JP2015196788A - ポリアミドフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、透明性に優れ、異物が少なく外観に優れたポリアミド樹脂又は該樹脂を含む組成物からなるフィルムを提供すること。【解決手段】ポリアミドを構成するモノマー単位として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位を25モル%以上含み、炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位を25モル%以上含み、末端封止剤に由来するモノマー単位を0.6〜2.8モル%含むポリアミド樹脂(A)からなるフィルムであって、該フィルム中における1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に由来するトランス異性体構造単位の含有率が70〜90モル%であり、融解ピーク温度(Tm)が310℃以上である厚み1〜200μmのフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線基板用フィルム等の高耐熱性が要求される用途に有効な、ポリアミド樹脂又は該樹脂を含む組成物からなるフィルムに関する。
携帯電話、携帯音楽機器、プリンター、パーソナルコンピューター等の各種製品に使用されるプリント配線板用耐熱フィルムには、フィルムの生産性に加えて、リフローはんだ工程の240〜260℃の温度域で変形等が起きない高い耐熱性が要求される。
プリント配線基板等には一般的にポリイミドフィルムが用いられる。ポリイミドフィルムは優れた耐熱性を有しているが、溶融成形が困難であることに加えて、高価であり、また透明フィルムが得られにくいという問題がある。
一方、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルイミドに代表される非晶性フィルムは光学特性や電気特性、湿度特性に優れている反面、ガラス転移温度以上の温度ではフィルムが軟化してしまい、その機能を発揮できない。これを改善すべく、半芳香族ポリアミドを用いた耐熱フィルムが提案されているが(特許文献1)、耐熱性が十分満足のいくものではない。
さらに、ジカルボン酸単位が主に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位からなるポリアミドとポリフェニレンエーテルとからなる組成物を用いたフィルムも提案されているが(特許文献2)、耐熱性や透明性、フィルム成形性等には改善の余地があった。
特開2000−186141号公報 国際公開第2008/149862号公報
しかして、本発明の目的は、耐熱性、透明性に優れ、異物が少なく外観に優れたポリアミド樹脂又は該樹脂を含む組成物からなるフィルムを提供することにある。
本発明によれば、上記目的は、
[1]ポリアミドを構成するモノマー単位として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位を25モル%以上含み、炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位を25モル%以上含み、末端封止剤に由来するモノマー単位を0.6〜2.8モル%含むポリアミド樹脂(A)からなるフィルムであって、
該フィルム中における1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に由来するトランス異性体構造単位の含有率が70〜90モル%であり、融解ピーク温度(Tm)が310℃以上である厚み1〜200μmのフィルム;
[2]ポリアミド樹脂(A)の0.2g/dl濃硫酸溶液の30℃で測定した溶液粘度(ηinh)が1.1〜3.0dl/gである、前記[1]のフィルム;
[3]前記炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]又は[2]のフィルム;
[4]前記炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位が1,9−ノナンジアミンである、前記[1]〜[3]のいずれかのフィルム;
[5]前記炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位として更に2−メチル−1,8−オクタンジアミンを1〜25モル%含む、前記[4]のフィルム;
[6]ポリアミド樹脂(A)中のリン原子濃度が10〜100ppmである、前記[1]〜[5]のいずれかのフィルム;
[7]さらにポリアミド樹脂(A)100質量部に対してルイス塩基として作用する化合物(B)を0.1〜10質量部含有する、前記[1]〜[6]のいずれかのフィルム;
[8]前記[1]〜[7]のいずれかのフィルムをさらに延伸する工程を含む延伸フィルムの製造方法;及び
[9]前記[1]〜[7]のいずれかのフィルムをリフローする工程を含むフレキシブルプリント基板の製造方法、
を提供することにより達成される。
本発明によれば、耐熱性、透明性に優れ、異物が少なく外観に優れたポリアミド樹脂又は該樹脂を含む組成物からなるフィルムを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔ポリアミド樹脂(A)〕
本発明のフィルムに用いられるポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー単位は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位を25モル%以上含み、炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位を25モル%以上含み、末端封止剤に由来するモノマー単位を0.6〜2.8モル%含む。なお、これらモノマー単位のカルボキシル基に対するアミノ基のモル比は0.95〜1.05の範囲内にあると所望の溶液粘度を達成しやすくなるので好ましい。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びそれから誘導される単位には、現代有機化学(第4版)上巻(K. P. C. Vollhardt、 N. E. Schore、(株)化学同人、 2004年4月1日発行、174頁)に記載されている通りトランス体とシス体の幾何異性体が存在し、二つの置換基の両方がアキシアル位もしくはエクアトリアル位を占める場合にはトランス体、それぞれアキシアル位、エクアトリアル位を占める場合にはシス体となる。
ポリアミド樹脂(A)中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位のトランス体−シス体転位は可逆的に進行するため、そのトランス体とシス体の比率はポリアミド樹脂(A)を製造する条件、ポリアミド樹脂組成物を製造する条件、フィルムを成形する条件により変化し得る。このため1,4−シクロヘキサンジカルボン酸原料のトランス体比率はいずれの範囲でも構わないが、トランス体比率が50モル%以下であるとジアミン原料とのナイロン塩の水溶性が良好となるので好ましい。また、本発明のフィルム中における1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に由来するトランス異性体構造単位の含有率は70〜90モル%であり、好ましくは75〜90モル%である。トランス異性体構造単位の含有率が70モル%未満であると耐熱性が低下し、90モル%より多いと成形性が低下する。
ポリアミド樹脂(A)に含まれる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位は、通常25モル%以上であり、好ましくは40〜52モル%であり、より好ましくは45〜50モル%である(但し、ジカルボン酸単位、ジアミン単位及び末端封止剤に由来するモノマー単位の含有量の合計量は100モル%を超えない。)。ポリアミド樹脂(A)に含まれる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位が25モル%未満の場合には、得られるフィルムの耐熱性、透明性、外観が低下する。
ポリアミド樹脂(A)は、本発明の効果を妨げない限り、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位を含有していてもよい。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位としては、例えば1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−(3−メチル)シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を併用してもよい。本発明の効果を損なわない範囲内において、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸から誘導される単位を含有していてもよい。ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー単位に含まれる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位が25モル%未満の場合には、得られるフィルムの耐熱性、透明性、外観が低下するため、上記のような1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位を含有させる場合、25モル%以下とすることが好ましい。
ポリアミド樹脂(A)に含まれる炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位は、通常25モル%以上であり、好ましくは40〜52モル%であり、より好ましくは45〜50モル%である。ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー単位において、炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位が25モル%未満の場合には、得られるフィルムの耐熱性が低下する。
炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位としては、例えば1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミン等から誘導される単位;2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミン等から誘導されるジアミン単位が挙げられる。これらは1種を単独又は2種以上を併用してもよい。上記の炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位の中では、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記ジアミン単位のうち、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー単位として1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種を25モル%以上含むものがより好ましく、1,9−ノナンジアミン単位を25モル%以上含むのがさらに好ましい。さらに、これらに対して2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を25モル%以下の割合で併用することが特に好ましく、1〜25モル%の割合で併用することが最も好ましい。ジアミン単位をこのような構成にすることで、耐熱性に優れたフィルムが得られる。
ポリアミド樹脂(A)は、本発明の効果を妨げない限り、炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位以外のジアミン単位を含有していてもよい。炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位以外のジアミン単位としては、例えば1,4−シクロへキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等の脂環式ジアミン等から誘導される単位;メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン等から誘導される単位が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
ポリアミド樹脂(A)は、例えばε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のラクタムやアミノカルボン酸から誘導される単位を含んでいてもよい。
本発明のフィルムは耐熱性を担保する観点から融解ピーク温度(Tm)が310℃以上であることが必要である。なお、Tmは後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー原料の選択の目安としては得られるフィルムの融点が310℃以上になるようにする。フィルムの融点が310℃未満では得られるフィルムの耐熱性が不十分となるからである。
ポリアミド樹脂(A)は、0.2g/dlの濃硫酸溶液を用いて30℃で測定した溶液粘度(ηinh)が1.1〜3.0dl/gの範囲内にあることが好ましく、1.1〜2.0dl/gの範囲内にあることがより好ましく、1.1〜1.5dl/gの範囲内にあることが更に好ましい。ηinhが上記範囲内であれば、フィルムへの成形性に優れると共に、力学特性や耐熱性に優れたフィルムが得られる。
ポリアミド樹脂(A)は、末端封止剤に由来するモノマー単位を0.6〜2.8モル%含む。末端封止剤に由来する単位が0.6モル%未満であると溶融成形時の粘度が大きくなりフィルム成形するのが難しくなる。一方、末端封止剤に由来する単位が2.8モル%を上回ると溶融粘度が低くなりフィルムを成形するのが難しくなる。なお、末端封止剤はポリアミドを重合する際に任意の段階で添加できる。
末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基又はカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であればよく、例えばモノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル、モノアルコール等を用いることができるが、反応性及び封止末端の安定性等の点からモノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の点からモノカルボン酸がより好ましい。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。中でも、反応性、高沸点、封止末端の安定性及び価格等の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
ポリアミド樹脂(A)中のリン原子濃度は10〜100ppmが好ましく、20〜75ppmであることが更に好ましい。リン原子濃度が100ppmを超える場合、フィルム成形時等に溶融樹脂をフィルターで濾過する際にフィルターが目詰まりを起こしやすくなり、それによってフィルムへ異物が発生しやすくなる等の不具合が生じる場合がある。リン原子濃度が10ppm未満の場合、フィルムが着色しやすくなる。
本発明において、ポリアミド樹脂(A)製造時に触媒としてリン化合物を添加してもよい。リン化合物を添加する場合、ポリアミド樹脂(A)製造時に原料モノマーと共に添加するのが好ましい。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩又はエステルが挙げられ、具体的には、リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステル等が挙げられる。好ましくはリン酸、亜リン酸及び次亜リン酸からなる群より選ばれるリン化合物及びそれらと周期律表第1族の金属とからなる金属塩であり、より好ましくは次亜リン酸と周期律表第1族の金属とからなる金属塩又は亜リン酸であり、更に好ましくは次亜リン酸ナトリウム又はその水和物、又は亜リン酸である。リン化合物の使用量は特に限定されないが、ポリアミド樹脂(A)中のリン原子濃度を100ppm以下にする場合、ポリアミド原料の合計に対して0.05重量%以下が好ましく、0.02重量%以下がさらに好ましい。
ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法又は界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法等により製造することができる。
ポリアミド樹脂(A)の製造方法として、例えばジアミンとジカルボン酸等の原料と、次亜リン酸ナトリウム一水和物や亜リン酸等の化合物と、水、をオートクレーブに仕込み、100〜180℃でナイロン塩水溶液とし、次いで200〜300℃に昇温し脱水しながら重合を進めることでプレポリマーを得ることができる。得られたプレポリマーから目標重合度のポリアミド樹脂を得る方法としては、融点以上に昇温しながら脱水したり、融点以下の固相状態で熱をかけながら不活性ガス気流下又は減圧下で処理したりする方法が挙げられる。本発明で用いるポリアミド樹脂(A)に含まれる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位には上述の通りシス体とトランス体の幾何異性体が存在するが、ポリアミド樹脂(A)を製造する条件ではシス−トランス転位反応が可逆的に起こり、一般的にはトランス体の方がエネルギー準位が安定なため、ポリアミド樹脂(A)製造工程の最終温度が高いほどシス体が増加する。
〔ルイス塩基として作用する化合物(B)〕
本発明のフィルムは、該フィルムを構成するポリアミド樹脂(A)100質量部に対してルイス塩基として作用する化合物(B)を0.1〜10質量部含有していてもよく、0.1〜5質量部含有していることがより好ましい。ルイス塩基として作用する化合物(B)の量を前記範囲内にすることで、フィルムにおけるポリアミド樹脂(A)を構成する1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位由来のトランス体の含有率を高めることができ、高融点、すなわち耐熱性や高温下での耐久性に優れるポリアミド樹脂組成物が得られる。さらに、トランス体の含有率が高くなることで、得られるフィルムの結晶構造がより強固なものとなり、力学的物性も向上する。
ルイス塩基として作用する化合物(B)としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、酸化亜鉛及び水酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物としては、例えば酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が挙げられ、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物としては、例えば水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔その他の成分〕
本発明のフィルムに用いられるポリアミド樹脂(A)又は該ポリアミド樹脂(A)を含む組成物には、最終的に得られるフィルムの諸特性をより向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じてカーボンブラック、ニグロシン、酸化チタン等の顔料や染料;紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系等の光安定化剤;ヒンダードフェノール系、チオ系、リン系、アミン系等の有機系酸化防止剤;ヨウ化銅や臭化銅等のハロゲン化銅とヨウ化カリウムや臭化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属の組合せ等の無機系酸化防止剤;帯電防止剤;蛍光増白剤;臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリマー、酸化アンチモン等の難燃助剤;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、シリカ等の滑剤;ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等の他のポリマー;有機系及び無機系の粉末状あるいは繊維状の各種充填剤を添加してもよい。
上記の各種添加剤の添加方法としては、例えばポリアミド樹脂の重合時に添加する方法、ポリアミド樹脂にドライブレンドし溶融混練する方法、フィルムへの成形時に添加する方法等が挙げられる。
〔フィルムの製造方法〕
本発明のフィルムは枚葉にすることもできるが、各種用途への利用に際しての生産性の点からフィルムロールの形態にすることが好ましい。
ポリアミド樹脂(A)又は該ポリアミド樹脂(A)を含む組成物を押出機で溶融押出し、該溶融状態の、ポリアミド樹脂又はポリアミド樹脂(A)を含む組成物(以下、単に「溶融ポリマー」と称する)をTダイやIダイ等のフラットダイからシート状に吐出し、冷却ロールやスチールベルト等の移動冷却体の冷却面に接触させて冷却することにより未延伸フィルムを得ることができる。この時、押出温度はポリアミド樹脂(A)の融解ピーク温度(Tm)以上370℃以下であることが好ましい。押出温度がTm以下になると粘度が上昇して押出しできなくなる恐れがあり、370℃を超えると、ポリアミド樹脂(A)が分解してしまう恐れがある。未延伸フィルムの厚みは、通常1〜500μmであり、好ましくは5〜200μmである。
移動冷却体の温度は40〜125℃であることが好ましく、45〜90℃であることがより好ましく、45〜60℃であることがさらに好ましい。通常、ポリアミドは結晶化速度が速く、徐冷すると結晶が成長して延伸が困難になるので、冷却効率を高めることと移動冷却体への水滴の結露を抑制することを両立させるため、室温近傍に急冷することが好ましい。
移動冷却体の温度が125℃を超える場合は、溶融ポリマーが移動冷却体上で適度な硬さを発現するまでの時間が長くなり、移動冷却体から外れにくくなる。その結果、例えば移動冷却体がロールである場合には、破断してロールヘの巻き付きが生じたり、破断しなくてもフィルムがロールから外れるときの勢いで脈打ちが生じたりする。また未延伸フィルム中に大きさのバラついた結晶が生成して、延伸ムラが発生したり延伸が困難になったり場合がある。
本発明のフィルムに用いられるポリアミド樹脂(A)は、40℃未満の移動冷却体で急冷すると、溶融ポリマーにおける移動冷却体(冷却ロール)に未だ接触していない部分が硬くなり、その硬くなった部分は移動冷却体(冷却ロール)に密着しなくなる。その結果、未延伸フィルムに移動冷却体に密着する部分と密着しない部分が現れ、安定して操業できなくなる。また、その後の延伸工程で破断、あるいは不均一な延伸が起こる。
溶融ポリマーを均一に冷却固化して未延伸フィルムを得るために、溶融ポリマーを移動冷却体に密着させて冷却固化するための方法として、例えばエアーナイフキャスト法、静電印加法、バキュームチャンバ法等の方法を使用することができる。
得られた未延伸フィルムは通常そのままでも耐熱性、透明性等の優れた特性を有しているが、ニ軸延伸することにより耐熱性、耐薬品性等の諸特性がさらに向上する。
フィルムの延伸方法としては、例えばフラット式逐次二軸延伸法、フラット式同時二軸延伸法、チューブラ法等を用いることができる。中でも、フィルム厚み精度が良く、フィルム幅方向の物性が均一であることから、フラット式同時二軸延伸法が最適である。フラット式同時二軸延伸法のための延伸装置としては、スクリュー式テンター、パンタグラフ式テンター、リニアモーター駆動クリップ式テンター等を用いることができる。
延伸温度は、ガラス転移温度(Tg)以上の温度であることが必要であり、さらにはTgを超えかつ(Tg+50)℃以下とするのが好ましい。延伸温度がTg未満の場合はフィルムの破断が生じやすく、安定した製造を行うことができない。一方、(Tg+50)℃を超えると延伸ムラが生じる場合がある。
上記のような延伸を行った後、延伸のためのクリップでフィルムを把持したまま、必要に応じて熱固定処理を行うことが好ましい。好ましい熱固定処理温度は、200℃〜(Tm−5)℃であり、240℃〜(Tm−10)℃であることがより好ましい。さらに、熱固定処理を行った後、フィルムを把持したまま必要に応じて1〜10%の弛緩処理を行うことが好ましく、3〜7%の弛緩処理を行うことがより好ましい。弛緩処理を行うことで、十分な強度を得ることができるようになる。
所望により熱固定処理や弛緩処理を行った後、冷却し、巻き取りロールに巻き取ることで、ポリアミド延伸フィルムロールが得られる。得られたポリアミド延伸フィルムロールは、所望の幅にスリットして、再度、ポリアミド延伸フィルムロールとすることができる。
本発明のフィルムは、必要に応じて表面にコート層や蒸着層を設けたり、他種ポリマー等と積層したり、紙、金属箔、織布、不織布、木材等と積層したり、印刷したりして使用することができる。
本発明のフィルムには、フィルム表面の接着性を良好にするために、コロナ処理、プラズマ処理、酸処理、火炎処理、コーティング処理等を施してもよい。
フィルムの表面に、易接着、帯電防止、離型性、ガスバリア性等の機能を付与するために、各種コーティング剤を塗布してもよい。コーティングは、延伸後のフィルムに施すことも、延伸前のフィルムに施すことも可能であり、あるいは延伸機の直前でコートし、かつ延伸機の予熱区間で乾燥、皮膜形成させることも可能である。
コート層を形成する塗料としては、例えばガスバリア用塗料(ポリビニルアルコール水溶液、ポリ塩化ビニリデン等)、易接着用塗料(ウレタン系、エステル系、オレフィン系等の分散体)、帯電防止用塗料(界面活性剤系、導電性高分子系、カーボン系、金属酸化物系等)、紫外線吸収用塗料(HALS系、酸化亜鉛系等)、ハードコート用塗料(アクリル系、シランカップリング剤系等)、離型用塗料(シリコーン系、オレフィン系等)が挙げられる。
蒸着層としては、例えばアルミナ、シリカ等の無機物層やメラミン等の有機物層が挙げられる。
積層するポリマーとしては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等の、エポキシ基含有不飽和化合物等により、カルボキシル基又はその金属塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が導入された、上記ポリオレフィン系樹脂; ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、PET/PEI共重合体、ポリアリレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド等のポリエーテル系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルスルホン等のポリチオエーテル系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン等のポリケトン系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のポリメタクリレート系樹脂;ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/ 塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂;酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂;熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。
本発明のフィルムは耐熱性、透明性に優れ、異物が少なく外観に優れている。このため、医薬品包装材料;レトルト食品等の食品包装材料;半導体パッケージ用等の電子部品包装材料;モーター、トランス、ケーブル等のための電気絶縁材料;コンデンサ用途等の誘電体材料;カセットテープ、デジタルデータストレージ向けデータ保存用磁気テープ、ビデオテープ等の磁気テープ用材料;太陽電池基板、液晶板、導電性フィルム、表示機器等の保護板;LED実装基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル等の電子基板材料;FPC用カバーレイフィルム、耐熱マスキング用テープ、工業用工程テープ等の耐熱粘着テープ;耐熱バーコードラベル;耐熱リフレクター;各種離型フィルム;耐熱粘着ベースフィルム;写真フィルム;成形用材料;農業用材料;医療用材料;土木、建築用材料;濾過膜等;家庭用、産業資材用のフィルム等として、好適に使用することができる。このような実施態様として、例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物からなるフィルムを含む基板上で、電子部品間のリフローはんだ付けを行う工程を含むフレキシブルプリント基板の製造方法が挙げられる。
以下、実施例及び比較例(以下、実施例等と略称する)により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下の実施例等における各種物性の評価方法は、下記の通りとした。
〔ポリアミド樹脂(A)の物性評価〕
<1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位>
ポリアミド樹脂(A)20〜30mgをトリフルオロ酢酸―d(CF3COOD)1mlに溶解し、日本電子株式会社製核磁気共鳴装置JNM−ECX400を用いて、室温、積算回数256回の条件で1H−NMR測定を行った。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位(CHDA単位)の含有量を特性シグナルの積分値より算出した。1H−NMRでのポリアミドの帰属を表1に示す。
Figure 2015196788
<炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位>
CHDA単位と同様に、炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位の含有量を算出した。
<末端封止剤単位>
CHDA単位と同様に、末端封止剤に由来する単位(末端封止剤単位)の含有量を算出した。
<リン原子濃度>
ポリアミド樹脂(A)をThermo Jarrell Ash製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618nmのピークを用いてリン原子濃度を求めた。
<溶液粘度(ηinh)>
ポリアミド樹脂(A)50mgを25mlの濃硫酸に溶解させた。この検液をウベローデ型粘度計を用いて30℃での落下時間(t)を計り、濃硫酸の落下時間(t0)から下記の式(1)により算出した。
ηinh(dl/g)={ln(t÷t0)}÷0.2(g/dl) (1)
<溶融濾過性>
ポリアミド樹脂組成物を、スクリューとダイの間に目開き20μmのフィルターを装着した東洋精機製作所製「ラボプラストミル2D25W」単軸押出し機を用いて、融点より20℃高いシリンダー温度、スクリュー回転数30rpmの条件で毎時1kgの吐出量で押出した。3時間以内にトルクが100N・mを超えない場合を○、3時間以内にトルクが100N・mを超える場合を×として溶融濾過性を評価した。
〔フィルムにおける物性評価〕
<トランス異性体構造単位含有率>
フィルムから20〜30mgを切り出してCF3COOD1mLに溶解させ、グラスフィルターでろ過して不溶物を除去して測定試料を調製し、日本電子株式会社製核磁気共鳴装置JNM−ECX400(400MHz)を用いて、室温、積算回数256回の条件で1H−NMRを測定した。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸構造単位のシス異性体のβ水素に由来する2.10ppmのピーク面積と、トランス異性体構造単位のβ水素に由来する2.20ppmのピーク面積の比率から、トランス異性体構造単位含有率を求めた。
<融点>
フィルムから10mgを切り出して、メトラー・トレド(株)製の示差走査熱量分析装置(DSC822)を使用して、窒素雰囲気下で、30℃から360℃へ10℃/minの速度で昇温した時に現れる融解ピークのピーク温度を融点(℃)とすることで求めた。なお、融解ピークが複数ある場合は最も高温側の融解ピークのピーク温度を融点とした。
<リフロー性>
フィルムをSMTスコープ(山陽精工株式会社)に装着し、250℃で1分間保持した後の形状変化を観察し、フィルムが殆ど変形しない場合を○、フィルムが明らかに変形する場合を×としてリフロー性を評価し、耐熱性の指標とした。
<外観>
延伸後のフィルムを目視で観察し、(1)フィッシュアイ等の異物が認められない場合を○、フィッシュアイ等の異物が明らかに認められる場合を×、(2)無色である場合を○、着色している場合を×、として外観を評価した。なお、実施例等で得られたフィルムは全て透明であった。
各実施例等で使用したポリアミド樹脂(A)、ルイス塩基として作用する化合物(B)及びその他の成分を以下に示す。
<ポリアミド樹脂(A)>
以下の製造例1〜7で得られたポリアミド1〜ポリアミド7を用いた。
〔製造例1〕
シス:トランス比が70:30の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10197.5g、1,9−ノナンジアミン8158.6g、2−メチル−1,8−オクタンジアミン1439.7g、末端封止剤として安息香酸222.2g、次亜リン酸ナトリウム一水和物4.0g、及び蒸留水5Lを、内容積40Lのオートクレーブに入れ、窒素置換した。2時間かけて内部温度を200℃に昇温した。この時、オートクレーブは2MPaまで昇圧した。その後2時間、内部温度を215℃に保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2MPaに保ちながら反応させた。次いで、30分かけて圧力を1.2MPaまで下げ、プレポリマーを得た。このプレポリマーを6mm以下の大きさまで粉砕し、120℃、減圧下で12時間乾燥した。これを230℃、13.3Paの条件で10時間固相重合しポリアミド樹脂(ポリアミド1)を得た。
〔製造例2〕
次亜リン酸ナトリウム一水和物を亜リン酸4.0gにした以外は製造例1と同様の手法で重合を行い、ポリアミド樹脂(ポリアミド2)を得た。
〔製造例3〕
シス:トランス比が70:30の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10237.3g、1,9−ノナンジアミン8204.9g、2−メチル−1,8−オクタンジアミン1447.9g、末端封止剤として酢酸109.9g、次亜リン酸ナトリウム一水和物4.0g、及び蒸留水5Lを用いた以外は製造例1と同様の手法で重合を行い、ポリアミド樹脂(ポリアミド3)を得た。
〔製造例4〕
シス:トランス比が70:30の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸9764.2g、1,10−デカンジアミン10022.7g、末端封止剤として安息香酸213.1g、次亜リン酸ナトリウム一水和物4.0g、及び蒸留水5Lを用いた以外は製造例1と同様の手法で重合を行い、ポリアミド樹脂(ポリアミド4)を得た。
〔製造例5〕
テレフタル酸10000.7g、1,9−ノナンジアミン8307.1g、2−メチル−1,8−オクタンジアミン1466.0g、末端封止剤として安息香酸226.2g、次亜リン酸ナトリウム一水和物4.0g、及び蒸留水5Lを用いた以外は製造例1と同様の手法で重合を行い、ポリアミド樹脂(ポリアミド5)を得た。
〔製造例6〕
シス:トランス比が70:30の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10356.9g、1,9−ノナンジアミン8133.9g、2−メチル−1,8−オクタンジアミン1435.4g、末端封止剤として安息香酸73.8g、次亜リン酸ナトリウム一水和物4.0g、及び蒸留水5Lを用いた以外は製造例1と同様の手法で重合を行い、ポリアミド樹脂(ポリアミド6)を得た。
〔製造例7〕
シス:トランス比が70:30の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸9884.9g、1,9−ノナンジアミン8217.4g、2−メチル−1,8−オクタンジアミン1450.1g、末端封止剤として安息香酸447.5g、次亜リン酸ナトリウム一水和物4.0g、及び蒸留水5Lを用いた以外は製造例1と同様の手法で重合を行い、ポリアミド樹脂(ポリアミド7)を得た。
<ルイス塩基として作用する化合物(B)>
酸化マグネシウム:協和化学工業株式会社製、「キョーワマグMF−150」(平均粒子径:0.71μm)
<その他の成分>
フェノール系酸化防止剤:住友化学株式会社製、「スミライザーGA−80」(3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)
〔実施例1〜5及び比較例1〜3〕
表2に示す配合割合に従い、ポリアミド樹脂(A)、ルイス塩基として作用する化合物(B)及びスミライザーGA−80をドライブレンドし、得られた混合物を2軸押出機(スクリュー径:30mm、L/D=28、シリンダー温度350℃、回転数150rpm)のホッパーからフィードして溶融混練し、ストランド状に押出した後、ペレタイザにより切断してペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
次に、得られたポリアミド樹脂組成物を単軸押出機(東洋精機製作所製「ラボプラストミル2D25W」)に供給し、ポリアミドの融点よりも10〜40℃高い温度で加熱溶融してTダイより押出し、幅30cm、厚さ200μmのポリアミド未延伸フィルムを製造した。
さらに得られた未延伸フィルムの中央部分より縦5cm×横5cmの試料片を切り出し、2軸延伸機(柴山科学器械製作所製「小型延伸装置」)により155℃で、縦3倍、横3倍の倍率で同時2軸延伸を行った。この2軸延伸フィルムを270℃で5分間熱固定し、各種評価用のフィルムを得た。
評価結果を表2に示す。
Figure 2015196788
上記表2のとおり、本発明の樹脂組成物はフィルム成形時の溶融濾過性に優れ、得られるフィルムは、耐熱性、透明性に優れ、異物が少なく、外観も良好である。なお、比較例2では所定厚みの未延伸フィルムを得ることができなかった。また、比較例3ではTダイを出た溶融樹脂が鉛直に垂れて未延伸フィルムを得ることができなかった。
本発明のフィルムは耐熱性、透明性に優れ、異物が少なく外観に優れている。このため、医薬品包装材料;レトルト食品等の食品包装材料;半導体パッケージ用等の電子部品包装材料;モーター、トランス、ケーブル等のための電気絶縁材料;コンデンサ用途等の誘電体材料;カセットテープ、デジタルデータストレージ向けデータ保存用磁気テープ、ビデオテープ等の磁気テープ用材料;太陽電池基板、液晶板、導電性フィルム、表示機器等の保護板;LED実装基板、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブル等の電子基板材料;FPC用カバーレイフィルム、耐熱マスキング用テープ、工業用工程テープ等の耐熱粘着テープ;耐熱バーコードラベル;耐熱リフレクター;各種離型フィルム;耐熱粘着ベースフィルム;写真フィルム;成形用材料;農業用材料;医療用材料;土木、建築用材料;濾過膜等;家庭用、産業資材用のフィルム等に好適に使用できる。

Claims (9)

  1. ポリアミドを構成するモノマー単位として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位を25モル%以上含み、炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位を25モル%以上含み、末端封止剤に由来するモノマー単位を0.6〜2.8モル%含むポリアミド樹脂(A)からなるフィルムであって、
    該フィルム中における1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に由来するトランス異性体構造単位の含有率が70〜90モル%であり、融解ピーク温度(Tm)が310℃以上である厚み1〜200μmのフィルム。
  2. ポリアミド樹脂(A)の0.2g/dl濃硫酸溶液の30℃で測定した溶液粘度(ηinh)が1.1〜3.0dl/gである、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位が1,9−ノナンジアミンである、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 前記炭素数4〜12の脂肪族ジアミン単位として更に2−メチル−1,8−オクタンジアミンを1〜25モル%含む、請求項4に記載のフィルム。
  6. ポリアミド樹脂(A)中のリン原子濃度が10〜100ppmである、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. さらにポリアミド樹脂(A)100質量部に対してルイス塩基として作用する化合物(B)を0.1〜10質量部含有する、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のフィルムをさらに延伸する工程を含む延伸フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のフィルムをリフローする工程を含むフレキシブルプリント基板の製造方法。
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