JP2015215477A - スポットサイズ変換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のスポットサイズ変換器よりも小さなサイズでセカンドコアとシングルモード光ファイバ間を低損失に結合するスポットサイズ変換器を提供する。【解決手段】スポットサイズ変換器は、テーパ型スポットサイズ変換領域4と、多層導波路型多モード干渉領域5とを備える。テーパ型スポットサイズ変換領域4は、シリコン導波路2と接続するようにアンダークラッド1上に形成されたテーパ形状のテーパシリコン導波路2aと、テーパシリコン導波路2aを覆うようにアンダークラッド1上に形成され、断面寸法がシングルモード光ファイバ7のモードフィールド径よりも小さいセカンドコア3とからなる。多層導波路型多モード干渉領域5は、セカンドコア3と接続するようにアンダークラッド1上に形成された下層コア5aと、下層コア5aから離間して形成された上層コア5bとからなる。【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン細線導波路をコア径の大きいシングルモード光ファイバに結合するためのスポットサイズ変換器に関するものである。
シリコン(Si)は3.478という高い屈折率と1.55mm帯の光を透過する材料物性を有しており、Siにより形成される光導波路(Si細線導波路)は小さなコア径と曲げ半径を有している。そのため、Si細線導波路は光通信デバイス用導波路デバイスの小型化、高集積化を実現する技術として期待されている。一方、Si細線導波路を通信応用する上で課題となる点が、シングルモード光ファイバ(SMF)との低損失結合である。Si細線導波路とSMFのモードフィールド径は100倍程度異なるため、光結合効率は著しく低く、低損失化が要求される通信用デバイスにおいては大きな課題となる。
通信デバイス用の低損失SMF結合器として、スポットサイズ変換器が報告されている。スポットサイズ変換器は断熱的にSi細線導波路幅を細めることでモードフィールドを拡大し、SMFと導波路を端面結合させる技術である(非特許文献1)。応用技術として、図9(A)〜図9(C)に示す2段テーパ形状のスポットサイズ変換器が報告されている(特許文献1)。図9(A)はスポットサイズ変換器の平面図、図9(B)は図9(A)のスポットサイズ変換器のA−A’線断面図、図9(C)は図9(A)のスポットサイズ変換器のB−B’線断面図である。なお、図9(A)では、オーバークラッドの内部を透視して記載している。
従来のスポットサイズ変換器では、まず、Si細線導波路101の先端をテーパ形状に加工して数μm程度(10μm以下)のモードフィールド径を有するセカンドコア102に結合させ、セカンドコア102を更に断熱的に細めることで、モードフィールド径10μm程度のサードコア103に結合させる。図9(B)、図9(C)における100はアンダークラッド、104はオーバークラッドである。セカンドコア102に覆われたSi細線導波路101のテーパ部の長さL1は300μm程度、サードコア103に覆われたセカンドコア102のテーパ部の長さL2は1mm程度である。セカンドコア102は例えば石英やシリコン窒化膜などの、Siよりも屈折率が小さな材料により形成される。
Si細線導波路101のテーパのみでモードフィールド径を10μmまで拡大する場合は、Si細線導波路101のテーパ先端幅を極めて細くする必要があり、加工困難、大きな散乱損失といった問題が生じるが、セカンドコア102を介した2段テーパ形状とすることにより、Si細線導波路101のテーパ部を加工が容易なテーパ幅でセカンドコア102と結合させることが可能であると共に、セカンドコア102のテーパ部を加工が容易なテーパ幅でサードコア103と結合させることが可能であり、かつ散乱による損失も比較的小さくすることができる。
特開2013−231753号公報
T.Shoji,T.Tsuchizawa,T.Watanabe,K.Yamada,H.Morita,"Low loss mode size converter from 0.3μm square Si wire waveguides to singlemode fibres",Electronics Letters,Vol.38,No.25,pp.1669-1670,2002
従来のスポットサイズ変換器では、約1mm程度の長いセカンドコアテーパ部を要するという問題点があった。セカンドコアテーパ部が長くなる理由は、Si細線導波路に比べて光閉じ込めの弱いセカンドコアにおいてテーパ部の断熱条件を満たすためには非常に緩やかなコア幅変化としなければならないためである。このように、従来のスポットサイズ変換器では、長いセカンドコアテーパ部を要するため、スポットサイズ変換器の小型化が困難であった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、従来のスポットサイズ変換器よりも小さなサイズでセカンドコアとシングルモード光ファイバ間を低損失に結合することができるスポットサイズ変換器を提供することを目的とする。
本発明は、シリコン導波路とシングルモード光ファイバとを光学的に接続するスポットサイズ変換器において、シリコン導波路と接続されるテーパ型スポットサイズ変換領域と、このテーパ型スポットサイズ変換領域とシングルモード光ファイバとの間に設けられる多層導波路型多モード干渉領域とを備え、前記テーパ型スポットサイズ変換領域は、前記シリコン導波路と接続するようにアンダークラッド上に形成され、光の伝搬方向に沿って前記シングルモード光ファイバに向かうに従い断面寸法が連続的に小さくなるテーパ形状のテーパシリコン導波路と、このテーパシリコン導波路を覆うように前記アンダークラッド上に形成され、その断面寸法が前記シングルモード光ファイバのモードフィールド径よりも小さいセカンドコアとからなり、前記多層導波路型多モード干渉領域は、前記セカンドコアと接続するように前記アンダークラッド上に形成された1つ乃至は複数の下層コアと、前記下層コアから前記アンダークラッドと離間する方向に間隙を設けて形成された1つ乃至は複数の上層コアとからなり、前記多層導波路型多モード干渉領域の長さは、前記セカンドコアと前記シングルモード光ファイバ間の結合効率が所望の値となる長さに設定されることを特徴とするものである。
また、本発明のスポットサイズ変換器の1構成例は、前記セカンドコアの高さと前記多層導波路型多モード干渉領域の下層コアの高さとが略等しいことを特徴とするものである。
また、本発明のスポットサイズ変換器の1構成例において、前記多層導波路型多モード干渉領域の下層コアは、その高さよりも幅が広い1つのコアであり、前記多層導波路型多モード干渉領域の上層コアは、同一層内で離間した同寸法の2つのコアであり、前記セカンドコアは、前記下層コアのセカンドコア側の端面の中心部と接続していることを特徴とするものである。
また、本発明のスポットサイズ変換器の1構成例は、さらに、前記多層導波路型多モード干渉領域と前記シングルモード光ファイバとの間に設けられ、前記多層導波路型多モード干渉領域から出力される単一の固有モードを保持して伝搬させることが可能なダイシングマージン領域を備えることを特徴とするものである。
また、本発明のスポットサイズ変換器の1構成例において、前記ダイシングマージン領域は、前記多層導波路型多モード干渉領域の下層コアと接続するように前記アンダークラッド上に形成された、同一層内で離間した同寸法の2つの第1の導波路コアと、前記多層導波路型多モード干渉領域の上層コアと接続するように前記第1の導波路コアと離間して形成された、同一層内で離間した同寸法の2つの第2の導波路コアとからなることを特徴とするものである。
本発明によれば、テーパ型スポットサイズ変換領域と多層導波路型多モード干渉領域とを設け、テーパ型スポットサイズ変換領域をテーパシリコン導波路とセカンドコアとから構成し、多層導波路型多モード干渉領域を下層コアと上層コアとから構成し、多層導波路型多モード干渉領域の長さを、セカンドコアとシングルモード光ファイバ間の結合効率が所望の値となる長さに設定することにより、多層導波路型多モード干渉領域内の多モード干渉によりシングルモード光ファイバと結合可能なモードフィールドを形成することができるので、従来のスポットサイズ変換器よりも小さなサイズのスポットサイズ変換器でセカンドコアとシングルモード光ファイバ間を低損失に結合することができる。
また、本発明では、ダイシングマージン領域を設けることにより、シングルモード光ファイバとの接続端面を形成する際のダイシングプロセスによる結合損失の増大を回避することができる。
本発明の実施の形態に係るスポットサイズ変換器の構成を示す平面図および断面図である。 本発明の実施の形態に係るスポットサイズ変換器のシングルモード光ファイバとの接続面におけるモードプロファイル、およびシングルモード光ファイバの断面におけるモードプロファイルを示す図である。 本発明の実施の形態に係るスポットサイズ変換器の他の構成を示す平面図および断面図である。 本発明の実施の形態に係るスポットサイズ変換器の寸法を説明する断面図である。 本発明の実施の形態における多層導波路型多モード干渉領域の長さと、セカンドコアとシングルモード光ファイバ間の結合効率との関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係るスポットサイズ変換器における光伝搬のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係るスポットサイズ変換器と従来のスポットサイズ変換器のサイズを比較した平面図である。 本発明の実施の形態におけるダイシングマージン領域の長さと、セカンドコアとシングルモード光ファイバ間の結合効率との関係を示す図である。 従来のスポットサイズ変換器の平面図および断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1(A)〜図1(E)は本発明の実施の形態に係るスポットサイズ変換器の構成を示す平面図および断面図であり、図1(A)はスポットサイズ変換器の平面図、図1(B)は図1(A)のスポットサイズ変換器のE−E’線断面図、図1(C)は図1(A)のスポットサイズ変換器のA−A’線断面図、図1(D)は図1(A)のスポットサイズ変換器のB−B’線断面図、図1(E)は図1(A)のスポットサイズ変換器のC−C’線断面図である。なお、図1(A)では、構造を見易くするために、オーバークラッドの内部を透視して記載している。図2(A)は本実施の形態のスポットサイズ変換器のシングルモード光ファイバ(SMF)7との接続面(C−C’の位置の断面)におけるモードプロファイルを示し、図2(B)はSMF7の断面(F−F’の位置の断面)におけるモードプロファイルを示している。
本実施の形態のスポットサイズ変換器は、図1(A)〜図1(E)に示したように、シリコン(Si)導波路2とSMF7とを光学的に接続するものであり、シリコン導波路2側に形成されたテーパ型スポットサイズ変換領域4と、このテーパ型スポットサイズ変換領域4のSMF7側に接して配置された多層導波路型多モード干渉領域5とから構成される。
テーパ型スポットサイズ変換領域4は、図1(C)に示したように、アンダークラッド1と、このアンダークラッド1上に形成され、シリコン導波路2と接続する端面での断面形状が該シリコン導波路2のそれと略同一であり、光の伝搬方向(図1(A)の左から右への方向)に沿ってSMF7に向かうに従い断面サイズが断熱的に小さくなるようなテーパ形状のテーパシリコン導波路2aと、このテーパシリコン導波路2aを覆うようにしてアンダークラッド1上に形成され、その断面寸法がSMF7のモードフィールド径よりも小さいセカンドコア3と、このセカンドコア3を覆うようにしてアンダークラッド1上に形成されたオーバークラッド6とから構成される。シリコン導波路2およびテーパシリコン導波路2aの高さは一定である。
セカンドコア3の屈折率は、シリコンの屈折率よりも小さいものであればよい。例えば、セカンドコア3の材料として、石英(SiO2)や窒化シリコンなどを用いればよい。また、アンダークラッド1およびオーバークラッド6は、いずれもセカンドコア3の屈折率よりも小さい屈折率の材料で形成されていればよい。テーパ型スポットサイズ変換領域4では、光はシングルモードで導波される。
多層導波路型多モード干渉領域5は、図1(E)に示したように、アンダークラッド1と、このアンダークラッド1上にセカンドコア3と略同じ高さで形成された、セカンドコア3と同じ材料からなる1つ乃至は複数の下層コア5aと、下層コア5aからアンダークラッド1と離間する方向に間隙を設けて形成された、セカンドコア3と同じ材料からなる1つ乃至は複数の上層コア5bと、下層コア5aおよび上層コア5bを覆うようにしてアンダークラッド1上に形成されたオーバークラッド6とから構成される。セカンドコア3と下層コア5aとは、図1(E)の破線で示す8の部分で結合している。なお、上層コア5bのセカンドコア側の端面は他のコアと接続されずにオーバークラッド6中に置かれた状態となっている。
下層コア5aと上層コア5bとは、各導波路が光学的に結合した複数のスーパーモードを形成するマルチモード導波路構造とされる。この条件を満たす限り、上層コア5bおよび下層コア5aは、マルチモード導波路コアであっても、シングルモード導波路コアであってもよい。
本実施の形態のスポットサイズ変換器の特徴は、セカンドコア3を伝搬した光のモードフィールド径をSMF7のそれと同程度の径に変換するために、従来の2段テーパ構造を用いるのではなく、多層導波路型多モード干渉領域5を用いる点にある。以下、多層導波路型多モード干渉領域5での動作を詳細に説明する。
テーパ型スポットサイズ変換領域4におけるセカンドコア3を伝搬した光により、多層導波路型多モード干渉領域5内には複数の伝搬モードが励振され、それら複数のモードが干渉しながら伝搬する。多層導波路型多モード干渉領域5内では、複数のモードの干渉により、光の進行方向に沿って周期的にモードプロファイルが変化する。具体的には、モードフィールド径の拡大・縮小を繰り返しながら光は伝搬する。
そこで、多層導波路型多モード干渉領域5のSMF7との接続端におけるモードフィールド径が、SMF7のモードフィールド径と略同一となるような長さ(図1(A)中のLMC)の多層導波路型多モード干渉領域5とすることにより、セカンドコア3とSMF7間を低損失に結合することが可能となる。図2(A)にSMF7と近似的にマッチングする多層導波路型多モード干渉領域5のSMF7との接続端でのモードプロファイルの一例を示す。図2(B)はSMF7でのモードプロファイルを示している。
一般的な半導体微細加工の工程では、基板上の同一層内の導波路コアは、膜堆積とエッチング工程により一括で形成されるため、異なるコア厚さの導波路を一緒の基板上で作製することは困難である。そのため、多層導波路型多モード干渉領域5として、セカンドコア3よりも大きな1つのマルチモード導波路構造を作製することは望ましくない。したがって、そのため、図1(D)および図1(E)に示すように、セカンドコア3と下層コア5aの導波路コア厚さを揃えた積層導波路構造とする方が作製上望ましい。
つまり、下層コア5aとしては、図1(E)に示すように、その高さがセカンドコア3と略同一であり、高さよりも幅の広い1つの導波路コアであればよい。また、多層導波路型多モード干渉領域5に複数のモードを励振させ、かつ複数のモードが干渉した結果としてSMF7のモードプロファイルに近いスーパーモードを形成させるためには、セカンドコア3を、下層コア5aのセカンドコア側の端面の中心部(図1(E)の8の部分)に接続するように形成することが望ましい。
スポットサイズ変換器におけるSMF7との接続端面は、例えばダイシングプロセスにより形成される。その際、ダイシングブレードのアライメント誤差が多層導波路型多モード干渉領域5の長さLMCの誤差となってしまう。この誤差は、スポットサイズ変換器とSMF7との光の結合損失を増大させてしまう。そこで、スポットサイズ変換器のSMF7との接続端には、図3(A)〜図3(E)に示すようなダイシングマージン領域9を設けることが望ましい。
図3(A)〜図3(E)は本実施の形態のスポットサイズ変換器の他の構成を示す平面図および断面図であり、図3(A)はスポットサイズ変換器の平面図、図3(B)は図3(A)のスポットサイズ変換器のA−A’線断面図、図3(C)は図3(A)のスポットサイズ変換器のB−B’線断面図、図3(D)は図3(A)のスポットサイズ変換器のC−C’線断面図、図3(E)は図3(A)のスポットサイズ変換器のD−D’線断面図である。図1(A)〜図1(E)に示したスポットサイズ変換器と図3(A)〜図3(E)のスポットサイズ変換器との違いは、このダイシングマージン領域9を設けている点にある。
ダイシングマージン領域9の下層の導波路コア9aは、多層導波路型多モード干渉領域5の下層コア5aと接続するようにアンダークラッド1上に形成された、同一層内で離間した同寸法の2つのコアであり、ダイシングマージン領域9の上層の導波路コア9bは、多層導波路型多モード干渉領域5の上層コア5bと接続するように導波路コア9aと離間して形成された、同一層内で離間した同寸法の2つのコアである。この導波路コア9a,9bは、セカンドコア3と同じ材料からなる。
このように、ダイシングマージン領域9は、複数の導波路コア9a,9bが光学的に結合してなり、多層導波路型多モード干渉領域5のSMF7側端面(C−C’線の位置の断面)のモードプロファイルと結合する固有モードを有することを特徴とする。すなわち、ダイシングマージン領域9では、単一の固有モードが保持されて伝搬する。そのため、ダイシングマージン領域9においては、多層導波路型多モード干渉領域5のSMF7側端面のモードプロファイルが保持されて伝搬するため、ダイシングマージン領域9のどの箇所をダイシングしても、ほぼ同じ結合損失でSMF7とモードマッチングするプロファイルを得ることができる。図3(E)における10はSMF7のコア径を示している。
以下では、スポットサイズ変換器の実際の設計例を示す。図4(A)〜図4(C)は本実施の形態のスポットサイズ変換器の寸法を説明する断面図であり、図4(A)はセカンドコア3の断面(図1、図3のB−B’線の位置の断面)を示す図、図4(B)は多層導波路型多モード干渉領域5の断面(図1、図3のC−C’線の位置の断面)を示す図、図4(C)はダイシングマージン領域9の断面(図3のD−D’線の位置の断面)を示す図である。シリコン導波路2とセカンドコア3間の逆テーパ型スポットサイズ変換器の結合は従来どおりであるため割愛する。
セカンドコア3の領域については、セカンドコア3の屈折率が1.505、オーバークラッド6の屈折率が1.46、アンダークラッド1の屈折率が1.44である。セカンドコア3は、高さH1が3.0μmで一定であり、幅W1が3.0μmで一定の矩形断面形状のコアである。
多層導波路型多モード干渉領域5の下層コア5aは高さH2が3.0μmで一定であり、幅W2が7.0μmで一定の矩形断面形状のマルチモード導波路、上層コア5bは高さH3が3.0μmで一定であり、幅W3が3.2μmで一定の矩形断面形状の2個のシングルモード導波路である。下層コア5aおよび上層コア5bの屈折率は1.505である。2個の上層コア5bの間隔G1(上層コア5b間のオーバークラッド6の幅)は0.6μm、下層コア5aと上層コア5bとの間の層間オーバークラッド膜厚G2は1.0μmである。また、多層導波路型多モード干渉領域5におけるオーバークラッド6の屈折率は1.46、アンダークラッド1の屈折率は1.44である。
ダイシングマージン領域9の下層の2個の導波路コア9aは高さH4が3.0μmで一定であり、幅W4が3.2μmで一定の矩形断面形状のコア、上層の2個の導波路コア9bも高さH5が3.0μmで一定であり、幅W5が3.2μmで一定の矩形断面形状のコアである。導波路コア9a,9bの屈折率は1.505である。2個の導波路コア9aの間隔G3(導波路コア9a間のオーバークラッド6の幅)および2個の導波路コア9bの間隔G4(導波路コア9b間のオーバークラッド6の幅)は共に0.6μm、導波路コア9aと導波路コア9bとの間の層間オーバークラッド膜厚G5は1.0μmである。また、ダイシングマージン領域9におけるオーバークラッド6の屈折率は1.46、アンダークラッド1の屈折率は1.44である。
なお、本実施の形態では、セカンドコア3は多層導波路型多モード干渉領域5の下層コア5aの中心部と結合するように配置される。この配置は、セカンドコア3の伝搬光によって多層導波路型多モード干渉領域5の複数のモードが励振される条件を満たせば、上記に限るものではない。
多層導波路型多モード干渉領域5の長さLMCと、セカンドコア3とSMF7間の結合効率との関係を図5に示す。図5におけるT1は多層導波路型多モード干渉領域5の下層コア5aと上層コア5b間、すなわち層間の光結像位置遷移の周期、T2は多層導波路型多モード干渉領域5の下層コア5a内および2つの上層コア5b間、すなわち層内の光結像位置遷移の周期である。図5の50は周期T1,T2が強め合う現象が起きている位置であり、51は周期T1,T2が強め合う現象が起きていない位置である。セカンドコア3とSMF7間の結合効率は、多層導波路型多モード干渉領域5の長さLMC=176μmにおいて最大値となり、その際の結合損失は約1.8dBである。
また、多層導波路型多モード干渉領域5の長さLMC=176μmの場合における光伝搬のシミュレーション結果を図6(A)〜図6(C)に示す。図6(A)は多層導波路型多モード干渉領域5の上層コア5bおよびダイシングマージン領域9の上層の導波路コア9bを上面から見た場合の光伝搬の計算結果、図6(B)は多層導波路型多モード干渉領域5の下層コア5aおよびダイシングマージン領域9の下層の導波路コア9aを上面から見た場合の光伝搬の計算結果、図6(C)は多層導波路型多モード干渉領域5およびダイシングマージン領域9を側面から見た場合の光伝搬の計算結果を示している。図6(A)〜図6(C)から明らかなように、左から右への方向が光の伝搬方向である。図6(A)〜図6(C)の60aは下層コア5aにおける光伝搬、60bは上層コア5bにおける光伝搬、61aは導波路コア9aにおける光伝搬、61bは導波路コア9bにおける光伝搬を示している。
図6(A)〜図6(C)によると、多層導波路型多モード干渉領域5では複数の固有モードが互いに干渉しながら伝搬するが、ダイシングマージン領域9では単一の固有モードが保持されて伝搬する様子が分かる。ダイシングマージン領域9を伝搬するモードプロファイルは図2(A)に示したモードプロファイルと同様である。
図5中のT1=約350μm周期の大きな振幅変化は、図6(C)に見られる多層導波路型多モード干渉領域5内の下層コア5aと上層コア5b間の光結像位置遷移によるものである。図5中のT2=約80μm周期の小さな振幅変化は、図6(A)、図6(B)に見られる多層導波路型多モード干渉領域5内の下層コア5a内および2つの上層コア5b間の光結像位置遷移によるものである。
本実施の形態では、図5中の2つの周期T1,T2が互いに強め合う多層導波路型多モード干渉領域5の長さLMCにおいてセカンドコア3とSMF7間の結合効率が最大となり、より短い長さLMCで2つの周期T1,T2が重なるように設計すればよい。
図7(A)、図7(B)に本実施の形態のスポットサイズ変換器と図9(A)〜図9(C)に示した従来のスポットサイズ変換器のサイズを比較した平面図を示す。図7(A)に示す従来のスポットサイズ変換器においても、長さLcouplが200μm以上のダイシングマージン領域9を設けている。従来のようにセカンドコア102で断熱テーパを形成する場合、一般にテーパ部の長さL2は1mm程度以上必要となるが、本実施の形態においては多層導波路型多モード干渉領域5の長さLMCを200μm以下に抑えることが可能となる。
本実施の形態のスポットサイズ変換器のダイシングマージン領域9の長さLcouplと、セカンドコア3とSMF7間の結合効率との関係を図8に示す。図8の80はダイシングマージン領域9の長さLcouplと、セカンドコア3とSMF7間の結合効率との関係をTEモードの場合について示し、81は同様の関係をTMモードの場合について示している。
図8によると、セカンドコア3とSMF7間の結合効率は、ダイシングマージン領域9の長さLcouplに対してほぼ依存性はないことが確認できる。図8の関係を求めるために用いた本実施の形態のスポットサイズ変換器はTEモードに対して最適化したものであり、TMモードについては若干のモード干渉が見られるが、設計最適化により偏波無依存化も可能である。図8に示した特性は、ダイシングマージン領域9のどの位置をSMF7との結合端面としても、セカンドコア3とSMF7間の結合効率はほぼ変化しないことを意味しており、チップ化におけるプロセスマージンを確保できることを意味している。
本発明は、シリコン細線導波路をコア径の大きいシングルモード光ファイバに結合する技術に適用することができる。
1…アンダークラッド、2…シリコン導波路、2a…テーパシリコン導波路、3…セカンドコア、4…テーパ型スポットサイズ変換領域、5…多層導波路型多モード干渉領域、5a…下層コア、5b…上層コア、6…オーバークラッド、7…シングルモード光ファイバ、9…ダイシングマージン領域、9a,9b…導波路コア。

Claims (5)

  1. シリコン導波路とシングルモード光ファイバとを光学的に接続するスポットサイズ変換器において、
    シリコン導波路と接続されるテーパ型スポットサイズ変換領域と、
    このテーパ型スポットサイズ変換領域とシングルモード光ファイバとの間に設けられる多層導波路型多モード干渉領域とを備え、
    前記テーパ型スポットサイズ変換領域は、
    前記シリコン導波路と接続するようにアンダークラッド上に形成され、光の伝搬方向に沿って前記シングルモード光ファイバに向かうに従い断面寸法が連続的に小さくなるテーパ形状のテーパシリコン導波路と、
    このテーパシリコン導波路を覆うように前記アンダークラッド上に形成され、その断面寸法が前記シングルモード光ファイバのモードフィールド径よりも小さいセカンドコアとからなり、
    前記多層導波路型多モード干渉領域は、前記セカンドコアと接続するように前記アンダークラッド上に形成された1つ乃至は複数の下層コアと、
    前記下層コアから前記アンダークラッドと離間する方向に間隙を設けて形成された1つ乃至は複数の上層コアとからなり、
    前記多層導波路型多モード干渉領域の長さは、前記セカンドコアと前記シングルモード光ファイバ間の結合効率が所望の値となる長さに設定されることを特徴とするスポットサイズ変換器。
  2. 請求項1記載のスポットサイズ変換器において、
    前記セカンドコアの高さと前記多層導波路型多モード干渉領域の下層コアの高さとが略等しいことを特徴とするスポットサイズ変換器。
  3. 請求項1または2記載のスポットサイズ変換器において、
    前記多層導波路型多モード干渉領域の下層コアは、その高さよりも幅が広い1つのコアであり、
    前記多層導波路型多モード干渉領域の上層コアは、同一層内で離間した同寸法の2つのコアであり、
    前記セカンドコアは、前記下層コアのセカンドコア側の端面の中心部と接続していることを特徴とするスポットサイズ変換器。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスポットサイズ変換器において、
    さらに、前記多層導波路型多モード干渉領域と前記シングルモード光ファイバとの間に設けられ、前記多層導波路型多モード干渉領域から出力される単一の固有モードを保持して伝搬させることが可能なダイシングマージン領域を備えることを特徴とするスポットサイズ変換器。
  5. 請求項4記載のスポットサイズ変換器において、
    前記ダイシングマージン領域は、
    前記多層導波路型多モード干渉領域の下層コアと接続するように前記アンダークラッド上に形成された、同一層内で離間した同寸法の2つの第1の導波路コアと、
    前記多層導波路型多モード干渉領域の上層コアと接続するように前記第1の導波路コアと離間して形成された、同一層内で離間した同寸法の2つの第2の導波路コアとからなることを特徴とするスポットサイズ変換器。
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