JP2015194495A - イムノクロマトキット - Google Patents

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Abstract

【課題】被験物質の検出に優れ、且つ体液や生化学緩衝液の使用が可能であるイムノクロマトキットを提供する。【解決手段】プレート状銀ナノ粒子及び該プレート状銀ナノ粒子の表面を被覆する金からなる金属微粒子(a)と、被験物質に対して特異的な結合性を有し且つ該金属微粒子(a)に対して結合性を有する分子(b)とを備えることを特徴とするイムノクロマトキットである。【選択図】図1

Description

本発明は、イムノクロマトキットに関するものであり、特には、被験物質の検出感度に優れるイムノクロマトキットに関するものである。なお、イムノクロマトキットとは、被験物質を検出する際にイムノクロマトグラフ法を用いる検査キットである。
貴金属のコロイドは化学的に変化し難く、粒径が数nm〜数十nm程度の、いわゆるナノ粒子を構成する。また各コロイド特有の色を発色し、各種用途への適用が期待され、例えば分子認識機能を利用した検出技術への応用が提案されている。
特許第4958082号公報(特許文献1)には、粒子の吸光スペクトルをシャープに改質させた金属ナノ粒子からなる局在表面プラズモン共鳴(LSPR)センサーが開示されており、該金属ナノ粒子は、1)粒径が5〜100nmであり、2)一辺が略40nm程度の平板状で三角形の粒子を含み、3)光子相関法による測定で頂点40nm付近にシャープな粒度分布を有することを特徴とする。
また、特許第4787938号公報(特許文献2)は、ペプチド、代謝物、分子又はイオンなどの関心のある標的種を認識できるデバイスの分野において、板状銀ナノ粒子に着目し、標的検体と相互作用し得るレセプタが表面に付着した板状銀ナノ粒子が分散しているセンサーを開示している。
特許第4958082号公報 特許第4787938号公報
しかしながら、分子認識機能を利用した検出技術にプレート状銀ナノ粒子を適用した場合、プレート状銀ナノ粒子の体液や生化学緩衝液に対する安定性に関して課題があり、検出技術への適用には依然として改良の余地がある。また、金のような他の金属の球状のナノ粒子は局在表面プラズモン共鳴(LSPR)の吸収波長制御域が限定されるため、被験物質毎に検出色を変えるといった多色設計に適しておらず、ナノ粒子を検出技術に適用した場合、複数の被験物質を同時に測定する場合、検出ラインの判別が困難であるといった課題もある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、分子認識機能を利用した検出技術の一つであるイムノクロマトキットに関して、被験物質の検出に優れ、且つ体液や生化学緩衝液の使用が可能であるイムノクロマトキットを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、プレート状銀ナノ粒子の表面を金で被覆してなる金属微粒子をイムノクロマトキットに用いた場合、金属微粒子の体液や生化学緩衝液に対する安定性を確保した上で、被験物質の検出感度を向上させることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のイムノクロマトキットは、プレート状銀ナノ粒子及び該プレート状銀ナノ粒子の表面を被覆する金からなる金属微粒子(a)と、被験物質に対して特異的な結合性を有し且つ該金属微粒子(a)に対して結合性を有する分子(b)とを備えることを特徴とする。
本発明のイムノクロマトキットの好適例においては、イムノクロマト試験後に1種又は複数種の検出ラインを呈するクロマトグラフ担体を備えるイムノクロマトキットであって、
前記検出ラインの色は、1種の金属微粒子(a)の色又は異なる色を呈する複数種の金属微粒子(a)の混色に基づいている。
本発明のイムノクロマトキットの他の好適例においては、イムノクロマト試験後に複数種の検出ラインを呈するクロマトグラフ担体を備えるイムノクロマトキットであって、
前記クロマトグラフ担体は、異なる被験物質に対して結合性を有する複数種の分子(b)がそれぞれ異なる位置に固定されている。
本発明のイムノクロマトキットの好適例においては、前記被験物質に対して結合性を有さず且つ前記金属微粒子(a)に対して結合性を有する水溶性高分子(c)を更に備える。
本発明によれば、金属微粒子の体液や生化学緩衝液に対する安定性を確保した上で、被験物質の検出感度を向上させることが可能なイムノクロマトキットを提供することができる。
本発明のイムノクロマトキットの一実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。 本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。 本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。 本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。 本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。 本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。 図6に示すイムノクロマトキットに使用可能な第2展開液の一例である。 プレート状銀ナノ粒子の種粒子の光学特性を示す図である。 プレート状銀ナノ粒子A〜Dの光学特性を示す図である。 金属微粒子A〜Dの光学特性を示す図である。 緩衝液中でのプレート状銀ナノ粒子の分光特性の測定結果の図である。 緩衝液中での金属微粒子Bの分光特性の測定結果の図である。 [イムノクロマト試験 実施例1]及び[イムノクロマト試験 比較例1]の目視判定の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例1]の金属微粒子Aを用いて調製した展開液Aを用いた場合の輝度解析の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例1]の金属微粒子Bを用いて調製した展開液Bを用いた場合の輝度解析の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例1]の金属微粒子Cを用いて調製した展開液Cを用いた場合の輝度解析の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例1]の金属微粒子Dを用いて調製した展開液Dを用いた場合の輝度解析の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 比較例1]の球状金コロイドを用いて調製した抗体−金コロイド展開液Iを用いた場合の輝度解析の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例1]及び[イムノクロマト試験 比較例1]の金属微粒子A〜Dと球状金コロイドを用いて調製した展開液A〜D及び抗体−金コロイド展開液Iの輝度解析の結果を比較した図である。 [イムノクロマト試験 実施例2]及び[イムノクロマト試験 比較例2]の目視判定の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例2]の金属微粒子Bを用いて調製した展開液Eを用いた場合の輝度解析の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 比較例2]の球状金コロイドを用いて調製した抗体−金コロイド展開液IIを用いた場合の輝度解析の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例2]及び[イムノクロマト試験 比較例2]の金属微粒子Bと球状金コロイドを用いて調製した展開液E及び抗体−金コロイド展開液IIの輝度解析の結果を比較した図である。 [イムノクロマト試験 実施例3]の展開液I〜Lの調合比を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例3]の展開液F〜H及び[イムノクロマト試験 比較例2]の抗体−金コロイド展開液IIIの分光特性を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例3]の展開液I〜Lの分光特性を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例3]及び[イムノクロマト試験 比較例2]の測色の結果を示す図である。 種粒子のSEM観察写真を示す図である。 金属微粒子AのSEM観察写真を示す図である。 金属微粒子BのSEM観察写真を示す図である。 金属微粒子CのSEM観察写真を示す図である。 金属微粒子DのSEM観察写真を示す図である。 CIE1931xy色度図における、イエロー、マゼンタ及びシアンの色度座標、並びに金属微粒子A、B及びCの水分散液の色度座標を示す図である。 CIE1931xy色度図における、赤色、青色及び緑色の色度座標、並びに混合液A、B及びCの色度座標を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例4]の目視判定の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例4]の測色の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例4]の金属微粒子B及びCを用いて調製した展開液Mを用いた場合の輝度解析の結果を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例5]の展開液Q〜Tの調合比を示す図である。 [イムノクロマト試験 実施例5]の測色の結果を示す図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のイムノクロマトキットは、プレート状銀ナノ粒子及び該プレート状銀ナノ粒子の表面を被覆する金からなる金属微粒子(a)と、被験物質に対して特異的な結合性を有し且つ該金属微粒子(a)に対して結合性を有する分子(b)とを備えることを特徴とする。
本発明のイムノクロマトキットに用いる金属微粒子(a)は、プレート状銀ナノ粒子と、該プレート状銀ナノ粒子の表面を被覆する金とからなる。上記金属微粒子(a)は、プレート状であるため球状微粒子が吸収する領域以外の可視光領域から近赤外光領域でプラズモン吸収が強く(J. Phys. Chem. B, 107, 668 (2003))、イムノクロマト試験時の被験物質検出ラインの色が球状微粒子を使用した際より幅広い波長域で設定できるため被験物質検出ラインの多色化が可能であり、かつ被験物質検出ラインに集積した金属微粒子(a)のプラズモン吸収により輝度は低くなり、背景とのコントラスト差が大きくなるため視認性が高くなる。また、プレート状銀ナノ粒子は遠心分離で濃縮する際や生化学試験に必須の各種緩衝液中で酸化されてアスペクト比や吸光度が変化する。また、理由は不明であるが球状微粒子は遠心分離で濃縮する際に凝集や遠沈管への吸着が発生し吸光度が変化する。それに対して、上記金属微粒子(a)は金で被覆してあるため、各種緩衝液中での分散安定性、酸化耐性が高い。また、上記金属微粒子(a)は遠心分離で濃縮する際に凝集や遠沈管への吸着は発生しないため吸光度の変化が少ない。すなわち、イムノクロマトグラフィーに金属微粒子を使用する際の事前処理操作である遠心分離や緩衝液曝露に対し強い耐久性を有し、他の金属微粒子より酸化や凝集が発生しにくく吸光度を高い状態で保てるため、これを標識物質として利用すると、被験物質に対する検出感度を向上させることができる。
なお、本発明における検出感度は、目視判定と、輝度差解析によって数値化できる。目視判定はイムノクロマト試験後の検出ライン有無を目視によって確認し、検出ラインが確認可能な最低被験物質濃度を検出感度とすることができる。輝度解析では、下記1から2を引いた値の絶対値が2(検出限界輝度差)以上である時の最低被験物質濃度を検出感度とすることができる。
1.被験物質を含まない展開液を使用したイムノクロマト試験時の検出ラインと検出ライン以外の部分の輝度差
2.被験物質を含む展開液を使用したイムノクロマト試験時のイムノクロマト担体上の検出ラインと検出ライン以外の部分の輝度差
なお、本発明のイムノクロマトキットにおいて、上記金属微粒子(a)は、イムノクロマトグラフ法に用いられる通常の標識物質と同様の形態で利用できるが、例えば、展開液中に分散しているか又は上記分子(b)と一体となってクロマトグラフ担体に担持されているか又は上記分子(b)と一体となってクロマトグラフの展開開始部に接合している吸収紙に担持されている。
上記金属微粒子(a)を構成するプレート状銀ナノ粒子は、2つの主面を有する平たい粒子であり、その主面の形状は、三角形、五角形、六角形等の多角形状や、角がカーブ状となった円形状等の形状が挙げられ、例えば、銀イオンを還元する速度の調整やナノ粒子表面に吸着する分散剤の種類を選択することで、粒子の形状を制御できることが知られている。なお、主面の形状は、クロマトグラフの展開時にクロマトグラフ試験紙を構成する物質との物理的な引っかかりが少なく流動しやすいため、角がカーブ状になった円形状が好ましい。また、プレート状銀ナノ粒子の厚みは、通常40nm以下であり、5〜20nmが好ましく、粒子の主面の最大長さとなる粒子径は、通常10〜1000nmであり、10〜100nmが好ましい。更に、プレート状銀ナノ粒子のアスペクト比(粒子径/厚み)は、通常2以上であり、可視光領域にLSPRの吸収波長が発現して多色設計が可能な2〜10が好ましい。近赤外光で検出する場合には、LSPRが800〜2000nmで発現するようなアスペクト比(例えば、アスペクト比11で900nm付近にLSPRが発現)のプレート状銀ナノ粒子を用いればよい。多色設計の例としては、プレート状銀ナノ粒子のアスペクト比を調整することで単一のLSPRを発現するプレート状銀ナノ粒子を用いればよい。色を定量的に表す体系である表色系の一つであるマンセル・カラー・システムのマンセル値(以下、単にマンセル値ともいう)が5Y 8.5/14で、CIE1931xy色度図の座標(以下、単に色度座標ともいう)がx:0.4498、y:0.4811であるイエロー(イエロー系色、400〜500nm付近にLSPRを発現するプレート状銀ナノ粒子)、マンセル値が5RP 5/14で、色度座標がx:0.4142、y:0.2428であるマゼンタ(マゼンタ系色、500〜600nm付近にLSPRを発現するプレート状銀ナノ粒子)、マンセル値が7.5B 6/10で、色度座標がx:0.1934、y:0.2374であるシアン(シアン系色、600〜750nm付近にLSPRを発現するプレート状銀ナノ粒子)など、プレート状銀ナノ粒子のアスペクト比を調整することで任意のLSPRの吸収波長を選択できる。なお、図33は、CIE1931xy色度図におけるイエロー、マゼンタ及びシアンの色度座標を示す。アスペクト比の異なる2種以上のプレート状銀ナノ粒子を混合して色設計してよい。例えば、イエローとマゼンタを混合し赤色(マンセル値:5R 4/14、色度座標 x:0.5734、y:0.3057)、マゼンタとシアンを混合し青色(マンセル値:10B 4/14、色度座標 x:0.1310、y:0.1580)、イエローとシアンを混合し緑色(マンセル値:2.5G 6.5/10、色度座標 x:0.3000、y:0.6000)などが設計できる。なお、図34は、CIE1931xy色度図における赤色、青色及び緑色の色度座標を示す。さらに、イエロー系色、マゼンタ系色、シアン系色が発現するアスペクト比の異なる3種以上のプレート状銀ナノ粒子を三原色とした減法混合を適用した多色設計を用いることができる。例えば、イエロー系色、マゼンタ系色、シアン系色のプレート状銀ナノ粒子を任意の割合で混合して黒色を設計した場合、イムノクロマト試験時の被験物質検出ラインは背景(白色)とのコントラスト差が大きくなるため視認性(検出感度)が高くなる。また、アスペクト比の異なる複数のプレート状銀ナノ粒子を混合して色設計する場合は、クロマトグラフの展開時における粒子の流動速度の差が小さくなるように、プレート状銀ナノ粒子の厚みは、5〜15nmが好ましく、粒子の主面の最大長さとなる粒子径は、10〜80nmが好ましい。
上記プレート状銀ナノ粒子の調製方法は、特に制限されるものではなく、粒子サイズを調整する等の目的に応じて適宜選択することができる。例えば、適切な分散剤を溶解した水溶液中に銀イオンを添加し、その後、適切な還元方法で銀イオンを還元することで、プレート状銀ナノ粒子が合成できることが知られており、具体例として、銀イオンを光で還元する方法(SCIENCE, 294, 1901 (2001))、熱で還元する方法(Nano Lett., 2, 903 (2002))、還元剤で還元する方法(Adv. Mater., 14, 1084 (2002))等が挙げられる。さらに、異種金属である銅イオン共存下で銀イオンを還元する方法(特許第5059317号公報)が挙げられる。また、プレート状銀ナノ粒子を合成する際には、通常、不純物として球状銀ナノ粒子も合成されることになるが、例えば「Adv. Funct. Mater., 18, 2005 (2008)」に記載されるような手法では、粒子の形状をプレート形状に成長させるために積層欠陥を有するプレート状銀ナノ粒子の種粒子の分散液を予め調製し、ここに銀イオンと還元剤を添加して、銀ナノ粒子の形状をプレート形状に成長させている。この種粒子を用いる手法は、球状粒子の生成を大幅に低減することができるため、好ましい。この種粒子は、ポリスチレンスルホン酸などのポリアニオン系ポリマーを溶解したクエン酸三ナトリウム水溶液中で銀イオンを還元すると生成し、ポリアニオン系ポリマーが銀ナノ粒子の表面と比較的強く相互作用した結果、欠陥構造が生じると考えられている。積層欠陥を有する種粒子は、<111>方向に成長して、大きな{111}面を有するプレート形状の銀ナノ粒子に成長する。種粒子を含む水分散液に銀イオンと還元剤を添加することで、プレート状銀ナノ粒子が得られる。このとき、種粒子の添加量を調製することで幅広いアスペクト比のプレート状銀ナノ粒子を得ることができる。種粒子の数を多く設定すると、個々の種粒子に消費される銀イオン量の割合が減少するため、得られるプレート状銀ナノ粒子の粒子径は小さくなる傾向がある。また、種粒子の数を少なく設定すると、個々の種粒子に消費される銀イオン量の割合が増大するため、得られるプレート状銀ナノ粒子の粒子径は大きくなる傾向がある。還元剤としては、アスコルビン酸を使用することができる。なお、プレート状銀ナノ粒子がこれらの手法により調製された場合、通常、水分散液の形態で調製される。また、球状銀ナノ粒子といった目的形状以外の形状を有する粒子や合成で使用した余剰の有機物を生成物から分離するためには、銀ナノ粒子の分散液を遠心分離機にかけたり又はフィルターにより濾過したりしてもよい。調製されたプレート状銀ナノ粒子は分散液中において粒子径に分布があり、その分布に応じて吸収スペクトルは変化する。粒子径の分布を狭くすることは、吸収スペクトルの半値幅を狭くし、色が鮮やかになるため、多色設計に好適である。
本発明のイムノクロマトキットに用いる金属微粒子(a)は、プレート状銀ナノ粒子の表面が金で被覆されていることを要する。例えば、プレート状銀ナノ粒子が金で被覆されずにクロマトグラフ担体に担持されているか又は展開開始部の吸収紙に担持されている場合、保管中のクロマトグラフ担体では該銀ナノ粒子が乾燥した状態で保持されており、また、使用時には該銀ナノ粒子が幅広いpHの展開液と接触するため、プレート状銀ナノ粒子が酸化してしまう場合も多い。銀ナノ粒子が酸化されると、銀ナノ粒子の形状も変化することになり、プラズモン吸収波長の変化に伴う色変化が発生するという問題が生じる。特に、プレート状銀ナノ粒子をイムノクロマトキットに適用する場合、プレート状銀ナノ粒子の精密な形状制御が要求されるため、プレート状銀ナノ粒子の適用には改善の余地があった。本発明者は、銀よりも酸化され難い金属の薄膜でプレート状銀ナノ粒子を被覆し、プレート状銀ナノ粒子の表面に金属のシェルを形成させることによって、イムノクロマトキットに用いる場合であってもプレート状銀ナノ粒子の酸化を防止できることを見出した。プレート状銀ナノ粒子の金属シェルとして使用できる金属としては、銀よりも貴な金属である金が挙げられる。
上記プレート状銀ナノ粒子の表面を金属で被覆する方法は、特に制限されるものではなく、金属の膜厚を調整する等の目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金で被覆する場合、プレート状銀ナノ粒子の水分散液中に金イオンを添加し、該金イオンを化学的に還元することで、プレート状銀ナノ粒子の表面を金の薄膜(金のシェル)で被覆することができる(Materials Chemistry and Physics, 90, 361 (2005)、Angew. Chem. Int. Ed., 51, 5629 (2012))。例えば、まず、プレート状銀ナノ粒子の凝集や表面がエッチングされることを防ぐため、プレート状銀ナノ粒子の分散液中にクエン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PA)、ゼラチン、アミン等の適切な有機物を加えて、プレート状銀ナノ粒子の表面を処理し、次いで、該分散液中に金イオンと還元剤とを加えることで、プレート状銀ナノ粒子の表面が金で被覆されている金属微粒子を得ることができる。なお、本発明において、「プレート状銀ナノ粒子の表面を被覆する金」とは、プレート状銀ナノ粒子の表面に存在している金を指すが、金単体で存在しているものに加えて、銀との合金の状態で存在しているものも含まれる。
本発明のイムノクロマトキットに用いる分子(b)は、被験物質(例えば、抗原または抗体)に対して特異的な結合性を有する分子(例えば、抗体または抗原)であるが、上記金属微粒子(a)に対して結合性を有することを要する。これにより、上記分子(b)を介して被験物質と金属微粒子(a)とが結合してなる複合体が形成されるため、金属微粒子(a)の色調による被験物質の検出が可能になる。
上記分子(b)は、上記金属微粒子(a)に対して結合性を有するため、アミノ基、カルボキシル基、水酸基等の官能基を有することが好ましく、特にはメルカプト基、ジチオール基又はスルフィド基を有することが好ましい。しかし、これら官能基を有していなくても化合物の界面エネルギーや静電吸着により物理吸着していても良い。
上記分子(b)としては、被験物質の種類に応じて適宜選択されるものであるが、免疫反応性物質や、レクチンと糖鎖、アビジンとビオチン、核酸と当該核酸とハイブリダイズする核酸、核酸アプタマーやペプチドアプタマーなどのアプタマーと特異的に結合する有機低分子やタンパク質、核酸、細胞、細胞組織、微生物など、相互作用しうる物質であれば任意の物質に適用することができる。免疫反応性物質としては、各種抗体や抗原などを挙げることができる。ここで抗体(IgG、IgM、IgE、IgD、IgA等)としては、抗DNA抗体、抗ENA抗体、抗カルジオリビン抗体、抗ミトコンドリア抗体、抗平滑筋抗体等に代表される自己抗体や各種免疫グロブリン等を挙げることができ、例えばアレルゲンを特異的に認識する特異的免疫グロブリン(特異的IgE等)の分析等にも適用することが可能である。また、抗原としては、糖タンパク質や複数のサブユニットから構成される特定タンパク質、前立腺特異的抗原(PSA)等のタンパク質複合体などを挙げることができる。
上記分子(b)の例としては、抗コンカナバリンA抗体、マンノースおよびその誘導体(被験物質:コンカナバリンA)、抗ベロ毒素抗体、グロボ三糖およびその誘導体(被験物質:ベロ毒素)、シアリルラクトースおよびその誘導体、抗インフルエンザ抗体(被験物質:インフルエンザウイルスおよびその抗原)、抗B型肝炎ウイルス抗体(被験物質:B型肝炎ウイルスおよびその抗原)、抗インスリン抗体(被験物質:インスリン)、抗アフラトキシン抗体(被験物質:アフラトキシン)、抗ヒト絨毛性ゴナドトロピン抗体(被験物質:ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、抗ヒト免疫不全ウイルス抗体(被験物質:ヒト免疫不全ウイルスおよびその抗原)、抗リシン抗体、ガラクトースおよびその誘導体(被験物質:リシン)、抗サルモネラ抗体(被験物質:サルモネラ菌)等の抗体や、炭疽菌(Bacillus anthracis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、D群赤痢菌・ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、大腸菌(Escherichia coli)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、溶連菌(Streptococcus hemolyticus)、パラチフス(Salmonella paratyphi A)、ブドウ球菌エンテロトキシンB(Staphylococcal enterotoxin B)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)等の細菌や、ムチン1等の上皮の細胞表面に表れるがんマーカー等と結合するDNAアプタマー、ヒトパピローマウイルス(HPV)の腫瘍性たんぱく質HPV16 E6と結合するペプチドアプタマー等が挙げられる。
被験物質の例として、コンカナバリン A(Con A)や麦芽アグルチニン、リシン等のレクチン、免疫グロブリンG(IgG)等の血清蛋白成分、ムチン等の糖たんぱく質、前立腺性酸性フォスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)、アルカリ性フォスファターゼ、トランスアミナーゼ、トリプシン、ペプシノーゲン、α−フェトプロテイン(AFP)、ガン胎児性抗原(CEA)等のガン特異物質、ペプチドホルモン(成長ホルモン(GH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、メラミン細胞刺激ホルモン(MSH)、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、下垂体ホルモン、カルシユウム代謝調節ホルモン、膵ホルモン、消化管ホルモン、血管作用ホルモン、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)等の胎盤ホルモン、便潜血、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス、B型肝炎ウイルス等のウイルス及びその抗原、抗体や代謝産物等、クラミジア、梅毒トレポネーマ、溶連菌、炭疽菌、黄色ブドウ球菌、赤痢菌、大腸菌、ネズミチフス菌、パラチフス、緑膿菌、腸炎ビブリオ等の細菌及びその抗原、抗体や代謝産物等、リュウマチ因子、セロトニン、ウロキナーゼ、フェリチン、サブスタンP、エストロン等の卵胞ホルモン、プロゲストロン等の天然又は合成黄体ホルモン、テストステロン等の男性ホルモン、コルチゾール等の副腎皮質ホルモン、コレステロール、胆汁酸、強心性ステロイド、サポゲニン等のその他のステロイド類、エピネフリン、ドーパミン、生理活性アルカロイド類、アミノ基含有向精神薬類、TRH等の低分子ペプチド類、ジヨードサイロニン等の甲状腺ホルモン類、プロスタグランジン類、ビタミン類、ペニシリン等の抗生物質類、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、それらの増幅物等々が挙げられる。
なお、本発明のイムノクロマトキットにおいて、上記分子(b)は、イムノクロマトグラフ法に用いられる通常の抗体と同様の形態で利用できるが、例えば、展開液中に分散し且つクロマトグラフ担体に単独で固定化されている形態、上記金属微粒子(a)と一体となって展開液中に分散し且つクロマトグラフ担体に単独で固定化されている形態、上記金属微粒子(a)と一体となってクロマトグラフ担体に担持され且つクロマトグラフ担体の上記金属微粒子とは異なる位置に単独で固定化されている形態が挙げられる。
本発明のイムノクロマトキットは、上記被験物質に対して結合性を有さず且つ上記金属微粒子(a)に対して結合性を有する水溶性高分子(c)を更に備えることが好ましい。上記金属微粒子(a)が展開液中に分散している場合、該展開液中に水溶性高分子(c)を加えることで、展開液中での金属微粒子(a)の分散安定性を向上させることができる。なお、「被験物質に対して結合性を有しない」という特徴は、水溶性高分子(c)が上記分子(b)とは異なる物質であることを意味する。
上記水溶性高分子(c)は、上記金属微粒子(a)に対して結合性を有するため、アミノ基、カルボキシル基、水酸基等の官能基を有することが好ましく、特にはメルカプト基、ジチオール基又はスルフィド基を有することが好ましい。しかし、これら官能基を有していなくても化合物の界面エネルギーや静電吸着により物理吸着していても良い。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルフェノール、ポリ安息香酸ビニル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。なお、これら水溶性高分子は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のイムノクロマトキットは、通常、クロマトグラフ担体を備える。クロマトグラフ担体は、イムノクロマト試験後に1種又は複数種の検出ラインを呈する。クロマトグラフ担体としては、毛細管現象を示す多孔性物質が好ましく、ニトロセルロース膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、糸等が好適に挙げられる。
クロマトグラフ担体には、分子(b)が単独で固定化されるか又は同一の分子(b)が複数で固定されるか又は異種の分子(b)が複数で固定されており、この固定化部分が、被験物質の有無を判定する部分(検出ライン)として機能することになる。
クロマトグラフ担体がイムノクロマト試験後に複数種の検出ラインを呈する場合、該クロマトグラフ担体には、異なる被験物質に対して結合性を有する複数種の分子(b)がそれぞれ異なる位置に固定されていることが好ましい。この場合、異なる被験物質の検出を一度に行うことが可能になる。
また、イムノクロマト試験後に呈する検出ラインの色は、1種の金属微粒子(a)の色又は異なる色を呈する複数種の金属微粒子(a)の混色に基づいている。
このため、クロマトグラフ担体は、異なる被験物質に対して結合性を有する複数種の分子(b)により、複数の固定化部分を備える場合、金属微粒子(a)の色調の違いを利用して、それぞれの固定化部分を異なる色を呈する検出ラインとして機能させることも可能である(検出ラインの多色化)。これにより、複数の被験物質の検出が一度で可能になる。
クロマトグラフ担体は、紙、プラスチック等の支持体上に設置して使用されてもよい。また、クロマトグラム担体は、展開液が展開する方向から見て下流側に位置する端部に、展開液を吸収除去するための吸収部(例えば、紙、不織布)が設けられていてもよい。また、展開液が展開する方向から見て上流側に位置する端部に金属微粒子(a)と抗体(b)の複合体を担持可能で且つ被験物質を含む溶液を吸収するための吸収部(例えば、ガラス繊維)が設けられていてもよい。
なお、分子(b)が単独で固定化されたクロマトグラフ担体は、市販品を好適に使用できる。また、分子(b)と金属微粒子(a)とからなる複合体を担持し且つ分子(b)が単独で固定化されたクロマトグラフ担体は、前述の市販品のクロマトグラフ担体を使用して作製できる。市販品のクロマトグラフ担体の展開液を除去するための吸収部を上部としたとき、分子(b)が固定化されている部分の下部に位置する部分に分子(b)と金属微粒子(a)を一体化させた溶液を線状に滴下し乾燥させることによって作製できる。
本発明のイムノクロマトキットは、通常、展開液を備える。展開液としては、例えば、被験物質を含む可能性のある試料と適当な溶媒(例えば、水、生理食塩水又は緩衝液等)の混合物が挙げられるが、該試料それ自体をクロマトグラフ担体上で展開できるのであれば、該試料それ自体を展開液として使用することも可能である。
上記被験物質を含む可能性のある試料としては、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
本発明のイムノクロマトキットにおいては、分子(b)がクロマトグラフ担体に単独で固定化されている場合、金属微粒子(a)及び分子(b)を更に含む展開液を使用することができる。
なお、分子(b)がクロマトグラフ担体に単独で固定化されている場合、先に説明した展開液では、被験物質を含む可能性のある試料と、金属微粒子(a)及び分子(b)を混合しているが、展開液を2種類に分けて使用してもよい。例えば、被験物質を含む可能性のある試料を含む展開液を第1の展開液とし、金属微粒子(a)や分子(b)を含む展開液を第2の展開液として用いることも可能である。また、分子(b)が金属微粒子と一体となってクロマトグラフ担体に担持されている場合、被験物質を含む可能性のある試料を含む展開液のみを展開すればよい。同様に、分子(b)が金属微粒子と一体となって展開液が展開する方向から見て上流側に位置する端部の吸収部に担持されている場合、被験物質を含む可能性のある試料を含む展開液のみを展開すればよい。
本発明のイムノクロマトキットは、イムノクロマトグラフ法を利用する様々な検出方法に使用可能である。以下、図を参照しながら、本発明のイムノクロマトキットの実施態様を用いる検出方法(イムノクロマト試験)の一部について詳細に説明する。なお、下記に示すイムノクロマト試験では、上記被験物質を含む可能性のある試料に被験物質が存在していることを前提にして説明されているが、当然、被験物質が存在しない場合もある。
図1は、本発明のイムノクロマトキットの一実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。図1に示すクロマトグラフ担体は、プラスチック上に設置されており、その上端には吸収紙が設けられている(これをイムノクロマト試験紙とする)。また、このクロマトグラフ担体は、分子(b)が直線状に固定化され、判定部分が形成されている。図1に示す展開液は、被験物質及び緩衝液を含む第1の展開液(実際には上述の生物学的試料等でもよい)と、金属微粒子(a)、分子(b)及び緩衝液を含む第2の展開液からなり、第2の展開液中では、金属微粒子(a)と分子(b)が結合して複合体を形成している。図1に示すイムノクロマト試験によれば、まず、イムノクロマト試験紙に第1の展開液を展開させる(図1(a))。ここで、図1のように被験物質が第1の展開液に含まれる場合、該被験物質は、クロマトグラフ担体上に固定化された分子(b)に結合する(図1(b))。次に、クロマトグラフ担体上に残存する未結合の被験物質を除去するため、緩衝液を展開してクロマトグラフ担体を洗浄する(図1(b))。なお、除去された被験物質は吸収紙に回収される。次に、イムノクロマト試験紙に第2の展開液を展開させる(図1(c))。ここで、図1のように被験物質が第1の展開液に含まれる場合、金属微粒子(a)と分子(b)の複合体が、クロマトグラフ担体上の分子(B)に結合している被験物質に結合する(図1(d))。図1のように被験物質が第1の展開液に含まれる場合、金属微粒子(a)が判定部分に残るため、金属微粒子(a)の色調による被験物質の検出が可能になる。
図2は、本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。図2に示すクロマトグラフ担体は、図1に示すものと同一である。図2に示す展開液は、被験物質、金属微粒子(a)、分子(b)及び緩衝液を含む展開液であり、展開液中では、分子(b)を介して金属微粒子(a)と被験物質が結合して複合体を形成している(図2(a))。図2に示すイムノクロマト試験によれば、イムノクロマト試験紙に展開液を展開させる(図2(b)及び(c))。ここで、図2のように被験物質が展開液に含まれる場合、該被験物質は、クロマトグラフ担体上に固定化された分子(b)に結合するが、図2(d)に示されるように、上記複合体が判定部分に残ることになる。ここで、上記複合体には金属微粒子(a)が含まれるため、金属微粒子(a)の色調による被験物質の検出が可能になる。
図3は、本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。図3(a)に示すクロマトグラフ担体は、図1に示すものと同一である。また、図3(a)のクロマトグラフ担体の、展開液が展開する方向から見て、判定部分より上流側に(図3では判定部分より下側に)金属微粒子(a)と分子(b)の複合体を含む溶液を滴下、乾燥し、複合体担持イムノクロマトグラフ担体を作製している(図3(b)及び(c))。図3(c)のクロマトグラフ担体では、展開液が複合体担持部分を通ると、複合体も展開液と一緒に展開される。図3に示す展開液は、被験物質および緩衝液を含む展開液(実際には上述の生物学的試料等でもよい)である。図3に示すイムノクロマト試験によれば、イムノクロマト試験紙に展開液を展開させる(図3(d)および(e))。ここで、図3のように被験物質が展開液に含まれる場合、該被験物質は、クロマトグラフ担体上に固定化された分子(b)に結合するが、図3(e)および(f)に示されるように、上記複合体が判定部分に残ることになる。ここで、上記複合体には金属微粒子(a)が含まれるため、金属微粒子(a)の色調による被験物質の検出が可能になる。
図4は、本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。図4に示すクロマトグラフ担体には、展開液が展開する方向から見て上流側に位置する端部に金属微粒子(a)と抗体(b)の複合体を担持可能で且つ被験物質を含む溶液を吸収するためのガラス繊維の吸収部が設けられている。
図4(a)のクロマトグラフ担体では、ガラス繊維の吸収部に金属微粒子(a)と分子(b)の複合体を含む溶液を滴下、乾燥し、複合体担持イムノクロマトグラフ担体を作製している。
図4に示す展開液は、被験物質および緩衝液を含む展開液(実際には上述の生物学的試料等でもよい)である。図4に示すイムノクロマト試験によれば、イムノクロマト試験紙に展開液を展開させる(図4(b)、(c)、(d)及び(e))。ここで、図4のように被験物質が展開液に含まれる場合、該被験物質は、クロマトグラフ担体上に固定化された分子(b)に結合するが、図4(e)および(f)に示されるように、上記複合体が判定部分に残ることになる。ここで、上記複合体には金属微粒子(a)が含まれるため、金属微粒子(a)の色調による被験物質の検出が可能になる。
図5は、本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。図5に示すクロマトグラフ担体は、プラスチック上に設置されており、その上端には吸収紙が設けられている(これをイムノクロマト試験紙とする)。また、このクロマトグラフ担体は、複数の異種の分子(b)1−3が異なる位置に直線状に固定化され、判定部分が形成されている。図5に示す展開液は、複数の異種の被験物質1−3及び緩衝液を含む第1の展開液(図5(b)、(c))と、複数の異種の金属微粒子(a)1−3、複数の異種の分子(b)1−3(対応する数字の被験物質1−3と結合する)及び緩衝液を含む第2の展開液(図5(e))からなり、第2の展開液中では、複数の異種の金属微粒子(a)1−3と複数の異種の分子(b)1−3が結合して複合体を形成している。図5に示すイムノクロマト試験によれば、まず、イムノクロマト試験紙に第1の展開液を展開させる(図5(b)、(c))。ここで、図5のように複数の異種の被験物質1−3が第1の展開液に含まれる場合、該被験物質は、クロマトグラフ担体上に固定化された複数の異種の分子(b)のうち対応する分子(b)に結合する(図5(c))。次に、クロマトグラフ担体上に残存する未結合の被験物質を除去するため、緩衝液を展開してクロマトグラフ担体を洗浄する(図5(d))。なお、除去された被験物質は吸収紙に回収される。次に、イムノクロマト試験紙に第2の展開液を展開させる(図5(e))。ここで、図5のように複数の異種の被験物質が第1の展開液に含まれる場合、複数の異種の金属微粒子(a)1−3と複数の異種の分子(b)1−3の複合体が、クロマトグラフ担体上の各分子(b)に結合している被験物質に結合する(図5(e))。図5のように複数の異種の被験物質1−3が第1の展開液に含まれる場合、複数の異種の金属微粒子(a)1−3が複数の判定部分に残るため、各金属微粒子(a)の色調により複数の被験物質の検出が一度で可能になる。
図6は、本発明のイムノクロマトキットの他の実施態様を用いたイムノクロマト試験の概略図を示す。図6に示すクロマトグラフ担体は、プラスチック上に設置されており、その上端には吸収紙が設けられている(これをイムノクロマト試験紙とする)。また、このクロマトグラフ担体は、複数の異種の分子(b)1−3が異なる位置に直線状に固定化され、判定部分が形成されている。図6に示す展開液は、複数の異種の被験物質1−3及び緩衝液を含む第1の展開液(図6(b)、(c))と、複数の異種の金属微粒子(a)1−3、複数の異種の分子(b)1−3(対応する数字の被験物質1−3と結合する)及び緩衝液を含む第2の展開液(図6(e))からなり、第2の展開液中では、複数の異種の金属微粒子(a)1−3と複数の異種の分子(b)1−3が結合して複合体を形成しているが、金属微粒子(a)−1は、分子(b)−1又は分子(b)−3と共に複合体を形成し、金属微粒子(a)−2は、分子(b)−1又は分子(b)−2と共に複合体を形成し、金属微粒子(a)−3は、分子(b)−2又は分子(b)−3と共に複合体を形成している。
図6に示すイムノクロマト試験によれば、まず、イムノクロマト試験紙に第1の展開液を展開させる(図6(b)、(c))。ここで、図6のように複数の異種の被験物質1−3が第1の展開液に含まれる場合、該被験物質は、クロマトグラフ担体上に固定化された複数の異種の分子(b)1−3のうち対応する分子(b)に結合する(図6(c))。次に、クロマトグラフ担体上に残存する未結合の被験物質を除去するため、緩衝液を展開してクロマトグラフ担体を洗浄する(図6(d))。なお、除去された被験物質は吸収紙に回収される。次に、イムノクロマト試験紙に第2の展開液を展開させる(図6(e))。ここで、図6のように複数の異種の被験物質1−3が第1の展開液に含まれる場合、複数の異種の金属微粒子(a)1−3と複数の異種の分子(b)1−3の複合体が、クロマトグラフ担体上の各分子(b)に結合している被験物質に結合する(図6(e))。図6のように複数の異種の被験物質1−3が第1の展開液に含まれる場合、一つの判定部分に複数の異種の金属微粒子(a)が残るため、金属微粒子(a)1−3の混色の検出ラインが確認できる。
次に、図6に用いた第2の展開液の調製方法の一例を以下に記載する。金属微粒子(a)−1がイエロー調、金属微粒子(a)−2がマゼンタ調、金属微粒子(a)−3がシアン調の色であるとき、金属微粒子(a)−1と分子(b)−1、金属微粒子(a)−2と分子(b)−1をそれぞれ別々に複合体化し、これら複合体を等量ずつ混合することで赤色調の第2の展開液が調製可能である。同様に、金属微粒子(a)−2と分子(b)−2、金属微粒子(a)−3と分子(b)−2をそれぞれ別々に複合体化し、その後これら2種の複合体を等量ずつ混合することで青色調の第2の展開液が調製可能である。また、金属微粒子(a)−1と分子(b)−3、金属微粒子(a)−3と分子(b)−3をそれぞれ別々に複合体化し、その後これら2種の複合体を等量ずつ混合することで緑色調の第2の展開液が調製可能である。これら3種の第2展開液を同量混合することで黒色調の第2の展開液が調製でき、これを図6のイムノクロマト試験紙に展開すると、イムノクロマト紙に固定された分子(b)1−3に金属微粒子(a)の混色の検出ラインが確認される。図7に、図6に示すイムノクロマトキットに使用可能な第2展開液の一例を示す。なお、金属微粒子(a)や分子(b)の種類は、前述の3種に限定されず上限無く増やすことが可能であるため、検出部分の色を自由に制御することが可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(プレート状銀ナノ粒子の種粒子の調製)
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液20mLに、0.5g/Lの分子量70,000ポリスチレンスルホン酸水溶液1mLと、10mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液1.2mLとを添加し、次いで、20mL/minで攪拌しながら、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中に60分間静置し、プレート状銀ナノ粒子の種粒子の水分散液を作製した。調製した水分散液(原液)の光学特性を図8に示す。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。最大吸収を示す波長は球状銀ナノ粒子のLSPRである396nm(消光度3.3)であった。なお、本発明の消光度とは分散液を分光光度計で測定した際の吸光度の値である。また、SEM写真を図28に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。粒子径は主に3nm以上、10nm未満のプレート状粒子であった。
(プレート状銀ナノ粒子Aの調製)
蒸留水200mlに、10mMのアスコルビン酸水溶液4.5mLを添加し、上述のプレート状銀ナノ粒子の種粒子の分散液(以下、種粒子水分散液という)12mlを添加した。得られた溶液に、0.5mMの硝酸銀水溶液120mLを30mL/minで攪拌しながら添加した。硝酸銀水溶液の添加が終了した4分後に攪拌を停止し、25mMのクエン酸ナトリウム水溶液20mlを添加し、得られた溶液を大気雰囲気下のインキュベーター(30℃)中に100時間静置し、プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を図9に示す。最大吸収を示す波長は454nm(消光度1.0)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液中のプレート状銀ナノ粒子AをSEMにより観察したところ、プレート状銀ナノ粒子Aの平均粒子径は18nmであり、平均厚さは8nmでアスペクト比は2.2であった。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
(プレート状銀ナノ粒子Bの調製)
上記種粒子水分散液の添加量を12mlから4mlに変更した以外は、プレート状銀ナノ粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Bの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を図9に示す。最大吸収を示す波長は526nm(消光度1.1)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液中のプレート状銀ナノ粒子BをSEMにより観察したところ、プレート状銀ナノ粒子Bの平均粒子径は31nmであり、平均厚さは8nmでアスペクト比は3.8であった。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
(プレート状銀ナノ粒子Cの調製)
上記種粒子水分散液の添加量を12mlから2mlに変更した以外は、プレート状銀ナノ粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Cの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を図9に示す。最大吸収を示す波長は626nm(消光度1.1)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液中のプレート状銀ナノ粒子CをSEMにより観察したところ、プレート状銀ナノ粒子Cの平均粒子径は50nmであり、平均厚さは10nmでアスペクト比は5.0であった。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
(プレート状銀ナノ粒子Dの調製)
上記種粒子水分散液の添加量を12mlから1mlに変更した以外は、プレート状銀ナノ粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Dの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を図9に示す。最大吸収を示す波長は704nm(消光度1.0)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液中のプレート状銀ナノ粒子DをSEMにより観察したところ、プレート状銀ナノ粒子Dの平均粒子径は74nmであり、平均厚さは8nmでアスペクト比は9.2であった。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
(金属微粒子Aの調製)
上記プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液120mlに、5質量%のポリビニルピロリドン(PVP)水溶液8mlを添加し、ジエチルアミン1.2mlを添加し、0.5Mのアスコルビン酸水溶液1.6mlを添加した後、0.16mMの塩化金酸水溶液9.6mlを0.5mL/minで攪拌しながら添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中に24時間静置し、プレート状銀ナノ粒子Aの表面が金で被覆された金属微粒子Aの水分散液(イエロー調)を調製した。この金属微粒子Aの水分散液を原液とした。原液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を図10に示し、CIE1931xy色度図における原液の色度座標を図33に示す。最大吸収を示す波長は464nm(消光度0.8)であり、色度座標はx=0.5070、y=0.4774であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。色度座標の測定は、同分光光度計を用い、光路長:1cm及び分光光度計操作用ソフトウェア「カラー測定ソフトウェア P/N 206−65207(株式会社島津製作所製)」にて照明:D65、視野:2°と設定した条件下で行われた。また、SEM写真を図29に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
(金属微粒子Bの調製)
プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液120mlに代えてプレート状銀ナノ粒子Bの水分散液120mlを使用した以外は、金属微粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Bの表面が金で被覆された金属微粒子Bの水分散液(マゼンタ調)を調製した。この金属微粒子Bの水分散液を原液とした。原液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を図10に示し、CIE1931xy色度図における原液の色度座標を図33に示す。最大吸収を示す波長は534nm(消光度0.9)であり、色度座標はx=0.4276、y=0.1751であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。色度座標の測定は、同分光光度計を用い、光路長:1cm及び分光光度計操作用ソフトウェア「カラー測定ソフトウェア P/N 206−65207(株式会社島津製作所製)」にて照明:D65、視野:2°と設定した条件下で行われた。また、SEM写真を図30に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
(金属微粒子Cの調製)
プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液120mlに代えてプレート状銀ナノ粒子Cの水分散液120mlを使用した以外は、金属微粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Cの表面が金で被覆された金属微粒子Cの水分散液(シアン調)を調製した。この金属微粒子Cの水分散液を原液とした。原液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を図10に示し、CIE1931xy色度図における原液の色度座標を図33に示す。最大吸収を示す波長は634nm(消光度0.9)であり、色度座標はx=0.1467、y=0.2090であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。色度座標の測定は、同分光光度計を用い、光路長:1cm及び分光光度計操作用ソフトウェア「カラー測定ソフトウェア P/N 206−65207(株式会社島津製作所製)」にて照明:D65、視野:2°と設定した条件下で行われた。また、SEM写真を図31に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
(複数種の金属微粒子による混色の調製)
原液である金属微粒子Aの水分散液及び金属微粒子Bの水分散液を等しい質量で混合したところ、赤色調の混合液A(色度座標 x:0.6057、y:0.3317)が得られた。原液である金属微粒子Bの水分散液及び金属微粒子Cの水分散液を等しい質量で混合したところ、青色調の混合液B(色度座標 x:0.1731、y:0.0675)が得られた。原液である金属微粒子Aの水分散液及び金属微粒子Cの水分散液を等しい質量で混合したところ、緑色調の混合液C(色度座標 x:0.2549、y:0.5712)が得られた。CIE1931xy色度図における混合液A、B及びCの色度座標を図34に示す。色度座標の測定は、同分光光度計を用い、光路長:1cm及び分光光度計操作用ソフトウェア「カラー測定ソフトウェア P/N 206−65207(株式会社島津製作所製)」にて照明:D65、視野:2°と設定した条件下で行われた。
(金属微粒子Dの調製)
プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液120mlに代えてプレート状銀ナノ粒子Dの水分散液120mlを使用した以外は、金属微粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Dの表面が金で被覆された金属微粒子Dの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を図10に示す。最大吸収を示す波長は714nm(消光度0.8)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。また、SEM写真を図32に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
(金属微粒子Bの緩衝液中での安定性試験)
[プレート状銀ナノ粒子の緩衝液中での安定性]
先に調製されたプレート状銀ナノ粒子Bの分散液1mLを蒸留水3mLおよび10mM PBS(+)緩衝液(塩化カルシウム二水和物(関東化学株式会社製)0.133g、塩化マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)0.1gを蒸留水800mLで溶解し、市販の200mM PBS(−)溶液(関東化学株式会社製)50mLを添加し、全量を1Lとして調製)3mLにそれぞれ添加し、4倍希釈とした。
調製した溶液の消光度(Extinction)を紫外可視近赤外分光光度計(装置名:紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PC、製造元:株式会社島津製作所)で測定した。プレート状銀ナノ粒子Bの波長542nmの消光度減少率は約90%であり、大幅に低下した。消光度測定結果を図11に示す。
[金被覆プレート状銀ナノ粒子の緩衝液中での安定性]
先に調製された金属微粒子Bの水分散液1mLを蒸留水3mLおよび10mM PBS(+)緩衝液(塩化カルシウム二水和物(関東化学株式会社製)0.133g、塩化マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)0.1gを蒸留水800mLで溶解し、市販の200mM PBS(−)溶液(関東化学株式会社製)50mLを添加し、全量を1Lとして調製)3mLにそれぞれ添加し、4倍希釈とした。
調製した溶液の消光度(Extinction)を紫外可視近赤外分光光度計(装置名:紫外可視近赤外分光光度計 MPC3100UV−3100PC、製造元:株式会社島津製作所)で測定した。金属微粒子Bの波長556nmの消光度減少率は約1.4%であり、殆ど変化が無く安定であった。消光度測定結果を図12に示す。
以上のことから、金属微粒子Bは、生化学緩衝液中での安定性に優れることが分かった。
[イムノクロマト試験 実施例1]
金属微粒子A〜Dを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験
(コンカナバリンAイムノクロマト試験用展開液A〜Dの調製)
5mMのPBS(+)緩衝液(200mM PBS溶液(製品名:PBS溶液20倍濃縮液、製造元:関東化学株式会社)を40倍容に希釈し5mM PBS(−)緩衝液を1L調製し、塩化カルシウム(関東化学株式会社製)の1g/mL水溶液0.1mL及び、塩化マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)の1g/mL水溶液0.05mLを添加して調製)中における濃度50μg/mLの抗コンカナバリンA抗体(品名:Anti Concanavalin A、製造元:EY Laboratories,Inc.)の溶液0.2mLと、先に調製された金属微粒子Aの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(75000rpm、4℃、1時間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液を除去した。その後、抗体−金属微粒子複合体を純水500μL中に再分散させ、紫外可視分光光度計Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)0.55になるように調整し、展開液Aを調製した。同様に、金属微粒子B〜Dの分散液を用いて、展開液B〜Dを調製した。
(コンカナバリンAのイムノクロマト試験1)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗コンカナバリンA抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗コンカナバリンA抗体を直線状に固定する際、抗コンカナバリンA抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で200倍容 希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、5mMのPBS(+)緩衝液中におけるコンカナバリンA(品名:Canavalia ensiformis(Jack Bean)[Con A],Jack bean(−)、株式会社J−オイルミルズ製)の溶液であり、コンカナバリンAの濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nM及び0Mの溶液を用意した(pH7.4)。洗浄用展開液は5mMのPBS(+)緩衝液である(pH7.4)。第2の展開液には、上述の展開液A〜Dを用いた(pH7.0)。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(+)緩衝液30μLを展開させた。最後に、各種第2の展開液60μLを展開させた。展開液A〜Dを用いた全てのイムノクロマト試験において、コンカナバリンAの検出が展開液Aでは6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nMの濃度に亘って目視により確認され、展開液B、C、Dでは6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nMの濃度に亘って目視により確認された。結果を図13に示す。
(コンカナバリンAのイムノクロマト試験2)
図2に示されるようなイムノクロマト試験を行った。イムノクロマト試験1と同じイムノクロマト試験紙を用いた。展開液には、展開液A〜Dのうち1種の展開液60μLと、5mMのPBS(+)緩衝液中における濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nM又は0MのコナカバリンAである溶液15μLとを混合したものを用いた(pH7.0)。具体的には、イムノクロマト試験紙に各種展開液を展開させた。全ての展開液において、コンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nMの濃度に亘って目視により確認できた。
(コンカナバリンAのイムノクロマト試験1の輝度解析)
コンカナバリンAのイムノクロマト試験1での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、キヤノン株式会社)し、判定部分(抗コンカナバリンA抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。なお、Image−Jは、アメリカ国立衛生研究所でWayne Rasbandが開発したオープン・ソースで公有の画像処理ソフトウェアである(http://imagej.nih.gov/ij/)。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、金属微粒子A、BではコンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nMの濃度に亘って確認でき、金属微粒子C、DではコンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nMの濃度に亘って確認できた。輝度解析の結果を図14〜17、後述する球状金コロイドとの比較を図19に示す。
[イムノクロマト試験 実施例2]
金属微粒子Bを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験
(B型肝炎ウイルス抗原イムノクマト試験用展開液の調製)
先に調製された金属微粒子Bの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子Bの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、抗体−金属微粒子複合体を5mM PBS(−)緩衝液で再分散させ、紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)0.35になるように調整し、展開液Eを調製した。
(B型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体を直線状に固定する際、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で40倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であり、B型肝炎ウイルス抗原の濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0M(Blank)の溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、上述の展開液Eを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液60μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μM、0.06μMの濃度に亘って目視により確認された。結果を図20に示す。
(B型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験の輝度解析)
B型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、判定部分(抗B型肝炎ウイルス抗原抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μM、0.06μMの濃度に亘って確認された。輝度解析の結果を図21、球状金コロイドとの比較を図23に示す。
[イムノクロマト試験 実施例3]
多色イムノクロマト試験
(多色イムノクロマト試験用展開液の調製)
先に調製された金属微粒子A〜Cの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子A〜Cの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去し抗体-金属微粒子複合体の13.3倍濃縮液を調製した。該濃縮液を紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)2.0になるように5mM PBS(−)緩衝液で14倍希釈し、展開液F〜Hを調製した。また、前述の濃縮液を7倍希釈し、2倍濃度の濃縮展開液F〜Hを調製し、これらを図24に従って調合し、展開液I〜Lを調製した。展開液F〜Lの分光特性測定結果を図25、26に示す。図25、26に示すように球状金コロイドを使用した展開液の場合、単色設計しかできないが、本発明のように、金属微粒子A、B、Cを使用した場合は多色設計が可能であった。
(多色イムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体を直線状に固定する際、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で40倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であり、B型肝炎ウイルス抗原の濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0M(Blank)の溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、上述の展開液F〜Lを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液60μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μM、0.06μMの濃度に亘って目視により確認された。また、検出ラインの色が展開液により異なり、展開液F使用時はイエロー調、展開液G使用時はマゼンタ調、展開液H使用時はシアン調、展開液I使用時は赤色調、展開液J使用時は青色調、展開液K使用時は緑色調、展開液L使用時は黒色調の色を呈した。
よって、図5や図6に示されるようなイムノクロマト試験を行う場合(クロマトグラフ担体に、複数の異種の分子(b)が異なる位置に直線状に固定化され、判定部分が形成されている場合)、金属微粒子(a)の色調の違いを利用して、それぞれの固定化部分を異なる色を呈する検出ラインとして機能できることが分かる(検出ラインの多色化)。これにより、複数の被験物質を一度に検出できることも分かる。
(多色イムノクロマト試験結果の測色)
多色イムノクロマト試験により得られたイムノクロマト紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ラインのCIELAB D50を測定した。測色の結果を図27に示す。
[イムノクロマト試験 実施例4]
金属微粒子B及びCを使用したB型肝炎ウイルス抗原及びヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの二検体二色検出イムノクロマト試験
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンイムノクマト試験用複合体分散液Aの調製)
先に調製された金属微粒子Bの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子Bの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて60分間振とうした。その後、3.26wt% ウシ血清アルブミン(BSA)−5mM PBS(−)溶液100μLを添加し、得られた混合物を室温にて60分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、抗体−金属微粒子複合体を5mM PBS(−)緩衝液で再分散させ、紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)1.0になるように調整し、複合体分散液Aを調製した。
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンイムノクマト試験用複合体分散液Bの調製)
先に調製された金属微粒子Cの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体(品名:MONOCLONAL ANTI−HUMAN CHORIONIC GONADOTROPIN、製造元:Medix Biochemica製)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子Cの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうし、その後4℃にて24時間静置した。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、抗体−金属微粒子複合体を5mM PBS(−)緩衝液で再分散させ、紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)1.0になるように調整し、複合体分散液Bを調製した。
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンイムノクマト試験用展開液Mの調製)
先に調製された金属微粒子Aの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。その後、pH7.4に調整した金属微粒子Aの分散液を紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)1.0になるように調整し、pH調整分散液Aを調整した。pH調整分散液Aと、複合体分散液Aと、複合体分散液Bとを等しい体積比で混合し、展開液M(色調:黒色調)を調製した。
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのイムノクロマト試験)
図5に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体および抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体がそれぞれ直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙(展開液が展開する方向から見て下流側に抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体が固定され、展開液が展開する方向から見て上流側に抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が固定される)を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体および抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体を直線状に固定する際、各抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で40倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、5mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)とヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(品名:hCG Human(−)、製造元:Meridian Life Science, Inc.製)の混合溶液であり、両抗原濃度が0.3μM、0.03μM、0.003M、0M(Blank)である混合溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、展開液Mを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液30μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液120μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が0.3μM、0.030μM、0.003μMの濃度に亘って目視により確認され、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの0.3μM、0.03μMの濃度に亘って確認された。結果を図35に示す。また、検出ラインの色調は、抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体の固定化部分がシアン調、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体の固定化部分がマゼンタ調であった。
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの二検体二色検出イムノクロマト試験結果の測色)
二検体二色検出イムノクロマト試験により得られたイムノクロマト紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ラインのCIELAB D50を測定した。測色の結果を図36に示す。
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの二検体二色検出イムノクロマト試験の輝度解析)
二検体二色検出イムノクロマト試験での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、判定部分(抗B型肝炎ウイルス抗原抗体および抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、B型肝炎ウイルス抗原の検出が0.3μM、0.03μM、0.003μMの濃度に亘って確認され、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの0.3μM、0.03μMの濃度に亘って確認された。輝度解析の結果を図37に示す。
[イムノクロマト試験 実施例5]
高精彩多色イムノクロマト試験
(高精彩多色イムノクロマト試験用展開液の調製)
先に調製された金属微粒子A〜Cの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子A〜Cの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。その後、3.26wt% ウシ血清アルブミン(BSA)−5mM PBS(−)溶液100μLを該混合物に添加し、得られた混合物を室温にて60分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.75mLを除去し、その後、沈殿物に0.16wt% BSA−5mM PBS(−)緩衝液0.75mLを添加し、抗体−金属微粒子複合体の2倍濃縮液を調製した。該濃縮液を0.16wt% BSA−5mM PBS(−)緩衝液で3.0倍希釈し、展開液N〜Pを調製した。また、前述の濃縮液を図38に従って調合し、展開液Q〜Tを調製した。
(高精彩多色イムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体を直線状に固定する際、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で40倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であり、B型肝炎ウイルス抗原の濃度が0.60μM、0M(Blank)の溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、上述の展開液N〜Tを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液60μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が0.6μMの濃度で目視により確認され、0μM(Blank)の濃度では確認されず、非特異検出が無いことが確認された。また、検出ラインの色が展開液により異なり、展開液N使用時はイエロー調、展開液O使用時はマゼンタ調、展開液P使用時はシアン調、展開液Q使用時は赤色調、展開液R使用時は青色調、展開液S使用時は緑色調、展開液T使用時は黒色調の色を呈した。
(高精彩多色イムノクロマト試験結果の測色)
高精彩多色イムノクロマト試験により得られたイムノクロマト紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE220、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ラインのCIELAB D50を測定した。測色の結果を図39に示す。
[イムノクロマト試験 比較例1]
球状金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験
(球状金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクマト試験用展開液の調製)
市販の球状金コロイド分散液(品名:Auコロイド溶液−SC、粒径:40nm、製造元:田中貴金属株式会社)10mLに5質量%のポリビニルピロリドン(PVP)水溶液3.5mLを添加、攪拌後、一晩静置し、金コロイド調整液を作製した。
上記の金コロイド調整液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金微粒子を5mMのPBS(+)緩衝液(200mM PBS溶液(製品名:PBS溶液20倍濃縮液、製造元:関東化学株式会社)を40倍容に希釈し5mM PBS(−)緩衝液を1L調製し、塩化カルシウム(関東化学株式会社製)の1g/mL水溶液0.1mL及び、塩化マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)の1g/mL水溶液0.05mLを添加して調製)1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(+)緩衝液中における濃度50μg/mLの抗コンカナバリンA抗体(品名:Anti Concanavalin A、製造元:EY Laboratories,Inc.)の溶液0.2mLと、先に調製された金コロイドの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(75000rpm、4℃、1時間)を行い、抗体−金コロイド複合体を沈殿させ、上澄み液を除去した。その後、抗体−金コロイド複合体を純水500μL中に再分散させ、紫外可視分光光度計Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)0.35になるように調整し、抗体−金コロイド展開液Iを調製した。
(金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗コンカナバリンA抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗コンカナバリンA抗体を直線状に固定する際、抗コンカナバリンA抗体溶液を5mM PBS(+)緩衝液で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、5mMのPBS(+)緩衝液中におけるコンカナバリンA(品名:Canavalia ensiformis(Jack Bean)[Con A],Jack bean(−)、株式会社J−オイルミルズ製)の溶液であり、コンカナバリンAの濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nM及び0Mの溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(+)緩衝液である。第2の展開液には、上述の抗体−金コロイド展開液Iを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(+)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液である抗体−金コロイド展開液I60μLを展開させた。イムノクロマト試験の結果、コンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nMの濃度に亘って目視により確認された。結果を図13に示す。
(球状金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験の輝度解析)
球状金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、キヤノン株式会社)し、判定部分(抗コンカナバリンA抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、球状金コロイドではコンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nMの濃度に亘って確認できた。輝度解析の結果を図18、金属微粒子A〜Dとの比較を図19に示す。
[イムノクロマト試験 比較例2]
球状金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験
(球状金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原イムノクマト試験用展開液の調製)
市販の球状金コロイド分散液(品名:Auコロイド溶液−SC、粒径:40nm、製造元:田中貴金属株式会社)10mLに5質量%のポリビニルピロリドン(PVP)水溶液3.5mLを添加、攪拌後、一晩静置し、金コロイド調整液を作製した。
上記の金コロイド調整液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を200倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金コロイド調整液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金コロイド複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去し、抗体−金コロイド複合体の13.3倍濃縮液を調製した。その後、該濃縮液を5mM PBS(−)緩衝液で希釈、紫外可視分光光度計Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)0.35になるように調整し、抗体−金コロイド展開液IIを調製した。また、該濃縮液を3倍希釈し消光度2.0の抗体−金コロイド展開液IIIを調製し、後述するB型肝炎ウイルス抗原イムノクロマト試験結果の測色に使用するイムノクロマト試験に使用した。
(金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体を直線状に固定する際、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体溶液を1mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で200倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であり、B型肝炎ウイルス抗原の濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0M(Blank)の溶液を用意した。洗浄用展開液は1mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、先に調製された消光度0.35に調整した抗体−金コロイド展開液IIを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である1mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液60μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μMの濃度に亘って目視により確認できた。結果を図20に示す。また、検出ラインの色は赤紫色であった。
(球状金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験の輝度解析)
球状金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、判定部分(抗B型肝炎ウイルス抗原抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μMの濃度に亘って確認された。輝度解析の結果を図22、金属微粒子Bとの比較を図23に示す。
[イムノクロマト試験 比較例3]
(金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原イムノクロマト試験結果の測色)
先に調製された消光度2.0に調整した抗体−金コロイド展開液IIIを使用したB型肝炎ウイルス抗原イムノクロマト試験により得られたイムノクロマト紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ラインのCIELAB D50を測定した。抗体−金コロイド展開液IIIの分光特性を図25、測色の結果を図27に示す。

Claims (4)

  1. プレート状銀ナノ粒子及び該プレート状銀ナノ粒子の表面を被覆する金からなる金属微粒子(a)と、被験物質に対して特異的な結合性を有し且つ該金属微粒子(a)に対して結合性を有する分子(b)とを備えることを特徴とするイムノクロマトキット。
  2. イムノクロマト試験後に1種又は複数種の検出ラインを呈するクロマトグラフ担体を備えるイムノクロマトキットであって、
    前記検出ラインの色は、1種の金属微粒子(a)の色又は異なる色を呈する複数種の金属微粒子(a)の混色に基づいていることを特徴とする請求項1に記載のイムノクロマトキット。
  3. イムノクロマト試験後に複数種の検出ラインを呈するクロマトグラフ担体を備えるイムノクロマトキットであって、
    前記クロマトグラフ担体は、異なる被験物質に対して結合性を有する複数種の分子(b)がそれぞれ異なる位置に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のイムノクロマトキット。
  4. 前記被験物質に対して結合性を有さず且つ前記金属微粒子(a)に対して結合性を有する水溶性高分子(c)を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイムノクロマトキット。
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