JP3790040B2 - 床パネルの端部納め材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、床版上に敷設する床パネルの端部処理に用いられる端部納め材に関する。
【0002】
【従来の技術】
モルタル床上や路面、庭先など屋内外の床版上に床面を形成するために用いられる床パネルは、例えば図9に示されているように、パネル面91の周側壁に継手部としての係合受部92と係合突部93とを有して形成され、これら継手部を介して隣接し合う複数枚の床パネル90を連結一体化し、分離したり隙間を生じさせたりせずに敷き詰めることができるようになっている。
このような床パネル90の端部には、床パネルの厚みに相当する段差が出来るため、歩行の支障とならないよう、傾斜したパネル面を有する端部納め材が取り付けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
床パネル及び端部納め材は合成樹脂により成形されており、周囲温度の変化によって熱伸縮し、共に寸法を変化させやすいものであるが、従来の端部納め材は上記継手部92,93を介して床パネル90の側壁に一体に連結されるため、床パネルと分離して熱伸縮することが妨げられ、床パネル90との接合部に応力を発生させ、パネル面が曲がったり凹んだりするなどの変形を来し、床面に不陸を生じさせやすいという問題があった。
また、床パネル90の端部は、係合受部92が設けられた側壁と係合突部93が設けられた側壁とで形状が異なるため、図示されている如く、それぞれの側壁形状に対応させた二種類の端部納め材94a,94bが必要であった。
さらに、上記床パネル90はパネル面の下部に設けられた凹溝(図示せず)から適宜排水できるようになっているが、従来の端部納め材は排水性を考慮して形成されておらず、パネル面下方に雨水が溜まりやすいとう問題があった。
【0004】
本発明は、上記のように、パネル面が脚体で支持されてなる床パネルの端部に取り付けられ、床パネルと一体の床面を形成する端部納め材において、床パネルとの接合部を伸縮可能に設けて熱伸縮による応力を発生し難いものとすると共に、形状の異なる側壁に共用して取り付けることができ、パネル面下方に流入した雨水を効率的に排水できるようにすることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の端部納め材は、底部に複数の脚体が突設されたパネル面の周側壁に、側壁から外方へ突出した継手部と側壁の下方へ突出した継手部が設けられ、並設した床パネル同士が前記継手部を介して連結一体化するように形成された床パネルの端部に取り付けられる端部納め材であって、パネル面の周辺の一方の側壁を前記床パネルの側壁と略同高さ、他方の側壁をそれよりも低い高さに設け、前記一方の側壁には、前記床パネルの脚体に係合する係合部を先端に有する継手片を突設するとともに前記床パネルの側壁から外方へ突出した継手部が挿通可能な大きさの切欠き凹部を設けて形成されている。
【0006】
これによれば、端部納め材が継手片を介して床パネルに取り付けられ、床パネル端面に固定されないので、周囲温度が変化すると、床パネルとは独立して伸縮し、これに伴って継手片も弾性変形し、伸縮に伴う応力の発生を防止することができる。この場合、継手片の係合部を円環状とし、これを床パネルの円柱状に形成された脚体に挿通して係合することが好ましい。
【0007】
上記端部納め材の他方の側壁及び内部には、排水用の切欠きを設けることがより好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施形態を図面を参照して説明する。
図1〜図3は本形態の床パネルを示し、図1は底面側外観図、図2は側壁に設けられた係合受部と係合突部の拡大外観図、図3は隣接床パネル同士を連結した状態を示す拡大断面図である。
【0009】
本形態の床パネル1は、合成樹脂を用い、単位パネル11を縦横三列に並べ、隣接する各単位パネル11の周側壁を内継手12により連結し、一つのブロックパネルとして一体に成形したものである。
【0010】
各単位パネル11は、平面視略正方形のパネル面13を有し、その周囲に側壁14を垂設すると共に、パネル面13の底部であって各側壁から所定間隔内方の位置に、床版に敷設したときに当接してパネル面を支持する適宜高さの円柱状脚体15,15を各々突設させた形状としてある。
【0011】
床パネル1の周側壁であって一つのコーナーを挟む隣接二辺内に配された単位パネル11の側壁14には、図2(A)に示されているように、係合スリット16aを有して側壁底部から外方に適宜な幅に突出した継手部としての係合受部16が設けられ、これと対向する他の隣接二辺内に配された単位パネル11の側壁14には、同図(B)に示されているように、側壁底部から下方に突出した継手部としての係合突部17が設けてある。
これらは、図3に示されているように、係合突部17を係合受部16のスリット内に圧入することにより互いに係合可能な対応形状に形成されており、床パネル1の周囲に他の床パネル1や単位パネル単体を並設した際に、対応位置の係合受部及び係合突部を互いに係合させてパネル同士を連結できるようになっている。
なお、係合受部16と係合突部17は、床パネル周辺の単位パネル11の側壁14に互いに位置対応させてそれぞれ所定の間隔を開けて一対に配置されており、側壁14側からパネル内方をみたときに、各部の配置間隙内に脚体15,15が位置するように、換言すれば脚体15,15の左右両側位置に各係合受部16又は係合突部17があるように設けてある。
【0012】
また、図4〜図5は本形態の端部納め材を示し、図4は上面側外観図、図5は背面側の外観斜視図、図6は図4中のVI−VI線に沿った断面図であり、本形態の端部納め材2は、合成樹脂を用い、三つの単位納め材21を並べ、隣接する単位納め材21の側壁を内継手22により連結し、上記床パネル1の端部に取り付け可能なブロック材として一体に成形したものである。
【0013】
各単位納め材21は、対向二辺を上記単位パネル11の辺部と略同長さとした平面視略矩形のパネル面23を有し、その周囲の内、上記対向二辺の一方に単位パネル11の側壁14と略同高さに側壁24aを垂設し、他方にこれよりも高さの低い側壁24bを垂設し、上記対向二辺間の他の二辺にも側壁24c,24dを垂設して、側壁24a側から側壁24b側へパネル面23が下方傾斜した形状に設けてある。
【0014】
単位納め材21の側壁24aには、先端に係合部25aを有する一対の継手片25,25が適宜な長さで突設されている。詳しくは、上記係合部25aは、単位パネル11の脚体15が挿通し得る大きさの円環状としてある。両継手片は、単位パネル11の脚体15,15の配置間隔と同間隔離し、且つこれらに位置対応させて側壁24aに配置され、床版に単位パネル11を敷設したときに床版とパネル面12又は側壁14との間隙(図2中のD1)内に差し入れることのできる高さ(図6中のD2)、及び係合部25aの開口径(図5中のR1)よりも小寸の細幅(図5中のR2)を有して側壁24aの外方に略垂直に突出させてある。両継手片の突出長さ、つまり側壁24aから係合部25aまでの長さ(図4中のL1)は、床パネル1の周側壁端面から脚体15の突設位置までの幅(図1中のL2)と略同じとしてあり、単位パネル11の脚体15を上記係合部25aに挿通させると、単位パネル11の側壁14と側壁24aとが略接合するようになっている。
【0015】
また、継手片25,25の左右両側の側壁24aには、単位パネル11の側壁14に突設された係合受部16が挿通し得る大きさ形状の切欠き凹部26が設けてあり、単位パネル11の脚体15を上記係合部25aに挿通させたときに、係合受部16が納め材21の内部に挿入配置されるようになっている。
【0016】
さらに、単位納め材21の内部及び側壁24bには、図6に示されているように、排水用の切欠き27が適宜設けられ、パネル面22の下方に流入した雨水を上記切欠き凹部26とこれら切欠き27を通して外部に排出できるようになっている。
【0017】
また、端部納め材2の両側に配された単位納め材21の一側の側壁24cに係合突部28aが、側壁24dには係合受部28bがそれぞれ設けてあり、端部納め材2を並設した際に、これら係合部を介して隣接端部納め材同士を連結できるようになっている(図4参照)。
【0018】
このように形成された本形態の端部納め材2は、床パネル1の端部に隣接配置し、各単位パネル11の端部下側の空隙からパネル面内に差し入れた継手片25,25を脚体15,15に係合させて床パネル1に連結し、傾斜パネル面23を床パネル1のパネル面13と一体化させて、端部に段差のない床面とすることができる。
【0019】
この際、端部納め材2は、床パネル1の係合受部16や係合突部17又は側壁14と直に連結するのではなく、床パネル1の内方に差し入れられた継手片25,25が脚体15,15と係合して取り付けられるので、図7に示されているように、係合受部16が設けられた側や(同図(A))、係合突部17が設けられた側など(同図(B))、側壁形状に関わりなく床パネル1の端部に取り付けることができる。係合受部16が突出する側壁14であっても、係合受部16が切欠き凹部26より端部納め材2の内側に挿入配置されるので、当該側壁14に端部納め材2の側壁24aを接合させて取り付け可能である。
【0020】
また、端部納め材2は継手片25,25を介して床パネル1に連結するので、周囲温度の変化に伴う熱伸縮による影響を効率的に吸収することができる。
すなわち、図8に示されているように、端部納め材2は継手片25,25の係合部25a,25aに床パネル1の脚体15,15を挿通して取り付けられ、その側壁24aは床パネル1の側壁14に固定されてはいないので(同図(A))、周囲温度が変化すると、床パネル1とは独立して長手方向(図中X方向)に沿って伸縮し、これに追随して継手片25,25も弾性変形するので、伸縮に伴う応力の発生を防止することができる(同図(B))。
この場合、継手片25の幅を係合部25aの開口径より細くしてあるので、継手片25にバネ性が付与されて弾性変形しやすく、また、係合部25aが円環状の連結部となっており、而も係合部25aに脚体15が固着されてはいないから、継手片25,25の弾性変形に伴って係合部25aが脚体25の廻りに回転して側壁24aの伸縮に追随し、継手片25の側壁24a側の元端部及び脚体15と接合する先端部の両部で応力の発生し難いものとなっている。
【0021】
さらに、端部納め材2の内部には、排水用の切欠き27が設けてあるから、床パネル1に連結した状態であっても、パネル下方に流入した雨水を床面の外部に効率的に排出することができる。
【0022】
上記床パネル1及び端部納め材2は、内継手12,22に沿って切断し、適宜形状のパネル、或いは単位パネル11単体又は単位納め材21単体として使用することができ、これらの場合でも単位パネル11の脚体15,15に単位納め材21を連結して端部を処理可能である。
また、床パネル1及び端部納め材2は、そのパネル面を装飾された平面形状とする他、図7に示されている如く床板3を載置し固着可能な支持枠形状とするなど適宜な形状とすることができ、その内部には必要に応じ補強用リブを配設することができる。
【0023】
本形態では、継手片25の係合部25aを、脚体15が挿通可能な円環状に設けたが、脚体15に確実に係合可能であれば他の形状としてもよい。また、床パネル1のパネル面下側に係止突部を別途設け、これに継手片25を係合するように設けてもよい。
また、各単位納め材21に二つの継手片25,25を所定間隔を開けて設けたが、一つの継手片25のみを設けてもよい。また、継手片25の形成寸法は、上記のように所定の高さ以内とする必要がある他、弾性変形可能な適宜な幅及び長さに選定可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明の床パネルの端部納め材によれば、床パネルの端部に安定的に取り付けられて段差のない一体の床面を形成することができると共に、熱伸縮に対し、床パネルとは独立して寸法を変化せしめて熱伸縮に伴う応力の発生を防止し、形状の異なる側壁に共用して取り付けることができ、且つ良好な排水性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の床パネルの底面側外観図である。
【図2】(A),(B)は図1の床パネルの側壁に設けられた係合受部と係合突部の拡大外観図である。
【図3】図1の床パネルを連結した状態を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の端部納め材の上面側外観図である。
【図5】図1の端部納め材の背面側の外観斜視図である。
【図6】図4中のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】(A),(B)は端部納め材を床パネルに連結した状態を示す拡大断面図である。
【図8】端部納め材の伸縮機能を説明するための図である。
【図9】従来の床パネルを説明するための図である。
【符号の説明】
1 床パネル
11 単体パネル
15 脚体
2 端部納め材
21 単位納め材
25 継手片
25a 係合部
26 切欠き凹部
27 切欠き
Claims (3)
- 底部に複数の脚体が突設されたパネル面の周側壁に、側壁から外方へ突出した継手部と側壁の下方へ突出した継手部が設けられ、並設した床パネル同士が前記継手部を介して連結一体化するように形成された床パネルの端部に取り付けられる端部納め材であって、
パネル面の周辺の一方の側壁が前記床パネルの側壁と略同高さ、他方の側壁がそれよりも低い高さに設けられ、前記一方の側壁には、前記床パネルの脚体に係合する係合部を先端に有する継手片が突設されているとともに前記床パネルの側壁から外方へ突出した継手部が挿通可能な大きさの切欠き凹部が設けられていることを特徴とする床パネルの端部納め材。 - 継手片の先端に設けた係合部を、床パネルの円柱状に形成された脚体に係合し得るように円環状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の床パネルの端部納め材。
- 端部納め材の他方の側壁及び内部に、排水用の切欠きを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の床パネルの端部納め材。
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