JP2015203503A - 蒸散板ユニット - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2では、ショーケース内に設置されるドレン水蒸発装置は、図3から良くわかるように、送風機、冷媒管路、上下の蒸発皿、蒸発促進板をフレーム状に組み上げた装置部材として構成されている。
これでは、定期清掃による性能回復効果が低減されるだけでなく、蒸散板としての寿命の低下に繋がるという問題があった。
本発明の蒸散板ユニットにおいては、可撓性および吸水蒸散性を有する複数のシート材(蒸散板)を間隔を置いて対向配置するとともに、これらシート材が保持部材で係止されている。
上記シート材のそれぞれは、端縁から内方へ延在する「シート材切込み」を備える。一方、上記保持部材は、間隔を置いて並ぶ複数の「保持部材切込み」を備える。そして、「シート材切込み」と「保持部材切込み」を互いに差し込んで、摩擦係合によりシート材と保持部材を連結している。
このような構成を採用した場合には、「開口」と「凸部」が係合することで、シート材と保持部材の摩擦係合による連結を補強できる。
したがって、本発明の蒸散板ユニットは、手で押さえる程度の力で簡単に、全体形状を変形させることができる。このような容易な変形性を有するが故に、ユニット全体を洗濯機に放り込んで清掃することが可能になる他、手作業で清掃する場合であっても、各平板区画部22間へのアクセスが簡単なため、入り込んだゴミ等を除去するのが容易である。その結果、定期清掃による性能回復効果が向上し、蒸散板の寿命を高めることに資する。
シート20は、複数の折返部21で区画された複数の平板区画部22を備えていて、蛇行する蛇腹状に構成されている。その結果、各平板区画部22は、互いに間隔を置いて対向配置されることとなる。各平板区画部22は、細長い平板状の保持部材30を4本用いて、その4隅近傍位置において係止される。
なお、図1(b)では図示を省略しているが、以下に説明するように、平板区画部22には、切込み25および開口28が形成される。
シート材切込み25は、シートの端縁に直角方向に内方へ向かって直線的に延在している。シート材切込み25は一定幅を有するが、その幅寸法は、保持部材30の厚みとの相対関係で適宜決定すればよい。シート材切込み25の形成方向は、シート端縁に対して必ずしも直角である必要は無いが、4隅に配置される保持部材30で固定されることを考慮すれば、良好な変形性を確保するためには、直角(あるいは、ほぼ直角)が好ましい。
保持部材30は、細長い平板状の部材であって、その長手方向に沿って複数の保持部材切込み35を有する。図2中に詳しく示しているように、保持部材切込み35は一定の幅を有して形成されていて、ここに平板区画部(シート材)22が挿入される。保持部材切込み35の幅寸法は、平板区画部22に対して適度な摩擦係合力が得られるように設定する。
なお、開口28は、凸部38よりも大きめのサイズ設定とすることが好ましく、それにより、組立後におけるユニット全体に良好な変形性が与えられる。
図2に詳しく示したように、保持部材30が備える複数の切込み35の間隔は、相対的に距離の短い第1間隔(A)と、相対的に距離の長い第2間隔(B)とが交互に現れるよう設定している。これにより、次のような効果が得られる。
図3に示したように、距離の異なる間隔Aと間隔Bが繰り返し交互に現れることで、隣接する平板区画部22を互いに傾斜した状態で保持できる。その結果、保持部材30が図3中上下にスライドすることに対して抵抗力が生じる。この抵抗力によって、保持部材30と平板区画部22との摩擦係合効果を高めることができる。しかも、高さ方向(図3中上下方向)中央においては、隣接する平板区画部22同士の間隔(X)が等しくなり、これにより、平板区画部22同士の間に適度な間隔を維持できる(仮に、隣接する平板区画部22同士が接触すると、全体として蒸散表面積が低下し、蒸散効率が低下するので好ましくない)。
本発明の重要な特徴は、図4に示したように、蒸散板ユニット10が全体として容易に変形できる点にある。この容易な変形性は、上に説明した、保持部材30と各平板区画部22との連結態様によって実現されている。従来のように、接着剤を使用して固定したり、フレーム枠体として組み上げることもしていない。
このような容易な変形性を有するが故に、ユニット全体を洗濯機に放り込んで清掃することが可能になる他、手作業で清掃する場合であっても、各平板区画部22間へのアクセスが簡単なため、入り込んだゴミ等を除去するのが容易である。
別例として、すべての平板区画部22の開口28に対して凸部38が機能するように、すべての保持部材切込み35に凸部38を設けてもよい。逆に、一部の保持部材切込み35に設けた凸部38に対応させて、一部の平板区画部22にのみ開口28を形成してもよい。
また、コスト面で考えると、開口28と凸部38の係合箇所が多い程、製造時の組み立て効率が低下しコストが上がる。
ここまで、本発明の代表的な具体例を説明してきたが、種々の変更を加えることが可能であり、それらについて説明する。
図示した例では、1つのシート20を蛇腹状に折り返して、隣接する複数の平板区画部(蒸散板)22を構成していた。別例として、分離した個別のシート材(蒸散板)を複数用意して、これらを対向して隣接配置し、図示して説明したのと同じように保持部材30で係止してもよい。
図示した例では、保持部材30は、平板区画部22をその4隅近傍において保持している。しかし、保持部材30の数や配置位置は適宜変更が可能であり、例えば、保持部材30の数を3つにしたり、5つ以上設けた場合でも、ユニット全体の変形性を実現することができる。
しかし、隣接する平板区画部22間の隙間内へのアクセスの容易性、あるいはユニット全体をバラけないように保持できるといった観点から、4隅近傍に保持部材30を配置することが好ましい。ここでいう「近傍」とは、これらの観点から決まる適当な位置という意味である。
図示した例では、保持部材30は、それ自体も変形可能なように(図4参照)、例えば発泡スチロール等、可撓性のある材料で作られている。しかし、保持部材30が剛体であっても、ユニット全体としてある程度の変形性は実現できる。
また、保持部材30は、必ずしも図示したような細長い平板状でなくてもよく、隣接して対向配置された複数の平板区画部(シート材)22の全体を連結できる長さを有していれば、その具体的な形状は、自由に決めることができる。
(1)撓みの程度と手洗いでのゴミ取り効率との関係
図1(a)に示した蒸散板ユニット10を用いて、撓みの程度と手洗いでのゴミ取り効率との関係を実験で確かめた。使用した蒸散板ユニット10は、奥行き、高さおよび幅を有する大略矩形形状であって、その大略的なサイズは図5(a)の概略図に示す通りである。
図5(b)は蒸散ユニット10を真正面から見た概略図であり、ここに示すように、矢印方向の外力を加えて、ユニット全体を撓ませる。このときのユニットの最大撓み量を示す指標“A”として、次のものを定義する。
“A”={(撓んだ後の奥行き)−(撓む前の奥行き)}/(撓む前の高さ)
={(撓んだ後の奥行き)−(272mm)}/155mm
撓みの程度と手洗いでのゴミ取り効率との関係は、下表に示す通りである。表中で“A”の値が0.0〜0.98まで異なる8種類の蒸散板ユニットが存在するが、これは、上記開口28と凸部38の係合箇所の数を変更することで、可撓性の程度(最大限撓み得る量)が異なる8種類の蒸散板ユニットを用意したものである。
×、○、◎の評価は相対的なものであって、ゴミ取り作業の容易さ、あるいはゴミのとれ具合の善し悪しを示している。この結果から、“A”の値が0.2以上であることが好ましく、0.4以上であることがさらに好ましいと言える。
上の8種類の蒸散板ユニットについて、最大限撓むまで押さえ付けた状態を1分間維持し、その後、外力を解放した。その時の“A”の値はいずれも0.2以下となり、原形に近い状態に戻った。
図1(a)に示した蒸散板ユニット10について、JIS L 1096に規定されるF−1法で定められた洗濯方法に従って、10回洗濯とすすぎを行った。その結果、10回の洗濯およびすすぎの後においても、保持部材30が平板区画部(シート材)22から脱落することはなかった。
このことから、蒸散板ユニット10は、可撓性を備えるだけでなく、十分な保形性も併せ有することが確認された。
20 シート
21 折返部
22 平板区画部
25 シート材切込み
28 開口
30 保持部材
35 保持部材切込み
38 凸部
Claims (10)
- 可撓性および吸水蒸散性を有する複数のシート材(22)を間隔を置いて対向配置するとともに、これらシート材(22)を保持部材(30)で係止してなる蒸散板ユニットであって、
上記シート材(22)のそれぞれは、端縁から内方へ延在するシート材切込み(25)を備えており、
上記保持部材(30)は、間隔を置いて並ぶ複数の保持部材切込み(35)を備えており、
シート材切込み(25)と保持部材切込み(35)を互いに差し込んで、摩擦係合によりシート材(22)と保持部材(30)を連結してなる、蒸散板ユニット。
- 上記複数のシート材(22)のうちの少なくとも一部のシート材は、シート材切込み(25)の内方端から一定距離を置いた位置に開口(28)を備えており、
上記複数の保持部材切込み(35)のうちの少なくとも一部の保持部材切込みは、上記開口(28)内に突出する凸部(38)を備えており、
当該開口(28)と凸部(38)が係合して上記連結を補強している、請求項1記載の蒸散板ユニット。
- 上記シート材切込み(25)は、シート材(22)の4隅近傍位置に形成されており、
細長い4本の上記保持部材(30)をもって、シート材(22)を係止している、請求項1または2記載の蒸散板ユニット。
- 上記保持部材(30)は可撓性のある材料で構成されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の蒸散板ユニット。
- 複数の折返部(21)で区画された複数の平板区画部(22)を備えたシート(20)を、折返部(21)において蛇腹状に蛇行させ、
当該複数の平板区画部(22)を、上記複数のシート材(22)としてなる、請求項1〜4のいずれか1つに記載の蒸散板ユニット。
- 上記保持部材(30)が備える複数の保持部材切込み(35)の間隔は、相対的に距離の短い第1間隔(A)と、相対的に距離の長い第2間隔(B)とが交互に現れるよう設定されている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の蒸散板ユニット。
- 奥行き、高さおよび幅を有する大略矩形形状である、請求項2〜6のいずれか1つに記載の蒸散板ユニットであって、
外力を加えて当該ユニットを撓ませた場合における下記“A”で定義される値が、0.2以上である、蒸散板ユニット。
“A”={(撓んだ後の奥行き)−(撓む前の奥行き)}/(撓む前の高さ)
- 上記“A”の値が0.4以上である、請求項7記載の蒸散板ユニット。
- 奥行き、高さおよび幅を有する大略矩形形状である、請求項2〜6のいずれか1つに記載の蒸散板ユニットであって、
外力を加えて当該ユニットを撓ませた場合における下記“A”で定義される値に関して、当該外力を加えて最大限撓ませた状態で1分間維持し、その後、当該外力を解放した時、“A”の値が0.2以下である、蒸散板ユニット。
“A”={(撓んだ後の奥行き)−(撓む前の奥行き)}/(撓む前の高さ)
- JIS L 1096に規定されるF−1法で定められた洗濯方法に従って、10回洗濯を行った後においても、上記保持部材(30)が平板区画部(22)から脱落しない保形性を有する、請求項2〜6のいずれか1つに記載の蒸散板ユニット。
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