JP2015209672A - 鋼材柱の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 柱底部の耐力を上げながら、補強後の柱の強度を向上させることができる鋼材柱の補強構造を提供することである。【解決手段】 鋼材柱1の特定の面又は全周を囲い鋼板で囲い、鋼材柱1の外周と上記囲い鋼板5との間にグラウト材6を充填し、このグラウト材6中に軸方向筋7を配置する鋼材柱1の補強構造を前提とする。そして、上記軸方向筋7の下端を既存の基礎8あるいは新たに形成した補充基礎16に埋設したことを特徴とする。【選択図】 図1

Description

この発明は、H型鋼などからなる鋼材柱の補強構造に関する。
従来から、H型鋼や角型鋼などの鋼材を柱として用いることがあるが、このような鋼材柱は、ベースプレートを備えた柱脚を、コンクリートの基礎にボルトで固定している。
例えば、H型鋼柱1は、図7に示すように下端に溶接したベースプレート2を備え、このベースプレート2には、アンカーボルト3,3を設けている。このアンカーボルト3,3をコンクリートの基礎に埋め込むとともに、ナット4を締め付けて上記ベースプレート2を基礎に固定するようにしている。
このように、底部を上記アンカーボルト3で固定されたH型鋼柱1のうち、従来の基準で設計されたものには、上記ベースプレート2を固定するためのアンカーボルト3の本数が少なく、柱の底部において十分なせん断耐力を発揮できないものが少なくなかった。
さらに、H型鋼は弱軸方向の曲げには弱いため、現在の基準からみて、柱としての強度が不足しているH型鋼柱は多かった。
なお、H型鋼以外の鋼材柱も、図7に示すH型鋼柱1と同様に、ベースプレート2をアンカーボルト3によって基礎に固定するようにしている。そのため、H型鋼柱1以外の既存の鋼材柱も、底部のせん断耐力が不足したものがあった。
このように、強度不足となるH型鋼柱1を事後的に補強することは行なわれていた。例えば、図8に示す従来の補強構造は、H型鋼柱1の周囲を、間隔を保って囲い鋼板5で囲い、その内側にグラウト材6を充填するとともに、このグラウト材6内に軸方向筋7を埋設したものである。
なお、既存のH型鋼柱1は、下端に溶接したベースプレート2を、上記アンカーボルト3とナット4とによって基礎立ち上げ部8aに固定して設置されている。
上記基礎立ち上げ部8aは、図8に示す基礎底盤8から上方へ立ち上げた部分であり、この基礎立ち上げ部8aの周囲には、図9に示すように基礎梁9を格子状に連結していることが多い。
これら基礎立ち上げ部8a及び基礎梁9の上にはコンクリートスラブ10を設けている。
上記H型鋼柱1のベースプレート2は、コンクリートスラブ10を介して基礎立ち上げ部8aにアンカーボルト3で固定されている。
また、上記囲い鋼板5及び軸方向筋7の下端は、上記コンクリートスラブ10上に設置されている。
特開2008−069606号公報
上記H型鋼柱1の底部は、ベースプレート2をアンカーボルト3で固定することによって基礎立ち上げ部8aに固定されている。上記したように、このアンカーボルト3による固定力は強固なものではなく、既存のH型鋼柱1の底部と基礎立ち上げ部8aとは所謂ピン接合となって、この接合部分でせん断力を受けることができない。
このようなH型鋼柱1を、囲い鋼板5で覆って断面積を大きくしたり、軸方向筋7を埋設したりしても、補強によって新たに追加された補強部は固定されていない。つまり、補強後の柱も底部も、上記アンカーボルト3によるピン接合のままである。
そこで、図8に示す補強構造によってH型鋼柱1の部材としての強度を向上させることはできるが、建造物の柱としての端部のせん断耐力は弱いままである。
このように、柱の端部のせん断耐力が弱ければ、曲げ耐力も発揮できず、補強したとしても建造物の柱としての強度を十分に上げることはできなかった。
この発明の目的は、特に柱底部の耐力を上げながら、補強後の柱の強度を向上させることができる鋼材柱の補強構造を提供することである。
この発明は、鋼材柱の特定の面又は全周を囲い鋼板で囲い、鋼材柱の外周と上記囲い鋼板との間にグラウト材を充填し、このグラウト材中に軸方向筋を配置する鋼材柱の補強構造を前提とする。
そして、第1の発明は、上記軸方向筋の下端を既存の基礎あるいは新たに形成した補充基礎に埋設したことを特徴とする。
上記既存の基礎とは、既存の鋼材柱の底部より下方に位置し、当該鋼材柱の下端を固定する部分のことである。
第2の発明は、上記基礎が基礎底盤を備え、この基礎底盤に固定孔を形成し、この固定孔に上記軸方向筋の下端を挿入するとともにグラウト材を充填して上記軸方向筋の下端を上記基礎底盤に埋設したことを特徴とする。
第3の発明は、既存の基礎の周囲に補充基礎を新たに形成し、この補充基礎に上記軸方向筋の下端を埋設したことを特徴とする。
第4の発明は、上記既存の基礎にあと施工アンカーを打ち込み、このあと施工アンカーの突出部を上記軸方向筋の近傍に位置させるとともに、このあと施工アンカーの突出部及び上記軸方向筋の下端を上記補充基礎に埋設したことを特徴とする。
第5の発明は、上記既存の基礎は基礎梁を備え、この基礎梁に固定孔を形成し、この固定孔に上記軸方向筋の下端を挿入するとともにグラウト材を充填して上記軸方向筋の下端を上記基礎梁に埋設したことを特徴とする。
第6の発明は、上記鋼材柱の両脇に梁部材が連結された連結部を梁用の囲い鋼板で覆い、上記連結部と梁用の囲い鋼板との間にグラウト材を充填して、このグラウト材に上記軸方向筋の上端を埋設するとともに、
上記梁部材であって上記軸方向筋と対向する位置には、あと施工アンカーを設け、このあと施工アンカーの突出部を上記軸方向筋の近傍に位置させるとともに、このあと施工アンカーの突出部及び上記軸方向筋の上端を上記グラウト材に埋設したことを特徴とする。
この発明によれば、補強後の柱は、グラウト材に囲まれることによって座屈しにくくなるとともに、柱の断面積を大きくすることができるので、せん断耐力や軸耐力が向上する。また、軸方向筋によって曲げ耐力も向上する。
さらに、上記グラウト材を囲う囲い鋼板が、グラウト材の崩壊を防止して鋼材柱のせん断耐力をさらに向上させることができる。
しかも、既存の鋼材柱に沿った軸方向筋の下端を基礎に埋設して固定し、補強後の柱の底部を固定することができる。特に、補強によって付加された部分で、軸方向筋と基礎とが結合するので、既存のアンカーボルトのみで柱を支える場合と比べて応力集中も発生し難く、柱底部のより強固な固定が期待できる。その結果、補強効果が有効に発揮され、せん断力及び曲げ耐力を向上させ、補強後の鋼材柱の強度を十分に向上させることができる。
第2の発明によれば、軸方向筋の下端を基礎底盤まで到達させて固定することができる。これにより、補強後の柱の底部を固定して、十分な補強効果を得ることができる。
第3の発明によれば、既存の基礎に軸方向筋を埋設することが難しい場合にも、軸方向筋の下端を補充基礎に埋設して固定し、補強後の柱の強度を向上させることができる。
第4の発明によれば、あと施工アンカーによって既存の基礎と補充基礎との一体性を高めるとともに、補充基礎に埋設された軸方向筋と既存の基礎との結合力を強くすることができる。その結果、軸方向筋の下端をより確実に固定し、補強後の柱の強度を十分に向上させることができる。
第5の発明によれば、基礎梁部分に位置する軸方向筋の下端を基礎梁に埋設して固定することができる。
第6の発明によれば、梁に設けたあと施工アンカーによって、軸方向筋の上端をグラウト材内で固定することができる。これにより、軸方向筋の上下端が固定され、下端のみを固定した場合よりも曲げ耐力を向上させ、補強後の柱の強度をさらに向上させることができる。
図1は第1実施形態の囲い鋼板の前面部分を省略した状態の正面図と、基礎の断面図である。 図2は第1実施形態の補強構造の斜視図である。 図3は第2実施形態の基礎周辺の断面図である。 図4は第3実施形態の基礎周辺の断面図である。 図5は第4実施形態の円形鋼管材柱の柱脚部付近の斜視図である。 図6は第4実施形態の基礎周辺の断面図である。 図7は一般的なH型鋼柱の斜視図である。 図8は従来のH型鋼柱の補強構造の基礎周辺の断面図である。 図9はコンクリート基礎の平面図である。
図1,2に示す第1実施形態は、例えば倉庫や屋内駐車場などに多く用いられているH型鋼柱1を補強する補強構造である。
上記H鋼柱1は、図7に示すように、下端に溶接したベースプレート2を備えたもので、このベースプレート2を貫通するアンカーボルト3とナット4とによって、基礎立ち上げ部8aに固定されている。
一方、上記H型鋼柱1の上端付近には、その両脇にH型鋼からなる梁11,11を連結している。これら梁11,11とH型鋼柱1との連結は、溶接やボルト止めなどで行なわれるが、上記H型鋼柱1と梁11,11とは直接連結するだけでなく、連結用プレートなどを介在させるようにしてもよい。
以下に、第1実施形態の補強構造を詳細に説明する。
図1に示すように、この第1実施形態では、上記H型鋼柱1の周囲を、間隔を保って囲い鋼板5で囲むとともに、上記梁11の部分にも梁11との間隔を保って梁用の囲い鋼板12を設けている。そして、これら囲い鋼板5,12の内部にグラウト材6を充填している。
なお、上記囲い鋼板5は、その下端側において、上記ベースプレート2の外周との間隔が、上記軸方向筋7を配置可能な寸法となるように配置されている。
また、この第1実施形態では、図2に示すように、上記囲い鋼板5の軸方向長さを、この囲い鋼板5で囲われるH型鋼柱1の長さよりも短くし、複数の囲い鋼板5を上下方向に積層してH型鋼柱1の周囲に配置するようにしている。このように、囲い鋼板5の軸方向長さをH型鋼柱1より短くしたのは、搬送性や作業性を考慮したためである。ただし、囲い鋼板5は軸方向に分割しないものでもかまわない。
さらに、上記囲い鋼板5は、断面をL字状にした4つの単位鋼板5a〜5dで構成され、各単位鋼板5a〜5dの先端同士を重ね合わせてH型鋼柱1の全周を矩形に囲うようにしている。ただし、補強鋼板5は4つの部材で構成されるものに限らず、H型鋼柱1の周囲を囲むことが可能なものであれば、その形状はどのようなものでもかまわない。
また、上記梁用の囲い鋼板12は、コの字状の囲い部の左右両脇に図示しない止め部を備え、この止め部を梁11に止めねじなどで固定するものである。
なお、この第1実施形態では上記梁用の囲い鋼板12の幅を、柱の部分のみを囲む囲い鋼板5の幅より大きくしているが、梁用の囲い鋼板12の幅は、上記囲い鋼板5と同等にしてもよい。さらに、上記梁用の囲い鋼板12を、例えば断面がL字状の一対の単位鋼板など、複数の単位鋼板で構成してもよいし、梁用の囲い鋼板12を設けなくてもよい。
さらにまた、上記囲い鋼板5、12の表面に帯状シートを接着してもよい。この帯状シートを接着することによって、H型鋼柱1の周方向に分割された単位鋼板5a〜5d同士を連結したり、積層された囲い鋼板5を上下方向に一体化したりすることができる。
ただし、周方向や、上下に連続する単位鋼板5a〜5d同士は、上記帯状シートではなく、溶接やボルトなどを用いて連結するようにしてもよい。
なお、上記囲い鋼板5,12の外周に帯状シートを貼り付ければ、帯状シートの引張強度を上記囲い鋼板5,12の強度に付加することもできる。
上記のように配置した囲い鋼板5,12の内側には、図1,2に示すように囲い鋼板5の内側四隅に沿って鉄筋などの軸方向筋7を配置している。これら軸方向筋7の上端にはプレートナット13を取り付け、このプレートナット13が上記梁用の囲い鋼板12内のグラウト材6で保持されるようにしている。
また、上記梁11であって、軸方向筋7,7に対向する部分には、複数のあと施工アンカー14を打ち込んでその突出部を軸方向筋7,7の近傍に位置させている。このようなあと施工アンカー14は、梁11を構成するH型鋼のウエブに固定され、軸方向筋7とともに上記グラウト材6に埋設される。これにより、グラウト材6、梁11及び軸方向筋7が一体化し、軸方向筋7の上端が固定されることになる。
ただし、必要な補強強度によっては、梁11の部分まで補強せず、上記梁用の囲い鋼板12を設けなくてもよい。その場合には、軸方向筋7の上端であるプレートナット13は上記梁11より下方で、上記囲い鋼板5内に位置するようにする。
一方、軸方向筋7の下端は、基礎底盤8まで達し、基礎底盤8に埋設される。具体的には、基礎底盤8に固定孔15を形成し、この固定孔15にスラブ10を貫通した軸方向筋7の下端側を挿入してグラウト材6で固定する。
また、上記軸方向筋7において上記スラブ10と基礎底盤8との間に対応し、図1中一点鎖線で囲んだ部分Aは、格子状に配置された基礎梁9,9間で露出した露出部Aとなる。そこで、この露出部Aを、グラウト材やコンクリートで覆って錆などが発生しないようにしている。
このように、囲い鋼板5,12内に軸方向筋7を配置したら、囲い鋼板5,12内にグラウト材6を充填し固化させる。グラウト材6が固化すれば、この第1実施形態の補強構造が完成する。
上記グラウト材6は、H型鋼柱1の一対のフランジ1a,1aとその間のウエブ1bとで囲まれる空間内にも充填され、H型鋼柱1の全表面を覆う。
このように補強した補強後のH型鋼柱1は、グラウト材6に囲まれることによって座屈しにくくなるとともに柱の断面積を大きくすることができるので、補強後は、曲げ耐力だけでなく、せん断耐力や軸耐力が向上する。また、上記軸方向筋7によって曲げ耐力も向上する。
さらに、上記グラウト材6を囲う囲い鋼板5が、グラウト材6の崩壊を防止することで内部の座屈を防止し、曲げ耐力、軸耐力及びせん断耐力をさらに向上させることができる。
さらにまた、上記囲い鋼板5の外周に、引張強度が大きな帯状シートを接着した場合には、帯状シートの引張強度が上記囲い鋼板5の強度に付加されて、より一層のせん断耐力の向上が期待できる。
しかも、軸方向筋7の下端は、基礎底盤8に埋設されているので、上記囲い鋼板5で囲まれた補強部分と基礎との結合強度が強くなり、柱の底部のせん断耐力が上がり、基礎からずれたり分離したりしてしまうようなことがない。その結果、囲い鋼板5、軸方向筋7及びグラウト材6による補強効果が有効に機能し、補強後の柱の強度を向上させることができる。
なお、上記軸方向筋7は、上記基礎底盤8に埋設される下端から、プレートナット13まで連続する1本ものでなくてもよく、複数の軸方向筋を溶接や、継手によって事後的に連結したものでもよい。なお、上記継手には、端部同士を連結する機械的な継手のほか、軸方向に重ねてグラウト材に埋設することによって連結する重ね継手が含まれる。
図3に示す第2実施形態は、第1実施形態と同様のH型鋼柱1を補強する補強構造である。
ただし、この第2実施形態では、周囲に基礎梁を設けていない基礎立ち上げ部8aに、H型鋼柱1のベースプレート2がアンカーボルト3によって直接固定されている。また、既存の基礎底盤8に固定孔15を形成するのではなく、新たに補充基礎16を形成し、この補充基礎16に軸方向筋7の下端を埋設している点が、上記第1実施形態と異なる。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と同じ構成要素には、図1と同じ符号を用い各構成要素の説明は省略する。
この第2実施形態では、上記基礎立ち上げ部8aの周囲にコンクリート製の補充基礎16を形成し、その上に上記囲い鋼板5が配置されるようにしている。
この補強構造の具体的な形成方法は、以下のとおりである。
まず、上記ベースプレート2より下方で、軸方向筋7が配置される位置に対応する基礎立ち上げ部8aの周囲に、複数のあと施工アンカー14を打ち込む。このあと施工アンカー14は、一端側を基礎立ち上げ部8aから突出させ、その突出部が、補充基礎16内に埋設する軸方向筋7の近傍に達する長さを備えている。
このようにあと施工アンカー14を打ちこんだら、軸方向筋7を所定の位置に配置し、図示しない型枠内にコンクリートを充填して、上記あと施工アンカー14とともに軸方向筋7の下端側を埋設した補充基礎16を形成する。
その後、上記補充基礎16上に囲い鋼板5を配置し、その内側にグラウト材6を充填するようにしている。
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、補強後の柱の底部と基礎との結合力を強くしながら、補強後の柱の全体の強度を向上させることができる。
さらに、この第2実施形態では、補充基礎16にあと施工アンカー14を設けることによって補充基礎16と軸方向筋7との結合力をより強くしている。
また、この第2実施形態では、補充基礎16の形成時に上記軸方向筋7の下端を埋設することができるので、第1実施形態のように事後的に固定孔15(図1参照)を形成しなくてもよい。また、軸方向筋7の露出部A(図1参照)を覆う処理も必要ない。
この第2実施形態の補強構造は、軸方向筋7を埋設するための固定孔15を基礎底盤8に形成することが困難な場合にも、十分な補強ができるものである。
なお、上記補充基礎16を形成する際に、基礎立ち上げ部8aや基礎底盤8の表面に複数の差し筋を設け、これらを利用してかご鉄筋を形成すれば、より強固な補充基礎16を形成することができるとともに、補充基礎16と軸方向筋7との結合力をより一層強くできる。
図4は、基礎梁9,9間に補充基礎17を形成する第3実施形態を示したものである。
この第3実施形態において、上記第1,2実施形態と同様の構成要素には同じ符号を用いる。
第3実施形態の補強構造は、上記補充基礎17に軸方向筋7の下端を埋設したものである。そして、上記補充基礎17を形成する際には、交差する方向の一対の基礎梁9,9の側面に複数のあと施工アンカー14を打ち込んで、このあと施工アンカー14と軸方向筋7の下端とが補充基礎17に埋設されるようにしている。上記あと施工アンカー14は、上記第2実施形態のあと施工アンカー14と同様に、その突出部が軸方向筋7の近傍に位置するように設けられている。
なお、図4では、あと施工アンカー14を太線で示しているが、実際には補充基礎17に埋設されている。
その他の構成は、図1に示す第1実施形態と同じである。すなわち、コンクリートスラブ10上に囲い鋼板5を設け、内側にグラウト材6を充填している。
したがって、この第3実施形態でも、補強後の柱の底部を固定しながら、補強後の柱の強度を向上させることができる。
また、あと施工アンカー14によって補充基礎17と軸方向筋7との結合力をより強くできる点は第2実施形態と同じである。
さらに、この補充基礎17も、かご鉄筋を埋設するようにすれば、補充基礎17自体の強度が上がるとともに、軸方向筋7との結合力をより一層強くできる。
なお、上記第2,3実施形態では、補充基礎16,17を基礎底盤8の上方に形成しているが、例えば基礎底盤8に上記固定孔15を形成するために十分な大きさがない場合に、基礎底盤8の外周に新たに補充基礎を形成するようにしてもよい。このように基礎底盤8の周囲に補充基礎を形成する場合にも、上記補充基礎を形成する際に上記軸方向筋7の下端を配置して、基礎の形成と同時に軸方向筋7の下端を埋設するようにしてもよいし、補充基礎を形成してから、固定孔15を形成するようにしてもよい。
また、上記第2、3実施形態では、補充基礎16,17を形成する際にあと施工アンカー14を設けているが、補充基礎16,17内に埋設される軸方向筋7の内設長さを十分に長くして固定力を強くできる場合には、上記あと施工アンカー14を設けなくてもよい。
さらに、上記のような補充基礎16,17を形成しながら、軸方向筋7の下端は基礎底盤8に埋設させるようにしてもよい。その場合には、基礎底盤8と補充基礎との両者によって軸方向筋7の下端側を保持することになるため、基礎底盤8に形成する固定孔15の軸方向長さが多少短くても、軸方向筋7の下端を確実に固定できることになる。
図5,6に示す第4実施形態は、鋼材柱としての図5に示す円形鋼管柱18を補強する補強構造である。
上記H型鋼柱1の代わりに円形鋼管柱18を用いている点が、上記第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態とほぼ同じである。
そこで、第1実施形態と同じ構成要素には、第1実施形態と同じ符号を用い、詳細な説明は省略する。
以下に、第4実施形態の補強構造について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
上記円形鋼管柱18は、その下端が図5に示すようにベースプレート19上に溶接されたものである。
また、上記ベースプレート19上には、上記円形鋼管柱18の下端付近外周と上記ベースプレート19との間を連結する複数のリブプレート20を設け、これらリブプレート20を上記ベースプレート19及び円形鋼管柱18に溶接している。このように、上記リブプレート20を介在させることによってベースプレート19と円形鋼管柱18とをより強力に結合している。
そして、上記アンカーボルト3を基礎立ち上げ部8aに埋設するとともにナット4によってベースプレート19を固定し、既存の鋼材柱である円形鋼管柱18を設置している(図6参照)。
この第4実施形態においても、上記円形鋼管柱18の外周を囲い鋼板5で囲い、その内側に軸方向筋7を配置してグラウト材6を充填する点は、上記第1実施形態と同じである。
この第4実施形態の円形鋼管柱18は断面が円形であるが、囲い鋼板5はその周囲を図2と同様に矩形に囲み、この囲い鋼板5で囲まれた矩形の内側四隅に沿って上記軸方向筋7を配置している。
そして、この第4実施形態でも、上記軸方向筋7の下端を基礎底盤8内に形成した固定孔15に挿入してグラウト材6によって固定している。
ただし、上記円形鋼管柱18の下端側には、複数のリブプレート20を設けているため、ベースプレート19の面積は第1実施形態の上記ベースプレート2と比べて大きくなっている。
また、上記ボルト3を固定する基礎立ち上げ部8aの断面積も、上記ベースプレート19に対応したものである。
そのため、このベースプレート19の外周に、上記軸方向筋7を配置するための間隔を保って囲い鋼板5を配置すると、補強後の柱が太くなり過ぎてしまうことがある。
そこで、この第4実施形態では、上記ベースプレート19の四隅を図5に二点鎖線で示すように切り欠いた切欠き部21を形成し、この切欠き部21に対応させて上記軸方向筋7を設けるようにしている。
また、この切欠き部21に上記軸方向筋7を配置しようとすると、既存の基礎立ち上げ部8aの外周部分が邪魔になることがある。この外周の一部を撤去し、二点鎖線で示した撤去部Bに軸方向筋7を通過させ、軸方向筋7の下端を基礎底盤8の固定孔15に埋設している。
以上のように、この第4実施形態では、上記切欠き部21を設けるとともに撤去部Bを撤去することによって、上記軸方向筋7をベースプレート19の外周よりも既存の円形鋼管柱18に近づけることができる。そのため、囲い鋼板5で囲んだ補強後の柱が太くなりすぎることを防止できる。
なお、上記軸方向筋7は、上記撤去部Bにおいて露出部Aとなるため、この露出部Aをグラウト材やコンクリートで覆って錆などが発生しないようにする。
この第4実施形態も、上記他の実施形態と同様に、補強後の柱の底部を固定してせん断耐力及び曲げ耐力を向上させ、補強後の柱の強度を向上させることができる。
上記第1〜4実施形態の補強構造は、いずれも、H型鋼柱1や円形鋼管柱18にかぎらず、例えば角形鋼材を用いた柱など、どのような鋼材柱にも適用できるものである。
また、上記囲い鋼板5は既存の鋼材柱の全周を囲むものではなく、特定の面のみを囲むようにしてもよい。その場合には、上記軸方向筋は囲い鋼板5で囲まれた内側のみに配置されるが、その軸方向筋の下端を基礎に埋設することで柱底部を固定できる点は、上記実施形態と同様である。
また、上記では、軸方向筋7の下端を基礎底盤8あるいは補充基礎に埋設させる例について説明したが、上記基礎梁9が固定孔15を形成するのに十分な大きさを備えている場合には、基礎梁9に固定孔を形成して軸方向筋7を埋設させるようにしてもよい。
様々な鋼材柱の補強に有用である。
1 H型鋼柱
2 ベースプレート
3 アンカーボルト
4 ナット
5 (柱用の)囲い鋼板
5a〜5d 単位鋼板
6 グラウト材
7 軸方向筋
8 基礎底盤
8a 基礎立ち上げ部
9 基礎梁
11 梁
12 (梁用の)囲い鋼板
14 あと施工アンカー
16 補充基礎
17 補充基礎
18 円形鋼管柱
19 ベースプレート
この発明は、鋼材柱の特定の面又は全周を囲い鋼板で囲い、鋼材柱の外周と上記囲い鋼板との間にグラウト材を充填し、このグラウト材中に軸方向筋を配置する鋼材柱の補強構造を前提とする。
そして、第1の発明は、既存の基礎の周囲に補充基礎を新たに形成し、この補充基礎に上記軸方向筋の下端を埋設したことを特徴とする。
上記既存の基礎とは、既存の鋼材柱の底部より下方に位置し、当該鋼材柱の下端を固定する部分のことである。
の発明は、上記既存の基礎にあと施工アンカーを打ち込み、このあと施工アンカーの突出部を上記軸方向筋の近傍に位置させるとともに、このあと施工アンカーの突出部及び上記軸方向筋の下端を上記補充基礎に埋設したことを特徴とする。
の発明は、上記軸方向筋の下端を既存の基礎あるいは新たに形成した補充基礎に埋設するとともに、上記鋼材柱の両脇に梁部材が連結された連結部を梁用の囲い鋼板で覆い、上記連結部と梁用の囲い鋼板との間にグラウト材を充填して、このグラウト材に上記軸方向筋の上端を埋設し、上記梁部材であって上記軸方向筋と対向する位置にあと施工アンカーを設け、このあと施工アンカーの突出部を上記軸方向筋の近傍に位置させるとともに、このあと施工アンカーの突出部及び上記軸方向筋の上端を上記グラウト材に埋設したことを特徴とする。
特に、補充基礎を形成していため、既存の基礎に軸方向筋を埋設することが難しい場合にも、軸方向筋の下端を補充基礎に埋設して固定し、補強後の柱の強度を向上させることができる。
の発明によれば、あと施工アンカーによって既存の基礎と補充基礎との一体性を高めるとともに、補充基礎に埋設された軸方向筋と既存の基礎との結合力を強くすることができる。その結果、軸方向筋の下端をより確実に固定し、補強後の柱の強度を十分に向上させることができる
の発明によれば、梁に設けたあと施工アンカーによって、軸方向筋の上端をグラウト材内で固定することができる。これにより、軸方向筋の上下端が固定され、下端のみを固定した場合よりも曲げ耐力を向上させ、補強後の柱の強度をさらに向上させることができる。

Claims (6)

  1. 鋼材柱の特定の面又は全周を囲い鋼板で囲い、鋼材柱の外周と上記囲い鋼板との間にグラウト材を充填し、このグラウト材中に軸方向筋を配置する鋼材柱の補強構造において、上記軸方向筋の下端を既存の基礎あるいは新たに形成した補充基礎に埋設した鋼材柱の補強構造。
  2. 上記基礎は基礎底盤を備え、この基礎底盤に固定孔を形成し、この固定孔に上記軸方向筋の下端を挿入するとともにグラウト材を充填して上記軸方向筋の下端を上記基礎底盤に埋設した請求項1に記載の鋼材柱の補強構造。
  3. 既存の基礎の周囲に補充基礎を新たに形成し、この補充基礎に上記軸方向筋の下端を埋設した請求項1に記載の鋼材柱の補強構造。
  4. 上記既存の基礎にあと施工アンカーを打ち込み、このあと施工アンカーの突出部を上記軸方向筋の近傍に位置させるとともに、このあと施工アンカーの突出部及び上記軸方向筋の下端を上記補充基礎に埋設した請求項3に記載の鋼材柱の補強構造。
  5. 上記既存の基礎は基礎梁を備え、この基礎梁に固定孔を形成し、この固定孔に上記軸方向筋の下端を挿入するとともにグラウト材を充填して上記軸方向筋の下端を上記基礎梁に埋設した請求項1の鋼材柱の補強構造。
  6. 上記鋼材柱の両脇に梁部材が連結された連結部を梁用の囲い鋼板で覆い、上記連結部と梁用の囲い鋼板との間にグラウト材を充填して、このグラウト材に上記軸方向筋の上端を埋設するとともに、
    上記梁部材であって上記軸方向筋と対向する位置にあと施工アンカーを設け、このあと施工アンカーの突出部を上記軸方向筋の近傍に位置させるとともに、このあと施工アンカーの突出部及び上記軸方向筋の上端を上記グラウト材に埋設した請求項1〜5のいずれか1に記載の鋼材柱の補強構造。
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