JP2015198648A - 油中水型油脂組成物用食味改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】油中水型油脂組成物において、水相に含まれる呈味成分の呈味を口腔内で明瞭に発現させ、かつ該油中水型油脂組成物の食感を良好にすることを可能にする食味改善剤を提供する。
【解決手段】グリセリンコハク酸不飽和脂肪酸エステルを有効成分とすることを特徴とする油中水型油脂組成物用食味改善剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、油中水型油脂組成物に用いる食味改善剤に関する。
マーガリン、ファットスプレッド等の油中水型油脂組成物は、従来製菓・製パン・調理用油脂等として広く用いられている。これら油中水型油脂組成物の中でも、特に製菓・製パンの用途においては、他の食材の風味を損なわないため、食塩(塩化ナトリウム)等の呈味成分を添加していない製品が好まれる。一方、トーストへの塗布や調理用油脂として用いる製品としては、予め各種呈味成分を添加することにより、油中水型油脂組成物自体のコク味を引き立てたり、他の食品の風味を付与したものが製造・販売されている。
このような呈味成分を添加した油中水型油脂組成物において、その呈味成分の多くは水相に含有されている。しかし、油中水型油脂組成物は水相が油相に覆われた構造をとることから、水相に由来する呈味は口腔内で知覚されにくい。従って、十分な呈味を得るためには呈味成分を多量に添加する必要がある。
一方で、近年、高血圧・心臓病・高脂血症・糖尿病予防等の健康上の理由により、減塩タイプや低糖質タイプの食品が求められている。このことから、油中水型油脂組成物においてもより少ない呈味成分の添加量で十分な呈味を得られるよう、水相由来の呈味を口腔内で明瞭に発現させるための方法がいくつか提案されてきた。
例えば、1種類の油相に、少なくとも2種類以上の水相を別々に乳化した後、急冷し、練りを加えてなることを特徴とする油中水型乳化組成物(特許文献1)等が開示されている。しかしながら、この方法は製造条件に特徴があることから、製造設備や工程の制約があり、簡便性の点で問題がある。
また、製造設備等の制約を受けない方法としては、例えば、食塩を0.4重量%以上1.0重量%未満含有する油脂組成物であって、35℃における導電率上昇において、平衡値の50%に達するまでの時間が50秒以内であることを特徴とする油中水型油脂組成物(特許文献2)、油脂及び具材からなる油脂組成物であって、油脂含量が30重量%以上、具材含量が固形分換算で0.01〜35重量%、塩味成分含量が0.1重量%以上、水分含量が5重量%以下、HLB値11以上の乳化剤含量が0.01重量%以上であることを特徴とする油脂組成物(特許文献3)、等が開示されているが、これらの方法では呈味改善効果が十分でなく、実用上満足し得るものとは言えない。
このため、製造設備等の制約を受けず、かつ呈味の発現性により優れた油中水型油脂組成物を得るための方法が求められていた。
特開2010−148478号公報 特開2012−175949号公報 特開2000−228947号公報
本発明は、油中水型油脂組成物において、水相に含まれる呈味成分の呈味を口腔内で明瞭に発現させ、かつ該油中水型油脂組成物の食感を良好にすることを可能にする食味改善剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、油中水型油脂組成物に、構成脂肪酸が不飽和脂肪酸であるグリセリンコハク酸脂肪酸エステルを添加することにより、該油中水型油脂組成物の水相に含まれる呈味成分の呈味、特に塩味が口腔内で明瞭に発現し、かつ該油中水型油脂組成物の食感が良好になることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、
(1)グリセリンコハク酸不飽和脂肪酸エステルを有効成分とすることを特徴とする油中水型油脂組成物用食味改善剤、
(2)前記(1)記載の油中水型油脂組成物用食味改善剤を含有する油中水型油脂組成物、
(3)前記(1)記載の油中水型油脂組成物用食味改善剤を油中水型油脂組成物に添加することを特徴とする油中水型油脂組成物の食味改善方法、
から成っている。
本発明の油中水型油脂組成用食味改善剤は、これを油中水型油脂組成物に添加するだけで簡便に、該油中水型油脂組成物の水相に含まれる呈味成分の呈味、特に塩味及び甘味を明瞭に発現させることができる。このため、本発明の油中水型油脂組成物用食味改善剤を添加した油中水型油脂組成物においては、呈味成分の添加量が少なくても十分な呈味を得ることができる。
また、本発明の油中水型油脂組成物用食味改善剤を添加した油中水型油脂組成物は、なめらかさや口どけといった食感が改善されており、食味が良好である。
本発明の油中水型油脂組成物用食味改善剤(以下、本発明の食味改善剤ともいう)は、グリセリンコハク酸不飽和脂肪酸エステルを有効成分とする。
本発明に用いられるグリセリンコハク酸不飽和脂肪酸エステル(以下、不飽和SMGともいう)とは、グリセリンとコハク酸と不飽和脂肪酸のエステル化生成物である。該不飽和SMGは、通常グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルと無水コハク酸(又はコハク酸)との反応、若しくはグリセリンとコハク酸と不飽和脂肪酸との反応等自体公知の方法により得ることができる。その製法の概略を以下に示す。
例えば、グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを溶融し、これに無水コハク酸を加え、温度110〜130℃で90分間反応する。グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルと無水コハク酸との比率は質量比で7:1〜4:1が好ましい。さらに、反応中は生成物の着色、臭気を防止するために、反応器内を不活性ガスで置換する方が好ましい。得られたグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルと無水コハク酸との反応物は、不飽和SMGの他に、コハク酸、未反応のグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル等を含む混合物である。
不飽和SMGを構成する不飽和脂肪酸は、食用可能な動植物油脂を起源とし、炭素原子間の結合に一以上の二重結合を含む不飽和脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、リシノール酸、縮合リシノール酸等が挙げられる。これら不飽和脂肪酸は一種類のみを単独で用いても良いし、二種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。とりわけ、オレイン酸及び/又はリノール酸を80質量%以上含有する脂肪酸混合物を用いるのが好ましい。
本発明の食味改善剤は、不飽和SMGのみをそのまま用いても良く、あるいは少なくとも不飽和SMGを含有する組成物として調製しても良い。本発明の食味改善剤をこのような組成物として調製する場合、不飽和SMG以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の任意の成分を配合することができる。例えば、賦形剤(デキストリン、乳糖等)、旨味調味料(L−グルタミン酸ナトリウム等)、不飽和SMG以外の乳化剤等を配合することができる。
本発明の食味改善剤は、油中水型油脂組成物に添加することにより、該油中水型油脂組成物の食味を改善するものである。なお、ここで言う食味とは該油中水型油脂組成物を喫食した際に感じられる呈味及び食感を総合した、食品としてのおいしさである。即ち、食味の改善とは、油中水型油脂組成物の呈味及び食感を同時に改善し、該油中水型油脂組成物の総合的なおいしさを向上させることを意味する。
本発明において呈味の改善とは、油中水型油脂組成物の水相に含まれる呈味成分に由来する呈味を口腔内で明瞭に発現させることを言う。本発明の食味改善剤が発現を明瞭化する呈味としては、例えば塩味、甘味、酸味、苦味及び旨味の基本5味、並びに辛味、渋味、コク味、その他食品素材の風味、香味等が挙げられるが、とりわけ塩味及び甘味が好ましい。また食感の改善とは、油中水型油脂組成物のなめらかさや口どけを良好にすることを言う。
本発明の食味改善剤を添加する対象の油中水型油脂組成物としては、油脂を主成分とする油相を連続相とし、前記油相中に水分を主成分とする水相を分散・混合させる乳化工程により得られる、油中水型乳化油脂組成物の形態の食品であれば特に制限はない。このような油中水型油脂組成物としては、例えばマーガリン、ファットスプレッド、バター、バタークリーム、クリームチーズ、ショートニング等が挙げられるが、特にマーガリン及びファットスプレッドが好ましい。ここで、マーガリンは油脂組成物中に占める油脂含有率が80質量%以上のものをいい、ファットスプレッドは80質量%未満のものをいう。またバタークリームとは、油相と水相とを起泡しながら乳化すること、又は一旦油中水型に乳化した油脂組成物をさらに起泡することにより得られる、気泡を含有する油中水型油脂組成物をいう。
前記油中水型油脂組成物の油相を構成する油脂としては、一般に食品に用いられるものであれば特に制限はなく、例えばパーム油、パーム核油、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂あるいはそれらに硬化、分別、エステル交換等の処理を施した加工油脂が挙げられる。
また、本発明の食味改善剤は油中水型油脂組成物の水相由来の呈味を明瞭に発現させることを目的とするものであるから、油中水型油脂組成物の中でも特に水溶性の各種呈味成分を含有するものに対して用いることが好ましい。
油中水型油脂組成物に含有される水溶性の呈味成分としては、例えば食塩、塩化マグネシウム、リン酸塩等の塩類、ショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖、果糖、還元澱粉糖化物、水飴、トレハロース、オリゴ糖、異性化液糖、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ソルビトール、還元乳糖、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖等の糖類、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、サッカリン、甘草抽出物、蜂蜜、メープルシロップ等の甘味料、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、粉乳、加工乳、濃縮乳、濃縮ホエイ、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、チーズ等の乳製品、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、ホエープロテインコンセートレート等の乳蛋白、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等の酸味料、胡椒、しょうが、にんにく、トウガラシ等の香辛料・香味野菜類、昆布だし、かつおだし、いりこだし等のだし類、L−アスパラギン酸ナトリウム、DL−アラニン、L−イソロイシン、5’−イノシン酸二ナトリウム、5’−ウリジル酸二ナトリウム、塩化カリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、グリシン、L−グルタミン酸、L−グルタミン酸アンモニウム、L−グルタミン酸カリウム、L−グルタミン酸カルシウム、L−グルタミン酸ナトリウム、L−グルタミン酸マグネシウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、5’−シチジル酸二ナトリウム、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、L−テアニン、DL−トリプトファン、L−トリプトファン、DL−トレオニン、L−トレオニン、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、L−バリン、L−フェニルアラニン、フマル酸一ナトリウム、DL−メチオニン、L−メチオニン、L−リシンL−アスパラギン酸塩、L−リシン塩酸塩、L−リシンL−グルタミン酸塩、5’−リボヌクレオチドカルシウム、5’−リボヌクレオチドニナトリウム、硫酸カリウム、DL−リンゴ酸ナトリウム、蛋白加水分解物、核酸等の調味料、豆類、ごま類、野菜類、果実類、肉類、魚介類等の食品素材、酵母エキス、ポークエキス、チキンエキス、魚介エキス、野菜エキス、きのこエキス等の各種エキス類、魚醤、醤油、味噌、ソース、果汁、ナッツペースト、カカオマス、ココアパウダー、コーヒー及びコーヒー製品、酒類、トマト加工品、コーン加工品、豆乳、マスタード、塩麹、酢等が挙げられる。これらの中でも、特に塩類、糖類及び甘味料が好ましく、とりわけ食塩(塩化ナトリウム)及び異性化液糖が好ましい。
本発明の食味改善剤を添加して油中水型油脂組成物を製造する方法に特に制限はなく、慣用の装置を用いて、常法により製造することができる。以下に、本発明の食味改善剤を添加したマーガリン及びファットスプレッド、並びにバタークリームの製造方法の一例を示す。
<マーガリン及びファットスプレッドの製造方法>
例えば、油脂及び本発明の食味改善剤を混合し、通常50〜90℃、好ましくは60〜80℃に加熱して溶解し、所望により酸化防止剤(例えば抽出トコフェロール等)、着色料(例えばβ−カロテン等)、香料(例えばミルクフレーバー等)、不飽和SMG以外の乳化剤(例えばポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、レシチン等)等を添加して油相とする。一方、精製水に、所望により前記呈味成分等を加え、50〜60℃に加熱して溶解し水相とする。次に、前記油相と水相を通常の攪拌・混合槽を用いて混合し、得られた混合液を送液ポンプで急冷捏和装置に送液し、油脂の結晶化と練捏を連続的に行いマーガリン又はファットスプレッドを得る。また乳化工程をとらず、油相と水相をそれぞれ定量ポンプで急冷捏和装置に送液し、以下同様に処理しマーガリン又はファットスプレッドを得ることもできる。得られたマーガリン又はファットスプレッドは、更に、25〜30℃で12〜72時間テンパリングされるのが好ましい。
<バタークリームの製造方法>
例えば、油脂及び本発明の食味改善剤を混合し、通常50〜90℃、好ましくは60〜80℃に加熱して溶解し、所望により酸化防止剤(例えば抽出トコフェロール等)、着色料(例えばβ−カロテン等)、香料(例えばミルクフレーバー等)、不飽和SMG以外の乳化剤(例えばポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、レシチン等)等を添加する。得られた溶液を送液ポンプで予冷器を通して急冷捏和装置に送液し、油脂の結晶化と練捏を連続的に行い油脂組成物を得る。得られた油脂組成物は、更に、25〜30℃で12〜72時間テンパリングされるのが好ましい。
前記油脂組成物を油相とし、通常10〜30℃、好ましくは15〜25℃に調温してミキサーで起泡する。ここに水相として前記呈味成分をそのまま、又は精製水に溶解して加え、任意の比重になるまでさらに起泡してバタークリームを得る。
本発明の食味改善剤の油中水型油脂組成物への添加量は、油中水型油脂組成物における油相と水相の比率、油中水型油脂組成物に含まれる食品原材料、呈味成分の量等によって異なるが、油中水型油脂組成物100質量部に対して、不飽和SMGが好ましくは0.05〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部となるように添加することが、良好な食味を得る上で効果的である。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[製造例1]
[グリセリンコハク酸不飽和脂肪酸エステルの調製]
グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル(商品名:エマルジーOL−100H;構成脂肪酸:オレイン酸;理研ビタミン社製)724.5g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)175.5g、を仕込み、80℃から20℃/時間で110℃まで攪拌しながら昇温し、110℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物を冷却し、グリセリンコハク酸不飽和脂肪酸エステル(試作品1)を得た。
[製造例2]
[グリセリンコハク酸飽和脂肪酸エステルの調製]
グリセリンモノ飽和脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;構成脂肪酸:パルミチン酸;理研ビタミン社製)720g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)180gを仕込み、80℃から20℃/時間で110℃まで攪拌しながら昇温し、110℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物を冷却し、グリセリンコハク酸飽和脂肪酸エステル(試作品2;以下、飽和SMGともいう)を得た。
[マーガリンによる評価]
(1)原材料
1)菜種硬化油(商品名:HR−35;横関油脂工業社製)
2)菜種白絞油(商品名:ナタネサラダ油;ボーソー油脂社製)
3)イオン交換水
4)食塩(日本食塩製造社製)
5)供試乳化剤
5−1)不飽和SMG(試作品1)
5−2)飽和SMG(試作品2)
5−3)グリセリン飽和脂肪酸エステル(商品名:エマルジーMS;構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
5−4)レシチン(商品名:大豆レシチンA;リノール油脂社製)
(2)原材料の配合
前記原材料を用いて調製したマーガリン1〜4の配合組成を表1に示した。この内、マーガリン1は、食味改善剤として不飽和SMGを添加した実施例である。また、マーガリン2〜4は、食味改善剤として不飽和SMG以外の乳化剤を添加した比較例である。なお、表1の配合割合は、供試乳化剤を除いた原材料の合計が100質量部となるように表記し、各マーガリンは当該原材料の合計が200gとなる分量で調製した。
Figure 2015198648
(3)マーガリンの調製方法
1)ビーカーに菜種硬化油、菜種白絞油及び各供試乳化剤を所定量入れ、80℃で溶融混合し、油相部となる混合油脂を得た。
2)一方、別のビーカーにイオン交換水及び食塩を所定量入れ、60℃で混合し、水相部となる食塩水を得た。
3)前記混合油脂を、TKホモミキサー(商品名;型式:M型;プライミクス社製)を用いて約10000rpmで撹拌しながら、60℃に保温しておいた前記食塩水を少量ずつ加え、3分間撹拌して油中水型乳化液を得た。
4)撹拌終了後すぐにビーカーを10℃の恒温槽に投入し、前記油中水型乳化液をガラス棒で撹拌しながら15℃まで冷却した。
5)前記油中水型乳化液をプラスチック製容器に移し替え、冷蔵庫で5℃に急冷して油中水型乳化油脂組成物の形態のマーガリン1〜4を得た。
(4)官能評価
得られたマーガリン1〜4の塩味及びなめらかさについて、官能評価を行った。評価は表2の評価基準により、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表3に示す。
◎:極めて良好 平均値3.5以上
○:良好 平均値2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均値1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均値1.5未満
Figure 2015198648
Figure 2015198648
表3の結果から明らかなように、本発明の実施例であるマーガリン1は、塩味が強く感じられ、食感もなめらかで良好な食味が得られた。一方、比較例であるマーガリン2〜4は、いずれも塩味やなめらかさが劣っていた。特に、マーガリン4は食味改善効果がほぼ得られていないことが確認された。
(5)電気伝導度の測定
官能評価の結果、一定の呈味改善効果が得られたマーガリン1〜3について、呈味の発現性を定量的に表すため、下記の測定方法により電気伝導度を測定した。
[電気伝導度の測定方法]
1)ビーカーにイオン交換水800gを加え、循環式恒温槽にて40℃まで加温する。
2)冷蔵(5℃)しておいた各マーガリン8gを前記イオン交換水に投入し、マグネチックスターラー(型式:SR−350;アドバンテック東洋社製)を用いて150rpmで撹拌しながら溶解させていく。
3)電気伝導度計(型式:ES−71;堀場製作所社製)を用いて、経時的に電気伝導度を測定する。
マーガリン投入からの経過時間が200秒、400秒、600秒のそれぞれの時点における電気伝導度の測定結果を表4に示した。
Figure 2015198648
ここで、一般に水は塩分濃度が高いほど電気伝導度も高くなる。即ち、イオン交換水における電気伝導度は、マーガリンからイオン交換水中に溶解した塩分の量に比例して上昇するため、前記測定結果は各マーガリンにおける塩分の溶出速度を表す。
表4の結果より、本発明の実施例であるマーガリン1は、マーガリン2及び3に比べて投入後600秒経過時点までの電気伝導度の上昇が速い。即ち、マーガリン1はこれらの中で最も塩分の溶出速度が速かった。このことから、食味改善剤として不飽和SMGを添加したマーガリンは、水相に含まれる呈味成分の溶出が速く、口腔内においてその呈味を感じやすいことがわかった。
[ファットスプレッドによる評価]
(1)原材料
1)菜種硬化油(商品名:HR−35;横関油脂工業社製)
2)菜種白絞油(商品名:ナタネサラダ油;ボーソー油脂社製)
3)イオン交換水
4)食塩(日本食塩製造社製)
5)ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:SYグリスターCRS−75;阪本薬品工業社製)
6)レシチン(商品名:SLP−ペースト;辻製油社製)
7)供試乳化剤
7−1)不飽和SMG(試作品1)
7−2)グリセリン不飽和脂肪酸エステル(商品名:エマルジーHRO;構成脂肪酸:オレイン酸、リノール酸;理研ビタミン社製)
(2)原材料の配合
前記原材料を用いて調製したファットスプレッド1及び2の配合組成を表5に示した。この内、ファットスプレッド1は、食味改善剤として不飽和SMGを添加した実施例である。また、ファットスプレッド2は、食味改善剤として不飽和SMG以外の乳化剤を添加した比較例である。なお、各ファットスプレッドは前記原材料の合計が200gとなる分量で調製した。
Figure 2015198648
(3)ファットスプレッドの調製方法
1)ビーカーに菜種硬化油、菜種白絞油、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、レシチン及び各供試乳化剤を所定量入れ、70℃で溶融混合し、油相部となる混合油脂を得た。
2)一方、別のビーカーにイオン交換水及び食塩を所定量入れ、60℃で混合し、水相部となる食塩水を得た。
3)前記混合油脂を、TKホモミキサー(商品名;型式:M型;プライミクス社製)を用いて約10000rpmで撹拌しながら、60℃に保温しておいた前記食塩水を少量ずつ加え、3分間撹拌して油中水型乳化液を得た。
4)撹拌終了後すぐにビーカーを10℃の恒温槽に投入し、前記油中水型乳化液をガラス棒で撹拌しながら15℃まで冷却した。
5)前記油中水型乳化液をプラスチック製容器に移し替え、冷蔵庫で5℃に急冷して油中水型乳化油脂組成物の形態のファットスプレッド1及び2を得た。
(4)官能評価
得られたファットスプレッド1及び2の塩味及びなめらかさについて、官能評価を行った。評価は表6の評価基準により、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表7に示す。
◎:極めて良好 平均値3.5以上
○:良好 平均値2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均値1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均値1.5未満
Figure 2015198648
Figure 2015198648
表7の結果から明らかなように、本発明の実施例であるファットスプレッド1は、塩味が強く感じられ、食感もなめらかで良好な食味が得られた。一方、比較例であるファットスプレッド2は、塩味がほとんど感じられず、なめらかさにおいてもやや劣っていた。
[バタークリームによる評価]
(1)原材料
1)菜種硬化油(商品名:HR−35;横関油脂工業社製)
2)果糖ブドウ糖液糖(商品名:ハイフラクトM;日本コーンスターチ社製)
3)供試乳化剤
3−1)不飽和SMG(試作品1)
3−2)飽和SMG(試作品2)
3−3)グリセリン飽和脂肪酸エステル(商品名:エマルジーMS;構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
3−4)レシチン(商品名:SLP−ペースト;辻製油社製)
(2)油相の調製
1)ビーカーに菜種硬化油300gを入れ、ここに表8に示す分量の供試乳化剤をそれぞれ加えて60℃で溶融混合した。
2)ビーカーを2℃の恒温槽に投入し、ガラス棒で撹拌しながら前記混合物の流動性がなくなるまで冷却した。
3)ビーカーを恒温槽から取り出してさらに90秒撹拌した後、これを25℃で16時間テンパリングした。
4)テンパリング後、冷蔵庫で5℃に急冷してバタークリームの油相となる油脂組成物1〜3を得た。
Figure 2015198648
(3)バタークリームの調製
1)予め20℃に調温した油脂組成物1〜3を、それぞれ180gずつ卓上型ミキサー(商品名:ケンミックスアイコープロKM−600;愛工舎製作所社製)に投入し、速度を「MAX」に設定して1分間ホイップした。
2)1分後、ミキサーを止めてヘラでかき混ぜ、再びミキサーで1分間ホイップした。この操作を、比重が0.4〜0.5g/mLになるまで繰り返した。
3)上記の比重になったところで、液糖120gをゆっくりと加えながらミキサーで1分間ホイップした。
4)1分後、ミキサーを止めてヘラでかき混ぜ、再びミキサーで1分間ホイップした。この操作を、比重が0.6g/mLになるまで繰り返した。
5)上記の比重になったところで、ポリ容器に移して冷蔵庫で5℃に急冷し、油中水型油脂組成物の形態のバタークリーム1〜3各300gを得た。
(4)官能評価
得られたバタークリーム1〜3の甘味及び口どけについて、官能評価を行った。評価は表9の評価基準により、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表10に示す。
◎:極めて良好 平均値3.5以上
○:良好 平均値2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均値1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均値1.5未満
Figure 2015198648
Figure 2015198648
表10の結果から明らかなように、本発明の実施例であるバタークリーム1は、甘味が強く感じられ、口どけも良く良好な食味が得られた。一方、比較例であるバタークリーム2は甘味や口どけがやや劣っており、バタークリーム3は食味改善効果がほぼ得られていないことが確認された。

Claims (3)

  1. グリセリンコハク酸不飽和脂肪酸エステルを有効成分とすることを特徴とする油中水型油脂組成物用食味改善剤。
  2. 請求項1記載の油中水型油脂組成物用食味改善剤を含有する油中水型油脂組成物。
  3. 請求項1記載の油中水型油脂組成物用食味改善剤を油中水型油脂組成物に添加することを特徴とする油中水型油脂組成物の食味改善方法。
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