JP5350168B2 - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、黒鉛粉末の表面を親水化処理した負極活物質を用い、非水電解液に環状カーボネートを少量含むリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
非水電解液二次電池は、高エネルギー密度を有しているため、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等と比較して、小型化、軽量化が可能である。そのような理由のため、非水電解液二次電池は、これまで主に、携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器に使用されてきた。
非水電解液二次電池の代表的な構成としては、負極活物質に炭素材料、正極活物質にコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物、電解液に炭酸エチレンや炭酸ジエチルなどの有機溶媒と六フッ化リン酸リチウム(LiPF)といったリチウム塩を使った物が挙げられる。前記電池の負極、正極、電解液それぞれの材料は、リチウムイオンを移動し、かつ電荷の授受により充放電可能であれば良く、非常に多くの構成を取り得る電池である。
リチウム塩にはLiPFの他、LiBFなどのフッ素系錯塩、LiN(SORf)・LiC(SORf)(但しRf=CF,C)などの塩も用いられる。また、通常、電解液は高い導電率と安全性を確保するため、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの環状炭酸エステル系高誘電率・高沸点溶媒に低粘性率溶媒である炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の低級鎖状炭酸エステルを用い、一部低級脂肪酸エステルを用いる場合もある。
負極活物質として黒鉛や炭素材料を使用した場合、その充放電機構は層間へのリチウムの挿入・脱離反応である。初回の充電の際には、負極の表面で電解液の分解反応が生じて、表面に固体電解質界面(Solid Electrolyte Interface:以下「SEI」と略す)被膜と呼ばれる電子伝導性のない不動態被膜を形成し、SEI被膜が形成された負極活物質は、SEI被膜を介してリチウムイオンの挿入・脱離反応が起こる。
なお、非水電解液二次電池は、このSEI被膜が形成される際に、リチウムの挿入と同時に、負極活物質(黒鉛や炭素材料)の層間に電解液溶媒分子(例えば、エチレンカーボネート)の挿入が生じて、負極活物質の崩壊を生じることがあるため、充放電サイクルを繰り返すとSEI被膜自体が高抵抗成分となり、リチウムイオン二次電池の電気抵抗を増加させてしまう恐れがあった。
また、負極活物質に炭素材料を用いた非水電解質二次電池において、負極表面のSEI被膜によって、負極における電解液の分解を防止しており、この電池を60℃程度の高温で充放電する場合、負極活物質の体積膨張が10%を越える場合でも、負極表面のSEI被膜はやわらかくなって、負極活物質の体積変化に追随することができ、SEI被膜は崩壊しなかった。ところが、非水電解質二次電池を0℃付近の低温で充放電した場合、SEI被膜が硬くなり、負極に黒鉛のような体積変化の大きい活物質を用いた場合、SEI被膜が破壊され、電解液の分解が進み、低温における放電容量が低下するといった問題が発生していた。
そこで、低温における放電容量を抑制した非水電解質二次電池として、非水電解質電池に用いる炭素材料として、菱面体晶系構造物を5%以上含むものを用い、且つ、非水電解質に特定の構造を持つフッ素化合物を含有させて電池を組み立てる方法(特許文献1)が提案されている。
特許公開2003−217656号公報
特許文献1に記載の方法では、初充電時における非水電解液を構成するその他の有機溶媒の分解をほぼ完全に抑制し、充電をより確実に行うことができ、20重量%以下であることによって、電解液の粘度が高くなりすぎないので、高率充放電時や低温下においても、充分な電池性能を発揮することができる。また、π結合を有する環状カーボネートの含有量が、非水電解液の全重量に対して0.01重量%以上であることによって、初充電時における非水電解液を構成するその他の有機溶媒の分解をほぼ完全に抑制し、充電をより確実に行うことができ、10重量%以下であることによって、π結合を有する環状カーボネートが正極上で分解することによる電池性能の劣化がほとんど発生せず、充分な電池性能を発揮することができるとしている。
リチウム二次電池における低温での放電容量の低下を抑制すると共に、サイルク寿命を向上させるためには、一つの要因として、低い融点と低い粘度を持つ溶媒を用いることが望ましい。しかし、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)のような環状エステル系は高い誘電率を持つ反面、分子内の電荷の偏りが大きいので、溶媒分子間の相互作用が強く働き、高い粘性を示す。また、エチレンカーボネート(EC)は融点が39℃と高く(常温で固体の物質)、低温化でのイオン導電性が低くなる。従って、炭素材料として、菱面体晶系構造物を5%以上含むものを用い、且つ、非水電解質に特定の構造を持つフッ素化合物を含有させる引用文献1記載の方法では、環状エステル系の溶媒を用いているため、サイクル寿命特性や低温での放電特性を完全に解消することは困難である。
そこで、本発明の目的は、低温における放電容量を低下させる原因となる粘度の高い環状カーボネートを少量とすることで、低温における放電容量の低下を抑制し、更にサイクル寿命性能を改善したリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、正極、負極及び電解液を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法において、表面を親水化した黒鉛粉末と水溶性増粘剤と水分散バインダとを混練し、前記黒鉛粉末に前記水溶性増粘剤と前記水溶性バインダとを被覆した水性スラリーを作製する工程と、前記水性スラリーを負極集電体に塗布し負極を作製する工程と、前記正極と負極とをセパレータを介して捲回あるいは積層し電極群を作製する工程と、前記電極群を容器に収容し、鎖状カーボネート及び環状カーボネートを含み、これら鎖状カーボネート及び環状カーボネートの体積を100%とした場合の環状カーボネートが5体積%以下であり、かつ鎖状カーボネートが95体積%以上の非水電解液を注液して封止する工程と、を備えていることを特徴とする。
上記構成によれば、負極活物質である黒鉛粉末は、水溶性増粘剤および水分散系バインダによって被覆されているので、非水電解液が注液された段階でリチウムイオンと溶媒和した電解質が、黒鉛の層間に入り込んで負極活物質層を破壊するのを防止する擬似的なSEI膜として機能し、電解液中にSEI膜を形成するための物質を別途加えることなく、負極活物質層を保護することができる。
本発明によれば、低温下における放電容量を低下させる原因となる粘度の高い環状カーボネートを少量とすることで、低温下における放電容量の低下を抑制することができ、さらにサイクル寿命性能を改善したリチウムイオン二次電池を提供することが可能である。
リチウムイオン二次電池の製造工程の説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本発明者らは、電解液の粘度の上昇の原因となる環状カーボネートを少量としても負極活物質層を保護することが可能なリチウムイオン二次電池について鋭意研究した結果、負極活物質として表面を親水性の有機物または官能基で修飾することによって親水化した黒鉛を用い、電極作製時に増粘剤としての水溶性高分子や、バインダとしての水分散系バインダ粒子を含む水性スラリーを作製し、負極集電体上に塗布して、水溶性高分子あるいは水分散系バインダ粒子により黒鉛粒子表面を均一に被覆することにより、黒鉛粒子を含む負極活物質層を保護することができることを見いだした。
これは、十分な量の酸素や窒素等の非共有電子対を持った元素を有する被膜が黒鉛表面に形成され、その被膜が擬似的なSEIの働きをするためと考えられ、この結果、電解液組成に環状カーボネートの使用量を少量としても充放電が可能となった。
また、電解液の環状カーボネートを少量とし、鎖状カーボネートを主体として使用することによる粘度の低下によって、低温で安定した充放電、注液時の浸透性向上が可能となった。
ここで、鎖状カーボネート化合物としては、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチル−カーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネート等が挙げられ、さらに、鎖状カーボネート化合物に分類されているアルキレンビスカーボネート化合物である1,2−ビス(メトキシカルボニルオキシ)エタン、1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)エタン及び1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)プロパン等も挙げられる。
本実施形態において、電解液としては環状カーボネートを全く含まないのが好ましい。しかしながら、実用的には、電解液に含まれるカーボネートの体積を100%とした場合に、環状カーボネートの体積を5体積%以下の範囲とすれば、電解液の粘度の上昇範囲は許容できる範囲であり、電荷の移動抵抗も低く抑えられる。この場合において、電解液として含むことが可能な環状カーボネート化合物としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2−メチル−1,2−ブチレンカーボネート、1,1−ジメチルエチレンカーボネート、2−メチル−1,3−プロピレンカーボネート、3−メチル−1,3−プロピレンカーボネート等が挙げられる。
本実施形態における集電体上に形成される負極活物質層は、負極活物質としての黒鉛、導電材、増粘剤および水性バインダを用い、水性スラリーとして集電体上に塗布され、乾燥されてプレスされて作製される。
ここで、負極活物質層に用いる黒鉛の合成法は、特に制限されないが、得られた黒鉛の表面を親水性の有機物または官能基で修飾して、親水化している。
また負極活物質層に用いる導電剤としては、カーボンブラックや金属粉等を用いることができる。増粘剤としてはカルボキシメチルセルロースNa塩(以下CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド等の水溶性有機物の水溶液を用いることができる。水性バインダとしてはSBRやアクリル酸系(例えば、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイドなど)の水性ディスパージョンを用いることができる。
次にリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。
図1は、リチウムイオン二次電池の製造工程の説明図である。
まず、負極活物質である黒鉛粉末の表面を親水化する(ステップS11)。
次に表面を親水化した黒鉛粉末、水溶性増粘剤および水分散系バインダを用いて水性スラリーを作製する(ステップS12)。
次に水性スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥後、圧延加工して、水溶性増粘剤および水分散系バインダによって被覆された黒鉛粉末を含む負極活物質層を有する負極を作製する(ステップS13)。
一方、正極およびセパレータについては、通常のリチウムイオン二次電池の正極と同一の方法で作製する(ステップS14,15)。
続いて、作製した正極および負極をセパレータを介して捲回あるいは積層することにより電極群を作製し(ステップS16)、得られた電極群を容器に収納し、非水電解液としての電解液を注液し(ステップS17)、容器を封止することによりリチウムイオン二次電池とする(ステップS18)。
上記構成のリチウムイオン二次電池によれば、電解液として環状カーボネートを少量使用した電解液を用いることができ、電解液の粘性を低くでき、その浸透性および浸透の均一性を確保して、イオンパスの局在化をなくし、電池の信頼性を向上させることができるとともに、低温においても、粘性を低く維持して、充放電特性を維持することができるので、様々な環境下で用いられる電池として最適である。
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[1]実施例
ポリウロニド類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(PGA)およびアルギン酸ナトリウム(Arg−Na)、アルギン酸カリウム(Arg−K)を用い、これらを100重量部の純水に溶解し、次いで天然リン状および天然リン片状の黒鉛から構成される塊状の黒鉛粒子を投入して撹拌し、放置した。黒鉛粒子が沈降した後、上澄みを除去して黒鉛スラリーを乾燥、解砕してポリウロニド(類)が表面に吸着あるいは被覆された黒鉛、すなわち、表面に親水化処理を施した黒鉛(例えば、特開2002−231241号公報)を用い、この黒鉛粉末を100g、2%CMC水溶液83.3g、SBR系水性バインダ7.5gを十分に混練して水性スラリーを得た。スラリーを厚さ10μmの銅箔集電体に塗布し、70℃で10分間乾燥した。その後、ロールプレスで圧延加工して塗膜密度を1.6g/ccとし、負極Aとして作製した。
なお、前記黒鉛粉末は、増粘剤であるCMC水溶液と水分散系バインダであるSBR系水性バインダによって被覆されていることを走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認した。
[2]第1比較例
負極Aで用いた黒鉛と同一の、表面に親水化処理を施した黒鉛を用い、この黒鉛粉末を100g、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを10gにN−メチルピロリドンを加えて有機系スラリーを得た。スラリーを厚さ10μmの銅箔集電体に塗布し、120℃で10分間乾燥した。その後、ロールプレスで圧延加工して塗膜密度を1.6g/ccとし、負極Bとして作製した。
[3]第2比較例
表面に非晶質カーボンを被覆した一般的なリチウムイオン二次電池用の黒鉛を用い、この黒鉛粉末を100g、2%CMC水溶液83.3g、SBR系水性バインダ7.5gを十分に混練して水性スラリーを得た。スラリーを厚さ10μmの銅箔集電体に塗布し、70℃で10分間乾燥した。その後、ロールプレスで圧延加工して塗膜密度を1.6g/ccとし、負極Cとして作製した。
[4]第3比較例
表面に非晶質カーボンを被覆した一般的なリチウムイオン二次電池用の黒鉛を用い、この黒鉛粉末を100g、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを10gにN−メチルピロリドンを加えて有機系スラリーを得た。スラリーを厚さ10μmの銅箔集電体に塗布し、120℃で10分間乾燥した。その後、ロールプレスで圧延加工して塗膜密度を1.6g/ccとし、負極Dとして作製した。
次に電解液組成について説明する。
本実施例においては、第1電解液a〜第6電解液fの6種類の電解液を調整した。以下、説明する。
第1電解液aは、非水電解質として、エチルメチルカーボネート(以下EMC)にLiPFを1mol/lの濃度で溶解させて電解液とした。
第2電解液bは、非水電解質として、エチレンカーボネート(以下EC)/EMCを1:99の体積比で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/lの濃度で溶解させて電解液とした。
第3電解液cは、非水電解質として、EC/EMCを3:97の体積比で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/lの濃度で溶解させて電解液とした。
第4電解液dは、非水電解質として、EC/EMCを5:95の体積比で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/lの濃度で溶解させて電解液とした。
第5電解液eは、非水電解質として、EC/EMCを6:94の体積比で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/lの濃度で溶解させて電解液とした。
第6電解液fは、非水電解質として、EC/EMCを1:1の体積比で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/lの濃度で溶解させて電解液とした。
次に電気化学特性評価セルの作製について説明する。
リチウム二次電池用負極としての特性を評価するために、以下の方法で電気化学特性評価セルを作製した。
各負極A〜Dを単極として評価するため、参照極を設けた非水電解質電池を作製した。具体的には、各負極A〜Dを作用極とし、対極と参照極にはリチウム金属を用いた。
非水電解液として、第1電解液a〜第6電解液fを用いた。
セパレータには、ポリオレフィン製の微孔膜を用いた。
容器としての外装体には、ポリプロピレンブロックを加工した樹脂製容器を用い、作用極、対極及び参照極に設けた各端子の開放端部が外部露出するように電極群を収納封口した。
次に、評価セルを用いて、前記電極を非水電解質電池の負極に用いたときの充放電性能を評価するための試験を行った。
まず、初期活性化のため、評価セルを5サイクルの活性化充放電に供した。条件として初回充放電は0.1CAで、充電は0.0Vに到達するまでは定電流で行ない、続いて0.0Vで電流が0.05CAに到達するまで定電位で実施した。放電は1.5Vまで定電流で行なった。2〜5サイクルでは電位条件は同じで、電流を0.2CAで行なった。温度は雰囲気温度25℃一定とした。
なお、サイクル試験は、夫々作成した負極A〜Dを作用極とし、対極と参照極にリチウム金属を用いて試験を行ったものである。以下の率別放電試験も同様である。
(放電率別放電試験)
次に、放電率別放電特性を測定するため、充電は0.2CAで0.0Vまで(定電位で0.05CAに到達するまで)とし、放電電流を0.2CA、1CA、2CA、5CA、8CA、10CAとして、1.5Vまでの放電を行なった。各電極の率別放電における放電容量を表1に示した。表1において、容量(mAh/g)は負極A〜Dにおける黒鉛の単位質量(g)当りの容量(mAh)としている。
表1に示すように、本実施例の負極Aによれば、電解液の種類(a〜f)および放電レートに拘わらず、放電容量を確保することができた。
これに対し、電解液の種類(a〜e)の電極B〜Dにおいては、電解液の種類及び放電レートにより大きく放電容量が変化し、本実施例の電極Aの略半版の放電容量しか得ることができなかった。
これは、負極表面を親水化処理しなかったため、または/および有機系材料を用いてペーストを作製し、かつ電解液への環状カーボネートを少量としたためであると考えられる。なお、電解液fの電極B〜Dにおいては、電解液への環状カーボネートの添加量が多いため、比較的良好な放電容量を得ることが可能であった。
また、0.2CA放電時の放電容量を100%としたときの容量比を表2に示した。
表2によれば、上述したように本実施例の電極Aは、電解液の種類および放電レートに拘わらず、略差が生じないことが分かった。しかしながら、電解液の種類(a〜e)の電極B〜Dにおいては、特に5CA以上となると0.2CA時の略半分程度の放電容量しか得ることができないことが分かった。
上述した活性化充放電後、低温特性を測定するため、低温放電試験を行った。
この低温放電試験においては、充電温度は25℃、放電温度は−30〜25℃とし、充電は0.2CA、放電電流を1CAとして、1.5Vまでの放電を行なった。
各温度における放電容量を表3に示した。
表3に示すように、本実施例の負極Aによれば、電解液の種類(a〜f)および温度に拘わらず、放電容量を確保することができた。これに対し、第1比較例〜第3比較例の負極B〜Dによれば、電解液の種類および温度により大きく放電容量が変化し、安定して放電が行なえないことが確認された。特に氷点下10度以下では、急激に放電容量が低下しているのがわかる。
これは、電解液aの場合には、環状カーボネート(電解液aにおいては、エチレンカーボネート(EC))を含んでいないため、負極活物質層を保護するSEI膜が形成されず、負極活物質層の構造が破壊されて、第1比較例及び第2比較例の負極B、Cのように放電容量が小さくなり、あるいは、第3比較例の負極Dのように放電することすらできなかったものと考えられる。また、逆に第4電解液d、第5電解液eおよび第6電解液fにおいては、SEI膜は形成されるが、環状カーボネートを比較的多く含んでいるため、後述する表8に示すように、粘性が高くなり、特に低温になるとより一層粘性が上がるため、イオンの移動が阻害され、放電容量が小さくなったものと考えられた。
また、25℃放電時の放電容量を100%とした時の容量比を表4に示した。容量(mAh/g)は負極A〜Dにおける黒鉛の単位質量(g)当りの容量(mAh)とした。
表4に示すように、実施例の負極Aによれば、広い温度域に渡って実用的な放電容量を維持し続けることができているのがわかり、特に低温域において、より環状カーボネートの含有量が少ない電解液を用いた場合に、優秀な特性を保てることがわかる。
しかし、環状カーボネートの添加量が5体積%を超過した電解液e、fでは、氷点下10度以下で急激に放電容量が低下することから、環状カーボネートの添加量は、5体積%以下が好ましい。
これは、体積変化の大きい負極活物質を用いた結果、SEI被膜が破壊され、電解液の分解が進み、低温における放電容量の低下に繋がったものと思われる。
上述した活性化充放電後、サイクル特性を測定するため、サイクル試験を行った。
このサイクル試験においては、充電は0.2CAとし、放電電流を1CAとして、20サイクルまでの放電を行なった。放電における放電容量を表5に示す。
表5に示すように、本実施例の負極Aによれば、電解液の種類(a〜f)およびサイクル数に拘わらず、放電容量を確保することができた。これに対し、第1比較例〜第3比較例の負極B〜Dによれば、電解液の種類およびサイクル数により大きく放電容量が変化し、安定して放電が行なえないことが確認された。特に第3電解液c以外の電解液においては、実用に耐えない程度まで放電容量が低下しているのがわかる。
これは、第1比較例1〜第3比較例3の負極B〜Dにおいては、電解液に含まれる環状カーボネートと鎖状カーボネートとの比率が電池の放電特性に大きな影響を与えており、最適な組み合わせ以外の場合には、実用的な放電特性を有する電池として構成することができないものと考えられる。
これらに対して本実施例の負極Aは、電解液における環状カーボネートと鎖状カーボネートとの比率には影響を受けにくいため、製造管理の観点からも好ましい。
また、1サイクル放電時の放電容量を100%とした時の容量比を表6に示した。容量(mAh/g)は負極A〜D黒鉛の単位質量(g)当りの容量(mAh)とした。
表6に示すように、実施例の負極Aによれば、サイクル数が増加しても、実用的な放電容量を維持し続けることができ、優秀な特性を保てることがわかる。
(電解液浸透性試験)
乾燥させた負極Aに、1μlの電解液a,b,c,d,e,fを滴下し、完全に浸透した時間を表7に示した。
表7に示すように、本実施例の負極Aによれば、環状カーボネートを全く含まない、あるいは、低含有率の電解液を用いて、所定の性能を維持することができるので、電解液の粘性を低くして浸透性を向上させることができるため、浸透性にばらつきが生じることによって、局所的にイオンパスが形成されて、デンドライトが形成されることもなく、電池の信頼性を向上させることができる。さらに電解液を注入する注液工程の時間を短縮化することができ、製造コストの低減を図ることができる。
また、電解液a,b,c,d,e,fの粘度を25℃環境下、B形粘度計で測定し、表8に示した。
表8に示すように、環状カーボネートの含有率が低い電解液は、粘性が低いため(1.0cP未満)、負極やセパレータへの浸透時間を短縮するととともに、均一、かつ、確実に浸透することができ、作業工程(特に電解液を注入する注液工程)の時間を短縮化することができ、製造コストの低減を図ることができる。さらにデンドライト形成の原因となる局所的なイオンパスの形成を避けることができ、電池の信頼性が向上する。
以上の説明のように、本実施例によれば、常温での良好な率別放電特性を得ることができ、第1〜第3比較例よりも低温での放電容量低下の抑制が確認された。
これらは、負極活物質表面に親水性の有機物または官能基で修飾することによって親水化した黒鉛を用いることによって、電極作製時に増粘剤として用いた水溶性高分子や水分散系バインダ粒子が黒鉛粒子表面へ均一に被覆され、十分な量の酸素や窒素等の非共有電子対を持った元素を有する被膜を黒鉛表面に形成し、擬似的なSEIの働きをし、例えばリチウムイオンの溶媒和速度の向上等により、劇的な特性向上が可能になったと推定される。
また、増粘剤にCMCを用いなかった負極Bと比較して、実施例の負極Aは、同等以上の性能を示した。これは、CMCもまた負極表面に擬似的なSEI膜を形成し、負極表面の劣化・剥離を防ぐためであると思われる。
また、負極Aに電解液fを用いたものと比較して、本発明に係わる負極Aに電解液aを用いたものは同等以上の性能を示した。
これは、電解液の粘度を高くし、電池の低温特性を悪化させる環状カーボネートを電解液に使用しないので、低温で安定した充放電、さらには溶媒の低粘度化による注液時の浸透性が向上するためであると考えられた。
したがって、本実施形例の負極(負極活物質層)を有する電池による、常温及び低温環境下での良好な充放電特性は、様々な環境下で用いられる電池として最適である。
S11 黒鉛粉末親水化工程
S12 水性スラリー作製工程
S13 負極作製工程
S16 電極群作製工程
S17 電解液注液工程
S18 封止工程

Claims (1)

  1. 正極、負極及び電解液を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法において、
    表面を親水化した黒鉛粉末と水溶性増粘剤と水分散バインダとを混練し、前記黒鉛粉末に前記水溶性増粘剤と前記水溶性バインダとを被覆した水性スラリーを作製する工程と、
    前記水性スラリーを負極集電体に塗布し負極を作製する工程と、
    前記正極と負極とをセパレータを介して捲回あるいは積層し電極群を作製する工程と、
    前記電極群を容器に収容し、鎖状カーボネート及び環状カーボネートを含み、これら鎖状カーボネート及び環状カーボネートの体積を100%とした場合の環状カーボネートが5体積%以下であり、かつ鎖状カーボネートが95体積%以上の非水電解液を注液して封止する工程と、
    を備えていることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
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