JP2015204813A - 微生物の16SrRNA遺伝子定量用内部標準遺伝子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定な配列の塩基配列からなる核酸において大文字で示されたその部分配列を少なくとも1つ含む部分配列であって、その両端に、大文字で示された部分配列に隣接する小文字で示された部分配列の、大文字で示された部分配列から連続する少なくとも15以上の塩基配列からなる部分を含むことを特徴とする部分配列からなる核酸、若しくはその相補配列からなる核酸であって、かつ標準核酸試料として用いるための核酸。
【選択図】図1
Description
また、マイクロアレイを用いても、PCR増幅後の特定の16S rRNA遺伝子配列を持つ微生物の存在量を把握することができる。
また、PCRによる増幅は、増幅される配列や増幅に至る手順などにより、増幅度が一定でない可能性もあるため、上記相対的な定量結果についても、その測定精度を管理することが必要であるが、その管理方法については未整備な状態であり、測定の信頼性確保のための精度管理技術が必要とされている。
本発明は、次世代シークエンサーやマイクロアレイにより得られた相対的な定量データから元の試料における絶対定量のデータを得ることを可能とし、また、次世代シークエンサーやマイクロアレイにより得られたPCR後の相対的な存在比率が、元の試料における個々の微生物群の存在比率を正確に反映するものであるかどうかを検証することを可能とする手段を提供することを課題とする。
試料中の核酸配列の濃度を知るために、濃度の決まっている標準核酸配列を試料に添加する手法はすでに知られており、例えば特許文献1のような自然界に存在しない非天然の核酸標準物質などが開発されている。しかし、特許文献1の核酸標準物質はその全てが非天然の塩基配列で構成されているため、環境中の微生物の解析に用いられるようなユニバーサルプライマーでは増幅することができない。
また、従来の微生物の16S rRNA遺伝子定量用の標準遺伝子としては、特定の微生物の16S rRNA遺伝子を利用した配列が定量PCRなどの外部標準として用いられていた。しかしながら、外部標準は、定量する遺伝子種に応じてそれぞれ用意する必要がある。また、競合PCR法などにおいては特定の微生物の16S rRNA遺伝子の内部配列を人為的に修正した配列が用いられていた。
これに対し、本発明の内部標準遺伝子は、既知の微生物のほとんど全ての16S rRNA遺伝子配列を増幅することができるユニバーサルプライマーで増幅され、かつ既知の微生物のどれとも相同性の低い配列を有するように設計されている。すなわち、本発明の内部標準遺伝子配列は、微生物検出・定量用の汎用的なPCRプライマーで増幅することが可能であり、かつ現存する微生物の16S rRNA遺伝子配列とは異なる人工的な遺伝子配列で構成されている。
配列1〜13は、微生物の16S rRNA遺伝子配列に基づいて設計されたものであり、配列中の小文字で表した部分は、各微生物においてよく保存されている塩基配列である。16S rRNA遺伝子配列のPCRによる増幅に用いるユニバーサルプライマーは通常これらの部分の配列に基づいて設計される。配列1〜13においては、これらの部分はそのままとし、それ以外の大文字で表された部分を現存する微生物の16S rRNA遺伝子配列とは異なる人工的な配列としている。
本発明の内部標準遺伝子は、配列番号1〜13の塩基配列において大文字で示されたその部分配列を少なくとも1つ含む部分配列であって、その両端に、大文字で示された部分配列に隣接する小文字で示された部分配列の、大文字で示された部分配列から連続する少なくとも15以上の塩基配列からなる部分を含む配列からなるものであり、これにより、小文字の部分に対応するユニバーサルプライマーにより、試料中の各微生物の16S rRNA遺伝子配列と同様にPCRによる増幅が可能であり、かつ、次世代シークエンサーやマイクロアレイによる定量に際し、大文字の部分の相違により各微生物の16S rRNA遺伝子配列と識別することができる。
例えば、このような内部標準核酸配列を複数種用意し、これらを所定の異なる量、対象試料に加えてPCR増幅し、シークエンサーの解析により、それぞれのカウント数を検出し、これと最初に対象試料に加えたそれぞれの内部標準核酸配列の量とから作成した検量線を用いることにより、対象試料に含まれる特定の微生物群由来の配列のPCR増幅後のカウント数から、元の試料に含まれる当該配列の量を知ることができる。
また、PCR増幅とシークエンサーによる解析により、当該検量線が直線とならないなどの結果が生じた場合は、当該PCR増幅に至る手順等に何らかの不都合があることが明らかとなる。したがって、本発明の内部標準核酸配列を用いることにより、次世代シークエンサーによる定量測定の信頼性確保のための精度管理に必要な情報を得ることができる。
このように、微生物の16S rRNA遺伝子を次世代シークエンサーやマイクロアレイにより定量する際に、本発明の内部標準遺伝子配列を試料に添加して用いることによって、環境中の微生物相を絶対定量することができ、また、複数種類の内部標準遺伝子をあらかじめ決められた存在比で混合した核酸標準物質カクテルを試料に添加し、想定される存在比とシークエンサーやマイクロアレイでの測定結果の定量性を比較することで、次世代シークエンサーやマイクロアレイなどのデータの品質管理を実現することができる。
〈1〉下記の配列1〜13のいずれかに示される塩基配列からなる核酸、又は下記の配列1〜13のいずれかに示される塩基配列において大文字で示されたその部分配列を少なくとも1つ含む部分配列であって、その両端に、大文字で示された部分配列に隣接する小文字で示された部分配列の、大文字で示された部分配列から連続する少なくとも15以上の塩基配列からなる部分を含むことを特徴とする部分配列からなる核酸、若しくはその相補配列からなる核酸であって、かつ標準核酸試料として用いるための核酸。
(配列1)
(配列2)
(配列3)
(配列4)
(配列5)
(配列6)
(配列7)
(配列8)
(配列9)
(配列10)
(配列11)
(配列12)
(配列13)
〈3〉〈2〉に記載の核酸が組み込まれたベクターが導入された形質転換微生物。
〈4〉〈1〉に記載の核酸を核酸標準物質として含有する標準核酸試料。
〈5〉〈1〉に記載の配列1〜13のいずれかに示される塩基配列において大文字で示されたその部分配列の任意の位置の少なくとも15塩基連続した部分配列又はその相補配列を含む1本鎖核酸からなる、核酸標準物質検出用のプローブ。
〈6〉〈1〉に記載の配列1〜13のいずれかに示される塩基配列において小文字で示されたその部分配列の任意の位置の少なくとも15塩基連続した部分配列又はその相補配列を含む1本鎖核酸からなる、16S rRNA遺伝子の部分配列の増幅用のプライマー。
〈7〉試料中に含まれる微生物の16S rRNA遺伝子をユニバーサルプライマーを用いてPCR増幅し、網羅的に定量する方法であって、
当該試料に〈1〉に記載の核酸であって、当該ユニバーサルプライマーにより増幅される核酸を一定量加えてPCR増幅し、増幅後の当該核酸および試料中に含まれる各微生物に由来する16S rRNA遺伝子を定量し、
増幅後の当該核酸の定量結果と増幅前に試料に加えた当該核酸の量の比率に基づき、増幅後の試料中に含まれる各微生物に由来する16S rRNA遺伝子の定量結果から、増幅前の試料に含まれる各微生物に由来する16S rRNA遺伝子の量を算出することを含む、方法。
〈8〉増幅後の〈1〉に記載の核酸および試料中に含まれる各微生物に由来する16S rRNA遺伝子の定量が、次世代シークエンサーまたはマイクロアレイを用いて行われる、〈7〉に記載の方法。
本発明の標準遺伝子は、既知の微生物のほとんど全ての16S rRNA遺伝子配列を増幅することができるユニバーサルプライマーで増幅され、かつその増幅産物の内部配列が既知の微生物のいずれとも相同性が低い人工配列になっている。
本発明の標準遺伝子を、正確に濃度を決めた、微生物定量用内部標準遺伝子として用いることで、次世代シークエンサーやマイクロアレイなどの方法で得られた相対的な定量データを絶対定量のデータへと変換することが可能となる。また、複数種類の本発明の標準遺伝子をあらかじめ決められた存在比で混合した核酸標準物質カクテルを試料に添加し、想定される存在比とシークエンサーでの測定結果の定量性を比較することで、次世代シークエンサーやマイクロアレイなどのデータの品質管理に利用することも可能である。
このような次世代シークエンサーやマイクロアレイなどを利用した微生物の網羅的解析に利用可能な微生物の16S rRNA遺伝子定量用の内部標準遺伝子配列はこれまで存在しなかった。
採取した土壌0.47gに対して合計5.0×108コピー(土壌1g当たり約10.6×108コピー)の標準溶液を直接添加した後に、FastDNA spin kit for soil(MP Biomedicals)を用いてDNAを抽出した。抽出DNAを鋳型としてバクテリアおよびアーキアの16S rRNA遺伝子のV4領域を対象としたユニバーサルプライマーセット(U519-U802)を用いてPCRを行い、次世代シークエンサー(Roche GS FLX)を用いて超並列シークエンシングを行った。得られた塩基配列データはQIIMEを利用して解析を行った。
塩基配列データから得られた16S rRNA遺伝子定量用標準遺伝子配列のリード数と当該標準遺伝子のDNA抽出前に添加したコピー数から標準曲線を作成した(図1)。図1に示すように、得られた標準曲線は一定勾配の直線状となり、次世代シークエンサーの塩基配列データから得られた16S rRNA遺伝子定量用標準遺伝子配列のリード数と当初試料に添加した標準遺伝子の濃度は高い相関関係があることが確認された。
次いで、次世代シークエンサーにより得られた塩基配列データに基づき、16S rRNA遺伝子定量用標準遺伝子を添加した土壌由来の微生物の16S rRNA遺伝子配列のリード数を門レベルでの系統分類群毎に算出し、当該リード数と上記標準曲線とを用いて、土壌1g当たりに含まれる微生物の門レベルでの各系統分類群の16S rRNA遺伝子コピー数を算出した(図2)。この結果、測定した試料にはProteobacteria門、Acidobacteria門、Actinobacteria門等の系統群が多く存在することがわかった。
Claims (8)
- 下記の配列1〜13のいずれかに示される塩基配列からなる核酸、又は下記の配列1〜13のいずれかに示される塩基配列において大文字で示されたその部分配列を少なくとも1つ含む部分配列であって、その両端に、大文字で示された部分配列に隣接する小文字で示された部分配列の、大文字で示された部分配列から連続する少なくとも20以上の塩基配列からなる部分を含むことを特徴とする部分配列からなる核酸、若しくはその相補配列からなる核酸であって、かつ標準核酸試料として用いるための核酸。
(配列1)
(配列2)
(配列3)
(配列4)
(配列5)
(配列6)
(配列7)
(配列8)
(配列9)
(配列10)
(配列11)
(配列12)
(配列13)
- 請求項1に記載の核酸が組み込まれたベクター。
- 請求項2に記載の核酸が組換えベクターが導入された形質転換微生物。
- 請求項1に記載の核酸を核酸標準物質として含有する標準核酸試料。
- 請求項1に記載の配列1〜13のいずれかに示される塩基配列において大文字で示されたその部分配列の任意の位置の少なくとも15塩基連続した部分配列又はその相補配列を含む1本鎖核酸からなる、核酸標準物質検出用のプローブ。
- 請求項1に記載の配列1〜13のいずれかに示される塩基配列において小文字で示されたその部分配列の任意の位置の少なくとも15塩基連続した部分配列又はその相補配列を含む1本鎖核酸からなる、16S rRNA遺伝子の部分配列の増幅用のプライマー。
- 試料中に含まれる微生物の16S rRNA遺伝子をユニバーサルプライマーを用いてPCR増幅し、網羅的に定量する方法であって、
当該試料に請求項1に記載の核酸であって、当該ユニバーサルプライマーにより増幅される核酸を一定量加えてPCR増幅し、増幅後の当該核酸および試料中に含まれる各微生物に由来する16S rRNA遺伝子を定量し、
増幅後の当該核酸の定量結果と増幅前に試料に加えた当該核酸の量の比率に基づき、増幅後の試料中に含まれる各微生物に由来する16S rRNA遺伝子の定量結果から、増幅前の試料に含まれる各微生物に由来する16S rRNA遺伝子の量を算出することを含む、方法。 - 増幅後の請求項1に記載の核酸および試料中に含まれる各微生物に由来する16S rRNA遺伝子の定量が、次世代シークエンサーまたはマイクロアレイを用いて行われる、請求項7に記載の方法。
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