上記特許文献1のコネクタの場合、上記操作レバーを倒すと、上記絶縁部材は上記短絡部材から弾力を受けるので、上記操作レバーが係止位置にロックされるに至っていないときにには上記短絡部材の弾力によって上記操作レバーが元の位置へ押し戻されるおそれがある。
上記特許文献2のプラグコネクタの場合、上記保証部材が上記第1位置から上記第2位置へ押されると、上記押圧部の上記嵌合側の先端が上記短絡部材の上記中途部を上記嵌合側へ押すので、上記保証部材が上記第2位置に至らず制御部により嵌合力を補強していないときには上記短絡部材の弾性復原力を受けて上記保証部材が上記第1位置へ押し戻され、上記保証部材による、上記プラグ部の上記相手側部材との嵌合力補強の機能が発揮されなくなるおそれがある。
本発明は、このような点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、上記問題を解決することができる電気コネクタを提供することにある。
本発明の第1の電気コネクタは、
反嵌合側へ凹む受入空間が形成されると共に嵌合方向と交差する方向へ凹む凹部が設けられた器具本体と、上記受入空間で嵌合側へ延びる二以上の導電部材とを有する器具に嵌合する電気コネクタであって、
上記受入空間に入ることになる頭部、および上記凹部に掛かることになる鉤が設けられた可撓性を有する固定側アームを有する第1部材と、
上記頭部に設けられ、上記頭部が上記受入空間に入ったときに上記導電部材にそれぞれ接触する二以上の電気端子と、
上記第1部材に設けられ、上記電気端子に弾性的に接触してこれらを短絡する短絡端子と、
上記第1部材に、第1位置と上記第1位置よりも上記嵌合側にある第2位置とをとるようにスライド自在に設けられ、上記第2位置にあるときに上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強する第2部材とを備え、
上記第2部材には、上記第2部材が上記第2位置にあるときに上記電気端子と上記短絡端子との間に割り込んでこれらの短絡を解除する解除片が設けられ、
上記短絡端子は、上記電気端子に接触する二以上の第1片と、上記第1片を接続する第2片とを有し、上記各第1片は、上記嵌合方向に向かうにつれて上記電気端子に寄るように上記嵌合方向に対して角度をもって傾斜して設けられていると共に、上記各第1片には、上記嵌合方向に向かうと途中に上記角度が減少する変曲部が設けられている電気コネクタである。
例えば磁界、電界などに誘引され、又はその他の原因により上記二以上の電気端子間に電圧が発生するおそれがあっても、上記短絡端子によって上記二以上の電気端子が短絡されているので、上記二以上の電気端子間に電圧が印加されるのを防止することができる。そして、例えば上記電気コネクタを上記嵌合方向に押すなどして上記第1部材の上記頭部を上記器具の上記受入空間に入れていくと、上記第1部材の上記固定側アームが撓むことで上記固定側アームの上記鉤が、上記器具本体の上記凹部よりも上記嵌合側の側壁を乗り越えて上記凹部に掛かる。そして、上記第2部材を上記嵌合方向に押すと、上記第1位置から上記第2位置へ進み、上記第2部材により上記第1部材と上記器具との嵌合力が補強されると共に、上記解除片が上記電気端子と上記短絡端子との間に割り込んで、それまで短絡されていた上記二以上の電気端子の短絡が解除される。その場合、上記第2部材が上記第1位置から上記第2位置へスライドするにしたがい、上記解除片が上記短絡端子の上記第1片の表面をなぞるように上記嵌合側へ進むが、上記各第1片は、上記嵌合方向に向かうにつれて上記電気端子に寄るように上記嵌合方向に対して角度をもって傾斜して設けられていると共に、上記各第1片には、上記嵌合方向に向かうと途中に上記角度が減少する上記変曲部が設けられているので、上記解除片の上記嵌合側の先端が上記各第1片の上記変曲部を越えると、上記解除片が上記第1片の弾性復元力により受ける上記反嵌合方向への力が減少することから、上記特許文献1の発明および上記特許文献2の発明に較べると、上記第2部材が上記第2位置に至らず上記第1部材と上記器具との嵌合力が補強されていないときに上記第2部材が上記第1位置へ押し戻される可能性が低くなり、上記第2部材が上記第2位置にきて上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強する機能が発揮されなくなるおそれが減る。
本発明の第2の電気コネクタは、上記第1の電気コネクタにおいて、
上記各第1片の上記変曲部よりも上記嵌合側には、上記解除片の上記嵌合側の先端が上記変曲部を越えると上記解除片に面接触する接触部が設けられ、
上記接触部が上記解除片に面接触したときの上記接触部と上記解除片との互いに接触する面は、いずれも上記奥行き方向に向いている電気コネクタである。
このようにすれば、上記解除片の上記嵌合側の先端が上記各第1片の上記変曲部を越えると、上記接触部が上記解除片に面接触し、互いに接触する面は、いずれも上記奥行き方向に向いているので、上記解除片が上記第1片の弾性復元力により受ける上記反嵌合方向への力が無くなることから、上記特許文献1の発明および上記特許文献2の発明に較べると、上記第2部材が上記第2位置に至らず上記第1部材と上記器具との嵌合力が補強されていないときに上記第2部材が上記第1位置へ押し戻される可能性がさらに低くなり、上記第2部材が上記第2位置にきて上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強する機能が発揮されなくなるおそれが、さらに減る。
本発明の第3の電気コネクタは、上記第1又は上記第2の電気コネクタにおいて、
上記器具本体に、上記嵌合方向と交差する方向へ凹む追加の凹部が設けられ、
上記第2部材には、上記第2部材が上記第2位置にあるときに上記追加の凹部に掛かることになる鉤が設けられた可撓性を有する移動側アームが設けられている電気コネクタである。
このようにすれば、上記第2部材が上記第2位置に至ると、上記移動側アームの上記鉤が上記追加の凹部に掛かり、これによって上記第1部材と上記器具との嵌合力が補強される。そして、上記第2部材が上記第2位置に至らず上記第1部材と上記器具との嵌合力が補強されていないときに上記第2部材が上記第1位置へ押し戻される可能性が低くなり、上記第2部材が上記第2位置にきて上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強する機能が発揮されなくなるおそれが減る。
本発明の第4の電気コネクタは、上記第1ないし上記第3のうちいずれか一つの電気コネクタにおいて、
上記第1部材の上記鉤が上記器具本体の上記凹部よりも上記嵌合側の側壁に当てがわれたときに、上記電気端子と上記導電部材との間に隙間が形成されている電気コネクタである。
このようにすれば、上記二以上の電気端子間に電圧が印加されるのを、さらに防止することができる。
本発明の第5の電気コネクタは、上記第1ないし上記第4のうちいずれか一つの電気コネクタにおいて、
上記二以上の電気端子が、インフレータのソケットに設けられた二以上のスクイブ端子にそれぞれ接続されることになる電気コネクタである。
上記電気コネクタの接続態様の一つとして、例えば上記電気コネクタを電線等の外部導体を介して他の電気コネクタに接続すると共に、上記他の電気コネクタを上記ソケットに嵌合するようにした態様がある。その場合、上記電気コネクタに上記短絡端子が備えられているので、上記他の電気コネクタには必ずしも短絡端子を設ける必要がなくなる。また、上記他の電気コネクタに短絡端子が設けられているときであっても、短絡端子による短絡が二箇所で行われるので、短絡処理が確実に行われることになる。
本発明の上記第1の電気コネクタは、上記第2部材が上記第1位置にあるときには、上記短絡端子により上記二以上の電気端子間に電圧が印加されるのを防止することができ、上記第2部材が上記第2位置へ進むと、上記第2部材により上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強することができると共に、上記解除片により、それまで短絡されていた上記二以上の電気端子の短絡を解除することができるが、上記短絡端子の上記各第1片には上記変曲部が設けられているので、上記特許文献1の発明および上記特許文献2の発明に較べると、上記第2部材が上記第2位置に至らず上記第1部材と上記器具との嵌合力が補強されていないときに上記第2部材が上記第1位置へ押し戻される可能性が低くなり、上記第2部材が上記第2位置にきて上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強する機能が発揮されなくなるおそれを減らすことができる。
本発明の上記第2の電気コネクタは、上記第1の電気コネクタにより得られる効果が得られることに加え、さらに、上記各第1片に上記接触部を設けたので、上記特許文献1の発明および上記特許文献2の発明に較べると、上記第2部材が上記第2位置に至らず上記第1部材と上記器具との嵌合力が補強されていないときに上記第2部材が上記第1位置へ押し戻される可能性がさらに低くなり、上記第2部材が上記第2位置にきて上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強する機能が発揮されなくなるおそれを、さらに減らすことができる。
本発明の上記第3の電気コネクタは、上記第1又は上記第2の電気コネクタにより得られる効果が得られることに加え、さらに、上記第2部材に上記鉤を有する上記移動側アームを設けたので、これによって上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強することができると共に、上記第2部材が上記第2位置に至らず上記第1部材と上記器具との嵌合力が補強されていないときに上記第2部材が上記第1位置へ押し戻される可能性が低くなり、上記第2部材が上記第2位置にきて上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強する機能が発揮されなくなるおそれを、さらに減らすことができる。
本発明の上記第4の電気コネクタは、上記第1ないし上記第3のうちいずれか一つの電気コネクタより得られる効果が得られることに加え、さらに、上記第1部材の上記鉤が上記器具本体の上記凹部よりも上記嵌合側の上記側壁に当てがわれたときに、上記電気端子と上記導電部材との間に隙間が形成されるようにしたので、上記二以上の電気端子間に電圧が印加されるのを、さらに防止することができる。
本発明の上記第5の電気コネクタは、上記第1ないし上記第4のうちいずれか一つの電気コネクタにより得られる効果が得られることに加え、さらに、上記二以上の電気端子が、インフレータのソケットに設けられた二以上のスクイブ端子にそれぞれ接続されることになるようにしたので、上記電気コネクタの接続態様の一つとして、例えば上記電気コネクタを電線等の外部導体を介して他の電気コネクタに接続すると共に、上記他の電気コネクタを上記スクイブ端子に嵌合するようにした態様の場合、上記電気端子に上記短絡端子が備えられているので、上記他の電気コネクタには必ずしも短絡端子を設ける必要がなくなる。また、上記他の電気コネクタに短絡端子が設けられているときであっても、短絡端子による短絡が二箇所で行われるので、短絡処理を確実に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図5は、本発明の電気コネクタの一つの実施形態の電気コネクタ100を示す。また、図6ないし図8は、上記電気コネクタ100が嵌合する器具200を示す。このように嵌合することになる上記電気コネクタ100および上記器具200において、一方における他方に対して嵌合する側を嵌合側とし、その反対側を反嵌合側とする。また、上記電気コネクタ100および上記器具200を嵌合させる方向を嵌合方向といい、それと反対の方向を反嵌合方向という。以下、部材又は部分に対して単に上記嵌合側又は上記反嵌合側というときは、その部材又は部分が上記電気コネクタ100に設けられているときは当該電気コネクタ100の上記嵌合側又は上記反嵌合側と同一であり、その部材又は部分が上記器具200に設けられているときは当該器具200の上記嵌合側又は上記反嵌合側と同一である。また、上記嵌合方向に直交する方向を幅方向とし、上記嵌合方向および上記幅方向に直交する方向を奥行き方向とする。図3を符号が正しく読める向きに置くと、上記嵌合方向は図の下へ向かう方向であり、上記幅方向は図の左右方向であり、上記奥行き方向は図の紙面に直交する方向である。図4を符号が正しく読める向きに置くと、上記奥行き方向の手前側は図の上側であり、奥側は図の下側である。
上記器具200は、上記電気コネクタ100と嵌合して、上記電気コネクタ100の後述する電気端子120を、上記器具200に接続された例えば電線又はその他の外部導電部材に接続するための電気コネクタである。図6ないし図8に示すように、上記器具200は、器具本体210と、上記器具本体210に設けられた二以上の導電部材220とを備えている。上記器具本体210は、直方体状に形成されているが、これに限らず、例えば円柱状、又はその他の形状に形成されていてもよい。上記器具本体210には、その上記嵌合側の面から上記反嵌合側へ凹む受入空間211が形成されている。上記器具本体210には、上記嵌合方向と交差する方向へ凹む凹部213が設けられている。この実施形態の場合、上記凹部213は、上記幅方向の外方へ凹んでいる。上記外方は、上記受入空間211の央部から離れる方向である。上記凹部は、例えば上記奥行き方向、又はその他の方向に凹んでいてもよい。上記凹部213は、上記器具本体210における上記受入空間211を構成する側壁212に形成されている。上記側壁212は、上記反嵌合側から上記嵌合側へ立ち上がっている。図20は、第1の変形例に係る電気コネクタ100を示し、図21は上記電気コネクタ100が嵌合することになる器具200を示す。この器具200の場合、上記凹部213は、上記器具本体210の部品として上記受入空間211に嵌まったリテーナ215の側壁215aに形成されている。上記側壁215aは、上記器具本体210の上記側壁212よりも上記内方において上記反嵌合側から上記嵌合側へ立ち上がっている。上記凹部213は、上記幅方向の内方へ凹んでいる。上記内方は、上記受入空間211の央部に近づく方向である。この場合も、上記凹部は、例えば上記奥行き方向、又はその他の方向に凹んでいてもよい。上記二以上の導電部材220は、導電性材料により形成されて上記受入空間211において上記嵌合側へ延びている。上記導電部材220は棒状に形成されたピンであり、上記器具本体210において上記受入空間211を構成する底壁214から上記嵌合方向に立ち上がっており、上記受入空間211で上記嵌合側へ延びているが、上記導電部材の形状は上記棒状に限定解釈されることはなく、板状又はその他の形状に形成されていてもよい。上記導電部材は雄形であるが、雌形であってもよく、そのときには例えば筒状、又はその他の形状に形成されることになる。この実施形態の場合、電気回路の開閉などに関与する一組の上記導電部材220が二組、設けられている。ここでは上記導電部材220が二つで一組になっているが、上記導電部材が三つ以上で一組になっていてもよい。しかし、本発明の対象となる上記器具では、二つ以上の上記導電部材で構成された上記導電部材の組を一組以上、備えていて、上記各組の上記導電部材が電気回路の開閉などにそれぞれ関与しておればよい。しかし、上記器具は、このような電気コネクタに限定解釈されることはなく、上記器具には、例えば後述するインフレータ500又はその他の装置が含まれる。要するに、上記反嵌合側へ凹む上記受入空間が形成されると共に上記嵌合方向と交差する方向へ凹む上記凹部が設けられた上記器具本体と、上記受入空間で上記嵌合側へ延びる二以上の上記導電部材とを備えた器具であれば、本発明の上記電気コネクタが嵌合する相手として対象になる。
図5に示すように、上記電気コネクタ100は、第1部材110と、上記第1部材110に設けられた二以上の電気端子120と、上記第1部材110に設けられた短絡端子130と、上記第1部材110に設けられた第2部材140とを備えている。
上記第1部材110は、ハウジング110Aと、上記ハウジング110Aに被さって蓋をするカバー110Bとに分割され、これらを組み合わせることで上記第1部材110が構成されているが、上記第1部材を、このように分割せずに一体的に設けてもよい。上記第1部材110は、上記受入空間に入ることになる頭部111と、上記凹部213に掛かることになる鉤112aが設けられた可撓性を有する固定側アーム112とを備えている。この実施形態の場合、上記固定側アーム112は、上記第1部材110の上記幅方向両側に設けられているが、上記第1部材の例えば上記奥行き方向の両側、又はその他の部位に設けられていてもよく、また上記固定側アームは一本だけ設けてもよいし、三本以上設けてもよい。上記固定側アーム112は、上記第1部材110から上記嵌合方向へ延びているが、反対に上記第1部材から上記反嵌合方向へ延びていてもよい。上記鉤112aは上記固定側アームの外方へ、つまり上記受入空間211の央部から離れる方向へ突出している。しかし、上記第1の変形例に係る電気コネクタ100に対応する器具200の場合、図20に示すように、上記鉤112aを上記固定側アーム112の内方へ、つまり上記受入空間211の央部に近づく方向へ突出させてもよい。
図5に示すように、上記電気端子120は、導電性材料により形成されて上記頭部111に設けられている。そして、上記電気端子120は、上記頭部111が上記受入空間211に入ったときに上記導電部材220にそれぞれ接触するようになっている。上記電気端子120は、上記導電部材220の数に応じた数だけ設けられている。したがって、この実施形態の場合、二組の上記電気端子120が設けられており、上記各組の導電部材220に対応して二つの上記電気端子120がそれぞれ設けられている。上記電気端子120は、接触部121と、接続部122とを備えている。上記電気端子120は板状物により形成されているが、他の形態の材料で形成してもよい。上記接触部121は上記電気端子120の上記嵌合側に設けられているが、上記電気端子の例えば上記反嵌合側又はその他の部位に設けられていてもよい。そして、少なくとも上記電気コネクタ100が上記器具200に嵌合したときに、上記頭部111が上記受入空間211に入って上記接触部121が上記導電部材220に接触するように構成されている。上記導電部材220が雄形で棒状に形成されているので、上記電気端子120の上記接触部121は、この上記導電部材220が嵌まるように雌形で筒状に形成されている。これとは逆に上記導電部材を雌形にして筒状、又はその他の形状に形成すると共に、上記電気端子の上記接触部を雄形にして棒状、又はその他の形状に形成してもよい。上記接続部122は、上記外部導体300との接続構造を備えている。この実施形態の場合、上記外部導体300は、芯線と、この芯線を被覆する絶縁被覆とを備えた電線であるので、上記接続構造はワイヤーバレル、およびインシュレーションバレルにより構成されている。上記ワイヤーバレルは、上記電気端子120における板幅方向から立ち上がる圧着片であり、上記外部導体300の終端から露出する芯線をかしめる。上記インシュレーションバレルは、上記電気端子120における上記ワイヤーバレルに対して上記接触部121から遠い側で上記電気端子120の板幅方向から立ち上がる圧着片であり、上記外部導体300の終端の上記絶縁被覆をかしめる。また、上記接続構造は、例えば上記外部導体を圧接するための構造、上記外部導体をピアシングするための構造、上記外部導体をハンダ付けするための構造、又はその他の構造であってもよい。また、上記外部導体は、上記電線の他にも例えばシールドケーブル又はその要素を含み、また例えばFFC(フレキシブルフラットケーブル)などの平形柔軟ケーブル又はその要素を含み、さらに、その他の導電体を備えた導電手段を含んでいる。この実施形態の場合、上記接触部121が上記頭部111の内部に装着され、上記接続部122が第1部材110の本体の内部に装着されるので、上記接触部121が上記頭部111の長手方向である上記嵌合方向へ延び、上記接続部122が上記第1部材110の上記本体の長手方向である上記奥行き方向に沿って延びていて、上記電気端子120がL字状に形成されているが、上記電気端子は例えばI字状、V字状、又はその他の形状に形成されていてもよい。上記電気端子は上記接続部を備えていない実施形態を含んでいる。そのなかには、例えば非接触で外部との間で導通を行う上記電気端子の実施形態などがある。
図11ないし図14に示すように、上記短絡端子130は、弾性を有する導電性材料により形成されて、上記第1部材110に設けられている。上記短絡端子130は、上記電気端子120の上記組の数に応じた数だけ設けられている。したがって、この実施形態の場合、二つの上記短絡端子130が設けられている。上記短絡端子130は、それが対応する一組の上記電気端子120に弾性的に接触してこれらを短絡している。この実施形態の場合、上記短絡端子130は、上記電気端子120の上記接触部121に接触するようにしているが、上記電気端子の他の部位に接触するようにしてもよい。また、上記電気端子120の上記接触部121に対して上記短絡端子130が上記奥行き方向の手前側に配置されているが、これによって上記電気端子又はその上記接触部に対する上記短絡端子の相対位置が限定解釈されることはなく、上記嵌合方向からみて上記電気端子又はその上記接触部と上記短絡端子とが隣接しておればよい。
図5に示すように、上記第2部材140は、上記第1部材110に、第1位置と上記第1位置よりも上記嵌合側にある第2位置とをとるようにスライド自在に設けられ、上記第2位置にあるときに上記第1部材110と上記器具200との嵌合力を補強するように構成されている。この実施形態の場合、上記第1部材110に、上記嵌合方向へ延びると共に少なくとも上記反嵌合側に開口する孔113が設けられている。また、上記第2部材140に、その本体から上記嵌合方向へ延びる棒141が設けられ、上記棒141が上記孔113にスライド自在に嵌まることで、上記第2部材140は、上記第1部材110に、上記第1位置と上記第2位置とをとるようになっている。逆に、上記第2部材に上記反嵌合方向へ延びると共に少なくとも上記嵌合側に開口する孔を設け、上記第1部材に、その本体から上記反嵌合方向へ延びる棒を設け、上記棒が上記孔にスライド自在に嵌まることで、上記第2部材を上記第1部材に、上記第1位置と上記第2位置とをとるようにスライド自在に設けてもよい。また、例えば上記第1部材および上記第2部材のうちいずれか一方に上記嵌合方向に沿って延びる溝を設けると共に、他方に上記溝に嵌まる突起を設けることにより、又はその他の構造により、上記第2部材を、上記第1部材に、第1位置と上記第1位置よりも上記嵌合側にある第2位置とをとるようにスライド自在に設けてもよい。
図3、図5、図15ないし図19に示すように、上記第2部材140には、上記第2部材140が上記第2位置にあるときに上記電気端子120と上記短絡端子130との間に割り込んでこれらの短絡を解除する解除片142が設けられている。この実施形態の場合、上記解除片142は上記一組の電気端子120および、それに対応する上記短絡端子130に対して一つずつ設けられているが、複数の上記解除片142が連結され、又は一体的に設けられていてもよい。上記解除片142は、上記第2部材140の本体から上記嵌合側へ延びている。上記解除片142は、上記奥行き方向に向いた板状部材である。これは図15ないし図19に示すように、上記電気端子120の上記接触部121に対して上記短絡端子130が上記奥行き方向の手前側に配置されていて、上記電気端子120の上記接触部121と上記短絡端子130との間の隙間が上記幅方向および上記嵌合方向に沿って広がっているからである。よって、上記解除片の向きは、上記電気端子又はその上記接触部と上記短絡端子との相対位置関係によって変わることがある。
上記短絡端子130は、上記電気端子120に接触する二以上の第1片131と、上記第1片131を接続する第2片132とを有している。この場合、短絡する対象になる上記電気端子120の数に応じた数の第1片131が設けられている。これらの第1片131は、上記奥行き方向又はその他の、上記嵌合方向に直交する方向にみて平行に配置され、上記各第1片131の上記反嵌合側の一端が上記第2片132にそれぞれ接続されている。しかし、上記第1片は上記嵌合方向に直交する方向にみて平行ではなく角度をなして配置されていてもよく、また上記第1片が両端において上記第2片、又はその他の部材に接続されていてもよい。さらに、上記複数の第1片の間に上記第2片が配置されていてもよく、それには上記第1片および上記第2片が一体的に設けられて全体として板状に形成されている場合が含まれる。このように上記複数の第1片が上記嵌合方向に沿った中途部又は全体で連結されているときには、上記複数の第1片が連動して弾性変形するので、上記解除片は上記一組の電気端子および、それに対応する上記短絡端子において、一部の上記電気端子および、それに対応する上記短絡端子に対してのみ設けてもよい。図5、図11ないし図19に示すように、上記短絡端子130は、板材を面が向かい合うようにU字状に曲げることで形成されており、その一方側の片が上記第1片131になり、他方側の片が第2片132になっている。そして、上記短絡端子130を上記第1部材110の内部に逆U字状になるように配置して、上記第2片132を上記第1部材110の溝に圧入することで、上記短絡端子130が上記第1部材110に取り付けられている。この実施形態の場合、二以上の上記第1片131が上記第2片132により接続されていると共に、上記第2片132が上記短絡端子130を上記第1部材110に取り付けるための部材として機能しているが、上記短絡端子の上記第1部材への取り付けは、上記第2片によらずに、例えば第1片の一部を上記第1部材に取り付けるなどの他の構成によってもよい。そして、上記各第1片131は、上記嵌合方向に向かうにつれて上記電気端子120に寄るように上記嵌合方向に対して角度をもって傾斜して設けられている。上記各第1片131には、上記嵌合方向に向かうと途中に上記角度が減少する変曲部131aが設けられている。この変曲部131aは、上記第1片131の上記部位に板幅方向からみてV字状になる部分を形成することで設けられているが、上記部位に板幅方向からみてU字状になる部分を形成することで設けてもよい。上記各第1片131の上記嵌合側の端部には接点131cが形成されている。この実施形態の場合、接触する部位が確定されやすくなるように、板幅方向からみてU字状になる部分を形成することで上記接点131cを設けているが、このように特定の形状で接点を形成せずに例えば上記各第1片の上記嵌合側の端部又はその他の部位が接点になるようにしてもよい。
図11などに示すように、上記各第1片131の上記変曲部131aよりも上記嵌合側には、上記解除片142の上記嵌合側の先端142aが上記変曲部131aを越えると上記解除片142に面接触する接触部131bが設けられている。図19は、上記接触部131bが上記解除片142に面接触した状態を示している。同図に示すように、上記接触部131bが上記解除片142に面接触したときの上記接触部131bと上記解除片142との互いに接触する面は、いずれも上記嵌合方向と直交する方向に向いている。この実施形態では、上記第1片131に対して上記解除片142が上記奥行き方向の奥側に配置されているので、これらの上記互いに接触する面は、いずれも上記奥行き方向に向いているが、上記互いに接触する面は、上記第1片および上記解除片の相対位置関係により、例えば上記幅方向又はその他の、上記嵌合方向と直交する方向に向くことになる。また、上記互いに接触する面は、いずれも上記嵌合方向と直交する方向に対して上記嵌合側又は上記反嵌合側に傾いていてもよい。
上記器具本体210には、上記嵌合方向と交差する方向へ凹む追加の凹部216が設けられている。この実施形態の場合、上記追加の凹部216は、上記幅方向の外方へ、つまり上記受入空間211の央部から離れる方向へ凹んでいる。上記追加の凹部は、例えば上記奥行き方向、又はその他の方向に凹んでいてもよい。上記追加の凹部216は、上記器具本体210における上記受入空間211を構成する上記側壁212に形成されている。図20に示した上記第1の変形例の場合には、上記固定側アーム112のための凹部213と同様に、上記追加の凹部216は、上記リテーナ215の上記側壁215aに形成してもよい。そうしたときには、上記追加の凹部216は、上記幅方向の内方へ、つまり上記受入空間211の央部に近づく方向へ凹んでいる。この場合も、上記追加の凹部は、例えば上記奥行き方向、又はその他の方向に凹んでいてもよい。上記追加の凹部216は、上記固定側アーム112のための凹部213と一連に設けられているが、別々に設けてもよい。また、上記第2部材140には、上記第2部材140が上記第2位置にあるときに上記追加の凹部216に掛かることになる鉤143aが設けられた可撓性を有する移動側アーム143が設けられている。この実施形態の場合、上記移動側アーム143は、上記第2部材140の上記幅方向両側に設けられているが、上記第2部材の例えば上記奥行き方向の両側、又はその他の部位に設けられていてもよく、また上記移動側アームは一本だけ設けてもよいし、三本以上設けてもよい。上記移動側アーム143は、上記第2部材140から上記嵌合方向へ延びているが、反対に上記第2部材から上記反嵌合方向へ延びていてもよい。上記鉤143aは上記移動側アーム143の外方へ、つまり上記受入空間211の央部から離れる方向へ突出している。しかし、上記第1の変形例に係る電気コネクタ100に対応する器具200の場合、図20に示すように、上記鉤143aを上記移動側アーム143の内方へ、つまり上記受入空間211の央部に近づく方向へ突出させてもよい。このように上記第2部材140が上記第2位置にくると上記移動側アーム143の鉤143aが上記器具本体210の上記追加の凹部216に掛かるようにすることで、上記第2部材140が上記第2位置にあるときに上記第1部材110と上記器具200との嵌合力を補強するように構成している。上記電気コネクタ100の第2の変形例として、例えば上記第2部材に、上記嵌合方向に延びる棒状の制御部材を設け、上記第2部材が上記第2位置にくると上記制御部材を上記固定側アームの上記鉤が設けられた側と反対側に位置づけて、上記固定アームが撓むことを抑制して上記鉤が上記器具本体の上記凹部から外れることを阻止するようにすることで、上記第2部材が上記第2位置にあるときに上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強するように構成してもよい。さらに、上記移動側アーム143には、外方へ、つまり上記受入空間211の央部から離れる方向へ突出するストッパ143bが設けられている。また、上記固定側アーム112には、内方へ、つまり上記受入空間211の央部に近づく方向へ突出するストッパ112bが設けられている。そして、図15に示すように、上記移動側アーム143の上記ストッパ143bが上記固定側アーム112の上記ストッパ112bに対して上記反嵌合側から当たっている。そして、図17から図18に示すように、上記移動側アーム143の上記鉤143aが上記器具本体210の上記凹部213よりも上記嵌合側の上記側壁212を乗り越えると上記移動側アーム143が上記内方へ撓んで上記移動側アーム143の上記ストッパ143bが上記固定側アーム112の上記ストッパ112bから上記内方へ外れるように構成されている。よって、図15ないし図19に示すように、上記第2部材140を上記嵌合側へ押すと、その押し込み力が上記移動側アーム143の上記ストッパ143bから上記固定側アーム112の上記ストッパ112bへ伝達され、それによって上記第1部材110の上記頭部111が上記器具200の上記受入空間211に入っていき、上記第1部材110の上記固定側アーム112が撓むことで上記固定側アーム112の上記鉤112aが、上記器具本体210の上記凹部213よりも上記嵌合側の上記側壁212を乗り越えて上記凹部213に掛かり、上記移動側アーム143の上記鉤143aが上記器具本体210の上記凹部213よりも上記嵌合側の上記側壁212を乗り越えると上記移動側アーム143の上記ストッパ143bが上記固定側アーム112の上記ストッパ112bから上記内方へ外れ、それによって上記第2部材140が上記第1位置から上記第2位置へ進むことができるようになる。互いに当たる上記固定側アーム112の上記ストッパ112bの接触面、および上記移動側アーム143の上記ストッパ143bの接触面は、いずれも上記内方へ向かうにつれて上記反嵌合側へ寄るように傾斜しており、上記固定側アーム112の上記鉤112aが、上記器具本体210の上記凹部213よりも上記嵌合側の上記側壁212を乗り越えて上記凹部213に掛かり、上記固定側アーム112が上記外方へ復原したときに、上記第2部材140を若干上記反嵌合側へ戻すようにしている(図16から図17を参照)。しかし、本発明は、このような傾斜を設けない上記ストッパを備えた実施形態を含んでいる。本発明の電気コネクタは、上記固定側アームの上記ストッパ、および上記移動側アームの上記ストッパを設けない実施形態を含んでいる。
図15に示すように、上記第1部材110の上記鉤112aが上記器具本体210の上記凹部213よりも上記嵌合側の上記側壁212に当てがわれたときに、上記電気端子120と上記導電部材220との間に隙間が形成されている。上記第1の変形例に係る電気コネクタ100のときには、上記第1部材110の上記鉤112aが上記器具本体210の上記凹部213よりも上記嵌合側の上記側壁215aに当てがわれたときに、上記電気端子120と上記導電部材220との間に隙間が形成されている。
本発明の電気コネクタは、インフレータに接続されることがある。すなわち、本発明の電気コネクタの上記二以上の電気端子が、インフレータのソケットに設けられた二以上のスクイブ端子にそれぞれ接続される場合である。図22に、その場合の一つの実施形態を示す。上記一組の外部導体300の一方の終端は上記電気コネクタ100の上記一組の電気端子120に接続されているが、他方の終端は、他の電気コネクタ400の一組の電気端子420に接続されている。上記他の電気コネクタ400は、エアバッグを膨らませる装置であるインフレータ500のソケット511に嵌合する。上記他の電気コネクタ400および上記インフレータ500における嵌合側および反嵌合側、嵌合方向および反嵌合方向、幅方向および奥行き方向は、上記電気コネクタ100および上記器具200における上記嵌合側および上記反嵌合側、上記嵌合方向および上記反嵌合方向、上記幅方向および上記奥行き方向と同様の定義付けとする。上記インフレータ500は、インフレータハウジング510と、スクイブ520と、リテーナ530とを備えている。
上記インフレータハウジング510には、上記嵌合側の表面から上記反嵌合側に向かって凹む上記ソケット511が設けられている。
上記スクイブ520の上記嵌合側には、上記嵌合側に向かって立ち上がる棒状の一組のスクイブ端子521が設けられている。上記スクイブ520に上記一組のスクイブ端子521を介して電流を流すと、その電気エネルギを受けて上記スクイブ520が発熱する。例えば接地の取り方などにより、上記スクイブ端子が単極になることがあるし、三極以上になることもある。上記スクイブ520の周囲には点火剤およびガス発生剤が配設される。上記インフレータハウジング510の上記反嵌合側には収縮したエアバッグが納められる。よって、スクイブ520が電気エネルギを受けて発熱すると上記点火剤が点火し、これによってガス発生剤がガスを発生し、このガスが上記エアバッグを展開させるようになっている。
上記リテーナ530は、外形が上記ソケット511の内部空間に対応する形状に形成されている。上記リテーナ530は、内部に、上記嵌合方向に貫通して上記反嵌合側から上記スクイブ端子521を導入する空洞が形成されるように設けられている。上記リテーナ530は上記ソケット511に装着されている。上記リテーナ530と上記ソケット511との係合力を確保するため、上記リテーナ530の外周壁に突起531が設けられ、この突起531が、上記ソケット511を構成する側壁511aから外側へ凹ませて設けられた溝511bに嵌まっている。
上記他の電気コネクタ400は、ハウジング410と、上記電気端子420と、ロック部材とを備えている。上記ハウジング410は、ハウジング本体411と、上記ハウジング本体411に設けられると共に上記リテーナ530に嵌合することになる嵌合部412と、上記嵌合部412が上記リテーナ530へ嵌合するときに弾性変形して上記リテーナ530の側壁532を乗り越えてから復原して上記側壁532よりも上記反嵌合側に設けられた凹部533に係合する鉤413aを有する係合部材413とを備えている。上記一組の電気端子420における上記電気端子420の数は、上記外部導体300の数に対応している。上記電気端子420は、上記ハウジング410の上記嵌合部412が上記リテーナ530に嵌合したときに上記スクイブ端子521に接触することになる接触部421と、上記ハウジング本体411に導入された上記外部導体300に接続された接続部422とを有して上記ハウジング410に設けられている。図示していないが、上記ロック部材は、上記ハウジング410に、第1位置と上記第1位置よりも上記嵌合側にある第2位置とをとるようにスライド自在に設けられ、上記第2位置にあるときに上記ハウジング410と上記インフレータ500との嵌合力を補強するように構成されている。上記ロック部材には、上記ロック部材が上記第2位置にあるときに上記溝511b又は上記凹部533に掛かることになる鉤が設けられた可撓性を有する移動側アームが設けられている。このように上記第ロックが上記第2位置にくると上記移動側アームの鉤が上記溝511b又は上記凹部533に掛かるようにすることで、上記ロックが上記第2位置にあるときに上記ハウジング410と上記インフレータ500との嵌合力を補強するように構成している。この変形例として、例えば上記ロック部材に、上記嵌合方向に延びる棒状の制御部材を設け、上記ロック部材が上記第2位置にくると上記制御部材を上記係合部材413の上記鉤413aが設けられた側と反対側に位置づけて、上記係合部材413が撓むことを抑制して上記鉤413aが上記凹部533から外れることを阻止するようにすることで、上記ロック部材が上記第2位置にあるときに上記ハウジングと上記インフレータとの嵌合力を補強するように構成してもよい。そして、上記他の電気コネクタ400には、上記電気端子420を短絡する短絡端子は設けられていないが、このような短絡端子を設けてもよい。上記他の電気コネクタの変形例として、上記ロック部材が設けられていない上記他の電気コネクタがある。また、上記インフレータの変形例として、上記リテーナが設けられていないインフレータがある。その場合、上記他の電気コネクタの上記係合部材の上記鉤は、上記ソケット511の上記溝511bに掛かるように設けられる。
したがって、上記実施形態およびその変形例の電気コネクタ100においては、例えば磁界、電界などに誘引され、又はその他の原因により上記二以上の電気端子120の間に電圧が発生するおそれがあっても、上記短絡端子130によって上記二以上の電気端子120が短絡されているので、上記二以上の電気端子120の間に電圧が印加されるのを防止することができる。そして、図15ないし図17に示すように、例えば上記電気コネクタ100を上記嵌合方向に押すなどして上記第1部材110の上記頭部111を上記器具200の上記受入空間211に入れていくと、上記第1部材110の上記固定側アーム112が撓むことで上記固定側アーム112の上記鉤112aが、上記器具本体210の上記凹部213よりも上記嵌合側の上記側壁212を乗り越えて上記凹部213に掛かる。そして、図17ないし図19に示すように、上記第2部材140を上記嵌合方向に押すと、上記第1位置から上記第2位置へ進み、上記第2部材140により上記第1部材110と上記器具200との嵌合力が補強されると共に、上記解除片142が上記電気端子120と上記短絡端子130との間に割り込んで、それまで短絡されていた上記二以上の電気端子120の短絡が解除される。その場合、上記第2部材140が上記第1位置から上記第2位置へスライドするにしたがい、上記解除片142が上記短絡端子130の上記第1片131の表面をなぞるように上記嵌合側へ進むが、上記各第1片131は、上記嵌合方向に向かうにつれて上記電気端子120に寄るように上記嵌合方向に対して角度をもって傾斜して設けられていると共に、上記各第1片131には、上記嵌合方向に向かうと途中に上記角度が減少する上記変曲部131aが設けられているので、上記解除片142の上記嵌合側の先端142aが上記各第1片131の上記変曲部131aを越えると、上記解除片142が上記第1片131の弾性復元力により受ける上記反嵌合方向への力が減少することから、上記特許文献1の発明および上記特許文献2の発明に較べると、上記第2部材140が上記第2位置に至らず上記第1部材110と上記器具200との嵌合力が補強されていないときに上記第2部材140が上記第1位置へ押し戻される可能性が低くなり、上記第2部材140が上記第2位置にきて上記第1部材110と上記器具200との嵌合力を補強する機能が発揮されなくなるおそれを減らすことができる。
本発明の電気コネクタは、上記解除片又は上記第1片に面接触する部位を設けずに、上記解除片と上記第1片とが線接触又は点接触するように構成した実施形態を含んでいる。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態、および上記変形例の電気コネクタ100の場合、上記各第1片131の上記変曲部131aよりも上記嵌合側には、上記解除片142の上記嵌合側の先端142aが上記変曲部131aを越えると上記解除片142に面接触する上記接触部131bが設けられ、上記接触部131bが上記解除片142に面接触したときの上記接触部131bと上記解除片142との互いに接触する面は、いずれも上記嵌合方向と直交する方向に向いている。このようにすれば、上記解除片142の上記嵌合側の先端142aが上記各第1片131の上記変曲部131aを越えると、上記接触部131bが上記解除片142に面接触し、互いに接触する面は、いずれも上記奥行き方向に向いているので、上記解除片142が上記第1片131の弾性復元力により受ける上記反嵌合方向への力が無くなることから、上記特許文献1の発明および上記特許文献2の発明に較べると、上記第2部材140が上記第2位置に至らず上記第1部材110と上記器具200との嵌合力が補強されていないときに上記第2部材140が上記第1位置へ押し戻される可能性がさらに低くなり、上記第2部材140が上記第2位置にきて上記第1部材110と上記器具200との嵌合力を補強する機能が発揮されなくなるおそれを、さらに減らすことができる。
本発明の電気コネクタは、上記第2部材が上記第2位置にあるときに上記第1部材と上記器具との嵌合力を補強するための構成を限定するものではなく、そのような構成の一つとして、例えば上記第2の変形例を挙げた。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態、および上記変形例の電気コネクタ100の場合、上記器具本体210に、上記嵌合方向と交差する方向へ凹む上記追加の凹部216が設けられ、上記第2部材140には、上記第2部材140が上記第2位置にあるときに上記追加の凹部216に掛かることになる上記鉤143aが設けられた可撓性を有する上記移動側アーム143が設けられている。このようにすれば、上記第2部材140が上記第2位置に至ると、上記移動側アーム143の上記鉤143aが上記追加の凹部216に掛かり、これによって上記第1部材110と上記器具200との嵌合力を補強することができる。そして、上記第2部材140が上記第2位置に至らず上記第1部材110と上記器具200との嵌合力が補強されていないときに上記第2部材140が上記第1位置へ押し戻される可能性が低くなり、上記第2部材140が上記第2位置にきて上記第1部材110と上記器具200との嵌合力を補強する機能が発揮されなくなるおそれを、さらに減らすことができる。
本発明の電気コネクタは、上記第1部材の上記鉤が上記器具本体の上記凹部よりも上記嵌合側の側壁に当てがわれたときの上記電気端子と上記導電部材との相対位置関係を限定するものではない。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態、および上記変形例の電気コネクタ100の場合、上記第1部材110の上記鉤112aが上記器具本体210の上記凹部213よりも上記嵌合側の上記側壁212に当てがわれたときに、上記電気端子120と上記導電部材220との間に隙間が形成されている。このようにすれば、上記二以上の電気端子120の間に電圧が印加されるのを、さらに防止することができる。
本発明の電気コネクタは、上記電気端子の接続先が限定解釈されることはない。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態、および上記変形例の電気コネクタ100の場合、上記二以上の電気端子120が、上記インフレータ500の上記ソケット511に設けられた上記二以上のスクイブ端子521にそれぞれ接続される。上記電気コネクタ100の接続態様の一つとして、例えば上記電気コネクタ100を上記電線等の外部導体300を介して他の電気コネクタ400に接続すると共に、上記他の電気コネクタ400を上記ソケット511に嵌合するようにした実施形態を提案した。このようにすれば、上記電気コネクタ100に上記短絡端子130が備えられているので、上記他の電気コネクタ400には必ずしも短絡端子を設ける必要がなくなる。また、上記他の電気コネクタに短絡端子が設けられているときであっても、当該短絡端子と上記短絡端子130の二つの短絡端子によって二箇所で短絡されるので、短絡処理を確実に行うことができる。
本発明の電気コネクタは、以上で説明した上記実施形態および上記変形例の特徴を組み合わせた実施形態を含んでいる。さらに、以上で説明した上記実施形態および上記変形例は本発明の電気コネクタのいくつかの例を示したに過ぎない。したがって、これらの上記実施形態および上記変形例の記載によって本発明の電気コネクタが限定解釈されることはない。