以下で説明する実施形態のヒータ1−1〜1−4は、基板2と、第一抵抗発熱体3と、第二抵抗発熱体4と、導体5と、を具備する。第一抵抗発熱体3は、基板2の長手方向に延在されている。また、第一抵抗発熱体3は、長手方向において中央部3aの抵抗値と両端部3b、3cの抵抗値とが異なる。また、第一抵抗発熱体3は、長手方向の他端部3cが第一給電用電極9と電気的に接続される。また、第一抵抗発熱体3は、基板2の短手方向において導体5と第二抵抗発熱体4との間に配置される。第二抵抗発熱体4は、長手方向に延在されている。また、第二抵抗発熱体4は、長手方向において中央部4aの抵抗値と両端部4b、4cの抵抗値とが異なる。また、第二抵抗発熱体4は、長手方向の他端部4cが第二給電用電極10と電気的に接続される。また、第二抵抗発熱体4は、長手方向の中央部4aの抵抗値と両端部4b、4cの抵抗値との差が、第一抵抗発熱体3の長手方向の中央部3aの抵抗値と両端部3b、3cの抵抗値との差より小さい。導体5は、長手方向に延在されている。また、導体5は、長手方向の一端部5aが第一抵抗発熱体3の長手方向の一端部3bと第二抵抗発熱体4の長手方向の一端部4bとに電気的に接続される。また、導体5は、長手方向の他端部5bが導体側給電用電極8と電気的に接続される。
また、以下に説明する実施形態に係るヒータ1−1および1−2では、第一抵抗発熱体3は、両端部3b、3c側から中央部3a側に向かうにつれて第二抵抗発熱体4側に凸となる凸形状に形成され、第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4c側から中央部4a側に向かうにつれて第一抵抗発熱体3とは反対側に凹となる凹形状に形成されている。
また、以下に説明する実施形態に係るヒータ1−3および1−4では、第一抵抗発熱体3は、両端部3b、3c側から中央部3a側に向かうにつれて第二抵抗発熱体4とは反対側に凹となる凹形状に形成され、第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4c側から中央部4a側に向かうにつれて第一抵抗発熱体3側に凸となる凸形状に形成されている。
また、以下に説明する実施形態に係るヒータ1−1および1−2では、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cの抵抗値が中央部3aの抵抗値より高くなる場合において、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cの抵抗値は、第一抵抗発熱体3の中央部3aの抵抗値の180%以下であり、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cの抵抗値は、第二抵抗発熱体4の中央部4aの抵抗値の20%よりも大きい。
また、以下に説明する実施形態に係るヒータ1−3および1−4では、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cの抵抗値が中央部3aの抵抗値より低くなる場合において、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cの抵抗値は、第一抵抗発熱体3の中央部3aの抵抗値の20%よりも大きく、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cの抵抗値は、第二抵抗発熱体4の中央部4aの抵抗値の180%未満である。
また、以下に説明する実施形態に係る画像形成装置100は、通過する媒体を加熱するヒータ1と、媒体を加熱時に加圧する加圧ローラ203と、を具備し、媒体を加熱および加圧することで、媒体に付着したトナー像を定着させる。
〔実施形態1〕
図1から図3を参照して、実施形態を説明する。図1は、実施形態1のヒータを示す模式図である。図2は、実施形態1のヒータの第一抵抗発熱体および第二抵抗発熱体の短手方向の幅を示す説明図である。図3は、実施形態1のヒータの短手方向の相対温度を示す説明図である。なお、図1および図2では、第一抵抗発熱体および第二抵抗発熱体のそれぞれの形状を強調して表現しており、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4の長手方向の長さを短く表現している。また、図3では、縦軸が基板短手方向の相対温度(%)であり、横軸が基板短手方向における位置である。ここで、基板短手方向とは、基板2の長手方向に対して交差する方向(つまり短手方向)である。また、相対温度(%)とは、任意の測定ポイントの温度を100%とした場合の相対温度であり、本実施形態では、基板2の短手方向の中央部の温度を100%としている。また、各実施形態および各図において同一符号を付した要素は、同一の要素であるのでその説明は省略あるいは簡略化する。
本実施形態のヒータ1−1は、電子機器類に搭載され、主に通過する紙などの媒体を加熱するものである。本実施形態で、ヒータ1−1は、基板2の長手方向において、複数の抵抗発熱体(第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4)を基板2の一端部2b側に配置し、複数の抵抗発熱体のそれぞれに電力を供給するための複数の給電用電極(導体側給電用電極8、第一給電用電極9および第二給電用電極10)を基板2の他端部2c側に配置するものである。また、本実施形態で、ヒータ1−1は、複数の抵抗発熱体のうち、長手方向の中央部に対する両端部の抵抗値比が1を超え、長手方向の中央部と両端部との抵抗値の差が相対的に大きい抵抗発熱体(第一抵抗発熱体3)を基板2の短手方向の中央部側に配置し、長手方向の中央部に対する両端部の抵抗値比が1未満で、長手方向の中央部と両端部との抵抗値の差が相対的に小さい抵抗発熱体(第二抵抗発熱体4)を基板2の短手方向の端部側に配置するものである。
ヒータ1−1は、図1に示すように、基板2と、第一抵抗発熱体3と、第二抵抗発熱体4と、導体5と、第一抵抗発熱体側導体6と、第二抵抗発熱体側導体7と、導体側給電用電極8と、第一給電用電極9と、第二給電用電極10と、オーバーコート層11と、を具備する。なお、第一抵抗発熱体3、第二抵抗発熱体4、導体5、第一抵抗発熱体側導体6、第二抵抗発熱体側導体7、導体側給電用電極8、第一給電用電極9および第二給電用電極10は、基板2上に形成されている。
基板2は、長手方向の幅および長手方向と交差する短手方向の幅を有する矩形状の平板である。基板2は、例えば、アルミナ等のセラミック、ガラスセラミック、耐熱複合材料などから構成されており、耐熱性および絶縁性を有している。基板2は、ヒータ1−1が装着されるスペースに対応する厚さ(長手方向と短手方向とに交差する方向の厚さ)で形成されている。基板2の厚さは、例えば、0.5mm〜1.0mm程度である。ここで、基板2およびヒータ1−1の長手方向は同方向であり、基板2およびヒータ1−1の短手方向は同方向である。
第一抵抗発熱体3は、電流を流すことで発熱するものである。第一抵抗発熱体3は、基板2の長手方向に延在されている。つまり、第一抵抗発熱体3およびヒータ1−1の長手方向とは同方向である。第一抵抗発熱体3は、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)、銀・パラジウム(Ag−Pd)合金を含む材料等から構成される抵抗発熱体ペーストを基板2上に塗布して硬化させることで形成されている。第一抵抗発熱体3は、長手方向の一端部3bが導体5と電気的に接続され、長手方向の他端部3cが第一抵抗発熱体側導体6と電気的に接続されている。
第一抵抗発熱体3は、基板2の短手方向(つまりヒータ1−1の短手方向)において、基板2の短手方向の一端部2d側の導体5と、基板2の短手方向の他端部2e側の第二抵抗発熱体4との間に配置されている。第一抵抗発熱体3は、長手方向において、基板2の中央部2aに対して、基板2の一端部2b側に配置されている。本実施形態で、第一抵抗発熱体3は、長手方向の両端部3b、3c側から中央部3a側に向かうにつれて短手方向の長さが第二抵抗発熱体4側に拡大する形状、つまり両端部3b、3c側から中央部3a側に向かうにつれて第二抵抗発熱体4側に凸となる凸形状に形成されている。つまり、第一抵抗発熱体3は、長手方向において、短手方向の長さが連続的に変化する。このため、第一抵抗発熱体3は、長手方向において、抵抗値が連続的に変化する。また、本実施形態で、抵抗値は、単位長さあたりの電気抵抗値である。
第一抵抗発熱体3は、図2に示すように、短手方向において、中央部3aの長さL1aより両端部3b、3cの長さL1b、L1cが短い(L1a>L1b、L1a>L1c)。また、第一抵抗発熱体3は、一端部3bの長さL1bおよび他端部3cの長さL1cが同じ(L1b=L1c)である。つまり、第一抵抗発熱体3は、中央部3aに対して両端部3b、3cの抵抗値が相対的に高い。すなわち、第一抵抗発熱体3は、両端部3b、3cの抵抗値が中央部3aの抵抗値より高い。このため、第一抵抗発熱体3は、通電時、つまり発熱時において、中央部3aに対して両端部3b、3cの温度が相対的に高くなる。また、第一抵抗発熱体3は、中央部3aの長さL1aと両端部3b、3cの長さL1b、L1cとの差が、第二抵抗発熱体4の後述する中央部4aの長さL2aと両端部4b、4cの長さL2b、L2cとの差より大きい。つまり、第一抵抗発熱体3は、中央部3aの抵抗値と両端部3b、3cの抵抗値との差が、第二抵抗発熱体4の中央部4aの抵抗値と両端部4b、4cの抵抗値との差より大きい。このため、第一抵抗発熱体3は、発熱時において、中央部3aと両端部3b、3cとの温度差が、第二抵抗発熱体4の中央部4aと両端部4b、4cとの温度差より大きくなる。また、第一抵抗発熱体3は、発熱時において、中央部3aと両端部3b、3cとの温度勾配が、第二抵抗発熱体4の中央部4aと両端部4b、4cとの温度勾配より高くなる。
第一抵抗発熱体3は、両端部3b、3cの抵抗値が中央部3aの抵抗値の180%以下であることが好ましく、両端部3b、3cの抵抗値が中央部3aの抵抗値の100%を超えて、かつ180%以下であることがより好ましい。ここで、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cの抵抗値を中央部3aの抵抗値の180%以下としたのは、180%を超えると、発熱時の両端部3b、3cと中央部3aとの温度勾配が高くなり、第一抵抗発熱体3の長手方向における温度差で基板割れの発生する虞があるからである。また、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cの抵抗値を中央部3aの抵抗値の100%を超えて、かつ180%以下としたのは、100%では発熱時に両端部3b、3cと中央部3aとの温度勾配が平坦になるからであり、100%を下回ると、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cに対して中央部3aの温度が相対的に高くなり、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cと中央部4aとの温度勾配と同様の傾きになるからである。本実施形態で、第一抵抗発熱体3は、中央部3aの抵抗値を100%とすると、両端部3b、3cの抵抗値は150%である。つまり、第一抵抗発熱体3は、両端部3b、3cの抵抗値が中央部3aの抵抗値の150%(抵抗値比1.5)であり、中央部3aの抵抗値に対して両端部3b、3cの抵抗値がプラス50%である。すなわち、第一抵抗発熱体3は、中央部3aに対する両端部3b、3cの抵抗値比が1を超えている。
つまり、本実施形態で、第一抵抗発熱体3は、「両端部3b、3cの抵抗値」≦「中央部3aの抵抗値の180%」となり、両端部3b、3cと中央部3aとの抵抗値差が80%以下(両端部3b、3cが中央部3aよりプラス80%以下の抵抗値)となるように形成されている。
第二抵抗発熱体4は、電流を流すことで発熱するものである。第二抵抗発熱体4は、図1に示すように、基板2の長手方向に延在されている。第二抵抗発熱体4は、長手方向の長さが第一抵抗発熱体3と同様の長さである。第二抵抗発熱体4は、第一抵抗発熱体3と同様の抵抗発熱体ペーストを基板2上に塗布して硬化させることで形成されている。第二抵抗発熱体4の厚さは、第一抵抗発熱体3の厚さと同様である。このため、第二抵抗発熱体4は、第一抵抗発熱体3と同様の電気抵抗率(Ω・m)を有している。第二抵抗発熱体4は、長手方向の一端部4bが導体5と電気的に接続され、長手方向の他端部4cが第二抵抗発熱体側導体7と電気的に接続されている。
第二抵抗発熱体4は、短手方向において、第一抵抗発熱体3を挟んで導体5とは反対側に配置されている。つまり、第二抵抗発熱体4は、短手方向において、第一抵抗発熱体3に対して、基板2の短手方向の他端部2e側に配置されている。第二抵抗発熱体4は、第一抵抗発熱体3と同様に、長手方向において、基板2の中央部2aに対して、基板2の一端部2b側に配置されている。本実施形態で、第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4c側から中央部4a側に向かうにつれて短手方向の長さが第一抵抗発熱体3側とは反対側に縮小する形状、つまり両端部4b、4c側から中央部4a側に向かうにつれて第一抵抗発熱体3とは反対側に凹となる凹形状に形成されている。つまり、第二抵抗発熱体4は、長手方向において、短手方向の長さが連続的に変化する。このため、第二抵抗発熱体4は、長手方向において、抵抗値が連続的に変化する。
第二抵抗発熱体4は、図2に示すように、中央部4aの長さL2aより両端部4b、4cの長さL2b、L2cが長い(L2a<L2b、L2a<L2c)。また、第二抵抗発熱体4は、一端部4bの長さL2bおよび他端部4cの長さL2cが同じ(L2b=L2c)である。つまり、第二抵抗発熱体4は、中央部4aに対して両端部4b、4cの抵抗値が相対的に低い。すなわち、第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4cの抵抗値が中央部4aの抵抗値より低い。このため、第二抵抗発熱体4は、発熱時において、中央部4aに対して両端部4b、4cの温度が相対的に低くなる。また、第二抵抗発熱体4は、中央部4aの長さL2aと両端部4b、4cの長さL2b、L2cとの差が、第一抵抗発熱体3の中央部3aの長さL1aと両端部3b、3cの長さL1b、L1cとの差より小さい。つまり、第二抵抗発熱体4は、中央部4aの抵抗値と両端部4b、4cの抵抗値との差が、第一抵抗発熱体3の中央部3aの抵抗値と両端部3b、3cの抵抗値との差より小さい。このため、第二抵抗発熱体4は、発熱時において、中央部4aと両端部4b、4cとの温度差が、第一抵抗発熱体3の中央部3aと両端部3b、3cとの温度差より小さくなる。また、第二抵抗発熱体4は、発熱時において、中央部4aと両端部4b、4cとの温度勾配が、第一抵抗発熱体3の中央部3aと両端部3b、3cとの温度勾配より低くなる。
第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4cの抵抗値が中央部4aの抵抗値の20%よりも大きいことが好ましく、両端部4b、4cの抵抗値が中央部4aの抵抗値の100%未満から20%よりも大きいことがより好ましい。ここで、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cの抵抗値を中央部4aの抵抗値の20%よりも大きくしたのは、20%以下になると、発熱時の第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cと中央部4aとの温度差が大きくなり、第二抵抗発熱体4が基板2の短手方向の他端部2e側に配置されていることから、第二抵抗発熱体4の長手方向における温度差で基板割れの発生する虞があるからである。また、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cの抵抗値を中央部4aの抵抗値の100%未満から20%よりも大きくしたのは、100%では発熱時の両端部4b、4cと中央部4aとの温度勾配が平坦になるからであり、100%を超えると、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cに対して中央部4aの温度が相対的に高くなり、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cと中央部3aとの温度勾配と同様の傾きになるからである。本実施形態で、第二抵抗発熱体4は、中央部4aの抵抗値を100%とすると、両端部4b、4cの抵抗値は80%である。つまり、第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4cの抵抗値が中央部4aの抵抗値の80%(抵抗値比0.8)であり、中央部4aの抵抗値に対して両端部4b、4cの抵抗値がマイナス20%である。すなわち、第二抵抗発熱体4は、中央部4aに対する両端部4b、4cの抵抗値比が1を下回っている。
つまり、本実施形態で、第二抵抗発熱体4は、「両端部4b、4cの抵抗値」>「中央部4aの抵抗値の20%」となり、両端部4b、4cと中央部4aとの抵抗値差が80%未満(両端部4b、4cが中央部4aよりマイナス80%未満の抵抗値)となるように形成されている。
導体5は、図1に示すように、長手方向に延在されている。導体5は、短手方向において、第一抵抗発熱体3を挟んで第二抵抗発熱体4とは反対側に配置されている。つまり、導体5は、短手方向において、第一抵抗発熱体3に対して、基板2の短手方向の一端部2d側に配置されている。導体5は、例えば銀(Ag)系等から構成される低抵抗導体ペーストを基板2上に塗布して硬化させることで形成されている。導体5は、長手方向の一端部5aが短手方向に延在され、第一抵抗発熱体3の一端部3bおよび第二抵抗発熱体4の一端部4bのそれぞれと電気的に接続されている。導体5は、長手方向の他端部5bが、導体側給電用電極8と電気的に接続されている。
第一抵抗発熱体側導体6は、長手方向に延在されている。第一抵抗発熱体側導体6は、導体5と同様に、低抵抗導体ペーストを基板2上に塗布して硬化させることで形成されている。第一抵抗発熱体側導体6は、第一抵抗発熱体3および第一給電用電極9のそれぞれと電気的に接続されている。第一抵抗発熱体側導体6は、第一抵抗発熱体3を介して、導体5と電気的に接続されている。
第二抵抗発熱体側導体7は、長手方向に延在されている。第二抵抗発熱体側導体7は、導体5と同様に、低抵抗導体ペーストを基板2上に塗布して硬化させることで形成されている。第二抵抗発熱体側導体7は、第二抵抗発熱体4および第二給電用電極10のそれぞれと電気的に接続されている。第二抵抗発熱体側導体7は、第二抵抗発熱体4を介して、導体5と電気的に接続されている。
導体側給電用電極8は、基板2の他端部2c側に配置されている。導体側給電用電極8は、例えば導体5と一体に形成されており、導体5と電気的に接続されている。つまり、導体側給電用電極8は、導体5と第一抵抗発熱体3とを介して、第一抵抗発熱体側導体6と電気的に接続されている。また、導体側給電用電極8は、導体5と第二抵抗発熱体4とを介して、第二抵抗発熱体側導体7と電気的に接続されている。
第一給電用電極9は、基板2の他端部2c側に配置されており、長手方向において、導体側給電用電極8と第二給電用電極10との間に配置されている。第一給電用電極9は、例えば第一抵抗発熱体側導体6と一体に形成されており、第一抵抗発熱体側導体6と電気的に接続されている。つまり、第一給電用電極9は、第一抵抗発熱体側導体6と第一抵抗発熱体3と導体5とを介して、導体側給電用電極8と電気的に接続されている。
第二給電用電極10は、基板2の他端部2c側に配置されており、長手方向において第一給電用電極9に対して他端部2c側に配置されている。第二給電用電極10は、例えば第二抵抗発熱体側導体7と一体に形成されており、第二抵抗発熱体側導体7と電気的に接続されている。つまり、第二給電用電極10は、第二抵抗発熱体側導体7と第二抵抗発熱体4と導体5とを介して、導体側給電用電極8と電気的に接続されている。
オーバーコート層11は、保護層であり、基板2上に形成された第一抵抗発熱体3、第二抵抗発熱体4、導体5、第一抵抗発熱体側導体6および第二抵抗発熱体側導体7を覆うものである。オーバーコート層11は、長手方向に延在され、第一抵抗発熱体3、第二抵抗発熱体4、導体5、第一抵抗発熱体側導体6および第二抵抗発熱体側導体7が直接露出することを防止し、外部からの干渉(例えば、機械的、化学的、電気的な干渉)によって損傷・破損することを抑制する。オーバーコート層11は、基板2より高い熱伝導率を有しており、例えば、アルミナ等の熱伝導性の優れた無機酸化物フィラーが添加されて熱伝導率が2〔W/(m・K)〕以上となるガラス層である。
次に、ヒータ1−1の動作について説明する。ヒータ1−1には、導体側給電用電極8、第一給電用電極9および第二給電用電極10のそれぞれを介して外部から電力が供給される。ヒータ1−1は、電力が供給されることで、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれが長手方向に通電される。ヒータ1−1は、第一抵抗発熱体3の中央部3aと両端部3b、3cとの温度勾配が第二抵抗発熱体4の中央部4aと両端部4b、4cとの温度勾配より高くなり、第二抵抗発熱体4の中央部4aと両端部4b、4cとの温度勾配が第一抵抗発熱体3の中央部3aと両端部3b、3cとの温度勾配より低くなる。ヒータ1−1では、図3に示す実線A1のように、短手方向において、基板2の短手方向の一端部2d側から第一抵抗発熱体3の他端部3cに向かって相対温度が徐々に上昇(相対温度が70%程度から上昇)し、第一抵抗発熱体3の他端部3c付近で相対温度がピーク(相対温度が110%程度)に達した後、基板2の短手方向の他端部2e側に向かって相対温度が徐々に低下(相対温度が70%程度まで低下)する。ヒータ1−1は、短手方向において、温度勾配が相対的に高い第一抵抗発熱体3を基板2の中央部2a側に配置し、温度勾配が相対的に低い第二抵抗発熱体4を基板2の短手方向の他端部2e側に配置している。このため、ヒータ1−1は、基板2の短手方向の他端部2e側での相対温度の低下を抑制することができ、基板2の短手方向における変形の偏りを抑制することができる。したがって、ヒータ1−1は、基板割れの発生を抑制することができる。
一方、実施形態1のヒータ1−1の比較例として、短手方向において、温度勾配が相対的に低い抵抗発熱体を基板2の中央部2a側に配置し、温度勾配が相対的に高い抵抗発熱体を基板の短手方向の他端部2e側に配置したヒータの場合、短手方向の他端部2e側に配置された抵抗発熱体の両端部の発熱量が相対的に小さくなり、基板2の短手方向の他端部2e側の温度が相対的に低くなるので、図3に示す点線B1のように、短手方向の他端部2e側の相対温度が50%程度まで低下し、基板2の短手方向の他端部2e側での相対温度の低下を抑制することができない。
また、ヒータ1−1が媒体を加熱する場合においては、さまざまな媒体がヒータ1−1を通過する。ヒータ1−1の長手方向の長さは、媒体のサイズ(長手方向と平行な長さ)に対応させるため、加熱される媒体の最大サイズに合わせて設定される。また、通常、ヒータ1−1と媒体との長手方向における位置関係は、さまざまな媒体のサイズの中心と、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4の長手方向の中心とが一致(ほぼ一致も含む)する。したがって、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれに対して中央部3a、4a側を小さいサイズの媒体が通過する場合には、ヒータ1−1が発生した熱を媒体が受けるので、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれに通電して、通過する媒体と常に対向する中央部3a、4aの温度低下を抑える。また、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれに対して両端部3b、3c、4b、4c側を大きいサイズの媒体が通過する場合には、ヒータ1−1が発生した熱を媒体が受けるので、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれに通電して、ヒータ1−1の媒体と対向する部分における長手方向の温度差が大きくなることを抑制する。このため、ヒータ1−1は、媒体の通過時においても、基板割れを抑制することができる。
なお、上記実施形態1では、導体側給電用電極8、第一給電用電極9および第二給電用電極10は、基板2のうち、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれと同じ表面に形成されているが、表面とは反対側の裏面に形成されていてもよい。この場合、導体側給電用電極8、第一給電用電極9および第二給電用電極10は、基板2に形成されたスルーホールを介して、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれと電気的に接続される。
また、上記実施形態1では、基板2が矩形状の平板であるが、長手方向の幅および短手方向の幅を有していればよいので、長手方向および短手方向に沿う外周において、凹部、凸部、欠けなどが形成された形状であってもよい。
また、上記実施形態1では、短手方向において第二抵抗発熱体4から短手方向の他端部2eまでの間隔が広くなっているが、これに限定されるものではない。図4は、実施形態1のヒータの変形例を示す模式図である。なお、図4では、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれの形状を強調して表現しており、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4の長手方向の長さを短く表現している。同図に示すように、ヒータ1−2は、短手方向において第二抵抗発熱体4から短手方向の他端部2eまでの間隔を狭くしてもよい。ヒータ1−2は、短手方向において、温度勾配が相対的に高い第一抵抗発熱体3を基板2の中央部2a側に配置し、温度勾配が相対的に低い第二抵抗発熱体4を基板2の短手方向の他端部2e側に配置しているので、基板割れを抑制することができる。このため、ヒータ1−2は、第二抵抗発熱体4から短手方向の他端部2eまでの短手方向の間隔を狭くすることができ、基板2の短手方向をコンパクト化することができる。
〔実施形態2〕
次に、実施形態2について説明する。図5は、実施形態2のヒータを示す模式図である。図6は、実施形態2のヒータの第一抵抗発熱体および第二抵抗発熱体の短手方向の幅を示す説明図である。図7は、実施形態2のヒータの短手方向の相対温度を示す説明図である。なお、図5および図6では、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれの形状を強調して表現しており、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4の長手方向の長さを短く表現している。また、図7では、縦軸が基板短手方向の相対温度(%)であり、横軸が基板短手方向における位置である。
図5に示すヒータ1−3がヒータ1−1と異なる点は、複数の抵抗発熱体(第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4)のうち、中央部に対する両端部の抵抗値比が1未満で、中央部と両端部との抵抗値の差が相対的に大きい抵抗発熱体(第一抵抗発熱体3)を基板2の短手方向の中央部側に配置し、中央部に対する両端部の抵抗値比が1を超えて、中央部と両端部との抵抗値の差が相対的に小さい抵抗発熱体(第二抵抗発熱体4)を基板2の短手方向の端部側に配置する点である。
第一抵抗発熱体3は、短手方向において、導体5と第二抵抗発熱体4との間に配置されている。本実施形態で、第一抵抗発熱体3は、両端部3b、3c側から中央部3a側に向かうにつれて短手方向の長さが第二抵抗発熱体4側とは反対側に縮小する形状、つまり両端部3b、3c側から中央部3a側に向かうにつれて第二抵抗発熱体4とは反対側に凹となる凹形状に形成されている。つまり、第一抵抗発熱体3は、長手方向において、短手方向の長さが連続的に変化する。
第一抵抗発熱体3は、図6に示すように、短手方向において、中央部3aの長さL1aより両端部3b、3cの長さL1b、L1cが長い(L1a<L1b、L1a<L1c)。また、第一抵抗発熱体3は、一端部3bの長さL1bと他端部3cの長さL1cとが同じ(L1b=L1c)である。つまり、第一抵抗発熱体3は、中央部3aに対して両端部3b、3cの抵抗値が相対的に低い。すなわち、第一抵抗発熱体3は、両端部3b、3cの抵抗値が中央部3aの抵抗値より低い。このため、第一抵抗発熱体3は、発熱時において、中央部3aに対して両端部3b、3cの温度が相対的に低くなる。また、第一抵抗発熱体3は、中央部3aの長さL1aと両端部3b、3cの長さL1b、L1cとの差が、第二抵抗発熱体4の中央部4aの長さL2aと両端部4b、4cの長さL2b、L2cとの差より大きい。つまり、第一抵抗発熱体3は、発熱時において、中央部3aと両端部3b、3cとの温度勾配が、第二抵抗発熱体4の中央部4aと両端部4b、4cとの温度勾配より高くなる。
第一抵抗発熱体3は、両端部3b、3cの抵抗値が中央部3aの抵抗値の20%以上であることが好ましく、20%以上かつ100%未満であることがより好ましい。ここで、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cの抵抗値を中央部3aの抵抗値の20%以上としたのは、20%を下回ると、発熱時の両端部3b、3cと中央部3aとの温度勾配が高くなり、第一抵抗発熱体3の長手方向における温度差で基板割れの発生する虞があるからである。また、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cの抵抗値を中央部3aの抵抗値の20%以上かつ100%未満としたのは、100%では発熱時の両端部3b、3cと中央部3aとの温度勾配が平坦になるからであり、100%を超えると、第一抵抗発熱体3の中央部3aに対して両端部3b、3cの温度が相対的に高くなり、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cと中央部4aとの温度勾配と同様の傾きになるからである。本実施形態で、第一抵抗発熱体3は、中央部3aの抵抗値を100%とすると、両端部3b、3cの抵抗値は20%である。つまり、第一抵抗発熱体3は、両端部3b、3cの抵抗値が中央部3aの抵抗値の20%(抵抗値比0.2)であり、中央部3aの抵抗値に対して両端部3b、3cの抵抗値がマイナス80%である。すなわち、第一抵抗発熱体3は、中央部3aに対する両端部3b、3cの抵抗値比が1未満である。
つまり、本実施形態で、第一抵抗発熱体3は、「両端部3b、3cの抵抗値」≧「中央部3aの抵抗値の20%」となり、両端部3b、3cと中央部3aとの抵抗値差が80%以下(両端部3b、3cが中央部3aよりマイナス80%以下の抵抗値)となるように形成されている。
第二抵抗発熱体4は、図5に示すように、短手方向において、第一抵抗発熱体3を挟んで導体5とは反対側に配置されている。第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4c側から中央部4a側に向かうにつれて短手方向の長さが第一抵抗発熱体3側に拡大する形状、つまり両端部4b、4c側から中央部4a側に向かうにつれて第一抵抗発熱体3側に凸となる凸形状に形成されている。つまり、第二抵抗発熱体4は、長手方向において、短手方向の長さが連続的に変化する。
第二抵抗発熱体4は、図6に示すように、中央部4aの長さL2aより両端部4b、4cの長さL2b、L2cが短い(L2a>L2b、L2a>L2c)。また、第二抵抗発熱体4は、一端部4bの長さL2bおよび他端部4cの長さL2cが同じ(L2b=L2c)である。つまり、第二抵抗発熱体4は、中央部4aに対して両端部4b、4cの抵抗値が相対的に高い。すなわち、第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4cの抵抗値が中央部4aの抵抗値より高い。このため、第二抵抗発熱体4は、発熱時において、中央部4aに対して両端部4b、4cの温度が相対的に高くなる。また、第二抵抗発熱体4は、中央部4aの長さL2aと両端部4b、4cの長さL2b、L2cとの差が、第一抵抗発熱体3の中央部3aの長さL1aと両端部3b、3cの長さL1b、L1cとの差より小さい。つまり、第二抵抗発熱体4は、発熱時において、中央部4aと両端部4b、4cとの温度勾配が、第一抵抗発熱体3の中央部3aと両端部3b、3cとの温度勾配より低くなる。
第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4cの抵抗値が中央部4aの抵抗値の180%未満であることが好ましく、両端部4b、4cの抵抗値が中央部4aの抵抗値の100%を超えて、かつ180%未満であることがより好ましい。ここで、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cの抵抗値を中央部4aの抵抗値の180%未満としたのは、180%を超えると、発熱時の第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cと中央部4aとの温度勾配が高くなり、第二抵抗発熱体4が基板2の短手方向の他端部2e側に配置されていることから、第二抵抗発熱体4の長手方向における温度差で基板割れの発生する虞があるからである。また、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cの抵抗値を中央部4aの抵抗値の100%を超えて、かつ180%未満としたのは、100%では発熱時の両端部4b、4cと中央部4aとの温度勾配が平坦になるからであり、100%を下回ると、第二抵抗発熱体4の両端部4b、4cに対して中央部4aの温度が相対的に高くなり、第一抵抗発熱体3の両端部3b、3cと中央部3aとの温度勾配と同様の傾きになるからである。本実施形態で、第二抵抗発熱体4は、中央部4aの抵抗値を100%とすると、両端部4b、4cの抵抗値は150%である。つまり、第二抵抗発熱体4は、両端部4b、4cの抵抗値が中央部4aの抵抗値の150%(抵抗値比1.5)であり、中央部4aの抵抗値に対して両端部4b、4cの抵抗値がプラス50%である。すなわち、第二抵抗発熱体4は、中央部4aに対する両端部4b、4cの抵抗値比が1を超えている。
つまり、本実施形態で、第二抵抗発熱体4は、「両端部4b、4cの抵抗値」<「中央部4aの抵抗値の180%」となり、両端部4b、4cと中央部4aとの抵抗値差が80%未満(両端部4b、4cが中央部4aよりプラス80%未満の抵抗値)となるように形成されている。
次に、ヒータ1−3の動作について説明する。ヒータ1−3には、導体側給電用電極8、第一給電用電極9および第二給電用電極10のそれぞれを介して外部から電力が供給される。ヒータ1−3は、電力が供給されることで、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれが長手方向に通電される。ヒータ1−3は、第一抵抗発熱体3の中央部3aと両端部3b、3cとの温度勾配が第二抵抗発熱体4の中央部4aと両端部4b、4cとの温度勾配より高くなり、第二抵抗発熱体4の中央部4aと両端部4b、4cとの温度勾配が第一抵抗発熱体3の中央部3aと両端部3b、3cとの温度勾配より低くなる。ヒータ1−3では、図7に示す実線A2のように、短手方向において、基板2の短手方向の一端部2d側から第二抵抗発熱体4の他端部4cに向かって相対温度が徐々に上昇(相対温度が70%程度から上昇)し、第二抵抗発熱体4の他端部4c付近で相対温度がピーク(相対温度が130%程度)に達した後、基板2の短手方向の他端部2e側に向かって相対温度が徐々に低下(相対温度が100%程度まで低下)する。ヒータ1−3は、短手方向において、温度勾配が相対的に高い第一抵抗発熱体3を基板2の中央部2a側に配置し、温度勾配が相対的に低い第二抵抗発熱体4を基板2の短手方向の他端部2e側に配置している。このため、ヒータ1−3は、基板2の短手方向の他端部2e側での相対温度の上昇を抑制することができ、基板2の短手方向における変形の偏りを抑制することができる。したがって、ヒータ1−3は、基板割れの発生を抑制することができる。
一方、実施形態2のヒータ1−3の比較例として、短手方向において、温度勾配が相対的に低い抵抗発熱体を基板2の中央部2a側に配置し、温度勾配が相対的に高い抵抗発熱体を基板の短手方向の他端部2e側に配置したヒータの場合、短手方向の他端部2e側に配置された抵抗発熱体の両端部の発熱量が相対的に大きくなり、基板2の短手方向の他端部2e側の温度が相対的に高くなるので、図7に示す点線B2のように、短手方向の他端部2e側の相対温度が120%程度まで上昇し、基板2の短手方向の他端部2e側での相対温度の上昇を抑制することができない。
また、ヒータ1−3が媒体を加熱する場合においては、さまざまな媒体がヒータ1−3を通過する。ヒータ1−3の長手方向の長さは、媒体のサイズ(長手方向と平行な長さ)に対応させるため、加熱される媒体の最大サイズに合わせて設定される。また、通常、ヒータ1−3と媒体との長手方向における位置関係は、さまざまな媒体のサイズの中心と、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4の長手方向の中心とが一致(ほぼ一致も含む)する。したがって、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれに対して中央部3a、4a側を小さいサイズの媒体が通過する場合には、ヒータ1−3が発生した熱を媒体が受けるので、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれに通電して、通過する媒体と常に対向する中央部3a、4aの温度低下を抑える。また、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれに対して両端部3b、3c、4b、4c側を大きいサイズの媒体が通過する場合には、ヒータ1−3が発生した熱を媒体が受けるので、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれに通電して、ヒータ1−3の媒体と対向する部分における長手方向の温度差が大きくなることを抑制する。このため、ヒータ1−3は、媒体の通過時においても、基板割れを抑制することができる。
また、上記実施形態2では、短手方向において第二抵抗発熱体4から短手方向の他端部2eまでの間隔が広くなっているが、これに限定されるものではない。図8は、実施形態2のヒータの変形例を示す模式図である。なお、図8では、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4のそれぞれの形状を強調して表現しており、第一抵抗発熱体3および第二抵抗発熱体4の長手方向の長さを短く表現している。同図に示すように、ヒータ1−4は、短手方向において第二抵抗発熱体4から短手方向の他端部2eまでの間隔を狭くしてもよい。ヒータ1−4は、短手方向において、温度勾配が相対的に高い第一抵抗発熱体3を基板2の中央部2a側に配置し、温度勾配が相対的に低い第二抵抗発熱体4を基板2の短手方向の他端部2e側に配置しているので、基板割れを抑制することができる。このため、ヒータ1−4は、第二抵抗発熱体4から短手方向の他端部2eまでの短手方向の間隔を狭くすることができ、基板2の短手方向をコンパクト化することができる。
次に、ヒータを備えた定着装置の一実施形態について説明する。図9は、ヒータの使用例である定着装置を示す説明図である。同図に示すように、定着装置200は、上述した実施形態およびその変形例のヒータ1−1〜1−4(以下、単に「ヒータ1」と称する)のいずれも使用することができる。定着装置200では、支持体202の周りに円筒状に巻き回された定着フィルムベルト201の底部にヒータ1が設置されている。定着フィルムベルト201は、例えばポリイミド等の耐熱性の樹脂材料から形成されている。ヒータ1および定着フィルムベルト201に対向する位置には、加圧ローラ203が配設されている。加圧ローラ203は、表面に耐熱性の弾性材料、例えばシリコーン樹脂層204を有し、定着フィルムベルト201を圧接した状態で、回転軸205周りに回転する(同図に示す矢印A)ことができる。
トナー定着工程では、定着フィルムベルト201とシリコーン樹脂層204との接触面において、媒体である複写用紙P上に付着したトナー像T1が定着フィルムベルト201を介してヒータ1により加熱溶融される。その結果、少なくともトナー像T1の表面部は融点を超え、軟化して溶融する。その後、加圧ローラ203の用紙排出側では複写用紙Pがヒータ1から離間するとともに、定着フィルムベルト201からも離間し、トナー像T2は自然に放熱して再び固化することで、トナー像T2が複写用紙Pに定着する。
上記定着装置200では、基板割れを抑制することができるヒータ1を用いたことで、基板割れに起因するメンテナンス頻度を抑制することができる。また、上記定着装置200では、導体側給電用電極8、第一給電用電極9および第二給電用電極10を基板2の長手方向の他端部2c側に配置するヒータ1を用いたことで、基板2の両端部2b、2cのそれぞれにコネクタで電力を供給する場合と比較して、コネクタ数を削減することができ、コストを抑えることができる。
次に、ヒータを備えた画像形成装置の一実施形態について説明する。図10は、ヒータの使用例である画像形成装置を示す説明図である。なお、本実施形態で、画像形成装置は、複写機100である。同図に示すように、複写機100には、上述した定着装置200を含む各構成要素が筐体101内に収められている。筐体101の上部には、ガラス等の透明材料からなる原稿載置台が備え付けられており、画像情報を読み取る対象となる原稿P1を原稿載置台上で往復動させて(同図に示す矢印Y)スキャンする構成となっている。
筐体101内の上部には光照射用ランプと反射鏡とからなる照明装置102が設けられており、照明装置102から照射された光が原稿載置台上の原稿P1の表面で反射し、短焦点小径結像素子アレイ103によって感光ドラム104上にスリット露光される。なお、感光ドラム104は回転可能(同図に示す矢印Z)に設置されている。
また、筐体101内に設置された感光ドラム104の近傍には、帯電器105が設けられており、感光ドラム104が帯電器105により一様(ほぼ一様も含む)に帯電される。感光ドラム104は、例えば酸化亜鉛感光層または有機半導体感光層で被覆されている。帯電した感光ドラム104には、短焦点小径結像素子アレイ103によって画像露光が行われた静電画像が形成される。この静電画像は、現像器106による加熱で軟化して溶融する樹脂等からなるトナーを用いて顕像化され、トナー像となる。
カセット107内に収容されている複写用紙Pは、給送ローラ108と感光ドラム104上のトナー像と同期をとって上下方向に圧接して回転される一対の搬送ローラ109によって、感光ドラム104上に送り込まれる。そして、転写放電器110によって感光ドラム104上のトナー像が複写用紙P上に転写される。
その後、感光ドラム104上から下流側に送られた複写用紙Pは、搬送ガイド111によって定着装置200に導かれて加熱定着処理(上記トナー定着工程)された後、トレイ112に排出される。なお、トナー像が転写された後、感光ドラム104上の残留トナーはクリーナ113により除去される。
定着装置200は、複写用紙Pの移動方向と直交する方向に、複写機100が複写できる最大判用紙の幅(長さ)に合わせた有効長、すなわち最大判用紙の幅(長さ)より大きい抵抗発熱体を備えたヒータ1(図9参照)が加圧ローラ203の外周に取り付けられたシリコーン樹脂層204(図9参照)に加圧された状態で設けられている。
そして、ヒータ1と加圧ローラ203との間を送られる複写用紙P上の未定着トナー像は、抵抗発熱体の発熱を利用して溶融され、複写用紙P上に文字、英数字、記号、図面等の複写像を現出させることができる。
本実施形態の複写機100によれば、基板割れを抑制することができるヒータ1を用いたことで、基板割れに起因するメンテナンス頻度を抑制することができる。また、上記複写機100によれば、導体側給電用電極8、第一給電用電極9および第二給電用電極10を基板2の長手方向の他端部2c側に配置するヒータ1を用いたことで、基板2の両端部2b、2cのそれぞれにコネクタで電力を供給する場合と比較して、コネクタ数を削減することができ、コストを抑えることができる。
なお、ヒータ1を複写機100等の画像形成装置の定着用に使用した例について説明したが、これに限らず、家庭用電気製品、業務用や実験用の精密機械や化学反応用の機器等に装着して加熱や保温の熱源としても使用することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。