本発明は、コーティング組成物の分野、より具体的には、特定のコーティング組成物の基板への接着を改善することに関する。
コーティング組成物は、ポリマー材料などの様々な有機含有材料を様々な基板に付着させるために電子工業において広く使用される。しばしば、基板は、無機であるか、またはコーティングされる表面上に無機領域を有する。例えば、誘電体膜形成組成物および結合または接着組成物などのコーティング組成物は、しばしば、ガラス、金属表面、ならびに/またはシリコン、ガリウムヒ素、およびシリコンゲルマニウムなどの半導体表面に適用される。多くの有機材料は、かかる表面に対する親和性のある基を含まないので、無機表面を有する基板にあまりよく接着しない。その結果、有機含有コーティング組成物をかかる基板表面に付着させるより前に、かかる基板表面を接着促進剤で処理することが一般的な方法である。シランは、中でも、工業的に使用されるより一般的な接着促進剤である。
アリールシクロブテン系材料は、それらの優れた誘電特性、卓越した空隙充填および平坦化特性、ならびに低吸湿のため、電子工業において幅広い種類の用途で使用されてきた。中間誘電体およびウェハ結合用途などの用途においてアリールシクロブテン材料を使用するために、アリールシクロブテン材料の様々な基板(ケイ素、窒化ケイ素、金、および銅など)への十分な接着が必要となる。アリールシクロブテン材料は、それ自体で、これらの基板への十分な接着力を持たないので、アリールシクロブテン材料をコーティングするより前に、接着を向上させるために接着促進剤を通常適用する。
様々な接着促進剤が、アリールシクロブテンと共に使用するために知られている。例えば、米国特許第5,668,210号は、特定のアルコキシシランを、アリールシクロブテンのための接着促進剤として開示する。モノシランのみがこの特許で開示される。これらのアルコキシシランは、10〜80%の化学量(つまりモル%)の水で加水分解される。しかしながら、従来の接着促進剤は、より小さい形体寸法(<10μm)およびより複雑なチップ設計に対する、電子工業の増加する必要条件を満たすことができないので、しばしば層間剥離または他の接着不良という結果を引き起こす。米国特許出願第14/062,677号(Wangら)は、より小さい形体寸法を有する適用において誘電体の基板への接着を改善するために二級アミノ基を含有する特定のポリ(アルコキシシラン)接着促進剤を開示する。
より新しい誘電材料は、しばしば塩基現像可能であり、つまりそれらは、酸基などの塩基反応性官能性を有する。誘電材料を含有するかかる酸基は、様々な製造プロセスにおける廃水流においてアルコキシシランを含有する加水分解アミノ基などの塩基性接着促進剤と不適合である。例えば、誘電材料を含有するかかる酸基が、アルコキシシランを含有する加水分解アミノ基などの塩基性接着促進剤と接触するときに、ドレン管路、コーティング設備などで所望されない沈殿または閉塞の原因となる塩が生じる。塩基反応性官能性を有する誘電材料と共に使用するのに好適であり、<10μm形体寸法およびより複雑なチップ設計のための電子工業の必要条件を満たすことができると同時に、廃水流におけるかかる誘電材料と適合する接着促進剤の必要性が残る。本発明は、1つ以上のこれらの欠陥に取り組む。
本発明は、保護アミノ部分を有する1つ以上の加水分解アミノ−アルコキシシラン、水、および有機溶媒を含む、組成物を提供する。本発明は、保護アミノ部分を有する1つ以上の加水分解アミノ−アルコキシシラン、ポリアリーレンオリゴマー、ポリ(環状オレフィン)オリゴマー、アリールシクロブテンオリゴマー、ビニル芳香族オリゴマー、およびそれらの混合物から選択される1つ以上のオリゴマー、水、および有機溶媒を含む、組成物をさらに提供する。
また、コーティングされる表面を有する電子装置基板を提供することと、保護アミノ部分を有する1つ以上の加水分解アミノ−アルコキシシラン、水、および有機溶媒を含有する組成物でコーティングされる表面を処理することと、ポリアリーレンオリゴマー、ポリ(環状オレフィン)オリゴマー、アリールシクロブテンオリゴマー、ビニル芳香族オリゴマー、およびそれらの混合物から選択される1つ以上のオリゴマーを含むコーティング組成物を、処理済表面上に堆積することと、コーティング組成物を硬化することとを含む、電子装置を製造するためのプロセスも本発明によって提供される。
さらに、本発明は、コーティングされる表面を有する電子装置基板を提供することと、コーティングされる表面を、保護アミノ部分を有する1つ以上の加水分解アミノ−アルコキシシラン、ポリアリーレンオリゴマー、ポリ(環状オレフィン)オリゴマー、アリールシクロブテンオリゴマー、ビニル芳香族オリゴマー、およびそれらの混合物から選択される1つ以上のオリゴマー、水、および有機溶媒を含有する組成物で処理することと、オリゴマーを硬化することとを含む、電子装置を製造するためのプロセスを提供する。
本明細書全体を通して使用する場合、内容が明らかにそれ以外のことを記載しない限り、以下の略称は以下の意味を有するものとする。℃=セ氏温度、g=グラム、L=リットル、mL=ミリリットル、ppm=百万分の一、mm=ミリメートル、μm=ミクロン=マイクロメートル、nm=ナノメートル、およびÅ=オングストローム。「Wt%」は、特に記載のない限り、参照組成物の総重量に基づく、重量パーセントを指す。特に記載のない限り、すべての量は、重量%であり、全ての比率は、モル比である。すべての数値範囲は、かかる数値範囲が、余儀なく合計100%になることが明らかな場合を除いて、任意の順序で組み合わせ可能であり、包括される。冠詞「a」、「an」、および「the」は、単数および複数を指す。
本明細書全体を通して使用する場合、「形体」は、基板、特に、半導体ウェハ上の形状を指す。用語「アルキル」は、直鎖状、分枝状、および環状アルキルを含む。同様に、「アルケニル」は、直鎖状、分枝状、および環状アルケニルを指す。「アリール」は、芳香族炭素環および芳香族ヘテロ環を指す。用語「オリゴマー」は、ダイマー、トリマー、テトラマー、およびさらに硬化することが可能である他の比較的低分子量の材料を指す。用語「硬化」とは、材料または組成物の分子量を増加させる、重合または縮合などの任意のプロセスを意味する。
驚くべきことに、保護アミン部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン(加水分解アミノ保護アルコキシシラン)は、電子装置の製造において使用されるポリアリーレンオリゴマー、ポリ(環状オレフィン)オリゴマー、アリールシクロブテンオリゴマー、ビニル芳香族オリゴマー、およびそれらの混合物から選択されるコーティングオリゴマーのために特に効果的である接着促進剤であることが見出されている。かかるコーティングオリゴマーは、他の用途の中でも誘電コーティング、感光性コーティング、仮結合接着剤、および永久結合接着剤を調製するのに有用である。
様々な加水分解アミノ−アルコキシシランが、本発明で有用である。本明細書で使用する場合、用語「アルコキシシラン」は、「アシロキシシラン」を含む。本明細書で使用する場合、用語「加水分解アミノ−アルコキシシラン」は、1つ以上の一級または二級アミノ部分および1個以上のケイ素原子に直接結合する1個以上のヒドロキシル置換基を有する化合物を指し、部分的加水分解および完全加水分解アミノ−アルコキシシランを含む。部分的加水分解アミノ−アルコキシシランは、ヒドロキシルで置換された分子中に少なくとも1個のケイ素原子、および(C1〜C6)アルコキシまたは(C1〜C6)アシロキシなどの加水分解性基で置換された分子中に少なくとも1個のケイ素原子を有する。完全加水分解アミノ−アルコキシシランは、ケイ素原子上の全ての加水分解性置換基がヒドロキシルと置き換えられたケイ素原子を有する。本加水分解アミノ−アルコキシシランにおいて、アミノ部分は、好ましくは、炭素などの1個以上の無窒素および無ケイ素原子によってケイ素原子から分離される。
本発明の加水分解アミノ−アルコキシシランは、保護アミノ部分を有する、つまり、加水分解アミノ−アルコキシシラン中の一級または二級アミノ部分が、アミン保護基部分と置き換えられたその水素のうちの1つを有する。様々なアミン保護基が本発明での使用に好適であり、提供されるかかる保護基は、熱、酸、またはそれらの組み合わせによって除去することが可能(切断可能)である。好ましくは、アミン保護基は、50〜200℃、より好ましくは75〜200℃、さらにより好ましくは75〜175℃、さらになおより好ましくは100〜175℃の温度などで、熱的に切断可能である。本発明で有用な、好適なアミン保護基は、9−フルオレニルメチルカルバメート、t−ブチルカルバメート、およびベンジルカルバメートなどのカルバメート、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、およびp−トルエンスルホンアミドなどのアミド、ベンジルアミン、トリフェニルメチルアミン(トリチルアミン)、およびベンジリデンアミンを含む。カルバメートが好適なアミン保護基であり、t−ブチルカルバメート(t−BOC)がより好適である。かかるアミン保護基、それらの形成、およびそれらの除去は、当該技術分野において周知である。例えば、T.W.Green et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley−Interscience,New York,1999を参照。
好適な加水分解アミノ−アルコキシシランは、式(I)
のものであり、式中、Rが、(C
1〜C
6)アルキリデン、(C
1〜C
6)アルキレン、(C
6〜C
10)アリーレン、および(C
2〜C
6)アルケニレンから独立して選択され、R
1が、H、(C
1〜C
6)アルキルおよび(C
1〜C
6)アシルから独立して選択され、R
2が、H、−R−SiZ
2(OR
1)、(C
1〜C
6)アルキル、(C
6〜C
10)アリール、および(C
7〜C
15)アルカリールから選択され、各Zが、(C
1〜C
6)アルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、および−OR
1から独立して選択され、Y=アミン保護基であり、式中、各Rが、−(C
1〜C
6)アルキリデン−SiZ
2(OR
1)、および−(C
1〜C
6)アルキレン−SiZ
2(OR
1)のうちの1つ以上で任意選択により置換され、式中、少なくとも1つのR
1がHである。各Rが、好ましくは、(C
1〜C
6)アルキリデン、(C
1〜C
6)アルキレン、および(C
2〜C
6)アルケニレンから独立して選択され、それぞれが、(C
1〜C
6)アルキリデン−Si(Z)
2(OR
1)、および(C
1〜C
6)アルキレン−Si(Z)
2(OR
1)のうちの1つ以上で任意選択により置換される。より好ましくは、各Rが、(C
2〜C
6)アルキリデン、(C
2〜C
6)アルキレン、および(C
2〜C
6)アルケニレンから独立して選択される。R基が(C
1〜C
6)アルキリデン−Si(Z)
2(OR
1)または(C
1〜C
6)アルキレン−Si(Z)
2(OR
1)で置換されるとき、1〜2個のかかる基が存在することが好適である。各R
1は、好ましくは、H、(C
1〜C
4)アルキル、および(C
2〜C
6)アシルから、より好ましくはH、(C
1〜C
3)アルキルおよび(C
2〜C
4)アシルから選択され、さらにより好ましくは各R
1=Hである。各Zが、(C
1〜C
4)アルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、および−OR
1から選択されることが好適であり、より好ましくは、各Zが−OR
1である。好ましくは、R
2が、H、−R−SiZ
2(OR
1)、(C
1〜C
6)アルキル、および(C
7〜C
15)アルカリールから、より好ましくは、H、−R−SiZ
2(OR
1)、および(C
1〜C
6)アルキルから選択される。Yが、−C(O)−O−R
3、−C(O)−R
4、(C
7〜C
20)アルカリール、=CH−C
6H
5、および−SO
2−R
5から選択されることが好適である。R
3が、1〜20個の炭素、好ましくは2〜18個の炭素、より好ましくは4〜14個の炭素を有する一価ヒドロカルビル部分である。R
3の好適なヒドロカルビル部分は、t−ブチル、ベンジル、および9−フルオレニルメチル、およびより好ましくはt−ブチルである。R
4は、1つ以上のハロゲンで置換され得る(C
1〜C
6)アルキルである。R
4が、メチルおよびトリフルオロメチルから選択されることが好適である。R
5が、1〜10個の炭素、および好ましくは1〜7個の炭素を有する一価ヒドロカルビル部分である。R
5がトリルであることが好適である。より好ましくは、Yが、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、トリチル、ベンジリデン、およびトシルから選択される。
また、式(II)
の加水分解アミノ−ポリ(アルコキシ)シランも好適であり、式中、各Rが、(C
1〜C
6)アルキリデン、(C
1〜C
6)アルキレン、(C
6〜C
10)アリーレン、および(C
2〜C
6)アルケニレンから独立して選択され、各R
1が、H、(C
1〜C
6)アルキルおよび(C
1〜C
6)アシルから独立して選択され、各Zが、(C
1〜C
6)アルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、および−OR
1から独立して選択され、およびY=アミン保護基であり、式中、各Rが、−(C
1〜C
6)アルキリデン−SiZ
2(OR
1)および−(C
1−C
6)アルキレン−SiZ
2(OR
1)のうちの1つ以上で任意選択により置換され、および式中、少なくとも1つのR
1がHである。各Rが、好ましくは、(C
1〜C
6)アルキリデン、(C
1〜C
6)アルキレン、および(C
2〜C
6)アルケニレンから独立して選択され、それぞれが、(C
1〜C
6)アルキリデン−Si(Z)
2(OR
1)および(C
1−C
6)アルキレン−Si(Z)
2(OR
1)のうちの1つ以上で任意選択により置換される。より好ましくは、各Rが、(C
2〜C
6)アルキリデン、(C
2〜C
6)アルキレン、および(C
2〜C
6)アルケニレンから独立して選択される。R基が、(C
1〜C
6)アルキリデン−Si(Z)
2(OR
1)または(C
1〜C
6)アルキレン−Si(Z)
2(OR
1)で置換されるとき、1〜2個のかかる基が存在することが好適である。各R
1が、好ましくはH、(C
1〜C
4)アルキル、および(C
2〜C
6)アシルから、より好ましくはH、(C
1〜C
3)アルキル、および(C
2〜C
4)アシルから選択され、およびさらにより好ましくは各R
1=Hである。各Zが、(C
1〜C
4)アルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、および−OR
1から選択されることが好適であり、さらに好ましくは各Zが−OR
1である。好ましくは、R
2が、H、−R−SiZ
2(OR
1)、(C
1〜C
6)アルキル、および(C
7〜C
15)アルカリールから、より好ましくはH、−R−SiZ
2(OR
1)、および(C
1〜C
6)アルキルから選択される。Yが、−C(O)−O−R
3、−C(O)−R
4、(C
7〜C
20)アルカリール、=CH−C
6H
5、および−SO
2−R
5から選択されることが好適である。R
3が、1〜20個の炭素、好ましくは2〜18個の炭素、より好ましくは4〜14個の炭素を有する一価ヒドロカルビル部分である。R
3の好適なヒドロカルビル部分は、t−ブチル、ベンジル、および9−フルオレニルメチルであり、より好ましくはt−ブチルである。R
4が、1つ以上のハロゲンで置換され得る(C
1〜C
6)アルキルである。R
4が、メチルおよびトリフルオロメチルから選択されることが好適である。R
5が、1〜10個の炭素、好ましくは1〜7個の炭素を有する一価ヒドロカルビル部分である。R
5がトリルであることが好適である。より好ましくは、Yが、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、トリチル、ベンジリデン、およびトシルから選択される。
本加水分解アミノ−アルコキシシランは、好ましくは最初にアミノ部分を保護することによって、次に、ケイ素原子上の1個以上の加水分解性基を加水分解することによって調製される。代替的には、本加水分解アミノ−アルコキシシランは、最初にケイ素原子上の1個以上の加水分解性基を加水分解することによって、次にアミノ部分を保護することによって調製される。好適なアミノ−アルコキシシランは、4−アミノブチルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N1,N1−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エタン−1,2−ジアミン、3−(トリメトキシシリル)−N−(2−(トリメトキシシリル)エチル)−N−(3−トリメトキシシリル)プロピル)プロパン−1−アミン、およびビス(3,3,9,9−テトラメトキシ−2,10−ジオキサ−3,9−ジシラウンデカン−6−イル)アミンを含むが、これらに限定されない。アミノ−アルコキシシランは、Sigma−Aldrich(St.Louis、Missouri)などの様々な供給源から市販されており、または文献で周知の任意の好適な方法によって調製され得る。アミノ−アルコキシシランは、さらなる精製なしに使用され得、または当業者に周知の好適な手順を使用して精製され得る。
アミノ部分を保護するための様々な手順が当該技術分野において周知であり、任意のこれらの手順が、本アミノ−アルコキシシラン中のアミノ部分を保護するために使用され得る。一般的に、アミン保護基前駆体化合物は、好適な溶媒中で、任意選択で、触媒の存在下で、アミノ−アルコキシシランと組み合わされ、好適な温度でしばらくの間反応させる。かかるアミン保護基前駆体化合物、溶媒、任意選択の触媒、時間、および温度の選択は当該技術分野においてよく知られている。例えば、T.W.Green et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley−Interscience,New York,1999を参照。例えば、t−ブチルカルバメート(またはt−BOC)を保護アミノ部分として形成するために、アミノ−アルコキシシランを、エーテル溶媒中で溶解させ、次に、所望の量のジ−t−ブチルジカーボネートと組み合わせ、室温で一晩反応させる。一般的に、アミン保護基前駆体化合物対アミノ部分のモル比は、≧0.8:1、好ましくは≧0.9:1、さらにより好ましくは≧1:1、例えば、1:1〜2:1、およびさらになおより好ましくは>1:1、例えば、1.05:1〜1.5:1である。
本発明のアミノ−アルコキシシランは、アミノ−アルコキシシランが所望の量の水と接触する、またはアミノ−アルコキシシランを揮発性溶媒の存在下で水と接触させることによって、またはアミノ−アルコキシシランを所望の水準の加水分解を生じさせるのに十分な残留水含有量を有する、好適な溶媒とを単に組み合わせることによって、などの当該技術分野において周知の手順に従って加水分解され得る。揮発性溶媒(または溶媒混合物)が使用される場合、加水分解アミノ−アルコキシシランが、コーティングオリゴマーを含有する組成物に導入されるより前に任意選択で除去される。代替的には、加水分解は、アミノ−アルコキシシランを、所望の水準の加水分解を生じさせるのに十分な残留水を有する、好適な有機溶媒と組み合わせることによって実施される。代替として、所望の量の水が、最初に所望の溶媒と組み合わされ、次に、この混合物をアミノ−アルコキシシランと組み合わせる。使用された水の量は、所望の水準の加水分解を提供するのに十分な量である。典型的には、水の量は、組成物の総重量に基づいて、0.01〜3重量%の水である。任意選択で、酸性または塩基性触媒が加水分解反応において用いられ得る。別個の触媒が添加される場合、触媒が酸性であることが好適である。
任意選択の酸性または塩基性触媒は、アミノ−アルコキシシランの加水分解に触媒作用を及ぼすであろう、任意の酸性または塩基性化合物、またはイオン交換樹脂または膜であり得る。酸性触媒の例としては、硝酸、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、メタンスルホン酸、およびリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。塩基性触媒の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、および三級アミンが挙げられるが、これらに限定されない。存在するとき、触媒が、加水分解反応に触媒作用を及ぼすのに十分な量で使用される。有利に用いられる触媒の量は、加水分解の所望の速度、触媒、使用されるアミノ−アルコキシシラン、および所望の加水分解の程度を含むいくつかの要因によって決まるであろう。好ましくは、触媒は、0.1:1〜3:1触媒対アミノ−アルコキシシランのモル比で存在する。より好ましくは、触媒は、0.2:1〜1.5:1、およびさらにより好ましくは0.25:1〜1:1、触媒対アミノ−アルコキシシランのモル比で存在する。
加水分解反応において、本アミノ−アルコキシシラン、水、溶媒、および任意選択の触媒を、所望の加水分解が完了するまで混合する。加水分解完了の時間は、使用される特定の反応物質および所望の加水分解の水準を含むいくつかの要因次第で変化するであろう、一方、一般的に、加水分解は、1分〜48時間、好ましくは1分〜24時間、およびより好ましくは1分〜12時間で完了する。一般的に、低水準の水の使用のために、アミノ−アルコキシシラン、水、および溶媒は、単一相混合物を形成するであろう。好ましくは、有機溶媒、または有機溶媒混合物が、有機溶媒が水とあらゆる割合で混ざるように、選択される。一般的に、混合物を、単一相が加水分解反応を完了するために得られた後に、1分〜2時間撹拌する。加水分解が実施される温度は、好ましくは約15〜100℃、より好ましくは20〜50℃、および最も好ましくは20〜25℃である。加水分解速度は、温度上昇と共に増加する。好ましくは、加水分解は、触媒の不在下で実施される。かかる手順で、所望量の水を所望の溶媒と混合し、次に、アミノ−アルコキシシランと組み合わせ、所望の程度の加水分解が起こるのに十分な時間撹拌する。好ましくは、使用される溶媒は、処理(接着促進剤)組成物を調製するのに使用される溶媒と同様のものである。この方法は、特定のアミノ−アルコキシシランおよび加水分解が起こる温度次第で最大数日かかり得る。いくつかの用途において、残留触媒水準が加水分解アミノ−アルコキシシランのその後の使用に悪影響を及ぼすときにこの方法が好適である。
理論に束縛されるものではないが、アミノ−アルコキシシランの加水分解が、部分的加水分解および完全加水分解アミノ−アルコキシシラン、およびオリゴマー化された可能性のあるアミノ−アルコキシシランの混合物を生成すると考えられている。用語「加水分解アミノ−アルコキシシラン」は、それぞれが任意選択で非加水分解アミノ−アルコキシシランまたはオリゴマー化アミノ−アルコキシシランの存在下で、部分的加水分解および完全加水分解アミノ−アルコキシシランを個別におよび混合したものを含むことを意味する。オリゴマー化は、加水分解または部分的加水分解アミノ−アルコキシシランが、別のアミノ−アルコキシシランと反応し、水およびSi−O−Si結合を生成するときに起こる。本明細書で使用する場合、用語「加水分解アミノ−アルコキシシラン」は、アミノ−アルコキシシランの全ての水準の加水分解、つまり部分的加水分解および完全加水分解、ならびに、オリゴマー化アミノ−アルコキシシランを包括する。
加水分解アミノ−保護アルコキシシランの混合物は、本発明で使用され得、式(I)の2つ以上のアミノ−保護−アルコキシシランの混合物、または式(II)の2つ以上のアミノ−保護−アルコキシシランの混合物、または式(I)の2つ以上のアミノ−保護−アルコキシシランおよび式(II)の2つ以上のアミノ−保護−アルコキシシランの混合物などである。代替的には、本発明の1つ以上の加水分解アミノ−保護−アルコキシシランと非保護アミノ部分を有する1つ以上の加水分解アミノ−アルコキシシランの混合物が使用され得る。保護および非保護アミノ−アルコキシシランの混合物が使用されるとき、保護対非保護アミノ−アルコキシシランの比率が、80:20〜99:1、好ましくは85:15〜99:1、およびより好ましくは90:10〜99:1の範囲であることが好適である。かかる混合物で有用な、好適な非保護アミノ−アルコキシシランは、式(I)および/または(II)で、式中、YがHであるものである。
本発明の接着促進剤組成物は、1つ以上の加水分解アミノ−保護−アルコキシシラン、水、および1つ以上の有機溶媒を含有する。任意選択で、本接着促進剤組成物は、非保護アミノ部分を有する1つ以上の加水分解アミノ−アルコキシシランをさらに含有し得る。水が別々に組成物に添加され得、または加水分解アミノ−保護−アルコキシシランと共に存在し得、または使用される有機溶媒中に存在し得る。本接着促進組成物中に使用される溶媒は、加水分解アミノ−アルコキシシランが可溶性である任意の単一有機溶媒または2つ以上の有機溶媒の混合物であり得る。有機溶媒の例としては、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、およびアルキルナフタリン、アルコール、例えば、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、およびメチルイソブチルカルビノール、ジオール、例えば、1,2プロパンジオール、1,3プロアパン(proapane)ジオール、1,2ブタンジオール、1,4ブタンジオール、1,2,ヘキサンジオール、1,6ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エステル、例えば、エチルラクテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、およびメチル2−ヒドロキシイソブチレート、ラクトン、例えば、γブチロラクトン、ラクタム、例えば、N−メチルピロリジノン、エーテル、例えば、アニソール、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)、プロピレングリコールプロピルエーテル(PGPE)、プロピレングリコールフェニルエーテル(PGPHE)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびジプロピレングリコールジメチルエーテル異性体(The Dow Chemical CompanyからProglyde(商標)DMMとして市販されている)、ケトン、例えば、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、限定されない。
任意選択で、本接着促進剤組成物は、金属不動態化剤および潜在酸性触媒から選択される1つ以上の添加剤を含み得る。金属不動態化剤は、処理される基板の表面上に含まれる金属の腐食を防止するために有用であり得る。かかる腐食は、本アミノ−アルコキシシランの加水分解で使用される残留酸性触媒が原因であり得る。様々な金属不動態化剤は、当該技術分野において周知であり、任意のものが本組成物で使用され得る。好適な金属不動態化剤としては、トリアゾール、置換トリアゾール、ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、テトラゾール、置換テトラゾール、イミダゾール、置換イミダゾール、ベンズイミダゾール、置換ベンズイミダゾールなどが挙げられるが、限定されない。かかる金属不動態化剤は、典型的には、0〜5000ppm、好ましくは0〜1000ppm、およびより好ましくは1〜1000ppmの量で使用される。潜在酸性触媒は、アミン保護基を加水分解アミノ−アルコキシシランから切断するのを助けるために、接着促進剤組成物に添加され得る。潜在酸性触媒は、熱酸発生剤および光酸発生剤を含む。様々な熱酸発生剤および光酸発生剤が、当該技術分野において周知であり、任意のものが本発明で使用され得る。かかる潜在酸性触媒は、典型的には、0.1:1〜3:1潜在触媒対加水分解アミノ−アルコキシシランのモル比で接着促進剤組成物中に存在する。より好ましくは、潜在触媒は、0.2:1〜1.5:1、およびさらにより好ましくは0.25:1〜1:1、潜在触媒対加水分解アミノ−アルコキシシランのモル比で存在する。
一般的に、本接着促進剤組成物は、0.01〜10重量%のアミノ−アルコキシシランおよび/または加水分解アミノ−アルコキシシラン、0.01〜3重量%の水、および90〜99.98重量%の有機溶媒を含有する。好ましくは、接着促進剤組成物は、0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜3重量%、さらにより好ましくは0.05〜2重量%のアミノ−アルコキシシランおよび/または加水分解アミノ−アルコキシシランを含有する。水の量は、好ましくは0.05〜2重量%、およびより好ましくは0.1〜2重量%である。好ましくは、接着促進剤組成物は、90〜99.95重量%の有機溶媒、より好ましくは95〜99.95重量%、およびさらにより好ましくは98〜99.9重量%を含有する。具体的には、好適な組成物は、0.1〜2重量%のアミノ−アルコキシシランおよび/または加水分解アミノ−アルコキシシラン、0.05〜1.5重量%の水、および97〜99.95重量%の有機溶媒を含有する。
本接着促進剤組成物は、典型的には、次に適用されるコーティング組成物の接着を改善するために電子装置基板に適用される。装置を製造するための本プロセスは、コーティングされる表面を有する装置基板を提供することと、コーティングされる表面を、保護アミノ部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン、水、および有機溶媒を含有する組成物で処理することと、ポリアリーレンオリゴマー、ポリ(環状オレフィン)オリゴマー、アリールシクロブテンオリゴマー、ビニル芳香族オリゴマー、およびそれらの混合物から選択されるオリゴマーを含有する組成物を処理済表面上に堆積することとを含む。
装置は、電子装置の製造に使用される任意の好適な基板であり得、マルチチップモジュールなどの実装基板、フラットパネル表示装置基板、集積回路基板、発光ダイオードの基板(LED)、半導体ウェハ、多結晶シリコン基板などを含むが、限定されない。コーティング組成物でコーティングされ得る例示的な装置基板は、金属、例えば、アルミニウム、銅、金、銀、チタン、タンタル、ニッケル、スズ、スズ合金など、セラミック、例えば、アルミナ、シリカ、サファイア、MgO、スピネル、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、およびガリウムヒ素を含むBeO、ガラス、例えば、繊維ガラス、石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、Gorilla(商標)ガラス、Pyrex(商標)ガラスおよびVycor(商標)ガラス、および半導体ウェハを含む。幅広い種類の半導体ウェハが、本発明で用いられ得る。本明細書で使用する場合、用語「半導体ウェハ」は、「電子装置基板」、「半導体基板」、「半導体装置」、およびシングルチップウェハ、マルチチップウェハを含む様々な水準の相互接続の様々な実装、様々な水準の実装、またははんだ接続を必要とする他のアセンブリを包括することを意図する。具体的には、好適な基板は、パターンシリコンウェハおよびパターンガリウムヒ素ウェハなどのパターンウェハである。かかるウェハは、200mm〜300mmの直径などの任意の好適な寸法であり得るが、それより小さいおよび大きい直径を有するウェハを使用してもよい。用語「半導体基板」は、バルク半導電性材料、例えば、半導電性ウェハであり、単体またはそれらの上に他の材料を含むアセンブリのどちらかで、および半導電性材料層であり、単体または他の材料を含むアセンブリのどちらかで、を含むがこれらに限定されない、半導電性材料を含む任意の構造物を意味するように定義される。半導体装置は、少なくとも1つのマイクロ電子装置が組立てられた、または組立てられている半導体基板を指す。任意選択で、基板は、表面化学を制御するためにコーティング組成物の適用より前に、酸エッチング、酸素プラズマエッチング、またはRCA洗浄等の任意の好適な周知のプロセスによって処理され得る。
装置基板表面は、任意の好適な方法を使用して、それを本接着促進剤組成物と接触させることによって処理される。当該技術分野においてよく知られる例示的な方法は、他の方法の中でも、回転コーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング、ディップコーティング、スクリーン印刷、および気相成長を含む。半導体製造工業において、回転コーティングは、現存する設備およびプロセスを活用するのに好適である。基板表面上に堆積された後、次のステップより前に溶媒は接着促進剤組成物から除去され、加水分解アミノ−アルコキシシラン中のアミノ部分は、脱保護される、つまり、アミン保護基が切断(除去)される。溶媒除去は、典型的には、基板をしばらく加熱(焼成)することによって達成される。好ましくは、処理済表面は、単一ステップにおいて、溶媒を除去し、アミン保護基を切断する条件を受ける。熱的切断可能アミン保護基、例えば、t−ブチルカルバメートでは、基板は、アミン保護基を切断するのに十分な温度に曝される。熱酸発生剤が潜在酸性触媒として使用されるとき、処理済基板は、典型的には、酸性触媒を生成するのに十分な温度に曝される。アミン部分を脱保護するのに好適な温度は、50〜250℃、好ましくは75〜200℃、より好ましくは100〜200℃、およびさらにより好ましくは125〜200℃である。一般的に、処理済基板は、5秒〜60分、好ましくは5秒〜30分、およびより好ましくは30秒〜10分というしばらくの間加熱され、溶媒を除去し、アミン保護基を切断する。
装置基板を接着促進剤組成物で処理した後、ポリアリーレンオリゴマー、ポリ(環状オレフィン)オリゴマー、アリールシクロブテンオリゴマー、ビニル芳香族オリゴマー、およびそれらの混合物から選択されるオリゴマーを含有するコーティング組成物を処理済表面に配置し、好ましくはオリゴマーは、アリールシクロブテンオリゴマー、ビニル芳香族オリゴマー、およびそれらの混合物から選択され、およびより好ましくはオリゴマーは、アリールシクロブテンオリゴマーから選択される。かかる組成物は、接着促進剤を基板上に配置するための任意の上述の方法を使用して、配置され得る。典型的には、コーティング組成物は、1つ以上のオリゴマー、1つ以上の有機溶媒、および任意選択で1つ以上の付加的な成分、例えば、硬化剤、コーティング促進剤などを含有する。
幅広い種類のポリアリーレンオリゴマーが、本発明で使用され得る。本明細書で使用する場合、用語「ポリアリーレン」は、用語「ポリアリーレンエーテル」を含む。好適なポリアリーレンオリゴマーは、前駆体、例えば、式
のエチニル芳香族化合物から合成され得、式中、各Arが、芳香族基または不活性置換芳香族基であり、各R
2が、独立して、水素、アルキル、アリールまたは不活性置換アルキルまたはアリール基であり、Lが、共有結合または1つのArと少なくとも1つの他のArを結合する基であり、nおよびmが、少なくとも2の整数であり、およびqが、少なくとも1の整数であるか、またはエチレン性不飽和末端基、例えば、アクリレート、メチアクリレート、およびオレフィン含有基を有する芳香族化合物からである。本発明で有用な、好適なポリアリーレンオリゴマーは、式
の重合単位を含み、式中、Ar’は、(C≡C)
n−ArまたはAr−(C≡C)
m部分の生成物の反応の残留であり、R
2、L、nおよびmは、上記のとおりである。本発明で有用なポリアリーレンコポリマーオリゴマーは、式
の重合単位を含み、式中、Ar’およびR
2は上記のとおりである。
例示的なポリアリーレンオリゴマーは、Ar−L−Arが、2,2−ジフェニルプロパン(または−C6H4−C(CH3)2−C6H4−)、9,9’−ジフェニルフルオレン、2,2−ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ビフェニレン、ジフェニルスルフィド、オキシジフェニレン、ジフェニルエーテル、ビス(フェニレン)ジフェニルシラン、ビス(フェニレン)ホスフィンオキシド、ビス(フェニレン)ベンゼン、ビス(フェニレン)ナフタリン、ビス(フェニレン)アントラセン、チオジフェニレン、1,1,1−トリフェニレンエタン、1,3,5−トリフェニレンベンゼン、1,3,5−(2−フェニレン−2−プロピル)ベンゼン、1,1,1−トリフェニレンメタン、ナフチレン、1,1,2,2−テトラフェニレン−1,2−ジフェニルエタン、ビス(1,1−ジフェニレンエチル)ベンゼン、2,2’−ジフェニレン−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジフェニレン−1−フェニルエタン、アントラセニレン(anthracenylene)、およびビス(フェニレン)ナフタセンであるものを含むが、これらに限定されない。
好適なポリアリーレンオリゴマーは、一般的に市販されており、例えば、SiLK(商標)半導体誘電(Dow Electronic Materials、Marlborough、Massachusettsから入手可能)として販売されるもの、または当該技術分野において周知の様々な方法、例えば、国際特許出願第WO97/10193号、第WO00/31183号、第WO98/11149号、第WO97/10193号、第WO91/09081号、および米国特許第5,115,082号、第5,155,175号、第5,179,188号、第5,874,516号、および第6,093,636号で開示されるものによって調製され得る。
好適な環状オレフィン材料は、好ましくは2000〜200,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有し、少なくとも100℃の軟化温度(3,000PaSの融解粘度)を有するポリ(環状オレフィン)である。好適なポリ(環状オレフィン)は、環状オレフィンおよび非環状オレフィンの繰り返しモノマー、または環状オレフィンに基づく開環ポリマーから成る。本発明で使用するのに好適な環状オレフィンは、ノルボルネン系オレフィン、テトラシクロドデセン系オレフィン、ジシクロペンタジエン系オレフィン、およびそれらの誘導体から選択される。誘導体は、アルキル(好ましくはC1〜C20アルキル)、アルキリデン(好ましくはC1〜C20アルキリデン)、アラルキル(好ましくはC6〜C30アラルキル)、シクロアルキル(好ましくはC3〜C30シクロアルキル)、エーテル、アセチル、芳香族、エステル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、アミド、イミド、およびシリル置換誘導体を含む。具体的に、本発明で使用するための好適な環状オレフィンは、
および前述の組み合わせから選択されるものを含み、各R
3およびR
4が、H、およびアルキル基から独立して選択され、各R
5が、H、置換および非置換アリール基(好ましくはC
6〜C
18アリール)、アルキル基(好ましくはC
1〜C
20アルキル)、シクロアルキル基(好ましくはC
3〜C
30シクロアルキル基)、アラルキル基(好ましくはC
6〜C
30アラルキル、例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルなど)、エステル基、エーテル基、アセチル基、アルコール(好ましくはC
1〜C
10アルコール)、アルデヒド基、ケトン、ニトリル、およびそれらの組み合わせから独立して選択される。好適な環状オレフィンは、分枝状および非分枝状C
2〜C
20アルケンから選択される。
好適な環状オレフィンオリゴマーは、ZEONOR(商標)(Zeon Chemicalsから)、ARTON(商標)(JSR Corporationから)、TOPAS(商標)(Topas Advanced Polymersから入手可能)、およびAPEL(商標)(Mitsui Chemicalsによって製造される)の商標で入手可能である。代替的には、好適な環状オレフィンオリゴマーは、当該技術分野において周知の方法、例えば、米国特許第5,191,026号、および第6,008,298号に記載のものによって調製され得る。
アリールシクロブテンオリゴマーは、当該技術分野において良く知られている。好適なアリールシクロブテンオリゴマーは、式
を有するものを含むが、これらに限定されず、式中、Bが、n価連結基であり、Arが、多価アリール基であり、およびシクロブテン環の炭素原子が、Arの同様の芳香族環上の隣接する炭素原子に結合し、mが、1以上の整数であり、nが、1以上の整数であり、およびR
7が、一価基である。好ましくは、多価アリール基、Arは、1〜3芳香族炭素環式またはヘテロ芳香族環から構成され得る。多価アリール基は単一芳香族環、より好ましくはフェニル環を含むことが好適である。多価アリール基は、(C
1〜C
6)アルキル、トリ(C
1〜C
6)アルキルシリル、(C
1〜C
6)アルコキシ、およびハロから選択される1〜3基で、好ましくは(C
1〜C
6)アルキル、トリ(C
1〜C
3)アルキルシリル、(C
1〜C
3)アルコキシ、およびクロロのうちの1つ以上で、およびより好ましくは(C
1〜C
3)アルキル、トリ(C
1〜C
3)アルキルシリル、および(C
1〜C
3)アルコキシのうちの1つ以上で、任意選択により置換される。多価アリール基は非置換であることが好適である。n=1または2であることが好適であり、およびより好ましくはn=1である。好ましくは、m=1〜4であり、より好ましくはm=2〜4であり、およびさらにより好ましくはm=2である。R
7がHおよび(C
1〜C
6)アルキルから選択されることが好適であり、およびさらに好ましくはHおよび(C
1−C
3)アルキルから選択されることである。好ましくは、Bは、1つ以上の炭素−炭素二重結合(エチレン性不飽和)を含む。好適な一価B基は、好ましくは式−[C(R
8)=CR
9]
×Z
1を有し、式中、R
8およびR
9が、水素、(C
1〜C
6)アルキル、およびアリールから独立して選択され、Z
1が、水素、(C
1〜C
6)アルキル、アリール、シロキサニル(siloxanyl)、−CO
2R
10から選択され、各R
10が、H、(C
1〜C
6)アルキル、アリール、アラルキル、およびアルカリールから独立して選択され、およびx=1または2である。好ましくは、R
8およびR
9が、H、(C
1〜C
3)アルキル、およびアリール、およびより好ましくはHおよび(C
1−C
3)アルキルから独立して選択される。R
10が、(C
1〜C
3)アルキル、アリール、およびアラルキルであることが好適である。Z
1は、好ましくはシロキシルである。好適なシロキシル基は、式−[Si(R
11)
2−O]p−Si(R
11)
2−を有し、式中、各R
11が、H、(C
1〜C
6)アルキル、アリール、アラルキル、およびアルカリールから独立して選択され、およびpが、1以上の整数である。R
11が、(C
1〜C
3)アルキル、アリール、およびアラルキルから選択されることが好適である。好適なアラルキル基は、ベンジル、フェネチルおよびフェニルプロピルを含む。
好ましくは、アリールシクロブテンオリゴマーは、
式の1つ以上のオリゴマーを含み、式中、各R
12が、Hおよび(C
1〜C
6)アルキルから、および好ましくはHおよび(C
1−C
3)アルキルから独立して選択され、各R
13が、(C
1〜C
6)アルキル、トリ(C
1〜C
6)アルキルシリル、(C
1〜C
6)アルコキシ、およびハロから独立して選択され、各R
14が、独立して、二価、エチレン性不飽和有機基であり、各R
15が、H、(C
1〜C
6)アルキル、アラルキルおよびフェニルから独立して選択され、pが、1以上の整数であり、およびqが、0〜3の整数である。各R
12が、好ましくはHおよび(C
1〜C
3)アルキルから独立して選択され、およびより好ましくは各R
12がHである。各R
13が、(C
1〜C
6)アルキル、トリ(C
1〜C
3)アルキルシリル、(C
1〜C
3)アルコキシ、およびクロロから独立して選択されることが好適であり、およびより好ましくは(C
1−C
3)アルキル、トリ(C
1〜C
3)アルキルシリル、および(C
1〜C
3)アルコキシから独立して選択される。好ましくは、各R
14が、(C
2〜C
6)アルケニルから独立して選択され、およびより好ましくは各R
14が−CH=CH−である。各R
15が、好ましくは(C
1−C
3)アルキルから選択され、およびより好ましくは各R
15がメチルである。好ましくは、p=1〜5、より好ましくはp=1〜3、およびさらにより好ましくはp=1である。q=0であることが好適である。特に好適なアリールシクロブテンオリゴマー、1,3−ビス(2−ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−3−イルエテニル)−1,1,3,3テトラメチルジシロキサン(「DVS−ビスBCB」)は、以下の式を有する。
アリールシクロブテンオリゴマーは、任意の好適な手段、例えば、米国特許第4,812,588号、第5,136,069号、第5,138,081号、および国際特許出願第WO94/25903号に記載のものによって調製され得る。好適なアリールシクロブテンオリゴマーはまた、Dow Electronic Materialsから入手可能なCyclotene(商標)の商標で市販される。アリールシクロブテンオリゴマーは、そのままで使用してもよいし、また任意の好適な手段によってさらに精製してもよい。
ビニル芳香族オリゴマーは、当該技術分野において良く知られている。かかるビニル芳香族オリゴマーは、ビニル芳香族モノマーのみのオリゴマー、および1つ以上の反応性エチレン性不飽和コモノマーを伴うビニル芳香族モノマーのオリゴマーを含む。好適なビニル芳香族モノマーは、1つ以上の水素が(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ハロ、およびアミノの群から選択される置換基群と置き換えられる非置換ビニル芳香族モノマーおよび置換ビニル芳香族モノマーである。例示的なビニル芳香族モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルアニソール、ビニルジメトキシベンゼン、ビニルアニリン、ハロスチレン、例えば、フルオロスチレン、α−メチルスチレン、β−メトキシスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロール、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。好適な反応性コモノマーは、反応性部分、つまり、ビニル芳香族オリゴマーのために使用されるオレフィン性(またはエチレン性不飽和)部分に加えて、ビニル芳香族オリゴマー、例えば、アリル部分またはビニル基の形成の後のさらなる重合(または架橋)が可能な部分、を含むものである。より好ましくは、反応性コモノマーは、ビニル芳香族オリゴマーを形成するために使用されるエチレン性不飽和に加えて、アリル部分を含む。例示的な反応性コモノマーは、ビニルシクロヘキサン、ビニルエーテル、非対称ジエンまたはトリエン、例えば、テルペンモノマー、ジアリルマレアート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、アリルシンナマート、ジアリルフマレート、アリルチグレート、ジビニルベンゼン、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。1つ以上の第2のコモノマーはまた、ビニル芳香族オリゴマーを形成するために使用され得ることが当業者によって理解されるであろう。かかる第2のコモノマーは、エチレン性不飽和であるが、反応性部分を含まない。例示的な第2のコモノマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(C1〜C10)アルキル(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、置換エチレンモノマー、およびポリ(アルキレンオキシド)モノマーを含むが、これらに限定されない。
かかるビニル芳香族オリゴマー中のビニル芳香族モノマー対コモノマーのモル比は、好ましくは99:1〜1:99である。典型的には、ビニル芳香族オリゴマーは、ビニル芳香族モノマーおよびコモノマーのフリーラジカル重合によって調製されるが、当該技術分野において周知の任意の方法によって調製されてもよい。
コーティング組成物は、上述のとおりの1つ以上のオリゴマーを1つ以上の有機溶媒、および1つ以上の任意選択の成分と組み合わせることによって調製される。オリゴマーが、アリールシクロブテンオリゴマーであることが好適である。好適な有機溶媒は、接着促進剤組成物において使用するために上述されたものを含む。コーティング組成物中の例示的な任意選択の成分は、1つ以上の硬化剤、1つ以上の抗酸化剤などを含む。硬化剤は、オリゴマーの硬化に役立ち得、熱または光によって活性され得る。好適な硬化剤は、熱的に生成される開始剤および光開始剤を含む。かかる硬化剤の選択は、十分当業者の能力の範囲内である。コーティング組成物中のオリゴマー、溶媒、および任意選択の成分の量は、広範囲にわたって変化し得、これは当業者の能力の範囲内である。コーティング組成物中の固形分は、回転速度に沿って、接着促進剤処理済表面上のコーティング組成物の所望の厚さに到達するように、調節され得ることが当業者によって理解されるであろう。
コーティング組成物は、接着促進された装置基板表面上に、接着促進剤を装置基板上に配置するために上述したものなどの任意の好適な方法によって、配置(またはコーティング)され得る。コーティング組成物を配置するかかる方法は、当該技術分野においてよく知られている。接着促進された表面上に堆積された後、コーティング組成物は、典型的には、選択されたオリゴマーに好適な方法を使用して硬化される。かかる硬化方法は、当該技術分野において良く知られている。例えば、アリールシクロブテンオリゴマーは、熱によって、または感光性アリールシクロブテンオリゴマーの場合は、適切な波長の化学線(光線)に露出することによって、硬化され得る。
また、本発明によって提供されるのは、保護アミノ部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン、水、有機溶媒、およびポリアリーレンオリゴマー、ポリ(環状オレフィン)オリゴマー、アリールシクロブテンオリゴマー、ビニル芳香族オリゴマー、およびそれらの混合物から選択されるコーティングオリゴマーを含有する自吸式コーティング組成物である。好ましくは、コーティングオリゴマーは、アリールシクロブテンオリゴマー、ビニル芳香族オリゴマー、およびそれらの混合物から選択され、およびより好ましくはコーティングオリゴマーが、アリールシクロブテンオリゴマーである。任意選択で、これらの自吸式組成物は、抗酸化剤、光架橋剤、およびコーティング促進剤などの1つ以上の付加的な成分を含有し得る。かかる任意選択の成分は、当該技術分野において良く知られている。上述の任意の加水分解アミノ−アルコキシシランが、この組成物において使用され得る。コーティング組成物のために上述された任意のオリゴマーが、この自吸式組成物において使用され得、および好ましくはオリゴマーが、アリールシクロブテンオリゴマーである。好適な有機溶媒は、接着促進剤組成物において使用するために上述されたものである。本明細書で使用する場合、用語「自吸式コーティング組成物」は、接着促進加水分解アミノ−アルコキシシラン水、有機溶媒、およびコーティングオリゴマーを含有する組成物を指す。これらの自吸式コーティング組成物の利点は、接着促進剤を適用する別個のステップを免れ得ることである。代替的には、これらの自吸式コーティング組成物は、次のコーティング層がその上に配置される第1のコーティング層を形成するために使用され得る。特定の用途において、自吸式コーティング組成物の使用は、別個の接着促進剤組成物の使用よりも好適である。かかる自吸式組成物は、誘電コーティング、感光性コーティング、仮接着剤、永久接着剤などを形成するために、適切に使用され得る。
自吸式コーティング組成物において用いられる加水分解アミノ−アルコキシシラン、水、有機溶媒、およびコーティングオリゴマーの量は、特定の最終使用用途および所望の特性を含むいくつかの要因によって決まる。自吸式コーティング組成物が、次にそれに適用される1つ以上のコーティングオリゴマー層を有することを意図する場合、自吸式コーティング組成物は、典型的には、次のコーティングオリゴマー層が使用されないときよりも少ない量のコーティングオリゴマーを含有するであろう。一般的に、その意図される最終用途に関わらず、自吸式コーティング組成物は、重量パーセントが組成物の総重量に基づく、0.01〜10重量%の加水分解アミノ−アルコキシシラン、0.01〜3重量%の水、10〜99.98重量%の有機溶媒、および0.01〜90重量%のコーティングオリゴマーを含有する。好ましくは、自吸式コーティング組成物は、0.01〜5重量%の加水分解アミノ−アルコキシシラン、より好ましくは0.01〜3重量%、およびさらにより好ましくは0.01〜2重量%を含む。次のコーティングオリゴマー組成物が、自吸式組成物上に配置されるであろうとき、自吸式コーティング組成物中のコーティングオリゴマーが≧0.01、より好ましくは≧1、さらにより好ましくは2〜20重量%、およびさらにより好ましくは5〜20重量%の量で存在することが好適である。次のコーティングオリゴマー組成物が、自吸式コーティング上に配置されないであろうとき、コーティングオリゴマーが、≧5、より好ましくは≧10、およびさらにより好ましくは20〜90重量%の量で組成物中に存在することが好適である。好適な量の水は、0.05〜2重量%で変化する。好適な量の有機溶媒は、10〜98重量%、より好ましくは20〜90重量%、およびさらにより好ましくは20〜75重量%と変化する。一実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.01〜10重量%の保護アミノ部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン、0.05〜2重量%の水、40〜99.5重量%の有機溶媒、および1〜80重量%のコーティングオリゴマーを含有する。別の実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.01〜10重量%の保護アミノ部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン、0.05〜2重量%の水、10〜99.9重量%の有機溶媒、および0.01〜90重量%のコーティングオリゴマーを含有する。
自吸式コーティング組成物は、接着促進組成物のために上述された任意の方法を使用して、コーティングされた膜を形成するために装置基板上に配置され得る。回転コーティングは、好適な方法である。装置基板上に配置した後で、コーティングされた膜を、典型的には、熱、化学線(光線)への露出、またはそれらの組み合わせによって硬化する。感光性アリールシクロブテンは、典型的には、さらなる硬化より前に、光架橋される。使用される特定の硬化条件は、選択された特定のオリゴマー、コーティングされた膜が誘電性かまたは接着性かどうかなどの特定の用途、ならびに、当業者に周知の他の要素によって決まる。
実施例1:本発明の接着促進組成物を、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(0.41重量%、1.2mmol)、(3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル)トリメトキシシラン(0.21重量%、アミノ部分に基づいて1.9mmol)、およびPGME(99.38重量%および残留水が存在)を組み合わせることによって調製した。組成物を、室温で、一晩熟成した。次に、ジ−t−ブチルジカーボネート(0.6重量%、2.7mmol)を組成物に添加し、組成物を一晩反応させ、t−BOC保護アミノ部分を伴う加水分解シランの大半および非保護アミノ部分を伴う加水分解シランの少量の混合物を提供した。組成物(サンプル1)を、次に、20nmポリプロピレンフィルターで濾過した。溶媒中に存在する水および残留アミン官能性が、シランの加水分解を可能にするこのサンプル中に存在した。
実施例2:サンプル1と塩基反応性光誘電との適合性を評価した。サンプル1および酸性官能性を有する市販の現像可能なベンゾシクロブテン光誘電を、ガラス製ネジ蓋バイアル瓶内で1:1の重量比で組み合わせ、透明溶液を形成した。
比較実施例1:比較接着促進組成物(比較1)を、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(0.41重量%)、(3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル)トリメトキシシラン(0.21重量%)、およびPGME(99.38重量%)を組み合わせることによって調製した。組成物を、室温で、一晩熟成した。比較1を、実施例2からの酸性官能性を有する市販の現像可能なベンゾシクロブテン光誘電と1:1の重量比で、ガラス製ネジ蓋バイアル瓶内で組み合わせた。沈殿物が、比較1と光誘電材料の混合に際して形成された。
実施例3:サンプル1および比較1の接着促進剤を、平版印刷試験を使用して評価した。サンプル1および比較1それぞれを、200mm試験ウェハ上にSite Trac TT5−XPコーティング機を使用して、2000rpmの回転速度で、40秒間コーティングし、続いて、90℃または180℃で90秒間焼成し、触媒除去を確実にした。コーティング不良は、どの接着促進剤サンプルにおいても観察されなかった。接着促進剤の焼成コーティング後厚さを表1に記載する。データからわかるように、180℃で焼成したサンプル1のコーティング厚さは、90℃で焼成したときよりもかなり低い。膜厚さにおけるこの差は、加水分解アミノ−アルコキシシランのアミン部分の脱保護を示す。
ベンゾシクロブテン誘電樹脂を、各接着促進されたウェハに、Site Trace TT6−XPを使用して、約1500rpmの回転速度でコーティングし、約6.5μmの膜厚さを目標とした。回転コーティングされた誘電を、次に、90℃で90秒間軟焼成し、溶媒除去を確実にした。次に、誘電コーティング済ウェハを、ASML200i−ラインステッパに、明視野レチクルを使用して露出し、様々な寸法のポスト(1〜25μm)の列をウェハ上に印刷するために印刷した。露出後、15分の露出後保持を利用して、膜内に水分拡散し直させた。露出後、誘電樹脂の露出した領域をSite Trac TTP−X5上にCD−26現像液を使用して、60秒の単一パドル、続いて90秒の脱イオン化水洗浄を用いて、現像した。印刷後解像度を表1に記載する。印刷後解像度は、現像後の最低形体寸法の残余である。表1のデータからわかるように、最高解像度には、アミノ保護部分を切断するために180℃で焼成されたサンプル1を使用して到達した。
実施例4:本発明の接着促進組成物を、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)/ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)の95/5w/w溶媒混合物中にビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミン(0.5重量%)を溶解することによって調製し、次に、ジ−t−ブチルジカーボネートの1.2モルのアミン当量を組成物に添加し、混合物を一晩反応させ、t−BOC保護アミノ部分を提供した。次に、2000ppmの硝酸および1.18重量%の水を添加し、組成物を反応させ、保護アミノ部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン(サンプル2)を提供し、続いて、0.1μmのポリプロピレンフィルターで濾過した。
サンプル2を、市販の塩基反応性誘電(Cyclotene(商標)6505樹脂、Dow Electronic Materials、Marlborough、Massachusettsから入手可能)と、9.5:5の重量比で、ガラス製ネジ蓋バイアル瓶内で組み合わせた。サンプル2および誘電材料の混合物は沈殿物形成を示さなかった。
サンプル2を、200mmのシリコンウェハ上に実施例3のプロセスに従いコーティングした。目視検査はコーティング不良を示さなかった。ウェハ上の接着促進層の厚さは、コーティングされたとき133Åであり、150℃で60秒間の焼成後には、接着促進層の厚さは、125Åであった。
実施例5:実施例4の手順を繰り返すが、但し、1.58当量のジ−t−ブチルジカーボネートを使用し、PGME/DPGME比率は90/10であり、および1重量%の水を使用した。コーティング済ウェハの目視検査は、コーティング不良を示さなかった。ウェハ上の接着促進層の厚さは、コーティングされたとき124Åであり、焼成後は、114Åであった。
実施例6:本発明の接着促進組成物を、PGME中にアミノプロピルトリエトキシシランを溶解することによって調製し、次に、1.2モル当量のジ−t−ブチルジカーボネートを添加し、混合物を一晩反応させ、t−BOC保護アミノ部分を提供した。組成物中の総固形分は、約0.1%であった。次に、0.12重量%の水を添加し、組成物を8日間反応させ、保護アミノ部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン(サンプル3)を提供した。4つの200mmのウェハをサンプル3で、実施例3の手順に従ってコーティングした。全てのウェハの目視検査は、コーティング不良を示さなかった。1つのコーティング済ウェハを、次に、それぞれ175、200、225、および250℃で、60秒間焼成した。
実施例7:本発明の接着促進組成物を、90/10PGME/DPGME中にビス−(トリエトキシシリルプロピル)アミンを溶解することによって調製し、次に、1.58モル当量のジ−t−ブチルジカーボネートに添加し、混合物を一晩反応させ、t−BOC保護アミノ部分を提供した。次に、1重量%の水および2000ppmの硝酸を添加し、組成物を反応させ、保護アミノ部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン(サンプル4)を提供した。
実施例8:実施例7の手順を繰り返すが、但し、溶媒は95/5w/wPGME/DPGMEであり、1.2当量のジ−t−ブチルジカーボネートを使用して、サンプル5を調製した。
実施例9:実施例8の手順を繰り返すが、但し、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)アミンをビス−(トリメトキシシリルプロピル)アミンと置き換え、サンプル6を提供した。
実施例10:サンプル4〜6のそれぞれを使用して、200mmのウェハを実施例3の手順に従ってコーティングした。コーティング済ウェハの目視検査は、コーティング不良を示さなかった。各接着促進剤コーティングの厚さは、コーティングしたとき約130Åであった。接着促進剤コーティングを150℃で60秒間焼成し、膜厚さを再び計測したら、平均123Åであることが見出されている。ベンゾシクロブテン誘電樹脂を接着促進ウェハのそれぞれにコーティングし、ポストを実施例3の手順に従って、平版印刷した。サンプル4〜6それぞれの印刷後解像度は、1〜2μmであった。
実施例11:本発明の接着促進組成物を、PGME中にN1,N1−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エタン−1,2−ジアミン(0.75重量%)を溶解することによって調製し、次に、1.2モル当量のジ−t−ブチルジカーボネートを添加した。混合物を一晩反応させ、t−BOC保護アミノ部分を提供した。次に、2000ppmの硝酸および2重量%の水を添加し、組成物を反応させ、保護アミノ部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン(サンプル7)を提供した。
実施例12:本発明の接着促進組成物を、3−(トリメトキシシリル)−N−(2−(トリメトキシオキシシリル)エチル)−N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−プロパン−1−アミン(0.5重量%)を95/5w/wPGME/DPGME中に溶解することによって調製し、次に、1.25モル当量のジ−t−ブチルジカーボネートを添加した。混合物を一晩反応させ、t−BOC保護アミノ部分を提供した。次に、2000ppmの硝酸および2重量%の水を添加し、組成物を反応させ、保護アミノ部分を有する加水分解アミノ−アルコキシシラン(サンプル8)を提供した。
実施例13:自吸式コーティング組成物を、Proglyde(商標)DMM、PGMEA、アニソールの混合溶媒系中の83.63gの40重量%の水性現像可能なベンゾシクロブテン樹脂(Cyclotene(商標)6505樹脂)の溶液および0.25重量%のサンプル2を組み合わせることによって調製する。組成物を、次に、十分に混合する。組成物を次に、200mmのウェハ上に回転コーティングする。
実施例14:実施例13の手順を繰り返すが、但し、組成物が、250ppmのトリルトリアゾールを金属不動態化剤としてさらに含む。
実施例15:実施例13の手順を繰り返すが、但し、組成物が、0.8:1の熱酸発生剤対サンプル2のモル比で熱酸発生剤をさらに含む。
比較実施例2:ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン(0.4g)を、99.6gのPGME/DPGMEの95/5重量%の配合物を添加し、続いて、10分間混合した。次に、0.31gのジ−(t−ブチルジカーボネート)を添加し、120分間混合した。ジ−(t−ブチルジカーボネート)の量は、アミノシランのそれに対する1.2モル当量であり、アミンの完全な保護を確実にした。サンプルを、試験より前に10日間熟成した。反応混合物に水を添加しないので、保護アミノ−アルコキシシラン反応生成物は加水分解されなかった。熟成後、サンプルを200mmのシリコンウェハ上に2000rpmで30秒間コーティングした。膜厚さを測定し、膜を、次に150℃で60秒間焼成した。膜厚さを、次に、焼成後に再計測し、厚さに変化があるかどうか判定した。コーティングされたときの膜の質は良好であった。しかしながら、100%の膜損失が焼成ステップ後に観察され、保護ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンが、焼成ステップの間に蒸発したことを示した。
比較実施例3:比較実施例2の手順を繰り返すが、但し、1.18gの水を、サンプル熟成より前に添加し、水だけで加水分解が十分かどうかを判定した。水の量は、メトキシ単位当たり約9モル過剰であった。サンプルを、試験より前に10日間熟成した。熟成後、サンプルを200mmのシリコンウェハ上に、2000rpmで30秒間コーティングした。膜厚さを測定し、膜を、次に150℃で60秒間焼成した。膜厚さを、次に、焼成後に再計測し、厚さに変化があるかどうか判定した。コーティングされたときの膜の質は良好であった。しかしながら、100%の膜損失が焼成ステップ後に観察され、保護ビス(トイメトキシシリルプロピル)アミンが、焼成ステップの間に蒸発したことを示した。過剰な水だけでは、保護アミノ−アルコキシシランを加水分解するのに不十分である。
比較実施例4:比較実施例3の手順を繰り返すが、但し、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンを0.5gのビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンと置き換え、および99.5gのPGME/DPGMEを使用した。サンプルを、200mmのシリコンウェハ上に2000rpmで、30秒間コーティングした。コーティングの質は悪く、均一なコーティングではなく液滴を形成し、膜厚さ測定を非常に困難にした。膜厚さを、150℃で60秒間焼成した。焼成後、100%の損失の液滴が観察され、露出したシリコンウェハのみを残した。これは、保護アミノ−アルコキシシランが焼成ステップ中に架橋しなかったことを示す。膜コーティングより前の30日間のサンプルのさらなる熟成では、その結果は変化しなかった。
実施例16:ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン(0.5g)を、99.5gのPGME/DPGMEの95/5重量%の配合物に添加し、10分間混合した。次に、0.31gのジ−(t−ブチルジカーボネート)を添加し、120分間混合した。ジ−(t−ブチルジカーボネート)の量は、アミノシランと比較して、1.2モル過剰で使用され、アミンの保護を完了するのを確実にした。次に、1.0gの水およびPGME中の1.0gの20重量%の硝酸溶液を添加し、続いて、試験より前の1日熟成前に60分間混合した。その結果生じた硝酸濃度は2000ppmであった。1日熟成の後、サンプルを、200mmのシリコンウェハ上に、2000rpmで、30秒間コーティングした。コーティングの質は良好であった。焼成後の膜厚さの損失が約5.3%であるとわかり、架橋膜が得られたことを示した。
実施例17:実施例16の手順を繰り返すが、但し、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンを0.4gのビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンと置き換え、99.6gのPGME/DPGME溶媒混合物を使用した。その結果生じた硝酸濃度は2000ppmであった。1日の熟成後、サンプルを200mmのシリコンウェハ上に2000rpmで、30秒間コーティングした。コーティングの質は、良好であった。焼成後の膜厚さの損失が4.6%であるとわかり、架橋膜が得られたことを示した。
比較実施例5:3−アミノプロピルトリエトキシシラン(1.1g)を1.2gの水と組み合わせ、30分間混合し、シランの完全加水分解を確実にした。混合後、加水分解濃縮物を997.7gのPGMEで希釈し、さらに30分間混合した。水の水準は、エトキシ単位当たり約4.5モル過剰に対応する(組成物の重量に基づき0.12重量%)。
実施例18:3−アミノプロピルトリエトキシシラン(1.1g)を、1.2gの水と組み合わせ、30分間混合し、シランの完全加水分解を確実にした。次に、ジ−(t−ブチルジカーボネート)(1.3g、1.2モル当量のアミン部分)を添加し、次いで、120分間混合した。混合後、加水分解濃縮物を997.7gのPGMEで希釈し、さらに30分間混合した。水の水準は、エトキシ単位当たり、約4.5モル過剰に対応する(組成物の重量に基づき0.12重量%)。
実施例19:比較実施例3、比較実施例5、および実施例18それぞれのサンプルを8日間熟成した。サンプルそれぞれの膜を、200mmのシリコンウェハ上に、2000rpmで、30秒間回転コーティングした。コーティング済膜それぞれの質は良好であり、膜を、次に、150℃で60秒間焼成した。膜厚さ測定は、以下の膜厚さ損失を示した。比較実施例3(4%)、比較実施例5(5%)、および実施例18(2%)。
ベンゾシクロブテン誘電樹脂(Cyclotene(商標)6505光誘電樹脂)を、各接着促進ウェハ上に、Site Trace TT6−XPを使用して、回転速度約1500rpmで、コーティングし、約6.5μmの膜厚さを目標とした。回転コーティング済誘電を、次に、90℃で90秒間軟焼成し、溶媒除去を確実にした。次に、誘電コーティング済ウェハを、ASML200i−ラインステッパに、明視野レチクルを使用して露出し、様々な寸法のポスト(1〜25μm)の列をウェハ上に印刷するために印刷した。露出後、15分の露出保持を利用して、膜内に水分拡散し直させた。露出後、誘電樹脂の露出した領域をSite Trac TTP−X5上に、CD−26現像液(0.26N水酸化テトラメチルアンモニウム)を使用して、60秒の単一パドル、続いて90秒の脱イオン化水洗浄を用いて、現像した。ウェハを、次に、現像後の最低形体寸法の残余である印刷後解像度のために評価した。比較実施例3のサンプルで処理したウェハ上の結像された誘電樹脂を、現像液と接触した後に完全に層間剥離した。比較実施例5のサンプルで処理したウェハ上の結像された誘電樹脂は、比較実施例3よりも良好な性能を示したが、より小さいポストの層間剥離を示した。実施例18のサンプルで処理したウェハ上の結像された誘電樹脂は、現像液と接触した後に残る1および2μmのポストとの卓越した後接着を示した。