JP2015196450A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Yoshinori Isshi
好則 一志
芳彦 上杉
Yoshihiko Uesugi
芳彦 上杉
義治 遠藤
Yoshiharu Endo
義治 遠藤
孝行 鎌田
Takayuki Kamata
孝行 鎌田
樋口 輝一
Terukazu Higuchi
輝一 樋口
秀一 平林
Shuichi Hirabayashi
秀一 平林
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Abstract

【課題】蒸発器表面の凝縮水の蒸発による臭いの悪化を最小限に抑えつつ、ユーザが意図する車室内空間への外気導入を実行することができる車両用空調装置を提供する。【解決手段】ユーザによって吸込口モードスイッチが操作されて内気モードから外気モードへの切り替えが選択された場合に、空調制御装置は、外気導入率が50%である半内気モードを蒸発器表面が凝縮水で濡れている状態から乾いた状態となるまで実行し、蒸発器表面が乾いた後に、外気導入率が100%の外気モードを実行する。【選択図】図4

Description

本発明は、車両用空調装置に関するものである。
特許文献1には、吸込口モードをユーザ操作(マニュアル)によって、内気モードから外気モードへ切り替えるとき、その外気モードの外気導入率を100%とする車両用空調装置が記載されている。
特開2013−166468号公報
特許文献1の車両用空調装置では、乗員の呼気で相対湿度が高い内気と比べて、外気の相対湿度が低い場合に、吸込口モードを内気モードから外気導入率が100%の外気モードへ切り替えると、凝縮水で濡れた状態であった蒸発器表面が急激に乾くことで、臭いが強く発生する場合がある。
本発明は上記点に鑑みて、蒸発器表面の凝縮水の蒸発による臭いの悪化を最小限に抑えつつ、ユーザが意図する車室内空間への外気導入を実行することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
内気を導入する内気導入口(21)および外気を導入する外気導入口(22)を有し、内部に空気通路が形成されたケーシング(11)と、
ケーシング内に配置され、内気導入口と外気導入口の少なくとも一方からケーシング内に導入された空気と冷媒とを熱交換させて、冷媒を蒸発させるとともに空気を冷却する蒸発器(13)と、
内気導入口および外気導入口からケーシング内に導入される空気全体に対する外気の風量割合である外気導入率を変化させて、内外気モードを切り替える切替装置(23)と、
切替装置の作動を制御する制御手段(50)と、
ユーザによって操作され、ケーシング内に内気を導入する内気モードからケーシング内に外気を導入する外気モードへの内外気モードの切り替えを選択する操作部(60c)とを備え、
制御手段は、操作部が操作されて内気モードから外気モードへの切り替えが選択された場合に、外気導入率が内気モードよりも高い第1外気モードと外気導入率が第1外気モードよりも高い第2外気モードのうち、第1外気モードを、蒸発器表面が凝縮水で濡れている状態から乾いた状態となるまで実行し、蒸発器表面が乾いた後に、第2外気モードを実行することを特徴としている。
本発明によれば、ユーザ操作によって内気モードから外気モードへの切り替えが選択された場合に、第2外気モードよりも外気導入率が低い第1外気モードを、蒸発器表面が凝縮水で濡れている状態から乾いた状態となるまで実行するので、外気の相対湿度が低い場合に、蒸発器表面が急激に乾くことを防止できる。さらに、蒸発器表面が乾いた後に、第1外気モードよりも外気導入率が高い第2外気モードを実行するので、第1外気モードを実行し続ける場合よりも、車室内空間の空気を早く入れ替えることができる。
よって、本発明によれば、外気の相対湿度が低い場合における蒸発器表面の凝縮水の急激な蒸発を防止して、凝縮水の蒸発による臭いの悪化を最小限に抑えつつ、ユーザが意図する車室内空間への外気導入を実行することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態における車両用空調装置の全体構成を示す図である。 第1実施形態における車両用空調装置の電気制御部の構成を示すブロック図である。 第1実施形態における空調制御装置の処理の一例を示したフローチャートである。 第1実施形態において、図3のステップS6で行われる吸込口モード決定処理を示すフローチャートである。 第1実施形態と比較例1のそれぞれにおける吸込口モードの切り替え時の臭い強度と時間の関係を示す図である。 第2実施形態において、図3のステップS6で行われる吸込口モード決定処理を示すフローチャートである。 第2実施形態と比較例1のそれぞれにおける吸込口モードの切り替え時の臭い強度と時間の関係を示す図である。 第3実施形態において、本発明の第1外気モードの外気導入率および実行時間の設定について説明するための図である。 第4実施形態において、本発明の第1外気モードの外気導入率および実行時間の設定について説明するための図である。 第5実施形態における車両用空調装置の全体構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1に、本実施形態における車両用空調装置1の全体構成を示し、図2に、この車両用空調装置1の電気制御部の構成を示す。本実施形態では、この車両用空調装置1を、内燃機関(エンジン)EGおよび走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両に適用している。
まず、本実施形態のハイブリッド車両について説明する。本実施形態のハイブリッド車両は、車両停止時に外部電源(商用電源)から供給された電力を図1のバッテリ81に充電することのできる、いわゆるプラグインハイブリッド車両として構成されている。このプラグインハイブリッド車両は、車両走行開始前の車両停止時に外部電源からバッテリ81に充電しておくことによって、走行開始時のようにバッテリ81の蓄電残量が予め定められた走行用基準残量以上になっているときには、主に走行用電動モータの駆動力によって走行する(以下、この運転モードをEV運転モードという)。
一方、車両走行中にバッテリ81の蓄電残量が走行用基準残量よりも低くなっているときには、主にエンジンEGの駆動力によって走行する(以下、この運転モードをHV運転モードという)。このように、EV運転モードとHV運転モードとを切り替えることによって、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両に対してエンジンEGの燃料消費量を抑制して、車両燃費を向上させている。
また、エンジンEGから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、図1の発電機80を作動させるためにも用いられる。そして、発電機80にて発電された電力および外部電源から供給された電力は、バッテリ81に蓄えることができ、バッテリ81に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給できる。
次に、本実施形態の車両用空調装置1の詳細構成を説明する。車両用空調装置1は、図1に示す室内空調ユニット10と、図2に示す空調制御装置50とを備えている。
図1に示すように、室内空調ユニット10は、ケーシング11、送風機12、蒸発器(エバポレータ)13、ヒータコア14、およびPTCヒータ15等を備え、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されている。そして、室内空調ユニット10は、その外殻を形成するケーシング11内に送風機12、蒸発器13、ヒータコア14、PTCヒータ15等を収容したものである。
ケーシング11は、車室内に送風される送風空気の空気通路を内部に形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケーシング11内の送風空気流れ最上流側には、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替箱20が配置されている。
より具体的には、内外気切替箱20には、ケーシング11内に内気を導入させる内気導入口21および外気を導入させる外気導入口22が形成されている。さらに、内外気切替箱20の内部には、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整して、内気導入口21および外気導入口22からケーシング11に導入される空気全体に対する外気の風量割合である外気導入率を変化させる内外気切替ドア23が配置されている。内外気切替ドア23は、内外気切替ドア23用の電動アクチュエータ62によって駆動され、この電動アクチュエータ62は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
したがって、内外気切替ドア23および電動アクチュエータ62は、外気導入率を変化させて内外気モードを切り替える切替装置を構成している。なお、内気導入口21および外気導入口22は、内気を吸い込む内気吸込口および外気を吸い込む外気吸込口とも呼ばれ、内外気モードは、吸込口モードとも呼ばれる。
また、吸込口モードとしては、内気導入口21を全開とするとともに外気導入口22を全閉として、ケーシング11内へ内気を導入する内気モード、内気導入口21を全閉とするとともに外気導入口22を全開として、ケーシング11内へ外気を導入する外気モード、さらに、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を略同一として、ケーシング11内へ導入する外気と内気の風量割合をおおよそ半分ずつとする半内気モードがある。したがって、本実施形態では、内気モードは外気導入率が0%であり、外気モードは外気導入率が100%であり、半内気モードは外気導入率が50%である。
内外気切替箱20の空気流れ下流側には、内外気切替箱20を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風機(ブロワ)12が配置されている。この送風機12は、ブロワモータ121と遠心多翼ファン(シロッコファン)122とを備え、遠心多翼ファン122をブロワモータ121にて駆動する電動の送風装置である。送風機12は、ケーシング11に形成された空気吹出口24〜26から、温度調整された空調空気を吹き出させる。送風機12は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
送風機12の空気流れ下流側には、蒸発器13が配置されている。蒸発器13は、圧縮機(コンプレッサ)31、凝縮器32、気液分離器33、および膨張弁34等とともに、冷凍サイクル30を構成している。車両用空調装置1は、圧縮機31、凝縮器32、気液分離器33、および膨張弁34等も備えている。蒸発器13は、冷凍サイクル30において圧縮機31での圧縮後に膨張弁34によって膨張させられた冷媒を蒸発させ、その冷媒と送風空気とを熱交換させることにより送風空気を冷却する。
圧縮機31は、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル30において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものであり、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構31aを電動モータ31bにて駆動する電動圧縮機として構成されている。電動モータ31bは、インバータ61(図2参照)から出力される交流電圧によって、その作動(回転数)が制御される交流モータである。
また、空調制御装置50は、図2に示すように、圧縮機31の目標回転数Nctを示す制御信号をインバータ61へ出力し、インバータ61は、その制御信号に応じた周波数の交流電圧を出力する。そして、この回転数制御によって、圧縮機31の冷媒吐出能力が変更される。その一方で、インバータ61は、圧縮機31の消費電力Wcpを示す信号を空調制御装置50へ出力する。
図1に示す凝縮器32は、エンジンルーム内に配置されて、内部を流通する冷媒と、室外送風機としての送風ファン35から送風された車室外空気(外気)とを熱交換させることにより、圧縮された冷媒を凝縮液化させるものである。送風ファン35は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち、回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
気液分離器33は、凝縮液化された冷媒を気液分離して液冷媒のみを下流に流すものである。膨張弁34は、液冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。蒸発器13は、冷媒と送風空気との熱交換により、減圧膨張された冷媒を蒸発気化させるものである。
また、ケーシング11内において、蒸発器13の空気流れ下流側には、蒸発器13通過後の空気を流す加熱用冷風通路16、冷風バイパス通路17といった空気通路、並びに、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17から流出した空気を混合させる混合空間18が形成されている。
加熱用冷風通路16には、蒸発器13通過後の送風空気すなわち蒸発器13で冷却された送風空気を加熱する加熱装置としてのヒータコア14およびPTCヒータ15が、送風空気流れ方向に向かってこの順で配置されている。
ヒータコア14は、車両走行用駆動力を出力するエンジンEGの冷却水と蒸発器13通過後の空気とを熱交換させて、蒸発器13通過後の空気を加熱する加熱用熱交換器である。
具体的には、ヒータコア14とエンジンEGとの間に冷却水流路41が設けられており、ヒータコア14とエンジンEGとの間を冷却水が循環する冷却水回路40が構成されている。そして、この冷却水回路40には、冷却水を循環させるための電動ウォータポンプ42が設置されている。電動ウォータポンプ42は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(冷却水循環量)が制御される電動式の水ポンプである。
また、PTCヒータ15は、PTC素子(正特性サーミスタ素子)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して、ヒータコア14通過後の空気を加熱する補助暖房手段としての電気ヒータである。本実施形態のPTCヒータ15は、複数のPTCヒータから構成されている。具体的には、第1PTCヒータ15a、第2PTCヒータ15b、および第3PTCヒータ15cから構成されている。空調制御装置50は、スイッチ切替え等により、通電するPTCヒータ15の本数を変化させ、それによって複数のPTCヒータ15全体としての加熱能力が制御される。
図1中の冷風バイパス通路17は、蒸発器13通過後の空気を、ヒータコア14およびPTCヒータ15を通過させることなく、混合空間18に導くための空気通路である。したがって、混合空間18にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路16を通過する空気および冷風バイパス通路17を通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、蒸発器13の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17の入口側に、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17へ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア19を配置している。エアミックスドア19は、エアミックスドア用の電動アクチュエータによって駆動され、この電動アクチュエータは、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。エアミックスドア19は、混合空間18内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整手段を構成する。
さらに、ケーシング11の送風空気流れ最下流部には、混合空間18から空調対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す空気吹出口24〜26が配置されている。この空気吹出口24〜26としては、具体的に、車室内の乗員の上半身に向けて空調空気を吹き出すフェイス吹出口24、乗員の足元に向けて空調空気を吹き出すフット吹出口25、および、車両前面窓ガラス74の内側面74aに向けて空調空気を吹き出すデフロスタ吹出口26が設けられている。
また、フェイス吹出口24、フット吹出口25、およびデフロスタ吹出口26の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口24の開口面積を調整するフェイスドア24a、フット吹出口25の開口面積を調整するフットドア25a、デフロスタ吹出口26の開口面積を調整するデフロスタドア26aが配置されている。
これらのフェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aは、図示しないリンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回動操作される。この電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御される。このように、フェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26a、および電動アクチュエータ64は、各空気吹出口24、25、26の開口面積をそれぞれ調整する吹出口調整装置を構成している。
また、吹出口モードとしては、フェイス吹出口24を全開してフェイス吹出口24から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイスモード(FACE)、フェイス吹出口24とフット吹出口25の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出すバイレベルモード(B/L)、フット吹出口25を全開するとともにデフロスタ吹出口26を小開度だけ開口して、フット吹出口25から主に空気を吹き出すフットモード(FOOT)、デフロスタ吹出口26を全開してデフロスタ吹出口26から空気を吹き出すデフロスタモード(DEF)、およびフット吹出口25およびデフロスタ吹出口26を同程度開口して、フット吹出口25およびデフロスタ吹出口26の双方から空気を吹き出すフット/デフロスタモード(F/D)がある。
次に、図2により、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置50は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
空調制御装置50の出力側には、送風機12、圧縮機31の電動モータ31b用のインバータ61、室外ファンとしての送風ファン35、内外気切替ドア(内外気切替ドアダンパ)23用の電動アクチュエータ62、吹出口モードドア(吹出口ダンパ)24a、25a、26a用の電動アクチュエータ64、各PTCヒータ15a、15b、15c、および電動ウォータポンプ42等が接続されている。
また、空調制御装置50の入力側には、車室内温度Trを検出する内気センサ51、外気温Tamを検出する外気センサ52(外気温検出手段)、車室内の日射量Tsを検出する日射センサ53、および、圧縮機31の吐出冷媒圧力Pcを検出する冷媒圧力センサである吐出圧力センサ55(吐出圧力検出手段)等のセンサ群が接続されている。
また、空調制御装置50の入力側には、これらの図2に示すセンサ群の他に、圧縮機31の吐出冷媒温度Tcを検出する吐出温度センサ(吐出温度検出手段)、蒸発器13からの吹出空気温度(蒸発器温度)TEを検出する蒸発器温度センサ(蒸発器温度検出手段)、圧縮機31に吸入される冷媒の温度Tsiを検出する吸入温度センサ、および、エンジンEGから流出したエンジン冷却水の冷却水温度TWを検出する冷却水温度センサ(冷却水温度検出手段)等の不図示のセンサ群も接続されている。
なお、上記蒸発器温度センサは、具体的に蒸発器13の熱交換フィン温度を検出している。もちろん、その蒸発器温度センサは、蒸発器13のその他の部位の温度を検出してもよいし、蒸発器13を流通する冷媒自体の温度を直接検出してもよい。
さらに、空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル60には、各種空調操作スイッチとして、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ(図示せず)、エアコンのオン・オフ(具体的には圧縮機31のオン・オフ)を切り替えるエアコンスイッチ60a、オートスイッチ60b、運転モードの切替スイッチ(図示せず)、吸込口モードを切り替える吸込口モードスイッチ60c、吹出口モードを切り替える吹出口モードスイッチ(図示せず)、送風機12の風量設定スイッチ(図示せず)、乗員の操作によって車室内の目標温度Tsetを設定する車室内温度設定スイッチ(図示せず)等が設けられている。オートスイッチ60bは、乗員の操作によって車両用空調装置1の自動制御を設定あるいは解除する自動制御設定手段である。
吸込口モードスイッチ60cは、乗員(ユーザ)の操作によって内気モードと外気モードの2種類の吸込口モードの切り替えを選択する操作部を構成している。吸込口モードスイッチ60cが乗員によって操作されることで、内気モードから外気モードへの切り替えと外気モードから内気モードへの切り替えとが選択される。
また、本実施形態では、操作パネル60は、車両用空調装置1の作動状態を表示する表示部60dを有しており、この表示部60dに、吸込口モードスイッチ60cで選択された吸込口モード等が表示される。
また、空調制御装置50は、エンジンEGの作動を制御するエンジンコンピュータであるエンジン制御装置90に電気的に接続されており、空調制御装置50およびエンジン制御装置90は互いに電気的に通信可能に構成されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号あるいは操作信号に基づいて、他方の制御装置が出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。例えば、空調制御装置50がエンジン制御装置90へエンジンEGの作動要求信号を出力することによって、エンジンEGを作動させることができる。また、空調のためにエンジンEGが作動している場合には、空調制御装置50がエンジンEGの作動要求信号を出力しないことによって、エンジンEGを停止させることができる。
なお、空調制御装置50およびエンジン制御装置90は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御手段を構成している。例えば、空調制御装置50のうち、内外気切替ドア23の作動を制御する構成が、吹出口モードの切り替えを制御する制御手段を構成している。
次に、空調制御装置50による制御を、図3を用いて説明する。図3は、空調制御装置50の処理の一例を示したフローチャートである。まず、イグニッションスイッチがオンされて、空調制御装置50に直流電源が供給されると、予めメモリに記憶されている制御プログラムが実行される。イグニッションスイッチがオンされた時は、ユーザの操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態になった時である。
ステップS1では、空調制御装置50内部のマイクロコンピュータに内蔵されたデータ処理用メモリの記憶内容等を初期化(イニシャライズ)し、ステップS2に進む。ステップS2では、操作パネル60の操作信号(スイッチ信号)を読み込んでステップS3へ進む。具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチによって設定される車室内目標温度Tsetの設定信号、オートスイッチ60bの操作信号、吸込口モードスイッチ60cの操作信号等がある。
次に、ステップS3では、各種センサからのセンサ信号を読込み、ステップS4に進む。なお、ステップS2、S3では、各種データがデータ処理用メモリに読み込みこまれる。センサ信号としては、例えば、内気センサ51が検知する内気温度(車室内温度)Tr、外気センサ52が検知する外気温度Tam、日射センサ53が検知する日射量Ts、蒸発器後温度センサが検知する蒸発器後温度(Te)、および冷却水温センサが検知するエンジン冷却水温Twがある。
ステップS4では、予め記憶している下記の数式F1に入力データを代入して目標吹出温度TAOを演算し、ステップS5に進む。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C …(F1)
ここで、Tsetは、温度設定スイッチにて設定された設定温度、Trは内気温度、Tamは外気温度、Tsは日射量である。また、Kset、Kr、KamおよびKsは各ゲインであり、Cは全体にかかる補正用の定数である。そして、この目標吹出温度TAOおよび上記各種センサからの信号により、エアミックスドア19のアクチュエータの制御値および電動ウォータポンプ42の回転数の制御値等を算出する。
ステップS5では、ブロワ電圧を決定する処理を実施する。ブロワ電圧は、ブロワモータ121に印加される電圧であり、ブロワ電圧に応じて吹出風量が変更される。ブロワ電圧決定処理は、目標吹出温度TAOおよび上記各種センサや操作パネル60からの信号に基づいて、ブロワ電圧を決定する処理である。ブロワ電圧決定処理として、例えば、特許文献1や特開2014−28532号公報に記載のブロワ電圧決定処理と同じ処理を実施することができる。
次に、ステップS6では、吸込口モード決定処理を実施する。吸込口モード決定処理は、目標吹出温度TAOおよび上記各種センサや操作パネル60からの信号に基づいて、吸込口モードを決定する処理である。吸込口モード決定処理の詳細については後述する。
次に、ステップS7では、吹出口モード決定処理を実施する。吹出口モード決定処理は、目標吹出温度TAOおよび操作パネル60からの信号に基づいて、車室内に空調風を吹き出す吹出口を決定する処理である。例えば、吹出口モード制御がオートの場合、予め記憶された制御マップに従って、目標吹出温度TAOに応じて、吹出口モードをFACE、B/L、FOOTのいずれかに決定する。
次に、ステップS8では、圧縮機回転数決定処理を実施する。圧縮機回転数決定処理は、目標蒸発器温度TEO等に基づいて、圧縮機の回転数を決定する処理である。圧縮機回転数決定処理として、例えば、特許文献1や特開2014−28532号公報に記載の圧縮機回転数決定処理と同じ処理を実施することができる。
次に、ステップS9では、PTC作動本数決定処理を実施する。PTC作動本数決定処理は、電気ヒータを構成するPTCヒータ15(単にPTCともいう)の作動本数を決定する処理である。例えば、特許文献1や特開2014−28532号公報と同様に、PTCヒータ15の作動本数は、予め記憶された制御マップに従って決定され、エンジン冷却水温Twが低いほど多くされる。
次に、ステップS10では、要求水温決定処理を実施する。要求水温決定処理は、例えば、特許文献1や特開2014−28532号公報と同様に、エンジン冷却水を暖房および防曇等の熱源にするため、目標吹出温度TAO等に基づいて、エンジン冷却水の要求水温を決定する。そして、そのエンジン冷却水の要求水温に基づいて、エンジン制御装置90に対してエンジンEGの始動を要求するエンジンオン要求の要否を決定する。
次に、ステップS11では、電動ウォータポンプ作動決定処理を実施する。電動ウォータポンプ作動決定処理は、エンジン冷却水温Tw等に基づいて、電動ウォータポンプ42(図1参照)のオンオフを決定する処理である。電動ウォータポンプ作動決定処理として、例えば、特許文献1や特開2014−28532号公報に記載の電動ウォータポンプ作動決定処理と同じ処理を実施することができる。
次に、ステップS12では、目標蒸発器温度TEOの決定処理を実施する。この目標蒸発器温度TEOは蒸発器温度TEの目標温度である。目標蒸発器温度TEOの決定処理は、ステップS4(図3参照)で決定した目標吹出温度TAOに基づいて、目標蒸発器温度TEOを決定する処理である。この処理として、例えば、特開2014−28532号公報に記載の処理と同様の処理を実施することができる。
次に、ステップS13では、上記各ステップS4〜S12で算出または決定された各制御状態が得られるように、各種アクチュエータおよびエンジン制御装置90等に対して制御信号を出力する。また、操作パネル60に対して制御信号を出力し、操作パネル60の表示部60dの表示を切り替える。
次に、ステップS14では、制御周期Tの間待機し、制御周期Tの経過を判定するとステップS2に戻るようになっている。なお、本実施形態は制御周期Tを250msとしている。これは、車室内の空調制御は、エンジン制御等と比較して遅い制御周期であってもその制御性に悪影響を与えないからである。これにより、車両内における空調制御のための通信量を抑制して、エンジン制御等のように高速制御を行う必要のある制御系の通信量を十分に確保することができる。
次に、ステップS6の吸込口モード決定処理について説明する。ステップS6は、図4に示すフローチャートに従って実行される。
図4に示すように、ステップS601では、吸込口モード制御がオートか否かを判定する。具体的には、オートスイッチ60bがオンされているか否かを判定する。
オートスイッチ60bがオンされており、吸込口モード制御がオートの場合、ステップS602へ進み、予め空調制御装置50に記憶されたステップS602に示す制御マップを用い、目標吹出温度TAOに基づいて、吸込口モードを決定する。これにより、目標吹出温度TAOに応じて、外気モード、半内気モード、内気モードのいずれかが実行される。一方、オートスイッチ60bがオンでなく、吸込口モード制御がマニュアルの場合、ステップS603に進む。
ステップS603では、マニュアルで内気モードから外気モードへ変更されたか否かを判定する。内気モードから外気モードへ変更されていない場合、すなわち、吸込口モードスイッチ60cの操作で内気モードが選択されている場合、ステップS604に進む。ステップS604では、吸込口モードの表示を内気モードに決定し、次のステップS605で、吸込口モードを内気モードに決定する。これにより、表示部60dに内気モードが表示されるとともに、内気モードが実行される。
一方、内気モードから外気モードへ変更された場合、すなわち、吸込口モードスイッチ60cの操作により内気モードから外気モードへの切り替えが選択された場合、ステップS606に進む。
ステップS606では、吸込口モードの表示を外気モードに決定する。これにより、表示部60dに外気モードが表示される。
続いて、ステップS607では、吹出口モードがデフロスタモード(DEF)またはフット/デフロスタモード(F/D)であるか否かを判定する。吹出口モードがそれら以外の場合、ステップS608に進み、吸込口モードを半内気モードに決定する。これにより、半内気モードが実行される。
ここで、図5に、内気モードから半内気モードへ切り替えたときの臭い強度と時間の関係を示す(図5中の第1実施形態)。図5には、比較例1として、内気モードから外気モードに切り替えたときの臭い強度と時間の関係も合わせて示している。
乗員の呼気で相対湿度が高い内気と比べて、外気の相対湿度が低い場合に、図5中の比較例1に示すように、吸込口モードを内気モードから外気導入率が100%の外気モードへ切り替えると、蒸発器表面が急激に乾くことで、臭いが強く発生してしまう。ちなみに、この臭いは、外気モードに切り替えられた時点から時間の経過とともに蒸発器表面が乾いていくことで徐々に発生し、蒸発器表面が乾ききる直前から臭い強度が増大し始め(図5中の比較例1のa点参照)、乾ききる瞬間に臭いが最も強くなる(図5中の比較例1のb点参照)。なお、乾ききるとは、完全に乾いた状態を意味する。
これに対して、本実施形態では、外気導入率が50%の半内気モードを実行するので、外気の相対湿度が低い場合であっても、蒸発器表面が急激に乾くことを防止でき、図5に示すように、臭いが強く発生することを防止できる。
すなわち、外気の相対湿度が低い場合、半内気モードでは、相対湿度が低い外気と外気よりも相対湿度が高い内気の両方がケーシング11内に吸い込まれることで、蒸発器13に向かう送風空気の相対湿度が外気よりも高くなる。このため、半内気モードの場合、外気モードの場合と比較して、凝縮水で濡れている蒸発器表面がゆっくりと乾いていくので、図5に示すように、蒸発器表面が乾ききるときに発生する臭いの強度を弱めることができる(図5中の第1実施形態のb点参照)。
ただし、外気モードよりも外気導入率が低い半内気モードを実行し続けると、車室内空間の空気の入れ替え(換気)に時間がかかってしまう。そこで、以下のステップを実行する。
ステップS609では、吸込口モードが内気モードから半内気モードに変更されたときから所定時間が経過したか否かを判定する。具体的には、半内気モードの実行開始からの経過時間をタイマーによって計測し、その経過時間を所定時間と比較して判定する。本実施形態では、この所定時間は10分である。所定時間が経過していない場合、ステップS610に進み、吸込口モードを半内気モードに保持する。一方、所定時間が経過した場合、ステップS611に進み、吸込口モードを外気モードに変更する。これにより、半内気モードの実行開始から所定時間経過後に、外気モードが実行される。
ここで、ステップS609で用いる所定時間とは、臭いが実質的に消えたと判断できる時間であり、乾ききる瞬間(図5中の第1実施形態のb点)を超えた時間となるように設定される。本実施形態では、この所定時間として予め設定されたものを用いる。すなわち、この所定時間は固定値である。このため、外気の相対湿度に関わらず、乾ききる瞬間を超えて半内気モードが実行されるように、外気の相対湿度が種々の場合において、乾ききる瞬間を超えるまでに必要な時間を実験や経験等によって求めておき、これらの時間のうち、最長となる時間を上記した所定時間として用いる。
したがって、蒸発器表面が凝縮水で濡れた状態から乾いた状態となるまで、半内気モードが実行された後、換気したいというユーザの意図に沿う外気導入率が高い外気モードが実行される。このため、半内気モードを実行し続ける場合よりも、車室内空間の空気を早く入れ替えることができる。
また、ステップS607において、吹出口モードがDEFまたはF/Dである場合、ステップS611に進み、臭いの抑制よりも防曇性の確保を優先するために、吸込口モードを外気モードに決定する。これにより、半内気モードの実行中に、吹出口モードがDEFまたF/Dになったときでは、上記した所定時間が経過する前に、半内気モードから外気モードに切り替えられる。また、吹出口モードがDEFまたはF/Dのときに、ユーザが吸込口モードを内気モードから外気モードへ設定変更した場合では、半内気モードは実行されず、外気モードが実行される。したがって、吹出口モードがDEFまたはF/Dのときでは、吹出口モードがDEFとF/D以外のとき比較して、車室内空間における内気と外気の換気量を増大でき、防曇性を向上できる。
以上の説明の通り、本実施形態では、空調制御装置50は、図4のステップS608、S609、S611にて、ユーザの選択スイッチの操作により内気モードから外気モードへの切り替えが選択されたとき、蒸発器表面が凝縮水で濡れている状態から乾いた状態となるまで、半内気モードを実行し、蒸発器表面が乾いた後に、外気モードを実行する。これにより、外気の相対湿度が低い場合における蒸発器表面の凝縮水の急激な蒸発を防止して、凝縮水の蒸発による臭いの悪化を最小限に抑えつつ、ユーザが意図する車室内空間への外気導入を実行することができる。なお、本実施形態において、半内気モードは、内気モードよりも外気導入率が高いので、本発明の第1外気モードに相当する。外気モードは、半内気モードよりも外気導入率が高いので、本発明の第2外気モードに相当する。
ただし、空調制御装置50は、図4のステップS607、S611にて、吹出口モードがDEFまたF/Dの場合では、半内気モードを実行しない、もしくは、半内気モードの実行中であれば、吹出口モードがDEFとF/D以外の場合と比較して、半内気モードの実行時間を短くする。これにより、吹出口モードがDEFまたはF/Dの場合では、高い防曇性を確保でき、走行の安全性を確保できる。
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の車両用空調装置1に対して、空調制御装置50が実施するステップS6の吸込口モード決定処理の一部を変更したものである。図6に示すように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、ステップS601〜ステップS607を行い、第1実施形態のステップS608、S609の替わりに、ステップS621、S622、S623、S624を行う。
すなわち、ステップS607で、吹出口モードがDEFやF/D以外の場合、ステップS621に進み、吸込口モードを外気モードに決定する。これにより、外気モードが実行される。
続いて、ステップS622では、吸込口モードが内気モードから外気モードに変更されたときから第1所定時間を判定する。具体的には、外気モードの実行開始からの経過時間をタイマーによって計測し、その経過時間を第1所定時間と比較して判定する。本実施形態では、第1所定時間は2分である。第1所定時間が経過していない場合、ステップS610に進み、吸込口モードを外気モードに保持し、第1所定時間が経過した場合、ステップS623に進み、吸込口モードを半内気モードに決定する。
これにより、ユーザが吸込口モードスイッチ60cを操作して内気モードから外気モードへの切り替えを選択した場合に、先に外気モードを実行することで、車室内の空気を早期に入れ替えることができる。
ただし、第1所定時間は、車室内の空気を入れ替えつつ、蒸発器が乾ききって強い臭いが発生しない時間に設定する必要がある。このため、第1所定時間として予め設定されたもの(固定値)を用いる場合、外気の相対湿度に関わらず、蒸発器が乾ききる前に半内気モードに切り替えられるように、外気の相対湿度が種々の場合において、蒸発器が乾ききるまでの時間を実験や経験等によって求めておき、これらの時間から最短となる時間を上記した第1所定時間として用いる。
また、ステップS623により、吸込口モードとして半内気モードが実行される。これにより、第1実施形態のステップS608での説明と同様に、外気の相対湿度が低い場合であっても、蒸発器表面が急激に乾くことを防止でき、図7に示すように、臭いが強く発生することを防止できる。なお、図7は、内気モードから外気モードを経て半内気モードへ切り替えたときの臭い強度と時間の関係を示しており(図7中の第2実施形態)、比較例1の臭い強度と時間の関係も合わせて示している。
続いて、ステップS624では、吸込口モードが外気モードから半内気モードに変更されたときから第2所定時間が経過したか否かを判定する。本実施形態では、第2所定時間は8分である。この第2所定時間は、予め固定値として設定されるものであり、第1実施形態のステップS609の所定時間と同様に設定されるものである。ただし、本実施形態では、半内気モードを実行する前に、外気モードを実行するので、第2所定時間は、第1実施形態のS609の所定時間よりも短く設定される。
そして、第2所定時間が経過していない場合、ステップS610に進み、吸込口モードを半内気モードに維持する。一方、所定時間が経過した場合、ステップS611に進み、吸込口モードを外気モードに変更する。これにより、半内気モードの実行開始から第2所定時間経過後に、外気モードが実行される。
以上の説明の通り、本実施形態では、空調制御装置50が、図6のステップS621、S622にて、ユーザの吸込口モードスイッチ60cの操作により内気モードから外気モードへの切り替えが選択されたとき、蒸発器表面が凝縮水で濡れている状態が維持される期間内に、外気モードを実行する。その後、図6のステップS623、S624、S611にて、蒸発器表面が凝縮水で濡れている状態から乾いた状態となるまで、半内気モードを実行し、蒸発器表面が乾いた後に、外気モードを実行する。
これによると、ユーザの操作時にまず外気モードを実行するので、車室内の空気を入れ替えることで、乗員の要望を満たすことができる。その後、半内気モードを実行した後、外気モードを実行するので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
第1、第2実施形態では、本発明における第1外気モードとして、外気導入率が50%である半内気モードを実行したが、本実施形態では、第1外気モードの外気導入率を30%とする。このように、本発明における第1外気モードの外気導入率は、50%に限られず、内気モードよりも外気導入率が高く、第2外気モードよりも外気導入率が低ければ、他の数値であってもよい。
すなわち、空調制御装置は、第1外気モードを実行する際に、予め設定された所定の外気導入率にて第1外気モードを実行すればよい。この所定の外気導入率は、外気の相対湿度が基準となる所定湿度のときに、第1外気モードを実行することで、臭いの強さを抑制できるように設定されるものである。
ここで、吸込口モードを内気モードから外気モードに切り替えたとき、外気の相対湿度が低いほど、蒸発器表面が急激に乾きやすい。このため、外気の相対湿度が低いほど、第1外気モードの外気導入率を低く設定する必要がある。そこで、第1外気モードの外気導入率は、外気の相対湿度が低いときを基準とし、その基準となる所定湿度のときに、臭いの強さを抑制できるように、外気導入率を設定すればよい。基準となる所定湿度としては、車両が使用される地域の平均的な湿度もしくはそれよりも低い湿度等を用いればよい。
そして、空調制御装置50は、第1外気モードを実行する際に、予め設定された所定時間、第1外気モードを実行する。この所定時間は、上記した第1外気モードの外気導入率の設定に用いた基準となる所定湿度よりも外気の相対湿度が高い場合であっても、臭いの発生を抑制できるように設定されたものである。
例えば、図8に示すように、外気の相対湿度が30%のときと80%のときでは、30%のときの方が、蒸発器表面が急激に乾きやすい。そこで、外気の相対湿度が30%のときを基準とし、この基準のときに、外気モードとして第1外気モードを実行することで、臭い強度をレベル1、すなわち、人がかすかに臭いを感じるレベル以下に抑制できるように、第1外気モードの外気導入率を30%に設定する。そして、外気の相対湿度が80%のときにおいても、外気導入率を30%に設定して第1外気モードを実行したときに、臭い強度をレベル1以下に抑制できるように、第1外気モードを実行する時間を実験や経験等によって求めることにより、所定時間を設定すればよい。
(第4実施形態)
第1、第2実施形態では、第1外気モードの外気導入率は、外気の相対湿度に関わらず、常に同じ値(固定値)であったが、本実施形態では、外気の相対湿度に応じて、第1外気モードの外気導入率を変更する。
具体的には、空調制御装置50は、外気の相対湿度についての情報を取得可能となっている。例えば、車両用空調装置1は、外気の相対湿度を検出する図示しないセンサを備え、センサの検出結果が空調制御装置50に入力されるようになっている。なお、空調制御装置50は、外部通信装置との間での無線通信によって、外気の相対湿度についての情報を取得するようになっていてもよい。
そして、空調制御装置50は、外気の相対湿度についての情報を取得したとき、外気の相対湿度が低いほど外気導入率を低くするという関係に基づいて、取得した外気の相対湿度に応じて第1外気モードの外気導入率を設定する。第3実施形態での説明の通り、吸込口モードを内気モードから外気モードに切り替えたとき、外気の相対湿度が低いほど、蒸発器表面が急激に乾きやすい。このため、外気の相対湿度が低いほど、第1外気モードの外気導入率を低く設定する。なお、上記した関係は、実験や経験等によって予め求められるものである。また、第1外気モードを実行する時間は、外気の相対湿度に関わらず、同一の時間に設定する。
図9に示すように、例えば、外気の相対湿度が30%のときでは、蒸発器表面が急激に乾きやすいので、臭い強度をレベル1以下に抑えられるように、空調制御装置50は、第1外気モードの外気導入率を30%に設定する。一方、外気の相対湿度が80%のときでは、空調制御装置50は、時間に対する臭い強度の変化が外気の相対湿度が30%のときと同じとなるように、第1外気モードの外気導入率を60%に設定する。このように、外気の相対湿度が高いときでは、外気の相対湿度が低いときよりも、第1外気モードの外気導入率を高くしても、外気の相対湿度が低いときと蒸発器表面の乾き速度を同じにでき、臭い強度をレベル1以下に抑えることができる。
要するに、空調制御装置50は、外気の相対湿度に関わらず、蒸発器表面が凝縮水で濡れている状態から乾いた状態となるまでの速度が同じとなるように、外気の相対湿度に応じて外気導入率を変更すればよい。これにより、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第5実施形態)
図10は、本実施形態における車両用空調装置1の全体構成を示した図であり、図1に相当する図である。本実施形態では、車両用空調装置1を、内燃機関を有さず走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る電気自動車に適用している。そのため、図1に示すように、エンジンEG(図1参照)等に替えて、水加熱ヒータ82が設けられている。その水加熱ヒータ82は、不図示の電源から電力供給を受けて、ヒータコア14を循環する熱媒体を加熱する。その熱媒体は、第1実施形態のエンジン冷却水に相当する液体である。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、第1実施形態とは異なり、電動アクチュエータ64は、デフロスタドア26aと機械的に連結されていない。すなわち、電動アクチュエータ64は、フェイスドア24aおよびフットドア25aと機械的に連結されており、それらのドア24a、25aを開閉作動させる。そのため、車両用空調装置1は、電動アクチュエータ64とは別の電動アクチュエータ65を備えている。その電動アクチュエータ65は、デフロスタドア26aと機械的に連結されており、空調制御装置50から出力される制御信号に従ってデフロスタドア26aを開閉作動させる。従って、デフロスタドア26aは、フェイスドア24aおよびフットドア25aに対して別個に開閉作動させられる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)上記した各実施形態では、外気モード(本発明の第2外気モード)の外気導入率を100%としたが、90%等の100%よりも低い数値としてもよい。また、上記した各実施形態では、内気モードの外気導入率を0%としたが、0%よりも高い数値としてもよい。したがって、内気モードは、主に内気を導入する内外気モードであって、外気導入率が最も低い内外気モードであり、外気モードは、少なくとも外気を導入する内外気モードであって、内気モードよりも外気導入率が高い内外気モードであると言える。
(2)上記した各実施形態において、室内空調ユニット10はPTCヒータ15を備えているが、PTCヒータ15は無くても差し支えない。
(3)第1〜第4実施形態において、車両用空調装置1が搭載される車両はハイブリッド車両であるが、走行用電動モータを備えていない単なるエンジン車両であっても差し支えない。また、車両用空調装置1が搭載される車両が上記エンジン車両であれば、圧縮機31は電動である必要はなく、エンジンEGにより駆動されてもよい。
(4)上記した各実施形態において、空調制御装置50とエンジン制御装置90とは各々別個の制御装置として構成されているが、空調制御装置50とエンジン制御装置90とが一体として1つの制御装置を構成していても差し支えない。
(5)上記した各実施形態において、図3、図4および図5のフローチャートに示す各ステップの処理は、それぞれの機能を実現する手段を構成している。また、上記した各実施形態において、フローチャートに示す各ステップの処理は、コンピュータプログラムによって実現されるものであるが、ハードロジックで構成されるものであっても差し支えない。
(6)上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
11 ケーシング
13 蒸発器
21 内気導入口
22 外気導入口
23 内外気切替ドア(切替装置)
50 空調制御装置(制御手段)
60c 吸込口モードスイッチ(操作部)

Claims (6)

  1. 内気を導入する内気導入口(21)および外気を導入する外気導入口(22)を有し、内部に空気通路が形成されたケーシング(11)と、
    前記ケーシング内に配置され、前記内気導入口と前記外気導入口の少なくとも一方からケーシング内に導入された空気と冷媒とを熱交換させて、冷媒を蒸発させるとともに空気を冷却する蒸発器(13)と、
    前記内気導入口および前記外気導入口から前記ケーシング内に導入される空気全体に対する外気の風量割合である外気導入率を変化させて内外気モードを切り替える切替装置(23)と、
    前記切替装置の作動を制御する制御手段(50)と、
    ユーザによって操作され、前記ケーシング内に内気を導入する内気モードから前記ケーシング内に外気を導入する外気モードへの切り替えを選択する操作部(60c)とを備え、
    前記制御手段は、前記操作部が操作されて前記内気モードから前記外気モードへの切り替えが選択された場合に、前記外気導入率が前記内気モードよりも高い第1外気モードと前記外気導入率が前記第1外気モードよりも高い第2外気モードのうち、前記第1外気モードを、前記蒸発器表面が凝縮水で濡れている状態から乾いた状態となるまで実行し、前記蒸発器表面が乾いた後に、前記第2外気モードを実行することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記制御手段は、前記第2外気モードを、前記蒸発器表面が凝縮水で濡れている状態が維持される期間内に実行した後、前記第1外気モードを、前記蒸発器表面が乾いた状態となるまで実行することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記ケーシングは、車両前面窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口(26)および乗員の足元に向けて空調空気を吹き出すフット吹出口(25)を含む複数の吹出口を有し、
    前記制御手段は、吹出口モードが、前記デフロスタ吹出口から空気を吹き出すデフロスタモードまたは前記フット吹出口と前記デフロスタ吹出口の両方から空気を吹き出すフット/デフロスタモードの場合、前記第1外気モードを実行しない、または、デフロスタモードおよびフット/デフロスタモード以外の吹出口モードの場合と比較して前記第1外気モードの実行時間を短くすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記制御手段は、外気の相対湿度についての情報を取得し、外気の相対湿度が低いほど外気導入率が低くなるように、取得した外気の相対湿度に応じて前記第1外気モードの外気導入率を設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 前記制御手段は、前記第1外気モードを実行する際に、予め設定された所定の外気導入率にて実行し、前記所定の外気導入率として、外気の相対湿度が所定湿度のときに、前記第1外気モードを実行することで、前記蒸発器表面が乾くことで発生する臭いの強度を抑制できるように設定されたものを用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  6. 前記制御手段は、前記第1外気モードを実行する際に、予め設定された所定時間実行し、前記所定時間として、前記所定の外気導入率の設定に用いた所定湿度よりも外気の相対湿度が高い場合であっても、前記蒸発器表面が乾くことで発生する臭いの強度を抑制できるように設定されたものを用いることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
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