以下、本発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。これらの方向を示す用語は、特に明示しない限り、誘導加熱調理器を前面側(正面側)から見た場合の方向を意味している。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器1をキッチンキャビネット200に据え付けた状態で通気口カバー7を上方へ移動させた分解斜視図である。実施の形態1の誘導加熱調理器1は、本体筐体2がキッチンキャビネット200に組み込まれて使用されるビルトイン型のものである。本体筐体2の上には、トッププレート4及びこのトッププレート4の外周に取り付けられたトッププレート枠体3を主要な構成要素とする天板部が設けられている。図1に示すように本体筐体2がキッチンキャビネット200に組み込まれた状態では、キッチンキャビネット200の天面を構成するキッチン天板201の上に天板部(トッププレート4、トッププレート枠体3)が配置され、キッチンキャビネット200の内部に本体筐体2が収容される。本体筐体2内には、グリル加熱を行う調理室14が形成されており、キッチンキャビネット200の前面に形成された前面開口部204からは、本体筐体2の前面に設けられた調理室14の扉及び操作部6が露出している。
トッププレート枠体3は、中央を矩形に開口した角枠状の部材であり、トッププレート枠体3の開口にはトッププレート4が嵌め込まれている。トッププレート枠体3は、例えば、ステンレス、アルミ、ホーロー塗装鋼板等の金属や、人工大理石や人造大理石等の石材、セメント、樹脂等を混合した材料で構成される。トッププレート4は、例えば、耐熱性ガラスやセラミック等の非金属材料で構成される。トッププレート4とトッププレート枠体3は、例えばシリコン等の接着剤で結合される。あるいは、トッププレート枠体3に設けられた例えば溝や爪等の保持構造で、トッププレート4をトッププレート枠体3に保持してもよい。
トッププレート4には、鍋やフライパン等の被加熱物(図示せず)が載置される3つの加熱口5a、加熱口5b、加熱口5cが、本体筐体2の幅方向に沿って左から順に配置されている。本体筐体2の幅方向において加熱口5aは左側、加熱口5bは中間、加熱口5cは右側に設けられている。なお、加熱口5bに対して「中間」というときは、左側の加熱口5aと右側の加熱口5cとの間という意味であり、必ずしも加熱口5a及び加熱口5cとの距離が等距離である必要はない。また、以降の説明において、加熱口5a、加熱口5b、加熱口5cに共通する事項を説明する場合には、加熱口5と総称する場合がある。トッププレート4の表面又は裏面には、各加熱口5に被加熱物を載置する際の目印となる表示が施されている。
左右の中間に配置された加熱口5bの前端は、左右に配置された加熱口5a及び加熱口5cの前端よりも後寄りに配置されている。また、加熱口5a及び加熱口5cは、それぞれトッププレート4の左右の端部に近づけて配置されている。このため、中間の加熱口5bの手前から左右の加熱口5aと加熱口5cの手前までの領域は、例えば盛り付け等の加熱調理以外の調理作業を使用者が行うのに十分なスペースが確保され、調理の作業性を高める効果がある。
各加熱口5の手前には、それぞれ表示部10が設けられている。表示部10には、各加熱口5の火力状態、調理作業を行うための情報、自動調理等の操作メニューの内容、及び調理の進行状況等が表示される。表示部10は、例えば液晶画面やLEDなど、視覚的に情報を報知することのできる任意の装置で構成される。
本体筐体2の前面及び表示部10の手前には、操作部6が設けられている。操作部6は、各加熱口5及び調理室14での加熱調理に関する操作入力を受け付ける入力装置である。使用者は、操作部6を用いて、火力の調整、調理メニューの選択及び指示の操作を行うことができる。操作部6は、タッチパネル、ハードウェアボタン、ダイアル等の任意の装置で構成される。
トッププレート枠体3の右奥側には、筐体吸気口8が設けられ、トッププレート枠体3の左奥側には、筐体排気口9が設けられている。筐体吸気口8は、本体筐体2内に冷却風を吸い込む開口部である。筐体排気口9は、本体筐体2内からの排気が通過する開口部である。なお、本実施の形態1では、筐体吸気口8はトッププレート枠体3の右奥側に設けられているが、冷却に用いる空気をトッププレート枠体3及び本体筐体2の外部から吸引できる位置であれば、筐体吸気口8の位置は図1のものに限定されない。例えば、本体筐体2の背面、底面、前面のいずれか一箇所以上に筐体吸気口8を設けてもよい。
筐体吸気口8及び筐体排気口9の上を覆うように通気口カバー7が配置されている。通気口カバー7には、通風可能な開口が形成されており、吸気及び排気の流れがスムースに通過することができる。通気口カバー7を設けることで、通気口カバー7の下方に設けられた筐体吸気口8及び筐体排気口9への異物の侵入を抑制している。
本体筐体2の前面の左側には、調理室14の前面開口を開閉する引き出し式の扉が配置されている。調理室14内で加熱調理される食材等の出し入れは、この調理室14の扉が開閉されて行われる。
なお、調理室14、操作部6及び表示部10の配置並びに数は一例であり、図示のものに限定されない。
図2は、キッチンキャビネット200の一例を示す斜視図である。図2を参照して、本実施の形態の誘導加熱調理器1が組み込まれうるキッチンキャビネット200の一例を説明する。キッチンキャビネット200には、誘導加熱調理器1の本体筐体2が格納される空間である格納部203が形成されている。キッチン天板201には、格納部203に通じる開口が形成されており、この開口部を天板開口部202という。また、キッチンキャビネット200の前面には、格納部203に通じる開口が形成されており、この開口部を前面開口部204という。天板開口部202から前面開口部204に至る空間である格納部203内に、誘導加熱調理器1の本体筐体2が収容され、キッチン天板201の上に、トッププレート枠体3及びトッププレート4が載置される。
格納部203の下方には、調理用具等の収納スペースを有する引き出しが設けられている。なお、このような収納スペースの代わりにオーブンレンジ等の加熱調理器の収納スペースを設けたキッチンキャビネット200もあり、格納部203の下方の用途は限定されない。
図3は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器1の本体筐体2をキッチンキャビネット200に据え付けた状態でトッププレート4、トッププレート枠体3、通気口カバー7を取り外した斜視図である。図1で示した筐体吸気口8の下側に対応する位置には、基板ケースユニット24(図5参照)の吸気口25が設けられており、この吸気口25は筐体吸気口8に接続される。また、図1で示した筐体排気口9の下側に対応する位置には、排気風路23が設けられており、この排気風路23は筐体排気口9に接続される。
図1で示したトッププレート4の加熱口5a、加熱口5b、加熱口5cの下方には、それぞれ、加熱手段である加熱コイル11、加熱コイル12、加熱コイル13が設けられている。加熱コイル11、12、13は、それぞれコイル支持体17a、17b、17cに下方から支持されている。コイル支持体17a、17b、17cは、その下面に設けられた弾性体15を介して本体筐体2に支持されている。
本体筐体2の左側及び右側の上縁部には、コイル支持体17a、17cを避けた位置に、本体筐体2の外側へ向かって延びる平板状のフランジ部28が形成されている。フランジ部28は、本体筐体2が格納部203に収納された状態において、キッチン天板201の上面に載置され、このフランジ部28の上にトッププレート4又はトッププレート枠体3が配置される。トッププレート4又はトッププレート枠体3とフランジ部28とは、近接又は当接して配置され、両者の面同士が対向することで本体筐体2内の気密性を高めている。トッププレート4又はトッププレート枠体3とフランジ部28との間に、例えば合成樹脂や合成ゴム等で構成された気密部材を挟んでもよく、このようにすることでさらに本体筐体2内の気密性を高めることができる。
左側の加熱口5a(図1参照)の下方には、中心が異なる位置に配置された5つの副加熱コイル11a、11b、11c、11d、11e(これらを加熱コイル11と総称する場合がある)が設けられている。なお、以後の説明において、「副加熱コイル」を単に「加熱コイル」と称する。加熱コイル11eは、巻線を二重環状に巻き回して構成されており、この加熱コイル11eの外周側に、巻線を扁平な楕円形状に巻き回して構成された加熱コイル11a〜11dが配置されている。
5つの加熱コイル11はそれぞれ独立して駆動され、被加熱物である調理容器の大きさ及び配置に応じて、5つの加熱コイル11のうち1つから5つが、適宜組み合わせて駆動されて加熱調理が行われる。したがって、小型の鍋、大型のフライパン、縦型の卵焼き用フライパン、横型のオーバル鍋など、調理容器の大きさ、形状及び配置が異なる場合でも、それぞれ調理容器の適切な範囲が加熱される。被加熱物が載置されない範囲の加熱コイル11では加熱を行わないので、無駄な電力消費を抑制して環境負荷を低減することができる。加熱コイル11の上に載置される被加熱物の範囲全体を加熱することができるので、より均一な加熱が行え、良好な調理効果及び仕上がりを得る効果がある。
これら5つの加熱コイル11は、1つのコイル支持体17aによって下方から支持されている。コイル支持体17aは、平面視で概ね円板状に形成されており、例えば、非磁性金属で構成されている。コイル支持体17aの左側の一部は、本体筐体2の左側面よりも外側に突出して配置されている。ここで、コイル支持体17aのうち本体筐体2の左側面よりも外側に突出して配置されている部分を、突出部171aと称する。上方から見たとき、コイル支持体17aの突出部171aは、本体筐体2と重なっておらず、キッチン天板201と重なる。高さ方向に見ると、コイル支持体17aの突出部171aは、キッチン天板201とトッププレート4(図1参照)との間に配置される。コイル支持体17aのうち突出部171aを除く部分は、本体筐体2の内側に配置されている。コイル支持体17aの突出部171aの上に左端の加熱コイル11aが載置され、コイル支持体17aの突出部171aを除く部分の上に、他の加熱コイル11b〜11eが載置されている。
コイル支持体17aの上端部には、この上端部を囲むように上端部に沿って取り付けられたリング部材29が設けられている。リング部材29は、アルミや銅等の非磁性金属で構成された、環状の平板部材である。リング部材29は、その平板面がトッププレート4の下面と対向する向きで配置される。リング部材29は、加熱コイル11から生じる高周波磁界を吸収して不要な漏洩磁界を軽減する。また、本体筐体2にトッププレート枠体3及びトッププレート4が取り付けられた状態において、リング部材29の上面とトッププレート4の下面とは近接して配置される。リング部材29の上面の平面部分が、トッププレート4の下面と対向することにより、コイル支持体17aとトッププレート4との隙間の気密性を高め、不要な冷却風の漏れを抑制することができる。例えば、加熱コイル11を冷却した後の室温よりも温度の高い空気が、コイル支持体17aとトッププレート4との隙間から多量に吹き出した場合、その一部は天板開口部202と本体筐体2との隙間からキッチンキャビネット200の格納部203内に流入してキッチンキャビネット200内の温度を上昇させ、それによってキッチンキャビネット200内に保管される食材等の劣化が引き起こされることもあるが、本実施の形態によれば上述のように不要な冷却風の漏れが抑制されるので、そのような事象を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、リング部材29の上面とトッププレート4の下面との間を近接させることで、上述のように両者の気密性を高めている。この構成に加え、リング部材29の上面に例えばフッ素素材で構成されたスポンジ等の耐熱性の気密部材を貼り付けてもよく、このようにすることでさらに気密性を高めることができる。
リング部材29の上面の少なくとも3カ所には、位置決部材16が設けられている。この位置決部材16は、本体筐体2にトッププレート4が取り付けられた状態において、トッププレート4の下面と当接する接触部材である。このような位置決部材16を設けることで、加熱コイル11とトッププレート4との高さ方向の位置関係が、所定の状態に保たれ、ひいては加熱コイル11とトッププレート4の上に載置される被加熱物との距離が所定距離に保たれる。これにより、加熱コイル11との距離によって変動しうる被加熱物の加熱状態を安定化させることができる。
リング部材29の下面には、位置決部材16が設けられた位置に対向する位置、すなわち、上方から見て位置決部材16と重なる位置に、被支持部30が設けられている。被支持部30は、本実施の形態1では、リング部材29の外周部から突出した舌片形状を有している。被支持部30の下面は、弾性体15で下方から支持されるとともに、上方に付勢される。弾性体15の弾性力により、被支持部30を介してコイル支持体17aが上方に付勢されることで、位置決部材16はトッププレート4の下面に押し当てられる。なお、本実施の形態1では、弾性体15の一例としてコイルバネを示す。位置決部材16と対向する位置に被支持部30を設けたため、不要なモーメントを発生させることなく、位置決部材16をトッププレート4の下面に押し当てることができる。したがって、アルミや銅等の強度の比較的低い金属材料を用いてリング部材29及び被支持部30を構成した場合でも、位置決部材16をトッププレート4に押し当てたときの力によるリング部材29及び被支持部30の変形を抑制することができる。
コイル支持体17aは、加熱コイル11及び後述する高透磁率磁性体38を含め複数の部品を支持するが、コイル支持体17aに支持される部品を含むコイル支持体17a全体の重心は、上面視において被支持部30を結んだ外形線の内側に位置する。本実施の形態の例では、3カ所の被支持部30が設けられており、これら3カ所の被支持部30を結んだ外形線の内側に、加熱コイル11を含む部品を支持した状態のコイル支持体17aの重心が位置する。このため、誘導加熱調理器1を組み立てる過程でトッププレート4が取り付けられていない状態において、コイル支持体17aが弾性体15の上に載置されたとき、重力によってコイル支持体17aが傾いてコイル支持体17aが落下することを防止することができる。特に本実施の形態1では、本体筐体2の側壁から突出するようにしてコイル支持体17aが配置されるため、コイル支持体17aが弾性体15の上から落下すると、本体筐体2で受け止められずに本体筐体2の外側に落ちるおそれがある。コイル支持体17aが床に落下した場合には、コイル支持体17aの損傷が大きくなることが想定され、そうなるとそのコイル支持体17aを使用することができず、製造上の損失が大きくなる。しかし本実施の形態1によれば、上述のようにコイル支持体17aが落下しにくい構成であるので、コイル支持体17aの落下による損失を抑制することができる。また、本体筐体2内の平面部でコイル支持体17aを支えることで、誘導加熱調理器1の組立作業を容易として組み立ての不具合を減らすとともに、組み立てコストを低減している。
コイル支持体17aの突出部171aにより支持された左端の加熱コイル11aの最大火力は、中央に配置された加熱コイル11eよりも低く制御される。これにより、突出部171aの上に載置される加熱コイル11a、すなわちキッチン天板201の上に配置される加熱コイル11aの自己発熱を軽減して、この加熱コイル11aの冷却負荷を低減している。
また、左端の加熱コイル11aには、この加熱コイル11a自体の温度又はその周囲の温度を検出することにより加熱コイル11aの温度を検知する加熱コイル温度検知装置(図示せず)が設けられている。加熱コイル温度検知装置としては、サーミスタやサーモパイルなど任意の温度センサを用いることができる。加熱コイル11aの温度が閾値以上となった場合、この加熱コイル11aによる加熱が停止し、又は火力が低下する。ここで、加熱コイル11aによる加熱が停止し又は火力が低下する場合、加熱口5aの合計の火力が維持されるように、加熱コイル11b〜11eのうちいずれか1つ以上の火力が高められる。
右側の加熱口5c(図1参照)の下方には、同心円状に巻かれた二重環状の1つの加熱コイル13が設けられている。加熱コイル13は、コイル支持体17cによって下方から支持されている。コイル支持体17cは、平面視で概ね円板状に形成されており、例えば、非磁性金属で構成されている。コイル支持体17cの右側の一部は、本体筐体2の右側の側面よりも外側に突出して配置されている。ここで、コイル支持体17cのうち本体筐体2の右側面よりも外側に突出して配置されている部分を、突出部171cと称する。上方から見たとき、コイル支持体17cの突出部171cは、本体筐体2と重なっておらず、キッチン天板201と重なる。高さ方向に見ると、コイル支持体17cの突出部171cは、キッチン天板201とトッププレート4(図1参照)との間に配置される。コイル支持体17cの突出部171cの上に、加熱コイル13の右側の一部が載置されている。ここで、加熱コイル13のうち、コイル支持体17cの突出部171cの上に載置された部分を、コイル突出部131と称する。
コイル支持体17cの上端部には、コイル支持体17aに設けられたものと同様のリング部材29が設けられている。リング部材29の構成及びその作用効果は、コイル支持体17aに関して説明したものと同様である。また、位置決部材16、被支持部30、及び弾性体15に係る構成も、コイル支持体17aに関して説明したものと同様である。
コイル支持体17cの突出部171cの上に載置されたコイル突出部131には、このコイル突出部131自体の温度又はその周囲温度を検出することによりコイル突出部131の温度を検知する加熱コイル温度検知手段(図示せず)が設けられている。加熱コイル温度検知装置としては、サーミスタやサーモパイルなど任意の温度センサを用いることができる。コイル突出部131の温度が閾値以上となった場合、加熱コイル13による加熱が停止し、又は火力が低下する。
中間の加熱口5b(図1参照)の下方には、環状の1つの加熱コイル12が設けられている。加熱コイル12は、コイル支持体17bによって下方から支持されている。コイル支持体17bは、平面視で概ね円板状に形成されており、例えば、非磁性金属で構成されている。
コイル支持体17bの側面の外周には、防磁板59が設けられている。防磁板59は、例えばアルミや銅等の非磁性金属からなる平板で構成された環状部材である。防磁板59は、本実施の形態1では、その平板面が縦方向を向くようにして、すなわち加熱コイル12の外周部と対向するようにして配置されている。防磁板59は、加熱コイル12から出る側面方向への高周波磁束を吸収して、本体筐体2の外部への磁束の漏洩を抑制している。
コイル支持体17bの外周部の上面の3カ所には、位置決部材16が設けられている。また、コイル支持体17bの外周部の下面の、位置決部材16と対向する位置は、コイルバネ等の弾性体15によって下方から支持されている。弾性体15の弾性力により、コイル支持体17bは上方に付勢され、トッププレート4が取り付けられたときに、コイル支持体17bの位置決部材16はトッププレート4の下面に押し当てられる。これらの構成により、コイル支持体17b及びこれに支持される加熱コイル12と、トッププレート4との上下方向の位置決めを実現している。
コイル支持体17a及びコイル支持体17cの下方には、通風体70(主通風路形成部材)が配置されている。通風体70は、後述する送風装置から送られる冷却風をコイル支持体17a、17cに導く風路を形成する。通風体70により形成される風路を、主通風路80と総称する。
本体筐体2の内部であって、加熱コイル12の左後方には、本体筐体2内と筐体排気口9とを連通させる風路を形成する排気風路23が設けられている。排気風路23は、本体筐体2内を流れた冷却風を、本体筐体2の外部へ排出する風路である。
通風体70により形成される主通風路80により導かれた冷却風は、加熱コイル11、12、13を含む部品を冷却した後、排気風路23を通って本体筐体2の外部へと排出される。なお、冷却風の風路に係る構成の詳細は後述する。
図4は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器1のトッププレート4、トッププレート枠体3、通気口カバー7、及びコイル支持体17の付帯部品を取り外した斜視図である。通風体70の上面には、左側のコイル支持体17aと接続される開口部である左接続口71a、71b(左接続口71と総称する場合がある)と、右側のコイル支持体17cと接続される開口部である右接続口72a、72b(右接続口72と総称する場合がある)とが形成されている。左接続口71及び右接続口72は、本実施の形態1では複数設けられている。以降の説明において、共通する構成について説明するときには左接続口71、右接続口72のように総称する。
図5は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器1のトッププレート4、トッププレート枠体3、通気口カバー7、及びコイル支持体17の付帯部品を取り外して通風体70を上方へ移動させた状態の分解斜視図である。図6は、実施の形態1に係る通風体70の上面図である。図5及び図6では、説明のため、通風体70の内部を一部透視して示している。また、図6では、説明のため、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。
通風体70の上面に形成された複数の左接続口71のうち、コイル支持体17aの突出部171aに冷却風を導くものを、左接続口71aと称する。また、コイル支持体17aの突出部171a以外の部分に冷却風を導くものを、左接続口71bと称する。左接続口71aは、複数(本実施の形態1では6個)設けられており、これらは本体筐体2の奥行き方向に沿って配置されている。左接続口71bは、その上方に載置されるコイル支持体17aの外形に概ね沿った形状の開口部である。
通風体70の上面に形成された複数の右接続口72のうち、コイル支持体17cの突出部171cに冷却風を導くものを、右接続口72aと称する。また、コイル支持体17cの突出部171c以外の部分に冷却風を導くものを、右接続口72bと称する。右接続口72aは、複数(本実施の形態1では2個)設けられており、これらは本体筐体2の奥行き方向に沿って配置されている。右接続口72bは、その上方に配置されるコイル支持体17cの外形に概ね沿った形状の開口部である。
通風体70内に形成される主通風路80は、大まかには、左側のコイル支持体17aに冷却風を導く副通風路(左副通風路81)と、右側のコイル支持体17cに冷却風を導く副通風路(右副通風路82)とに分かれている。
左副通風路81は、複数の左接続口71aに接続される左副通風路81aと、左接続口71bに接続される左副通風路81bとに分かれている。
右副通風路82は、右接続口72aに接続される右副通風路82aと、右接続口72bに接続される右副通風路82bとに分かれている。さらに本実施の形態1では、2つの右接続口72aのそれぞれに接続されるようにして、右副通風路82b内がさらに2つの風路に分かれている。
本体筐体2の右側であって、通風体70の下側には、内部に送風装置27を収納した基板ケースユニット24(図7、図8にて後述する)が配置されている。通風体70に送られる冷却風は、この基板ケースユニット24から送出される。基板ケースユニットの上面には、前側排気口26aと後側排気口26bとが形成されている。前側排気口26aは、左副通風路81の一端に接続され、後側排気口26bは右副通風路82の一端に接続される。
通風体70の上面には、弾性体支持部33が設けられている。弾性体支持部33は、コイル支持体17の下側に設けられる弾性体15(図3、図4参照)の下部を支持する部材である。誘導加熱調理器1が組み立てられた状態において、通風体70の上に弾性体15が支持され、この弾性体15の上にコイル支持体17が支持される。本実施の形態1では、コイルバネで構成された弾性体15の内周部に嵌合する突出形状の弾性体支持部33が、通風体70の上面に通風体70と一体的に形成されている。弾性体支持部33を通風体70に一体的に形成することで、弾性体15及び弾性体15に支持されるコイル支持体17の位置決めを正確に行うことができ、これにより、左接続口71とコイル支持体17aとの接続、及び右接続口72とコイル支持体17cとの接続も容易となって、誘導加熱調理器1の組立性及び製品の信頼性を向上させることができる。
通風体70に形成される右副通風路82の内部には、3つの端子台36が設けられている。3つの端子台36のうちの2つは、加熱コイル13の素線の接続に用いられる。3つの端子台36のうちの残りの1つは、コイル支持体17cのアース線32が接続され、これによりコイル支持体17cがアース接続される。すべての端子台36は、上方から見たときに右接続口72のいずれか(本実施の形態1では右接続口72b)から露出する位置に配置される。このため、誘導加熱調理器1を組み立てる際には、右接続口72の上から作業者が手や工具を挿入して端子台36への配線を行うことができる。
図7は、実施の形態1に係る基板ケースユニット24の斜視図である。基板ケースユニット24は、図5に示したように、本体筐体2内の調理室14の右側に配置されている。基板ケースユニット24内には、電気部品20及び送風装置27が収容されている。電気部品20は、加熱コイル11、12、13に高周波電力を供給する駆動手段であるインバータ回路、インバータ回路の冷却効率を高めるヒートシンク、及び駆動手段を制御する制御手段であるマイコンや制御回路等の電子部品が実装された回路基板を含んでいる。本実施の形態では、本体筐体2内の各部の動作を制御する機能部品の集合体を、制御装置と称する。
基板ケースユニット24の外郭において、送風装置27の吸引側には吸気口25が開口し、送風装置27の送出側の上面には、前側排気口26a、後側排気口26bという2つの排気口が開口している。吸気口25は、筐体吸気口8(図1参照)の下方に配置され、筐体吸気口8と連通する。基板ケースユニット24の内部は、吸気口25から前側排気口26a又は後側排気口26bに至る一体的な風路として機能する。
より詳しくは、基板ケースユニット24内の送風装置27の送出側の風路は、2つの風路に分かれており、それら風路はそれぞれ、前側排気口26a、後側排気口26bに連なっている。前側排気口26aに連なる風路は、左側の加熱コイル11を主に冷却する冷却風が流れ、後側排気口26bに連なる風路は、右側の加熱コイル13を主に冷却する冷却風が流れるものであり、各風路の断面積は冷却対象である加熱コイル11、13の冷却負荷を考慮して決定されている。
図8は、実施の形態1に係る基板ケースユニット24の側面断面図である。図8では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。送風装置27が動作すると、外部の空気は、筐体吸気口8に接続される吸気口25から基板ケースユニット24内に流入する。基板ケースユニット24に流入した空気は、送風装置27により吸引及び送出される。送風装置27の送出側の風路は、平板状の部材からなる分流手段によって風路が上下に分かれており、上段の風路は後側排気口26bに接続され、下段の風路は前側排気口26aに接続されている。送風装置27から送出された冷却風の一部は、上段の風路を通って奥側(図8の紙面左側)の後側排気口26bから吹き出され、他の一部は下段の風路を通って電子回路基板に実装されたインバータ回路や放熱フィン等の電気部品20を冷却した後、手前側(図8の紙面右側)の前側排気口26aから吹き出される。
なお、基板ケースユニット24の風路構成は一例であり、送風装置27を備え、前側排気口26a、後側排気口26bから冷却風を送風できる構成であれば、形状及び冷却風の経路はこれに限定するものではなく、同様の作用及び効果が得られる。また、送風装置27は、吸い込んだ空気を前側排気口26a、後側排気口26bから送出することのできる送風機であれば、任意の構成のものを採用することができ、また、その配置についても図示のものに限定されない。
図9は、実施の形態1に係る右側のコイル支持体17c及び右側のコイル支持体17cに支持される部品を上方から見た分解斜視図である。加熱コイル13の下側には、加熱コイル13とコイル支持体17cとの間を上下方向に仕切る仕切部材18cが設けられ、仕切部材18cの下側には複数の高透磁率磁性体38が設けられている。
コイル支持体17cは、アルミや銅などの高導電率かつ低透磁率の非磁性体の金属板で形成され、概ね皿状である。コイル支持体17cは、加熱コイル13からの高周波磁束の漏れを防止する防磁手段としても機能し、加熱口5cに載置される被加熱物以外(キッチン天板201等)の高周波加熱の防止や誘導加熱調理器1の外部への不要な磁束の漏洩を抑制する。また、コイル支持体17cは、高導電率であるため、温度が高くなるキッチン天板201側から本体筐体2側へ熱移動及び熱拡散を促進し、局所的な温度上昇を抑制するとともに、放熱面積を増やし冷却風との接触を高めるヒートシンクとしての効果がある。また、コイル支持体17cは、後述するように冷却風を流す冷却風路を形成する部材としても機能する。
コイル支持体17cの本体筐体2の右側の側壁から突出する部分の底面、すなわち突出部171cの底面には、開口が設けられていない。他方、コイル支持体17cの底面のうち突出部171cを除く部分の底面には、冷却風の流入口21が設けられている。本実施の形態では、機能及び構造の異なる複数種類の流入口21が設けられており、以降の説明においては流入口21a、21bのように添え字を付して区別して説明する場合がある。
高透磁率磁性体38は、例えばフェライト等で構成される。複数の高透磁率磁性体38が設けられているが、本実施の形態では、コイル支持体17cの突出部171cの上に配置されるもの(以下、第一高透磁率磁性体38aと称する)と、突出部171c以外の部分の上に配置されるもの(以下、第二高透磁率磁性体38bと称する)とで、形状を異ならせている。具体的には、コイル支持体17cの突出部171cの上に配置される第一高透磁率磁性体38aは、それ以外のものよりも幅が広くかつ厚みが薄い。誘導加熱調理器1がキッチンに組み付けられた状態において突出部171cはキッチン天板201と重なるため、高さ方向のスペースは限られるが、第一高透磁率磁性体38aの厚みを薄くすることで、この第一高透磁率磁性体38a及び加熱コイル13へ導く冷却風の導風構造の設置スペースを確保することができる。
また、コイル支持体17cの突出部171cの上に配置される第一高透磁率磁性体38aは、略扇状であり、加熱コイル13の下方を覆うように配置されている。加熱コイル13の下方を覆うように第一高透磁率磁性体38aを配置することで、高周波磁束の集束を高め、下方に向かう磁束をさらに低減してコイル支持体17cの突出部171cやキッチン天板201へ高周波磁束が届いて発熱するのを軽減することができる。他方、コイル支持体17cの突出部171c以外の上に配置される第二高透磁率磁性体38bは、略拍子木状であり、互いに隙間を空けて放射状に設けられている。このように第二高透磁率磁性体38b同士の隙間を空けて配置することで、冷却風の風路を確保して第二高透磁率磁性体38b及び加熱コイル13の冷却効率を高めている。
高透磁率磁性体38は、加熱コイル13が発生する高周波磁束を集束及び偏向させて上方の被加熱物に向けるとともに、下方に磁束が向かうのを抑えコイル支持体17cやキッチン天板201へ高周波磁束が通過するのを抑制する機能がある。この高透磁率磁性体38の機能の発揮に伴って高透磁率磁性体38自体も発熱するため、高透磁率磁性体38を冷却することが望ましく、本実施の形態では高透磁率磁性体38を冷却するための構成を採用している。
コイル支持体17cの突出部171cを除く部分の底面であって、第二高透磁率磁性体38bの下方には、磁性体冷却穴40が形成されている。この磁性体冷却穴40の上に、第二高透磁率磁性体38bが配置される。磁性体冷却穴40の外形は、第二高透磁率磁性体38bの外形よりもやや小さく、第二高透磁率磁性体38bが落下しないようになっているが、第二高透磁率磁性体38bの下面は磁性体冷却穴40を介して冷却風に晒されて冷却される。
磁性体冷却穴40の辺の一部には、コイル支持体17cの底面を下方に向けて切り起こして形成したフィン34が設けられている。コイル支持体17cにフィン34を設けることにより、コイル支持体17cへの冷却風の衝突を促してコイル支持体17cの冷却効率を高めている。また、磁性体冷却穴40を形成するために刳り抜いたコイル支持体17cの底面を利用してフィン34を形成することで、フィン34を形成するための新たな部品を追加する必要もなく、製造コストの上昇を抑えることができる。
コイル支持体17cの底面の下側には、赤外線センサユニット43が取り付けられる。赤外線センサユニット43は、赤外線を検知して検知した赤外線に基づいて被検知物の温度を検出するセンサである。赤外線センサユニット43は、その受光部が、上方、すなわちコイル支持体17c側を向くようにして取り付けられる。コイル支持体17cの底部であって、赤外線センサユニット43の受光部が配置される位置には、赤外線センサ窓部41が設けられている。コイル支持体17cの上面の赤外線センサ窓部41の外周には、その外周に沿って起立する円筒状の筒体である赤外線センサ遮蔽部41aが設けられている。この赤外線センサ遮蔽部41aを設けることにより、不要な高周波磁界及び検知対象以外のものから放射される赤外線が、赤外線センサユニット43の赤外線検知処理に影響を与えるのを抑制している。
コイル支持体17cの上側であって加熱コイル13の下側には、加熱コイル13の下面に接触してその温度を検知するサーミスタユニット44が設けられている。サーミスタユニット44は、コイル支持体17cの上面と仕切部材18cの下面とで狭持されている。コイル支持体17cの底部には、サーミスタユニット44の外周を囲むように上方に起立した円筒状のサーミスタ遮蔽部45が設けられている。サーミスタ遮蔽部45を設けることにより、不要な高周波磁界のサーミスタユニット44への影響を軽減し、サーミスタユニット44による温度検知の精度を高めている。
コイル支持体17cに形成された複数の流入口21aの外周には、コイル支持体17cの上面から上方に突出する筒状のノズル42aが設けられている。コイル支持体17cの下方に接続される主通風路80からの冷却風は、流入口21及びノズル42aを通って上方へ吹き出され、上方に配置される加熱コイル13、特に二重環状の加熱コイル13の外側部分を冷却する。
コイル支持体17cの概ね中央部には、流入口21aに比べて開口面積の大きい流入口21bが設けられている。流入口21bの上には、仕切部材18cの下面に形成されたノズル42b(図10参照)が配置され、流入口21bとノズル42bとにより導風構造を形成して、上方に配置される加熱コイル13、特に二重環状の加熱コイル13の内側部分に冷却風を導く。
コイル支持体17cの、突出部171cに隣接する位置には、コイル支持体17cの径方向に沿った長細い形状の流入口50が設けられている。流入口50の上には、仕切部材18cの下側に形成される後述する冷却ダクト91、92の入口が配置される。
仕切部材18cは、略円板状の部材であり、自身の上面に加熱コイル13を保持する。また仕切部材18cは、高透磁率磁性体38を保持するとともに、コイル支持体17cの下側から供給される冷却風を加熱コイル13に導く冷却ダクトの構成の一部となる。
仕切部材18cの上面側には、加熱コイル13の外周側の巻線の下方に、弧状の3本の冷却ダクト91が形成されている。冷却ダクト91の底面及び側壁は、仕切部材18cの一部によって構成されている。加熱コイル13が冷却ダクト91の上に載置されると、加熱コイル13の下面が冷却ダクト91の上面を構成し、この冷却ダクト91内を冷却風が周方向に流れることで、加熱コイル13の底面が冷却される。冷却ダクト91の一端側の開口には、主に流入口50から吹き出される冷却風が流入し、冷却ダクト91を通った冷却風は、他端側の開口から流出する。冷却ダクト91を半径方向に複数(本実施の形態では3つ)設けることで、加熱コイル13の周方向に沿った冷却風の流れを形成することができ、冷却風の通過の少ない淀んだ領域の発生を軽減している。
仕切部材18cの外周部であって、コイル支持体17cの突出部171cの上に位置する部分には、仕切部材18cの外周部から外側に向かって延びる庇状のチャンバ46が設けられている。チャンバ46は、仕切部材18cの外周部に沿って弧状に設けられており、このチャンバ46の下面と、仕切部材18cの側壁の外面との間に、冷却ダクト92が形成される。仕切部材18cがコイル支持体17cの上に配置されると、冷却ダクト92の下面をコイル支持体17cの突出部171cの底面が構成し、冷却ダクト92の外側の側面を突出部171cの側壁の内面が形成する。冷却ダクト92を構成する仕切部材18cの側壁には、複数の仕切部材吹出口92cが設けられており、冷却ダクト92内を周方向に流れる冷却風の一部は、この仕切部材吹出口92cを通って加熱コイル13の側面に向かって吹き出し、加熱コイル13を冷却する。仕切部材吹出口92cから加熱コイル13側に吹き出された冷却風は、加熱コイル13の上面とトッププレート4との間に形成される隙間を流れ、この過程においても加熱コイル13が冷却される。
加熱コイル13の上面には、加熱コイル13の径方向に延びる棒状のシール部材47aが設けられている。シール部材47aは、加熱コイル13の上面と、その上に配置されるトッププレート4の下面との間を塞ぐ部材であり、例えば合成樹脂やゴム等の水密性及び気密性を備えた材料で構成される。誘導加熱調理器1が組み立てられた状態において、加熱コイル13の上面とトッププレート4の下面との間には、後述する図12で示すように冷却風の風路が形成される(図12の冷却ダクト94参照)。シール部材47aは、この風路へ流入した冷却風が風路に沿って流れるようにするために設けられたものである。
図10は、実施の形態1に係る右側のコイル支持体17c及び右側のコイル支持体17cに支持される部品を下方から見た分解斜視図である。仕切部材18cの下面には、第一高透磁率磁性体38aを保持する磁性体保持部48a、及び第二高透磁率磁性体38bを保持する磁性体保持部48bが設けられている。扇状の第一高透磁率磁性体38aを保持する磁性体保持部48aは、第一高透磁率磁性体38aの外形にほぼ沿った放射状の側壁481aと、対向するこの側壁481aを接続するように設けられた複数(本実施の形態では3つ)の弧状の支持枠482aとを有し、支持枠482aの上側に形成されたスリット状の開口に、第一高透磁率磁性体38aが外周側から挿入される。仕切部材18cに第一高透磁率磁性体38aが保持された状態において、第一高透磁率磁性体38aの上面と仕切部材18cの下面との間、及び第一高透磁率磁性体38aの下面とコイル支持体17cの上面との間には、隙間が形成され、この隙間は冷却風が通過する冷却ダクトとして機能する。本実施の形態では、仕切部材18cの一部として複数の弧状の支持枠482aを設けたので、この支持枠482aの下方には周状の複数(本実施の形態では3つ)の冷却ダクト91が形成され、より周方向に沿った冷却風の流れを形成することができる。これにより、冷却風の通過が少ない空気の淀んだ領域を軽減して、冷却ムラを抑制し、冷却効率を高めている。
加熱コイル13の外周側に設けられた周状のチャンバ46の下側に形成される冷却ダクト92の一方の端部には空気の流入口92aが形成され、他方の端部には流出口92bが形成されている。流入口92aから流入した冷却風は、冷却ダクト92を通過する過程において、冷却ダクト92の上面を構成する仕切部材18c及び冷却ダクト92の下面を構成するコイル支持体17cを冷却する。これにより、熱によるコイル支持体17cの損傷及び劣化を抑制するとともに、キッチン天板201の不要な加熱を軽減する効果がある。また、冷却ダクト92を通過する冷却風の一部は、仕切部材吹出口92cから加熱コイル13の外周側面、即ち仕切部材18の径方向中心に向けて吹き出す。これにより、加熱コイル13の外周側面に冷却風が衝突して加熱コイル13を冷却する。
赤外線センサユニット43は、コイル支持体17cの下面で、かつ、フィン34とフィン34との間に配置されている。このようにすることで、赤外線センサユニット43の両側面のフィン34が防磁板として機能し、加熱コイル13からの高周波磁束による影響が赤外線センサユニット43の両側面においても低減される。赤外線センサユニット43の上面への高周波磁束の影響は、コイル支持体17cの底部によって低減されており、赤外線センサユニット43の温度検知精度を高めることができる。
コイル支持体17cの被支持部30には、弾性体保持部37が設けられている。本実施の形態の弾性体保持部37は、コイル支持体17cの一部(被支持部30の一部)を下側に切り起こして形成された複数の爪で構成されており、この爪が、弾性体15の内側に嵌入されて弾性体15に係止する。このような構成により、コイル支持体17cと弾性体15との位置決め精度を高めている。また、コイル支持体17cの一部を用いて弾性体保持部37を形成したので、追加の部品を必要とせず、製造コストの増加を抑制する効果もある。
コイル支持体17cの底部の外周部であって、コイル支持体17cが本体筐体2に組み付けられた状態において中間の加熱コイル12と対向する部分には、複数の支持体流出口22cが設けられている。支持体流出口22cを単純な開口により形成することもできるが、本実施の形態では、コイル支持体17cの底部を下方に凹ませ、その凹みの外側の側面に開口を設けて、これを支持体流出口22cとしている。コイル支持体17cに形成された凹みは、コイル支持体17cの底部から支持体流出口22cに至る流路として機能し、支持体流出口22cから吹き出される冷却風の指向性を高めるので、冷却対象である中間の加熱コイル12の冷却効率を向上させることができる。また、この凹みを絞り加工により形成することで、追加の部品を必要とすることなく製造でき、製造コストの増加を抑えることができる。
コイル支持体17cの下面には、コイル支持体17cをアース接続するアース接続部31が設けられている。アース接続部31にはアース線32の一端が接続されており、アース線32の他端は通風体70に設けられた端子台36に接続される(図6参照)。上述のように、端子台36への結線は、通風体70に形成された右接続口72を利用して行うことができるので、誘導加熱調理器1の組み立ての作業性がよい。
また、コイル支持体17cは、アース線32で本体筐体2に接続される。本体筐体2は、電源ケーブル等を介して接地されアース接続されていることから、アース接続部31と本体筐体2の端子台36とをアース線32で接続するだけで、コイル支持体17cを簡単に接地することができる。また、加熱コイル13から放射される輻射ノイズを低減することができるとともに、万が一、加熱コイル13から漏電したとしても、適切にアース接続され、キッチンキャビネット200を介した感電を防ぐことができる。なお、本実施の形態では、アース線32を用いてアース接続しているが、弾性体15として導電性を有する金属バネを用い、本体筐体2の弾性体保持部37を本体筐体2の金属部分に形成することで、コイル支持体17cをアース接続することもできる。このようにしても、同様にアース接続の作用効果を得ることができる。
図11は、実施の形態1に係る右側のコイル支持体17cとその付帯部品の斜視図であり、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図である。図11では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。矢印300で示すように、コイル支持体17cの下側から供給される冷却風の一部は、第一高透磁率磁性体38aの下側及び上側に形成された隙間(冷却ダクト91)を周状に流れ、第一高透磁率磁性体38a、仕切部材18c、及びコイル支持体17cを冷却する。
矢印301で示すように、コイル支持体17cの下側から供給される冷却風の一部は、チャンバ46の下側に形成される周状の冷却ダクト92を流れ、冷却ダクト92の内周壁に形成された加熱コイル13の外周面側に吹き付けられて加熱コイル13を冷却する。矢印302で示すように、冷却ダクト92の流出口92bから出た冷却風は、コイル支持体17cの外周壁と仕切部材18cの外周壁との間に形成された風路を通り、矢印303で示されるように、支持体流出口22cから吹き出る。
矢印304で示すように、コイル支持体17cの下側から供給される冷却風の一部は、コイル支持体17cの底部に形成された複数の流入口21aを通ってコイル支持体17cの上方に流れ、高透磁率磁性体38、仕切部材18c、及び加熱コイル13を冷却する。
図12は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器1及びキッチン天板201の、右側のコイル支持体17c部分の部分断面図である。図12を参照して、コイル支持体17cの突出部171cの上、すなわちキッチン天板201の上に載置される部材の冷却に係る構造を中心に説明する。
キッチン天板201の上側には、コイル支持体17cの突出部171c、その上に第一高透磁率磁性体38a、その上に仕切部材18c、その上に加熱コイル13、その上にトッププレート4が配置される。コイル支持体17cの突出部171cの上面と第一高透磁率磁性体38aの下面との間には、平面視で周状の冷却ダクト91が設けられている(図9参照)。仕切部材18cの上面と加熱コイル13の下面との間には隙間が形成され、この隙間を冷却ダクト93と称する。冷却ダクト93は、冷却ダクト91の上方に位置し、冷却ダクト91と同様の平面視で周状の風路である。また、加熱コイル13の上面とトッププレート4の下面との間にも隙間が形成され、この隙間を冷却ダクト94と称する。冷却ダクト94は、冷却ダクト91及び冷却ダクト93の上方に位置し、冷却ダクト91及び冷却ダクト93と同様の平面視で弧状の風路である。
加熱コイル13の下側にある冷却ダクト93を流れる冷却風の一部は、加熱コイル13の巻線の隙間及び仕切部材18cの隙間を通り、加熱コイル13の上側にある冷却ダクト94に流入する。冷却ダクト94は、シール部材47a(図9参照)で気密となっており、冷却風は冷却ダクト94から不要に拡散することなく加熱コイル13の上面を冷却することができる。
このように、キッチン天板201の上側に配置される複数の部材同士の間には、冷却風の風路となる隙間が設けられており、これらの隙間を冷却風が通過することで、加熱コイル13、コイル支持体17c、仕切部材18c、第一高透磁率磁性体38aが冷却される。これにより、これらの部材の熱による損傷及び劣化を低減するとともに、熱が伝わることによるキッチン天板201の不要な加熱を抑制することができる。
図13は、実施の形態1に係る左側のコイル支持体17a及びその付帯部品を上方から見た分解斜視図である。図14は、実施の形態1に係る左側のコイル支持体17a、仕切部材18a及び仕切部材18aの付帯部品を下方から見た分解斜視図である。図14では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。加熱コイル11の下側には、加熱コイル11とコイル支持体17aとの間を仕切る仕切部材18aが設けられ、仕切部材18aの下側には複数の高透磁率磁性体39が設けられている。コイル支持体17a、仕切部材18a、及び高透磁率磁性体39の基本的な構成は、前述のコイル支持体17c、仕切部材18c、及び高透磁率磁性体38と同様であり、ここでは主に相違点を中心に説明する。
高透磁率磁性体39は、外周側に配置された加熱コイル11a〜11eの下に配置されるもの(高透磁率磁性体39aと称する)と、内周側に配置された加熱コイル11eの下に配置されるもの(高透磁率磁性体39b)とで、形状を異ならせている。高透磁率磁性体39aは、上面中央部に凸部を有する略棒状であり、加熱コイル11a〜11dの下側に形成された磁性体保持部49aにそれぞれ放射状に複数配置されている。高透磁率磁性体39aの上面の凸部は、仕切部材18aに形成された磁性体保持部49aの磁性体冷却穴40に嵌合され、これによって高透磁率磁性体39aが仕切部材18aに保持される。高透磁率磁性体38とは異なり、コイル支持体17aの突出部171aの上に配置されるか否かにかかわらず、同じ形状の高透磁率磁性体39aを用いており、このように同一形状として部材を標準化することで、製造の低コスト化を図っている。高透磁率磁性体39bは、略棒状であり、加熱コイル11eの下側に放射状に複数配置されている。高透磁率磁性体39bは、仕切部材18aの下面に形成された枠状の磁性体保持部49bに嵌め込まれ、仕切部材18aに保持される。
コイル支持体17aの突出部171a、すなわち誘導加熱調理器1がキッチンキャビネット200に組み込まれたときにキッチン天板201の上方に位置する部分には、開口部を設けていない。このようにすることで、加熱コイル11からの高周波磁束を遮蔽し、外部への高周波磁束の漏洩を抑制している。
コイル支持体17aの突出部171aを除く部分には、ノズル42aを備えた流入口21a、及び磁性体冷却穴40が設けられており、これらの構成はコイル支持体17cについて説明したものと同様の構成である。コイル支持体17aの下側に供給された冷却風は、流入口21a及びノズル42aを通って上方に吹き出され、コイル支持体17aの突出部171aを除く部分に配置された加熱コイル11b〜11eを冷却する。導風構造として機能するノズル42aの作用により、衝突噴流が加熱コイル11b〜11eに供給され、効率よく冷却することができる。また、磁性体冷却穴40から高透磁率磁性体39の下面が露出し、コイル支持体17aの下側を流れる冷却風により高透磁率磁性体39が冷却される。
コイル支持体17aの外周壁のうち、本体筐体2に組み付けられた状態において中間の加熱コイル12と対向する位置には、複数の支持体流出口22aが形成されている。このコイル支持体17aに形成された支持体流出口22aは、コイル支持体17cに形成された上述の支持体流出口22cとは異なり、コイル支持体17aの外周壁に設けられているとともに、複数の楕円形の開口で構成されている。コイル支持体17a内の冷却風を、この支持体流出口22aから外へ吹き出すことで、加熱コイル12に冷却風を送って加熱コイル12の冷却効率を高める効果がある。
コイル支持体17aに設けられたアース接続部31は、コイル支持体17aの外周部から外へ突出しており、アース線32(図16参照)の接続を容易として組み立ての作業性を高めている。また、コイル支持体17aを接地することで、輻射ノイズを低減する効果がある。
コイル支持体17aの突出部171aの近傍には、流入口51、52、53、54が設けられている。これら流入口51〜54は、図5、図6等に示した通風体70の複数の左接続口71aに、それぞれ接続される。本実施の形態では、左接続口71aは上方に突出する筒状に形成されており、この筒状の部分が流入口51〜54に挿入され、冷却風を気密性高く流入口51〜54に流入させて冷却効率を高めている。
仕切部材18aの、コイル支持体17aの突出部171aの上側に位置する部分には、冷却風を仕切部材18aの上方に吹き出す複数の仕切部材吹出口61〜64が形成されている。仕切部材吹出口61〜64は、それぞれ、流入口51〜54から吹き出される冷却風を上方へ吹き出す。
図14において矢印311で示すように、流入口51を通ってコイル支持体17aの上方に吹き出された冷却風は、仕切部材18aの下面の外周部に形成された概ね弧状の冷却ダクト95を周状に流れる。ここで、冷却ダクト95は、コイル支持体17aの突出部171aの上方、すなわち加熱コイル11aの下方に位置しており、冷却ダクト95の一部は、流入口51に向けて開口している。仕切部材18aには、上から見て加熱コイル11aと重なる位置に、冷却ダクト95と通じる複数の仕切部材吹出口61が設けられている。冷却ダクト95内には、複数の仕切部材吹出口61に通じる副風路が形成されている。冷却ダクト95内に流入した冷却風は、複数の副風路に分流して流れ、上面に設けられた仕切部材吹出口61から上方へ出て、上側に配置されている加熱コイル11aを冷却する。
冷却ダクト95の上面は、加熱コイル11の上面とほぼ同じ高さであり、加熱コイル11と高透磁率磁性体39の合計高さ寸法と概ね等しいコイル支持体17aの高さ寸法内に、冷却ダクト95が収まっている。このようにすることで、トッププレート枠体3の高さ寸法を低くすることができ、誘導加熱調理器1がキッチンキャビネット200に組み込まれたときに、キッチン天板201とトッププレート枠体3との段差を小さくでき、調理の作業性を高める効果がある。
図14において矢印312で示すように、流入口52を通ってコイル支持体17aの上方に吹き出された冷却風は、仕切部材18aの下面に形成された弧状の冷却ダクト96を流れる。仕切部材18aには、上から見て加熱コイル11aと重なる位置に、冷却ダクト96と通じる仕切部材吹出口62が設けられている。冷却ダクト96に流入した冷却風は、周方向に流れて仕切部材吹出口62から上方へ流出し、上側に配置されている加熱コイル11aを冷却する。加熱コイル11aに冷却風が吹き出されることで、衝突噴流熱伝達の効果が得られ、加熱コイル11aを効率よく冷却することができる。
ここで、流入口51と流入口52の開口面積はほぼ同じであるが、流入口51に対応して設けられた仕切部材吹出口61の開口面積(複数の仕切部材吹出口61の開口面積の合計)の方が、流入口52に対応して設けられた仕切部材吹出口62の開口面積の合計よりも大きい。これは、流入口51と流入口52の、送風装置27からの距離の違いに起因するものである。すなわち、流入口51、52へはともに同じ左副通風路81a(図5、図6参照)から冷却風が供給されるが、送風装置27から流入口52までの距離は、送風装置27から流入口51までの距離よりも長いため、供給される冷却風の量は流入口52の方が少ない。このため、流入口52に対応する仕切部材吹出口62の開口面積を相対的に小さくすることで、仕切部材吹出口61と仕切部材吹出口62から吹き出される冷却風の風量を均一に近づけ、これによって加熱コイル11aの冷却ムラを軽減して冷却効率を高めている。
図14に矢印313で示すように、流入口53を通ってコイル支持体17aの上方に吹き出された冷却風は、仕切部材18aの下面に形成された弧状の冷却ダクト97を流れる。冷却ダクト97は、冷却ダクト95よりも仕切部材18aの中央寄りに設けられている。仕切部材18aには、上から見て加熱コイル11aと重なる位置に、冷却ダクト97と通じる仕切部材吹出口63が設けられている。冷却ダクト97に流入した冷却風は、周方向に流れて仕切部材吹出口63から上方へ流出し、上側に配置されている加熱コイル11aを冷却する。加熱コイル11aに冷却風が吹き出されることで、衝突噴流熱伝達の効果が得られ、加熱コイル11aを効率よく冷却することができる。
図14に矢印314で示すように、流入口54を通ってコイル支持体17aの上方に吹き出された冷却風は、仕切部材18aの下面に形成された放射状の冷却ダクト98を流れる。冷却ダクト98は、冷却ダクト95よりも仕切部材18aの中央寄りに設けられている。仕切部材18aには、上から見て加熱コイル11aと重なる位置に、冷却ダクト98と通じる仕切部材吹出口64が設けられている。冷却ダクト97に流入した冷却風は、加熱コイル11aの径方向に、巻線の外側から内側に向かって流れ、仕切部材吹出口64から上方へ流出し、上側に配置されている加熱コイル11aを冷却する。加熱コイル11aに冷却風が吹き出されることで、衝突噴流熱伝達の効果が得られ、加熱コイル11aを効率よく冷却することができる。
冷却ダクト95〜98は、下面がコイル支持体17aで構成され、側面が仕切部材18a及び高透磁率磁性体39の側面で構成され、上面が仕切部材18で構成されているので、冷却ダクト95〜98を通る冷却風によって、コイル支持体17a、仕切部材18a、及び高透磁率磁性体39も冷却される。このように、構成がコンパクトで冷却効率の高い導風構造が得られている。
図15は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器1及びキッチン天板201の、左側のコイル支持体17a部分の部分断面図である。図15を参照して、コイル支持体17aの突出部171aの上、すなわちキッチン天板201の上に載置される部材の冷却に係る構造を中心に説明する。
コイル支持体17aの突出部171aの底面とキッチン天板201との間には、隙間401が形成されている。このようにコイル支持体17aの下側に隙間401が形成されるようにコイル支持体17aを配置することで、隙間401の空気層が断熱層として機能し、コイル支持体17aの熱が直接キッチン天板201に伝わって加熱されるのを抑制している。また、トッププレート枠体3の下面には、キッチン天板201と接するシール部材47bが設けられていて当該部分からの液体等の浸入が抑制されているが、仮に微量な液体等が等外部分を通過してトッププレート枠体3の下側に流入したとしても、隙間401があることで液体がたまらないので、コイル支持体17aへの液体の浸入が抑制される。
なお、本実施の形態では、隙間401の空気層を断熱に用いているが、コイル支持体17aの底面に断熱シートを設けてもよい。この断熱シートは、コイル支持体17aよりも熱伝導率の低い素材で構成されたものを採用するとよい。コイル支持体17aとキッチン天板201との間に断熱シートを設けることで、さらにキッチン天板201に対する断熱性能を高めることができる。
図16は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器1のトッププレート枠体3及び付帯部品を外した状態の上面図である。図16では、説明のため、加熱コイル11〜13を二点鎖線で示し、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。
基板ケースユニット24(図16には図示せず。図5参照)から吹き出された冷却風の一部は、通風体70に設けられた右副通風路82を通って右側のコイル支持体17cに供給される。コイル支持体17cに供給された冷却風は、コイル支持体17c及びこれに支持された部品を冷却し、支持体流出口22cを通ってコイル支持体17cの外へ出る。コイル支持体17cから出た冷却風は、中間の加熱コイル12に向かって流れてこれを冷却し、その後、排気風路23に流入して排気される。
また、基板ケースユニット24(図16には図示せず。図5参照)から吹き出された冷却風の一部は、通風体70に設けられた左副通風路81a、81bを通って右側のコイル支持体17aに供給される。左副通風路81aを流れる冷却風は、コイル支持体17aの突出部171a及びこれに支持される加熱コイル11a等の部材を冷却する。また、左副通風路81bを流れる冷却風は、コイル支持体17aの突出部171aを除く部分及びこれに支持される加熱コイル11b〜11eを冷却し、支持体流出口22aを通ってコイル支持体17aの外へ出る。コイル支持体17aから出た冷却風は、中間の加熱コイル12に向かって流れてこれを冷却し、その後、排気風路23に流入して排気される。
次に誘導加熱調理器の動作を説明する。使用者が操作部6に対して加熱動作の指示の操作を行うと、基板ケースユニット24内の電子回路基板に実装される制御手段により駆動手段が制御される。加熱コイル11、12、13が駆動されて高周波電流が流れると、加熱コイル11、12、13から高周波磁界が発生し、加熱コイル11、12、13の概ね上方のトッププレート4上に載置された被加熱物(図示せず)に渦電流が生じ、被加熱物自体が発熱して加熱調理が行われる。このとき、コイル支持体17a、17b、17cに保持される高透磁率磁性体の作用により、磁力線は上方の被加熱物へ集中し、これによって加熱効率を高めている。
加熱コイル11、12、13を駆動することにより、電子回路基板に実装される電子部品は自己発熱して温度上昇する。また、加熱コイル11、12、13の巻線も自己発熱して温度が上昇する。電子回路基板及び加熱コイル11、12、13の機能を維持するには、これらの温度上昇を所定の温度範囲内に抑える必要がある。このため、制御手段は、各所に設けられた温度検知手段(図示せず)から出力される情報に基づいて、送風装置27を駆動制御する。送風装置27が動作することで、冷却風の送風が行われる。
冷却風は、本体筐体2の外部より、通気口カバー7及び筐体吸気口8を通過して本体筐体2内へ吸い込まれる。筐体吸気口8には基板ケースユニット24の吸気口25が接続されており、筐体吸気口8から吸い込まれた冷却風は、吸気口25から基板ケースユニット24へ流入する。基板ケースユニット24内に流入した冷却風は、送風装置27に吸引、送出され、基板ケースユニット24内の電子回路基板の部品を冷却した後、前側排気口26a、後側排気口26bを通って基板ケースユニット24の外へと流出する。その後の冷却風の流れは、図16を参照して説明した通りである。
以上のように本実施の形態の誘導加熱調理器1は、キッチンキャビネット200の上面に設けられたキッチン天板201の天板開口部202を通して、キッチンキャビネット200の格納部203に挿入される本体筐体2と、本体筐体2よりも幅広の天板部(トッププレート枠体3及びトッププレート4)で本体筐体2の上に設けられると、天板部の上に載置される被加熱物を誘導加熱する加熱コイル11、13と、空気の流入口21a〜21b、51〜54が形成され、加熱コイル11、13を下方から支持するコイル支持体17a、17cとを備え、コイル支持体17a、17cは、上面視で本体筐体2の外側であって、本体筐体2が格納部203に挿入された状態において上面視でキッチン天板201と重なる位置に配置される突出部171a、171cを有し、コイル支持体17a、17cの突出部171a、171cに、加熱コイル11、13の一部が支持される。
本実施の形態では、キッチン天板201に形成された天板開口部202の大きさの制約を受けずに、加熱コイル11、13の大きさと配置を選択することができる。これにより、天板部の調理スペースをより拡大することができる。キッチンキャビネット200の天板開口部202に挿入される本体筐体2の外側に加熱コイル11、13を配置することができるので、本体筐体2よりも幅広の天板部を設けることができる。したがって、加熱口5a、5cの大きさの自由度が高まるとともに、加熱口5同士の距離を大きくすることができる。これにより、使用者は、天板部への調理容器の載置や調理容器の移動を容易に行うことができるとともに、鍋振り等の調理動作を行う場合に、他の加熱口5に載置される調理容器への接触を抑制することができる。また、トッププレート4の上に、加熱口が配置されない領域を多く設けることができるので、トッププレート4上での調理容器から食器への盛り付け作業など、加熱調理以外の調理作業を行うスペースを確保することができ、使用者の調理の作業性を向上させて作業環境を良好にすることができる。また、隣接する加熱口5の加熱コイル11〜13を同時に駆動した場合、駆動する高周波電力の波長の差分で鍋等の被加熱物から干渉音が発生しうるが、加熱口5同士の距離を大きくすることで、干渉音を低減する効果が得られる。また、加熱口5の大きさの自由度が高まるため、加熱口5に設けられる加熱コイル11〜13の配置領域の自由度も拡大する。このため、本実施の形態の加熱口5aのように、一つの加熱口5a内に中心を異ならせて配置した複数の加熱コイル11a〜11eを設けることができる。このような複数の加熱コイル11a〜11eを設けることで、被加熱物の形状及び大きさに応じて複数の加熱コイル11a〜11eを組み合わせて加熱調理を行うことが可能となり、高機能な誘導加熱調理器1を得ることができる。
本体筐体2が格納部203に挿入された状態において、キッチン天板201とコイル支持体17a、17cの突出部171a、171cの下面との間に隙間が形成されるように、コイル支持体17a、17cが配置された。このため、コイル支持体17a、17cからキッチン天板201への伝熱が軽減され、熱によるキッチン天板201の損傷及び劣化を抑制することができる。また、キッチン天板201とトッププレート4との間に侵入した液体の、コイル支持体17a、17cへの接触を軽減することができ、コイル支持体17a、17cの汚れ、腐食、及び絶縁低下を抑制することができる。
コイル支持体17a、17cは、本体筐体2に支持される3以上の被支持部30を備え、加熱コイル11、13を支持した状態のコイル支持体17a、17cの重心は、3以上の被支持部30を結ぶ外形線の内側に位置する。このため、誘導加熱調理器1の組み立て工程において、コイル支持体17a、17cが弾性体15の上に載置されたときに、コイル支持体17a、17cは弾性体15に安定して支持され、製造時やメンテナンス時の組み立て作業性を高める効果がある。
コイル支持体17a、17cの流入口51〜54は、上面視において本体筐体2と重なる位置に配置されている。このため、コイル支持体17a、17cに冷却風を供給する通風体70の左接続口71、右接続口72を本体筐体2の内側に配置することができ、本体筐体2の外側への通風体70の実装が不要となる。したがって、本体筐体2の上に配置されるコイル支持体17a、17cの設置スペースの高さ寸法を小さくすることができ、天板部(トッププレート4及びトッププレート枠体3)とキッチン天板201との段差を小さくすることができる。
コイル支持体17a、17cは、非磁性金属で形成されているとともに、当該コイル支持体17a、17cに支持される加熱コイル11、13との間には、電気絶縁性を備えた素材で形成された仕切部材18a、18cを備えた。このため、加熱コイル11、13から生じる高周波磁束は、上方の被加熱物に集中して加熱効率を高めるとともに、下方への不要な高周波磁束が低減される。また、加熱コイル11、13の下方へ漏洩した高周波磁束は、非磁性金属で形成されたコイル支持体17a、17cに吸収されるため、他の電気部品及び電子部品への高周波磁束の影響を抑制することができる。したがって、製品の信頼性を高めることができるとともに、キッチン天板201等の製品の周囲が高周波磁束で加熱されることによる損傷及び劣化を抑制することができる。
仕切部材18cは、コイル支持体17cの突出部171cの上に載置される加熱コイル13の下側の位置に、自身の上方に配置される加熱コイル13の外周と略同一の曲率の側壁を有し、仕切部材18cの上面と加熱コイル13の下面との間には、冷却ダクト91となる隙間が形成されている。このため、冷却ダクト91に冷却風を供給する流入口50を、冷却ダクト91の任意の位置に設けることができる。また、流入口50の下側には、通風体70の右接続口72が配置されるが、この右接続口72以外には、コイル支持体17cの下側に導風のための空間を設ける必要がないため、高さ寸法の低い空間に加熱コイル13の実装を容易に行うことができ、部品レイアウトの自由度を高める効果がある。
仕切部材18aは、コイル支持体17aの突出部171aの上に載置される加熱コイル11aと対向する位置に、仕切部材吹出口61〜64が形成されており、仕切部材吹出口61〜64は、コイル支持体17aの流入口51〜54と上面視において重ならない位置に配置されている。加熱コイル11aと対向する位置に仕切部材吹出口61〜64を備えたことから、仕切部材吹出口61〜64から吹き出す冷却風の衝突噴流熱伝達により、加熱コイル11aを効率よく冷却することができる。また、流入口51〜54と仕切部材吹出口61〜64とを上面視で重ならない位置に配置し、両者を結ぶ冷却ダクトを設けたので、流入口51〜54の配置の自由度を高めることができる。流入口51〜54には、通風体70の左接続口71aに接続されるが、この左接続口71a以外には、コイル支持体17aの下側に導風のために空間を設ける必要がないため、高さ寸法の低い空間に加熱コイル11aの実装を容易に行うことができ、部品レイアウトの自由度を高める効果がある。
仕切部材18aは、コイル支持体17aの突出部171aの上に載置される加熱コイル11aと対向する位置に、仕切部材吹出口61が形成されており、コイル支持体17aの突出部171aの上に載置される加熱コイル11aの外周側かつ下側に、加熱コイル11aの下方から仕切部材吹出口61に連通する冷却ダクト95を配置した。仕切部材吹出口61を加熱コイル11aと対向する位置に配置したことから、仕切部材吹出口61から吹き出す冷却風の衝突噴流熱伝達により、加熱コイル11aを効率よく冷却することができる。また、加熱コイル11aの外周側に冷却ダクト95を配置したので、この冷却ダクト95の高さを、コイル支持体17aの全体の高さ(少なくとも加熱コイル11aと高透磁率磁性体39aの合計高さ)まで高くすることができ、冷却ダクト95の流路断面積を大きくすることができる。このため、冷却風が冷却ダクト95を通過する際の圧力損失が低下し、冷却風量を増やすことができるので、冷却能力を高める効果がある。また、流入口51には、通風体70の左接続口71aに接続されるが、この左接続口71a以外には、コイル支持体17aの下側に導風のために空間を設ける必要がないため、高さ寸法の低い空間に加熱コイル11aの実装を容易に行うことができ、部品レイアウトの自由度を高める効果がある。
仕切部材18cは、当該仕切部材18cの上方に配置される加熱コイル13の外周の外側に設けられた側壁を有し、仕切部材18cの側壁と加熱コイル13の外周との間には、冷却ダクト92となる隙間が形成されており、仕切部材18cの側壁には、加熱コイル13の外周と対向する位置に仕切部材吹出口92cが形成されている。冷却ダクト92を加熱コイル13の外周に配置したので、この冷却ダクト92の高さを、コイル支持体17cの全体の高さ(少なくとも加熱コイル13と第一高透磁率磁性体38aの合計高さ)まで高くすることができ、冷却ダクト92の流路断面積を大きくすることができる。このため、冷却風が冷却ダクト92を通過する際の圧力損失が低下し、冷却風量を増やすことができるので、冷却能力を高める効果がある。加熱コイル13の外周と対向する位置に仕切部材吹出口92cを配置したことから、仕切部材吹出口92cから吹き出す冷却風の衝突噴流熱伝達により、加熱コイル13を効率よく冷却することができる。また、仕切部材吹出口92cを加熱コイル13の側面に配置したことで、加熱コイル13の下方に吹出口を配置する場合と比べて、冷却風の風路及び吹出口を配置するスペースを小さくすることができる。このため、加熱コイル13に冷却風を導く冷却ダクトを、加熱コイル13の高さ寸法と同等の寸法まで薄くすることができ、高さ寸法の低い空間への加熱コイル13の実装を容易として部品レイアウトの自由度を高める効果がある。また、冷却ダクト92に冷却風を供給する流入口50には、通風体70の右接続口72aに接続されるが、この右接続口72a以外には、コイル支持体17cの下側に導風のために空間を設ける必要がないため、高さ寸法の低い空間に加熱コイル13の実装を容易に行うことができ、部品レイアウトの自由度を高める効果がある。
コイル支持体17a、17cの内部かつ加熱コイル11、13の下側に設けられた高透磁率磁性体38、39を備え、高透磁率磁性体38、39の外周面の少なくとも一部は、加熱コイル11、13に冷却風を導く冷却ダクトの壁面の一部を構成している。高透磁率磁性体38、39を設けたことで、高周波磁束の被加熱物への通過を増やして加熱効率を高めることができる。また、冷却ダクトの壁面を構成する高透磁率磁性体38、39の発熱は、その冷却ダクトを通る冷却風で冷却され、仕切部材18a、18c、コイル支持体17a、17cの熱的な損傷及び劣化を抑制することができる。また、高透磁率磁性体38、39の高さ寸法を増加させることなく、これらを冷却することができるため、加熱コイル11、13の実装の自由度を高める効果がある。
仕切部材18a、18cは、加熱コイル11、13及び高透磁率磁性体38、39を位置決め保持する複数組の凸部である磁性体保持部48、49を有し、磁性体保持部48、49の対向する凸部の間に高透磁率磁性体38、39を嵌合した。このため、各部品が所定の位置に保持されることで、高周波磁束の分布のバラツキが抑制され、所定の加熱性能を得ることができるので、製品の品質を高めることができる。
コイル支持体17a、17cには、当該コイル支持体17a、17cに支持される加熱コイル11、13と高透磁率磁性体38、39とが対向する位置に、貫通穴である充填穴60が形成されており、高透磁率磁性体38、39は、充填穴60に充填された接着剤で保持されている。このように高透磁率磁性体38、39は接着剤で保持されるので、誘導加熱調理器1の組立性が向上して製造コストを低減することができる。
加熱コイル11、13の外周側、かつ当該加熱コイル11、13の底面とトッププレート4の下面との間の高さ位置に設けられ、トッププレート4と略平行な平板形状を有する非磁性金属で形成されたリング部材29を備えた。このようなリング部材29を防磁板として備えたことにより、加熱コイル11、13の外周に円筒状の防磁板を設ける場合と比べ、トッププレート4の上面の広い領域を覆うことができるので、トッププレート4の加熱口5以外に載置された物や使用者に対する漏洩磁束の影響を低減させることができる。また、リング部材29を平板形状とし、トッププレート4とリング部材29の平板面を対向させたので、圧力損失を高めてトッププレート4の下面とリング部材29との隙間からの冷却風の漏れを軽減することができる。これにより、コイル支持体17a、17cから支持体流出口22a、22cを介した冷却風の流出風量を維持でき、安定した冷却性能を得ることができる。
リング部材29を、コイル支持体17a、17cと一体的に形成したので、部品点数及び組み立てコストを低減でき、製造コストを低コスト化することができる。
防磁板であるリング部材29の上面に設けられ、トッププレート4の底面と接触する位置決部材16と、位置決部材16と対向するリング部材29の下面に設けられ、リング部材29を下方から支持する弾性体15とを備えた。このため、弾性体15でコイル支持体17a、17cを上方に付勢してトッププレート4の下面に押し当てた場合、トッププレート4の下面と位置決部材16との接触部と、弾性体15とが、上面視で概ね重なることから、不要なモーメントが生じ難い。したがって、銅やアルミ等の比較的強度の低い非磁性材料をコイル支持体17a、17cに使用した場合でも変形や損傷を生じ難い。また、トッププレート4とコイル支持体17a、17cとの高さ方向の位置関係の精度が高まり、所定の高周波磁束をトッププレート4の上方に分布させることができるので、安定した加熱性能を得ることができる。
左側の加熱口5aに対応した加熱コイル11と、右側の加熱口5cに対応した加熱コイル13を備え、主通風路80内には、加熱コイル11、13に向かって冷却風を分流させる左副通風路81、右副通風路82を設けた。このため、各加熱コイル11、13の発熱量に応じた冷却風を供給するよう左副通風路81、右副通風路82を調整することで、安定した冷却性能及び加熱動作を得ることができ、また、過剰な冷却風の供給による送風装置27の騒音を低減できる。また、主通風路80、左副通風路81、及び右副通風路82を内部に形成する通風体70を設けたことで、送風装置27からの冷却風は概気密に加熱コイル11、13に搬送され、送風装置27と加熱コイル11、13の配置に制約が少ない本体筐体2内の部品のレイアウトの自由度を高める効果がある。
コイル支持体17a、17cの上面と仕切部材18a、18cの下面との間に温度検知装置であるサーミスタユニット44を狭持した。このため、サーミスタユニット44を取り付けるネジ等の締結部材が不要となり、製造コストを低減できる。また、サーミスタユニット44をコイル支持体17a、17cに内蔵したので、加熱コイル11、13の実装形態の自由度を高めることができる。
コイル支持体17a、17cの下面に配置され、トッププレート4の上に載置される被加熱物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線センサユニット43を備えた。コイル支持体17a、17cを非磁性金属で構成することにより、コイル支持体17a、17cが加熱コイル11、13からの高周波磁束を吸収し、高周波磁束の赤外線センサユニット43への影響が低減される。したがって、高周波磁束によるノイズ等が軽減されて、赤外線センサユニット43の検知精度を高める効果がある。
コイル支持体17a、17cの上面であって赤外線センサユニット43の上方に、赤外線センサユニット43の受光部の外周に沿って設けられた筒体である赤外線センサ遮蔽部41aを備えた。これにより、赤外線センサユニット43の受光部への、不要な赤外線の入射が軽減され、赤外線センサユニット43の検知精度を高める効果がある。
主通風路80内には、コイル支持体17aの突出部171aと、コイル支持体17aの突出部171aを除く部分のそれぞれに向かって冷却風を分流させる複数の左副通風路81a、81bを設けた。また、主通風路80内には、コイル支持体17cの突出部171cと、コイル支持体17cの突出部171cを除く部分のそれぞれに向かって冷却風を分流させる右副通風路82a、82bを設けた。キッチン天板201の上側に載置される突出部171aやこれに付帯する部材の導風構造は、本体筐体2の上に配置される部材の導風構造とは、圧力損失や必要な冷却風量が異なるが、本実施の形態のように副通風路を複数設けて冷却風を分流させることで、適切な冷却風量を確保しやすい。例えば、左副通風路81a、81bの流路断面積を調整することで冷却風量の調整が行え、このことは、右副通風路82a、82bについても同様である。
主通風路80内には、コイル支持体17cの突出部171cに支持された加熱コイル13のうち外周側に位置する部分と内周側に位置する部分のそれぞれに向かって冷却風を分流させる2つの右副通風路82aを設けた。このため、加熱コイル13のうち外周側の部分と内周側の部分とで発熱量が異なる場合であっても、右副通風路82aを複数設けて冷却風を分流させることで、適切な冷却風量を確保しやすい。例えば、右副通風路82aの流路断面積を調整することで、冷却風量の調整が行える。
左副通風路81aに複数の左接続口71aを設け、左副通風路81a内には、コイル支持体17aの突出部171aに支持された加熱コイル11aに対し、送風装置27からの距離に応じて冷却風を分流させる副通風路を形成した。このため、送風装置27からの距離によって圧力損失が異なっていても、適切な冷却風量を確保しやすく、加熱コイル11の発熱による損傷及び劣化を抑制する効果がある。
加熱コイル13の下側に設けられた高透磁率磁性体38は、上面視で本体筐体2の外側であって、本体筐体2が格納部203に挿入された状態において上面視でキッチン天板201と重なる位置に配置された第一高透磁率磁性体38aと、上面視で本体筐体2の内側に配置された第二高透磁率磁性体38bとを含む。第一高透磁率磁性体38aは、第二高透磁率磁性体38bよりも、高さが小さく幅が広い。キッチン天板201の上方に配置される加熱コイル13の下側は、第一高透磁率磁性体38aにより広い面積で覆われるので、加熱コイル13からの高周波磁束はコイル支持体17c及びキッチン天板201を通過しにくくなり、キッチン天板201の熱による損傷・劣化を低減する効果がある。
第一高透磁率磁性体38aは、加熱コイル13との間に冷却ダクトとなる隙間をあけて配置され、第一高透磁率磁性体38aの下面とコイル支持体17cの上面との間には、弧状の冷却ダクト91が設けられている。冷却ダクトを弧状に設けたことにより、コイル支持体17cの下面の周方向に任意の位置に、流入口91aを設けることができる。キッチン天板201から離れた位置に流入口91aを設けることで、キッチン天板201とトッププレート4との間に配置するコイル支持体17aの突出部171aの高さ寸法を小さくできる。これにより、トッププレート4とキッチン天板201との段差を小さくすることができ、使用者の調理作業性を高める効果がある。
加熱コイル13は、加熱コイル11eと、加熱コイル11eよりも外側に配置された加熱コイル11a〜11dとを有し、加熱コイル11a〜11dの一部である加熱コイル11aは、コイル支持体17aの突出部171aの上に支持され、加熱コイル11eと加熱コイル11a〜11dとは個別に駆動制御されるものであり、加熱コイル11aの巻線は、直径が0.2mm以下の素線を縒って形成された撚り線で構成することができる。このようにすることで、コイル支持体17aの突出部171a上という高さ寸法の制限される位置に配置される加熱コイル11aの高さ寸法を低くすることができ、トッププレート4とキッチン天板201との段差を小さくして使用者の調理作業性を高める効果がある。
また、上記加熱コイル11aを、幅0.05mm〜0.2mm、高さ0.5mm〜3mmの絶縁被覆された平角線を幅方向に5〜30枚程度束ねた電線を巻いて形成し、加熱コイル11aの高さ寸法を0.5mm〜3mmとしてもよい。このようにすることで、加熱コイル11aの上下方向を1枚の平角線が形成するので、上下方向の熱伝導率が、縒り線を用いた場合よりも高くなり、加熱コイル11aの上面と下面の冷却効率が高まる。したがって、加熱コイル11aの冷却風量を少なくすることができ、送風装置27のファン騒音を低減する効果がある。
加熱コイル11のうちコイル支持体17aの突出部171aの上に支持された部分の温度を検出する加熱コイル温度検知装置を備え、加熱コイル温度検知装置が検知した温度が閾値に達した場合に、突出部171aの上に載置された加熱コイル11aによる加熱が停止される又は火力が下げられる。このため、例えば送風装置27のトラブルや、左副通風路81a内の塵埃や汚れによる圧力損失増加によって冷却風が減少して、加熱コイル11aの巻線の温度が上昇した場合であっても、加熱コイル11aの熱による損傷を抑制することができる。また、誘導加熱調理器1の外部のキッチン天板201等への熱の影響を抑制できる。また、加熱コイル11aの加熱が停止又は火力が下げられた場合であっても、他の加熱コイル11b〜11eの火力を維持する又は火力を増加させることにより、加熱口5a全体の火力の低下を使用者に感じさせにくくし、また調理を継続できるので使用者の調理の作業性を確保できる。
加熱コイル11は、加熱コイル11eと、加熱コイル11eよりも外側に配置された複数の加熱コイル11a〜11dとを有し、加熱コイル11aは、コイル支持体17aの突出部171aの上に支持され、加熱コイル11b〜11dは、コイル支持体17aの突出部171aを除いた部分の上に支持され、加熱コイル11aと加熱コイル11b〜11dとは個別に駆動制御されるものであり、加熱コイル11aの一部の最大出力は、加熱コイル11b〜11dの最大出力よりも低い。このため、外周側の加熱コイル11a〜11dの発熱は、内周側の加熱コイル11eよりも小さくなる。したがって、キッチン天板201の上側というスペースの限られる位置に配置される加熱コイル11aに必要な冷却風量を低減でき、コンパクトで薄型な導風構造としても冷却性能を維持できる。またトッププレート4とキッチン天板201との段差を小さくして、使用者の作業性を高める効果がある。
加熱コイル11は、加熱コイル11eと、加熱コイル11eよりも外側に配置された複数の加熱コイル11a〜11dとを有し、加熱コイル11aは、コイル支持体17aの突出部171aの上に支持され、加熱コイル11b〜11dは、コイル支持体17aの突出部171aを除いた部分の上に支持され、加熱コイル11aと加熱コイル11b〜11dとは個別に駆動制御されるものであり、加熱コイル11aの最大出力は、加熱コイル11b〜11dの最大出力よりも低い。このため、加熱コイル11aの発熱は、加熱コイル11b〜11dよりも小さくなる。したがって、キッチン天板201の上側というスペースの限られる位置に配置される加熱コイル11aに必要な冷却風量を低減でき、コンパクトで薄型な導風構造としても冷却性能を維持できる。
加熱コイル11、13と当該加熱コイル11、13を駆動する駆動手段とを結線する加熱コイル11、13の端子台36が、主通風路80を形成する通風体70の内側に配置されている。このため、端子台36への結線は、通風体70に形成された左接続口71、右接続口72を利用して行うことができ、配線のための開口部を他に設ける必要がない。したがって、誘導加熱調理器1の組立性及びメンテナンス性を高める効果がある。また、通風体70内の気密性が高まって冷却効率を高めることができるとともに、送風ロスが低減されて送風装置27の送風量を低減できるので、ファン騒音を抑制することができる。
コイル支持体17a、17cをアース接続したので、加熱コイル11、13からの輻射ノイズを低減できる。したがって、基板ケースユニット24内に収容される駆動手段及び制御手段を構成する回路の、電磁ノイズ対策を軽減でき、製造コストを下げることができる。また、ノイズによる誤動作等が抑制されるとともに、周囲の電子機器及び電気機器へのノイズによる障害を抑制することができる。
コイル支持体17cにアース接続部31を設け、コイル支持体17cをアース接続する端子台36を、主通風路80を形成する通風体70の内側に配置した。端子台36への結線作業は、通風体70に形成された右接続口72を利用して行うことができるので、結線のための配線を通す開口部を通風体70に別に設ける必要がない。したがって、誘導加熱調理器1の組立性及びメンテナンス性を高める効果がある。また、通風体70内の気密性が高まって冷却効率を高めることができるとともに、送風ロスが低減されて送風装置27の送風量を低減できるので、ファン騒音を抑制することができる。
なお、本実施の形態ではビルトイン型の誘導加熱調理器1を例示したが、本実施の形態1の構成、特に冷却風路に係る構造は、卓上型の誘導加熱調理器に適用することもできる。上述の通り突出部171a、171c上の加熱コイル11a、13を冷却する冷却ダクト及びこれに付帯する構造をはじめとした冷却風路に係る構造は、薄型化されているため、薄型の卓上型の誘導加熱調理器を得ることができる。
実施の形態2.
図1、図2、図7、図8、図17〜図29を用いて、実施の形態2を説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
図1、図2、図7、図8に示す構成は、実施の形態1と同様である。
図17は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器1をキッチンキャビネット200に据え付けた状態でトッププレート4、トッププレート枠体3、及び通気口カバー7を取り外した斜視図である。実施の形態1では、本体筐体2の左側及び右側の上縁部に、フランジ部28が設けられていたが、本実施の形態2ではフランジ部28は設けられておらず、天板開口部202と本体筐体2の左側及び右側の側壁との間に、シール部材47cが設けられている。シール部材47cは、例えば半独立半連泡、独立発泡又は連泡の発泡体であるスポンジ等が用いられる。シール部材47cを天板開口部202と本体筐体2との隙間に設けることにより、両者の間の気密性が高められている。仮にキッチンキャビネット200内に冷却風が流入すると、キッチンキャビネット200内に保管される食材等が劣化するおそれがあるが、シール部材47cによって誘導加熱調理器1内を冷却する冷却風の天板開口部202内への侵入が抑制されるので、上述のようなキッチンキャビネット200内の劣化を抑えることができる。また、キッチンキャビネット200の種類や誘導加熱調理器1の設置状態によらず、本体筐体2内の冷却風の流れが安定し、安定した冷却効果を得ることができる。
図18は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器1のトッププレート4、トッププレート枠体3、通気口カバー7、及びコイル支持体17とその付帯部品を取り外した斜視図である。通風体70の左接続口71及び右接続口72の上端縁には、シール部材47dが設けられている。シール部材47dは、例えば半独立半連泡、独立発泡又は連泡の発泡体であるスポンジ等が用いられる。シール部材47dは、左接続口71とその上に配置されるコイル支持体17cとの間、及び右接続口72とその上に配置されるコイル支持体17aとの間の気密性を高める。このようにすることで、左接続口71及び右接続口72からコイル支持体17a、17cに冷却風を供給する際の漏れを抑制し、冷却効率を高める効果がある。
コイル支持体17a、17cは、弾性体15を介して本体筐体2により3カ所以上で支持され、コイル支持体17a、17c及びこれに支持される物全体の重心が、支持される3カ所を結んだ外形線の内側に位置するという構成は、実施の形態1と同様である。これにより、コイル支持体17a、17cは、実施の形態1と同様の作用効果を有する。
図19は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器1のトッププレート4、トッププレート枠体3、通気口カバー7、及びコイル支持体17とその付帯部品を取り外して通風体70を上方へ移動した分解斜視図である。図20は、実施の形態2に係る通風体70の上面図である。図19及び図20では、説明のため、通風体70の内部を一部透視して示している。また、図20では、説明のため、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。
通風体70の左側の上面には、左接続口71a、71b、71c(これらを左接続口71と総称する場合がある)が設けられている。左接続口71aは、コイル支持体17aの突出部171aと接続されるものであり、本実施の形態2では本体筐体2の奥行き方向に複数(本実施の形態2では6個)の左接続口71aが設けられている。左接続口71bは、本体筐体2の上に配置される加熱コイル11のうち中心側に配置された加熱コイル11eの下方に開口している。左接続口71cは、本体筐体2の上に配置される加熱コイル11のうち外周側に配置される加熱コイル11b〜11dの下方に開口しており、左接続口71bに弧状(部分環状)に開口している。
通風体70内に設けられた本実施の形態2の主通風路80は、実施の形態1と同様に、左側のコイル支持体17aに連通する左副通風路81と、右側のコイル支持体17cに連通する右副通風路82とに分かれているが、左副通風路81及び右副通風路82内の構成が異なっている。
左副通風路81は、内部を3つの風路に分ける分流手段として壁が設けられており、左副通風路81a、81b、81cに分かれている。左副通風路81aは、左接続口71aに連通し、左副通風路81bは、左接続口71bに連通し、左副通風路81cは、左接続口71cに連通している。左副通風路81cは、コイル支持体17cの下方に配置される部分(C状の部分)は、その上流側の部分よりも高くなっていて、左副通風路81bの上側に配置されている。すなわち、上から見ると、左副通風路81bの下流側部分と左副通風路81cの下流側部分は、重なる位置に配置されている。
加熱コイル11a〜11eの配置に応じて冷却負荷が異なるが、上述のように左副通風路81内に分流手段を設けて、各加熱コイル11a〜11eの冷却に必要な風量が得られるように風路を分けることで、冷却風の無駄を抑制して冷却効率を高めることができるとともに、送風装置27の騒音を低下させる効果がある。
コイル支持体17aの突出部171aに載置される加熱コイル11a、すなわち誘導加熱調理器1がキッチンキャビネット200に組み込まれたときにキッチン天板201の上に載置される加熱コイル11aについては、複数(本実施の形態2では6個)の左接続口71aを設けて冷却風を分流させ、加熱コイル11aの各冷却領域を冷却するのに必要な風量を調整している。このようにすることで、無駄な冷却風を減らして冷却効率を高めるとともに、送風装置27の騒音を低下させる効果がある。
通風体70の右側の側面には、右接続口72a、72b(これらを右接続口72と総称する場合がある)が設けられている。右接続口72aは、コイル支持体17cの突出部171cに載置される加熱コイル13のコイル突出部131に冷却風を供給するためのものである。右接続口72aは、複数(本実施の形態2では4個)設けられており、これらが奥行き方向に沿って配置されている。複数の右接続口72aを設けて冷却風を複数に分流させることで、加熱コイル13のコイル突出部131の各冷却領域を冷却するのに必要な風量を調整している。このようにすることで、無駄な冷却風を減らして冷却効率を高めるとともに、送風装置27の騒音を低下させる効果がある。右接続口72bは、主に本体筐体2の上に載置される加熱コイル13に冷却風を供給する。
図21は、実施の形態2に係る右側のコイル支持体17c及び右側のコイル支持体17cに支持される部品を上方から見た分解斜視図である。図22は、実施の形態2に係る右側のコイル支持体17c及び右側のコイル支持体17cに支持される部品を下方から見た分解斜視図である。図22では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。本実施の形態の加熱コイル13は、環状の加熱コイル13aと、加熱コイル13aの外周側に配置された環状の加熱コイル13bという2つのコイルからなる。加熱コイル13a、13bのそれぞれを個別に駆動するインバータ等の駆動手段が設けられており、制御手段が個別に出力を制御して加熱コイル13a、13bが駆動される。このとき、制御手段は、加熱コイル13a、13bの駆動周波数を同一とすることで、電磁騒音を抑制している。
中心側の加熱コイル13aと外周側の加熱コイル13bとを個別に駆動制御し、例えばこれらの火力の強弱を交互に変えることで、被加熱物内の水等の対流を生じさせて被加熱物内の水等を攪拌できるので、使用者が被加熱物内の調理物を攪拌する手間が軽減される。また、中心側の加熱コイル13aと外周側の加熱コイル13bの加熱の有無を可変することで、一定の加熱コイルにより一定の個所を加熱する場合に比べ、被加熱物である鍋やフライパンの焦げ付きを抑制する効果がある。
コイル支持体17cの底面の突出部171cの近傍には、流入口55〜58が設けられている。これら流入口55〜58は、図19、図20等に示した通風体の複数の右接続口72aに、それぞれ接続される。本実施の形態では、右接続口72aは上方に突出する管状に形成されており、この右接続口72aの上縁部が流入口55〜58に挿入され、冷却風を気密性高く流入口55〜58に流入させて冷却効率を高めている。
仕切部材18cには、磁性体保持部48cが放射状に開口しており、この磁性体保持部48cに、棒状の高透磁率磁性体38cが嵌入される。高透磁率磁性体38cは、環状の加熱コイル13を周方向に分割するようにして互いに間隔を開けて配置されている。突出部171cの上方に位置する仕切部材18cの下面には、その高透磁率磁性体38c同士の間に、冷却ダクト99、100が設けられている。
仕切部材18cの、冷却ダクト99、100に対応する底面には、冷却風を仕切部材18cの上方に吹き出す複数の仕切部材吹出口65〜68が形成されている。流入口55と仕切部材吹出口65、流入口56と仕切部材吹出口66、流入口57と仕切部材吹出口67、流入口58と仕切部材吹出口68は、概気密に連通される。仕切部材吹出口65〜68は、それぞれ、流入口55〜58から吹き出される冷却風を上方へ吹き出す。
流入口55から仕切部材吹出口65に至る冷却ダクト99と、流入口57から仕切部材吹出口67に至る冷却ダクト99は、同じ形状を有し前後に対称配置されている。冷却ダクト99は、加熱コイル13の外周側に設けられる第一ダクト99aと、加熱コイル13の下側に設けられる第二ダクト99bとを有する。第二ダクト99bは、仕切部材18cの下面に放射状に配置される高透磁率磁性体38同士の間に設けられており、外周部において第一ダクト99aと連通している。第一ダクト99a内の高さは、第二ダクト99b内の高さよりも高い。すなわち、第一ダクト99aの上面は、第二ダクト99bの上面よりも上側に突出している。このように流入口55、57からの冷却風が最初に流入する第一ダクト99aの高さを相対的に大きくして流路断面積を拡大することにより、圧力損失を低減している。
また、第一ダクト99aの上面の高さは、仕切部材18cがコイル支持体17cに組み付けられた状態において、支持体流出口22dの下端よりも低い位置に配置される。このようにすることで、支持体流出口22dからの冷却風の排気を阻害しないようにするとともに、加熱コイル13の実装に必要な高さ寸法は、冷却ダクト99が無い場合と同様となり、加熱コイル13が実装されたときの高さを低くする効果がある。
また、第二ダクト99bの高さを、高透磁率磁性体38の高さよりも低くすることで、実装高さを低くする効果がある。
流入口55、57からコイル支持体17cの上方に吹き出した冷却風は、図22において矢印321で示すように、冷却ダクト99の第一ダクト99aを周方向に流れ、その後第二ダクト99bに流入し、複数の仕切部材吹出口65、67から上方へ吹き出す。仕切部材吹出口65、67は加熱コイル13の下に設けられているので、冷却風は加熱コイル13の下面に吹き付けられ、衝突噴流熱伝達の効果が得られ加熱コイル13の冷却効率を高める効果がある。加熱コイル13の仕切部材18cの上面との間には隙間が設けられており、仕切部材吹出口65、67から噴き出した冷却風はこの隙間を通過して周辺の部材を冷却する。
また、弧状の第一ダクト99aを含む冷却ダクト99を介して流入口55、57と仕切部材吹出口65、67とを接続しており、上面視で重ならない位置に、流入口55、57と仕切部材吹出口65、67を配置できるようにしたので、加熱コイル13の配置の自由度を高めることができる。すなわち、上述のように衝突噴流熱伝達の効果を得て冷却効率を高めるためには、仕切部材吹出口65、67は加熱コイル13と上面からみて重なる位置に配置するのが望ましいが、この仕切部材吹出口65、67に冷却風を供給する流入口55、57は、本体筐体2の上に設ける必要がある。本実施の形態2のように、流入口55、57と、仕切部材吹出口65、67とを、弧状の第一ダクト99aを含む冷却ダクト99で接続したので、仕切部材吹出口65、67の配置の自由度が高まり、ひいては冷却対象である加熱コイル13の配置の自由度も高まる。例えば加熱コイル13の全体を本体筐体2の外側(キッチン天板201の上側)に配置した場合、調理作業スペースが拡大して使用者の作業性を高めることができるし、冷却ダクト99を採用することで加熱コイル13の冷却も可能である。また、コイル支持体17cの流入口55、57に冷却風を供給する右接続口72は、本体筐体2に配置されておりキッチン天板201上には配置されていないことから、キッチン天板201の上に載置される部材の実装を薄くすることができる。これにより、キッチン天板201とトッププレート4の上面との段差が小さくなり、使用者の調理の作業性を高める効果がある。
また、冷却ダクト99の内面は、コイル支持体17c、仕切部材18c、及び高透磁率磁性体38で構成されており、冷却ダクト99内を流れる冷却風によりこれらの部材を冷却し、熱による機能低下及び熱劣化を抑制することができる。また、これらの部材からの熱により、周囲の部品やキッチン天板201の温度が上昇するのを軽減する効果がある。
コイル支持体17cの外周部、より詳しくは、コイル支持体17cの外周部の上端部とリング部材29の内周部との境界位置には、通風可能な開口部である支持体流出口22dが設けられている。本実施の形態2の支持体流出口22dは、弧状のスリットで構成されている。なお、被支持部30が設けられた位置には、支持体流出口22dは設けられていない。支持体流出口22dは、加熱コイル13を外周側に水平方向に投影した範囲と少なくとも一部が重なるように設けられており、コイル支持体17cの外周部が、冷却風の内側から外側への流れの妨げになりにくいようにしている。このようにすることで、コイル支持体17c内の冷却風を、その外周側へ分散させて排気することができ、排気風速を低下させて圧力損失を低下指せ、送風装置27の負荷軽減及び低騒音化を図っている。また、コイル支持体17cの外周部のほぼ全体に向けて冷却風を排気することで、加熱コイル13の周方向に比較的均一に冷却風を流すことができ、冷却風の不均一さが軽減されて冷却効率を高める効果がある。
コイル支持体17cの外周部の概ね全体に支持体流出口22dを設けたので、高周波磁束の漏れは実施の形態1と比べて増加しうるが、本実施の形態2ではリング部材29の幅を実施の形態1に記載のものよりも広くしている。このようにすることで、リング部材29の防磁効果を高め、トッププレート4の上方への漏れ磁束を抑制することができる。
流入口56から仕切部材吹出口66に至る冷却ダクト100と、流入口58から仕切部材吹出口68に至る冷却ダクト100は、同じ扇形形状を有し、加熱コイル13の下方に前後に対称配置さ冷却ダクト100は、放射状に配置された高透磁率磁性体39同士の間に設けられており、その外周部には仕切部材18cの下面から下方に延びる壁が設けられている。冷却ダクト100は、高透磁率磁性体38の高さ寸法よりも薄く形成されており、冷却ダクト100が無い場合と比べて加熱コイル13の実装に必要な高さ寸法が大きくなることもなく、誘導加熱調理器1を薄型化する効果がある。
流入口56、58からコイル支持体17cの上方に吹き出した冷却風は、図22において矢印322で示すように、冷却ダクト100径方向外側に向かって流れ、仕切部材吹出口66、68から上方へ吹き出す。冷却ダクト100への冷却風の入口である流入口56、58と、出口である仕切部材吹出口66、68とは、上面視で重ならない位置に配置されている。このため、冷却ダクト100は、冷却風を一時的に保持するチャンバとして機能し、複数の仕切部材吹出口66、68から出る冷却風量の不均一を軽減して、冷却効果を高めることができる。
また、仕切部材吹出口66、68を加熱コイル13の下方に設けられているので、冷却風は加熱コイル13の下面に吹き付けられ、衝突噴流熱伝達の効果が得られ加熱コイル13の冷却効率を高める効果がある。
また、冷却ダクト100を介して流入口56、58と仕切部材吹出口66、68とを接続しており、上面視で重ならない位置に流入口56、58と仕切部材吹出口66、68とを配置できるようにした。このため、流入口56、58の配置は、仕切部材吹出口66、68の配置の制約を受けないことから、本体筐体2の上方に流入口56、58を配置することができ、これに接続される右接続口72も本体筐体2に配置することができる。右接続口72をキッチン天板201の上に配置されていないことから、キッチン天板201の上に載置される部材の実装を薄くすることができる。これにより、キッチン天板201とトッププレート4の上面との段差が小さくなり、使用者の調理の作業性を高める効果がある。
また、冷却ダクト100の内面は、コイル支持体17c、仕切部材18c、及び高透磁率磁性体38で構成されており、冷却ダクト100内を流れる冷却風によりこれらの部材を冷却し、熱による機能低下及び熱劣化を抑制することができる。また、これらの部材からの熱により、周囲の部品やキッチン天板201の温度が上昇するのを軽減する効果がある。
また、加熱コイル13のコイル突出部131の下側に、複数の冷却ダクト99、100(本実施の形態2では、合計で4つの冷却ダクト)を設け、それぞれに流入口及び吹出口を配置したことから、冷却対象である加熱コイル13の各領域に適した冷却風量の調節が可能である。このため、無駄な冷却を抑えて冷却ムラを軽減することができ、冷却効率を高める効果がある。
コイル支持体17cの底面のうち、突出部171c以外の部分に、複数の流入口21dが設けられている。右接続口72b(図19、図20参照)からコイル支持体17cの下方に供給された冷却風は、流入口21dから上方に吹き出され、上側に配置された高透磁率磁性体38及び加熱コイル13、特に外周側の加熱コイル13bを冷却する。加熱コイル13の下面に冷却風が吹き付けられることで、衝突噴流熱伝達の効果で冷却効率を高めることができる。この流入口21dの外周に、上方に突出する筒状のノズルを設けてもよく、このようにすることで加熱コイル13の下面への衝突噴流熱伝達の効果が高まる。
コイル支持体17cの底面の略中央位置であって、突出部171cではない位置には、流入口21eが設けられている。この流入口21eは、磁性体冷却穴40を兼ねており、自身の上方に配置される高透磁率磁性体38dの外形よりも大きい開口を有している。高透磁率磁性体38dの外形と流入口21e(磁性体冷却穴40)の外形との違いによって生じる隙間から、冷却風が上方に向かって流れる。仕切部材18cの下面の、流入口21e(磁性体冷却穴40)には、流入口21e(磁性体冷却穴40)の外周を囲む上下に貫通した枠が形成されており、この枠がノズル42cである。ノズル42cから加熱コイル13の下面、特に内周側の加熱コイル13aの下面に冷却風を吹き付け、衝突噴流熱伝達の効果で加熱コイル13の冷却効率を高める効果がある。
内周側の加熱コイル13aと外周側の加熱コイル13bとで、冷却のための導風構造を異ならせた。これにより、それぞれの必要冷却量に応じた冷却効果を得ることができ、冷却ムラが軽減され、冷却効率を高める効果がある。
また、外周側の加熱コイル13bについて見ると、本体筐体2の外側(キッチン天板201の上側)に配置されるコイル突出部131と、本体筐体2の上に配置される部分とで、冷却のための導風構造を異ならせた。これにより、それぞれの必要冷却量に応じた冷却効果を得ることができ、冷却ムラが軽減され、冷却効率を高める効果がある。
コイル支持体17cの下面には、断熱部材35が設けられている。断熱部材35には、コイル支持体17cよりも熱伝導率の低い素材が用いられ、例えば樹脂素材の板やシート、又はスポンジ等の発泡体が用いられる。このような断熱部材35を備えたことにより、コイル支持体17cの周囲の部品やキッチン天板201への熱漏洩を抑制する効果がある。
図23は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器1及びキッチン天板201の、右側のコイル支持体17c部分の部分断面図である。図23を参照して、コイル支持体17cの突出部171cの上、すなわちキッチン天板201の上に載置される部材の冷却に係る構造を中心に説明する。図23では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。
キッチン天板201の上側には、断熱部材35、その上にコイル支持体17cの突出部171c、その上に冷却ダクト99、その上に仕切部材18c、その上に加熱コイル13のコイル突出部131、その上にトッププレート4が配置される。加熱コイル13の上面とトッププレート4との間には、位置決部材16の高さの分だけ隙間が設けられている。
矢印331で示すように、通風体70内の右副通風路82aを流れる冷却風は、右接続口72a(図23には図示せず)から上方に吹き出てコイル支持体17cの上に流入する。矢印332で示すように、冷却風の一部は冷却ダクト99内を通過し、その後冷却ダクト99を出て加熱コイル13のコイル突出部131の下面に吹き付けられて加熱コイル13を冷却する。矢印333に示すように、冷却ダクト99を出た冷却風の一部は、支持体流出口22dからコイル支持体17cの外部へ出て、トッププレート4の下面とキッチン天板201の上面との間を流れる。
矢印334で示すように、通風体70内の右副通風路82bを流れる冷却風は、右接続口72bから上方に吹き出て、流入口21dからコイル支持体17cの上に流入する。矢印335で示すように、冷却風は加熱コイル13の下面に吹き付けられて加熱コイル13を冷却し、支持体流出口22dからコイル支持体17cの外部へ出る。また、矢印336に示すように、流入口21eを通って冷却風は上方に吹き出し、その際に高透磁率磁性体38dの周囲を通過して高透磁率磁性体38dを冷却し、その後加熱コイル13aに吹き付けられる。
図24は、実施の形態2に係る左側のコイル支持体17a及び左側のコイル支持体17aに支持される部品を上方から見た分解斜視図である。図25は、実施の形態2に係る左側のコイル支持体17aと仕切部材18a及び仕切部材18aの付帯部品を下方から見た分解斜視図である。
加熱コイル11は、5つの加熱コイル11a〜11eで構成される。加熱コイル11a〜11dは外周に配置され、これらの内周側に二重環状の加熱コイル11eが配置される。これら加熱コイル11を駆動する駆動手段は、中央の加熱コイル11e用のものと、前後に配置される加熱コイル11b、11d用のものと、左右に配置される加熱コイル11a、11c用のものと、合計で3つ設けられる。すなわち、加熱コイル11a及び11c、加熱コイル11b及び11d、加熱コイル11eは、それぞれ独立に駆動される。このように個別に駆動することで、実施の形態1と同様に、被加熱物の形状や加熱コイル11の温度等に応じて、火力を制御することができる。
仕切部材18aには、上下に貫通した複数の充填穴60が設けられている。この充填穴60には、加熱コイル13と高透磁率磁性体39を仕切部材18aに接着するためのシリコン等の接着剤が充填されている。このように構成することで、仕切部材18aとコイル支持体17aの組立性を向上させ、製造コストを低コストとする効果がある。なお、仕切部材18aとコイル支持体17aとは、例えばネジ等の締結部材(図示せず)で固定される。
仕切部材18aの上面には、複数の吹出口体69が設けられている。吹出口体69は、一端側に加熱コイル11の側面に対向して設けられた吹出口69aを備え、他端側には仕切部材18aの下側に連通した入口69bを備え、全体として仕切部材18aの上方に突出したダクトを構成している。本実施の形態の吹出口体69のダクト形状は、冷却対象及び設置位置に合わせて任意に構成することができ、図示した例では、平面視で略円形、半円形、台形、鉤形の吹出口体69が設けられている。仕切部材18aの上側と下側とは、吹出口体69を介して連通する。仕切部材18aの下側に供給される冷却風は、入口69bから吹出口体69内に流入し、吹出口69aから吹き出て、この吹出口69aに対向配置されている加熱コイル13の側面に衝突してこれを冷却する。加熱コイル11の側面に部分的に吹出口体69を突出させることで、加熱コイル11を冷却した後の冷却風の、コイル支持体17aへの排気が障害少なくスムースに行われて圧力損失が軽減され、送風装置27の負荷を低減し、低騒音化する効果がある。
また、吹出口体69を、加熱コイル11の巻線の束を挟んで対向するように設けると、仕切部材18aに加熱コイル11を取り付ける作業において、取り付け位置を示すとともに位置決めのガイドとしても機能する。加熱コイル11の取り付け作業においては、一対の吹出口体69の間に加熱コイル11を配置することで、加熱コイル11を容易に位置決めされて組み立ての作業性が向上するとともに、加熱コイル11の配置のバラツキの少ない安定した加熱性能を有する誘導加熱調理器1を得ることができ、品質を安定させる効果がある。
加熱コイル11の下側、より詳しくは仕切部材18aの下側には、高透磁率磁性体39c、39dが配置されている。中心側の加熱コイル11eの下側には、棒状の高透磁率磁性体39dが放射状に配置され、外周側の加熱コイル11a〜11dそれぞれの下側には、高透磁率磁性体39cが配置されている。
高透磁率磁性体39cは、加熱コイル11a〜11dそれぞれの外形よりも大きい外形を有し、上面視において高透磁率磁性体39cが加熱コイル11a〜11dを内包する。高透磁率磁性体39cの外形は、図24に例示するように加熱コイル11a〜11dの外形と概ね相似形状であることが望ましいが、加熱コイル11a〜11dを内包する形状であれば図示のものに限定されない。高透磁率磁性体39cが各加熱コイル11a〜11dを内包する形状としたことで、高透磁率磁性体39cの高さ寸法を比較的低く抑えつつ所望の防磁機能を得ることができる。このため、外周側の加熱コイル11a〜11d(本実施の形態では加熱コイル11a)を、キッチン天板201の上に配置した場合でも、実装寸法をより低くすることができる。したがって、トッププレート枠体3の高さ寸法を低くすることができ、誘導加熱調理器1がキッチンキャビネット200に組み込まれたときに、キッチン天板201とトッププレート枠体3との段差を小さくでき、調理の作業性を高める効果がある。
それぞれの高透磁率磁性体39cは、周方向に3つに、径方向に2つに分割されている。高透磁率磁性体39cの分割された部分同士の間には、隙間が設けられており、この隙間は後述する冷却ダクト103〜105の内面の一部を構成する。このようにすることで、冷却風が高透磁率磁性体39cの近傍を通過し、高透磁率磁性体39c自体が冷却される。
仕切部材18aの下面には、高透磁率磁性体39cの外形に沿って形成された下方に延びる係止片からなる磁性体保持部49cが形成されている。対向する磁性体保持部49c同士の間に、高透磁率磁性体39cが嵌合されて、高透磁率磁性体39cが仕切部材18aに保持される。また、仕切部材18aの下面には、高透磁率磁性体39dの外形に沿って形成された下方に延びる枠状の磁性体保持部49dが形成されている。高透磁率磁性体39c、39dは、磁性体保持部49c、49dに位置決めされて、所定の位置に取り付けられる。コイル支持体17aに仕切部材18aが取り付けられると、コイル支持体17aと仕切部材18aとの間には、枠状の磁性体保持部49c、49dと、高透磁率磁性体39c、39dと、コイル支持体17cとによって複数の冷却ダクトが形成される。この冷却ダクトは、加熱コイル11に供給される冷却風の供給路となるとともに、冷却ダクトを通過する冷却風によって冷却ダクトを形成する部品自身が冷却される。
コイル支持体17aの外周部、より詳しくは、コイル支持体17aの外周部の上端部とリング部材29の内周部との境界位置には、支持体流出口22dが設けられている。支持体流出口22dの基本的な構成及び作用効果は、実施の形態2のコイル支持体17cに設けられた支持体流出口22dについて説明したものと同様である。
コイル支持体17aには、中心側の加熱コイル11eの下方に、複数の流入口21fが設けられている。流入口21fは円形の開口であり、中心側の加熱コイル11eの形状に概ね沿って複数の流入口21fが二重環状に配置されている。この流入口21fは、通風体70内に形成された左副通風路81b(図19、図20参照)と連通し、左副通風路81bから供給される冷却風を対向する加熱コイル11eの下面に吹き付け、衝突噴流熱伝達により冷却効率を高めている。コイル支持体17aに流入口21fを設けることで、加熱コイル11eを薄くコンパクトに実装できるという効果がある。
コイル支持体17aには、外周側の加熱コイル11a〜11dの下方に、複数の流入口21gが設けられている。流入口21gは、コイル支持体17aの下方においては左副通風路81cと連通するとともに、上方においては仕切部材18aの吹出口体69と連通する。流入口21gとそれに連通する吹出口体69とで、冷却ダクトが形成される。
コイル支持体17aの本体筐体2の上に載置される部分であって、突出部171aに隣接する部分には、コイル支持体17aの突出部171aの上方に冷却風を供給する吹出口85、86、87が設けられている。
コイル支持体17aは、中心側の加熱コイル11eの下方の部位の高さに対し、外周側の加熱コイル11a〜11dの下方の部位の高さの方が、小さい。すなわち、コイル支持体17aは、中心部分(加熱コイル11eの下側に位置する部分)が、下方に凹んだ形状をしている。コイル支持体17aの外周部の高さ寸法を相対的に小さくすることで、外周側の加熱コイル11a〜11dをキッチン天板201の上に配置した場合でも、実装寸法をより低くすることができる。したがって、トッププレート枠体3の高さ寸法を低くすることができ、誘導加熱調理器1がキッチンキャビネット200に組み込まれたときに、キッチン天板201とトッププレート枠体3との段差を小さくでき、調理の作業性を高める効果がある。
コイル支持体17cの下面には、実施の形態2のコイル支持体17cに設けたのと同様の断熱部材35が設けられており、同様の作用効果を奏する。
図26は、実施の形態2に係る左側のコイル支持体17a及びその付帯部品の下面図である。図27は、実施の形態2に係る左側のコイル支持体17a及びその付帯部品の高透磁率磁性体39部分の下面断面図である。まず、流入口21g、21hと、吹出口体69との位置関係に着目して説明する。コイル支持体17aの、突出部171aを除く部分には、複数の流入口21gが設けられているが、これら流入口21gの中には、上方に吹出口体69が設けられたものと設けられていないものとがある。図26、図27に示すように、手前側(紙面上側)に設けられた吹出口体69の下方には、流入口21gが設けられていない。一方、奥側(紙面下側)に設けられた吹出口体69の下方には、流入口21gが設けられている。すなわち、コイル支持体17aの手前側の吹出口体69と上面視で重なる位置には、流入口21gが設けられておらず、奥側の吹出口体69と上面視で重なる位置には、流入口21gが設けられている。手前側の吹出口体69は、左副通風路81c(図19、図20)の下流部分と連通するものであり、この左副通風路81cの下流部分は左副通風路81bの上に配置されるものであることから、左副通風路81cの高さ寸法に制約があって低くなる。また、左副通風路81c内を流れる冷却風は、コイル支持体17cの下側に位置する下流側において分流する構成であり(図20参照)、手前側の吹出口体69が配置される位置はこの冷却風が分岐した後の端部であるため、手前側の吹出口体69へは冷却風が流入しにくい。このため、手前側の吹出口体69と上面視において重なる位置に流入口21gを設けることで、吹出口体69への冷却風の流入を促進し、加熱コイル11を冷却するようにしている。これにより、加熱コイル11の熱的な損傷及び劣化を抑制している。
高透磁率磁性体39c同士の隙間の上方に配置された吹出口体69の下方には、上面視で吹出口体69と重なる位置に、流入口21hが設けられている。流入口21hは、高透磁率磁性体39cの分割された部分同士の間には隙間が設けられており、この隙間が冷却ダクトとして機能するが、当該冷却ダクトの断面積は相対的に小さく、吹出口体69に冷却風が流入しにくい。このため、高透磁率磁性体39c同士の隙間の上方に配置された吹出口体69の下側に、上面視で重なるようにして流入口21hを設けることで、冷却風の吹出口体69への流入を促進し、加熱コイル11を冷却するようにしている。これにより、加熱コイル11の熱的な損傷及び劣化を抑制している。
中心側の加熱コイル11eを冷却する導風構造は、コイル支持体17aに設けられた流入口21fから加熱コイル11eの下面に冷却風を吹き付けるものであるのに対し、外周側の加熱コイル11a〜11dを冷却する導風構造は、コイル支持体17aに設けられた流入口21h及び仕切部材18aの吹出口体69を介して冷却府を加熱コイル11a〜11dの側面に吹き付けるものである。このように、異なる導風構造を採用したことで、中心側の加熱コイル11eと、外周側の加熱コイル11a〜11dとで、それぞれの必要冷却量に応じて冷却風量を調整している。このようにすることで、無駄な冷却風を減らして冷却効率を高める効果がある。
次に、コイル支持体17aの突出部171aに載置される加熱コイル11a、すなわちキッチン天板201の上に載置される加熱コイル11aへの導風構造を説明する。コイル支持体17aの底面の突出部171aの近傍には、流入口75〜77が設けられている。これら流入口75〜77は、コイル支持体17aに前後対称に一対ずつ設けられている。また、仕切部材18aには、突出部171aの上側に、吹出口85〜87が設けられている。
コイル支持体17aの突出部171aと、仕切部材18aとの間には、流入口75と吹出口85とを結ぶ冷却ダクト103、流入口76と吹出口86とを結ぶ冷却ダクト104、流入口77と吹出口87とを結ぶ冷却ダクト105が設けられている。
冷却ダクト103は、加熱コイル11aの外周側に冷却風の流路を形成しており、流入口75から上方に吹き出た冷却風が、加熱コイル11aの外周側をコイル支持体17aの側壁に沿って流れ、仕切部材18aの外周部に形成された吹出口85から上方に出て、加熱コイル11aを冷却する。本実施の形態2では、加熱コイル11aの外周部、内周側面、及び下面に冷却風を吹き出すように、複数の吹出口85が所定の位置に配置されている。
冷却ダクト104は、加熱コイル11aの外周側と、径方向に分割された高透磁率磁性体39c同士の略弧状の隙間とを結ぶようにして、冷却風の流路を形成している。流入口76から上方に吹き出た冷却風は、加熱コイル11aの外周側をコイル支持体17aの外周側に向かって流れ、略弧状の高透磁率磁性体39c同士の隙間を通り、吹出口86から上方に出て、加熱コイル11aを冷却する。本実施の形態2では、加熱コイル11aの外周部、内周側面、及び下面に冷却風を吹き出すように、複数の吹出口86が所定の位置に配置されている。
冷却ダクト105は、加熱コイル11aの外周側と、放射状に配置された高透磁率磁性体39dとを結ぶように、コイル支持体17aの径方向に沿って放射状に設けられている。コイル支持体17aの中心側に近い位置に設けられた流入口77から上方に吹き出た冷却風は、冷却ダクト105を径方向外側に向かって流れ、吹出口87から上方に出て、加熱コイル11aを冷却する。本実施の形態2では、加熱コイル11aの外周部、内周側面、及び下面に冷却風を吹き出すように、複数の吹出口87が所定の位置に配置されている。
このように複数の冷却ダクト103〜105を設けて、加熱コイル11aの各領域に必要な冷却風量を調整したので、加熱コイル11aの各領域を過不足無く冷却して冷却効率を高めている。また、各冷却ダクト103〜105の高さ寸法は、高透磁率磁性体39cと概ね同じ高さとして、水平視において高透磁率磁性体39cと並列に配置している。このように冷却ダクト103〜105を実装しても高さ寸法を増加させない構造としているので、加熱コイル11を必要最低限の高さ寸法で実装できる。したがって、トッププレート枠体3の高さ寸法を低くすることができ、誘導加熱調理器1がキッチンキャビネット200に組み込まれたときに、キッチン天板201とトッププレート枠体3との段差を小さくでき、調理の作業性を高める効果がある。
図28は、実施の形態2に係る左側のコイル支持体17a部分の部分断面図である。図12を参照して、コイル支持体17aの突出部171aの上、すなわちキッチン天板201の上に載置される部材の冷却に係る構造を中心に説明する。図28では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。
キッチン天板201の上側には、所定の高さの隙間を開けて、断熱部材35が配置され、その上にコイル支持体17aの突出部171a、その上に冷却ダクト103、104、その上に仕切部材18a、その上に加熱コイル13の突出部131a、その上にトッププレート4が配置される。
矢印341、342で示すように、通風体70内の左副通風路81aを流れる冷却風は、左接続口71aから上方に吹き出て、冷却ダクト103、104内に流入し、吹出口体69から加熱コイル13に衝突して加熱コイル11を冷却する。矢印343で示すように、冷却ダクト103、104、及び冷却ダクト105(図28には図示せず、図27参照)を出た冷却風の一部は、支持体流出口22dからコイル支持体17aの外部へ出て、トッププレート4の下面とキッチン天板201の上面との間を流れる。
矢印344で示すように、通風体70内の左副通風路81bを流れる冷却風は、左接続口71bから上方に吹き出て、仕切部材18aに形成された吹出口を通り、中心側の加熱コイル11eに向かって吹き出て加熱コイル11eを冷却する。矢印345で示すように、通風体70内の左副通風路81cを流れる冷却風は、左接続口71cから上方に吹き出得て、仕切部材18aに形成された吹出口体69を通り、加熱コイル11b〜11dに向かって吹き出て加熱コイル11b〜11dを冷却する。その後冷却風は、矢印346で示すように、支持体流出口22dからコイル支持体17aの外部へ出て、トッププレート4の下面とキッチン天板201の上面との間を流れる。
図29は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器1をキッチンキャビネット200に据え付けた状態の、トッププレート枠体3部分における上面断面図である。図29では、説明のため、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。
基板ケースユニット24(図29には図示せず。図5参照)から吹き出された冷却風の一部は、通風体70に設けられた右副通風路82を通って右側のコイル支持体17cに供給される。コイル支持体17cに供給された冷却風は、コイル支持体17c及びこれに支持された部品を冷却し、支持体流出口22dを通ってコイル支持体17cの外へ出る。また、基板ケースユニット24から吹き出された冷却風の一部は、通風体70に設けられた左副通風路81a〜81cを通って左側のコイル支持体17aに供給される。コイル支持体17aに供給された冷却風は、コイル支持体17a及びこれに支持された部品を冷却し、支持体流出口22dを通ってコイル支持体17aの外へ出る。
本実施の形態2では、コイル支持体17a、17cの上端縁に弧状の支持体流出口22dが形成されており、冷却風は、コイル支持体17a、17cの外周部から概ね放射状に外部へ吹き出す。コイル支持体17aの突出部171aに設けられた支持体流出口22dから吹き出した冷却風は、キッチン天板201の上面とトッププレート4の下面との間を、コイル支持体17aの外周に沿うようにして本体筐体2の内側に流れる。本実施の形態2では、実施の形態1で設けていたフランジ部28を本体筐体2の上端縁から取り除いたことで、左右のコイル支持体17a、17cからキッチン天板201上に送出された冷却風の、排気風路23に至る圧力損失が低減され、冷却効率を高める効果がある。
仕切部材18aは、当該仕切部材18aの上方に配置される加熱コイル13に冷却風を吹き付けるノズル部としての吹出口体69を備えた。仕切部材18aの上面を加熱コイル13の下面と同じ高さか低い位置に配置し、吹出口体69に形成された吹出口69aを加熱コイル11の側面と対向させることで、吹出口体69からの冷却風は、加熱コイル11に向かってスムースに流れることができ、圧力損失が減少して送風装置27の効率を高め、騒音を低下させることができる。また、冷却後の温度の高い空気が淀んで滞留しないことから冷却効率を高める効果がある。
コイル支持体17aには、吹出口体69の下方に、流入口21gを設けたので、吹出口体69への冷却風の流入がスムースとなって、吹出口体69からの冷却風の風量が増え、適切な冷却能力とすることができ冷却効率を高める効果がある。
加熱コイル11、13の外周側面と対向するコイル支持体17a、17cの側壁の少なくとも一部には、通風可能な支持体流出口22dが形成されている。このため、圧力損失を軽減することができるとともに、冷却風がコイル支持体17a、17cの外周側へ比較的均一に流出するので、加熱コイル11、13の冷却ムラが軽減されて冷却効率を高める効果がある。
コイル支持体17aの下方に配置され、主通風路80を形成する通風体70と、通風体70とコイル支持体17aに形成された流入口の外周部との間に配置された気密部材としてのシール部材47dとを備えた。このため、冷却風の漏れが抑制され送風装置27の負荷低減・騒音低下、冷却効率を高める効果がある。
加熱コイル13aと、加熱コイル13aの外周側に設けられた加熱コイル13bとを備え、加熱コイル13aと加熱コイル13bのそれぞれに冷却風を導く導風構造を形成した。このため、内周側の加熱コイル13aと外周側の加熱コイル13bとで、冷却負荷が異なる場合には、それぞれの導風構造を調整することで、適切な冷却風量を得ることができる。したがって、不要な冷却風の送風が不要となり、送風装置27の負荷が低減され騒音を低下させる効果がある。
コイル支持体17a、17cの突出部171a、171cの高さ寸法は、コイル支持体17a、17cのうち突出部171a、171c以外の部分の高さ寸法よりも小さくした。キッチン天板201の上に配置される突出部171a、171cを薄くしたことにより、キッチン天板201とトッププレート4の段差を少なくすることができ調理の作業性を高める効果がある。