JP2015200399A - 工業用ローラー - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな負荷に対しても従来に比べて十分に大きな強度を有するCFRPを用いた工業用ローラーを提供すること。【解決手段】CFRO回転円筒体1と、その両端部に結合され回転の軸受け部分に回転可能に保持される回転軸体2とから構成され、回転軸体2は、CFRP回転円筒体1に内接する円筒状のCFRP接続円筒部5と、それに内接する金属接続円筒部3と、それと一体として構成され軸受け部分に保持される回転軸部4とを有し、CFRP接続円筒部5と金属接続円筒部3との間の第一の固定手段として、CFRP接続円筒部5に軸対称に4箇所設けたスリット状の穴6と、穴6挿入され金属接続円筒部3に固定された4つの固定キー7とを有している。【選択図】 図1
Description
本発明は、各種フィルムの製造装置や印刷機などにおいて用いられる工業用ローラーに関し、特にCFRP円筒を回転体に用いた工業用ローラーに関する。
光学フィルムや各種の樹脂シートの製造においては、加圧された2つのローラーの間に材料を通過させて延伸させ、そのローラーへ加える圧力の調整などにより所望の厚さのフィルムやシートに加工する装置が使用されている。このような加工装置への応用例が特許文献1及び2に記載されている。また、特許文献3に記載のように、印刷機においては孔版原紙に印刷用紙を押圧するプレスローラーなどが使用されている。通常、これらの工業用ローラーは金属円筒を用いて構成されている。
一方、近年、新たな工業用材料としてCFPR(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)が開発され、その、高強度、軽量、低熱膨張率、高耐蝕などの優れた性質を利用して様々な工業製品に適用されている。このCFRPを工業用ローラーの回転円筒に用いた場合、軽量で剛性が高いことにより回転時の撓みや回転駆動に対する負荷を小さくできるので、高速回転や高精度の回転が可能となること、ローラーの始動や制御が容易になることなどの多くの利点が得られる。
従来もCFRPの工業用ローラーへの適用は行われている。この場合、回転円筒をCFRPで構成し、回転の軸受け部分または回転の駆動部分に保持される回転軸を構成する部分、すなわち回転軸体は加工が容易で十分な強度が得られる金属により構成されている。図5は、その従来の工業用ローラーの構成の一例を示す部分断面図である。図5における工業用ローラー30は、回転円筒体であるCFRP回転円筒体1と、CFRP回転円筒体1の両端部に結合された回転軸体32とから構成され、回転軸体32は、金属により構成されCFRP回転円筒体1に内接する円筒状の金属接続円筒部33と、金属接続円筒部33と一体として構成され軸受け部分または駆動部分に保持される回転軸部34とから構成されている。さらに、CFRP回転円筒体1と金属接続円筒部33とは一般的に接着固定されている。
一般的に、工業用ローラーを上記のような材料の延伸加工などに使用する場合、使用材料やその加工形状によりCFRP回転円筒体と回転軸体には大きな負荷がかかる場合が多い。そこで、CFRPを用いた工業用ローラーを広範な用途に適用しようとする場合、CFRP回転円筒体と回転軸体との間の固定強度が問題となる。回転円筒体を構成するCFRPと回転軸体を構成する金属とは熱膨張率、弾性率など材質が大きく異なるため、CFRP回転円筒体と金属接続円筒部との間の接着固定強度が十分得られない場合が多い。この固定強度が不十分であると、使用時の負荷の増加により接着が剥離し回転円筒体が抜けてしまうという問題が発生する。このため、従来はCFRPの工業用ローラーへの適用範囲が限られていた。
そこで、本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、大きな負荷に対しても従来に比べて十分に大きな強度を有するCFRPを用いた工業用ローラーを提供することを目的とする。
第1の観点では、本発明は、回転する回転円筒体と、該回転円筒体の両端部に結合され前記回転の軸受け部分または前記回転の駆動部分に回転可能に保持される回転軸体とから構成される工業用ローラーにおいて、前記回転円筒体は炭素繊維強化プラスチックにより構成され、前記回転軸体は、炭素繊維強化プラスチックにより構成され前記回転円筒体に内接する円筒状のCFRP接続円筒部と、金属により構成され前記CFRP接続円筒部に内接する円筒状の金属接続円筒部と、該金属接続円筒部と一体として構成され前記軸受け部分または前記駆動部分に保持される回転軸部とを有し、前記CFRP接続円筒部と前記金属接続円筒部との間の第一の固定手段と前記回転円筒体と前記CFRP接続円筒部との間の第二の固定手段とを有し、前記第一の固定手段は前記CFRP接続円筒部に設けた穴または溝と、前記穴または前記溝に挿入され前記金属接続円筒部に固定または一体化された固定キーとを有することを特徴とする工業用ローラーを提供する。
上記のように、本発明においては、CFRP回転円筒体と金属接続円筒部との間にCFRP接続円筒部を介在させ、CFRP接続円筒部と金属接続円筒部との間の第一の固定手段として、CFRP接続円筒部に穴または溝を設け、その穴または溝に、金属接続円筒部に固定または一体化された固定キーを差し込み固定することで、互いに材質が異なるCFRP接続円筒部と金属接続円筒部との間を固定する。また、CFRP回転円筒体とCFRP接続円筒部は同じ材質であるので、それらの間の固定は接着固定や融着など様々な一般的な固定手段を選択することが出来る。これにより、大きな回転負荷に対しても、金属接続円筒部に固定された固定キーがCFRP接続円筒部から抜けることはないため、従来に比べて十分に大きな強度を有するCFRPを用いた工業用ローラーを得ることができる。
なお、CFRP回転円筒体自体に穴や溝を設けて、金属接続円筒部と直接に固定した場合には、その穴や溝の部分においてCFRP回転円筒体の強度が弱くなってしまい、大きな回転負荷をかけることができない。本発明においては、CFRP接続円筒部に設けた穴や溝はその上から同じ材質のCFRP回転円筒体に覆われて固定されるので、強度は劣化しない。
第2の観点では、本発明は、第1の観点の工業用ローラーにおいて、前記第一の固定手段は、前記CFRP接続円筒部に設けた穴と、該穴に挿入された固定キーと、該固定キーを前記金属接続円筒部に固定する手段を有することを特徴とする。固定キーをCFRP接続円筒部に設けた穴に差し込むことで軸方向の負荷に対しても抜けにくくなる。また、CFRP接続円筒部の穴に固定キーを挿入した状態でその固定キーを金属接続円筒に固定することで、穴の位置や大きさの選択範囲が広くなり、目的に合わせた設計がしやすくなる。固定キーの金属接続円筒への固定方法は、ねじや固定ピンによる方法、金属接続円筒に開けた固定キーの形状に合わせた穴への嵌めあいによる方法などがある。
第3の観点では、本発明は、前記第2の観点による工業用ローラーにおいて、前記固定キーに設けた丸穴と、前記金属接続円筒部の前記丸穴に対向する位置に設けた丸穴またはねじ穴とを有し、前記固定キーに設けた前記丸穴と、前記金属接続円筒部に設けた前記丸穴または前記ねじ穴にピンまたはねじを挿入して前記固定キーを前記金属接続円筒部に固定したことを特徴とする。例えば、固定キーを金属などの加工が容易で強度が大きな材料で構成し、それに穴を開けて金属接続円筒部とねじ固定を行うことにより容易にかつ低コストでCFRP接続円筒部と金属接続円筒部との間を固定することができる。
第4の観点では、本発明は、前記第2または第3の観点による工業用ローラーにおいて、前記金属接続円筒部の前記固定キーが固定される表面に前記固定キーの接触部分の形状に対応する形状の窪みを有することを特徴とする。このように金属接続円筒部の表面に固定キーの形状に対応する形状の窪みを設け、固定キーを金属接続円筒部に若干埋め込むことによって、ねじやピンのみによる固定よりも回転負荷に対する固定キーと金属接続円筒部との間の固定強度を大きくすることができる。
第5の観点では、本発明は、前記第1の観点による工業用ローラーにおいて、前記第一の固定手段は、前記CFRP接続円筒部の端部に設けた溝と、前記金属接続円筒部に一体として形成され、前記溝に挿入された突起状の固定キーとを有することを特徴とする。このように、CFRP接続円筒部の端部に切り込みや窪みなどからなる溝を設け、金属接続円筒部のCFRP接続円筒部が嵌る部分にその溝の形状に対応した突起部分を設けてそれを固定キーとすることで、回転方向の負荷に対してCFRP接続円筒部の滑りや抜けを防ぐことができる。また、固定キーを金属接続円筒部と一体化させることで、より低コストで本発明を実現することができる。
第6の観点では、本発明は、前記第1乃至第5のいずれかの観点による工業用ローラーにおいて、前記第二の固定手段は接着による固定であることを特徴とする。最も一般的な固定方法である接着を用いることにより、より低コストで本発明を実現することができる。
上記のように、本発明の工業用ローラーによれば、大きな負荷に対しても従来に比べて十分に大きな強度を有するCFRPを用いた工業用ローラーが得られる。
以下、図面を参照して本発明の工業用ローラーを実施例により詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、その重複した説明を省略する。
図1および図2は、実施例1に係る工業用ローラーの構成を示す図であり、図1は部分断面図、図2はその部分拡大図である。また図3は実施例1の工業用ローラーの分解部品図であり、(a)はCFRP回転円筒体の部分断面図、(b)はCFRP接続円円筒部の断面図、(c)は回転軸部および金属接続円筒部の断面図である。図1に示すように、本実施例の工業用ローラー10は、CFPRにより構成されたCFRO回転円筒体1と、そのCFRP回転円筒体1の両端部に結合され回転の軸受け部分または駆動部分に回転可能に保持される回転軸体2とから構成されている。回転軸体2は、CFRPにより構成されCFRP回転円筒体1に内接する円筒状のCFRP接続円筒部5と、金属により構成されCFRP接続円筒部5に内接する円筒状の金属接続円筒部3と、金属接続円筒部3と一体として構成され軸受け部分または駆動部分に保持される回転軸部4とを有している。さらに、図2、図3に示すように、CFRP接続円筒部5と金属接続円筒部3との間の第一の固定手段として、CFRP接続円筒部5に軸対称に4箇所設けたスリット状の穴6と、穴6に挿入され金属接続円筒部3に固定された4つの固定キー7とを有している。固定キー7は金属接続円筒部3と同じ金属で形成され穴6に内接する形状を有している。
また、本実施例においては、それぞれの固定キー7に2つの丸穴8を設け、金属接続円筒部3の丸穴8に対向するそれぞれの位置にねじ穴9を設け、丸穴8にねじ11を挿入して固定キー7を金属接続円筒部3に固定している。さらに、金属接続円筒部3の固定キー7が固定される表面に固定キー7の接触部分の形状に対応する形状の窪み12を有している。
また、CFRP回転円筒体1とCFRP接続円筒部5との間の第二の固定手段として、これら両者の間はエポキシ接着剤により接着固定を行っている。
ここで、本実施例の具体的な構成の一例を示す。CFRP回転円筒体1の外径は200mm、内径は150mm、長さは1500〜2500mmとし、CFRP接続円筒部5の外径は150mm、内径は130mm、長さは300mm、金属接続円筒部3を含めた回転軸体2の材料はステンレス鋼などとし、金属接続円筒部3の外径は130mm、内径は110mm、長さは200mm、とすることができる。また、円筒部分の嵌め合いのため、それぞれの円筒の内径および外径は最適な寸法公差で作製される。固定キー7の材料はステンレス鋼などとし、その形状は、長さ70mm、幅8mm、高さ10mmとし、穴6の形状は固定キー7に嵌め合うように設計する。また、金属接続円筒部3の表面に設けた窪み12の深さは2mm程度、ねじ11はM6とし、それに合わせて丸穴8の形状を定める。丸穴8はねじ11の頭を埋め込む部分を有している。なお、回転軸部4の形状は目的とする装置の軸受け部などに合わせて設計される。例えば、軸受けなどに支持される端部の外径は55mm、それと金属接続円筒部3との間の継ぎ部分の外径は80mmとすることができる。また、金属接続円筒部3にはCFRP回転円筒体1の外径に合わせた鍔を設けている。
以上のように、本実施例においては、大きな回転負荷に対しても、金属接続円筒部3に固定された固定キー7がCFRP接続円筒部5から抜けることはないため、十分に大きな強度を有するCFRPを用いた工業用ローラーを得ることができる
図4は、実施例2に係る工業用ローラーの一部の部分断面図である。図4において、本実施例の工業用ローラー20は、実施例1と同様なCFRP回転円筒体1と、そのCFRP回転円筒体1の両端部に結合され回転の軸受け部分または駆動部分に回転可能に保持される回転軸体22とから構成されている。回転軸体22は、CFRP回転円筒体1に内接する円筒状のCFRP接続円筒部25と、金属により構成されCFRP接続円筒部25に内接する円筒状の金属接続円筒部23と、金属接続円筒部23と一体として構成され軸受け部分または駆動部分に保持される回転軸部24とを有している。さらに、CFRP接続円筒部25と金属接続円筒部23との間の第一の固定手段として、CFRP接続円筒部25の端部に設けた4つの溝26と、金属接続円筒部23に一体として形成され、溝26に挿入される突起状の固定キー27とを有している。固定キー27は溝26に内接する形状を有している。ここで、溝26はCFRP接続円筒部25の内面から外面に貫通する溝であってもよく、または十分な深さを有する内面に設けた窪みであってもよい。固定キー27の突起の高さは溝26の深さに合わせて設定される。
本実施例の工業用ローラー20は第一の固定手段以外の部分は実施例1と同様な形状とすることができる。固定キー27の形状も実施例1の固定キー7と類似の形状とすることができる。
本実施例においてはCFRP接続円筒部25を溝26と固定キー27が合致するように軸方向から金属接続円筒部23に挿入することができる。CFRP接続円筒部25を金属接続円筒部23に挿入する際に両者を接着固定してもよい。その後、実施例1と同様に、CFRP回転円筒体1とCFRP接続円筒部25とを接着固定する。
本実施例の工業用ローラーは実施例1に比べると組み立て工数が少ないという利点がある。軸方向の引っ張り負荷に対しては実施例1より強度は小さいが、回転方向の負荷に対しては実施例1と同様に大きな強度が得られる。
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではないことは言うまでもなく、目的や用途に応じて設計変更可能である。例えば、CFRP回転円筒体の形状は目的に合わせて設計でき、CFRP接続円筒部の形状、金属接続円筒部、固定キーの材料や形状などもCFRP回転円筒体の形状、回転負荷の大きさなどにより最適な構成を選択可能である。
1 CFRP回転円筒体
2、22、32 回転軸体
3,23、33 金属接続円筒部
4、24、34 回転軸部
5、25 CFRP接続円筒部
6 穴
7、27 固定キー
8 丸穴
9 ねじ穴
11 ねじ
26 溝
2、22、32 回転軸体
3,23、33 金属接続円筒部
4、24、34 回転軸部
5、25 CFRP接続円筒部
6 穴
7、27 固定キー
8 丸穴
9 ねじ穴
11 ねじ
26 溝
Claims (6)
- 回転する回転円筒体と、該回転円筒体の両端部に結合され前記回転の軸受け部分または前記回転の駆動部分に回転可能に保持される回転軸体とから構成される工業用ローラーにおいて、前記回転円筒体は炭素繊維強化プラスチックにより構成され、前記回転軸体は、炭素繊維強化プラスチックにより構成され前記回転円筒体に内接する円筒状のCFRP接続円筒部と、金属により構成され前記CFRP接続円筒部に内接する円筒状の金属接続円筒部と、該金属接続円筒部と一体として構成され前記軸受け部分または前記駆動部分に保持される回転軸部とを有し、前記CFRP接続円筒部と前記金属接続円筒部との間の第一の固定手段と前記回転円筒体と前記CFRP接続円筒部との間の第二の固定手段とを有し、前記第一の固定手段は前記CFRP接続円筒部に設けた穴または溝と、前記穴または前記溝に挿入され前記金属接続円筒部に固定または一体化された固定キーとを有することを特徴とする工業用ローラー。
- 前記第一の固定手段は、前記CFRP接続円筒部に設けた穴と、該穴に挿入された固定キーと、該固定キーを前記金属接続円筒部に固定する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の工業用ローラー。
- 前記固定キーに設けた丸穴と、前記金属接続円筒部の前記丸穴に対向する位置に設けた丸穴またはねじ穴とを有し、前記固定キーに設けた前記丸穴と、前記金属接続円筒部に設けた前記丸穴または前記ねじ穴にピンまたはねじを挿入して前記固定キーを前記金属接続円筒部に固定したことを特徴とする請求項2に記載の工業用ローラー。
- 前記金属接続円筒部の前記固定キーが固定される表面に前記固定キーの接触部分の形状に対応する形状の窪みを有することを特徴とする請求項2または3に記載の工業用ローラー。
- 前記第一の固定手段は、前記CFRP接続円筒部の端部に設けた溝と、前記金属接続円筒部に一体として形成され、前記溝に挿入された突起状の固定キーとを有することを特徴とする請求項1に記載の工業用ローラー。
- 前記第二の固定手段は接着による固定であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の工業用ローラー。
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