JP2015205671A - 衝撃吸収材の製造方法および衝撃吸収材 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空成形または圧空成形にて衝撃吸収に適した樹脂厚さ分布を得ることが可能な衝撃吸収材を提供する。【解決手段】自動車の車体部材(41)とその表面側の内外装材(42)との間に配設される衝撃吸収材であって、前記車体部材側に配置されるベース部(2)と、前記ベース部から内外装材側に向けて突出した複数の中空錐台状の突起部(3)とを備えた衝撃吸収材(1)の製造方法において、前記ベース部を成形する平坦部(12)に前記突起部を成形する凹型部(13)が凹設され、かつ、少なくとも前記凹型部の底面に排気孔(16)が穿設された成形型(11)を用い、前記成形型上に加熱軟化させた樹脂シートを導入して真空成形または圧空成形することにより、前記突起部(3)の先端に行くに従って樹脂の厚さ(d)が薄くなるようにする。【選択図】図3
Description
本発明は、自動車の乗員保護や歩行者保護に用いられる衝撃吸収材の製造方法および衝撃吸収材に関する。
自動車の内外装間には乗員保護あるいは歩行者保護の観点から様々な衝撃吸収材が介装されている。例えば、自動車の樹脂製バンパー(バンパーフェイシア)と車体フレーム(バンパービームなど)の間に歩行者の脚部保護用の衝撃吸収材が挿入され、樹脂製内装材(インストルメントパネル、ドアトリム、ルーフライニングなど)と車体パネルとの間には乗員保護用の衝撃吸収材が挿入される。
このような衝撃吸収材としては、素材の弾性変形を利用する樹脂発泡材や、素材の塑性変形を利用する樹脂成形品、あるいは、紙、軽金属、樹脂フィルムなどの複合材が用いられてきたが、衝突時のエネルギー吸収性能という点では塑性変形を利用するものが有利であり、また、取り付け部位に応じた賦形性や製造コストの点では樹脂成形品が有利である。
樹脂成形品の製造には形状自由度が高い射出成形が多用されているが、シェル構造の大型部品では金型および加熱設備を簡素化できる真空成形(圧空成形)が有利である(例えば特許文献1参照)。しかし、樹脂シートを加熱して軟化させて賦形する真空成形(圧空成形)は、衝撃吸収のための塑性変形を誘導する上で重要な厚さの管理が困難であるという問題があった。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、真空成形または圧空成形にて衝撃吸収に適した樹脂厚さ分布を得ることが可能な衝撃吸収材を提供することにある。
上記従来技術の有する課題を解決するため、本発明は、
自動車の車体部材(41)とその表面側の内外装材(42)との間に配設される衝撃吸収材であって、前記車体部材側に配置されるベース部(2)と、前記ベース部から内外装材側に向けて突出した複数の中空錐台状の突起部(3)とを備えた衝撃吸収材(1)の製造方法において、
前記ベース部を成形する平坦部(12)に前記突起部を成形する凹型部(13)が凹設され、かつ、少なくとも前記凹型部の底面に排気孔(16)が穿設された成形型(11)を用い、前記成形型上に加熱軟化させた樹脂シートを導入して真空成形または圧空成形することにより、前記突起部(3)の先端に行くに従って樹脂の厚さ(d)が薄くなるようにすることを特徴とする。
自動車の車体部材(41)とその表面側の内外装材(42)との間に配設される衝撃吸収材であって、前記車体部材側に配置されるベース部(2)と、前記ベース部から内外装材側に向けて突出した複数の中空錐台状の突起部(3)とを備えた衝撃吸収材(1)の製造方法において、
前記ベース部を成形する平坦部(12)に前記突起部を成形する凹型部(13)が凹設され、かつ、少なくとも前記凹型部の底面に排気孔(16)が穿設された成形型(11)を用い、前記成形型上に加熱軟化させた樹脂シートを導入して真空成形または圧空成形することにより、前記突起部(3)の先端に行くに従って樹脂の厚さ(d)が薄くなるようにすることを特徴とする。
本発明は、上記製造方法を採用したことにより、厚さが一様な樹脂シートを用いながら、一般的な成形とは逆の凹型を用いることで、突起部の先端に行くに従って樹脂の厚さが薄くなる衝撃吸収材を形成でき、製造工程の複雑化を回避しつつ、衝撃吸収に適した樹脂厚さ分布を得ることが可能である。
本発明において、前記衝撃吸収材が、前記突起部の頂面に小突部(6)を有するとともに前記小突部の頂面に小孔を有しており、前記成形型が、前記凹型部の底面に前記小突部に対応した小凹部が凹設され、前記小凹部に前記排気孔が穿設されており、前記成形型上に加熱軟化させた樹脂シートを導入して圧空成形する態様では、前記小孔を空気抜きに利用することで、小突部を確実に成形できる。
また、上記製造方法によってなる衝撃吸収材は、前記ベース部を成形する平坦部に前記突起部を成形する凹型部が凹設され、前記突起部の先端に行くに従って樹脂の厚さが薄くなるように形成されているので、肉厚が薄い先端部によって衝撃荷重が作用した場合の初期変形が誘導され、変形が進むにつれて吸収量が大きくなるエネルギー吸収パターンが得られる利点がある。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2に示されるように、本発明実施形態に係る衝撃吸収材1は、後述のように厚さが一様な樹脂シート(2)を圧空成形(または真空成形)してなるシェル構造をなし、平坦なベース部2と多数の突起部3から構成され、突起部3の内部は下方に貫通する中空部20となっている。
図1および図2に示されるように、本発明実施形態に係る衝撃吸収材1は、後述のように厚さが一様な樹脂シート(2)を圧空成形(または真空成形)してなるシェル構造をなし、平坦なベース部2と多数の突起部3から構成され、突起部3の内部は下方に貫通する中空部20となっている。
各突起部3は基本的に同形状であり、それぞれ頂面4を有する中空の錐台状をなしており、図示例では、横断面が角丸星形多角形状(六芒星状)をなし、6つの稜部5を有している。稜部5の数は6に限定されるものではなく、7以上または5以下でもよい。また、横断面が角丸星形多角形状である代わりに、角丸多角形状あるいは円形状であってもよく、すなわち、多角錐台状あるいは円錐台状(截頭円錐形状)であっても良い。
各突起部3の平坦な頂面4には小突部6が突設されている。図示例では頂面4の略中央1つのみ突設されているが、複数であってもよい。この小突部6は、後述する成形型の排気孔16に対応して設けられ、小突部6を貫通する小孔が穿設されていても良い。また、図示例では、各突起部3は正方格子状に配列されているが、六方格子状や斜格子状、あるいは、ランダムに配置されても良い。
衝撃吸収材1の製造に使用される樹脂シートは、特に限定されるものではなく、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など、各種の熱可塑性樹脂を利用可能であるが、衝撃吸収(塑性変形)に必要な強度と加工性(熱可塑性)からポリプロピレンが好適である。
衝撃吸収材1の製造に際しては、図3に断面図で示すような成形型11を用い、一般的な真空成形とは上下逆向きに圧空成形する。成形型11は、ベース部2を成形する平坦部12に突起部3を成形する凹型部13が凹設された凹型であり、凹型部13の底面14に排気孔16が穿設されている。排気孔16が開口する底面14の略中央には、小突起6に対応した小凹部が設けてあり、換言すれば、排気孔16の上端部は拡径されている。
樹脂シート(2)は成形前に加熱され軟化した状態で成形型11上に移載され、次いで、成形型11の上側が圧空ボックス(図示せず)によって閉じられ、圧空ボックス内に圧縮空気が吹き込まれ加圧(+P)されることで、軟化した樹脂シートが成形型11に押し付けられ凹型部13内に樹脂シートが膨出して中空の突起部3が成形される。
この際、樹脂シートは成形型11に押し付けられた時点で冷却が始まるので、突起部3の先端に行くほど樹脂シートは延伸され、その分だけ樹脂の厚さ(d)が薄くなる。最終的に樹脂シートの最も薄肉の先端が底面14に押し付けられ、排気孔16を通じて圧縮空気が排気されることで小凹部に樹脂が押し付けられ小突部6が形成される。この小突起6に対応する部分の樹脂シートに予め小孔を穿設しておき、小孔を空気抜きに利用することにより、小孔が確実に小凹部(排気孔16)に導かれ、小突起6の成形性が向上するとともに、突起部3の厚さ分布が良好になる利点がある。冷却後に離型され成形が完了する。
以上のように形成された衝撃吸収材1は、図2に示されるように、車体側の取付面41と内装材(または外装材)42との間に介装され、ベース部2が車体側の取付面41に固定される。この状態で、突起部3の頂面4の小突起6が内装材42の裏面に当接するように、突起部3の高さが事前に調整されている。上述の通り、衝撃吸収材1は、ベース部2からの高さhが高くなるほど樹脂の厚さdが小さく、突起部3の先端側ほど変形し易い特徴を有している。
このような衝撃吸収材1を介装した自動車の内装材42に不慮の事態により乗員が衝突した場合、衝撃力Fが内装材42に加わると、衝撃吸収材1は突起部3の先端側(4,6)から初期変形が誘導され、先端から基端側に変形が進むにつれて吸収量が大きくなる理想的なエネルギー吸収パターンとなる。
なお、上記実施形態では、衝撃吸収材1を圧空成形する場合について述べたが、排気孔16の下側の空洞(図示せず)を真空ポンプで減圧し、排気孔16を通じて吸引することで、衝撃吸収材1を真空成形することもできる。
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらに各種の変形および変更が可能であることを付言する。
1 衝撃吸収材
2 ベース部
3 突起部
4 頂面
5 稜部
6 小突部
11 成形型
12 平坦部
13 凹型部
16 排気孔
d 厚さ
2 ベース部
3 突起部
4 頂面
5 稜部
6 小突部
11 成形型
12 平坦部
13 凹型部
16 排気孔
d 厚さ
Claims (4)
- 自動車の車体部材とその表面側の内外装材との間に配設される衝撃吸収材であって、前記車体部材側に配置されるベース部と、前記ベース部から内外装材側に向けて突出した複数の中空錐台状の突起部とを備えた衝撃吸収材の製造方法において、
前記ベース部を成形する平坦部に前記突起部を成形する凹型部が凹設され、かつ、少なくとも前記凹型部の底面に排気孔が穿設された成形型を用い、前記成形型上に加熱軟化させた樹脂シートを導入して真空成形または圧空成形することにより、前記突起部の先端に行くに従って樹脂の厚さが薄くなるようにすることを特徴とする衝撃吸収材の製造方法。 - 前記衝撃吸収材は、前記突起部の頂面に小突部を有するとともに前記小突部の頂面に小孔を有しており、前記成形型は、前記凹型部の底面に前記小突部に対応した小凹部が凹設され、前記小凹部に前記排気孔が穿設されており、前記成形型上に加熱軟化させた樹脂シートを導入して圧空成形することを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収材の製造方法。
- 自動車の車体部材とその表面側の内外装材との間に配設される衝撃吸収材であって、前記車体部材側に配置されるベース部と、前記ベース部から内外装材側に向けて突出した複数の中空錐台状の突起部とを備えるものにおいて、
前記ベース部を成形する平坦部に前記突起部を成形する凹型部が凹設され、前記突起部の先端に行くに従って樹脂の厚さが薄くなるように形成されていることを特徴とする衝撃吸収材。 - 前記衝撃吸収材は、前記突起部の頂面に小突部を有するとともに前記小突部の頂面に小孔を有しており、前記小孔は気体排出に利用可能であることを特徴とする請求項3記載の衝撃吸収材。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014089200A JP2015205671A (ja) | 2014-04-23 | 2014-04-23 | 衝撃吸収材の製造方法および衝撃吸収材 |
CN201580001188.4A CN105358384A (zh) | 2014-04-23 | 2015-04-21 | 冲击吸收件 |
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Publications (1)
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2014
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