JP2015202057A - 食物繊維入りヨーグルトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機能性成分を含有するヨーグルトの製造方法において、サトウキビ特有の不溶性食物繊維の効果である、排便促進効果や、発がん性物質の生成を抑制する効果を発揮する機能性、及び甘藷の茎葉に含まれ、眼病予防効果の高い「ルテイン」の機能性が発揮されるヨーグルトの製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】ヨーグルトミックスとサトウキビの食物繊維及び甘藷の茎葉を含有する原料に乳酸菌スターターを添加して発酵させることによるサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法である。【選択図】図1
Description
本発明は、ヨーグルトの製造方法であり、特にサトウキビの食物繊維の乾燥粉末及びカンダバーの茎葉の乾燥粉末を含有するヨーグルトの製造方法に関する。
ヨーグルトは、食生活における健康志向の高まりによって、近年、需要が増える傾向にある。
また、日本では、甘味を付与した加糖タイプのヨーグルトが嗜好性の面では好まれていたが、近年、健康志向から、酸味のある無糖タイプのヨーグルトも広く普及している。
サトウキビは、イネ科の多年草であり、東南アジアまたはインド原産といわれ、製糖作物として熱帯を中心に世界各地で栽培されている。茎は高さ2〜3メートル、円柱形で竹に似ているが中空ではなく、葉は広い線形である。茎の汁液にショ糖を含み、砂糖の原料となる。
成分比の概要としては、繊維分10〜13%、ショ糖12〜15%、2〜4%がブドウ糖、果糖、オリゴ糖などであり、70%程度が水分である。
サトウキビに含まれる代表的な食物繊維としては、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどであり、いずれも不溶性食物繊維である。この不溶性食物繊維は、水に溶けない食物繊維である。水分を吸収して数倍から十数倍に膨らみ、腸壁を刺激して腸のぜん動運動を高める。肥満や便秘解消、腸の病気の予防などの効果がある。
食物繊維は、ヒトの酵素による消化に耐え、主として植物細胞壁に由来する炭水化物である。それらが腸内環境を変えることにより腸の全長に沿って生理的プロセスの調節をする能力はよく知られており、小腸及び大腸で異なる作用を示す。小腸における繊維の主な機能は、粘性を増強させることであるが、大腸においては、それが、短鎖脂肪酸(SCFA)産生のための基質として働く。繊維類の異なる物理的特性及びそれらに対応する作用が、共同で正常な腸の機能を促進する。
食物繊維は、炭水化物及びリグニンで、ヒトの消化酵素では加水分解できないが、腸内細菌によって発酵されて水素、メタン、二酸化炭素、水、及びSCFAを産生する。一般的に、食物繊維は、それらの発酵性、溶解性、及び粘性に基づいて分類される。最も発酵性のある食物繊維は、可溶性で粘性であり、最も不溶性の食物繊維は、非粘性で完全に発酵性があるというわけではない。今のところ、栄養表示では溶解性に焦点を合わせて食物繊維のタイプを分類している。
セルロース及びリグニンを含めた不溶性食物繊維は、完全に非水溶性であり、結腸内でわずかに発酵される。これらは、それらの保水能力によって主として膨張剤として働く。不溶性繊維は、便量を増加させ、内容物が腸の中を正常に前進するように促し、水分摂取が適切な場合に便秘を減弱化する。
可溶性食物繊維は、水に溶解し、結腸にその90%が生息する腸内細菌により発酵され得る。発酵性は、食物繊維の溶解性及び粒子サイズの程度次第である。例えば、食物繊維は、溶解性が増加し、その粒子サイズが減少するにつれて、より急速に発酵される。満腹期を延長する胃内容排出の遅延、グルコース吸収速度の低下、及び上昇した血清コレステロールの低下を助けるステロール化合物の結合等、可溶性食物繊維は、消化の間に様々の有益作用を与える。可溶性食物繊維にはペクチン、ガム、幾種類かのヘミセルロース、サイリウム、グアーガム、フルクトオリゴ糖(FOS)、イヌリン、及びガラクトオリゴ糖(GOS)が含まれる。その他に、相当量の可溶性食物繊維が、果実、野菜、並びに大麦及び燕麦を含めた穀類に見出されている。
不溶性食物繊維の多い食品は、口の中でよく噛む必要があるので、早食いによる過食を防ぐ効果がある。また、噛むことによって、歯茎やあごを強化して歯並びをよくしたり、虫歯を防ぐ効果も期待できる。更に消化されない性質があり、胃の中の滞在時間が長いため、満腹感が得られる。
また、不溶性食物繊維は、腸内細菌の分解を受けにくく、水分を吸収して何倍にも膨れ上がるために、腸壁を刺激して腸の蠕動運動を促し、不溶性食物繊維を含んだ便は、水分を吸収してやわらかくてボリュームがあるため、排便がスムーズに行われる。
また、大腸がんは欧米型の食生活の高たんぱく、高脂肪、低食物繊維で引き起こされる病気であるが、便の量が増えれば、腸内の発がん性物質の濃度が降下し、排便回数が増えることによって、発がん性物質の腸内滞留時間が短縮する。更に有益な腸内細菌のが増えることによって発がん性物質の生成を抑制するなどの効果が期待されている。
また、排便促進効果によって、有害物質の体内滞留時間が短くなったり、吸着することによって排泄させる作用もあるので、食品の残留農薬や食品添加物などにも効果があると考えられている。
また、サトウキビの葉には葉緑素が含まれており、この葉緑素はクロロフィルとも呼ばれ、植物や藻類などに含まれる緑色の天然色素であり、細胞内の葉緑体に存在し、光と水と空気中の二酸化炭素から糖などの有機物を合成する光合成に不可欠な成分である。
この葉緑素は植物の成分ですが、人間の血液の色素であるヘム(ヘモグロビンの中の中心構造)と似た構造をしており、「緑の血液」といわれている。
体内に摂取された葉緑素は、血液中で鉄と結合し、赤血球や筋肉のヘモグロビンなどの色素に変わる。また、農作物や乳製品・魚などの食品を介して人間の体内に取り込まれるダイオキシンや、有害ミネラルのカドミウムや鉛などの物質を吸着して排出させる解毒作用を持っている。
また、血管内のコレステロールを吸着する働きがあるため、コレステロールを抑えて、血液の流れを良くする働きもあり、さらに葉緑素は、体内に吸収される細胞を活性化させる働きを持っているため、筋肉を維持したり、ケガや傷の治りを早くするほか、病的状態にある細胞を健康な状態にする薬理作用もある。
このように体内に取り入れられた葉緑素は、有害物質が体内で吸収されることを抑え、速やかに体外への排出を促して細胞を活性化させる働きを兼ね備えている。
甘藷は、ヒルガオ科として分類されるつる性植物であり、沖縄をはじめ全国で400年もの間、たいせつな農作物として栽培されてきた。
近年,この甘藷(さつまいも)の塊根および茎葉の新たな成分(アントシアニン色素などポリフェノール類)の健康機能が明らかとなり,その特性を活かした製品(飲料等の加工食品素材や着色料)が続々と開発されている。さらに,甘藷の茎葉には従来の野菜類にない新規なカフェ酸誘導体(ポリフェノール類の一種)が発見され,薬としての利用可能性もでてきている。
沖縄県では甘藷の茎葉を方言で「カンダバー」と呼んでいる。沖縄では緑黄色野菜のひとつとして位置づけられており、一般的な葉野菜として家庭で常食されている。
南国沖縄の強い日差しの中でたくましく育つ「カンダバー」は、ビタミン類、ポリフェノール類を豊富に含み、中でもカロテノイドの一種であり、眼病予防効果の高い「ルテイン」が豊富に含まれることが発見されている。
ルテインとは、天然の動植物に広く存在する色素であるカロチロイドの一種で、抗酸化性が強く、水晶体や網膜の黄班部など、眼の組織に含まれることがわかっており、目にはいってくる紫外線をブロックして、網膜の色覚色素が酸化されるのを防ぐフィルターの役割を果たすものである。
このルテインは、ホウレン草やケールなどの緑葉野菜、卵黄、動物脂肪、黄体に含まれる。生体内では酸化防止剤として作用し、青色光を吸収する。脂溶性の分子であり水には溶けない。不飽和二重結合(ポリエン鎖)の発色団により特有な光吸収性を持つ。ポリエン鎖は光もしくは熱による酸化分解を受けやすく、酸に対しても不安定である。
近年、アントシアニンとともに目に良い成分として注目を集めている。
このルテインが甘藷の茎葉に多く含まれていることが近年、報告されている。ルテインの含有量が多いとされる、ホウレン草の3倍以上であり、ケールよりも多いことが報告されている。
ルテイン含有量(100g当り)
ホウレン草:10.0mg
ケール :21.9mg
甘藷の茎葉:31.1mg
ホウレン草:10.0mg
ケール :21.9mg
甘藷の茎葉:31.1mg
従来より、各種の機能性成分を添加したヨーグルトに関する特許も多数開示されており、イヌリンや難消化性デキストリンなどの水溶性の食物繊維入りのヨーグルトも市販されている。
例えば、特開2009−273412号公報では、黒大豆を酵素処理して低分子化することで、まるごと黒大豆豆乳を生成し、複数の乳酸菌を用いて乳酸発酵させて黒大豆中のスクロースを資化し乳酸を生成して、黒大豆のアントシアニン色素を紅色に変化させ、同時に大豆の蛋白質を酸凝固させて紅色機能性豆乳ヨーグルトを製造するものも開示されている。
また、特開2004−215505号公報では、血糖値の上昇が少なく、おいしいヨーグルトを提供する方法として、ヨーグルト100重量部あたり果糖1〜20重量部(好ましくは3〜14、より好ましくは4〜11重量部)を含む、ヨーグルトとし、さらに食物繊維を含み、好ましくはさらに食物繊維、カルシウムおよびビタミンDを含むものとし、甘味を呈するのに有効な量の果糖を含み、GIが、同じ重量の砂糖を含むヨーグルトのGIより低いヨーグルトを提供するものである。
上記のように、各種の機能成分を含有するヨーグルトが開発されているが、サトウキビの食物繊維や甘藷の茎葉の乾燥粉末を用いたヨーグルトはない。
食物繊維入りのヨーグルトはあるが、水溶性の食物繊維が使用されており、サトウキビの食物繊維のように、不溶性の食物繊維が含まれているものはない。
上記の特開2009−273412号公報では、大豆に含まれる食物繊維を用いているが、難消化性食物繊維を酵素処理して低分子化しており、植物組織崩壊解・繊維素分解酵素として、プロテアーゼ、リパーゼなどを夾雑含有しており、細胞膜も分解して内部の蛋白質を可溶性の蛋白質としている。このため、可溶性食物繊維の特質である、グルコース吸収速度の低下、及び上昇した血清コレステロールの低下作用においては期待できるが、本来の不溶性食物繊維特有の効果である水分を吸収して何倍にも膨れ上がり、腸壁を刺激して腸の蠕動運動を促す、排便促進効果や、発がん性物質の生成を抑制する効果などは期待できない。
また、上記の特開2004−215505号公報でも、食物繊維が添加されているが、食物繊維の添加は、ヨーグルトの消化吸収を遅らせることを目的としており、GI値をより低くするために有用とされる。また、そのための好ましい食物繊維としては、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、グアーガム分解物、大豆多糖類、ビートファイバー、コーンファイバー等が挙げられており、水溶性食物繊維である。
上記の従来技術においては、食物繊維を用いているが、その目的は、水溶性食物繊維の有する効果を期待したものであり、不溶性食物繊維の作用である排便促進作用や発がん性物質の抑制作用を有効活用するものではない。
本発明の解決しようとする課題は、機能性成分を含有するヨーグルトの製造方法において、サトウキビ特有の不溶性食物繊維の効果である、排便促進効果や、発がん性物質の生成を抑制する効果を発揮する機能性、及び甘藷の茎葉に含まれ、眼病予防効果の高い「ルテイン」の機能性が発揮されるヨーグルトの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記の問題を解決するために、
請求項1では、ヨーグルトミックスとサトウキビの食物繊維を含有する原料に乳酸菌スターターを添加して発酵させることによるヨーグルトの製造方法とするものである。
請求項1では、ヨーグルトミックスとサトウキビの食物繊維を含有する原料に乳酸菌スターターを添加して発酵させることによるヨーグルトの製造方法とするものである。
該ヨーグルトミックスは、乳原料および必要に応じて加えた原料を混合し、殺菌した原料液をいう。一般的には、乳原料にバター等の油脂類、甘味料を混合して加温溶解し、加熱殺菌を行い、殺菌後、40℃程度に冷却したものである。
乳原料は、乳を原料とした素材であれば特に制限されず、牛乳、山羊乳などの乳の他に、脱脂粉乳、練乳、生クリーム、乳蛋白なども用いることができる
必要に応じて油脂、甘味料等その他従来のヨーグルトミックスの配合剤として知られているものを添加することもできる。例えば、糖質、安定剤、乳化剤、酸味料、pH調整剤、着香料、着色料、風味調整剤、酸化防止剤などを一例としてあげることができる。
糖質としては、例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、還元パラチノース、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)を用いることができる。また、高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、アリテーム、モナチン、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、甘茶抽出物(フィロズルチン)、ラカンカ抽出物(モグロシド)、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、ソーマチン、ラカンカ抽出物等の甘味成分が挙げられる。その中でも糖質としては良好な甘味を有するという点で砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、還元パラチノース、キシリトール、ラクチトール等)が好ましい。
安定剤としては、特に限定はないが、例えば、アラビアガム、カラギナン、寒天、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、ローメトキシルペクチン(LMペクチン)、ハイメトキシルペクチン(HMペクチン)、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、水溶性大豆多糖類、グルコマンナン、でん粉、化工でん粉、加工でん粉、デキストリン、ジェランガム、キサンタンガム、プルラン、カードラン、セルロース、カルボキシメチルセルロース塩、メチルセルロース、キチン、キトサン、ゼラチン等が良好な物性保持能を有するという点で好ましい。
サトウキビの食物繊維は、セルロース、ヘミセルロース,リグニンなどであり、セルロースが40%程度で、ヘミセルロースとリグニンが20%程度含まれている。表皮部分にはセミセルロースやリグニンが多く含まれている。
したがって、表皮を削除すると、ほとんどがセルロースとなる。セルロース (cellulose) とは、分子式 (C6H10O5)n で表される炭水化物(多糖類)である。植物細胞の細胞壁および繊維の主成分で、天然の植物質の1/3を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物である。繊維素とも呼ばれる。
サトウキビの成分比の概要としては、前記に示すとおり、繊維分10〜13%、ショ糖12〜15%、2〜4%がブドウ糖、果糖、オリゴ糖などであり、70%程度が水分である。
本発明で使用するサトウキビの食物繊維を含有する原料としては、サトウキビの茎部を洗浄後、乾燥、粉末化してものが使用できる。
また、サトウキビの茎部を直接、搾汁した絞りかすであるバガスを乾燥・粉末化したものでも良い。
また、サトウキビの茎部を破砕し、固液分離し、固形分を乾燥・粉末化したものでも良い。
乳酸菌スターターとしては、特に限定されるのもではなく、通常ヨーグルトに使用されるものを用いることができる。例えば、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ガッセリ、ラクトバチルス・ゼアエ、ラクトバチルス・ジョンソニー、ラクトバチルス・デルブッキー、ラクトバチルス・ブルガリカス等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・ジアセチラクチスなどのストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス、ラクトコッカス・プランタラム、ラクトコッカス・ラフィノラクチスなどのラクトコッカス属細菌、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・ラクチス、ロイコノストック・クレモリスなどのロイコノストック属細菌、エンテロコッカス・フェーカリス、エンテロコッカス・フェシウム等のエンテロコッカス属細菌、ペディオコッカス・クレモリスなどのペディオコッカス属細菌などを起用することができる。これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。上記の細菌の中でも、ヨーグルト風味の強さなど官能特性から、ストレプトコッカス・サーモフィリスおよびラクトバチルス・ブルガリカスの組合せ、ストレプトコッカス・サーモフィリスとラクトバチルス・ブルガリカスにこの2種以外の細菌を前述した細菌から選択される1種類以上の細菌を組み合わせたものを用いることが望ましい。
本発明の製造方法により得られるヨーグルトは、ヨーグルトミックスにサトウキビの食物繊維を添加後に発酵を行い、得られたヨーグルトをソフトタイプ、ドリンクタイプ、フローズンタイプ等に加工することもできる。
請求項2では、前記の発酵条件は、温度が37〜42℃、発酵時間が12〜36時間であることを特徴とするヨーグルトの製造方法とするものである。
該発酵温度は、37℃〜42℃程度が良く、好ましくは、38℃〜40℃が良い。
該発酵時間は、12〜36時間が良く、好ましくは18〜30時間、さらに好ましくは24〜30時間が良い。
本発明におけるヨーグルトの発酵は、ヨーグルトミックスとサトウキビの食物繊維を含有する原料に乳酸菌スターターを添加した後に、容器に充填して発酵を行うことが望ましい。このとき原料の充填後に開口部を蓋材でシールして発酵させることが静菌性の点で好ましい。
本発明のヨーグルトを充填する容器としては、流通や小売に一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、プラスチック、紙、ガラス、金属、陶器やそれらの複合材料を用いた容器を用いることができる。また、容器は通常の手段により密封包装して流通等を行うことが好ましい。
請求項3では、前記のサトウキビの食物繊維は、その乾燥粉末を原料の0.3〜5.0重量%添加することを特徴とするサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法とするものである。
該サトウキビの食物繊維粉末の添加量は、0.3〜5.0重量%が良く、好ましくは、0.5〜3.0%が良く、さらに好ましくは、1.0〜2.0%が好ましい。
添加量が0.3重量%以下では、不溶性食物繊維が少なく、効果は期待できない。5.0重量%以上では、サトウキビの食物繊維によるザラザラとした食感がきつくなり、ヨーグルトの食感を損ねるので好ましくない。
請求項4では、前記のサトウキビの食物繊維は、サトウキビの柔組織の乾燥粉末を用いることを特徴とするサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法である。
該サトウキビの柔組織は、サトウキビの茎部の表皮を削除し、内部の柔組織を破砕し、乾燥したものである。
この柔組織の乾燥粉末は、植物繊維が多く含まれており、特に、ほとんどが難消化性食物繊維であり、茶褐色のケーキ状の食物繊維となる。
サトウキビの食物繊維は、セルロース、ヘミセルロース,リグニンなどであり、セルロースが40%程度で、ヘミセルロースとリグニンが20%程度含まれている。表皮部分にはセミセルロースやリグニンが多く含まれている。
したがって、表皮を削除すると、ほとんどがセルロースとなる。セルロース (cellulose) とは、分子式 (C6H10O5)n で表される炭水化物(多糖類)である。植物細胞の細胞壁および繊維の主成分で、天然の植物質の1/3を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物である。繊維素とも呼ばれる。
請求項5では、前記のサトウキビの食物繊維は、サトウキビの葉の乾燥粉末を用いることを特徴とするサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法である。
該サトウキビの葉の乾燥粉末は、サトウキビの葉を採取し、自然乾燥あるいは強制乾燥させ、破砕して粉末状にしたものでああればいずれでも良い。
サトウキビの葉には、葉緑素が含まれており、鮮やかな緑色の食物繊維粉末となる。
請求項6では、前記のサトウキビの食物繊維に加えて、甘藷の茎葉の乾燥粉末を用いることを特徴とするサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法である。
該甘藷の茎葉は、生の甘藷の茎と葉の部分である。この茎と葉を採取し、細断して自然乾燥、低温乾燥、冷凍乾燥して粉砕したものが使用できる。
該甘藷に含まれる有効成分であるルテインは、カロテノイドの一種で、抗酸化作用を持つ黄色の天然色素であり、熱による酸化分解を受けやすいので、高温での乾燥処理は好ましくない。
尚、沖縄県で常食されている、甘藷の葉である「カンダバー」にはアントシアニンを含有する紅色のカンダバーを使用すると、目に良い機能性と鮮やかな紅色のヨーグルトとすることができる。
請求項7では、前記の甘藷の茎葉の乾燥粉末は、原料の0.5〜5.0重量%を添加することを特徴とするサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法である。
該甘藷の茎葉粉末の添加量は、ヨーグルト原料に対して、0.5〜5.0重量%程度が良く、好ましくは1.0〜3.0重量%が良く、さらに好ましくは1.0〜2.0重量%が良い。
添加量が0.5重量%以下では、ルテインの抗酸化作用が期待できない。5.0重量%以上では、青臭みが食味に影響するので好ましくない。
本発明では以下の効果を奏する。
(1)ヨーグルトの乳酸菌による整腸効果に加えて、サトウキビの不溶性食物繊維の効果である水分を吸収して何倍にも膨れ上がり、腸壁を刺激して腸の蠕動運動を促す、排便促進効果や、発がん性物質の生成を抑制する効果が発揮される。
(1)ヨーグルトの乳酸菌による整腸効果に加えて、サトウキビの不溶性食物繊維の効果である水分を吸収して何倍にも膨れ上がり、腸壁を刺激して腸の蠕動運動を促す、排便促進効果や、発がん性物質の生成を抑制する効果が発揮される。
(2)サトウキビの食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれており、水溶性食物繊維は糖類の吸収制御機能があり、また、乳酸菌のエサとなるので乳酸菌の整腸効果を高めることができる。
(3)腸内環境に大切な、植物性食品(食物繊維)と発酵食品(ヨーグルト)をバランスよく摂取できる。
(4)便秘に効果のあるヨーグルトを提供できる。
(5)ヨーグルトの乳酸菌と食物繊維による腸内環境改善効果に加えて、目の健康維持に効果のあるルテインやアントシアニンを含有するヨーグルトを提供できる。
(6)甘藷の茎葉粉末を含有することにより、鮮やかな紅色のヨーグルトを提供できる。
(7)新たなサトウキビや甘藷の茎葉の用途として、農業と製造業の振興に大きく寄与することが期待できる。
(8)サトウキビや甘藷の茎葉の新たな振興により、農業の活性化と共に地域の過疎化の解消に役立つ。
(9)繊維の少ない食生活から繊維を摂取する食生活に改善することにより、生活習慣病を減らし、さらに目における抗酸化力を高め、眼病を減らし、医療費の削減にも期待できる。
本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明による食物繊維入りヨーグルトの製造方法を示すフロー図である。
S−1)ヨーグルト原料の混合
ヨーグルトミックス1が1000gに対して、サトウキビ葉2又はサトウキビ柔組織3を乾燥粉末処理したサトウキビ食物繊維粉末4を20g及びカンダバー(紅色甘藷)の茎葉5の乾燥粉末6を20gを混合し、鮮やかな紅色のヨーグルト原料7となる。
ヨーグルトミックス1が1000gに対して、サトウキビ葉2又はサトウキビ柔組織3を乾燥粉末処理したサトウキビ食物繊維粉末4を20g及びカンダバー(紅色甘藷)の茎葉5の乾燥粉末6を20gを混合し、鮮やかな紅色のヨーグルト原料7となる。
サトウキビ葉及び柔組織の乾燥・粉末処理は、食品製造に用いられている種々の処理方法を使用できる。カンダバーの茎葉の乾燥処理においては、60℃以下での乾燥が好ましく、50℃での温風乾燥処理を行った後、粉砕処理した。
S−2)低温殺菌
十分に混合したヨーグルト原料7を62℃で30分間の低温殺菌処理を行う。
十分に混合したヨーグルト原料7を62℃で30分間の低温殺菌処理を行う。
S−3)乳酸菌混合
低温殺菌後、乳酸菌スターターとして、ビフィズス菌8を10g添加し、42℃〜45℃にて攪拌混合する。
低温殺菌後、乳酸菌スターターとして、ビフィズス菌8を10g添加し、42℃〜45℃にて攪拌混合する。
S−4)容器充填
スターターを添加、攪拌後、滅菌蓋付の100ml容器に100gずつ充填し、37℃〜38℃で24時間の乳酸菌発酵を行った。乳酸菌発酵により、サトウキビとカンダバーの可溶性食物繊維は乳酸菌のエサとなり発酵し、乳酸菌が増殖する。
スターターを添加、攪拌後、滅菌蓋付の100ml容器に100gずつ充填し、37℃〜38℃で24時間の乳酸菌発酵を行った。乳酸菌発酵により、サトウキビとカンダバーの可溶性食物繊維は乳酸菌のエサとなり発酵し、乳酸菌が増殖する。
S−5)冷却
24時間の乳酸菌発酵後、5℃に冷却し、紅色の食物繊維入りヨーグルト9とした。
24時間の乳酸菌発酵後、5℃に冷却し、紅色の食物繊維入りヨーグルト9とした。
上記で製造した食物繊維入りヨーグルト9は、サトウキビの食物繊維粉末4と紅色カンダバー粉末6を添加したが、サトウキビの食物繊維粉末4のみを添加したものでも良い。
サトウキビの葉の食物繊維を添加した場合には、淡い緑色の食物繊維入りヨーグルトとなり、サトウキビの柔組織食物繊維を添加した場合には、茶褐色の食物繊維入りヨーグルトとなる。
また、紅色カンダバーに変えて緑色のカンダバーを使用すると、紅色ではなく、使用したサトウキビの食物繊維の色となる。
出来上がった食物繊維入りヨーグルトは、わずかに繊維質の舌触りが感じられる程度であり、食味においてはほぼ通常のヨーグルトと変わりなく美味しく食することができる。
以上のように、食物繊維入りヨーグルトは、今までにない、腸内環境改善効果に加えて、目の健康維持に効果のあるヨーグルトを提供できる。
1 ヨーグルトミックス
2 サトウキビ葉
3 サトウキビ柔組織
4 サトウキビ食物繊維粉末
5 カンダバー茎葉(紅カンダバー)
6 カンダバー茎葉粉末
7 ヨーグルト原料
8 ビフィズス菌
9 食物繊維入りヨーグルト
S−1 混合工程
S−2 低温殺菌工程
S−3 乳酸菌混合工程
S−4 容器充填工程
S−5 冷却工程
2 サトウキビ葉
3 サトウキビ柔組織
4 サトウキビ食物繊維粉末
5 カンダバー茎葉(紅カンダバー)
6 カンダバー茎葉粉末
7 ヨーグルト原料
8 ビフィズス菌
9 食物繊維入りヨーグルト
S−1 混合工程
S−2 低温殺菌工程
S−3 乳酸菌混合工程
S−4 容器充填工程
S−5 冷却工程
Claims (7)
- ヨーグルトミックスとサトウキビの食物繊維を含有する原料に乳酸菌スターターを添加して発酵させることによるサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法。
- 前記の発酵条件は、温度が37〜42℃、発酵時間が12〜36時間であることを特徴とする請求項1に記載のサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法。
- 前記のサトウキビの食物繊維は、その乾燥粉末を原料の0.5〜5.0重量%添加することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法。
- 前記のサトウキビの食物繊維は、サトウキビの柔組織の乾燥粉末を用いることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法。
- 前記のサトウキビの食物繊維は、サトウキビの葉の乾燥粉末を用いることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法。
- 前記のサトウキビの食物繊維に加えて、甘藷の茎葉の乾燥粉末を用いることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法。
- 前記の甘藷の茎葉の乾燥粉末は、原料の0.5〜5.0重量%を添加することを特徴とする請求項6に記載のサトウキビ食物繊維入りヨーグルトの製造方法。
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