.8mL)及びジメチルベンジルアミン(61.5g)を加え8時間還流した。
生成物をHPLCで分析したところ、面積%は原料のトシラートが0.3%、目的物のジメチルベンジルアンモニウムトシラートが44.1%、トルエンスルホン酸が44.4%、ジメチルベンジルアミンが7.1%であった。反応液をそのまま実施例6で使用した。
[実施例6]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
実施例5で得られたジメチルベンジルアンモニウムトシラートの反応液に、水酸化カリウム(34.7g)のエタノール(309.4mL)溶液を滴下した。滴下後氷冷し、生じた塩を濾過した。濾液を減圧下で濃縮した後、120〜130℃で加熱し、60.0〜10.9kPaにて留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集することで、88.3gの留分を得た。GCにて分析したところ、エタノール、3−ブテン−2−オール及びN,N−ジメチルベンジルアミンの面積%はそれぞれ、68.1、14.8%及び8.9%であった。また、GCによる定量分析の結果、留分中には3−ブテン−2−オールが9.6g含まれていた。
[参考例5]1,3−ブタンジオールのトシル化
Figure 2015218109
3Lの4つ口フラスコに、1,3−ブタンジオール(180.0g, 2.00mol)、トルエン(400mL)、トリエチルアミン(363.8g, 3.60mol)、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(2.4g)を加え、氷浴にて冷却した。塩化パラトルエンスルホニル(380.8g, 2.00mol)のトルエン(800mL)溶液を0〜8℃で3時間かけて滴下した後、室温に昇温し、2.5時間撹拌した。水(540mL)を加え分液後、有機層を4規定塩酸(540mL)、水(540mL)にて洗浄し、減圧濃縮することで457.2gの濃縮物を得た。HPLC分析でのトシラートとジトシラートの面積比は80 : 20であった。
[実施例7]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
500mLの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(39.1g、0.41mol)及びエタノール(50mL)を加え、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(79.0g)を滴下した。滴下後30分撹拌した後、参考例5で合成したトシラート(50.0g)のエタノール(50mL)溶液を滴下し、3時間還流しながら撹拌した後、1晩室温で放置した。水酸化ナトリウム(8.2g、0.2mol)のメタノール(36.0mL)溶液を滴下し、滴下後氷冷した。1時間撹拌後、濾過により塩を取り除き濾液を減圧濃縮した。濃縮物にテトラエチレングリコールジメチルエーテル(20mL)とキシレン(20mL)を加え、150℃の油浴で加熱し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集することで、37.6gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、3−ブテン−2−オールが6.0g含まれていた。
[実施例8]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
500mLの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(39.1g、0.41mol)及びエタノール(50mL)を加え、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(79.0g)を滴下した。滴下後1時間撹拌した後、参考例5で合成したトシラート(50.0g)のエタノール(50mL)溶液を滴下し、2時間還流しながら撹拌した。続いて、水酸化ナトリウム(8.2g、0.2mol)のメタノール(36.0mL)溶液を滴下し、滴下後氷冷した。1時間撹拌後、濾過により塩を取り除き濾液を減圧濃縮した。濃縮物を150℃の油浴で加熱し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集することで、50.5gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析し、メタノール、トリメチルアミン、エタノール、3−ブテン−2−オール、キシレンの面積%はそれぞれ、5.1%、10.8%、3.7%、14.3%、63.6%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、3−ブテン−2−オールが7.5g含まれていた。
[実施例9]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
500mLの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(39.1g、0.41mol)及びエタノール(50mL)を加え、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(79.0g)を滴下した。滴下後1時間撹拌した後、参考例5で合成したトシラート(50.0g)のエタノール(50mL)溶液を滴下し、2時間還流しながら撹拌した。続いて、水酸化ナトリウム(8.2g、0.2mol)のエタノール(81.9mL)溶液を滴下し、滴下後氷冷した。1時間撹拌後、濾過により塩を取り除き濾液を減圧濃縮した。濃縮物を150℃の油浴で加熱し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集することで、56.2gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析し、メタノール、トリメチルアミン、エタノール、3−ブテン−2−オール、キシレンの面積%はそれぞれ、3.6%、9.2%、5.9%、13.0%、65.7%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、3−ブテン−2−オールが8.3g含まれていた。
[実施例10]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
500mLの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(39.1g、0.41mol)及びエタノール(50mL)を加え、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(79.0g)を滴下した。滴下後1時間撹拌した後、参考例5で合成したトシラート(50.0g)のエタノール(50mL)溶液を滴下し、2時間還流しながら撹拌した。続いて、水酸化ナトリウム(8.2g、0.2mol)のエタノール(81.9mL)溶液を滴下し、滴下後氷冷した。1時間撹拌した後、濾過により塩を取り除き濾液を減圧濃縮した。150℃の油浴で加熱されたp−シメン(30mL)に、得られた濃縮物を1時間かけて滴下し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集し、64.8gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析し、メタノール、トリメチルアミン、エタノール、3−ブテン−2−オール、パラシメンの面積%はそれぞれ、0.1%、14.1%、45.9%、16.3%、18.0%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、3−ブテン−2−オールが8.8g含まれていた。
[実施例11]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
500mLの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(39.1g、0.41mol)及びエタノール(50mL)を加え、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(79.0g)を滴下した。滴下後1時間撹拌した後、参考例5で合成したトシラート(50.0g)のエタノール(50mL)溶液を滴下し、3時間還流しながら撹拌した。続いて、室温にて水酸化ナトリウム(8.2g、0.2mol)のエタノール(81.9mL)溶液を滴下し、滴下後氷冷した。1時間撹拌した後濾過により塩を取り除き濾液を減圧濃縮した。150℃の油浴で加熱された流動パラフィン(30mL)に得られた濃縮物を1.5時間かけて滴下し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら、13.3kPaまで減圧にして留出成分を捕集し、54.6gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析し、メタノール、トリメチルアミン、エタノール、3−ブテン−2−オールの面積%はそれぞれ、0.2%、14.7%、57.9%、21.9%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、3−ブテン−2−オールが8.9g含まれていた。
[実施例12]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
1Lの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(54.0g、0.56mol)及びメタノール(57.5mL)を加え、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(109.0g)を滴下した。滴下後30分撹拌した後、参考例5で合成したトシラート(115.0g)のメタノール(57.5mL)溶液を滴下し、3.5時間還流しながら撹拌した。室温まで冷却後、水酸化ナトリウム(18.8g、0.47mol)のメタノール(108.3mL)溶液を滴下し、滴下後氷冷した。1時間撹拌した後濾過により塩を取り除き濾液を減圧濃縮した。150℃の油浴で加熱された流動パラフィン(80mL)に、得られた濃縮物を2.5時間かけて滴下し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集し168.0gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析し、メタノール、トリメチルアミン、3−ブテン−2−オールの面積%はそれぞれ、53.0%、17.9%、20.5%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、3−ブテン−2−オールが21.2g含まれていた。
[実施例13]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
1Lの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(54.0g、0.56mol)とエタノール(57.5mL)を加え、20%ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(192.2g)を滴下した。滴下後30分撹拌した後、トシラート(115.0g)のエタノール(57.5mL)溶液を滴下し、2時間還流しながら撹拌した。室温まで冷却し一晩放置した後、水酸化カリウム(27.8g)のエタノール(105.3mL)溶液を滴下し、滴下後氷冷した。1時間撹拌した後、濾過により塩を取り除き濾液を減圧濃縮した。150℃の油浴で加熱された流動パラフィン(63.6mL)に濃縮物を3時間かけて滴下し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集し116.2gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、トリメチルアミン、エタノール、3−ブテン−2−オールの面積%はそれぞれ、17.0%、55.0%、21.5%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、3−ブテン−2−オールが20.4g含まれていた。
[実施例14]3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
2Lの4つ口フラスコに、1,3−ブタンジオール(100.0g, 1.11mol)、トルエン(200mL)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(1.4g、0.011mol)、及びトリエチルアミン(134.7g, 1.33mol)を加え、氷浴にて冷却した。塩化パラトルエンスルホニル(211.5g, 1.11mol)のトルエン(400mL)溶液を−2〜5℃で4時間かけて滴下し、滴下終了後室温に昇温し、4時間撹拌した。水(200mL)を加え分液後、有機層を2規定塩酸(200mL)、水(200mL)にて洗浄し、減圧濃縮することで257.8gの濃縮物を得た。HPLC分析でのトシラートとジトシラートの面積比は82 : 18であった。
続いて、2Lの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(123.0g、1.29mol)とエタノール(135.5mL)を加え、20%ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(438.0g)を滴下した。滴下後1時間撹拌した後、上記トシラートの濃縮物のエタノール(135.5mL)溶液を滴下し、3時間還流しながら撹拌した。室温まで冷却後、水酸化ナトリウム(44.4g、1.11mol)のエタノール(443.8mL)溶液を滴下し、滴下後氷冷した。1時間撹拌した後濾過により塩を取り除き、濾液を減圧濃縮した。150℃の油浴で加熱された流動パラフィン(150mL)に、濃縮物を5時間かけて滴下し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集し334.3gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、トリメチルアミン、3−ブテン−2−オールの面積%はそれぞれ、14.7%、59.2%、17.6%、であった。また、ガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、3−ブテン−2−オールが56.4g含まれており、1,3−ブタンジオールからの収率は70.5%であった。

[実施例15](R)−3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
続いて、1Lの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(61.5g,0.644mol)及びエタノール(65mL)を加え、室温にて20%ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(219g)を4分かけて滴下した。室温で1時間撹拌した後、上記で得られた反応濃縮物のエタノール(65mL)溶液を加え、80℃の油浴で加熱し3.5時間撹拌した。室温まで冷却した後、水酸化カリウム(32.6g)のエタノール(123.9mL)溶液を1時間かけて滴下した。滴下後4.5時間撹拌し、一晩放置した。−5℃にて1時間撹拌した後、濾過により生じた塩を除去し濾液を減圧濃縮した。150℃の油浴で加熱された流動パラフィン(75mL)に、上記濃縮物を3.5時間かけて滴下し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集し、26.7kPaまで減圧して留出成分を回収し、173.1gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、トリメチルアミン、エタノール、3−ブテン−2−オールの面積%はそれぞれ、14.6%、60.1%、19.0%、であった。またガスクロマトグラフィーで定量したところ、3−ブテン−2−オール(24.3g,0.336mol)が得られたことが分かった。(R)−1,3−ブタンジオールからの収率は60.6%であった。
[実施例16](R)−3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
続いて、1Lの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(61.5g,0.644mol)及びエタノール(65mL)を加え、室温にて20%ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(219g)を3分かけて滴下した。室温で1時間撹拌した後、上記で得られた反応濃縮物のエタノール(65mL)溶液を加えた。80℃の油浴で加熱しながら2時間撹拌した。室温まで冷却した後、水酸化カリウム(32.6g)のエタノール(123.9mL)溶液を1時間かけて滴下した。滴下後19時間撹拌し、0〜−3℃にて1時間撹拌した後、濾過により生じた塩を除去し、濾液を濃縮して濃縮物を得た。150℃の油浴で加熱された流動パラフィン(75mL)に、濃縮物を4.5時間かけて滴下し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集し、26.7kPaまで減圧して留出成分を回収し、185gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーで定量したところ、(R)−3−ブテン−2−オール(23.1g,0.320mol)が得られたことが分かった。(R)−1,3ブタンジオールからの収率は57.7%であった。
[実施例17](R)−3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
500mLの4つ口フラスコに、参考例1で得られた(R)−1,3−ブタンジオール(50.0g,0.555mol)、トルエン(100mL)、トリメチルアミン塩酸塩(0.53g、0.0056mol)及びトリエチルアミン(67.4g,0.666mol)を加え、冷却した。ここへ塩化パラトルエンスルホニル(111.1g,0.583mol)のトルエン(200mL)溶液を3時間かけて−6〜6℃で滴下した。1〜6℃で40分撹拌した後、室温にて1時間撹拌した。1規定塩酸(100mL)を加え分液後、有機層を水(100mL)で洗浄し、トルエンを留去して反応濃縮物(147.5g)を得た。HPLC分析でのトシラートとジトシラートの面積比は78:22であった。
続いて、1Lの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(61.5g,0.644mol)及びエタノール(65mL)を加え、室温にて20%ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(219g)を4分かけて滴下した。室温で15分撹拌した後、60℃に加熱し、反応濃縮物のエタノール(65mL)溶液を4時間かけて滴下し、3時間撹拌した。室温まで冷却した後、水酸化カリウム(32.6g)のエタノール(123.9mL)溶液を15分かけて滴下した。滴下後3時間撹拌し、一晩放置した。一晩放置後、さらに3時間撹拌し、冷却した。0〜−4℃にて1.5時間撹拌した後、濾過により生じた塩を除去し、濾液を減圧濃縮した。150℃の油浴で加熱された流動パラフィン(75mL)に、濃縮物を3時間かけて滴下し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集し、26.7kPaまで減圧して留出成分を回収し、158.3gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、トリメチルアミン、エタノール、3−ブテン−2−オールの面積%はそれぞれ、16.9%、55.0%、20.4%、であった。また、ガスクロマトグラフィーで定量したところ、(R)−3−ブテン−2−オール(23.8g, 0.330mol)が得られたことが分かった。(R)−1,3ブタンジオールからの収率は59.5%であった。
[実施例18](R)−3−ブテン−2−オールの合成
Figure 2015218109
1Lの4つ口フラスコに、(R)−1,3−ブタンジオール(58.7g,0.651mol)、トルエン(117mL)、トリメチルアミン塩酸塩(0.62g、0.0065mol)及びトリエチルアミン(79.1g,0.781mol)を加え、ここへ塩化パラトルエンスルホニル(130.3g,0.684mol)のトルエン(234mL)溶液を3時間かけて−6〜6℃で滴下し、1〜6℃で3時間撹拌した。1規定塩酸(117mL)を加え分液後、有機層を水(117mL)で洗浄し、トルエンを留去して反応濃縮物(153.1g)を得た。HPLC分析でのトシラートとジトシラートの面積比は81:19であった。
続いて、1Lの4つ口フラスコにトリメチルアミン塩酸塩(72.2g,0.755mol)及びエタノール(76mL)を加え、室温にて20%ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(257g)を50分かけて滴下した。続いて50℃に加熱し、反応濃縮物のエタノール(76mL)溶液を2時間かけて滴下し、4時間撹拌して一晩放置した。一晩放置した後、水酸化カリウム(38.3g)のエタノール(145.4mL)溶液を30分かけて滴下した。滴下後4時間撹拌し、0〜−4℃にて1.5時間撹拌した後、濾過により生じた塩を除去し、濾液を減圧濃縮した。150℃の油浴で加熱された流動パラフィン(88mL)に、濃縮物を2.5時間かけて滴下し、留出してくる成分をコンデンサーで冷却しながら捕集し、26.7kPaまで減圧して留出成分を回収し、199.7gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、トリメチルアミン、エタノール、3−ブテン−2−オールの面積%はそれぞれ、16.3%、56.7%、19.5%、であった。また、ガスクロマトグラフィーで定量したところ、(R)−3−ブテン−2−オール(29.4g, 0.411mol)が得られたことが分かった。(R)−1,3ブタンジオールからの収率は63.1%であった。
[実施例19]蒸留による(R)−3−ブテン−2−オールの精製
実施例15と実施例16で得られた留分を混合し、常圧にて20段のスルーザーを用いて、還留をかけながら90〜130℃に加熱して蒸留を行った。蒸留塔内に残ったものは、キシレン50.4gを加えて押し出した。
前留分として純度63.7%のフラクション0.6g、
中間留分として純度98.1〜99.9%のフラクション38.7g、
後留分として純度93.2%のフラクション0.9gを得た。
純度98.1〜99.9%のフラクションの光学純度を分析したところ、98.0%eeであった。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2015218109
    (式(1)中、R、R及びRは同一又は異なっていてもよく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、XはOH、HCO 、CO 2−、R(Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)、RCO (Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)、RSO (Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)及びハロゲン化物イオンを表し、XがCO 2−の場合にnは0.5を表し、XがCO 2−以外の場合にnは1を表す。*が付された炭素原子は不斉炭素原子であり、一般式(1)で表される化合物はラセミ体であっても光学活性体であってもよい。)
    で表されるアンモニウム塩化合物を、ホフマン脱離させることを特徴とする、下記式(2)
    Figure 2015218109
    (式(2)中、*が付された炭素原子は不斉炭素原子であり、式(2)で表される化合物はラセミ体であっても光学活性体であってもよい。)
    で表される3−ブテン−2−オールの製造方法。
  2. 下記一般式(1’)で表される化合物。
    Figure 2015218109
    (式(1’)中、R1’、R2’及びR3’は同一又は異なっていてもよく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、Xaは、RSO−(Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)を表す。*が付された炭素原子は不斉炭素原子であり、式(1’)で表される化合物はラセミ体であっても光学活性体であってもよい。)
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