JP2023108816A - 積層フィルム - Google Patents

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Shuhei YAMANE
貴史 岡部
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Abstract

【課題】吸湿寸法安定性に優れたフィルムを提供する。【解決手段】少なくとも基材フィルム(X)と水蒸気バリア層(Y)を有する積層フィルムであって、基材フィルム(X)が半芳香族ポリアミドフィルムであり、JIS K7129-1法に準拠して測定した40℃×90%RHにおける積層フィルムの水蒸気透過度が5g/(m2・d)以下であることを特徴とする積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、基材フィルムと水蒸気バリア層を有する積層フィルムに関する。
近年、発光ダイオード(LED)素子を用いたLEDディスプレイや、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた有機ELディスプレイの実用化が進んでいる。素子実装基板には、従来ガラス基板が用いられてきたが、より一層の薄型化、軽量化、フレキシブル性などが要求され、樹脂フィルム基板の採用が検討されている。
LED用基板には、LED素子のハンダ付けによる実装時やLED発光時の高温に耐え得るように、耐熱性が高いことが求められる。また、高温でも寸法変化し難いように、熱収縮率が低いことが求められる。このような観点から、LED用基板の材料として、半芳香族ポリアミドフィルムを用いることが検討されており、例えば、特許文献1には、ディスプレイ材料の基板として好適に使用できる半芳香族ポリアミドフィルムが開示されている。
国際公開第2020/230806号
LED用基板に回路を形成した後、ハンダを搭載するまでの間に、基板に寸法変化が発生すると、回路上のLED搭載予定位置と実際のハンダの搭載位置の間にズレが生じることがある。ズレが生じると、基板にLED素子を搭載することができず、また、搭載できたとしても素子への通電不良が発生する。寸法変化は吸湿の影響が大きく、特にハンダパウダーを用いる工程においては、粉塵爆発の危険性回避の観点から低湿度環境にすることが困難であり、基板の吸湿寸法変化がより顕著となる。
本発明の課題は、LED実装基板として使用可能な、吸湿寸法安定性に優れたフィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、低い水蒸気透過度を有する積層フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)少なくとも基材フィルム(X)と水蒸気バリア層(Y)を有する積層フィルムであって、基材フィルム(X)が半芳香族ポリアミドフィルムであり、JIS K7129-1法に準拠して測定した40℃×90%RHにおける積層フィルムの水蒸気透過度が5g/(m・d)以下であることを特徴とする積層フィルム。
(2)23℃×50%RHから23℃×90%RHに湿度環境を変化させた際に測定される、積層フィルムの長手方向の吸湿伸び率および幅方向の吸湿伸び率が、それぞれ0.2%以下であることを特徴とする(1)に記載の積層フィルム。
(3)基材フィルム(X)の第1の面側に水蒸気バリア層(Y)を有し、かつ、基材フィルム(X)の第2の面側にも水蒸気バリア層(Y)を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4)半芳香族ポリアミドフィルムが二軸配向されたものであることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)基材フィルム(X)と水蒸気バリア層(Y)が隣接していることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)上記(1)~(5)のいずれかに記載の積層フィルムを含む銅張積層板。
(7)上記(1)~(5)のいずれかに記載の積層フィルムを使用したLED実装基板。
(8)上記(7)に記載のLED実装基板を使用したLEDディスプレイ。
本発明の積層フィルムは、フレキシブルLEDディスプレイのLED実装基板、有機EL等の光学基板、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルなどの電子基板材料、フレキシブルプリント配線用カバ―レイフィルムなどとして、好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、少なくとも基材フィルム(X)と水蒸気バリア層(Y)を有する積層フィルムであって、基材フィルム(X)が半芳香族ポリアミドフィルムであり、JIS K7129-1法に準拠して測定した40℃×90%RHにおける積層フィルムの水蒸気透過度が5g/(m・d)以下である。
<基材フィルム(X)>
本発明の積層フィルムを構成する基材フィルム(X)は、半芳香族ポリアミドフィルムである。半芳香族ポリアミドは、耐熱性、耐屈曲性などの機械特性のバランスに優れ、半芳香族ポリアミドを製膜してなるフィルムは透明性を有する。
(半芳香族ポリアミド)
本発明において、半芳香族ポリアミドフィルムを構成する半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸成分とジアミン成分とから構成され、ジカルボン酸成分またはジアミン成分中に芳香族成分を有する。
半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分とすることが好ましく、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の割合は、60~100モル%であることが好ましい。
テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
半芳香族ポリアミドを構成するジアミン成分は、炭素数が4~15である脂肪族ジアミンを主成分とすることが好ましい。ジアミン成分中の、炭素数が4~15である脂肪族ジアミンの割合は、60~100モル%であることが好ましい。
炭素数が4~15である脂肪族ジアミンとしては、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
半芳香族ポリアミドとしては、テレフタル酸のみからなる(テレフタル酸100モル%である)ジカルボン酸成分と、1,9―ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとを合計でジアミン成分中に60~100モル%含有するジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミドや、テレフタル酸のみからなる(テレフタル酸100モル%である)ジカルボン酸成分と、1,10-デカンジアミンを含有するジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミドが好ましい。
半芳香族ポリアミドには、本発明の目的を損なわない範囲で、ε-カプロラクタム、ζ-エナントラクタム、η-カプリルラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタム類が共重合されていてもよい。
半芳香族ポリアミドを構成するモノマーの種類および共重合比率は、得られる半芳香族ポリアミドの融点(Tm)が270~350℃の範囲になるように選択することが好ましい。半芳香族ポリアミドは、Tmが前記範囲であることにより、フィルムに加工する際の熱分解を効率よく抑制することができる。Tmが270℃未満であると、得られるフィルムは、耐熱性が不十分となることがある。一方、Tmが350℃を超えると、フィルム製造時に熱分解が起こることがある。
半芳香族ポリアミドの極限粘度は、0.8~2.0dL/gであることが好ましく、0.9~1.8dL/gであることがより好ましい。半芳香族ポリアミドは、極限粘度が0.8dL/g以上であると、機械的強度に優れたフィルムを作製することができるが、2.0dL/gを超えると、フィルムを生産することが困難となることがある。
半芳香族ポリアミドは、重合触媒や末端封止剤が含まれてもよい。末端封止剤としては、例えば、酢酸、ラウリン酸、安息香酸、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが挙げられる。また、重合触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、またはそれらの塩等が挙げられる。
(半芳香族ポリアミドフィルム)
本発明の積層フィルムを構成する半芳香族ポリアミドフィルムは、厚みが20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。半芳香族ポリアミドフィルムは、厚みが20μm以上であることで、LED素子を搭載した際の積層体全体のたわみを防ぐことができる。
また、半芳香族ポリアミドフィルムは、厚みが200μm以下であることが好ましく、160μm以下であることがより好ましく、90μm以下であることがさらに好ましい。半芳香族ポリアミドフィルムは、厚みが200μm以下であることで、ロールトゥロールでの加工の取り扱いが容易になるとともに、LED実装基板に適用した際に、LED実装基板全体の厚みの増加を抑制することができる。
半芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも一軸配向されていることが好ましく、二軸配向されていることがより好ましい。
半芳香族ポリアミドフィルムは、1種の層からなる単層のフィルムでも、2種以上の層を積層してなる多層構造でもよい。多層構造とする場合、例えば、2層構造のフィルムでは、2層中任意の1層に滑剤を含有させることができ、3層構造のフィルムでは、3層中両表面に位置する層に各々滑剤を含有させることができる。含有させる滑剤の種類、含有量は各々独立して設計が可能である。このような多層構造とすることで、半芳香族ポリアミドフィルムのそれぞれの面の表面粗さを独立に制御することができる。
半芳香族ポリアミドフィルムの表面は、他素材との接着性を良好にするために、易接着層を積層したり、コロナ処理、プラズマ処理、酸処理、火炎処理等を施してもよい。
半芳香族ポリアミドフィルムには、水蒸気バリア層(Y)以外に、金属またはその酸化物等の無機物、他種ポリマー、紙、織布、不織布、木材等が積層されてもよい。
半芳香族ポリアミドフィルムは、滑り性向上等を目的として、微粒子を含有してもよい。半芳香族ポリアミドフィルムは、微粒子として、無機系微粒子、有機系微粒子のいずれも使用することができる。
半芳香族ポリアミドフィルムが含有する無機系微粒子として、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等の微粒子を挙げることができる。また、有機系微粒子として、例えば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子などを挙げることができる。中でもフィルム中での分散性、取扱いが良好な点で、シリカ微粒子、アクリル系樹脂粒子が好ましい。
微粒子の平均粒子径は、0.05~5.0μmであることが好ましく、0.1~4.0μmとすることがより好ましい。
微粒子の含有量は、0~0.2質量%であることが好ましく、0.01~0.2質量%であることがより好ましく、0.02~0.1質量%であることがさらに好ましい。
なお、平均粒子径が0.05~2.0μmである微粒子は、含有量が0.2質量%以下であると、また、平均粒子径が2.1~5.0μmである微粒子は、含有量が0.1質量%以下であると、それぞれ、効率よくフィルムの滑り性を改善することができる。また、平均粒子径が異なる微粒子を2種以上組合せて用いることもできる。
上記のように、微粒子の平均粒子径と含有量は、摩擦特性、光学特性、その他のフィルムに対する要求特性に応じて選択することができ、透明性を損なわない範囲で添加することができる。
半芳香族ポリアミドフィルムは、前記微粒子以外に、必要に応じて、滑剤、チタンなどの顔料や染料などの着色剤、着色防止剤、熱安定剤、ヒンダードフェノール、リン酸エステルや亜リン酸エステルなどの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物などの耐候性改良剤、臭素系やリン系の難燃剤、可塑剤、離型剤、タルクなどの強化剤、改質剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、各種ポリマー樹脂等の添加剤を含有してもよい。
上記微粒子や添加剤などをフィルムに含有させる方法として、各種の方法を用いることができる。その代表的な方法として、下記のような方法を挙げることができる。
(A)半芳香族ポリアミドの重合時に添加する方法
(B)半芳香族ポリアミドに直接添加し、溶融混練したマスターバッチペレットを準備し、マスターバッチペレットをフィルム製膜時に添加し、押出機で溶融混練する方法
(C)フィルム製膜時に半芳香族ポリアミドに直接添加し、押出機で溶融混練する方法
(D)フィルム製膜時に押出機に直接添加し、溶融混練する方法
(半芳香族ポリアミドフィルムの製造方法)
本発明の積層フィルムを構成する半芳香族ポリアミドフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法によって製造することができる。
半芳香族ポリアミドフィルムを製造するための半芳香族ポリアミドとして、市販品を好適に使用することができる。このような市販品としては、例えば、クラレ社製の「ジェネスタ(登録商標)」、ユニチカ社製「ゼコット(登録商標)」、三菱エンジニアリングプラスチック社製「レニー(登録商標)」、三井化学社製「アーレン(登録商標)」、BASF社製「ウルトラミッド(登録商標)」、三菱ガス化学社製ナイロンMXD6などが挙げられる。
また、半芳香族ポリアミドは、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミン成分とを原料とする溶液重合法または界面重合法(A法)、あるいはジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料として低重合物を作製し、該低重合物を溶融重合または固相重合により高分子量化する方法(B法)、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料として塩および低重合物の破砕混合物を生成しこれを固相重合する方法(C法)、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料として塩を生成しこれを固相重合する方法(D法)などが挙げられる。中でも、C法およびD法が好ましく、D法がより好ましい。C法およびD法は、B法に比べて、塩および低重合物の破砕混合物や塩を低温で生成することができ、また、塩および低重合物の破砕混合物や、塩の生成時に多量の水を必要としない。そのため、ゲル状体の発生を低減でき、フィッシュアイを低減することができる。
B法では、例えば、ジアミン成分、ジカルボン酸成分および重合触媒を一括で混合することで調製されたナイロン塩を、200~250℃の温度で加熱重合することで、低重合物を得ることができる。低重合物の極限粘度は、0.1~0.6dL/gであることが好ましい。低重合物の極限粘度をこの範囲とすることで、続く固相重合や溶融重合において、ジカルボン酸成分におけるカルボキシル基とジアミン成分におけるアミノ基のモルバランスの崩れを生じさせず、重合速度を速くすることができるという利点がある。低重合物の極限粘度が0.1dL/g未満であると、重合時間が長くなり、生産性に劣ることがある。一方、0.6dL/gを超えると、得られる半芳香族ポリアミドが着色してしまうことがある。
低重合物の固相重合は、好ましくは、減圧下または不活性ガス流通下でおこなわれる。また、固相重合の温度は200~280℃であることが好ましい。固相重合の温度をこの範囲とすることで、得られる半芳香族ポリアミドの着色やゲル化を抑制することができる。固相重合の温度が200℃未満であると、重合時間が長くなるため生産性に劣ることがある。一方、280℃を超えると、得られる半芳香族ポリアミドにおいて、着色やゲル化が発現することがある。
低重合物の溶融重合は、好ましくは、350℃以下の温度で行われる。重合温度が350℃を超えると、半芳香族ポリアミドの分解や熱劣化が促進されることがある。そのため、このような半芳香族ポリアミドから得られたフィルムは、強度や外観に劣ることがある。なお、上記の溶融重合には、溶融押出機を用いた溶融重合も含まれる。
C法では、例えば、溶融状態の脂肪族ジアミンと固体の芳香族ジカルボン酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得る。そして、この混合液において、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンの反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。そして、得られた反応生成物を、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、半芳香族ポリアミドを得る。固相重合は、重合温度180~270℃、反応時間0.5~10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
D法では、例えば、芳香族ジカルボン酸粉末を、予め脂肪族ジアミンの融点以上、かつ芳香族ジカルボン酸の融点以下の温度に加熱し、この温度の芳香族ジカルボン酸粉末に、芳香族ジカルボン酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含有させずに、脂肪族ジアミンを添加して塩を作製する。そして、得られた塩を最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、半芳香族ポリアミドを得る。固相重合は、重合温度180~270℃、反応時間0.5~10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
半芳香族ポリアミドフィルムの原料は、上記バージン原料同士を混合したものでもよく、また、半芳香族ポリアミドフィルムを製造する際に生成する規格外のフィルムや、耳トリムとして発生するスクラップを混合したものでもよく、また、該スクラップ混合物にバージン原料を混合したものでもよい。これらの混合は、公知の装置でドライブレンドする方法、一軸または二軸の押出機を用いて溶融混練し混合する練り込み法等の公知の方法で行うことができる。
半芳香族ポリアミドフィルムを製造する方法において、延伸工程に用いる半芳香族ポリアミド樹脂の未延伸フィルムは、半芳香族ポリアミド樹脂を押出機内にて280~340℃の温度で3~15分間溶融混合した後、Tダイを通じてシート状に押出し、このシート状物を、30~40℃に温度調節された冷却ロール上に密着させて冷却することで製造することができる。
半芳香族ポリアミドフィルムを製造する方法において、未延伸フィルムは少なくとも一軸延伸されることが好ましく、二軸延伸されることがより好ましい。延伸により、半芳香族ポリアミド樹脂は配向結晶化される。
延伸方法は特に限定されないが、フラット式逐次二軸延伸法、フラット式同時二軸延伸法、チューブラ法等を用いることができる。なかでも、厚み精度が良好なフィルムが得られることから、フラット式逐次二軸延伸法、フラット式同時二軸延伸法が最適である。
フラット式同時二軸延伸法を採用するための延伸装置としては、例えば、スクリュー式テンター、パンタグラフ式テンター、リニアモーター駆動クリップ式テンターが挙げられる。
本発明における半芳香族ポリアミドフィルムは、残留応力が高いほど、吸湿寸法安定性が高くなるが、熱寸法安定性が低下するため、吸湿寸法安定性と熱寸法安定性のバランスがとれるように、延伸条件、熱固定条件などの下記に示す条件を調整して製造することが重要である。
延伸倍率は、長手方向(MD)に2.0~3.5倍、幅方向(TD)に2.0~4.0倍であることが好ましく、長手方向に2.5~3.5倍、幅方向に3.0~4.0倍であることがより好ましい。
長手方向の延伸倍率が3.5倍を超えると、得られる延伸フィルムは、結晶化が進行しすぎてしまい、幅方向の延伸性が低下することがある。また幅方向の延伸ができた場合においても、得られる延伸フィルムは、延伸斑が起こりやすく、厚み精度が低下したり、長手方向の引張強度が低下したり、透明性が低下することがある。
一方、幅方向の延伸倍率が4.0倍を超えると、透明性が低下し、熱収縮率が高くなり、寸法安定性が低下し、さらに引張強度が低下することがある。
長手方向ならびに幅方向の延伸倍率が2.0倍未満であると、延伸斑が起こりやすく、厚み斑が生じたり、平面性が低下することがある。
延伸速度は、長手方向と幅方向の延伸歪み速度がいずれも400%/分を超えることが好ましく、800~12000%/分であることがより好ましく、1200~6000%/分であることがさらに好ましい。歪み速度が400%/分以下であると、延伸の途中で結晶が成長して、フィルムが破断することがあり、反対に歪み速度が速すぎると、未延伸フィルムは、変形に追随できなくなって、破断することがある。
延伸温度は、半芳香族ポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、Tgを超え、(Tg+50℃)以下であることがより好ましい。延伸温度がTg未満であると、フィルムは、破断しやすく、安定した製造を行うことができず、反対に(Tg+50℃)を超えると、フィルムに延伸斑が生じることがある。
半芳香族ポリアミドフィルムは、上記の延伸を行った後、延伸時に使用したクリップでフィルムを把持したまま、熱固定処理を行うことが好ましい。熱固定処理を行うことで、得られるフィルムは、熱負け斑が発生することなく、熱収縮率を低減することができる。熱固定処理温度は、260~280℃であることが好ましく、263~278℃であることがより好ましく、265~275℃であることがさらに好ましい。熱固定処理温度が260℃未満であると、得られるフィルムは、熱収縮率が高くなる。熱固定処理温度が280℃を超えると、得られるフィルムは、引張強度が低下し、熱負けシワによる外観不良が起こりやすく、場合によっては熱固定処理時に破断が起こり、二軸延伸フィルムを得ることが困難となる。
熱固定処理方法としては、例えば、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等の公知の方法が挙げられる。中でも、均一に精度よく加熱できることから、熱風を吹き付ける方法が好ましい。
熱固定処理を行った後のフィルムは、クリップに把持されたまま、熱固定処理温度と同じ温度において熱弛緩処理を行ってもよい。弛緩処理を行うことで、熱収縮率が低減されたフィルムを得ることができる。
リラックス率は長手方向に10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。また、幅方向のリラックス率は12%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましい。長手方向のリラックス率が10%を超える場合、あるいは、幅方向のリラックス率が12%を超える場合、フィルムにたるみが生じる可能性があることに加え、吸湿伸び率が増大することがある。
また、幅方向のリラックス率は1%以上であることが好ましい。幅方向のリラックス率が1%未満であると、熱収縮率が十分に低減したフィルムを得ることができないことがある。
熱固定処理を行った後のフィルム、もしくは、熱弛緩処理を行った場合は熱弛緩処理を行った後のフィルムを、クリップに把持したまま、上記熱固定処理または熱弛緩処理における温度よりも低い温度で冷却処理することが好ましい。冷却処理を行うことで、熱固定処理または熱弛緩処理における高温から、室温へと急激に温度が下がること(急冷)を防ぎ、得られる半芳香族ポリアミドフィルムの結晶化度を高めることができ、曲げ剛性を高めることができる。
冷却処理温度は110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。一方、冷却処理温度は150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。冷却処理温度が150℃を超える場合、冷却処理温度と室温との温度差が大きくなり、その後の工程で室温へ急冷されることとなる。その結果、得られる半芳香族ポリアミドフィルムの結晶化度を十分に高めることはできない。
保持時間は0.5~25秒間であることが好ましく、1~20秒間であることがより好ましく、2~15秒間であることがさらに好ましい。
なお、半芳香族ポリアミドフィルムを製造する装置においては、シリンダー、バレルの溶融部、計量部、単管、フィルター、Tダイ等の表面に対して、樹脂の滞留を防ぐため、その表面の粗さを小さくする処理が施されていることが好ましい。表面の粗さを小さくする方法としては、例えば、極性の低い物質で改質する方法が挙げられる。あるいは、その表面に窒化珪素やダイヤモンドライクカーボンを蒸着させる方法が挙げられる。
得られた半芳香族ポリアミドフィルムは、枚葉とされてもよいし、巻き取りロールに巻き取られることによりフィルムロールの形態とされてもよい。各種用途への利用に際しての生産性の観点から、フィルムロールの形態とすることが好ましい。フィルムロールとされた場合は、所望の幅にスリットされてもよい。
<水蒸気バリア層(Y)>
本発明の積層フィルムを構成する水蒸気バリア層(Y)としては、水蒸気バリア性樹脂層や無機薄膜層などが挙げられる。
(水蒸気バリア性樹脂層)
水蒸気バリア性樹脂層を構成する水蒸気バリア性樹脂としては、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン・メチルアクリレート共重合体などのポリ塩化ビニリデン系樹脂や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE・HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体(TFE・HFP・VDF,THV)、テトラフルオロエチレン・フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン等のクロロフルオロカーボン類(CFC類)、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン等のハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC類)、ペルフルオロカーボン類(PFC類)、ハイドロフルオロカーボン類(HFC類)、ハイドロフルオロエーテル類(HFE類)などのフッ素系樹脂、または、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、パラフィン(ワックス)系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル系・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体などの合成接着剤、またはそれらのパラフィン(ワックス)配合剛性接着剤などが好ましく、これらを単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
水蒸気バリア性樹脂には、水蒸気バリア性を損なわない範囲で、必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分布剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック等の顔料あるいは染料を添加することができる。
水蒸気バリア性樹脂として、市販品を好適に使用することができる。このような市販品としては、例えば、「フロロサーフ(熱硬化タイプ、フロロテクノロジー社製)」「Novecシリーズ(3M社製)」「エクセビア(住友化学社製)」「サランラテックス(旭化成社製)」「HydroBlock P-Series TR(Honeywell社製)」などが挙げられる。
水蒸気バリア性樹脂層の厚みは、水蒸気バリア性を高める観点から、0.5μm以上であることが好ましく、0.7μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることがさらに好ましい。
また、水蒸気バリア性樹脂層の厚みは5.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることがさらに好ましい。水蒸気バリア性樹脂層の厚みが5.0μm以下であることで、造膜性が低下せず皮膜の外観が損なわれにくく、積層フィルム全体の厚みの増加も抑制することができる。
なお、水蒸気バリア性樹脂層は1層でもあるいは2層以上の積層体であってもよい。
水蒸気バリア性樹脂層を構成する樹脂は、リフロー適性の観点から耐熱性に優れることが好ましく、融点が180℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。
水蒸気バリア性樹脂層の形成方法としては、塗膜として基材フィルム上に形成する方法や、樹脂フィルムとして形成する方法などが挙げられる。
塗膜を形成することによって水蒸気バリア性樹脂層を形成する場合、水蒸気バリア性樹脂層形成用塗剤を、基材フィルムに塗布して塗膜の形成を行う。塗膜を形成する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが採用できる。これらの方法により均一な塗膜を形成することができる。
なお、上述した水蒸気バリア性樹脂層形成用塗剤とは、水蒸気バリア性樹脂層を構成する樹脂を、予め溶媒に溶解した樹脂溶液、あるいは水性分散化した水性分散体を示すものとする。
上述の塗膜を形成した場合、塗膜の乾燥を行う。すなわち、水蒸気バリア性樹脂層形成用塗剤を基材フィルムに塗布して塗膜を形成した後、塗膜を乾燥熱処理することにより、水性媒体を除去することができ、緻密な塗膜からなる水蒸気バリア性樹脂層が形成される。
(無機薄膜層)
水蒸気バリア層を構成する無機薄膜層は、アルミニウム、ケイ素、チタン、亜鉛、ジルコニウム、マグネシウム、スズ、銅、鉄などの金属や、これら金属の酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物などや、これらの混合物から構成されていることが好ましい。中でも、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、あるいはこれらの混合物が好ましく、水蒸気バリア性の観点から、酸化アルミニウム、酸化ケイ素がより好ましい。
また、無機薄膜層は1層でもあるいは2層以上の積層体であってもよい。
無機薄膜層の形成方法としては、公知の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着法や、CVD法などの化学蒸着法などが使用できる。
真空蒸着法においては、蒸着材料としてアルミニウム、ケイ素、チタン、亜鉛、ジルコニウム、マグネシウム、セリウムなどの金属、また、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの化合物およびそれらの混合物が用いられる。加熱方法としては抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱等が採用される。また、反応ガスとして、酸素などを導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いたりした反応性蒸着法などを採用してもよい。
無機薄膜層の厚みは、水蒸気バリア性を高める観点から、5nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。
また、無機薄膜層の厚みは、500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。無機薄膜層は、厚みが500nmを超えると、厚みが増加することによる水蒸気バリア性の向上効果が小さくなる一方で、耐屈曲性が低下し、製造コストも高くなる。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、少なくとも基材フィルム(X)と水蒸気バリア層(Y)を有していれば、構成は特に限定されるものではないが、基材フィルムである半芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも第1の面側に水蒸気バリア層が形成されていることが好ましく、第1の面かつ第2の面の両側に形成されていることがさらに好ましい。両面に形成することで水蒸気バリア性を向上させるだけでなく、積層フィルム全体の反りを防ぐことができる。
また、製造コストの観点から、水蒸気バリア層は基材フィルムである半芳香族ポリアミドフィルムと隣接していることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、例えば、基材フィルムとしての半芳香族ポリアミドフィルムを製膜する工程において、水蒸気バリア層を積層する方法(インラインコート)や、半芳香族ポリアミドフィルムを得た後に直接水蒸気バリア層を積層する方法(ポストコート、ポスト蒸着)、半芳香族ポリアミドフィルムと水蒸気バリア層を有する積層フィルムとをラミネートする方法などによって作製することができる。
本発明の積層フィルムは、基材フィルム(X)と水蒸気バリア層(Y)の他に各種機能層を有してもよい。機能層が有する機能は特に限定されず、易接着機能、ハードコート機能、帯電防止機能、防眩機能、低反射機能、反射防止機能、防汚機能、酸素バリア機能、電磁波遮蔽機能、下塗り機能、紫外線吸収機能、粘着機能、色相調整機能等、光学フィルムに採用される一般的な機能であってよい。LED実装基板として使用する場合、回路形成用金属との密着性が必要となるため、易接着機能を有していることが好ましい。
機能層は、1種類の機能を有する層であっても、2種以上の機能を兼ね備えた層であってもよい。
機能層は、1層で複数の機能を有していてもよいし、各機能を有する層を2層以上積層してもよい。2層以上積層する場合、積層する順番はその機能に応じて適宜設定される。これらの層は、積層フィルムの片面又は両面に積層される。両面に積層される場合、それぞれ面に積層される層の厚さ、機能、積層の順番は同じであってもよいし異なっていてもよい。
<積層フィルムの物性>
本発明の積層フィルムは、JIS K7129-1法に準拠して測定した40℃×90%RHにおける水蒸気透過度が5g/(m・d)以下であることが必要であり、3g/(m・d)以下であることが好ましく、2g/(m・d)以下であることがさらに好ましく、1g/(m・d)以下であることが最も好ましい。
積層フィルムは、水蒸気透過度が5g/(m・d)以下であることで、LED実装基板として使用する際の各工程における吸湿寸法変化を小さくすることができる。特に、回路形成後にハンダを搭載する際の位置ずれを防ぐことが可能となる。
本発明の積層フィルムは、23℃×50%RHから23℃×90%RHに湿度環境を変化させた際に測定される、フィルムの長手方向の吸湿伸び率および幅方向の吸湿伸び率が、それぞれ0.2%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.05%以下であることがさらに好ましい。積層フィルムは、吸湿伸び率が0.2%以下であることで、LED実装基板として使用する際の各工程における吸湿寸法変化を小さくすることができる。特に、回路形成後にハンダを搭載する際の位置ずれを防ぐことが可能となる。
本発明の積層フィルムは、250℃×5分条件下で測定される、フィルムの長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率が、それぞれ-1.0~1.5%であることが好ましく、-0.8~1.3%であることがより好ましく、-0.6~1.0%であることがさらに好ましい。積層フィルムは、熱収縮率が1.5%以下であることにより、寸法安定性が向上し、耐熱性に優れる。一方、熱可塑性樹脂フィルムは、熱収縮率が1.5%を超えると、高温で加工された場合に、寸法変化が大きくなるため、加工トラブルが発生することがある。
本発明の積層フィルムは、視認性の観点から透明性を有することが好ましく、JIS K7105に準じて測定される積層フィルムのヘーズが13%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。
本発明の積層フィルムは、フィルム面の少なくとも1つの方向におけるループステフネス値が140mN/cm以上であることが好ましく、145mN/cm以上であることがより好ましく、150mN/cm以上であることがさらに好ましい。積層フィルムのループステフネス値が140mN/cm以上であることにより、積層フィルムを使用したLED実装基板は美麗性に優れる。
本発明の積層フィルムは、クラムシェル型屈曲試験機にて実施した折り曲げ試験において、破断発生試験回数が40万回以上であることが好ましく、45万回以上であることがより好ましく、50万回以上であることがさらに好ましい。積層フィルムは、破断発生試験回数が40万回以上であることで、柔軟性が要求されるフレキシブルディスプレイなどに好適に使用することができる。
<積層フィルムの用途>
本発明の積層フィルムは、水蒸気透過度が5g/(m・d)以下であり、吸湿寸法安定性に優れるため、加工時に高い寸法安定性が要求される用途に好適に使用される。具体的には、ディスプレイ用途や、フレキシブルプリント基板用途、太陽電池基板などが挙げられる。
中でも、回路形成後にハンダを搭載する際の位置ずれを防ぐことが可能となるため、フレキシブルLEDディスプレイのLED実装基板、有機EL等の光学基板、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルなどの電子基板材料、フレキシブルプリント配線用カバ―レイフィルムなどとして好適に使用される。
本発明の積層フィルムに銅を積層した銅張積層板は、LED実装基板やフレキシブルプリント基板などとして好適に使用される。
本発明の積層フィルムに銅を積層する方法は特に限定されず、銅箔を用いたラミネーション法や、スパッタリング法、無電解めっき法などが挙げられる。ラミネーション法に用いられる銅箔としては、電解銅箔、圧延銅箔があげられる。スパッタリング法や無電解めっき法で用いられるシード層としては、ニッケルやクロムなどの金属やそれら金属の合金を使用することができる。
本発明の積層フィルムを使用したLEDディスプレイの構成例を下記に示す。
・LED素子/回路/(本発明の積層フィルム)
・カバーレイ/接着層/LED素子/回路/(本発明の積層フィルム)
・ハードカバー層/LED素子/回路/(本発明の積層フィルム)/ハードカバー層
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
1.評価方法
(1)半芳香族ポリアミド樹脂の極限粘度
濃硫酸中、30℃にて、0.05、0.1、0.2、0.4g/dLの各濃度下での樹脂の固有粘度(ηinh)を以下の式から求め、これを濃度0に外挿した値を極限粘度[η]とした。
ηinh=[ln(t1/t0)]/c
〔式中、ηinhは固有粘度(dL/g)、t0は溶媒の流下時間(秒)、t1は樹脂溶液の流下時間(秒)、cは溶液中の樹脂の濃度(g/dL)を表す。〕
(2)半芳香族ポリアミド樹脂の融点、ガラス転移温度
示差走査型熱量計装置(パーキンエルマー社製 DSC-7)を用い、半芳香族ポリアミド樹脂を、窒素雰囲気下で20℃から350℃まで10℃/分で昇温させ5分間保持した(1st Scan)後、350℃から20℃まで100℃/分で冷却して5分間保持した。さらに20℃から350℃まで10℃/分で再昇温させた過程(2nd Scan)でのガラス転移温度を、半芳香族ポリアミド樹脂のTgとした。同様に、2nd Scanで観測される結晶融解ピークのピークトップ温度をTmとした。
(3)積層フィルムの水蒸気透過度
水蒸気バリア測定器(モコン社製 PERMATRAN-W 3/33)を用い、JIS K7129-1に準じて、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下にて測定した。
(4)積層フィルムの吸湿伸び率
積層フィルムを、温度23℃、相対湿度50%環境下で2日間放置した後、試験片(幅200mm×長さ300mm)を切り出し、長手方向、幅方向に各々標点間距離100mmとしてマーキングした。温度23℃、相対湿度90%環境下で2日間吸湿処理した後、長手方向、幅方向の各々標点間距離を測定し、下記式によって、長手方向および幅方向の試験片の吸湿伸び率を求めた。
吸湿伸び率(%)=[{吸湿処理後長-原長}/原長]×100
(5)積層フィルムの熱収縮率
積層フィルムの長手方向および幅方向に対し、それぞれ短冊状の試験片(幅10mm×長さ100mm)を切り出した。得られた試験片について、それぞれ250℃雰囲気下で5分間熱処理した後、温度23℃、相対湿度50%で2時間放置した後の長さ方向の寸法を測定し、下記式によって、長手方向の試験片の熱収縮率および幅方向の試験片の熱収縮率求めた。
熱収縮率(%)=[{原長-熱処理後長}/原長]×100
(6)積層フィルムのヘーズ
JIS K7105に準じて、日本電色社製ヘイズメーター(NDH 2000)を用い、積層フィルムのヘーズを測定した。
(7)積層フィルムの耐屈曲性
30mm×200mmに切り出した試験片を、温度20℃、相対湿度65%で十分に状態調整を行った後、クラムシェル型屈曲試験機(ユアサシステム機器社製、DR11MR-CS-m型)に取付けた。なお、層構成がY/Xの積層フィルムに関しては、折り曲げた際に水蒸気バリア層(Y)が内側になるように取付けた。前記雰囲気下にて、曲げ半径1.0mm、屈曲角度0°~180°、試験速度60r/minの条件で屈曲試験をそれぞれn=5で実施した。試験回数30万回、35万回、40万回・・・と5万回ごとに試験片を取り出し、破断しているかどうかを目視で確認し、破断していた場合はそのときの試験回数を記載して試験を終了した。破断していなかった場合は屈曲試験を継続した。50万回で全ての試験は終了し、破断していない試験片は、白化、曲げ跡を下記基準により目視でそれぞれ評価し、最も低い評価結果を記載した。
<白化>
○:屈曲部が白くならない。
△:屈曲部の透明性が低下した。
×:屈曲部が白くなった。
<曲げ跡>
○:曲げ跡が残らない。
△:曲げしわが生じた。
×:曲げ跡が残った。
(8)LED実装基板の外観
積層フィルムの表面に、シード層をニッケル-クロム合金としたスパッタリング法を用いて銅を積層して銅張積層板を得た。なお、層構成がY/Xの積層フィルムに関しては、水蒸気バリア層(Y)側に銅を積層した。得られた銅張積層板の銅箔層表面に、配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスクを形成した。その後、エッチングマスクに覆われていない箇所の銅箔を浸漬液によって除去し、続いてアルカリ性の剥離液にてエッチングマスクを除去した。最後に、得られた配線パターン形状の銅箔上にLED素子をハンダ加工によって接合し、簡易的なLED実装基板を作製した。
作製したLED実装基板の反りおよびハンダずれを下記基準により目視でそれぞれ評価した。LED実装基板として使用する際には、いずれの評価ともに、「〇」または「△」が好ましく、「〇」が最も好ましい。
<反り>
〇:反りも浮き上がりも発生していない
△:端部が浮き上がっている
×:反りが発生している
<ハンダずれ>
〇:ハンダずれは発生していない
△:ハンダずれは発生しているが、LED素子に通電する
×:ハンダずれが発生しており、LED素子に通電しない
2.原材料
(1)半芳香族ポリアミド樹脂
半芳香族ポリアミド樹脂A:
下記の方法で製造したものを使用した。
テレフタル酸(TA)3289質量部、1,9-ノナンジアミン(NDA)2533質量部、2-メチル-1,8-オクタンジアミン(MODA)633質量部、安息香酸(BA)48.9質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物6.5質量部(前記のポリアミド原料4者の合計に対して0.1質量%)および蒸留水2200質量部を反応釜に入れ、窒素置換した。これらの原料のモル比(TA/BA/NDA/MODA)は99/2/80/20である。
反応釜の内容物を100℃で30分間攪拌した後、2時間かけて内部温度を210℃に昇温した。この時、反応釜の内部は2.12MPa(22kg/cm)まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.12MPa(22kg/cm)に保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を0.98MPa(10kg/cm)まで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを100℃の温度で減圧下で12時間乾燥した後、2mm以下の大きさまで粉砕した。
次いで、粉砕したプレポリマーを、温度230℃、圧力13.3Pa(0.1mmHg)の条件下で10時間固相重合してポリマーを得た。これを二軸押出機(日本製鋼所社製 TEX44C)に供給し、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練して押出し、冷却、切断して、半芳香族ポリアミド樹脂Aのペレットを製造した。半芳香族ポリアミド樹脂Aは、融点が290℃であり、ガラス転移温度が125℃であり、極限粘度が1.17dL/gであった。
半芳香族ポリアミド樹脂B:
下記の方法で製造したものを使用した。
テレフタル酸(TA)489質量部、1,10-デカンジアミン(DDA)507質量部、安息香酸(BA)2.8質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物1.0質量部(前記のポリアミド原料3者の合計に対して0.1質量%)および蒸留水1000質量部を反応釜に入れ、窒素置換した。これらの原料のモル比(TA/BA/DDA)は99/2/100である。
反応釜の内容物を80℃で0.5時間、毎分28回転で撹拌した後、230℃に昇温した。その後、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応生成物を取り出した。
該反応生成物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合してポリマーを得た。これを二軸押出機(日本製鋼所社製 TEX44C)に供給し、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練して押出し、冷却、切断して、半芳香族ポリアミド樹脂Bのペレットを製造した。半芳香族ポリアミド樹脂Bは、融点が316℃であり、ガラス転移温度が150℃であり、極限粘度が1.24dL/gであった。
(2)微粒子
下記の方法で作製した、シリカを2質量%含有するマスターチップ(M1)および(M2)を用いた。
・マスターチップ(M1):
半芳香族ポリアミド樹脂A98質量部と、シリカ(東ソー・シリカ社製、NIPGEL AZ-204、平均粒子径1.7μm)2質量部とを溶融混練した。
・マスターチップ(M2):
半芳香族ポリアミド樹脂B98質量部と、シリカ(東ソー・シリカ社製、NIPGEL AZ-204、平均粒子径1.7μm)2質量部とを溶融混練した。
(3)ヒンダードフェノール系熱安定剤
GA:3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(住友化学社製 スミライザーGA-80、熱分解温度392℃)
(4)水蒸気バリア性樹脂
水蒸気バリア性樹脂層の形成に、下記の樹脂からなるものを使用した。
・樹脂Cのラテックス:PVDCラテックス、サランラテックスL536B(旭化成社製)
・樹脂Dのコート剤:フッ化シラン系コート剤、Novec 1720(3M社製)
・樹脂Eのフィルム:PCTFEフィルム、HydroBlock P600TR(Honeywell社製)
・樹脂Hのコート剤:ウレタン系コート剤、タケラックWS-4000(三井化学社製)
実施例1
半芳香族ポリアミド樹脂A100質量部に対し、GAが0.2質量部、シリカが0.1質量部となるように、半芳香族ポリアミド樹脂A、GA、マスターチップ(M1)を混合した。
この混合物を、シリンダー温度を320℃に設定した65mm単軸押出機に投入して溶融し、320℃に設定したTダイよりシート状に押出し、表面温度40℃に設定した冷却ロール上に静電密着させて冷却し、厚さ650μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
次に、この未延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機に導き、同時二軸延伸を行った。延伸条件は、予熱部温度が155℃、延伸部温度が150℃、長手方向および幅方向の延伸歪み速度が3200%/分、長手方向および幅方向の延伸倍率がそれぞれ3.0倍、3.3倍であった。延伸後、280℃で5秒の熱固定処理を行い、長手方向に1%、幅方向に3%のリラックス率で弛緩処理を行い、厚み75μmの半芳香族ポリアミドフィルムを得た。
得られた半芳香族ポリアミドフィルムの第1の面に樹脂Cのラテックス(固形分濃度50質量%)をグラビアロールコーティング法にて塗布し、温度140℃の赤外線照射機により30秒間乾燥処理を行って、ラテックス中の水分を蒸発乾燥し、厚さ2μmの水蒸気バリア層を形成した。その後、半芳香族ポリアミドフィルムの第2の面にも同様の手法を用いて樹脂Cのラテックスを塗布し、水蒸気バリア層(Y)2μm/基材フィルム(X)75μm/水蒸気バリア層(Y)2μmの積層フィルムを得た。
実施例2~9
使用した半芳香族ポリアミド樹脂の種類、延伸倍率、延伸方法、リラックス率、厚み、および、水蒸気バリア層の厚みを表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
実施例10
実施例1と同様にして得た半芳香族ポリアミドフィルムの第1の面に、樹脂Cのラテックスをグラビアロールコーティング法にて塗布し、温度140℃の赤外線照射機により30秒間乾燥処理を行って、ラテックス中の水分を蒸発乾燥し、厚さ2μmの水蒸気バリア層を形成し、水蒸気バリア層(Y)2μm/基材フィルム(X)75μmの積層フィルムを得た。
実施例11
水蒸気バリア層(Y)の厚みを4μmとした以外は実施例10と同様にして積層フィルムを得た。
実施例12
半芳香族ポリアミド樹脂A100質量部に対し、GAが0.2質量部、シリカが0.1質量部となるように、半芳香族ポリアミド樹脂A、GA、マスターチップ(M1)を混合した。
この混合物を、シリンダー温度を320℃に設定した65mm単軸押出機に投入して溶融し、320℃に設定したTダイよりシート状に押出し、表面温度40℃に設定した冷却ロール上に静電密着させて冷却し、厚さ650μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
次に、この未延伸フィルムの第1の面に樹脂Cのラテックスをエアーナイフコーティング法により塗布し、温度110℃の赤外線照射機により30秒間感動処理を行って、ラテックス中の水分を蒸発乾燥した。その後、半芳香族ポリアミドフィルムの第2の面にも同様の手法を用いて樹脂Cのラテックスを塗布、乾燥した。
このラテックスを塗布し、ラテックス中の水分を乾燥した未延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機に導き、同時二軸延伸を行った。延伸条件は、予熱部温度が155℃、延伸部温度が150℃、長手方向および幅方向の延伸歪み速度が3200%/分、長手方向および幅方向の延伸倍率がそれぞれ3.0倍、3.3倍であった。延伸後、280℃で5秒の熱固定処理を行い、長手方向に1%、幅方向に3%のリラックス率で弛緩処理を行い、水蒸気バリア層(Y)2μm/基材フィルム(X)75μm/水蒸気バリア層(Y)2μmの積層フィルムを得た。
実施例13
実施例1と同様にして得た半芳香族ポリアミドフィルムの第1の面に樹脂Dのコート剤(固形分濃度0.1質量%)をグラビアロールコーティング法にて塗布し、温度100℃の赤外線照射機により25分間乾燥処理を行って、塗膜中の水分を蒸発乾燥し、厚さ2μmの水蒸気バリア層を形成した。その後、半芳香族ポリアミドフィルムの第2の面にも同様の手法を用いて樹脂Dのコート剤を塗布し、水蒸気バリア層(Y)2μm/基材フィルム(X)75μm/水蒸気バリア層(Y)2μmの積層フィルムを得た。
実施例14
実施例1と同様にして得た半芳香族ポリアミドフィルムの両面にそれぞれ20W・min/mの処理強度でコロナ放電処理を行った。その後、半芳香族ポリアミドフィルムの第1の面に二液型ポリウレタン系接着剤(I)(TM-K55/CAT-10L 東洋モートン社製)を、塗布量が5g/mとなるように塗布し、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面に、樹脂Eのフィルムを貼り合わせた。半芳香族ポリアミドフィルムの第2の面にも同様の手法を用いて樹脂Eのフィルムを貼り合わせ、水蒸気バリア層(Y)15μm/接着層(I)0.5μm/基材フィルム(X)75μm/接着層(I)0.5μm/水蒸気バリア層(Y)15μmの積層フィルムを得た。
実施例15
実施例1と同様にして得た半芳香族ポリアミドフィルムの両面にそれぞれ20W・min/mの処理強度でコロナ放電処理を行った。その後、半芳香族ポリアミドフィルムを連続式真空蒸着機の巻き出し装置にセットし、冷却金属ドラムを介して走行させフィルムを巻き取った。このとき連続式真空蒸着機を10-4Torr以下に減圧し、冷却ドラムの下部よりアルミナ製ルツボに純度99.99%の金属アルミニウムを装填して金属アルミニウムを加熱蒸発させ、その蒸気中に酸素を供給し酸化反応させながらフィルムの第1の面上に付着堆積させ、無機薄膜層(F)として、厚さ0.03μmの酸化アルミニウム膜を形成した。その後、半芳香族ポリアミドフィルムの第2の面にも同様の手法を用いて酸化アルミニウム膜を形成し、水蒸気バリア層(Y)0.03μm/基材フィルム(X)75μm/水蒸気バリア層(Y)0.03μmの積層フィルムを得た。
実施例16
蒸着に使用する金属をアルミニウムとした以外は実施例15と同様にして、無機薄膜層(G)が形成された積層フィルムを得た。
比較例1
実施例1と同様にして半芳香族ポリアミドフィルムを得た。
比較例2
実施例1と同様にして得た半芳香族ポリアミドフィルムの第1の面に樹脂Hのコート剤(固形分濃度20質量%)をグラビアロールコーティング法にて塗布し、温度100℃の赤外線照射機により30秒間乾燥処理を行って、塗膜中の水分を蒸発乾燥し、厚さ2μmの樹脂層を形成した。その後、半芳香族ポリアミドフィルムの第2の面にも同様の手法を用いて樹脂Hのコート剤を塗布し、樹脂層(Y)2μm/基材フィルム(X)75μm/樹脂層(Y)2μmの積層フィルムを得た。
積層フィルムの構成、基材フィルム(X)および水蒸気バリア層(Y)の製造条件、積層フィルムの物性を表1に示す。
Figure 2023108816000001
実施例1~16の積層フィルムは、水蒸気透過度が5g/(m・d)以下であり、吸湿寸法安定性に優れ、LED実装基板を加工する際のハンダずれが生じなかった。
比較例1および2のフィルムおよび積層フィルムは、水蒸気透過度が5g/(m・d)を超えており、吸湿寸法安定性に劣り、ハンダずれが生じた。

Claims (8)

  1. 少なくとも基材フィルム(X)と水蒸気バリア層(Y)を有する積層フィルムであって、基材フィルム(X)が半芳香族ポリアミドフィルムであり、JIS K7129-1法に準拠して測定した40℃×90%RHにおける積層フィルムの水蒸気透過度が5g/(m・d)以下であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 23℃×50%RHから23℃×90%RHに湿度環境を変化させた際に測定される、積層フィルムの長手方向の吸湿伸び率および幅方向の吸湿伸び率が、それぞれ0.2%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 基材フィルム(X)の第1の面側に水蒸気バリア層(Y)を有し、かつ、基材フィルム(X)の第2の面側にも水蒸気バリア層(Y)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 半芳香族ポリアミドフィルムが二軸配向されたものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 基材フィルム(X)と水蒸気バリア層(Y)が隣接していることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の積層フィルムを含む銅張積層板。
  7. 請求項1~5のいずれかに記載の積層フィルムを使用したLED実装基板。
  8. 請求項7に記載のLED実装基板を使用したLEDディスプレイ。

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