JP2015205985A - ゴム組成物およびタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性(帯電抑制)を改善することができるゴム組成物を提供すること。【解決手段】ゴム成分と、特定の陽イオン構造および特定の陰イオン構造を有するホスホニウム塩と、を含有することを特徴とする、ゴム組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム組成物およびタイヤに関する。
近年、低燃費タイヤの開発が盛んである。タイヤの低燃費性能を向上させるために、タイヤの転動抵抗を低減することが有効であることが知られている。
タイヤの転動抵抗は、特に、タイヤのトレッド部を構成するゴム組成物の60℃における損失正接(tanδ)との相関が大きく、この値を小さくすることによって、車の低燃費性能を向上させることが可能である。
そして、60℃におけるtanδを小さくする技術の一つとして、ゴム組成物に補強剤としてシリカを配合する手法が挙げられる。近年は、シリカの配合量が多いゴム組成物を用いたゴム(ハイシリカゴム)の使用が多くなってきた。
ハイシリカゴムでは、ゴム表面が帯電しやすい状態となる。
ハイシリカゴムでは、ゴム表面が帯電しやすい状態となる。
ゴムの帯電防止を図る技術として、例えば、特許文献1では、スチレンブタジエンゴムを少なくとも50質量%含有するゴム成分100質量部に対し、イオン液体10〜30質量部と、シリカ5〜95質量部とを配合してなるゴム組成物が開示されている。
また、ゴム組成物には、加硫ゴムとした際の破断時伸び(Eb)および破断強度(Tb)などの物性も要求される。
しかし、本発明者らが、検討したところ、イミダゾリウム系イオン液体などの塩を配合したゴム組成物を用いた場合、時間の経過とともに、加硫ゴムからの塩の滲みだし(ブリードアウトともいう)が起こる場合があることを見出した。
そこで、本発明は、加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性(帯電抑制)を改善することができるゴム組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、高い物性を備えながら、長期にわたって塩のブリードアウトが抑制され、良好な帯電性(帯電抑制)を有するタイヤを提供することを目的とする。
また、本発明は、高い物性を備えながら、長期にわたって塩のブリードアウトが抑制され、良好な帯電性(帯電抑制)を有するタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分と、下記式(1)の陽イオン構造および下記式(2)の陰イオン構造を有する、ホスホニウム塩と、を含有することを特徴とする。
R1R2R3R4P+ 式(1)
X− 式(2)
式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基であり;式(2)中、X−は、Br−、Cl−、I−、(CnH2n+1O)2PO2 −、(C6H5)4B−、(CnH2n+1)2PSS−および(CnH2n+1O)2PSS−からなる群より選択され、nは、1〜10の整数である。
本発明のゴム組成物によれば、加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性を改善することができる。
R1R2R3R4P+ 式(1)
X− 式(2)
式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基であり;式(2)中、X−は、Br−、Cl−、I−、(CnH2n+1O)2PO2 −、(C6H5)4B−、(CnH2n+1)2PSS−および(CnH2n+1O)2PSS−からなる群より選択され、nは、1〜10の整数である。
本発明のゴム組成物によれば、加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性を改善することができる。
本発明において、−PSS−構造は、ジチオリン−(P(=S)S)−構造を意味する。
本発明に係るゴム組成物は、さらに、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜95質量部含有することが好ましい。これにより、ゴム組成物の加工性、ならびに、ゴム組成物を用いたタイヤの転動抵抗および耐摩耗性を向上させることができる。
本発明に係るゴム組成物は、さらに、前記シリカの含有量100質量部に対して、シランカップリング剤を5〜20質量部含有することが好ましい。これにより、シリカとゴム成分との間の十分な結合力を得ることができる。
本発明に係るゴム組成物は、前記X−が、(CnH2n+1O)2PSS−(nは、1〜10の整数である)であることが好ましい。これにより、耐ブリードアウト性がより高まり、長期にわたって優れた加硫ゴムの帯電性(帯電抑制)を得ることができる。
本発明に係るゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に対して、前記ホスホニウム塩を0.1質量部以上含有することが好ましい。これにより、加硫ゴムの帯電性を改善する十分な効果を得やすい。
本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする。
この構成によれば、タイヤが高い物性を備えながら、良好な帯電性を有する。
この構成によれば、タイヤが高い物性を備えながら、良好な帯電性を有する。
本発明によれば、加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性(帯電抑制)を改善することができるゴム組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、高い物性を備えながら、長期にわたって塩のブリードアウトが抑制され、良好な帯電性(帯電抑制)を有するタイヤを提供することができる。
また、本発明によれば、高い物性を備えながら、長期にわたって塩のブリードアウトが抑制され、良好な帯電性(帯電抑制)を有するタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
(ゴム組成物)
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分と、下記式(1)の陽イオン構造および下記式(2)の陰イオン構造を有する、ホスホニウム塩と、を含有することを特徴とする。
R1R2R3R4P+ 式(1)
X− 式(2)
式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基であり;式(2)中、X−は、Br−、Cl−、I−、(CnH2n+1O)2PO2 −、(C6H5)4B−、(CnH2n+1)2PSS−および(CnH2n+1O)2PSS−からなる群より選択され、nは、1〜10の整数である。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分と、下記式(1)の陽イオン構造および下記式(2)の陰イオン構造を有する、ホスホニウム塩と、を含有することを特徴とする。
R1R2R3R4P+ 式(1)
X− 式(2)
式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基であり;式(2)中、X−は、Br−、Cl−、I−、(CnH2n+1O)2PO2 −、(C6H5)4B−、(CnH2n+1)2PSS−および(CnH2n+1O)2PSS−からなる群より選択され、nは、1〜10の整数である。
以下、本発明に係るゴム組成物の各成分について順に例示説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
<ゴム成分>
ゴム成分としては、特に限定されず、従来公知のタイヤ用ゴム組成物に用いられているゴム成分を用いることができる。
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム;スチレンブタジエンゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム(合成イソプレン);ブチルゴム;クロロブチル、ブロモブチルなどのハロゲン化ブチルゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ゴム成分は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム成分としては、特に限定されず、従来公知のタイヤ用ゴム組成物に用いられているゴム成分を用いることができる。
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム;スチレンブタジエンゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム(合成イソプレン);ブチルゴム;クロロブチル、ブロモブチルなどのハロゲン化ブチルゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ゴム成分は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<ホスホニウム塩>
本発明におけるホスホニウム塩は、加硫ゴムの帯電を抑制する働きを有する。
本発明におけるホスホニウム塩は、下記式(1)の陽イオン構造および下記式(2)の陰イオン構造を有する。
R1R2R3R4P+ 式(1)
X− 式(2)
式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基であり;式(2)中、X−は、Br−、Cl−、I−、(CnH2n+1O)2PO2 −、(C6H5)4B−、(CnH2n+1)2PSS−および(CnH2n+1O)2PSS−からなる群より選択され、nは、1〜10の整数である。
本発明におけるホスホニウム塩は、加硫ゴムの帯電を抑制する働きを有する。
本発明におけるホスホニウム塩は、下記式(1)の陽イオン構造および下記式(2)の陰イオン構造を有する。
R1R2R3R4P+ 式(1)
X− 式(2)
式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基であり;式(2)中、X−は、Br−、Cl−、I−、(CnH2n+1O)2PO2 −、(C6H5)4B−、(CnH2n+1)2PSS−および(CnH2n+1O)2PSS−からなる群より選択され、nは、1〜10の整数である。
前記式(1)におけるP(リン原子)に結合したR1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基である。前記1価の炭化水素基の炭素原子数としては、特に限定されないが、例えば、1〜10個が好ましく、1〜9個がより好ましく、1〜5個がさらに好ましい。
前記1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、C5H11−、C6H13−、C7H15−、C8H17−、C9H19−などの直鎖または分岐の1価の鎖式炭化水素基;シクロヘキシル基などの1価の脂環式炭化水素基;フェニル基(C6H5−)、ナフチル基(C10H7−)などの1価の芳香族炭化水素基が挙げられるが、これらに限定されない。
また、前記1価の炭化水素基として、例えば、CH2=CHCH2−などの不飽和の鎖式炭化水素基;シクロヘキセニル基などの不飽和の脂環式炭化水素基も挙げることができるが、これらに限定されない。
前記1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、C5H11−、C6H13−、C7H15−、C8H17−、C9H19−などの直鎖または分岐の1価の鎖式炭化水素基;シクロヘキシル基などの1価の脂環式炭化水素基;フェニル基(C6H5−)、ナフチル基(C10H7−)などの1価の芳香族炭化水素基が挙げられるが、これらに限定されない。
また、前記1価の炭化水素基として、例えば、CH2=CHCH2−などの不飽和の鎖式炭化水素基;シクロヘキセニル基などの不飽和の脂環式炭化水素基も挙げることができるが、これらに限定されない。
前記式(1)におけるR1、R2、R3およびR4は、炭素原子数の少ない炭化水素基であることが好ましい。これにより、ホスホニウム塩が液体となり、ゴム組成物への配合などの取扱いが容易となる。
前記式(2)において、X−は、Br−、Cl−、I−、(CnH2n+1O)2PO2 −、(C6H5)4B−、(CnH2n+1)2PSS−および(CnH2n+1O)2PSS−からなる群より選択され、nは、1〜10の整数である。
前記X−のうち、(CnH2n+1O)2PO2 −、としては、例えば、(CH3O)2PO2 −(n=1の場合)、(C2H5O)2PO2 −(n=2の場合)、(C3H7O)2PO2 −(n=3の場合)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記X−のうち、(CnH2n+1)2PSS−としては、例えば、(CH3)2PSS−(n=1の場合)、(C2H5)2PSS−(n=2の場合)、(C3H7)2PSS−(n=3の場合)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記X−のうち、(CnH2n+1O)2PSS−としては、例えば、(CH3O)2PSS−(n=1の場合)、(C2H5O)2PSS−(n=2の場合)、(C3H7O)2PSS−(n=3の場合)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記X−のうち、(CnH2n+1O)2PO2 −、としては、例えば、(CH3O)2PO2 −(n=1の場合)、(C2H5O)2PO2 −(n=2の場合)、(C3H7O)2PO2 −(n=3の場合)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記X−のうち、(CnH2n+1)2PSS−としては、例えば、(CH3)2PSS−(n=1の場合)、(C2H5)2PSS−(n=2の場合)、(C3H7)2PSS−(n=3の場合)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記X−のうち、(CnH2n+1O)2PSS−としては、例えば、(CH3O)2PSS−(n=1の場合)、(C2H5O)2PSS−(n=2の場合)、(C3H7O)2PSS−(n=3の場合)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記式(2)におけるX−は、(CnH2n+1)2PSS−および(CnH2n+1O)2PSS−(nは、1〜10の整数である)からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、(CnH2n+1O)2PSS−であることがより好ましい。
前記式(2)におけるX−は、(CH3)2PSS−、(C2H5)2PSS−、(C3H7)2PSS−、(C4H9)2PSS−、(CH3O)2PSS−、(C2H5O)2PSS−および(C3H7O)2PSS−からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、(C2H5O)2PSS−であることがより好ましい。
X−が−PSS−構造を有することにより、耐ブリードアウト性がより高まり、長期にわたって優れた加硫ゴムの帯電性(帯電抑制)を得ることができる。また、ゴム組成物の加硫が促進される効果も得ることができる。
前記式(2)におけるX−は、(CH3)2PSS−、(C2H5)2PSS−、(C3H7)2PSS−、(C4H9)2PSS−、(CH3O)2PSS−、(C2H5O)2PSS−および(C3H7O)2PSS−からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、(C2H5O)2PSS−であることがより好ましい。
X−が−PSS−構造を有することにより、耐ブリードアウト性がより高まり、長期にわたって優れた加硫ゴムの帯電性(帯電抑制)を得ることができる。また、ゴム組成物の加硫が促進される効果も得ることができる。
前記ホスホニウム塩は、上記式(1)の陽イオン構造および式(2)の陰イオン構造を有するホスホニウム塩の中から1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ホスホニウム塩の含有量は、特に限定されず、前記ホスホニウム塩の種類、所望の性能、ゴム組成物の配合組成などに応じて適宜選択すればよい。
本発明に係るゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に対して、前記ホスホニウム塩を0.1質量部以上含有することが好ましい。これにより、帯電抑制の十分な効果が得られやすい。
また、本発明に係るゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に対して、前記ホスホニウム塩を0.16〜11質量部含有することが好ましく、0.55〜2質量部含有することがさらに好ましい。前記ホスホニウム塩の含有量を前記ゴム成分100質量部に対して、11質量部以下とすることにより、良好なゴムの粘弾性を維持することができる。
本発明に係るゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に対して、前記ホスホニウム塩を0.1質量部以上含有することが好ましい。これにより、帯電抑制の十分な効果が得られやすい。
また、本発明に係るゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に対して、前記ホスホニウム塩を0.16〜11質量部含有することが好ましく、0.55〜2質量部含有することがさらに好ましい。前記ホスホニウム塩の含有量を前記ゴム成分100質量部に対して、11質量部以下とすることにより、良好なゴムの粘弾性を維持することができる。
本発明に係るゴム組成物は、上記ゴム成分およびホスホニウム塩に加えて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜、ゴム組成物の添加剤として従来公知の、シリカ、カーボンブラックなどの充填剤;シランカップリング剤;オイル;ステアリン酸;タッキファイヤー(粘着付与剤);加硫剤;加硫促進剤;老化防止剤;スコーチ防止剤;上記ホスホニウム塩以外のイオン液体、イオン性固体などの塩;などの成分を添加してもよい。
以下、任意成分であるシリカ、シランカップリング剤について例示説明する。
以下、任意成分であるシリカ、シランカップリング剤について例示説明する。
<シリカ>
本発明において、シリカは、加硫ゴムに補強性を付与する働きを有する。
シリカとしては、特に限定されず、従来公知のシリカを用いることができる。シリカは、例えば、湿式シリカと乾式シリカから選択される1種または2種以上を用いることができる。
シリカの窒素吸着表面積(N2SA)は、特に限定されないが、例えば、100〜300m2/g、好ましくは、150〜250m2/gとすることができる。
本発明において、シリカは、加硫ゴムに補強性を付与する働きを有する。
シリカとしては、特に限定されず、従来公知のシリカを用いることができる。シリカは、例えば、湿式シリカと乾式シリカから選択される1種または2種以上を用いることができる。
シリカの窒素吸着表面積(N2SA)は、特に限定されないが、例えば、100〜300m2/g、好ましくは、150〜250m2/gとすることができる。
シリカとして、市販品を用いてもよく、例えば、日本シリカ工業株式会社製の「ニップシールVN3 AQ」、デグサ社製の「ULTRASIL VN3」、「BV3370GR」、ローヌ・プーラン社製の「RP1165MP」、「Zeosil 65GR」、「Zeosil 175VP」、PPG社製の「Hisil 233」、「Hisil 210」、「Hisil 250」など(いずれも商品名)が挙げられるが、これらに限定されない。
シリカの含有量は特に限定されず、適宜、調節すればよい。
シリカを用いる場合、本発明に係るゴム組成物は、さらに、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜95質量部含有することが好ましい。シリカの含有量を5質量部以上とすることにより、タイヤのヒステリシスロスを低減し、タイヤの転動抵抗を小さくする十分な効果を得ることができる。シリカの含有量を95質量部以下とすることにより、ゴム組成物の十分な加工性と、加硫ゴムの十分な耐摩耗性を確保しやすい。
シリカを用いる場合、本発明に係るゴム組成物は、さらに、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜95質量部含有することが好ましい。シリカの含有量を5質量部以上とすることにより、タイヤのヒステリシスロスを低減し、タイヤの転動抵抗を小さくする十分な効果を得ることができる。シリカの含有量を95質量部以下とすることにより、ゴム組成物の十分な加工性と、加硫ゴムの十分な耐摩耗性を確保しやすい。
<シランカップリング剤>
本発明に係るゴム組成物がシリカを含有する場合、さらに、シランカップリング剤を用いることが好ましい。本発明において、シランカップリング剤は、ゴム中へのシリカの分散性を高め、シリカの補強性を効果的に発現させる働きを有する。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、特開2012−092179号公報に記載のシランカップリング剤など、従来公知のシランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係るゴム組成物がシリカを含有する場合、さらに、シランカップリング剤を用いることが好ましい。本発明において、シランカップリング剤は、ゴム中へのシリカの分散性を高め、シリカの補強性を効果的に発現させる働きを有する。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、特開2012−092179号公報に記載のシランカップリング剤など、従来公知のシランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シランカップリング剤の含有量は、特に限定されず、シリカの配合量、所望の性能などに応じて適宜調節すればよい。
シランカップリング剤を用いる場合、本発明に係るゴム組成物は、さらに、前記シリカの含有量100質量部に対して、シランカップリング剤を5〜20質量部含有することが好ましい。シランカップリング剤の含有量を5質量部以上とすることにより、シランカップリング剤の十分な効果を得ることができる。シランカップリング剤の含有量を20質量部以下とすることにより、ゴム成分のゲル化を抑制しやすい。
シランカップリング剤を用いる場合、本発明に係るゴム組成物は、さらに、前記シリカの含有量100質量部に対して、シランカップリング剤を5〜20質量部含有することが好ましい。シランカップリング剤の含有量を5質量部以上とすることにより、シランカップリング剤の十分な効果を得ることができる。シランカップリング剤の含有量を20質量部以下とすることにより、ゴム成分のゲル化を抑制しやすい。
本発明に係るゴム組成物は、ロールなどの開放式混練機、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機などの混練機を用いて前述の各成分を混練することによって調製することができる。
<ゴム組成物の用途>
本発明に係るゴム組成物は、加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性を改善することができるため、トレッド、カーカス、サイドウォール、ビードなどのタイヤ部材に用いることができ、特にトレッドゴムとしてトレッドに好適に用いることができる。
本発明に係るゴム組成物は、加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性を改善することができるため、トレッド、カーカス、サイドウォール、ビードなどのタイヤ部材に用いることができ、特にトレッドゴムとしてトレッドに好適に用いることができる。
(タイヤ)
本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする。これにより、タイヤが高い物性を備えながら、長期にわたって塩のブリードアウトが抑制され、良好な帯電性を有する。
上記ゴム組成物を用いる部材は特に限定されず、トレッド、カーカス、サイドウォール、ビードなどのタイヤ部材から適宜選択することができる。
上記ゴム組成物によれば、加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性を改善することができるため、本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物をトレッド部に用いたものであることが好ましい。
本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする。これにより、タイヤが高い物性を備えながら、長期にわたって塩のブリードアウトが抑制され、良好な帯電性を有する。
上記ゴム組成物を用いる部材は特に限定されず、トレッド、カーカス、サイドウォール、ビードなどのタイヤ部材から適宜選択することができる。
上記ゴム組成物によれば、加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性を改善することができるため、本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物をトレッド部に用いたものであることが好ましい。
図1は、本発明に係るタイヤの一実施形態を示す空気入りタイヤの断面図である。この空気入りタイヤの一例では、1対のビード部1およびこのビード部1の半径方向外側にそれぞれ連なる1対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2間に跨がるトレッド部3とからなる。そして、ビード部1のビードコア4間にはトロイド状に延びるカーカスプライからなるカーカス5が配置され、このカーカス5のトレッド部3の半径方向外側に3枚のベルト層を有するベルト6が配置されることによって、タイヤの骨格を形成している。本発明に係るタイヤの好適な実施形態では、上記ゴム組成物をトレッド部3に用いている。
本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物を少なくとも一部に使用し、常法に従い加硫することにより製造することができる。加硫温度は、例えば、100〜190℃とすることができる。加硫時間は、例えば、5〜80分とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1〜8および比較例1)
表1に示す配合組成に、表2に示すように、ホスホニウム塩(日本化学工業株式会社製のテトラブチルホスホニウム・ホスホロジチオ酸O,O−ジエチル(Tetrabutylphosphonium o,o-diethylphosphorodithioate (Technical Grade))、式(1)において、R1〜R4がn−ブチル、式(2)において、X−が(C2H5O)2PSS−、以下、PS1と略記)を配合してバンバリーミキサーを使用して混練することにより、各ゴム組成物を調製した。なお、塩を配合せずに調製したゴム組成物を比較例1とした。
表1に示す配合組成に、表2に示すように、ホスホニウム塩(日本化学工業株式会社製のテトラブチルホスホニウム・ホスホロジチオ酸O,O−ジエチル(Tetrabutylphosphonium o,o-diethylphosphorodithioate (Technical Grade))、式(1)において、R1〜R4がn−ブチル、式(2)において、X−が(C2H5O)2PSS−、以下、PS1と略記)を配合してバンバリーミキサーを使用して混練することにより、各ゴム組成物を調製した。なお、塩を配合せずに調製したゴム組成物を比較例1とした。
表1中の*1〜*8の各成分の詳細は以下のとおりである。
*1 S−SBR(ゴム成分):スチレンブタジエンゴム、JSR株式会社製の商品名#1500(乳化重合非油展SBR)
*2 シリカ:日本シリカ工業株式会社製の商品名Nipsil AQ
*3 シランカップリング剤:デグッサ社製の商品名Si69
*4 オイル(プロセスオイル):三共油化工業株式会社製の商品名A/Oミックス
*5 老化防止剤A:大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
*6 老化防止剤B:大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクラックDP(N,N’−1,4−フェニレンビスアニリン)
*7 加硫促進剤A:大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクセラーDM(ビス(2−ベンゾチアゾリル)ペルスルフィド)
*8 加硫促進剤B:大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクセラーNS(N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)
*1 S−SBR(ゴム成分):スチレンブタジエンゴム、JSR株式会社製の商品名#1500(乳化重合非油展SBR)
*2 シリカ:日本シリカ工業株式会社製の商品名Nipsil AQ
*3 シランカップリング剤:デグッサ社製の商品名Si69
*4 オイル(プロセスオイル):三共油化工業株式会社製の商品名A/Oミックス
*5 老化防止剤A:大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
*6 老化防止剤B:大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクラックDP(N,N’−1,4−フェニレンビスアニリン)
*7 加硫促進剤A:大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクセラーDM(ビス(2−ベンゾチアゾリル)ペルスルフィド)
*8 加硫促進剤B:大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクセラーNS(N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)
実施例1〜8および比較例1の各ゴム組成物を用いて、以下に示すように、体積抵抗率、破断時伸び(Eb)、破断強度(Tb)および耐ブリードアウト性を評価した。その結果を表2に合わせて示す。破断時伸び(Eb)および破断強度(Tb)は、比較例1の値を100として指数値で示す。
(体積抵抗率)
長さ100mm、幅20mm、厚さ5mmのシートを作製した。次いで、そのシートについて、アドバンテスト社製の絶縁抵抗測定箱と超絶縁抵抗計とを用いて、測定電圧500Vで体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。体積抵抗率が小さいほど導電性が良いため、静電気が発生しにくいことを示す。
長さ100mm、幅20mm、厚さ5mmのシートを作製した。次いで、そのシートについて、アドバンテスト社製の絶縁抵抗測定箱と超絶縁抵抗計とを用いて、測定電圧500Vで体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。体積抵抗率が小さいほど導電性が良いため、静電気が発生しにくいことを示す。
(25℃の破断時伸びおよび破断強度)
JIS K6301に準拠して評価した。破断時伸び(Eb)および破断強度(Tb)の指数値が大きい程、力学的特性に優れることを示す。
JIS K6301に準拠して評価した。破断時伸び(Eb)および破断強度(Tb)の指数値が大きい程、力学的特性に優れることを示す。
(耐ブリードアウト性)
長さ100mm、幅20mm、厚さ5mmのシートを作製した。次いで、そのシートの表面状態を観察し、ブリードアウトの状態を目視により以下の評価基準で評価した。
◎:ブリードアウトなし
○:わずかにブリードアウトあり
×:ブリードアウトあり
長さ100mm、幅20mm、厚さ5mmのシートを作製した。次いで、そのシートの表面状態を観察し、ブリードアウトの状態を目視により以下の評価基準で評価した。
◎:ブリードアウトなし
○:わずかにブリードアウトあり
×:ブリードアウトあり
(実施例3,6,8〜14および比較例2〜10)
実施例3において、塩の種類および含有量を以下の表3〜5に示すように変更したこと以外は、実施例3と同様に各ゴム組成物を用いて、以下に示すように、体積抵抗率、破断時伸び(Eb)、破断強度(Tb)および耐ブリードアウト性を評価した。その結果を表3〜5に合わせて示す。
表3〜5中の*9〜*13の塩(*11以外はすべて日本化学工業株式会社製)の詳細は以下のとおりである。
*10 メチルトリブチルホスホニウム・ジメチルホスファート(Methyltributylphosphonium Dimethylphosphate)
*11 NaCl(株式会社日本海水製の商品名TF−50)
*12 1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(1-Butyl-3-methylimidazolium chloride)
*13 テトラブチルホスホニウム・ヘキサフルオロホスファート(Tetrabutylphosphonium Hexafluorophosphate)
実施例3において、塩の種類および含有量を以下の表3〜5に示すように変更したこと以外は、実施例3と同様に各ゴム組成物を用いて、以下に示すように、体積抵抗率、破断時伸び(Eb)、破断強度(Tb)および耐ブリードアウト性を評価した。その結果を表3〜5に合わせて示す。
表3〜5中の*9〜*13の塩(*11以外はすべて日本化学工業株式会社製)の詳細は以下のとおりである。
*10 メチルトリブチルホスホニウム・ジメチルホスファート(Methyltributylphosphonium Dimethylphosphate)
*11 NaCl(株式会社日本海水製の商品名TF−50)
*12 1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(1-Butyl-3-methylimidazolium chloride)
*13 テトラブチルホスホニウム・ヘキサフルオロホスファート(Tetrabutylphosphonium Hexafluorophosphate)
(体積抵抗率)
長さ100mm、幅20mm、厚さ5mmのシートを作製した。次いで、室温で1日後、1週間後、1か月後のそれぞれのシートについて、アドバンテスト社製の絶縁抵抗測定箱と超絶縁抵抗計とを用いて、測定電圧500Vで体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。体積抵抗率が小さいほど導電性が良いため、静電気が発生しにくいことを示す。
長さ100mm、幅20mm、厚さ5mmのシートを作製した。次いで、室温で1日後、1週間後、1か月後のそれぞれのシートについて、アドバンテスト社製の絶縁抵抗測定箱と超絶縁抵抗計とを用いて、測定電圧500Vで体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。体積抵抗率が小さいほど導電性が良いため、静電気が発生しにくいことを示す。
(25℃の破断時伸びおよび破断強度)
JIS K6301に準拠して評価した。破断時伸び(Eb)および破断強度(Tb)の指数値が大きい程、力学的特性に優れることを示す。
JIS K6301に準拠して評価した。破断時伸び(Eb)および破断強度(Tb)の指数値が大きい程、力学的特性に優れることを示す。
(耐ブリードアウト性)
長さ100mm、幅20mm、厚さ5mmのシートを作製した。次いで、室温で1日後、1週間後、1か月後のそれぞれのシートの表面状態を観察し、ブリードアウトの状態を目視により以下の評価基準で評価した。
◎:ブリードアウトなし
○:わずかにブリードアウトあり
×:ブリードアウトあり
長さ100mm、幅20mm、厚さ5mmのシートを作製した。次いで、室温で1日後、1週間後、1か月後のそれぞれのシートの表面状態を観察し、ブリードアウトの状態を目視により以下の評価基準で評価した。
◎:ブリードアウトなし
○:わずかにブリードアウトあり
×:ブリードアウトあり
表2〜5より、ゴム成分と、式(1)の陽イオン構造および下記式(2)の陰イオン構造を有する、ホスホニウム塩と、を含有することにより、加硫ゴムの物性の低下を抑えながら、長期にわたって塩のブリードアウトを抑制し、加硫ゴムの帯電性(帯電抑制)を改善することができた。特に、X−が−PSS−構造を有するPS1の場合、長期にわたって優れた加硫ゴムの帯電性(帯電抑制)を得ることができた。
本発明に係るゴム組成物は、タイヤ(特に、タイヤのトレッド部)の製造において特に好適に利用可能である。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
Claims (6)
- ゴム成分と、
下記式(1)の陽イオン構造および下記式(2)の陰イオン構造を有する、ホスホニウム塩と、
を含有することを特徴とする、ゴム組成物。
R1R2R3R4P+ 式(1)
X− 式(2)
(式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基であり;式(2)中、X−は、Br−、Cl−、I−、OP(OCnH2n+1)2O、(CnH2n+1O)2PO2 −、(C6H5)4B−、(CnH2n+1)2PSS−および(CnH2n+1O)2PSS−からなる群より選択され、nは、1〜10の整数である。) - さらに、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜95質量部含有することを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
- さらに、前記シリカの含有量100質量部に対して、シランカップリング剤を5〜20質量部含有することを特徴とする、請求項2に記載のゴム組成物。
- 前記X−が、(CnH2n+1O)2PSS−(nは、1〜10の整数である)であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記ゴム成分100質量部に対して、前記ホスホニウム塩を0.1質量部以上含有することを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする、タイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014086817A JP2015205985A (ja) | 2014-04-18 | 2014-04-18 | ゴム組成物およびタイヤ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021501244A (ja) * | 2017-10-31 | 2021-01-14 | 株式会社ブリヂストン | 共晶混合物を用いるゴム加硫プロセス |
-
2014
- 2014-04-18 JP JP2014086817A patent/JP2015205985A/ja active Pending
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JP2021501244A (ja) * | 2017-10-31 | 2021-01-14 | 株式会社ブリヂストン | 共晶混合物を用いるゴム加硫プロセス |
JP7011710B2 (ja) | 2017-10-31 | 2022-01-27 | 株式会社ブリヂストン | 共晶混合物を用いるゴム加硫プロセス |
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