以下、添付図面を参照して、排気システム、および排気装置制御方法の実施の形態について説明する。
最初に、排気システム1の構成について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す排気システム1は、「排気システム」の一例であって、真空ポンプ2a〜2c(以下、これらを区別しないときには「真空ポンプ2」ともいう)、インバータ回路3a〜3c(以下、これらを区別しないときには「インバータ回路3」ともいう)、圧力センサ4および制御部5を備え、射出成型機、吸着保持装置、真空包装機、並びに、箱体および袋体等の各種容器内の空気を脱気する工具等の各種排気対象(図示せず)から各真空ポンプ2によって空気(「気体」の一例)を吸引することで排気対象から空気を排気する(排気対象に対して真空圧を供給する)ことができるように構成されている。この場合、この排気システム1では、各真空ポンプ2が接続用配管6(「接続用配管」の一例)を介して排気対象に対して並列接続されている。
真空ポンプ2は、「回転数可変型の排気装置」の一例である「インバータ制御方式の真空ポンプ」であって、後述するように各インバータ回路3から供給される電力P2a〜P2c(以下、区別しないときには「電力P2」ともいう)の周波数に応じた回転数(回転速)で回転するモータを動力源として備えて構成されている。この場合、本例の排気システム1では、一例として、作動用電力の定格周波数が60Hzのモータを動力源としてそれぞれ備えると共に、回転数あたりの排気能力が互いに等しい真空ポンプ(排気能力が同じ真空ポンプ)で各真空ポンプ2が構成されている。なお、「排気システム」を構成する「排気装置」の台数は、N=3台の本例の構成に限定されず、N=2台、または、N=4台以上の複数台を備えて「排気システム」を構成することができる。
また、真空ポンプ2のような「回転数可変型の排気装置」は、前述したように、所定の回転数を下回る動作状態において空気を十分に排気するのが困難な状態となる。したがって、本例の排気システム1では、各真空ポンプ2に対して上記の定格周波数(60Hz)の電力P2を供給したときの回転数(「第2の回転数」の一例)を上限の100%の回転数としたときに、その30%の回転数(「第1の回転数」の一例)を下限として規定し、30%から100%の間の回転数で各真空ポンプ2を動作させるよう規定されている。なお、一例として、本例の排気システム1では、100%の回転数で動作させたときの排気量が互いに等しく、かつ30%の回転数で動作させたときの排気量も互いに等しい排気装置(真空ポンプ)で各真空ポンプ2が構成されている。
この場合、「排気装置」に対して規定する「第1の回転数」は、上記の例のような「十分な量の気体(空気)を排気し得る回転数範囲の下限の回転数」に限定されず、「消費電力あたりの排気量が多い(エネルギー効率が良い)回転数範囲の下限の回転数」や、「掻き揚げ式潤滑機構を採用している場合において十分な量の潤滑油を掻き揚げることが可能な回転数」などの各種の基準に従って製造者や利用者が任意に規定することができる。同様にして、「排気装置」に対して規定する「第2の回転数」は、上記の例のような「動力源に定格周波数の作動用電力を供給したときの回転数」に限定されず、「消費電力あたりの排気量が多い(エネルギー効率が良い)回転数範囲の上限の回転数」、「耐用寿命が著しく低下することのない回転数範囲の上限の回転数」、「作動音が小さい回転数範囲の上限の回転数」および「排気能力に余裕がある排気装置を採用しているときに消費電力の低減を目的として任意に設定する回転数」などの各種の基準に従って製造者や利用者が任意に規定することができる。
また、本例の排気システム1では、一例として、後述する排気量低減処理時に各真空ポンプ2の回転数を変更する範囲の下限としての「第3の回転数」が、排気量低減処理の実行時における「排気装置」の動作台数に応じてそれぞれ規定されている。具体的には、本例の排気システム1では、排気量低減処理の実行時にM=3台の真空ポンプ2a〜2cが動作している状態(動作台数が3台の状態)における「第3の回転数」が55%の回転数に規定されると共に、排気量低減処理の実行時にM=2台の真空ポンプ2a,2bが動作している状態(動作台数が2台の状態)における「第3の回転数」が上記の「第1の回転数」と等しい30%の回転数に規定されている。
なお、この「第3の回転数」については、「第1の回転数以上で第2の回転数よりも低回転」との条件を満たしていれば、上記の例とは相違する任意の回転数に規定することができる。この場合、排気量低減処理の実行時における「排気装置」の動作台数に応じて「第3の回転数」をそれぞれ相違する回転数に規定するときには、本例と同様にして、少なくとも、「排気装置」の動作台数がM=2台のときの「第3の回転数」を「第1の回転数」と等しい回転数に規定するのが好ましい。これにより、「第3の回転数」を「第1の回転数」よりも高回転に規定した場合と比較して、排気量低減処理において動作中の「排気装置」が1台だけの状態となる頻度を十分に低減することが可能となる。また、「第3の回転数」については、排気量低減処理の実行時における「排気装置」の動作台数に拘わらず、それぞれ同じ回転数に規定することもできる。
さらに、本例の排気システム1では、後述する排気量増加処理時に各真空ポンプ2の回転数を変更する範囲の上限としての「第4の回転数」が上記の「第2の回転数(この例では、100%の回転数)」と等しい回転数に規定されている。なお、「第4の回転数」については、「第3の回転数よりも高回転で第2の回転数以下」との条件を満たしていれば、「第2の回転数」と相違する回転数に規定することができる。また、「排気装置」の台数が本例のように3台以上のときには、排気量増加処理の実行時における「排気装置」の動作台数に応じて「第4の回転数」をそれぞれ相違する回転数に規定することもできる。しかしながら、後述するように、停止中の真空ポンプ2bや真空ポンプ2cの動作を再開させる頻度を低減するためには、「排気装置」の動作台数に拘わらず、「第4の回転数」を「第2の回転数」と等しい回転数に規定するのが好ましい。
インバータ回路3は、制御部5と相俟って「制御部」を構成し、インバータ回路3aが制御部5からの制御信号S3aに従って真空ポンプ2aに供給する電力P2aの周波数を変化させ、インバータ回路3bが制御部5からの制御信号S3bに従って真空ポンプ2bに供給する電力P2bの周波数を変化させ、かつインバータ回路3cが制御部5からの制御信号S3cに従って真空ポンプ2cに供給する電力P2cの周波数を変化させることで各真空ポンプ2を上記の30%から100%の間の任意の回転数で動作させる(各真空ポンプ2の回転数を制御する)。
なお、定格周波数である60Hzの電力P2が供給されたときの回転数を100%の回転数として各真空ポンプ2を動作させる本例では、各真空ポンプ2を55%の回転数で動作させるときに、インバータ回路3が33Hzの電力P2を各真空ポンプ2に供給すると共に、各真空ポンプ2を30%の回転数で動作させるときに、インバータ回路3が18Hzの電力P2を各真空ポンプ2に供給する。圧力センサ4は、「圧力センサ」の一例であって、各真空ポンプ2と排気対象とを相互に接続する接続用配管6に配設されて接続用配管6内の真空圧を検出し、検出した真空圧に応じたセンサ信号S4を出力する。
制御部5は、前述したように、各インバータ回路3と相まって「制御部」を構成し、排気システム1を総括的に制御する。具体的には、制御部5は、後述するように、図2に示す排気量調整処理10を実行し、圧力センサ4から出力されるセンサ信号S4に基づいて接続用配管6内の真空圧を特定する(測定する)と共に、特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲(「予め設定された真空圧範囲」の一例)内の真空圧よりも高い真空圧に上昇したときに負荷が減少したと判別し、かつ特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも低い真空圧に低下したときに負荷が増加したと判別する。なお、上記の「予め設定された真空圧範囲」は、排気対象において必要とされる十分な真空圧で空気を排気可能で、かつ排気システム1の各部(各真空ポンプ2等)に大きな負担をかけない真空圧の範囲として予め設定される。
また、制御部5は、センサ信号S4に基づいて特定した負荷量に応じて、負荷が減少したとき(すなわち、接続用配管6内の真空圧が上記の真空圧範囲よりも高い真空圧に上昇したとき)に、各インバータ回路3に制御信号S3a〜S3c(以下、区別しないときには「制御信号S3」ともいう)を出力して各真空ポンプ2の動作状態を変更して、排気システム1全体としての空気の排気量を低減させる「排気量低減処理」を実行すると共に、負荷が増加したとき(すなわち、接続用配管6内の真空圧が上記の真空圧範囲よりも低い真空圧に低下したとき)に、各インバータ回路3に制御信号S3を出力して各真空ポンプ2の動作状態を変更して、排気システム1全体としての空気の排気量を増加させる「排気量増加処理」を実行することにより、接続用配管6内の真空圧を上記の真空圧範囲内の真空圧に維持する。なお、「排気量低減処理」や「排気量増加処理」の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
次に、排気システム1による排気対象からの空気の排気処理(真空圧の供給処理)について、添付図面を参照して説明する。
この排気システム1では、制御部5が、図2に示す排気量調整処理10を実行し、接続用配管6内の真空圧の特定、および特定した真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧であるか否かの判別(真空圧の監視処理)を一定時間間隔で繰り返して実行する。具体的には、制御部5は、圧力センサ4から出力されるセンサ信号S4に基づいて接続用配管6内の真空圧を特定(測定)する(ステップ11)。次いで、制御部5は、特定した真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧であるか否かを判別する(ステップ12)。この際に、特定した真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧のときには、制御部5は、各真空ポンプ2の動作状態を変更することなく(現状の動作状態を維持させつつ)、ステップ11に戻って圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づく真空圧の特定を行う。
一方、ステップ11において特定した真空圧が、目標真空圧に対する許容範囲よりも高い真空圧に上昇したときには(ステップ12)、制御部5は、負荷が減少したと判別して排気量低減処理を実行する。具体的には、制御部5は、まず、負荷が減少したと判別した時点における各真空ポンプ2の動作状態(現在動作状態)を特定し(ステップ13)、次いで、上記のステップ11において特定した真空圧を目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧とするのに必要な各真空ポンプ2の動作状態(目標動作状態)を特定する(ステップ14)。
また、制御部5は、特定した目標動作状態に応じて、インバータ回路3a〜3cに制御信号S3a〜S3cを出力することにより、インバータ回路3aから真空ポンプ2aへの電力P2aの供給状態、インバータ回路3bから真空ポンプ2bへの電力P2bの供給状態、およびインバータ回路3cから真空ポンプ2cへの電力P2cの供給状態を変更させて各真空ポンプ2の動作状態を変化させる(ステップ15)。これにより、接続用配管6を介しての空気の排気量が低減され、圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて特定される真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧となる(ステップ11,12)。
また、ステップ11において特定した真空圧が、目標真空圧に対する許容範囲よりも低い真空圧に低下したときには(ステップ12)、制御部5は、負荷が増加したと判別して排気量増加処理を実行する。具体的には、制御部5は、まず、負荷が増加したと判別した時点における各真空ポンプ2の動作状態(現在動作状態)を特定し(ステップ13)、次いで、上記のステップ11において特定した真空圧を目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧とするのに必要な各真空ポンプ2の動作状態(目標動作状態)を特定する(ステップ14)。
また、制御部5は、特定した目標動作状態に応じて、インバータ回路3a〜3cに制御信号S3a〜S3cを出力することにより、インバータ回路3aから真空ポンプ2aへの電力P2aの供給状態、インバータ回路3bから真空ポンプ2bへの電力P2bの供給状態、およびインバータ回路3cから真空ポンプ2cへの電力P2cの供給状態を変更させて各真空ポンプ2の動作状態を変化させる(ステップ15)。これにより、接続用配管6を介しての空気の排気量が増加し、圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて特定される真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧となる(ステップ11,12)。
このように、本例の排気システム1では、負荷量に応じて各真空ポンプ2の動作状態を変更することにより、出願人が開発した従来の排気システム1xと同様にして、少量の空気を排気する状態から大量の空気を排気する状態までの各種の状態において、予め設定された真空圧範囲内の真空圧で接続用配管6を介して排気対象から空気を排気することが可能となっている。
次いで、排気システム1における上記の排気量低減処理および排気量増加処理について、添付図面を参照して具体的に説明する。
本例の排気システム1によって排気対象から空気を排気する際には、制御部5が、図3に示すように各真空ポンプ2の動作状態を制御することにより、接続用配管6内の真空圧が上記の目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧となるように空気を排気させる。この場合、同図は、圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて特定される接続用配管6内の真空圧が上記の目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧よりも上昇したとき(すなわち、負荷が減少して空気の排気量を低減させる必要が生じたとき)に制御部5が各真空ポンプ2をどのような回転数で回転させるかを、必要とされる排気量に対応させて左図に表している。また、同図では、接続用配管6内の真空圧が上記の目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧よりも低下したとき(すなわち、負荷が増加して空気の排気量を増加させる必要が生じたとき)に制御部5が各真空ポンプ2をどのような回転数で回転させるかを、必要とされる排気量に対応させて右図に表している。さらに、後に参照する図4〜6おいても、制御部5が各真空ポンプ2をどのような回転数で回転させるかを、必要とされる排気量に対応させて表している。
この排気システム1では、一例として、M=3台の真空ポンプ2a〜2cをそれぞれ100%の回転数で動作させている状態(排気システム1による空気の排気量が排気量AMの状態)において負荷が減少して真空圧が上昇したときに、制御部5が、排気量低減処理を実行し、図3の左図に示すように、その負荷量において必要とされる排気量に応じてインバータ回路3a〜3cを制御して各真空ポンプ2a〜2cの回転数をそれぞれ低下させる。
この際に、本例の排気システム1では、制御部5が、M=3台の真空ポンプ2a〜2cを動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、各真空ポンプ2a〜2cの回転数がそれぞれ約66.7%の回転数よりも高回転のとき(図3において、排気量AM以下で排気量A1よりも多い量の空気を排気している状態のとき)に、真空ポンプ2a〜2cのいずれも停止させることなく、インバータ回路3a〜3cに制御信号S3a〜S3cを出力して各真空ポンプ2a〜2cに対して供給する電力P2a〜P2cの周波数を等しく低下させることにより、真空ポンプ2a〜2cの回転数をそれぞれ等しく低下させる(「動作中の排気装置が複数存在するときに各排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が低減する。
また、制御部5は、M=3台の真空ポンプ2a〜2cを動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、各真空ポンプ2a〜2c(「L台の予め指定された排気装置」の一例であって、L=3の例)の回転数が、約66.7%以下で、かつ動作台数が3台のときの「第3の回転数」としての55%の回転数よりも高回転のとき(図3において、排気量A1以下で排気量Aaよりも多い量の空気を排気している状態のとき:「N台の排気装置のうちのM台を動作させることでM台の排気装置のうちの(M−1)台を第2の回転数で動作させたときの空気の排気量よりも少量の排気量で空気を排気させている状態」の一例)においても、真空ポンプ2a〜2cのいずれも停止させることなく、インバータ回路3a〜3cに制御信号S3a〜S3cを出力して各真空ポンプ2a〜2cに対して供給する電力P2a〜P2cの周波数を等しく低下させることにより、「L台の排気装置」としての真空ポンプ2a〜2cの回転数をそれぞれ等しく低下させる(「第1の処理」の一例であって、「動作中の排気装置が複数存在するときに各排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御の他の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量がさらに低減する。
さらに、制御部5は、M=3台の真空ポンプ2a〜2cを動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、「L台の排気装置」としての真空ポンプ2a〜2cの回転数が、動作台数が3台のときの「第3の回転数」としての55%の回転数のとき(図3において、排気量Aaの空気を排気している状態のとき)には、インバータ回路3cに制御信号S3cを出力して真空ポンプ2cに対する電力P2cの供給を停止させることで真空ポンプ2c(「L台の排気装置のうちの1台」の一例)を停止させると共に、インバータ回路3a,3bに制御信号S3a,S3bを出力して真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を上昇させることにより、動作を継続させている真空ポンプ2a,2bの回転数を55%の回転数から82.5%の回転数に上昇させる(「第2の処理」の一例)。
この場合、排気量低減処理に際して、L=3台の真空ポンプ2a〜2cが55%の回転数でそれぞれ動作している状態において排気量を低減させる必要があるときに真空ポンプ2cを停止させる本例の排気システム1では、出願人が開発した排気システム1xと比較して、図3の左図における排気量A1から排気量Aaまでの範囲の分だけ、真空ポンプ2cを動作させた状態に制御する制御範囲が広くなっている。次いで、制御部5は、必要とされる排気量に応じてインバータ回路3a,3bに制御信号S3a,S3bを出力して真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を低下させることによって真空ポンプ2a,2bの回転数を低下させる。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量がさらに低減する。
また、本例の排気システム1では、制御部5が、M=2台の真空ポンプ2a,2bを動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、両真空ポンプ2a,2bの回転数がそれぞれ50%の回転数よりも高回転のとき(図3において、排気量Aa以下で排気量A2よりも多い量の空気を排気している状態のとき)に、真空ポンプ2a,2bのいずれも停止させることなく、インバータ回路3a,3bに制御信号S3a,S3bを出力して真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を等しく低下させることにより、両真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ等しく低下させる(「動作中の排気装置が複数存在するときに各排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御のさらに他の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量がさらに低減する。
また、制御部5は、M=2台の真空ポンプ2a,2bを動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、両真空ポンプ2a,2b(「L台の予め指定された排気装置」の他の一例であって、L=2の例)の回転数が50%以下で、かつ動作台数が2台のときの「第3の回転数」としての30%の回転数よりも高回転のとき(図3において、排気量A2以下で排気量Abよりも多い量の空気を排気している状態のとき:「N台の排気装置のうちのM台を動作させることでM台の排気装置のうちの(M−1)台を第2の回転数で動作させたときの空気の排気量よりも少量の排気量で空気を排気させている状態」の他の一例)においても、真空ポンプ2a,2bのいずれも停止させることなく、インバータ回路3a,3bに制御信号S3a,S3bを出力して各真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を等しく低下させることにより、「L台の排気装置」としての真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ等しく低下させる(「第1の処理」の他の一例であって、「動作中の排気装置が複数存在するときに各排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御のさらに他の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量がさらに低減する。
さらに、制御部5は、M=2台の真空ポンプ2a,2bを動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、「L台の排気装置」としての真空ポンプ2a,2bの回転数が、動作台数が2台のときの「第3の回転数」としての30%の回転数のとき(図3において、排気量Abの空気を排気している状態のとき)には、インバータ回路3bに制御信号S3bを出力して真空ポンプ2bに対する電力P2bの供給を停止させることで真空ポンプ2b(「L台の排気装置のうちの1台」の他の一例)を停止させると共に、インバータ回路3aに制御信号S3aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を上昇させることにより、動作を継続させている真空ポンプ2aの回転数を30%の回転数から60%の回転数に上昇させる(「第2の処理」の他の一例)。
この場合、排気量低減処理に際して、L=2台の真空ポンプ2a,2bが30%の回転数でそれぞれ動作している状態において排気量を低減させる必要があるときに真空ポンプ2bを停止させる本例の排気システム1では、出願人が開発した排気システム1xと比較して、図3の左図における排気量A2から排気量Abまでの範囲の分だけ、真空ポンプ2bを動作させた状態に制御する制御範囲が広くなっている。次いで、制御部5は、必要とされる排気量に応じてインバータ回路3aに制御信号S3aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を低下させることによって真空ポンプ2aの回転数を低下させる。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量がさらに低減する。
この場合、本例の排気システム1とは相違するが、動作台数が2台のときの「第3の回転数」を「第1の回転数」よりも高回転に規定した場合には、真空ポンプ2a,2bの回転数が30%まで低下する以前に真空ポンプ2bを停止させることとなる。このため、そのような構成を採用した場合には、真空ポンプ2a,2bの双方を動作させた状態に制御すべき排気量範囲が、上記の例における排気量Aaから排気量Abまでの排気量範囲よりも狭い範囲となり、真空ポンプ2bを停止させた状態に制御すべき排気量範囲が本例よりも広くなる。したがって、空気の排気量を増加させる必要が生じたときに、1台の真空ポンプ2aだけが動作している状態、すなわち、他の真空ポンプ2の動作を開始させなくては排気量を増加させることができない状態となる頻度が高まる結果、必要な排気量で空気を排気し得る状態となるまでに長時間を要する事態を招くおそれがある。
これに対して、本例の排気システム1では、前述したように、動作台数が2台のときの「第3の回転数」が「第1の回転数」と等しい回転数(この例では、30%の回転数)に規定されている。したがって、本例の排気システム1では、動作台数が2台のときの「第3の回転数」を「第1の回転数」よりも高回転に規定した場合(真空ポンプ2a,2bの回転数が30%まで低下する以前に真空ポンプ2bを停止させる構成)とは異なり、排気量Aaから排気量Abまでの十分に広い排気量範囲に亘って複数台の真空ポンプ2(本例では、真空ポンプ2a,2b)が動作している状態を維持することができる。このため、排気量Aaから排気量Abまでの範囲内で空気を排気している状態において空気の排気量を増加させる必要が生じたときには、後述するように、停止状態ではない真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ100%の回転数を上限とする範囲内で上昇させることにより、必要な排気量で空気を排気し得る状態まで長時間を要することなく排気量を迅速に増加させることが可能となっている。
なお、排気量低減処理において、M=3台の真空ポンプ2a〜2cが動作している状態で、L=M=3台の真空ポンプ2a〜2cの回転数が、動作台数が3台のときの「第3の回転数」である55%の回転数のときに、L=M=3台の真空ポンプ2a〜2cのうちの真空ポンプ2cを停止させる処理を「第2の処理」として実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、M=3台の真空ポンプ2a〜2cが動作している状態で、L=2台の真空ポンプ2a,2bの回転数に着目し、これらの回転数が55%の回転数のときに、L=2台の真空ポンプ2a,2bのうちのいずれか1台と、L=2台の真空ポンプ2a,2b以外の真空ポンプ2cとのいずれかの動作を停止させる処理を「第2の処理」として実行したり、M=3台の真空ポンプ2a〜2cが動作している状態で、L=1台の真空ポンプ2aの回転数に着目し、この回転数が55%の回転数のときに、L=1台の真空ポンプ2aと、L=1台の真空ポンプ2a以外の真空ポンプ2b,2cの一方とのいずれかの動作を停止させる処理を「第2の処理」として実行したりすることができる。
同様にして、排気量低減処理において、M=2台の真空ポンプ2a,2bが動作している状態で、L=M=2台の真空ポンプ2a,2bの回転数が、動作台数が2台のときの「第3の回転数」である30%の回転数のときに、L=2台の真空ポンプ2a,2bのうちの真空ポンプ2bを停止させる処理を「第2の処理」として実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、M=2台の真空ポンプ2a,2bが動作している状態で、L=1台の真空ポンプ2aの回転数に着目し、この回転数が30%の回転数のときに、L=1台の真空ポンプ2aと、L=1台の真空ポンプ2a以外の真空ポンプ2bとのいずれかの動作を停止させる処理を「第2の処理」として実行することができる。
また、制御部5は、真空ポンプ2aだけが動作中で、かつその真空ポンプ2aの回転数が「第1の回転数」としての30%の回転数の状態(図3において排気量Acの空気を排気している状態)において空気の排気量をさらに低減させる必要があるとき(例えば、排気対象が停止状態となって空気の排気を行う必要がなくなったとき)には、インバータ回路3aに制御信号S3aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を維持させることで真空ポンプ2aを「第3の回転数」としての30%の回転数で動作させた状態を維持させる。この際には、真空ポンプ2b,2cが停止させられ、かつ、真空ポンプ2aが30%の回転数で動作している状態となるため、接続用配管6内の真空圧が過剰に高くなる事態を招くことなく、接続用配管6内が真空の状態が維持される結果、負荷が増加したときに排気対象からの排気を直ちに開始することが可能となる。
一方、真空ポンプ2aが30%の回転数で動作し、かつ真空ポンプ2b,2cが停止している状態において空気を排気する必要が生じたとき(例えば、排気システム1の動作開始時点や、停止状態であった排気対象の動作が再開されて接続用配管6内の真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧よりも低い真空圧に低下したとき)に、制御部5は、排気量増加処理を実行して、インバータ回路3aに制御信号S3aを出力することにより、図3の右図に示すように、必要とされる排気量に応じて真空ポンプ2aの回転数を上昇させる。
具体的には、制御部5は、圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて特定した接続用配管6内の真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧よりも低い真空圧であると特定したとき(排気量をさらに増加させる必要があるとき)に、真空ポンプ2b,2cが停止状態で、かつ、動作中の真空ポンプ2aの回転数が「第4の回転数」としての100%の回転数よりも低回転のとき(図3において排気量Baから排気量Bbまでの範囲内で空気を排気しているとき)には、停止状態の真空ポンプ2b,2cの動作を開始させることなく、インバータ回路3aに制御信号S3aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を上昇させることにより、「第4の回転数」としての100%の回転数よりも低回転で動作している真空ポンプ2aの回転数を上昇させる(「第3の処理」の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が増加する。
この際に、本例とは相違するが、上記の排気量低減処理において、必要とされる排気量が排気量Acを下回ったときに真空ポンプ2aを停止させた場合には、その後に負荷が増加して排気量を増加させる必要が生じたときに真空ポンプ2aの動作を再開させることとなる。しかしながら、停止状態の真空ポンプ2aの回転数がある程度の回転数(30%の回転数)に上昇するまでは、十分な量の空気を排気するのが困難のため、負荷の増加に対応して排気量を迅速に増加させるのが困難となる。これに対して、本例の排気システム1では、上記のように、必要とされる排気量が排気量Acを下回っても真空ポンプ2aを30%の回転数で動作させた状態が維持されているため、負荷の増加に対応して真空ポンプ2aの回転数を上昇させるだけで、必要とされる量まで排気量を迅速に増加させることが可能となっている。
また、真空ポンプ2b,2cが停止状態で、かつ、動作中の真空ポンプ2aの回転数(「動作中の排気装置のすべての回転数」の一例)が「第4の回転数」としての100%の回転数の状態(同図において排気量Bbで空気を排気している状態)において排気量をさらに増加させる必要があるときに、制御部5は、インバータ回路3bに制御信号S3bを出力して真空ポンプ2bに対して電力P2bの供給を開始させることにより、停止状態であった真空ポンプ2bを50%の回転数で動作を開始させると共に、インバータ回路3aに制御信号S3aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を低下させることにより、100%の回転数で動作させていた真空ポンプ2aの回転数を50%に低下させる(「第4の処理」の一例)。
次いで、制御部5は、停止状態の真空ポンプ2cの動作を開始させることなく、必要とされる排気量に応じてインバータ回路3a,3bに制御信号S3a,S3bを出力して真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を等しく上昇させることによって真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ等しく上昇させる(「第3の処理」の他の一例であって、かつ「動作中の排気装置が複数存在するときに各排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御の他の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が排気量Bbから排気量Bcまでさらに増加する。
さらに、真空ポンプ2cが停止状態で、かつ、動作中の真空ポンプ2a,2bのすべてが「第4の回転数」としての100%の回転数で動作している状態(同図において排気量Bcで空気を排気している状態)において排気量をさらに増加させる必要があるときに、制御部5は、インバータ回路3cに制御信号S3cを出力して真空ポンプ2cに対する電力P2cの供給を開始させることにより、停止状態であった真空ポンプ2cを約66.7%の回転数で動作を開始させると共に、インバータ回路3a,3bに制御信号S3a,S3bを出力して真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を低下させることにより、100%の回転数で動作させていた真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ約66.7%に低下させる(「第4の処理」の他の一例)。
次いで、制御部5は、必要とされる排気量に応じてインバータ回路3a〜3cに制御信号S3a〜S3cを出力して真空ポンプ2a〜2cに対して供給する電力P2a〜P2cの周波数を等しく上昇させることによって真空ポンプ2a〜2cの回転数をそれぞれ等しく上昇させる(「第3の処理」のさらに他の一例であって、かつ「動作中の排気装置が複数存在するときに各排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御のさらに他の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が排気量Bcから排気量BMまでさらに増加する。
この場合、本例の排気システム1とは相違するが、「第4の回転数」を「第2の回転数」よりも低回転に規定することにより、真空ポンプ2aの回転数が100%まで上昇する以前に真空ポンプ2bの動作を開始させる構成・方法を採用したときには、真空ポンプ2bを停止させた状態で排気量を調整すべき排気量範囲が、上記の例における排気量B0(Ba)から排気量Bbまでの排気量範囲よりも狭い範囲となり、真空ポンプ2bを動作させた状態に制御すべき排気量範囲が本例の制御例よりも広くなる。また、前述したように、真空ポンプ2のような「回転数可変型の排気装置」は、その回転数がある程度上昇するまで十分な量の空気を排気するのが困難となっている。したがって、「第4の回転数」を「第2の回転数」よりも低回転に規定した場合には、空気の排気量を増加させる必要が生じたときに、停止状態の真空ポンプ2bの動作を開始させる必要が生じる頻度が高まるため、必要な排気量で空気を排気し得る状態となるまでにある程度の時間を要する事態を招く頻度が高まるおそれがある。
同様にして、「第4の回転数」を「第2の回転数」よりも低回転に規定することにより、真空ポンプ2a,2bの回転数が100%まで上昇する以前に真空ポンプ2cの動作を開始させる構成・方法を採用したときには、真空ポンプ2cを停止させた状態で排気量を調整すべき排気量範囲が、上記の例における排気量B0(Ba)から排気量Bcまでの排気量範囲よりも狭い範囲となり、真空ポンプ2cを動作させた状態に制御すべき排気量範囲が本例の制御例よりも広くなる。したがって、「第4の回転数」を「第2の回転数」よりも低回転に規定した場合には、空気の排気量を増加させる必要が生じたときに、停止状態の真空ポンプ2cの動作を開始させる必要が生じる頻度が高まるため、必要な排気量で空気を排気し得る状態となるまでにある程度の時間を要する事態を招く頻度が高まるおそれがある。
これに対して、本例の排気システム1では、前述したように、「第4の回転数」が「第2の回転数」と等しい回転数(この例では、100%の回転数)に規定されている。したがって、本例の排気システム1では、「第4の回転数」を「第2の回転数」よりも低回転に規定した場合とは異なり、排気量B0(Ba)から排気量Bbまでの十分に広い排気量範囲に亘って真空ポンプ2bの動作を停止させた状態を維持することができ、また、排気量B0(Ba)から排気量Bcまでの十分に広い排気量範囲に亘って真空ポンプ2cの動作を停止させた状態を維持することができる。
このため、前述した排気量低減処理によって真空ポンプ2bを停止させた状態において空気の排気量を増加させる必要が生じたときに、真空ポンプ2bの動作を開始させることなく、真空ポンプ2aの回転数を上昇させるだけで必要な排気量で排気対象から空気を排気するように制御する排気量範囲が十分に広く、また、真空ポンプ2cを停止させた状態において空気の排気量を増加させる必要が生じたときに、真空ポンプ2cの動作を開始させることなく、真空ポンプ2a,2bの回転数を上昇させるだけで必要な排気量で排気対象から空気を排気するように制御する排気量範囲が十分に広いため、停止状態の真空ポンプ2bや真空ポンプ2cの動作を開始させる必要が生じる頻度が低くなり、必要な排気量で空気を排気し得る状態となるまで長時間を要することなく排気量を迅速に増加させることが可能となっている。
なお、排気システム1の動作原理についての理解を容易とするために、排気システム1による空気の排気量を排気量AMから排気量Ac(A0)まで徐々に低減させ、その後に排気量を排気量Ba(B0)から排気量BMまで徐々に増加させる際の制御部5による各真空ポンプ2a〜2cの制御手順(動作状態の変更手順)について説明したが、実際には、排気量低減処理の実行中に排気量が排気量A0まで低減される以前に排気量増加処理が実行されたり、排気量増加処理の実行中に排気量が排気量BMまで増加する以前に排気量低減処理が実行されたりする。
この場合、出願人が開発した排気システム1xでは、排気量低減処理の実行によって図7の左図におけるいずれかの量まで低減された排気量で空気を排気している状態において排気量を増加させる必要が生じたときに、右図においてその時点における排気量に対応する態様で排気量増加処理が開始される。また、出願人が開発した排気システム1xでは、排気量増加処理の実行によって右図におけるいずれかの量まで増加された排気量で空気を排気している状態において排気量を低減させる必要が生じたときに、左図においてその時点における排気量に対応する態様で排気量低減処理が開始される。
この場合、この種の排気システムでは、排気対象の動作状態に応じて、その負荷が小刻みに変動する。したがって、出願人が開発した排気システム1xでは、接続用配管6内の真空圧を目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧とするために、例えば排気量Aax,Bcxでの空気の排気を行う必要があるときに、排気対象の動作状態の変化に伴って負荷が僅かに減少したときに真空ポンプ2cxを停止させ、負荷が僅かに増加したときに真空ポンプ2cxの動作を開始させる制御が必要となり、真空ポンプ2cxの動作を開始させる頻度が高くなるという現状がある。同様にして、接続用配管6内の真空圧を目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧とするために、例えば排気量Abx,Bbxでの空気の排気を行う必要があるときに、排気対象の動作状態の変化に伴って負荷が僅かに減少したときに真空ポンプ2bxを停止させ、負荷が僅かに増加したときに真空ポンプ2bxの動作を開始させる制御が必要となり、真空ポンプ2bの動作を開始させる頻度が高くなるという現状がある。
一方、本例の排気システム1では、例えば、図3の左図における排気量AMから排気量A1までの範囲内において排気量を低減させる制御が行われた後に負荷が増加して真空圧が低下したとき(排気量を増加させる必要が生じたとき)には、同図の右図に示す排気量Bcから排気量BMまでの範囲内の態様で真空ポンプ2a〜2cの回転数を上昇させる排気量増加処理が行われる。また、左図における排気量A1から排気量Aaまでの範囲内において排気量を低減させる制御が行われた後に負荷が増加して真空圧が低下したとき(排気量を増加させる必要が生じたとき)には、図4の左図に示す排気量B2(Aa)から排気量Bc(A1)までの範囲内の態様で真空ポンプ2a〜2cの回転数を上昇させる排気量増加処理(動作中の真空ポンプ2a〜2cを停止させることなく排気量を増加させる制御)が行われ、その後に図3の右図に示す排気量Bcから排気量BMまでの範囲内の態様で真空ポンプ2a〜2cの回転数を上昇させる排気量増加処理が行われる。したがって、この排気システム1では、排気量AMから排気量Aaまでの範囲内から排気量を増加させるときに、真空ポンプ2a〜2cを動作させた状態を維持することが可能となっている。
さらに、図3の左図における排気量Aaから排気量A2までの範囲内において排気量を低減させる制御が行われた後に負荷が増加して真空圧が低下したとき(排気量を増加させる必要が生じたとき)には、右図に示す排気量Bbから排気量B2までの範囲内の態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を上昇させる排気量増加処理が行われる。また、左図における排気量A2から排気量Abまでの範囲内において排気量を低減させる制御が行われた後に負荷が増加して真空圧が低下したとき(排気量を増加させる必要が生じたとき)には、図4の左図に示す排気量B1(Ab)から排気量Bb(A2)までの範囲内の態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を上昇させる排気量増加処理(動作中の真空ポンプ2a,2bを停止させることなく排気量を増加させる制御)が行われ、その後に図3の右図に示す排気量Bbから排気量B2までの範囲内の態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を上昇させる排気量増加処理(動作中の真空ポンプ2a,2bを停止させることなく排気量を増加させる制御)が行われる。したがって、この排気システム1では、排気量Aaから排気量Abまでの範囲内から排気量を増加させるときに、真空ポンプ2a,2bを動作させた状態を維持することが可能となっている。
さらに、本例の排気システム1では、例えば、図3の右図における排気量Ba(B0)から排気量B1までの範囲内において排気量を増加させる制御が行われた後に負荷が減少して真空圧が上昇したとき(排気量を低減させる必要が生じたとき)には、同図の左図に示す排気量Abから排気量Ac(A0)までの範囲内の態様で真空ポンプ2aの回転数を低下させる排気量低減処理が行われる。また、右図における排気量B1から排気量Bbまでの範囲内において排気量を増加させる制御が行われた後に負荷が減少して真空圧が上昇したとき(排気量を低減させる必要が生じたとき)には、図4の右図に示す排気量A2(Bb)から排気量Ab(B1)までの範囲内の態様で真空ポンプ2aの回転数を低下させる排気量低減処理(停止中の真空ポンプ2b,2cの動作を開始させることなく排気量を低減させる制御)が行われ、その後に図3の左図に示す排気量Abから排気量Ac(A0)までの範囲内の態様で真空ポンプ2aの回転数を低下させる排気量低減処理が行われる。したがって、この排気システム1では、排気量Ba(B0)から排気Bbまでの範囲内から排気量を低減させるときに、真空ポンプ2b,2cを停止させた状態を維持することが可能となっている。
さらに、図3の右図における排気量Bbから排気量B2までの範囲内において排気量を増加させる制御が行われた後に負荷が減少して真空圧が上昇したとき(排気量を低減させる必要が生じたとき)には、左図に示す排気量Aaから排気量A2までの範囲内の態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を低下させる排気量低減処理が行われる。また、右図における排気量B2から排気量Bcまでの範囲内において排気量を増加させる制御が行われた後に負荷が減少して真空圧が上昇したとき(排気量を低減させる必要が生じたとき)には、図4の右図に示す排気量A1(Bc)から排気量Aa(B2)までの範囲内の態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を低下させる排気量低減処理(停止中の真空ポンプ2cの動作を開始させることなく排気量を低減させる制御)が行われ、その後に図3の左図に示す排気量Aaから排気量A2までの範囲内の態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を低下させる排気量低減処理(停止中の真空ポンプ2cの動作を開始させることなく排気量を低減させる制御)が行われる。したがって、この排気システム1では、排気量Bbから排気量Bcまでの範囲内から排気量を低減させるときに、真空ポンプ2cを停止させた状態を維持することが可能となっている。
このように、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法では、N台の真空ポンプ2のうちのM台を動作させることでM台の真空ポンプ2のうちの(M−1)台を「第2の回転数」で動作させたときの空気の排気量よりも少量の排気量で空気を排気させている状態において空気の排気量を低減させるときに、M台の真空ポンプ2のうちのL台の予め指定された真空ポンプ2の回転数が「第3の回転数」よりも高回転のときには、M台の真空ポンプ2を停止させることなく、少なくともL台の真空ポンプ2の回転数を低下させる「第1の処理」を排気量低減処理として実行し、L台の予め指定された真空ポンプ2の回転数が「第3の回転数」のときには、L台の真空ポンプ2のうちの1台、およびL台の真空ポンプ2以外の真空ポンプ2のうちの「第3の回転数」で動作している1台のいずれかを停止させると共に、動作を継続させている真空ポンプ2のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる「第2の処理」を排気量低減処理として実行する。
したがって、請求項1記載の排気システム、および請求項9記載の排気装置制御方法によれば、排気量低減処理に際して、「L台の予め指定された排気装置」に相当する真空ポンプ2の回転数が「第3の回転数」の運転状態となるまで、動作中の真空ポンプ2を停止させることなく、動作させた状態が維持されるため、真空ポンプ2ax〜2cxによる合計排気量が、真空ポンプ2ax,2bxを100%の回転数で動作させたときの合計排気量と等しくなったときに真空ポンプ2cxを停止させ、かつ、真空ポンプ2ax,2bxの合計排気量が、真空ポンプ2axを100%の回転数で動作させたときの排気量と等しくなったときに真空ポンプ2bxを停止させる構成・方法と比較して、真空ポンプ2cや真空ポンプ2bを動作させた状態に制御する排気量範囲、すなわち、排気量を増加させる必要が生じたときに、動作させた状態が維持されている真空ポンプ2cや真空ポンプ2bの回転数を上昇させるだけで排気量を増加させることができる制御範囲を十分に広くすることができるため、必要とされる排気量で空気を排気可能となるまでにある程度の時間を要する状態となる頻度を低下させて、必要とされる量まで排気量を迅速に増加させることができる。
また、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、真空ポンプ2の動作台数がM=2台のとき(上記の例では、真空ポンプ2a,2bが動作しているとき)の「第3の回転数」を「第1の回転数」と等しい回転数(本例では、30%の回転数)に規定したことにより、排気量低減処理に際して、真空ポンプ2a,2bの回転数が、排気システム1に搭載する「排気装置」の回転数の下限として規定されている「第1の回転数」に低下するまで真空ポンプ2bを動作させた状態が維持されるため、「第3の回転数」を「第1の回転数」よりも高回転に規定した構成・方法と比較して、必要とされる排気量で空気を排気するまでにある程度の時間を要する状態となる頻度を一層低下させて、必要とされる量まで排気量を一層迅速に増加させることができる。
さらに、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法では、空気の排気量を増加させるときに、少なくとも1台の真空ポンプ2が停止状態で、かつ、動作中の真空ポンプ2のうちの少なくとも1台の回転数が「第4の回転数」よりも低回転のときには、停止状態の真空ポンプ2の動作を開始させることなく、「第4の回転数」よりも低回転で動作している真空ポンプ2の回転数を上昇させる「第3の処理」を排気量増加処理として実行すると共に、少なくとも1台の真空ポンプ2が停止状態で、かつ、動作中の真空ポンプ2のすべての回転数が「第4の回転数」のときには、停止状態の真空ポンプ2のうちの1台の動作を開始させ、かつ動作中の真空ポンプ2のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる「第4の処理」を排気量増加処理として実行する。
したがって、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、排気量低減処理に際して真空ポンプ2を停止させる排気量(本例では、図3の態様における排気量Aa,Ab)と、排気量増加処理に際して真空ポンプ2の動作を開始させる排気量(本例では、図3の態様における排気量Bb,Bc)とが相違するため、これらの排気量と同程度の排気量で空気を排気すべきときに、真空ポンプ2を停止させる制御、および真空ポンプ2の動作を開始させる制御が小刻みに繰り返して実行される事態を好適に回避することができる結果、必要とされる排気量で空気を排気可能となるまでにある程度の時間を要する状態となる頻度を一層低下させて、必要とされる量まで排気量を一層迅速に増加させることができる。
また、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、各動作台数毎の「第4の回転数」のすべてを「第2の回転数」と等しい回転数に規定したことにより、排気量増加処理に際して、真空ポンプ2の回転数が、排気システム1に搭載する「排気装置」の回転数の上限として規定されている「第2の回転数」に上昇するまで、停止状態の真空ポンプ2を停止させた状態が維持されるため、「第4の回転数」を「第2の回転数」よりも低回転に規定した構成・方法と比較して、停止状態の真空ポンプ2の動作を開始させる頻度が一層低下するため、必要とされる量まで排気量を一層迅速に増加させることができる。
さらに、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、排気量低減処理において、「第3の回転数」よりも高回転で動作している真空ポンプ2が複数存在するときに「第3の回転数」よりも高回転で動作している各真空ポンプ2の各回転数をそれぞれ低下させることにより、排気処理時に各真空ポンプ2に加わるストレスを同程度とすることができるため、各真空ポンプ2のうちのいずれかの耐用寿命が他のいずれかと比較して著しく低下する事態を回避することができる。
また、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、排気量低減処理および排気量増加処理において、動作中の真空ポンプ2が複数存在するときに、各真空ポンプ2の回転数を同じ回転数に制御することにより、各真空ポンプ2のうちのいずれかの回転数を一定の回転数に固定しつつ他のいずれかの回転数だけを変化させるように制御する構成・方法や、各真空ポンプ2の回転数を互いに相違する回転数に制御する構成・方法と比較して、各真空ポンプ2の動作状態を、必要とされる排気量に応じて簡易に変化させることができる。
さらに、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、圧力センサ4から出力されるセンサ信号S4に基づいて接続用配管6内の真空圧を特定すると共に、特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも高い真空圧に上昇したときに負荷が減少したと判別して排気量低減処理を実行し、かつ特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも低い真空圧に低下したときに負荷が増加したと判別して排気量増加処理を実行することにより、負荷量を確実かつ容易に特定して排気システム1による空気の排気量を、必要とされる排気量に的確に調整することができる。
また、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、真空ポンプ2aだけが動作しており、かつその真空ポンプ2aの回転数が「第3の回転数」としての30%の回転数の状態において負荷が減少したときに、その真空ポンプ2aを30%の回転数で動作させた状態を維持することにより、負荷が増加して排気量を増加させる必要が生じたときに、動作を継続させている真空ポンプ2aの回転数を上昇させるだけで排気量を増加させることができるため、必要とされる量まで排気量を一層迅速に増加させることができる。
なお、「排気システム」の構成、および「排気装置制御方法」の具体的な内容は、上記の排気システム1の構成、および排気システム1における各真空ポンプ2a〜2cの制御方法の例に限定されない。例えば、排気量低減処理および排気量増加処理において動作中の真空ポンプ2が複数存在するときに、各真空ポンプ2の各回転数をそれぞれ低下させる制御、およびそれぞれ上昇させる制御(本例では、各真空ポンプ2の各回転数を同じ回転数にする制御)を実行する例に挙げて説明したが、このような構成・方法に代えて、図5の左図に示す態様の排気量低減処理、右図に示す排気量増加処理を実行する構成・方法を採用することができる。
この場合、同図に示す真空ポンプ2a〜2cの回転数の制御方法に関する態様では、排気量低減処理に際して、左図における排気量AMから排気量Aaまでの範囲内の排気量のときには、「N台の排気装置」に相当する真空ポンプ2a〜2cのうちの1台(この例では、真空ポンプ2a)の回転数を「第4の回転数」としての「第2の回転数」である100%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2b,2cの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に低下させる制御(第1の処理)が実行される。
また、「L台の予め指定された排気装置」としての真空ポンプ2b,2cが「第3の回転数」としての「第1の回転数」である30%の回転数で動作している状態(排気量Aaの状態で空気を排気している状態)において排気量をさらに低減させる必要があるときには、「L台の排気装置のうちの1台」としての真空ポンプ2cを停止させると共に、真空ポンプ2aの回転数を80%の回転数に低下させ、かつ真空ポンプ2bの回転数を80%の回転数に上昇させる制御(第2の処理)が実行され、その後に、真空ポンプ2a,2bの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に低下させる制御が実行される(排気量Aaから排気量Abまでの範囲)。なお、排気量Abから排気量Ac(A0)までの範囲内の排気量のときには、図3の左図に示す態様と同様の制御が実行されるため、説明を省略する。
また、図5の態様では、排気量増加処理に際して、右図における排気量Bcから排気量BMまでの範囲内の排気量のときに、「N台の排気装置」に相当する真空ポンプ2a〜2cのうちの1台(この例では、真空ポンプ2a)の回転数を「第4の回転数」としての「第2の回転数」である100%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2b,2cの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に上昇させる制御(第3の処理)が実行される。なお、排気量Ba(B0)から排気量Bcまでの範囲内の排気量のときには、図3の右図に示す態様と同様の制御が実行されるため、説明を省略する。
この場合、排気量低減処理に際して、真空ポンプ2b,2cの回転数が30%の回転数となっている状態において排気量を低減させる必要があるときに真空ポンプ2cを停止させる図5の態様では、出願人が開発した排気システム1xと比較して、同図における排気量A1から排気量Aaまでの範囲の分だけ、真空ポンプ2cを動作させた状態に制御する制御範囲が広くなっている。
また、図5に示す回転数制御の例においても、図3,4を参照しつつ説明した上記の回転数制御の例と同様にして、左図における排気量Aaから排気量Abまでの範囲内から排気量を増加させる必要が生じたときに右図の排気量増加処理とは相違する態様(排気量Abから排気量Aaまで排気量を増加させる回転数制御)で真空ポンプ2a〜2cの動作状態が制御される。さらに、左図における排気量Abから排気量Acまでの範囲内から排気量を増加させる必要が生じたときに右図の排気量増加処理とは相違する態様(排気量Acから排気量Abまで排気量を増加させる回転数制御)で真空ポンプ2a〜2cの動作状態が制御される。
同様にして、図5の右図における排気量Baから排気量Bbまでの範囲内から排気量を低減させる必要が生じたときに左図の排気量増加処理とは相違する態様(排気量Bbから排気量Baまで排気量を低減させる回転数制御)で真空ポンプ2a〜2cの動作状態が制御される。また、右図における排気量Bbから排気量Bcまでの範囲内から排気量を低減させる必要が生じたときに左図の排気量増加処理とは相違する態様(排気量Bcから排気量Bbまで排気量を低減させる回転数制御)で真空ポンプ2a〜2cの動作状態が制御される。
このように構成した排気システム、およびその排気システムにおける排気装置制御方法によれば、排気量低減処理において、「第3の回転数」よりも高回転で動作している真空ポンプ2が複数存在するときに「第3の回転数」よりも高回転で動作している複数の真空ポンプ2のうちの少なくとも1台の回転数を変化させることなく、他の少なくとも1台の回転数を低下させることにより、例えば、各真空ポンプ2の回転数を互いに相違する回転数に変化させるように制御する構成・方法とは異なり、各真空ポンプ2のうちのいずれかの回転数を一定の回転数に固定しつつ、他のいずれかの回転数だけを変化させればよいため、各真空ポンプ2の動作状態を、必要とされる排気量に応じて簡易に変化させることができる。
また、図6の左図に示す態様の排気量低減処理、右図に示す排気量増加処理を実行する構成・方法を採用することができる。この場合、同図に示す真空ポンプ2a〜2cの回転数の制御方法に関する態様では、排気量低減処理に際して、左図における排気量AMから排気量Aaまでの範囲内の排気量のときには、「N台の排気装置」に相当する真空ポンプ2a〜2cのうちの2台(この例では、真空ポンプ2a,2b)の回転数を「第4の回転数」としての「第2の回転数」である100%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2cの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に低下させる制御(第1の処理)が実行される。
また、「L台の予め指定された排気装置」としての真空ポンプ2cが「第3の回転数」としての「第1の回転数」である30%の回転数で動作している状態(排気量Aaの状態で空気を排気している状態)において排気量をさらに低減させる必要があるときには、真空ポンプ2cの回転数を30%の回転数に維持すると共に、真空ポンプ2aの回転数を100%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2bの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に低下させる制御(第1の処理)が実行される(排気量Aaから排気量Abまでの範囲)。
さらに、「L台の予め指定された排気装置」としての真空ポンプ2bが「第3の回転数」としての「第1の回転数」である30%の回転数で動作している状態(排気量Abの状態で空気を排気している状態)において排気量をさらに低減させる必要があるときには、「L台の排気装置以外の排気装置のうちの第3の回転数で動作している1台」としての真空ポンプ2cを停止させると共に、真空ポンプ2aの回転数を100%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2bの回転数を60%の回転数に上昇させる制御(第2の処理)が実行され、その後に、真空ポンプ2bの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に低下させる制御が実行される(排気量Abから排気量Acまでの範囲)。
また、「L台の予め指定された排気装置」としての真空ポンプ2bが「第3の回転数」としての「第1の回転数」である30%の回転数で動作している状態(排気量Acの状態で空気を排気している状態)において排気量をさらに低減させる必要があるときには、真空ポンプ2bの回転数を30%の回転数に維持すると共に、真空ポンプ2aの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に低下させる制御が実行される(排気量Acから排気量Adまでの範囲)。なお、排気量Adから排気量Ae(A0)までの範囲内の排気量のときには、図3の左図における排気量Abから排気量Ac(A0)までの範囲内の態様と同様の制御が実行されるため、説明を省略する。
また、図6の態様では、排気量増加処理に際して、右図における排気量Bbから排気量Bcまでの範囲内の排気量のときに、真空ポンプ2bの回転数を「第3の回転数」としての「第1の回転数」である30%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2aの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に上昇させる制御(第3の処理)が実行される。さらに、真空ポンプ2aの回転数が「第4の回転数」としての「第2の回転数」である100%の回転数で動作している状態(排気量Bcの状態で空気を排気している状態)において排気量をさらに増加させる必要があるときには、真空ポンプ2aの回転数を100%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2bの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に上昇させる制御(第3の処理)が実行される(排気量Bcから排気量Bdまでの範囲)。
また、真空ポンプ2bの回転数が「第4の回転数」としての「第2の回転数」である100%の回転数で動作している状態(排気量Bdの状態で空気を排気している状態)において排気量をさらに増加させる必要があるときには、真空ポンプ2cを30%の回転数で動作を開始させると共に、その回転数を30%の回転数に維持し、かつ真空ポンプ2aの回転数を100%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2bの回転数を70%の回転数に低下させる制御(第4の処理)が実行され、その後に、真空ポンプ2bの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に上昇させる制御が実行される(排気量Bdから排気量Beまでの範囲)。さらに、真空ポンプ2bの回転数が「第4の回転数」としての「第2の回転数」である100%の回転数で動作している状態(排気量Beの状態で空気を排気している状態)において排気量をさらに増加させる必要があるときには、真空ポンプ2a,2bの回転数を100%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2cの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に上昇させる制御(第3の処理)が実行される(排気量Beから排気量BMまでの範囲)。
このように構成した排気システム、およびその排気システムにおける排気装置制御方法によれば、排気量低減処理において、「第3の回転数」よりも高回転で動作している真空ポンプ2が複数存在するときに「第3の回転数」よりも高回転で動作している複数の真空ポンプ2のうちの少なくとも1台の回転数を変化させることなく、他の少なくとも1台の回転数を低下させることにより、例えば、各真空ポンプ2の回転数を互いに相違する回転数に変化させるように制御する構成・方法とは異なり、各真空ポンプ2のうちのいずれかの回転数を一定の回転数に固定しつつ、他のいずれかの回転数だけを変化させればよいため、各真空ポンプ2の動作状態を、必要とされる排気量に応じて簡易に変化させることができる。
また、真空ポンプ2a〜2cのN=3台の「排気装置」を備えた排気システム1において、各真空ポンプ2a〜2cの「第1の回転数」や「第2の回転数」を互いに等しい回転数に規定した例について説明したが、「第1の回転数」は、各「排気装置」毎の回転数範囲の下限であり、かつ「第2の回転数」は、各「排気装置」毎の回転数範囲の上限であるため、これらの回転数を各「排気装置」毎に互いに相違する回転数に規定することもできる。同様にして、「第3の回転数」については、各「排気装置」毎の「第1の回転数」以上で、かつ各「排気装置」毎の「第2の回転数」よりも低回転であれば、各「排気装置」毎に互いに相違する回転数に規定することができ、「第4の回転数」についても、各「排気装置」毎の「第2の回転数」以下で、かつ各「排気装置」毎の「第3の回転数」よりも高回転であれば、各「排気装置」毎に互いに相違する回転数に規定することができる。
さらに、制御部5が圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて特定した接続用配管6内の真空圧によって負荷の大小を特定する構成を例に挙げて説明したが、負荷の減少や増加を検出するための構成・方法はこれに限定されず、例えば、圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて接続用配管6内の真空圧を測定し、測定結果(真空圧)、または、測定結果に応じて特定される負荷量を「排気システム」に出力する装置(図示せず)を「排気システム」とは別個に設けて負荷の減少や増加を検出する構成・方法や、排気対象から出力される「動作状態を示す信号」に基づき、「排気システム」に加わる負荷を特定する構成・方法を採用することもできる。
また、インバータ制御方式のモータを動力源とする真空ポンプ2を採用してインバータ回路3から供給する電力の周波数を変更することで各真空ポンプ2の回転数を制御する構成・方法を例に挙げて説明したが、例えば、供給電力の電圧に応じて回転数が変化するモータを動力源とする電圧可変制御型の「回転数可変型の排気装置」を採用し、その「排気装置」に供給する電力の電圧を変化させることで回転数を制御する構成・方法を採用することもできる。加えて、「回転数可変型の排気装置」だけを備えて構成した例について説明したが、N台の「回転数可変型の排気装置」の他に、1台、または2台以上の複数台の「回転数固定型の排気装置(電力の供給に伴って一定の回転数で動作する排気装置)」を備えて構成することもできる(図示せず)。