JP2015210478A - 近赤外線カットフィルタおよびその製造方法、カメラモジュールおよびその製造方法、緩衝層形成用組成物、ならびに、積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】近赤外線吸収剤と有機化合物を含有する近赤外線吸収層と、緩衝層と、無機化合物を含有する防湿層とを上記順に有する、近赤外線カットフィルタ。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、近赤外線吸収剤と有機化合物を含有する近赤外吸収アクリル系組成物を用いて製造した近赤外吸収フィルターが開示されている。
本発明は、かかる問題点を解決することを目的としたものであって、高湿度環境下でも耐湿性が高い近赤外線カットフィルタを提供することを目的とする。
具体的には、以下の手段<1>により、好ましくは、手段<2>〜<18>により、上記課題は解決された。
<1>近赤外線吸収剤と有機化合物を含有する近赤外線吸収層と、緩衝層と、無機化合物を含有する防湿層とを上記順に有する、近赤外線カットフィルタ。
<2>緩衝層のヤング率が2.0〜10.0GPaである、<1>に記載の近赤外線カットフィルタ。
<3>緩衝層の厚さが500nm以上である、<1>または<2>に記載の近赤外線カットフィルタ。
<4>緩衝層が、SP値が12.0以下の樹脂を含有する、<1>〜<3>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<5>緩衝層および防湿層が、波長380〜780nmのいずれかの波長における透過率が90%以上である、<1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<6>防湿層の密度が2.1g/cm3以上である、<1>〜<5>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<7>防湿層が二酸化ケイ素を含有する、<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<8>近赤外線吸収剤が銅化合物である、<1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<9>近赤外線吸収剤が、スルホン酸およびカルボン酸の少なくとも1種を配位子とする銅錯体である、<1>〜<8>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<10>緩衝層の表面に防湿層を有する、<1>〜<9>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<11>基材上に、近赤外線吸収剤と有機化合物を含有する近赤外線吸収層を形成する工程と、
近赤外線吸収層上に緩衝層を形成する工程と、
緩衝層上に無機化合物を含有する防湿層を形成する工程とを含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
<12>近赤外線吸収層および/または緩衝層を塗布により形成する、<11>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<13>防湿層をスパッタリング法により形成する、<11>または<12>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<14>緩衝層の表面に、防湿層を形成する、<11>〜<13>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<15>固体撮像素子と、固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールであって、近赤外線カットフィルタが<1>〜<10>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタまたは<11>〜<14>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法で得られた近赤外線カットフィルタである、カメラモジュール。
<16>ポリカプロラクトン系樹脂を含む、緩衝層形成用組成物。
<17>有機化合物を含有する有機層と、緩衝層と、無機化合物を含有する防湿層とを上記順に有する、積層体。
<18>基材上に、有機化合物を含有する有機層を形成する工程と、
有機層上に緩衝層を形成する工程と、
緩衝層上に無機化合物を含有する防湿層を形成する工程とを含む、積層体の製造方法。
本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本願明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本願明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
また、本願明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。
本願明細書中において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基をいう。
本発明で用いられる化合物の重量平均分子量および数平均分子量の測定方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定でき、GPCの測定によるポリスチレン換算値として定義される。例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
近赤外線とは、極大吸収波長領域が700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本願明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。本発明における固形分は、25℃における固形分である。
本発明の近赤外線カットフィルタは、近赤外線吸収剤と有機化合物を含有する近赤外線吸収層と、緩衝層と、無機化合物を含有する防湿層とを上記順に有することを特徴とする。このような構成により、高温高湿下での耐湿性に優れた赤外線カットフィルタが得られる。以下、図面に従って本発明の実施形態に係る近赤外線カットフィルタの構成を示す。本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
図1は、近赤外線カットフィルタの構成の一例を示す概略断面図であって、1は近赤外線カットフィルタを、2は近赤外線吸収層を、3は緩衝層を、4は防湿層を示す。本実施形態では、近赤外線吸収層2の表面に緩衝層3が設けられており、緩衝層3の表面に防湿層4が設けられている。
緩衝層の厚さは、500nm以上であることが好ましく、上限値は5000nm以下が好ましく、3000nm以下が好ましい。このような構成により、近赤外線カットフィルタに水分が侵入するのをより効果的に抑制することができる。近赤外線カットフィルタは、緩衝層を1層だけ有していてもよいし、2層以上有していてもよい。近赤外線カットフィルタが緩衝層を2層以上有する場合、緩衝層の厚さとは、1層ごとの厚さをいう。近赤外線カットフィルタが緩衝層を2層以上有する場合、緩衝層は、それぞれ同じ材質であってもよいし、違う材質であってもよい。
緩衝層は、ヤング率が2.0GPa以上が好ましく、3.0GPa以上がより好ましい。また、ヤング率の上限値が10.0GPa以下であることが好ましく、9.5GPa以下であることがより好ましい。このような構成により、緩衝層と防湿層とがより密着しやすくなるため、近赤外線カットフィルタに水分が侵入するのをより効果的に抑制することができる。
緩衝層は、波長380〜780nmのいずれかの波長における透過率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、上限値が100%以下であることが好ましい。
防湿層は、水蒸気バリア性を有することが好ましい。
防湿層の密度は、2g/cm3以上が好ましく、2.1g/cm3以上がより好ましく、2.3g/cm3以上がさらに好ましく、上限値は5g/cm3以下が好ましい。このような構成により、近赤外線カットフィルタに水分が侵入するのをより効果的に抑制することができる。
防湿層は、波長380〜780nmのいずれかの波長における透過率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、上限値が100%以下であることが好ましい。
図2は、近赤外線カットフィルタの構成の他の例を示す概略断面図であって、近赤外線吸収層2、緩衝層3および防湿層4に加え、他の層5A、5Bを有している。
図2に示す近赤外線カットフィルタ1Aは、近赤外線吸収層2と、他の層5Aと、緩衝層3と、防湿層4と、他の層5Bを上記順に有している。具体的に、近赤外線カットフィルタ1Aは、近赤外線吸収層2と、他の層5Aと、緩衝層3と、防湿層4と、他の層5Bとが上記順に設けられている。また、近赤外線カットフィルタ1Aは、近赤外線吸収層2と、他の層5Aと、緩衝層3と、防湿層4と、他の層5Bとが互いに隣接していることが好ましい。
他の層の厚さは、500nm以上が好ましく、上限値は5000nm以下が好ましい。近赤外線カットフィルタは、他の層を1層だけ有していてもよいし、2層以上有していてもよい。近赤外線カットフィルタが他の層を2層以上有する場合、他の層の厚さとは、1層ごとの厚さをいう。近赤外線カットフィルタが他の層を2層以上有する場合、他の層は、それぞれ同じ材質であってもよいし、違う材質であってもよい。
また、図2に示す近赤外線カットフィルタ1Aは、他の層5Aおよび他の層5Bを有しているが、この例に限定されず、他の層5Aだけを有していてもよいし、他の層5Bだけを有していてもよい。さらに、上記以外の他の層を有していてもよい。
(1)波長400nmでの透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(2)波長450nmでの透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(3)波長500nmでの透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(4)波長550nmでの透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(5)波長700nmでの透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(6)波長750nmでの透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(7)波長800nmでの透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(8)波長850nmでの透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(9)波長900nmでの透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
また、近赤外線カットフィルタは、波長450〜500nmの全ての範囲での光透過率が95%以上であることが好ましい。
近赤外線カットフィルタは、目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚300μm以下とすることができ、250μm以下とすることもでき、200μm以下とすることもでき、100μm以下とすることもできる。膜厚の下限は、例えば、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、20μm以上がより好ましい。
近赤外線カットフィルタは、膜厚300μm以下で、波長400〜550nmの全ての範囲での可視光透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、波長700〜800nmの範囲の少なくとも1点での透過率が20%以下であることが好ましく、波長700〜800nmの全ての範囲での透過率が20%以下であることがさらに好ましい。
近赤外線吸収層は、少なくとも近赤外線吸収剤と有機化合物を含有する。また、近赤外線吸収層は、必要に応じて、界面活性剤やその他の成分をさらに含有していてもよい。
<<近赤外線吸収剤>>
近赤外線吸収層が含有する近赤外線吸収剤は、近赤外線吸収性を有する物質であり、具体的には波長700nm〜1000nmの範囲内(近赤外線領域)に極大吸収波長を有する近赤外線吸収剤を採用できる。
近赤外線吸収剤は、吸水性の高い基を有するものであっても、吸水性の低い基を有するものであってもよい。吸水性の高い基とは、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ヒドロキシル基等が挙げられる。吸水性の高い基を有する近赤外線吸収剤を用いる場合、高湿度環境下で近赤外線吸収剤が吸湿し、分光スペクトルの変化や外観の変化(膜厚の膨脹)が生じる場合がある。本発明では、近赤外線カットフィルタにおいて、無機化合物を含有する防湿層の間に緩衝層を設けることにより、高湿度環境下でも分光スペクトルの変化や外観の変化(膜厚の膨脹)を抑制することができる。
以下、近赤外線吸収剤として本発明で好ましく用いられる銅化合物および他の近赤外線吸収剤について説明する。
本発明に用いられる銅化合物における銅は、1価または2価の銅が好ましく、2価の銅がより好ましい。本発明に用いられる銅化合物中の銅含有量は、好ましくは2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、上限値は40質量%以下が好ましい。
本発明で用いる銅化合物は、銅錯体以外の銅化合物であっても、銅錯体であってもよいが、銅錯体であることが好ましい。銅化合物としては、銅または銅を含む化合物を用いることができる。銅を含む化合物としては、例えば、酸化銅や銅塩を用いることができる。銅塩としては、酢酸銅、塩化銅、ギ酸銅、水酸化銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、硝酸銅、硫酸銅、炭酸銅、塩素酸銅、(メタ)アクリル酸銅、過塩素酸銅がより好ましく、酢酸銅、塩化銅、硫酸銅、水酸化銅、安息香酸銅、(メタ)アクリル酸銅がさらに好ましい。銅塩は、1価または2価の銅塩が好ましく、2価の銅塩がより好ましい。
本発明では特に、酸基を有する化合物と、銅成分を反応させてなる銅化合物が好ましく、スルホン酸基、カルボン酸基、ホフスィン酸およびリン酸基の少なくとも1種を含む化合物と、銅成分を反応させてなる銅化合物がより好ましく(以下、これらの化合物をそれぞれ、スルホン酸銅化合物、カルボン酸銅化合物、ホスフィン酸銅化合物、リン酸銅化合物ということがある)、スルホン酸銅化合物、カルボン酸銅化合物およびリン酸銅化合物がさらに好ましく、スルホン酸銅化合物およびカルボン酸銅化合物がさらに好ましい。
また、銅化合物は低分子であってもよいし、高分子であってもよい。以下具体的に説明する。
本発明で用いる銅化合物は、下記式(i)で表されるものが好ましい。
Cu(L)n1・(X)n2 式(i)
上記式(i)中、Lは、銅に配位する配位子を表し、Xは、存在しないか、ハロゲン原子、H2O、NO3、ClO4、SO4、CN、SCN、BF4、PF6、BPh4(Phはフェニル基を表す)又はアルコールを表す。n1、n2は、各々独立に1〜4の整数を表す。
配位子Lは、銅に配位可能な原子としてC、N、O、Sを含む置換基を有するものであり、さらに好ましくはNやO、Sなどの孤立電子対を持つ基を有するものである。配位可能な基は分子内に1種類に限定されず、2種以上を含んでも良く、解離しても非解離でも良い。非解離の場合、Xは存在しない。
アニオンで配位する配位部位を構成するアニオンは、銅成分中の銅原子に配位可能なものであればよく、酸素アニオン、窒素アニオンまたは硫黄アニオンが好ましい。
アニオンで配位する配位部位は、以下の群(AN)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
群(AN)
アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキル基の例としては、メチル基が挙げられる。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、カルボキシル基、ヘテロ環基が挙げられる。置換基としてのヘテロ環基は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましく1または2が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、窒素原子が好ましい。アルキル基が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよい。
アルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
アルキニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
アリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6がさらに好ましい。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
非共有電子対で配位する配位部位は、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、以下の群(UE)から選択される部分構造が好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ケイ素原子、アルコキシ基、アシル基、アルキルチオ基、カルボキシル基等が挙げられる。非共有電子対で配位する配位原子を含む環が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよい。
群(UE)中のR、R1およびR2が表すアルキル基は、上記群(AN)中で説明したアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
群(UE)中のR、R1およびR2が表すアルケニル基は、上記群(AN)中で説明したアルケニル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
群(UE)中のR、R1およびR2が表すアルキニル基は、上記群(AN)中で説明したアルキニル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
群(UE)中のR、R1およびR2が表すアリール基は、上記群(AN)中で説明したアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
群(UE)中のR、R1およびR2が表すヘテロアリール基は、上記群(AN)中で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
群(UE)中のR2が表すアルコキシ基の炭素数は、1〜12が好ましく、3〜9がより好ましい。
群(UE)中のR2が表すアリールオキシ基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
群(UE)中のR2が表すヘテロアリールオキシ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールオキシ基を構成するヘテロアリール基は、上記群(AN)中で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
群(UE)中のR2が表すアルキルチオ基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜9がより好ましい。
群(UE)中のR2が表すアリールチオ基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
群(UE)中のR2が表すヘテロアリールチオ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールチオ基を構成するヘテロアリール基は、上記群(AN)中で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
群(UE)中のR2が表すアシル基の炭素数は、2〜12が好ましく、2〜9がより好ましい。
一般式(ii)中、n3は、1〜3が好ましく、2または3がより好ましく、3がさらに好ましい。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基が好ましい。炭化水素基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、重合性基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基など)、スルホン酸基、カルボン酸基、リン原子を含有する酸基、カルボン酸エステル基(例えば−CO2CH3)、水酸基、アルコキシ基(例えばメトキシ基)、アミノ基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ハロゲン化アルキル基(例えばフルオロアルキル基、クロロアルキル基)、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。炭化水素基が置換基を有する場合、さらに置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基、上記重合性基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記炭化水素基が1価の場合、アルキル基、アルケニル基またはアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。炭化水素基が2価の場合、アルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基が好ましく、アリーレン基がより好ましい。炭化水素基が3価以上の場合には、上記1価の炭化水素基または2価の炭化水素基に対応するものが好ましい。
アルキル基及びアルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。分岐状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、3〜20が好ましく、3〜12がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。環状のアルキル基及びアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
アルケニル基及びアルケニレン基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。
アリール基及びアリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
−NRN1−において、RN1は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。RN1におけるアルキル基としては、鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。直鎖状または分岐状のアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜14がより好ましい。 RN1におけるアリール基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが例示される。RN1におけるアラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、無置換の炭素数7〜15のアラルキル基がより好ましい。
上記配位子となる化合物またはその塩としては、特に限定されないが、例えば、有機酸化合物(例えば、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、リン酸化合物)またはその塩などが挙げられる。
上記配位子となる化合物またはその塩(酸基またはその塩を含有する化合物)の分子量は、1000以上が好ましく、80以上がより好ましく、上限値は750以下が好ましく、600以下がより好ましい。
本発明で用いられるスルホン酸銅錯体は、銅を中心金属としスルホン酸化合物を配位子とするものである。
上記スルホン酸化合物としては、下記一般式(iii)で表される化合物がより好ましい。
一般式(iii)で表されるスルホン酸およびその塩は、銅に配位する配位子として作用する。
一般式(iii)中のR2の具体的な1価の有機基としては、炭化水素基を挙げることができ、具体的には直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基等を挙げることができる。これらの基は、2価の連結基(例えば、直鎖状または分岐状のアルキレン基、環状のアルキレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子あるいはアルキル基)など)を介した基であってもよい。
直鎖状のアルキル基、分岐状のアルキル基、環状のアルキル基、アルケニル基およびアリール基の炭素数は、上述した一般式(ii)中のR1における説明と同義であり、好ましい範囲も同様である。
1価の有機基は置換基を有していてもよく、置換基としては上述した一般式(ii)中のR1が有していてもよい置換基が挙げられる。直鎖状のアルキル基および分岐状のアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、重合性基およびカルボン酸基の少なくとも1種が挙げられる。アリール基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、重合性基、スルホン酸基、カルボン酸基およびカルボン酸メチル基の少なくとも1種が挙げられ、スルホン酸基およびカルボン酸基の少なくとも1種が好ましい。
一般式(iii)で表される化合物の分子量は、80〜750が好ましく、80〜600がより好ましく、80〜450がさらに好ましい。
一般式(iv)中、R3は、一般式(iii)中におけるR2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
銅成分としては、銅または銅を含む化合物を用いることができる。銅を含む化合物としては、例えば、酸化銅や銅塩を用いることができる。銅塩は、1価または2価の銅が好ましく、2価の銅がより好ましい。銅塩としては、酢酸銅、塩化銅、ギ酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、硝酸銅、硫酸銅、炭酸銅、塩素酸銅、(メタ)アクリル酸銅、過塩素酸銅がより好ましく、酢酸銅、塩化銅、硫酸銅、安息香酸銅、(メタ)アクリル酸銅がさらに好ましい。
スルホン酸化合物は、市販のスルホン酸を用いることもできるし、公知の方法を参照して、合成することもできる。スルホン酸化合物の塩としては、例えば金属塩が好ましく、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
銅成分と、上述したスルホン酸化合物またはその塩とを反応させる際の反応比率としては、モル比率で1:1.5〜1:4とすることが好ましい。この際、スルホン酸化合物またはその塩は、1種類でも良いし、2種類以上を用いても良い。
また、銅成分と、上述したスルホン酸化合物またはその塩とを反応させる際の反応条件は、例えば、20〜50℃で、0.5時間以上とすることが好ましい。
スルホン酸銅錯体の極大吸収波長およびグラム吸光度については、上述したリン含有銅錯体と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(v)中、R4は1価の有機基を表す。1価の有機基は、特に限定されないが、上述した一般式(iii)中の1価の有機基R2と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
銅化合物としては、ポリマー銅錯体を用いてもよい。銅化合物がポリマー銅錯体を含有することにより、耐熱性を向上させることができる。
ポリマー銅錯体は、酸基イオン部位を含む重合体および銅イオンを含むポリマータイプの銅化合物であり、好ましい態様は、重合体中の酸基イオン部位を配位子とするポリマータイプの銅化合物である。このポリマータイプの銅化合物は、通常、重合体の側鎖に酸基イオン部位を有し、酸基イオン部位が銅に結合(例えば、配位結合)し、銅を起点として、側鎖間に架橋構造を形成している。ポリマータイプの銅錯体としては、主鎖に炭素−炭素結合を有する重合体の銅錯体、主鎖に炭素−炭素結合を有する重合体の銅錯体であって、フッ素原子を含む銅錯体、主鎖に芳香族炭化水素基及び/又は芳香族ヘテロ環基を有する重合体(以下、芳香族基含有重合体という。)の銅錯体等が挙げられる。
銅成分としては、2価の銅を含む化合物が好ましい。銅成分中の銅含有量は、好ましくは2〜40質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。銅成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。銅を含む化合物としては、例えば、酸化銅や銅塩を用いることができる。銅塩は、2価の銅がより好ましい。銅塩としては、水酸化銅、酢酸銅および硫酸銅が特に好ましい。
酸基またはその塩を含む重合体が有する酸基としては、上述した銅成分と反応可能なものであれば特に限定されないが、銅成分と配位結合するものが好ましい。具体的には、酸解離定数(pKa)が12以下の酸基が挙げられ、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、イミド酸基等が好ましい。酸基は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
酸基の塩を構成する原子または原子団としては、ナトリウム等の金属原子(特にアルカリ金属原子)、テトラブチルアンモニウム等のような原子団が挙げられる。尚、酸基またはその塩を含む重合体において、酸基またはその塩は、その主鎖および側鎖の少なくとも一方に含まれていればよく、少なくとも側鎖に含まれていることが好ましい。
酸基またはその塩を含む重合体は、カルボン酸基またはその塩、および/または、スルホン酸基またはその塩を含む重合体が好ましく、スルホン酸基またはその塩を含む重合体がより好ましい。
酸基またはその塩を含む重合体の好ましい一例は、主鎖が炭素−炭素結合を有する構造であり、下記式(A1−1)で表される構成単位を含むことが好ましい。
上記式(A1−1)中、R1は水素原子であることが好ましい。
上記式(A1−1)中、L1が2価の連結基を表す場合、2価の連結基としては、特に限定されないが、例えば、2価の炭化水素基、ヘテロアリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NX−(Xは水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基や、アリーレン基が挙げられる。炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
直鎖状のアルキレン基の炭素数としては、1〜30が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。また、分岐状のアルキレン基の炭素数としては、3〜30が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。
環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
アリーレン基の炭素数としては、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
ヘテロアリーレン基としては、特に限定されないが、5員環または6員環が好ましい。また、ヘテロアリーレン基は、単環でも縮合環であってもよく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。
上記式(A1−1)中、M1で表されるスルホン酸基と塩を構成する原子または原子団は、上述した酸基の塩を構成する原子または原子団と同義であり、水素原子またはアルカリ金属原子であることが好ましい。
好ましい他の構成単位としては、下記式(A1−2)で表される構成単位が挙げられる。
Y2は単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては、上述した上記式(A1)の2価の連結基と同義である。特に、Y2としては、−COO−、−CO−、−NH−、直鎖状または分岐状のアルキレン基、またはこれらの組み合わせからなる基か、単結合であることが好ましい。
式(A1−2)中、X2は、−PO3H、−PO3H2、−OHまたはCOOHを表し、−COOHであることが好ましい。
上記式(A1−1)で表される構成単位を含む重合体が、他の構成単位(好ましくは上記式(A1−2)で表される構成単位)を含む場合、上記式(A1−1)で表される構成単位と上記式(A1−2)で表される構成単位のモル比は、95:5〜20:80であることが好ましく、90:10〜40:60であることがより好ましい。
銅化合物としては、酸基またはその塩を有し、かつ、主鎖に芳香族炭化水素基および/または芳香族ヘテロ環基を有する重合体(以下、芳香族基含有重合体という。)と、銅成分との反応で得られるポリマータイプの銅化合物を用いてもよい。芳香族基含有重合体は、主鎖に、芳香族炭化水素基および芳香族ヘテロ環基のうち少なくとも1種を有していればよく、2種以上有していてもよい。酸基またはその塩および銅成分については、上述した酸基またはその塩を含む重合体と銅成分との反応で得られる銅化合物と同義であり、好ましい範囲も同様である。
芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基が好ましい。アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。特に、フェニル基、ナフチル基またはビフェニル基が好ましい。芳香族炭化水素基は単環または多環であってもよいが、単環が好ましい。
芳香族ヘテロ環基としては、例えば、炭素数2〜30の芳香族ヘテロ環基を用いることができる。芳香族ヘテロ環基は、5員環または6員環が好ましい。また、芳香族ヘテロ環基は、単環または縮合環であり、単環または縮合数が2〜8の縮合環が例示される。ヘテロ環に含まれるヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄原子が例示され、窒素または酸素が好ましい。
芳香族炭化水素基および/または芳香族ヘテロ環基が置換基Tを有していている場合、置換基Tとしては、例えば、アルキル基、重合性基(好ましくは、炭素−炭素二重結合を含む重合性基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボン酸エステル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エーテル基、スルホニル基、スルフィド基、アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アラルキル基などが例示され、アルキル基(特に炭素数1〜3のアルキル基)が好ましい。
特に、芳香族基含有重合体は、ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエーテルケトン系重合体、ポリフェニレンエーテル系重合体、ポリイミド系重合体、ポリベンズイミダゾール系重合体、ポリフェニレン系重合体、フェノール樹脂系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリアミド系重合体およびポリエステル系重合体から選択される少なくとも1種の重合体であることが好ましい。以下に各重合体の例を示す。
ポリエーテルスルホン系重合体:(−O−Ph−SO2−Ph−)で表される主鎖構造(Phはフェニレン基を示す、以下同じ)を有する重合体
ポリスルホン系重合体:(−O−Ph−Ph−O−Ph−SO2−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエーテルケトン系重合体:(−O−Ph−O−Ph−C(=O)−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリフェニレンエーテル系重合体:(−Ph−O−、−Ph−S−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリフェニレン系重合体:(−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
フェノール樹脂系重合体:(−Ph(OH)−CH2−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリカーボネート系重合体:(−Ph−O−C(=O)−O−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリアミド系重合体としては、例えば、(−Ph−C(=O)−NH−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエステル系重合体としては、例えば、(−Ph−C(=O)O−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスルホン系重合体およびポリエーテルケトン系重合体としては、例えば、特開2006−310068号公報の段落0022および特開2008−27890号公報の段落0028に記載の主鎖構造を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
ポリイミド系重合体としては、特開2002−367627号公報の段落0047〜0058の記載および特開2004−35891号公報の0018〜0019に記載の主鎖構造を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
Ar1は、上記式(A1−3)中の−Y1−X1の他に置換基を有していてもよい。Ar1が置換基を有する場合、置換基としては上述した置換基Tと同義であり、好ましい範囲も同様である。
炭化水素基としては、例えば、直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基や、アリーレン基が挙げられる。直鎖状のアルキレン基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。分岐状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。これら直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基は、アルキレン基中の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。
アリーレン基は、上述した式(A1−1)の2価の連結基がアリーレン基である場合と同義である。
芳香族ヘテロ環基としては、特に限定されないが、5員環または6員環が好ましい。また、芳香族ヘテロ環基は、単環でも縮合環であってもよく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。
式(A1−3)中、X1で表される酸基またはその塩としては、上述した酸基またはその塩と同義であり、好ましい範囲も同様である。
近赤外線吸収層は、上述した銅化合物以外のその他の近赤外線吸収剤として、ピロロピロール系色素化合物、シアニン系色素化合物、フタロシアニン系化合物、イモニウム系化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、スクアリリウム系色素化合物、ナフタロシアニン系色素化合物、クオタリレン系色素化合物、ジチオール金属錯体系色素化合物、クロコニウム化合物等を用いることもできる。
ピロロピロール色素としては、例えば特開2011−68731号公報の段落0024〜0052(対応する米国特許出願公開第2011/0070407号明細書の[0043]〜[0074])を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン化合物、イモニウム系化合物、シアニン系色素、スクアリウム系色素及びクロコニウム化合物は、特開2010−111750号公報の段落0010〜0081に開示の化合物を使用してもよく、この内容は本願明細書に組み込まれる。シアニン系色素は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、近赤外線吸収剤の総量に対するポリマー銅錯体の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、上限値は100質量%が好ましい。
近赤外線吸収層に含有される有機化合物としては、樹脂が好ましく、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルアミド樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。有機化合物の実施形態としては、重合性化合物を含む組成物を基板上に塗布して上記重合性化合物を重合させる場合や、バインダーを含む組成物を用いる場合が挙げられる。
有機化合物として、重合性化合物を含む組成物を基板上に塗布して重合性化合物を重合させる場合、重合性化合物(重合性基を有する化合物)は、熱重合性化合物であってもよいし、光重合性化合物であってもよい。
重合性化合物は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーなどの化学的形態のいずれであってもよい。
重合性化合物は、単官能であっても多官能であってもよい。官能基の数は特に定めるものではないが、2官能以上であってもよく、3官能以上であってもよく、上限値は8官能以下であってもよく、6官能以下であってもよい。
第一の実施形態は、重合性化合物として、重合性基を有するモノマー(重合性モノマー)または重合性基を有するオリゴマー(重合性オリゴマー)(以下、重合性モノマーと重合性オリゴマーを合わせて「重合性モノマー等」ということがある。)を含む態様である。
重合性モノマー等の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、および不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類である。
ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても用いることができる。
その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの;
特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシポリマーと(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートおよびこれらの混合物を挙げることができる。
重合性化合物としては、多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
重合性化合物としては、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類を用いることもでき、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。
また、その他の好ましい重合性モノマー等として、特開2010−160418、特開2010−129825、特許4364216等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルドポリマーも使用することが可能である。
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号0254〜0257に記載の化合物も好適である。
特開平10−62986号公報において一般式(1)および(2)としてその具体例と共に記載の、上記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性モノマーとして用いることができる。
mは1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
Rは、以下の4つの構造が好ましい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸価が上記範囲に入るように調製する。
本発明において、カプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
重合性モノマー等の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
重合性化合物としては、特許第4176717号公報段落0024〜0031(US2005/0261406の段落0027〜0033)に記載のチオ(メタ)アクリレート化合物も使用でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、熱で重合を開始させる場合には、150〜250℃で分解する重合開始剤が好ましい。
アセトフェノン系化合物、トリハロメチル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシム化合物としては、具体的には、特開2012−208494号公報段落0506〜0510(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0622〜0628])等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、特開2007−231000公報(対応する米国特許出願公開第2011/0123929号明細書)、および、特開2007−322744公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。
他にも、特開2007−269779号公報(対応する米国特許出願公開第2010/0104976号明細書)に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報(対応する米国特許出願公開第2009/023085号明細書)に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
特開2012−208494号公報段落0513(対応する米国特許出願公開第2012/235099号明細書の[0632])以降の式(OX−1)、(OX−2)または(OX−3)で表される化合物の説明を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
またオキシム化合物の具体例としては、特開2009−191061公報の段落0090〜0106(対応する米国特許出願公開第2009/023085号明細書の段落0393)、特開2012−032556号公報段落0054、特開2012−122045号公報段落0054等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
オキシム化合物としては、市販品であるIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)を用いることができる。アセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、および、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。またアシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。
式(30)中、R1は水素原子または有機基を表す。有機基としては、炭化水素基、具体的には、アルキル基またはアリール基が挙げられ、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が6〜20のアリール基、またはこれらの基と二価の連結基との組み合わせからなるものが好ましい。
このような有機基の具体例としては、−OR1A、−SR1A、またはこれらの基と−(CH2)m−(mは1〜10の整数)、炭素数5〜10の環状のアルキレン基、−O−、−CO−、−COO−および−NH−の少なくとも1つとの組み合わせからなるものが好ましい。ここで、R1Aは、水素原子、炭素数が1〜10の直鎖、炭素数が3〜10の分岐、または、炭素数3〜10の環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜7の直鎖、炭素数3〜7の分岐、または炭素数3〜7の環状のアルキル基)、炭素数が6〜10のアリール基(好ましくはフェニル基)、または、炭素数が6〜10のアリール基と炭素数が1〜10のアルキレン基との組み合わせからなる基が好ましい。
また、式(30)中、R1とCとが結合して環構造(ヘテロ環構造)を形成していてもよい。ヘテロ環構造中におけるヘテロ原子は、式(30)中の窒素原子である。ヘテロ環構造は、5または6員環構造が好ましく、5員環構造がより好ましい。ヘテロ環構造は、縮合環であってもよいが、単環が好ましい。
特に好ましいR1の具体例としては、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基(好ましくはメチル基)、−OR’(R’は炭素数が1〜5の直鎖のアルキル基)と−(CH2)m−(mは1〜10の整数、好ましくはmは1〜5の整数)との組み合わせからなる基、式(30)中のR1とCとが結合してヘテロ環構造(好ましくは5員環構造)を形成した基が挙げられる。
式(1−3)〜(1−5)中、L1〜L4は二価の連結基を表す。二価の連結基としては、−(CH2)m−(mは1〜10の整数)、炭素数5〜10の環状のアルキレン基、−O−、−CO−、−COO−および−NH−の少なくとも1つとの組み合わせからなるものが好ましく、−(CH2)m−(mは1〜8の整数)であることがより好ましい。
式(1−3)〜(1−5)中、R8〜R14はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表す。有機基としては、炭化水素基、具体的にはアルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。
アルキル基は、置換されていてもよい。また、アルキル基は、鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または環状のものが好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
アルケニル基は、置換されていてもよい。アルケニル基としては、炭素数1〜10のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルケニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
置換基としては、例えば、重合性基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基、カルボン酸エステル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エーテル基、スルホニル基、スルフィド基、アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基などが例示される。これらの置換基の中でも、重合性基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基)、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アジリジニル基など)が好ましく、ビニル基がより好ましい。)
また、式(30)で示される部分構造を有する化合物がポリマーである場合、ポリマーの側鎖に式(30)で示される部分構造を含有することが好ましい。
式(30)で示される部分構造を有する化合物の分子量は、50〜1000000であってもよく、500〜500000であってもよい。
式(30)で示される部分構造を有する化合物の具体例としては、下記の構造を有する化合物または下記例示化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリ(メタ)アクリルアミドとしては、(メタ)アクリルアミドの重合体、共重合体が挙げられる。アクリルアミドの具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。またこれらに対応するメタクリルアミドも同様に使用できる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ωアミノ酸の重合で合成される所謂「n−ナイロン」やジアミンとジカルボン酸の共重合で合成される所謂「n,m−ナイロン」が挙げられる。中でも、親水性付与の観点から、ジアミンとジカルボン酸の共重合体が好ましく、ε−カプロラクタムとジカルボン酸との反応生成物がより好ましい。
一方、ポリアミド樹脂と親水性化合物とが共重合した化合物には、ポリアミド樹脂の主鎖に、例えば、親水性含窒素環状化合物およびポリアルキレングリコールからなる群より選択される少なくとも一つが共重合されているため、ポリアミド樹脂のアミド結合部の水素結合能力は、N−メトキシメチル化ナイロンに対して大きい。
これらは、例えば東レファインテック(株)より「AQナイロン」という商標で市販されている。ε−カプロラクタムと親水性含窒素環状化合物とジカルボン酸との反応生成物は、東レファインテック(株)製AQナイロンA−90として入手可能であり、ε−カプロラクタムとポリアルキレングリコールとジカルボン酸との反応生成物は、東レファインテック(株)製AQナイロンP−70として入手可能である。 AQナイロンA−90 P−70 P−95 T−70(東レ社製)が使用できる。
近赤外線吸収層中の有機化合物と近赤外線吸収剤との質量比(有機化合物/近赤外線吸収剤)は、0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1.0以上が好ましく、上限値は4.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。
特に、有機化合物の総量に対する、上述した式(30)で示される部分構造を有する化合物の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましく、上限値は100質量%以下が好ましい。
%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。
近赤外線吸収層は、基材上に近赤外線吸収剤と有機化合物を含有する近赤外線吸収層を形成することにより形成することができる。
基材は、ガラスやプラスチックなどからなる透明基板であっても、固体撮像素子であっても、固体撮像素子の受光側に設けられた別の基板であっても、固体撮像素子の受光側に設けられた平坦化層等の層であっても良い。
近赤外線吸収層を形成する方法としては、近赤外線吸収剤および有機化合物を含む近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する方法が挙げられる。
近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する方法としては、浸漬、塗布や印刷が挙げられ、塗布により形成することが好ましい。具体的には、滴下法(ドロップキャスト)、ディップコート、スリットコート、スクリーン印刷、スプレーコートまたはスピンコートが好ましく、滴下法(ドロップキャスト)がより好ましい。滴下法(ドロップキャスト)の場合、所定の膜厚で、均一な膜が得られるように、ガラス基板上にフォトレジストを隔壁とする近赤外線吸収性組成物の滴下領域を形成することが好ましい。なお、膜厚は、組成物の滴下量および固形分濃度、滴下領域の面積を調整することで、所望の膜厚が得られる。
また、塗膜の乾燥条件としては、各成分、溶剤の種類、使用割合等によっても異なるが、特に溶剤として水を含む場合、温度は35℃以上が好ましく、上限値は150℃以下が好ましく、80℃がより好ましい。乾燥時間は、30秒以上が好ましく、30分以上がより好ましく、上限値は3時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましい。
重合開始剤は、有機化合物で説明したものと同義である。
近赤外線吸収性組成物が重合開始剤を含有する場合、重合開始剤の含有量は、近赤外線吸収性組成物の固形分に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、上限値は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。重合開始剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となる。
近赤外線吸収性組成物が重合開始剤を実質的に含有しない場合、重合開始剤の含有量は、近赤外線吸収性組成物の固形分に対して、1質量%以下とすることもでき、0.1質量%以下とすることもでき、0.01質量%以下とすることもできる。
溶剤は、近赤外線吸収性組成物の各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶剤を用いることができる。溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、およびジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。溶剤としては、水およびアルコール類の少なくとも1種を含むことができ、水およびアルコール類を併用してもよい。
アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、特開2012−194534号公報段落0136等に記載のものが挙げられ、この内容は本願明細書に組み込まれる。アルコール類としては、特にエタノールが好ましい。また、エステル類、ケトン類、エーテル類の具体例としては、特開2012−208494号公報段落0497(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0609])に記載のものが挙げられ、さらに、酢酸−n−アミル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、硫酸メチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
溶剤は、近赤外線吸収性組成物に対し10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上がよりさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましい。溶剤は、近赤外線吸収性組成物に対し90質量%以下とすることが好ましく、80質量%以下とすることがより好ましい。溶剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となる。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、近赤外線吸収性組成物は、フッ素系界面活性剤、およびシリコーン系界面活性剤の少なくともいずれかを含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上する。これによって、塗布厚の均一性や省液性がより改善する。
即ち、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくともいずれかを含有する組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を用いることができる。
具体的な商品名としては、サーフィノール61,82,104,104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420,440,465,485,504、CT−111,CT−121,CT−131,CT−136,CT−141,CT−151,CT−171,CT−324,DF−37,DF−58,DF−75,DF−110D,DF−210,GA,OP−340,PSA−204,PSA−216,PSA−336,SE,SE−F,TG、GA、ダイノール604(以上、日信化学(株)およびAirProducts&Chemicals社)、オルフィンA,B,AK−02,CT−151W,E1004,E1010,P,SPC,STG,Y,32W、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、SK−14、AE−3(以上、日信化学(株))アセチレノールE00、E13T、E40、E60、E81、E100、E200(以上全て商品名、川研ファインケミカル(株)社製)等を挙げることができる。なかでも、オルフィンE1010が好適である。
その他、ノニオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0553(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0679])等に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0554(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0680])に記載のカチオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、近赤外線吸収性組成物の固形分に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、上限値は2質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
近赤外線吸収性組成物が含有していてもよいその他の成分としては、例えば、分散剤、増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする近赤外線カットフィルタの安定性、膜物性などの性質を調整することができる。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報(対応する米国特許出願公開第2013/0034812)の段落番号0183以降、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104および段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
緩衝層は、樹脂を含むことが好ましく、上述したヤング率の範囲を満たす樹脂を含むことが好ましく、SP値(溶解パラメータ:Solubility Parameter)が12.0以下の樹脂を含有することがより好ましい。また、緩衝層は、SP値が12.0以下の樹脂以外の他の樹脂(以下、単に「他の樹脂」ということがある)、その他の成分をさらに含有していてもよい。SP値は、Fedors法によって算出した値である。
緩衝層形成用組成物は、SP値が12.0以下の樹脂を含有することにより、近赤外線カットフィルタの耐湿性をより向上させることができる。
SP値が12.0以下の樹脂は、ポリカプロラクトン系樹脂であることが好ましく、例えば、特開2012−122045号公報の0173欄以降に記載される樹脂が好ましい。SP値が12.0以下の樹脂は、分子内に、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であり、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレート構造から選択されるグラフト鎖を有するグラフト共重合体であり、少なくとも下記式(1)〜式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、少なくとも、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3A)、下記式(3B)、及び下記式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y1、Y2、Y3、及びY4は、それぞれ独立に、2価の連結基である。2価の連結基は、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8)、2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、又はこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。具体的には、下記の(Y−1)から(Y−21)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合を意味する。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1から500の整数である。
式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、4〜6の整数が好ましく、5がより好ましい。
また、式(3)中のR’としては、構造の異なるR’を2種以上混合して用いてもよい。
式(4)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基である。式(4)中のRがアルキル基である場合、アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。
また、式(4)中のRとしては、構造の異なるRを2種以上混合して用いてもよい。
また、式(2)で表される構造単位としては、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(2A)中、X2、Y2、Z2及びmは、式(2)におけるX2、Y2、Z2及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、式(3)で表される構造単位としては、下記式(3A)又は下記式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
具体例として、特開2010−106268号公報の段落0079(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の段落0121)以降の例示化合物1〜71を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。好ましい具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。なお、下記例示化合物中、各構造単位に併記される数値(主鎖繰り返し単位に併記される数値)は、構造単位の含有量〔質量%:(wt%)と記載〕を表す。側鎖の繰り返し部位に併記される数値は、繰り返し部位の繰り返し数を示す。
アミノ基を含有する樹脂としては、(i)窒素原子を有する主鎖部と、(ii)pKaが14以下である官能基を有し、窒素原子を有する主鎖部に存在する窒素原子と結合する基「X」と、(iii)数平均分子量が500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖「Y」を側鎖に有する樹脂(以後、特定樹脂とも称する)が好ましい。以下、特定樹脂について詳細に説明する。
(i)窒素原子を有する主鎖部は、1級又は2級アミノ基を含有するオリゴマー又はポリマーから構成される主鎖部を有することが好ましい。アミノ基を含有するオリゴマー又はポリマーとしては、具体的には、ポリ(低級アルキレンイミン)、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物、ポリビニルアミン等から選択される主鎖構造であることが好ましい。ポリ(低級アルキレンイミン)は鎖状であっても網目状であってもよい。
主鎖部の数平均分子量は、100〜10,000が好ましく、200〜5,000がより好ましく、300〜2,000がさらに好ましい。主鎖部の分子量は、核磁気共鳴分光法で測定した末端基と主鎖部の水素原子積分値の比率から求めるか、原料であるアミノ基を含有するオリゴマー又はポリマーの分子量の測定により求めることができる。
(ii)pKaが14以下である官能基を含有する基「X」は、水温25℃でのpKaが14以下である官能基を含有する基を表す。ここでいう「pKa」とは、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載されている定義のものである。
「pKaが14以下である官能基」は、特にpKaが12以下である官能基が好ましく、pKaが11以下である官能基がより好ましい。具体的には、例えば、カルボン酸(pKa3〜5程度)、スルホン酸(pKa−3〜−2程度)、−COCH2CO−(pKa8〜10程度)、−COCH2CN(pKa8〜11程度)、−CONHCO−、フェノール性水酸基、−RFCH2OH又は−(RF)2CHOH(RFはペルフルオロアルキル基を表す。pKa9〜11程度)、スルホンアミド基(pKa9〜11程度)等が挙げられ、特にカルボン酸、スルホン酸、−COCH2CO−が好ましい。
このpKaが14以下である官能基を含有する基「X」は、通常、主鎖構造に含まれる窒素原子に直接結合するものであるが、特定樹脂の主鎖部の窒素原子とXとは、共有結合のみならず、イオン結合して塩を形成する態様で連結していてもよい。
(iii)数平均分子量が500〜100,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖「Y」は、特定樹脂の主鎖部と連結できるポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の公知のポリマー鎖が挙げられる。Yの特定樹脂との結合部位は、末端であることが好ましい。
Yは、主鎖部の窒素原子と結合していることが好ましい。Yと主鎖部の結合様式は、共有結合、イオン結合、又は、共有結合及びイオン結合の混合である。Yと主鎖部の結合様式の比率は、共有結合:イオン結合=100:0〜0:100であるが、95:5〜5:95が好ましく、90:10〜10:90が最も好ましい。この範囲外であると溶剤溶解性が低くなる。
Yは、主鎖部の窒素原子とアミド結合、又はカルボン酸塩としてイオン結合していることが好ましい。
Yの数平均分子量は、1,000〜50,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましい。
Yで示される側鎖構造は、主鎖連鎖に対し、樹脂1分子中に、2つ以上連結していることが好ましく、5つ以上連結していることが最も好ましい。
アミノ基を有する樹脂としては、例えば特開2010−6932号公報の段落0074〜0084に例示される化合物が使用でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
緩衝層中の全樹脂成分に対する、SP値が12.0以下の樹脂の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、上限値は99質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
他の樹脂としては、特に限定されないが、縮合芳香環基を有する繰り返し単位と、酸基を有する繰り返し単位と、親水性基を有する繰り返し単位(以下、「親水性繰り返し単位」ともいう)を有する樹脂が好ましい。なお、親水性基は酸基を除くものとする。
縮合芳香族基とは、2つ又はそれ以上の芳香環構造を有する基であって、各々の環が2個又はそれ以上の原子を共有する構造の基をいう。ここで、縮合芳香環基とは、縮合芳香族炭化水素基及び縮合芳香族複素環基のいずれも含むものとする。縮合芳香族基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
縮合芳香族炭化水素基としては、例えば、ナフチル基、アセナフチレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、クリセニル基、ジベンゾクリセニル基、ベンゾアントリル基、ジベンゾアントリル基、ナフタセニル基、ピセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、9,9−ジヒドロアントリル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基などが挙げられる。
縮合芳香族複素環基としては、例えば、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基(3−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基の両者を含む)、アクリジニル基、フェナジニル基、ベンゾフリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ピラニル基などが挙げられ、カルバゾリル基、ナフチル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基またはベンゾトリアゾリル基が好ましく、カルバゾリル基またはナフチル基がより好ましい。
親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルキレンオキシド基、ピロリドン基、モルホリン基、1,3−ジケトン基、アミノ基、アンモニウム基などが挙げられ、ヒドロキシ基が好ましい。
アルキレンオキシド基としては、下記式(W)で表される基が好ましい。下記式(W)中、*は結合位置を表す。
式(W) *−(A−O)n−R
式(W)中、Aはアルキレン基(好ましくは、炭素数2または3のアルキレン基)を表し、Rは水素原子又はアルキル基(好ましくは、炭素数1〜2のアルキル基)を表し、nは1以上の整数(好ましくは、1〜25の整数)を表す。
ピロリドン基、モルホリン基及び1,3−ジケトン基は、それぞれ以下の基を示す。なお、*は結合位置を表す。
式(P) *−N(R)2
式(P)中、Rは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す。
式(X)中、L1は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8)、2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、又はこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
2価の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基)としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基などが挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
以下に、L1の具体例を示すが、L1はこれらに限定されない。なお、*は結合位置を示す。
式(X)中のAは、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオキシ基、アリールチオキシ基、アシルオキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、ホスフィノイル基、複素環基、シリルエーテル基、チオール基、スルホンアミド基、アミド基、ウレア基、チオウレア基、カルボキシル基、ウレタン基、ハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
式(Y)中、L2は、単結合又は2価の連結基を表す。L2で表される2価の連結基は、式(X)中のL1で表される2価の連結基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(Y)中、Bは、上述した酸基を表す。
式(Y)で表される繰り返し単位の含有量は、他の樹脂中の全繰り返し単位に対して、5〜60質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
L3は、単結合又は2価の連結基を表す。L3で表される2価の連結基は、式(X)中のL1で表される2価の連結基と同義である。
Cは、上述した親水性基を表す。
式(Z)で表される繰り返し単位の含有量は、他の樹脂中の全繰り返し単位に対して、5〜80質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
上述した式(X)で表される繰り返し単位を含む樹脂を製造するためには、例えば、以下のモノマー(以後、モノマーaとも称する)を用いることができる。
緩衝層は、上述した樹脂SP値が12.0以下の樹脂および他の樹脂以外の成分をさらに含有していてもよい。他の成分としては、界面活性剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、無機粒子等が挙げられる。これらの他の成分については後述する。
近赤外線吸収層上に緩衝層を形成する方法としては、緩衝層形成用組成物を近赤外線吸収層上に適用することにより行うことができる。
緩衝層形成用組成物を近赤外線吸収層上に適用する方法は、塗布により形成することが好ましく、スピンコートにより形成することがより好ましい。
近赤外線吸収層上に適用された緩衝層形成用組成物の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で、50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
緩衝層形成用組成物をプリベークした後、光硬化させることが好ましい。光硬化は、例えば放射線の照射により行うことができる。放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が用いられる。光硬化における露光量は、100〜3000mJ/cm2が好ましく200〜2000mJ/cm2がより好ましい。
緩衝層形成用組成物を光硬化した後、加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。ポストベークは、通常100℃〜240℃、好ましくは200℃〜240℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。ポストベーク処理は、ホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
(重合性化合物)
緩衝層形成用組成物に用いることができる重合性化合物は、上述した近赤外線吸収層で説明した重合性化合物と同義である。
緩衝層形成用組成物中における重合性化合物の含有量は、緩衝層形成用組成物の固形分に対して、0.1質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、上限値は60質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
重合性化合物は、1種で使用しても、2種以上を併用して使用してもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となる。
緩衝層形成用組成物に用いることができる重合開始剤としては、上述した近赤外線吸収層で説明した重合開始剤と同義である。
重合開始剤の含有量は、近赤外線吸収性組成物の固形分に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、上限値は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。重合開始剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となる。
緩衝層形成用組成物は溶剤を含有していてもよい。緩衝層形成用組成物が含有していてもよい溶剤は、上述した近赤外線吸収層で説明した溶剤と同義である。
溶剤は、緩衝層形成用組成物に対し10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましく、上限値は90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。溶剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となる。
緩衝層形成用組成物は界面活性剤を含有していてもよい。緩衝層形成用組成物が含有していてもよい界面活性剤は、上述した近赤外線吸収層で説明した界面活性剤と同義である。
緩衝層形成用組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、緩衝層形成用組成物の固形分に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、上限値は2質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
緩衝層形成用組成物は密着促進剤を含有していてもよい。密着促進剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。他には、特開2008−243945号公報の段落0048に記載の化合物が使用される。
密着促進剤の市販品としては、例えばKBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503(以上、信越化学工業社製)が挙げられる。
緩衝層形成用組成物が密着促進剤を含有する場合、密着促進剤の含有量は、緩衝層形成用組成物中の全固形分に対して、0.005質量%以上が好ましく、上限値は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
緩衝層形成用組成物は紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系の紫外線吸収剤を使用することができる。これらの具体例としては、特開2012−068418号公報の段落0137〜0142欄(対応するUS2012/0068292の段落0251〜0254欄)の化合物が使用でき、これらの内容が援用でき、本願明細書に組み込まれる。
他にジエチルアミノ−フェニルスルホニル系紫外線吸収剤(大東化学製、商品名:UV−503)なども好適に用いられる。
紫外線吸収剤としては、特開2012−32556号公報の段落0134〜0148に例示される化合物が挙げられる。
緩衝層形成用組成物が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、緩衝層形成用組成物の全固形分に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、上限値は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
緩衝層形成用組成物は無機粒子をさらに含有していてもよい。無機粒子としては、屈折率が高く、無色、白色又は透明な無機粒子であることが好ましく、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)又はマグネシウム(Mg)の酸化物粒子が挙げられ、二酸化チタン(TiO2)粒子、酸化ジルコニウム(ZrO2)粒子又は二酸化珪素(SiO2)粒子であることがより好ましい。
無機粒子の一次粒子径は特に制限されず、1nm〜100nmが好ましく、1nm〜80nmがより好ましく、1nm〜50nmが特に好ましい。無機粒子の一次粒子径が上記範囲内であれば、分散性が優れると共に、屈折率及び透過率が向上する。
無機粒子の屈折率は特に制限はないが、高屈折率を得る観点から、1.75〜2.70であることが好ましく、1.90〜2.70であることがより好ましい。
無機粒子の比表面積は特に制限はないが、10〜400m2/gが好ましく、20〜200m2/gがより好ましく、30〜150m2/gがさらに好ましい。
また、無機粒子の形状には特に制限はなく、例えば、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状または不定形状などが挙げられる。
無機粒子は、有機化合物により表面処理されたものであってもよい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤又はチタネートカップリング剤が含まれる。なかでも、ステアリン酸またはシランカップリング剤が好ましい。
また、無機粒子の表面は、耐候性がより向上する点で、アルミニウム、ケイ素、ジルコニアなどの酸化物により覆われていることも好ましい。
無機粒子は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
緩衝層形成用組成物における無機粒子の含有量としては、緩衝層形成用組成物の全固形分に対して、65質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。含有量の上限は特に制限はないが、緩衝層形成用組成物の全固形分に対して90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。
二酸化チタン粒子としては、化学式TiO2で表すことができ、純度80%以上であることがより好ましく、純度85%以上であることが更に好ましい。一般式TinO2n-1(nは2〜4の数を表す。)で表される低次酸化チタン、酸窒化チタン等は30質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
二酸化チタン粒子の市販物としては、例えば、石原産業(株)製TTOシリーズ(TTO−51(A)、TTO−51(C)など)、TTO−S、Vシリーズ(TTO−S−1、TTO−S−2、TTO−V−3など)、テイカ(株)製MTシリーズ(MT−01、MT−05など)などを挙げることができる。
二酸化珪素粒子の市販物としては、例えば、OG502−31クラリアント社(Clariant Co.)製などを挙げることができる。
酸化ジルコニウム粒子の平均粒子径は特に制限されないが、1〜200nmであることが好ましく、10〜100nmがより好ましく、10〜50nmがさらに好ましい。
比表面積は80〜120m2/gが好ましい。
酸化ジルコニウム粒子の平均粒子径は、粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。粒子の投影面積を求め、そこから円相当径を求め平均粒径とする(通常、平均粒径を求めるために300個以上の粒子について測定する)。
酸化ジルコニウム粒子の市販物としては、例えば、UEP、UEP−100(第一稀元素化学工業(株)製)、PCS(日本電工(株)製)、JS−01、JS−03、JS−04(日本電工(株)製)を挙げることができる。
<<無機化合物>>
防湿層が含有する無機化合物としては金属化合物が挙げられ、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、ランタン、亜鉛、ケイ素等から選択される少なくとも1種を含む酸化物が好ましい。具体例としては、ケイ素を含む酸化物およびアルミニウムを含む酸化物が好ましく、ケイ素を含む酸化物がより好ましい。
防湿層における無機化合物の含有量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、上限値は100質量%以下が好ましい。
防湿層は、1層で構成されていてもよいし、2層以上が積層されていてもよい。2層以上が積層されている場合の例として、誘電体層Aと、誘電体層Aが有する屈折率よりも高い屈折率を有する誘電体層Bとが、交互に積層した誘電体多層膜が挙げられる。このような構成により、耐湿性を向上させるとともに、近赤外線カットフィルタに入射する紫外線や近赤外線を反射させる紫外線および/または赤外線反射膜を兼ねる構成とすることもできる。
誘電体層Aを構成する材料としては、屈折率が1.6以下、好ましくは1.2〜1.6の材料が使用される。具体的には、シリカ(SiO2)、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等を用いることができる。また、誘電体層Bを構成する材料としては、屈折率が1.7以上、好ましくは1.7〜2.5の材料が使用される。具体的には、チタニア(TiO2)、ジルコニア、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、イットリア、酸化亜鉛、硫化亜鉛等を用いることができる。なお、屈折率は、波長550nmの光に対する屈折率をいう。
また、単位誘電体層全体におけるnHdH/nLdLの平均値である平均nHdH/nLdLは4.5〜6が好ましく、特に、単位誘電体層の全層数が多い場合、例えば単位誘電体層の全層数が30層以上の場合、平均nHdH/nLdLは4.5〜5.3が好ましい。
さらに、この入射角依存性を低減した誘電体多層膜において、誘電体層Aの光学膜厚nLdLの平均値は40〜70nmが好ましく、40〜65nmがより好ましい。誘電体層Bの光学膜厚nHdHの平均値は200〜310nmが好ましく、210〜300nmがより好ましい。また、個々の誘電体層Aの光学膜厚nLdLは10〜140nmが好ましく、個々の誘電体層Bの光学膜厚nHdHは10〜350nmが好ましい。
誘電体多層膜の構成については、例えば特開2013−68688号公報の段落番号0033〜0047を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
緩衝層上に防湿層を形成する方法としては、上述した無機化合物を含む防湿層形成用組成物を緩衝層上に適用することにより行うことができる。無機化合物を含む組成物を緩衝層上に適用する方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法等が挙げられ、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法の条件は、背圧1.0×10-2Pa以下が好ましい。このような構成により、耐湿性を向上させるとともに、近赤外線カットフィルタに入射する光の反射をより効果的に防止して、より効率よく入射光を利用することもできる。
上述した近赤外線吸収層、緩衝層および防湿層以外の他の層は、例えば、酸化物を含む組成物を用いて作製することができる。図2に示す他の層5Aは、ガラスと樹脂の中間の屈折率の組成物を用いて作製することが好ましい。図2に示す他の層5Bは、空気と樹脂の中間の屈折率の組成物を用いて作製することが好ましい。
本発明は、有機化合物を含有する有機層と、緩衝層と、無機化合物を含有する防湿層とを上記順に有する積層体にも関する。本発明は、有機化合物を含有する有機層を形成する工程と、有機層上に緩衝層を形成する工程と、緩衝層上に無機化合物を含有する防湿層を形成する工程とを含む、積層体の製造方法にも関する。
本発明は、固体撮像素子と、固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有し、近赤外線カットフィルタが上述した近赤外線カットフィルタであることを特徴とするカメラモジュールにも関する。
また、本発明は、固体撮像素子と、固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールの製造方法であって、固体撮像素子の受光側に近赤外線カットフィルタを形成する工程を有するカメラモジュールの製造方法にも関する。
カメラモジュール10は、例えば、固体撮像素子11と、固体撮像素子11上に設けられた平坦化層12と、近赤外線カットフィルタ1と、近赤外線カットフィルタの上方に配置され内部空間に撮像レンズ14を有するレンズホルダー15と、を備える。
カメラモジュール10では、外部からの入射光hνが、撮像レンズ14、近赤外線カットフィルタ1、平坦化層12を順次透過した後、固体撮像素子11の撮像素子部16に到達するようになっている。
固体撮像素子11は、例えば、基体であるシリコン基板の主面に、撮像素子部16、層間絶縁膜(図示せず)、ベース層(図示せず)、カラーフィルタ17、オーバーコート(図示せず)、マイクロレンズ18をこの順に備えている。カラーフィルタ17(赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、青色のカラーフィルタ)やマイクロレンズ18は、撮像素子部16に対応するように、それぞれ配置されている。
また、平坦化層12の表面に近赤外線カットフィルタ1が設けられる代わりに、マイクロレンズ18の表面、ベース層とカラーフィルタ17との間、または、カラーフィルタ17とオーバーコートとの間に、近赤外線カットフィルタ1が設けられる形態であってもよい。例えば、近赤外線カットフィルタ1は、マイクロレンズ表面から2mm以内(より好ましくは1mm以内)の位置に設けられていてもよい。この位置に設けると、近赤外線カットフィルタを形成する工程が簡略化でき、マイクロレンズへの不要な近赤外線を十分にカットすることができるので、近赤外線遮断性をより高めることができる。
本発明の赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に供することができる。半田リフロー工程によりカメラモジュールを製造することによって、半田付けを行うことが必要な電子部品実装基板等の自動実装化が可能となり、半田リフロー工程を用いない場合と比較して、生産性を格段に向上することができる。更に、自動で行うことができるため、低コスト化を図ることもできる。半田リフロー工程に供される場合、250〜270℃程度の温度にさらされることとなるため、近赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に耐え得る耐熱性(以下、「耐半田リフロー性」ともいう。)を有することが好ましい。
本願明細書中で、「耐半田リフロー性を有する」とは、200℃で10分間の加熱を行う前後で赤外線カットフィルタとしての特性を保持することをいう。より好ましくは、230℃で10分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。更に好ましくは、250℃で3分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。耐半田リフロー性を有しない場合には、上記条件で保持した場合に、赤外線カットフィルタの赤外線吸収能が低下したり、膜としての機能が不十分となる場合がある。
また本発明は、リフロー処理する工程を含む、カメラモジュールの製造方法にも関する。本発明の赤外線カットフィルタは、リフロー工程があっても、近赤外線吸収能が維持されるので、小型軽量・高性能化されたカメラモジュールの特性を損なうことがない。
図4に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、平坦化層12と、紫外・赤外光反射膜19と、透明基材20と、近赤外線カットフィルタ1と、反射防止層22とをこの順に有していてもよい。
紫外・赤外光反射膜19は、近赤外線カットフィルタの機能を付与または高める効果を有し、例えば、特開2013−68688号公報の段落0033〜0039を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
透明基材20は、可視領域の波長の光を透過するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0026〜0032を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収層21は、上述した近赤外線吸収性組成物を塗布することにより形成することができる。
反射防止層22は、近赤外線カットフィルタに入射する光の反射を防止することにより透過率を向上させ、効率よく入射光を利用する機能を有するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0040を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
図5に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、近赤外線カットフィルタ1と、反射防止層22と、平坦化層12と、反射防止層22と、透明基材20と、紫外・赤外光反射膜19とをこの順に有していてもよい。
図6に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、近赤外線カットフィルタ1と、紫外・赤外光反射膜19と、平坦化層12と、反射防止層22と、透明基材20と、反射防止層22とをこの順に有していてもよい。
近赤外線吸収剤
スルホン酸銅錯体ポリマーXの合成例
ポリエーテルスルホン(BASF社製、Ultrason E6020P)5.0gを硫酸46gに溶解し、窒素気流下、室温にてクロロスルホン酸16.83gを滴下した。室温にて48時間反応した後、氷水で冷却したヘキサン/酢酸エチル(1/1)混合液1L中に反応液を滴下した。上澄みを除き、得られた沈殿物をメタノールに溶解した。得られた溶液を、酢酸エチル0.5L中に滴下し、得られた沈殿物をろ過により回収した。得られた固体を減圧乾燥することで、下記重合体A−1を4.9g得た。中和滴定により算出したポリマー中のスルホン酸基含有量は3.0(meq/g)、重量平均分子量(Mw)は53,000であった。
重合体A−1の20%水溶液20gに対し、水酸化銅556mgを加え、室温で3時間撹拌し、水酸化銅を溶解させた。以上により、スルホン酸銅錯体ポリマーXの水溶液が得られた。
下記スルホフタル酸53.1%水溶液(13.49g,29.1mmol)をメタノール50mLに溶かし、この溶液を50℃に昇温した後、水酸化銅(2.84g,29.1mmol)を加え50℃で2時間反応させた。反応終了後、エバポレータにて溶剤及び発生した水を留去することでスルホン酸銅錯体Y(8.57g)を得た。
近赤外線吸収層形成用組成物の調製
以下の化合物を混合して、近赤外線吸収層形成用組成物Aを調製した。
スルホン酸銅錯体ポリマーX(0.2g)に、スルホン酸銅錯体Y(0.6g)、下記有機化合物(樹脂Z)(1.2g)、純水(5.66g)、エタノール(2.34g)を混合し、近赤外線吸収層形成用組成物Aを得た。調製した近赤外線吸収層形成用組成物Aは、固形分濃度20質量%の青色の透明液であった。
ガラス基板上に、フォトレジストを塗布し、リソグラフィーによりパターニングしてフォトレジストの隔壁を形成して近赤外線吸収層形成用組成物の滴下領域を形成した。ドロップキャスト(滴下法)により、近赤外線吸収層形成用組成物Aを滴下し、オーブン中で40℃1時間加熱乾燥し、近赤外線吸収層Aを形成した。形成した近赤外線吸収層Aの膜厚を触針式段差計で測定したところ155μmであった。また、近赤外線吸収層Aの表面の算術平均粗さ(Ra)は500μmのスキャン幅で0.85μmであった。
下記表1の組成となるように、緩衝層形成用組成物A〜Eを得た。
下記表1中、樹脂Aおよび樹脂Bの構造は以下の通りである。
また、下記表中、M/B比とは、モノマー成分とポリマー成分との比を表す。
樹脂A:重量平均分子量18000
アクリベースFFS6058:重量平均分子量5000、SP値は10.3
近赤外線吸収層の表面上に緩衝層形成用組成物をスピンコート(300rpmで5秒後、1000rpmで20秒)し、100℃で2分間のプリベーク、2000mJ/cm2の光硬化により成膜した。形成した緩衝層の膜厚を触針式段差計で測定したところ1.2μmであった。また、緩衝層の表面の算術平均粗さ(Ra)は、500μmのスキャン幅で0.81μmであった。
上記緩衝層の表面上に、スパッタリング法によりSiO2を100nm形成した。スパッタリング法の詳細な条件は、背圧1.0×10-2Pa以下とした。スパッタリングにより形成した防湿層の表面(防湿層の緩衝層から遠い側の表面)を触針式段差計で走査したところ、算術平均粗さ(Ra)は、500μmのスキャン幅で0.92μmであった。
<耐湿性の評価>
各実施例および各比較例で作製した近赤外線カットフィルタを25℃95RH%の高温高湿環境下に20時間静置した後、分光スペクトルを評価した。
A:耐湿試験前の膜重量を100%としたときに、耐湿試験後の膜重量が105%以下
B:耐湿試験前の膜重量を100%としたときに、耐湿試験後の膜重量が105%を超え110%以下
C:耐湿試験前の膜重量を100%としたときに、耐湿試験後の膜重量が110%を超える
一方、基板上に近赤外線吸収層と防湿層のみを形成した比較例1〜5の近赤外線カットフィルタ、および、基板上に近赤外線吸収層と防湿層のみを形成した比較例6の近赤外線カットフィルタは、耐湿試験前後で、近赤外線カットフィルタにおける面状の変化および膜重量の変化が大きいことがわかった。
Claims (18)
- 近赤外線吸収剤と有機化合物を含有する近赤外線吸収層と、緩衝層と、無機化合物を含有する防湿層とを前記順に有する、近赤外線カットフィルタ。
- 前記緩衝層のヤング率が2.0〜10.0GPaである、請求項1に記載の近赤外線カットフィルタ。
- 前記緩衝層の厚さが500nm以上である、請求項1または2に記載の近赤外線カットフィルタ。
- 前記緩衝層が、SP値が12.0以下の樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
- 前記緩衝層および前記防湿層が、波長380〜780nmのいずれかの波長における透過率が90%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
- 前記防湿層の密度が2g/cm3以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
- 前記防湿層が二酸化ケイ素を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
- 前記近赤外線吸収剤が銅化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
- 前記近赤外線吸収剤が、スルホン酸およびカルボン酸の少なくとも1種を配位子とする銅錯体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
- 前記緩衝層の表面に前記防湿層を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
- 基材上に、近赤外線吸収剤と有機化合物を含有する近赤外線吸収層を形成する工程と、
前記近赤外線吸収層上に緩衝層を形成する工程と、
前記緩衝層上に無機化合物を含有する防湿層を形成する工程とを含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。 - 前記近赤外線吸収層および/または前記緩衝層を塗布により形成する、請求項11に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
- 前記防湿層をスパッタリング法により形成する、請求項11または12に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
- 前記緩衝層の表面に、前記防湿層を形成する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
- 固体撮像素子と、前記固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールであって、前記近赤外線カットフィルタが請求項1〜10のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタまたは請求項11〜14のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法で得られた近赤外線カットフィルタである、カメラモジュール。
- ポリカプロラクトン系樹脂を含む、緩衝層形成用組成物。
- 有機化合物を含有する有機層と、緩衝層と、無機化合物を含有する防湿層とを前記順に有する、積層体。
- 基材上に、有機化合物を含有する有機層を形成する工程と、
前記有機層上に緩衝層を形成する工程と、
前記緩衝層上に無機化合物を含有する防湿層を形成する工程とを含む、積層体の製造方法。
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