JP2015213004A - リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池性能を保持可能であるとともに、過充電時の電流を遮断し、異常発熱による誤動作を回避して安全性を向上させることが可能な、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】リチウムイオンを吸蔵及び脱離可能な負極と、正極集電体の一方の面上に、樹脂材料及び導電剤を含む正極第一層と、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む正極第二層と、を順に積層し、さらに、正極第一層が尿素を含有するリチウムイオン二次電池用正極を備えるリチウムイオン二次電池。
【選択図】図1
【解決手段】リチウムイオンを吸蔵及び脱離可能な負極と、正極集電体の一方の面上に、樹脂材料及び導電剤を含む正極第一層と、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む正極第二層と、を順に積層し、さらに、正極第一層が尿素を含有するリチウムイオン二次電池用正極を備えるリチウムイオン二次電池。
【選択図】図1
Description
本発明は、過充電に対する安全性を改善したリチウムイオン二次電池と、その過充電に対する安全性を改善したリチウムイオン二次電池が備えるリチウムイオン二次電池用正極に関するものである。
ノート型コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等、電子機器の普及に伴い、これらの電子機器を駆動するための二次電池の需要が拡大している。近年、これらの電子機器は、高機能化の進展に伴って消費電力が増大していることや、小型化が期待されていることから、二次電池に対しては、高エネルギー密度・高出力密度化が求められている。
高エネルギー密度・高出力密度化を達成可能な二次電池としては、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池が有力視されている。
高エネルギー密度・高出力密度化を達成可能な二次電池としては、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池が有力視されている。
しかしながら、リチウムイオン二次電池では、化学的活性の高いリチウム、可燃性の高い電解液、過充電状態での安定性が低いリチウム遷移金属複合酸化物を電池材料として用いていることから、過充電状態において更に充電を継続すると、電池材料間の化学反応が急激に進行し、電池が発熱、熱暴走等を引き起こすという安全上の問題があることが知られている。
このため、過充電状態に至る前に速やかに充電を停止する必要があり、電圧の監視、充電の停止などを外部回路にて行う機構や、電池内部における安全機構の確立・導入が求められている。
そこで、リチウムイオン二次電池の過充電を抑止する様々な手法が検討されており、例えば、特許文献1〜4のような手法が開示されている。
そこで、リチウムイオン二次電池の過充電を抑止する様々な手法が検討されており、例えば、特許文献1〜4のような手法が開示されている。
特許文献1には、過充電に伴う電圧上昇により、電解液中に添加した材料が酸化重合し、電池内部抵抗を上昇させることで過充電を抑制する電解液添加剤が開示されている。
特許文献2には、過充電に伴う温度上昇により電極抵抗を上昇させて、過充電を抑止する手法として、正極材料、または、負極材料からなる電極合剤層を、集電体上に積層する電極において、電極合剤層中、または、電極合剤層と集電体との界面に沿って、熱膨張性マイクロカプセルを含有させる電極が開示されている。
特許文献2には、過充電に伴う温度上昇により電極抵抗を上昇させて、過充電を抑止する手法として、正極材料、または、負極材料からなる電極合剤層を、集電体上に積層する電極において、電極合剤層中、または、電極合剤層と集電体との界面に沿って、熱膨張性マイクロカプセルを含有させる電極が開示されている。
特許文献3には、過充電に伴う電圧上昇により正極合剤に含有する化合物が分解してガスを発生し、電池の内部抵抗が上昇して更なる過充電を抑制する正極が開示されている。
特許文献4には、正極集電体、導電剤、結着剤と過充電状態のける高電位で分解する物質から、正極第一層と、正極第一層上に形成された正極活物質と導電剤と結着剤からなる正極第二層とを有する二層構造の正極を採用することで、過充電により高電位となった場合に、高電位で分解する物質が分解されてガスを発生する。その結果、正極第一層を構造破壊するとともに、正極第一層と正極第二層との界面破壊を生じるように作用し、電池内部抵抗が上昇することで、充電電流を遮断し、過充電を抑制する手法が開示されている。
特許文献4には、正極集電体、導電剤、結着剤と過充電状態のける高電位で分解する物質から、正極第一層と、正極第一層上に形成された正極活物質と導電剤と結着剤からなる正極第二層とを有する二層構造の正極を採用することで、過充電により高電位となった場合に、高電位で分解する物質が分解されてガスを発生する。その結果、正極第一層を構造破壊するとともに、正極第一層と正極第二層との界面破壊を生じるように作用し、電池内部抵抗が上昇することで、充電電流を遮断し、過充電を抑制する手法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に示されるように、過充電を抑制するような添加剤を電解液中に混合した場合には、電解液中の電解質イオン伝導度が低下するという課題がある。また、高温保管時にも、添加剤の反応が生じて、電池サイクル寿命、高温保存特性が低下するという課題がある。
また、特許文献2に示すように、過充電に伴う温度上昇により熱膨張するマイクロカプセルを正極内に導入した場合も、高温保管時にマイクロカプセルが徐々に膨張して正極抵抗を上昇させるため、電池サイクル寿命や高温保存特性が低下するという課題がある。
また、特許文献2に示すように、過充電に伴う温度上昇により熱膨張するマイクロカプセルを正極内に導入した場合も、高温保管時にマイクロカプセルが徐々に膨張して正極抵抗を上昇させるため、電池サイクル寿命や高温保存特性が低下するという課題がある。
また、特許文献3に示すように、過充電に伴う電圧上昇により分解されてガスを発生する化合物を正極合剤中に導入した場合、正極合剤中の活物質量が低下するため、正極容量が低下するという課題がある。
また、特許文献4には、高電圧で分解してガスを発生する炭酸塩を、集電体上の正極第一層内に導入する方法が提案されているが、発生するガスは二酸化炭素であり、特許文献4で言及されている炭酸リチウム、炭酸亜鉛、炭酸鉛は、それぞれ、分子量が大きい割に発生する炭酸ガスは1つの分子から1つの分子であるから、ガスの発生効率は決して高いとはいえず、正極第一層を充分に破壊するためには、これらの炭酸塩を多量に添加する必要がある。このため、正極第一層中の導電材料の添加量を減量せざるを得ず、電気抵抗が増大して、正極第一層を有しない電極と比較して、電池特性が低下するという課題がある。
また、特許文献4には、高電圧で分解してガスを発生する炭酸塩を、集電体上の正極第一層内に導入する方法が提案されているが、発生するガスは二酸化炭素であり、特許文献4で言及されている炭酸リチウム、炭酸亜鉛、炭酸鉛は、それぞれ、分子量が大きい割に発生する炭酸ガスは1つの分子から1つの分子であるから、ガスの発生効率は決して高いとはいえず、正極第一層を充分に破壊するためには、これらの炭酸塩を多量に添加する必要がある。このため、正極第一層中の導電材料の添加量を減量せざるを得ず、電気抵抗が増大して、正極第一層を有しない電極と比較して、電池特性が低下するという課題がある。
本発明は、上述した課題点を解決しようとするものであり、電池性能を保持可能であるとともに、過充電時の電流を遮断し、異常発熱による誤動作を回避して安全性を向上させることが可能な、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本願発明の本発明者は、上述した課題を解決すべく鋭意検討した結果、正極第一層に、過充電に伴う電圧上昇により分解されてガスを発生する尿素を採用する構成を見出した。
したがって、上記の目的を達成するために、本発明の一態様は、正極集電体の一方の面上に、樹脂材料及び導電剤を含む正極第一層と、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む正極第二層と、を順に積層したリチウムイオン二次電池用正極であって、
したがって、上記の目的を達成するために、本発明の一態様は、正極集電体の一方の面上に、樹脂材料及び導電剤を含む正極第一層と、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む正極第二層と、を順に積層したリチウムイオン二次電池用正極であって、
前記正極第一層は、尿素を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極である。
また、本発明の一態様は、上述したリチウムイオン二次電池用正極と、リチウムイオンを吸蔵及び脱離可能な負極と、を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池である。
また、本発明の一態様は、上述したリチウムイオン二次電池用正極と、リチウムイオンを吸蔵及び脱離可能な負極と、を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池である。
本発明の一態様であれば、リチウムイオン二次電池が過充電状態となった場合でも、過充電に伴う電圧上昇により正極第一層内の尿素が発泡し、正極集電体と正極第一層、正極第一層自体の抵抗上昇、もしくは正極第一層と第二層の界面抵抗上昇を引き起こす。これにより、過充電に伴う発熱や、異常発熱による誤動作等を抑制することが可能な、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(リチウムイオン二次電池の全体構成)
図1中に示すように、リチウムイオン二次電池10は、正極11(リチウムイオン二次電池用正極)と、負極5と、セパレータ4と、電解液6(非水電解液)と、ガスケット9を備える。
また、リチウムイオン二次電池10は、正極11、負極5、電解液6、セパレータ4を、電解液6の漏洩防止、外気進入の防止等を目的としたケース(正極ケース7、負極ケース8)内に収納して形成されている。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(リチウムイオン二次電池の全体構成)
図1中に示すように、リチウムイオン二次電池10は、正極11(リチウムイオン二次電池用正極)と、負極5と、セパレータ4と、電解液6(非水電解液)と、ガスケット9を備える。
また、リチウムイオン二次電池10は、正極11、負極5、電解液6、セパレータ4を、電解液6の漏洩防止、外気進入の防止等を目的としたケース(正極ケース7、負極ケース8)内に収納して形成されている。
(正極の構成)
正極11は、正極集電体1と、正極第一層2と、正極第二層3と、正極ケース7を備える。
正極第一層2は、導電剤と、結着剤及び特定のアミン系化合物から構成され、正極集電体1上に形成されている。
正極集電体1の材料は、特に限定されるものではなく、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等、公知の材質から成る集電体を使用することが可能である。
正極第一層2が含む導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等の公知の材料を使用することが可能である。
正極11は、正極集電体1と、正極第一層2と、正極第二層3と、正極ケース7を備える。
正極第一層2は、導電剤と、結着剤及び特定のアミン系化合物から構成され、正極集電体1上に形成されている。
正極集電体1の材料は、特に限定されるものではなく、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等、公知の材質から成る集電体を使用することが可能である。
正極第一層2が含む導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等の公知の材料を使用することが可能である。
正極第一層2が含む結着剤としては、リチウムイオン二次電池10が過充電状態となった場合の高電圧で変質する樹脂、例えば、分解、重合、または、発泡等により変質する樹脂である必要がある。具体的には、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を用いることが可能である。
また、正極第一層2は、尿素を含む。
また、正極第一層2は、尿素を含む。
正極第一層2が含む尿素は、高電圧下では、両端のアミノ基が不安定となって分解し、アンモニアガスが発生する。この電圧は、4.4V以上5.0V以下の範囲内であり、現在のリチウムイオン二次電池10の正極電位は4.2V前後であるから、過充電状態の電圧範囲(4.4V以上5.0V以下の範囲内)で尿素は分解され、ガスを発生する。このことにより、過充電時には、正極第一層2の破壊がなされる。
また、正極第一層2が炭酸リチウムを含む場合、高電圧時の分解において、分子量74に対して1つの分子から1つの分子の二酸化炭素が発生することに対し、正極第一層2が尿素を含む場合では、分子量60に対して1つの分子から2つの分子のアンモニアが発生する。
したがって、炭酸リチウム及び尿素を、正極第一層2中に同量添加した場合には、実質的に尿素のガスの発生量は2倍以上となり、正極第一層2を破壊する効率を向上させることが可能である。さらに、破壊効率を同じ程度とするのであれば、尿素は炭酸リチウムの半分以下の量を適用すれば破壊効率は同程度となるため、尿素の代わりに導電材料を多く添加することが可能となる。そのため、電池性能を低下させずに正極第一層2を設けることが可能となるという利点がある。
したがって、炭酸リチウム及び尿素を、正極第一層2中に同量添加した場合には、実質的に尿素のガスの発生量は2倍以上となり、正極第一層2を破壊する効率を向上させることが可能である。さらに、破壊効率を同じ程度とするのであれば、尿素は炭酸リチウムの半分以下の量を適用すれば破壊効率は同程度となるため、尿素の代わりに導電材料を多く添加することが可能となる。そのため、電池性能を低下させずに正極第一層2を設けることが可能となるという利点がある。
さらに、正極第一層2と正極第二層3を連続的な製造工程で作製する場合には、正極第一層2の乾燥を短時間で行う必要がある。その場合、正極第一層2を形成するための液体組成物の溶媒に、低沸点溶媒を選定することが望ましい。よって、正極第一層2の結着剤には、低沸点溶媒に溶解する樹脂を選定することが好ましい。
また、正極第一層2は、上述した導電剤と結着剤を、メチルエチルケトン、トルエン等の単独溶媒、または、混合溶媒中で混合した後、正極集電体1上に塗布、乾燥することで形成することが可能である。
また、正極第一層2は、上述した導電剤と結着剤を、メチルエチルケトン、トルエン等の単独溶媒、または、混合溶媒中で混合した後、正極集電体1上に塗布、乾燥することで形成することが可能である。
正極第二層3は、正極活物質と、導電剤及び結着剤を含み、正極第一層2上に積層されている。すなわち、正極11は、二層構成である。
正極第二層3が含む正極活物質は、特に限定されるものではなく、従来公知の活物質を使用することが可能である。また、正極第二層3が含む正極活物質としては、例えば、リチウムイオンを放出可能なリチウム遷移金属複合酸化物を用いることが可能である。
正極第二層3が含む正極活物質は、特に限定されるものではなく、従来公知の活物質を使用することが可能である。また、正極第二層3が含む正極活物質としては、例えば、リチウムイオンを放出可能なリチウム遷移金属複合酸化物を用いることが可能である。
リチウム遷移金属複合酸化物の一例としては、LiNiO2、LiMn2O4、LiCoO2、LiFePO4等を用いることが可能である。また、正極第二層3が含む正極活物質としては、上記のリチウム遷移金属酸化物を単独で用いてもよく、また、複数混合して使用することも可能である。
また、正極第二層3は、正極活物質、結着剤、導電剤等をN−メチルピロリドン等の溶媒中で混合した後に、正極第一層2上に積層塗布、乾燥することで形成することが可能である。
正極ケース7は、正極集電体1と、正極第一層2と、正極第二層3を内部に収容している。
また、正極第二層3は、正極活物質、結着剤、導電剤等をN−メチルピロリドン等の溶媒中で混合した後に、正極第一層2上に積層塗布、乾燥することで形成することが可能である。
正極ケース7は、正極集電体1と、正極第一層2と、正極第二層3を内部に収容している。
(負極の構成)
負極5は、負極ケース8内に収容されており、負極集電体(図示せず)と、負極活物質と、結着材と、導電助剤を含む。
負極集電体の材料としては、特に限定されるものではなく、銅箔等から成る集電体を使用することが可能である。
負極5が含む負極活物質は、特に限定されるものではなく、リチウム等の金属材料、ケイ素、スズ等を含有する合金系材料、グラファイト、コークス等の炭素材料のような、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物を、単独、または、組み合わせて適用することが可能である。
負極5は、負極ケース8内に収容されており、負極集電体(図示せず)と、負極活物質と、結着材と、導電助剤を含む。
負極集電体の材料としては、特に限定されるものではなく、銅箔等から成る集電体を使用することが可能である。
負極5が含む負極活物質は、特に限定されるものではなく、リチウム等の金属材料、ケイ素、スズ等を含有する合金系材料、グラファイト、コークス等の炭素材料のような、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物を、単独、または、組み合わせて適用することが可能である。
また、負極5が含む負極活物質としては、例えば、リチウム金属箔を用いる場合、銅等の金属で形成した負極集電体上にリチウム箔を圧着して、負極5を形成することが可能である。
また、負極5が含む負極活物質としては、例えば、合金材料、炭素材料を用いる場合は、負極活物質と結着材、導電助剤等を、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N−methylpyrrolidone)等の溶媒中で混合した後に、銅等の金属で形成した負極集電体上に塗布、乾燥することで、負極5を形成することが可能である。
また、負極5が含む負極活物質としては、例えば、合金材料、炭素材料を用いる場合は、負極活物質と結着材、導電助剤等を、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N−methylpyrrolidone)等の溶媒中で混合した後に、銅等の金属で形成した負極集電体上に塗布、乾燥することで、負極5を形成することが可能である。
負極5が含む結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−ゴム(NBR)、フッ素ゴム等の化学的、物理的に安定な材料を用いることが好ましい。
負極5が含む導電助剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、非晶質炭素等を用いることが可能である。
負極5が含む導電助剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、非晶質炭素等を用いることが可能である。
(セパレータの構成)
セパレータ4は、正極11と負極5との接触を防止するために、正極第二層3と負極5との間に配置された状態で、負極ケース8内に収容されている。
また、セパレータ4の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン製や、芳香族ポリアミド樹脂製の微孔膜または不織布、無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート等を用いることが可能である。
セパレータ4は、正極11と負極5との接触を防止するために、正極第二層3と負極5との間に配置された状態で、負極ケース8内に収容されている。
また、セパレータ4の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン製や、芳香族ポリアミド樹脂製の微孔膜または不織布、無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート等を用いることが可能である。
(電解液の構成)
電解液6は、特に限定されるものではなく、例えば、有機溶媒等の溶媒に支持塩を溶解させたものや、電解質兼溶媒であるイオン液体や、そのイオン液体に更に支持塩を溶解させたもの等を用いることが可能である。
有機溶媒としては、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることが可能である。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の混合溶媒を用いることが可能である。
電解液6は、特に限定されるものではなく、例えば、有機溶媒等の溶媒に支持塩を溶解させたものや、電解質兼溶媒であるイオン液体や、そのイオン液体に更に支持塩を溶解させたもの等を用いることが可能である。
有機溶媒としては、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることが可能である。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の混合溶媒を用いることが可能である。
電解液6に用いられる支持塩は、特に限定されるものではなく、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(CF3SO2)2等を用いることが可能である。
電解液6に用いられるイオン液体は、常温で液体である塩であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アルキルアンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリウム塩、ピペリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等を用いることが可能である。また、電解液6に用いられるイオン液体は、広い電位領域において電気化学的に安定であると、更に好ましい。
電解液6に用いられるイオン液体は、常温で液体である塩であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アルキルアンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリウム塩、ピペリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等を用いることが可能である。また、電解液6に用いられるイオン液体は、広い電位領域において電気化学的に安定であると、更に好ましい。
(ガスケットの構成)
ガスケット9は、正極ケース7と負極ケース8との間を閉塞しており、正極ケース7と負極ケース8との間からの、電解液6の漏出を抑制している。
ガスケット9は、正極ケース7と負極ケース8との間を閉塞しており、正極ケース7と負極ケース8との間からの、電解液6の漏出を抑制している。
以下、図1を参照しつつ、図2から図4を用いて、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、実施例により限定されるものではない。
(本発明例)
まず、アセチレンブラック(HS−100、電気化学工業製)30質量部、ポリエステルA(分子量:22,000、Tg:72℃)70質量部、尿素1質量部を、酢酸エチルとトルエンの混合溶媒に添加して分散処理を行い、均質なペーストを調製した。これに、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤を、ポリエステルAのOH基に対して当量加えて、このペーストをアルミニウム箔集電体(20μm厚)上に塗布し、乾燥処理後、80℃にて5日間のエージングを行うことで、正極第一層2を得た。乾燥処理後の正極第一層2の膜厚は、1〜2μmであった。
(本発明例)
まず、アセチレンブラック(HS−100、電気化学工業製)30質量部、ポリエステルA(分子量:22,000、Tg:72℃)70質量部、尿素1質量部を、酢酸エチルとトルエンの混合溶媒に添加して分散処理を行い、均質なペーストを調製した。これに、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤を、ポリエステルAのOH基に対して当量加えて、このペーストをアルミニウム箔集電体(20μm厚)上に塗布し、乾燥処理後、80℃にて5日間のエージングを行うことで、正極第一層2を得た。乾燥処理後の正極第一層2の膜厚は、1〜2μmであった。
次に、LiMn2O4(日本化学産業製)92質量部、アセチレンブラック(HS−100、電気化学工業製)5質量部、ポリフッ化ビニリデン(♯7200、クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製)3質量部を、N−メチルピロリドン(NMP)に添加し、分散処理を行い、均質なペーストを調製した。このペーストを正極第一層2上に塗布し、乾燥処理を行うことで、正極第二層3を得た。乾燥処理後の正極第二層3の膜厚は、約100μmであった。
そして、上記の正極第一層2と、正極第二層3を、正極集電体1上に順に積層して、図2中に示すように、本発明例の正極11を作成した。
次に、作成した正極11を直径13.5mmに打抜き、負極5として直径15mmに形成したリチウム箔を用い、セパレータ4であるポリプロピレン製セパレータ(ハイポア、旭化成イーマテリアルズ製)を、正極11と負極5との間に配置した。
次に、作成した正極11を直径13.5mmに打抜き、負極5として直径15mmに形成したリチウム箔を用い、セパレータ4であるポリプロピレン製セパレータ(ハイポア、旭化成イーマテリアルズ製)を、正極11と負極5との間に配置した。
さらに、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で3:7に混合した混合有機溶媒中にLiPF6が1モル/L濃度になるように添加し、ビニレンカーボネートを重量比で2%添加して調製した電解液6(非水電解液)を注入して、本発明例のリチウムイオン二次電池10(コイン型電池)を作製した(図1参照)。
(比較例)
本発明例と異なり、図3中に示すように、正極第一層2を形成せずに、正極集電体1(アルミニウム箔集電体(20μm厚))上に、LiMn2O4(日本化学産業製)92重量部、アセチレンブラック(HS−100、電気化学工業製)5重量部、ポリフッ化ビニリデン(♯7200、クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製)3重量部から成る正極第二層3のみを直接形成して、正極11を作成した。
さらに、正極第一層2を備えていない正極11を用いて、図4中に示すように、比較例のリチウムイオン二次電池10(コイン型電池)を作製した。
本発明例と異なり、図3中に示すように、正極第一層2を形成せずに、正極集電体1(アルミニウム箔集電体(20μm厚))上に、LiMn2O4(日本化学産業製)92重量部、アセチレンブラック(HS−100、電気化学工業製)5重量部、ポリフッ化ビニリデン(♯7200、クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製)3重量部から成る正極第二層3のみを直接形成して、正極11を作成した。
さらに、正極第一層2を備えていない正極11を用いて、図4中に示すように、比較例のリチウムイオン二次電池10(コイン型電池)を作製した。
(正極の評価)
正極11の評価として、正極第一層2の電気化学的挙動の調査を行った。
具体的には、正極第一層2を備えず、正極第二層3を作用極とし、負極5(リチウム金属)を対極とした2極セル(コイン型電池、図4参照)を作製し、ポテンショ/ガルバノスタット装置(1287型、Solartron社製)と周波数応答アナライザ(1260型、Solartron社製)を用いて、掃引速度5mV/s、電位範囲3.0V以上5.0V以下の範囲内で掃引することで、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を実施した。
上述した正極第一層2を備えていないコイン型電池のCV測定において、酸化電流が0.05mA/cm2観測された時点の電圧を、正極第二層3が含有する樹脂の酸化開始電位とした。
正極11の評価として、正極第一層2の電気化学的挙動の調査を行った。
具体的には、正極第一層2を備えず、正極第二層3を作用極とし、負極5(リチウム金属)を対極とした2極セル(コイン型電池、図4参照)を作製し、ポテンショ/ガルバノスタット装置(1287型、Solartron社製)と周波数応答アナライザ(1260型、Solartron社製)を用いて、掃引速度5mV/s、電位範囲3.0V以上5.0V以下の範囲内で掃引することで、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を実施した。
上述した正極第一層2を備えていないコイン型電池のCV測定において、酸化電流が0.05mA/cm2観測された時点の電圧を、正極第二層3が含有する樹脂の酸化開始電位とした。
(電池の放電容量評価)
コイン型電池(図1参照)を使用し、定電流、定電圧充電にて4.3Vまで充電し、定電流放電にて3.0Vまで放電して、電池の放電容量を評価した。
まず、0.1Cでの充放電を二回繰り返した後、0.2C充電後の0.2C、1C、2C、4C、6C、10C放電の順番で測定を行い、放電容量レート特性を得た。なお、定電圧充電により0.01mAまで電流値が低下した後、定電流放電に移行するように設定した。
コイン型電池(図1参照)を使用し、定電流、定電圧充電にて4.3Vまで充電し、定電流放電にて3.0Vまで放電して、電池の放電容量を評価した。
まず、0.1Cでの充放電を二回繰り返した後、0.2C充電後の0.2C、1C、2C、4C、6C、10C放電の順番で測定を行い、放電容量レート特性を得た。なお、定電圧充電により0.01mAまで電流値が低下した後、定電流放電に移行するように設定した。
さらに、コイン型電池(図1参照)を使用し、0.1Cでの充放電を二回繰り返した後、0.2C充電、1C放電の繰り返しによるサイクル特性評価を実施した。なお、定電圧充電により0.01mAまで電流値が低下した後、定電流放電に移行するように設定した。
(電池の過充電評価)
上述した放電容量評価と同様に、コイン型電池(図1参照)を使用し、4.3Vまで定電流で定電圧充電した後、3.0Vまで定電流放電を実施して、電池の過充電を評価した。
まず、0.1Cによるならし充放電を二回行った。次に、一回目の充放電として、4.3V、0.2Cで充放電を1度実施した。その後、二回目の充放電として、0.2C充電で4.8Vまで定電流、定電圧充電を行うことで過充電を実施し、0.2Cで放電を行った。更に、三回目の充放電として、4.3V、0.2Cで充放電を1度実施した。
上述した放電容量評価と同様に、コイン型電池(図1参照)を使用し、4.3Vまで定電流で定電圧充電した後、3.0Vまで定電流放電を実施して、電池の過充電を評価した。
まず、0.1Cによるならし充放電を二回行った。次に、一回目の充放電として、4.3V、0.2Cで充放電を1度実施した。その後、二回目の充放電として、0.2C充電で4.8Vまで定電流、定電圧充電を行うことで過充電を実施し、0.2Cで放電を行った。更に、三回目の充放電として、4.3V、0.2Cで充放電を1度実施した。
(試験結果1)
以下の表1に示すコイン型電池のCV特性では、尿素を使用した正極第一層2を備える本発明例(図1参照)では、4.4V以上で酸化反応を生じることを確認した。また、正極第一層2を備えていない比較例(図4参照)では、酸化反応が確認されなかった。
以下の表1に示すコイン型電池のCV特性では、尿素を使用した正極第一層2を備える本発明例(図1参照)では、4.4V以上で酸化反応を生じることを確認した。また、正極第一層2を備えていない比較例(図4参照)では、酸化反応が確認されなかった。
(試験結果2)
以下の表2に示すコイン型電池(図4参照)の放電レート特性及びサイクル特性では、尿素を使用した正極第一層2を備える本発明例(図1参照)では、正極第一層2を備えていない比較例(図4参照)と比較して、ほぼ同等の電池特性を有することが確認された。
以下の表2に示すコイン型電池(図4参照)の放電レート特性及びサイクル特性では、尿素を使用した正極第一層2を備える本発明例(図1参照)では、正極第一層2を備えていない比較例(図4参照)と比較して、ほぼ同等の電池特性を有することが確認された。
(試験結果3)
以下の表3に示す4.8V過充電試験後の放電特性の結果から、尿素を使用した正極第一層2を備える本発明例(図1参照)では、約0.5Vの電圧降下が認められた。一方、正極第一層2を備えていない比較例(図4参照)では、電圧降下は認められなかった。
これは、尿素を使用した正極第一層2を備える正極11が、過充電による高電圧により分解・発泡して正極第一層2の導電性が低下した結果で生じる過電圧であり、過充電時の過大電流を抑制することを示している。
このことより、本発明例は、高電圧時の抵抗上昇の機能を有し、電流を抑制することで温度上昇を抑制し、異常発熱による誤動作を防ぐ効果がより高いものであると考えられる。
以下の表3に示す4.8V過充電試験後の放電特性の結果から、尿素を使用した正極第一層2を備える本発明例(図1参照)では、約0.5Vの電圧降下が認められた。一方、正極第一層2を備えていない比較例(図4参照)では、電圧降下は認められなかった。
これは、尿素を使用した正極第一層2を備える正極11が、過充電による高電圧により分解・発泡して正極第一層2の導電性が低下した結果で生じる過電圧であり、過充電時の過大電流を抑制することを示している。
このことより、本発明例は、高電圧時の抵抗上昇の機能を有し、電流を抑制することで温度上昇を抑制し、異常発熱による誤動作を防ぐ効果がより高いものであると考えられる。
(評価のまとめ)
以上の結果から、本発明例(図1参照)は、正極第一層2を備えておらず、正極第二層3のみから成る正極11を使用する比較例(図4参照)と比較して、4.3V以上に酸化開始電位を有し、さらに、電解液6の酸化分解開始電位である4.8V以下に、酸化開始電位を有する尿素を正極第一層2に採用して、正極第二層3を積層した構成の正極11を使用することで、リチウムイオン二次電池10の過充電時における電圧上昇速度を緩和することが可能であり、さらに、電流を抑制することが可能であることが確認された。
以上の結果から、本発明例(図1参照)は、正極第一層2を備えておらず、正極第二層3のみから成る正極11を使用する比較例(図4参照)と比較して、4.3V以上に酸化開始電位を有し、さらに、電解液6の酸化分解開始電位である4.8V以下に、酸化開始電位を有する尿素を正極第一層2に採用して、正極第二層3を積層した構成の正極11を使用することで、リチウムイオン二次電池10の過充電時における電圧上昇速度を緩和することが可能であり、さらに、電流を抑制することが可能であることが確認された。
また、正極第一層2を備えずに、正極第二層3のみから成る正極11を使用して作製した比較例(図4参照)のリチウムイオン二次電池10と、正極第一層2を備える正極11を使用して作製した本発明例(図1参照)のリチウムイオン二次電池10は、放電容量及びサイクル性能が、共に、ほぼ同一の性能を発揮することを確認した。
1…正極集電体、2…正極第一層、3…正極第二層、4…セパレータ、5…負極、6…電解液、7…正極ケース、8…負極ケース、9…ガスケット、10…リチウムイオン二次電池、11…正極
Claims (2)
- 正極集電体の一方の面上に、樹脂材料及び導電剤を含む正極第一層と、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む正極第二層と、を順に積層したリチウムイオン二次電池用正極であって、
前記正極第一層は、尿素を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。 - 請求項1に記載したリチウムイオン二次電池用正極と、リチウムイオンを吸蔵及び脱離可能な負極と、を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014094542A JP2015213004A (ja) | 2014-05-01 | 2014-05-01 | リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 |
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ID=54697171
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JP2014094542A Pending JP2015213004A (ja) | 2014-05-01 | 2014-05-01 | リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 |
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JP (1) | JP2015213004A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3671909A4 (en) * | 2017-09-19 | 2020-08-19 | LG Chem, Ltd. | POSITIVE ELECTRODE FOR SECONDARY BATTERY AND SECONDARY BATTERY INCLUDING THE SAME |
-
2014
- 2014-05-01 JP JP2014094542A patent/JP2015213004A/ja active Pending
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EP3671909A4 (en) * | 2017-09-19 | 2020-08-19 | LG Chem, Ltd. | POSITIVE ELECTRODE FOR SECONDARY BATTERY AND SECONDARY BATTERY INCLUDING THE SAME |
US11569501B2 (en) | 2017-09-19 | 2023-01-31 | Lg Energy Solution, Ltd. | Positive electrode for secondary battery and secondary battery including the same |
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