JP2015192297A - 水晶導波管フィルタ - Google Patents

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辰典 恩塚
Tatsunori Onzuka
辰典 恩塚
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Abstract

【課題】 簡易な構成で組み立てが容易であり、コストを低減でき、良好な特性が得られる水晶導波管フィルタを提供する。
【解決手段】 水晶部31と空気部32とが隣接して配置され、空気部32に隣接する水晶部31のE面に、スロット線路と、入力ポート36と、出力ポート37とを備えた金属パターン33が形成された水晶導波管フィルタを基準の構成として、基準の構成から空気部32を囲む導体壁を取り除き、基準の構成と比べて、スロット線路の幅を大きくすると共に、水晶部31の端面の大きさを小さくして、共振周波数及び負荷Q値の低下を防ぐようスロット線路の幅又は/及び水晶部31の端面の大きさが調整される水晶導波管フィルタとしている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水晶導波管フィルタに係り、特に製造が容易で高性能な水晶導波管フィルタに関する。
[先行技術の説明]
マイクロ波やミリ波用のフィルタとして、導波管フィルタがある。
従来の導波管フィルタとしては、高い加工精度が必要なアイリスやフィンを用いない簡易な構成としつつ、良好な性能が得られるものが開示されている(特開2013−243658号公報「水晶導波管フィルタ及びデュプレクサ」、日本電波工業株式会社、特許文献1)。
[従来の水晶導波管フィルタの構成:図7]
特許文献1に示された従来の水晶導波管フィルタ(「従来の導波管フィルタ」とする)について図7を使って説明する。図7は、従来の水晶導波管フィルタの構成を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は断面の模式説明図、(c)は金属パターンの平面図である。
従来の導波管フィルタ1は、所望の周波数を通過させる帯域通過フィルタ(BPF:Band Pass Filter)であり、図7(a)に示すように、主として、矩形導波管内部の半分を満たす水晶(誘電体)部11と、残りの半分を占める空間(空気)である空洞部(空気部)12とから成る。
水晶部11において、空洞部12に接する側面は、導波管の電界(E)に平行な面(E面)となっており、この面に金属パターン13が形成されている。
また、水晶部11と空洞部12とは同一形状且つ同一寸法となるよう構成されている。つまり、従来の導波管フィルタは、導波管内部がE面に平行な面で長手方向に水晶部11と空洞部12とに2分割された構成となっている。
また、図示は省略するが、水晶部11のパターン面以外の3つの長面には、導体膜が形成されている。
図7(a)(b)に示すように、ここでは、導波管フィルタの長辺の端部に形成される端面の寸法を、縦(電界方向)0.6mm、横(磁界方向)1.2mmとしている。水晶部11及び空洞部12の幅はいずれも0.6mmである。
また、水晶部11の比誘電率(Er)を4.5としている。
図7(c)に示すように、金属パターン13は、スロット線路15と、入力ポート16と、出力ポート17とが形成されている。
スロット線路は、幅が0.14mmであり、スロットの長さに応じて特定の共振周波数を通過させる。
入力ポート16及び出力ポート17は、コプレナ線路で形成されている。
[従来の水晶導波管フィルタの構造:図8]
次に、従来の水晶導波管フィルタの具体的な構造について図8を用いて説明する。図8は、従来の水晶導波管フィルタの構造を示す説明図である。
従来の水晶導波管フィルタは、図8(a)に示す水晶部11と、(b)に示す基板21及び導体壁24とを組み合わせて形成されている。
図8(b)に示すように、基板21は、アルミナ等で形成され、上面に搭載される水晶部11と外部とを接続する電極22,23を備えている。電極22,23は、基板を貫通して裏面から側面に引き出されている。
また、導体壁24は、2面の導体面をL字に組み合わせた形状であり、図7に示した従来の導波管フィルタの空洞部12側の壁面を構成するものである。
そして、図8(c)に示すように、基板21上に水晶部11と導体壁24とを搭載して、水晶部11と空洞部12とを備えた従来の導波管フィルタが形成される。
水晶部11の入力ポート16、出力ポート17は、基板21の電極22,23にそれぞれ接続されている。
[従来の水晶導波管フィルタの特性:図9]
図9は、従来の水晶導波管フィルタの特性の一例を示す特性図である。
図9では、実線が通過特性、破線が反射特性を示しており、良好な特性が得られている。
特開2013−243658号公報
しかしながら、特許文献1に示される従来の水晶導波管フィルタでは、空洞部12を形成するために、L字型に組み合わせた導体壁を設けなければならず、構成が複雑で組み立て工程が煩雑であるという問題点があった。
尚、特許文献1には、導体壁を設けずに、水晶部とそれに隣接する空気部とから成る導波管フィルタを形成することは記載されていない。
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、簡易な構成で組み立てが容易であり、コストを低減でき、良好な特性が得られる水晶導波管フィルタを提供することを目的とする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、特定の周波数帯域を通過させる水晶導波管フィルタであって、方形の2つの端面と4つの長面とを備えた直方体の水晶基材から成る水晶部と、導体壁で囲まれ、水晶部に隣接した空気部とを備え、水晶部の、空気部に接し電界と平行な長面に、スロット線路と、入力ポートと、出力ポートのパターンが形成された水晶導波管フィルタを基準の構成として、基準の構成から空気部を囲む導体壁が取り除かれ、スロット線路の幅又は/及び前記水晶部の端面の大きさが、共振周波数及び負荷Q値が低下しないよう調整されることを特徴としている。
また、本発明は、スロット線路の幅が基準の構成より大きく形成されていることを特徴としている。
また、本発明は、水晶部の端面の大きさが基準の構成より小さく形成されていることを特徴としている。
また、本発明は、スロット線路の幅が基準の構成より大きく形成されると共に、水晶部の端面の大きさが前記基準の構成より小さく形成されていることを特徴としている。
また、本発明は、水晶部の入力ポートと出力ポートは、コプレナ線路で形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、特定の周波数帯域を通過させる水晶導波管フィルタであって、方形の2つの端面と4つの長面とを備えた直方体の水晶基材から成る水晶部と、導体壁で囲まれ、水晶部に隣接した空気部とを備え、水晶部の、空気部に接し電界と平行な長面に、スロット線路と、入力ポートと、出力ポートのパターンが形成された水晶導波管フィルタを基準の構成として、基準の構成から空気部を囲む導体壁が取り除かれ、スロット線路の幅又は/及び前記水晶部の端面の大きさが、共振周波数及び負荷Q値が低下しないよう調整される水晶導波管フィルタとしているので、導体壁のない簡易な構成で組み立てが容易であり、コストを低減でき、良好な特性を得ることができる効果がある。
本発明の実施の形態に係る水晶導波管フィルタの理論上の構成を示す斜視図である。 空気部32の端面の長さLと共振周波数及び負荷Q値との関係を示す説明図である。 スロット線路の幅Wと共振周波数及び負荷Q値との関係を示す説明図である。 水晶部31の寸法Mと共振周波数及び負荷Q値との関係を示す特性図である。 スロット線路の長さSと共振周波数及び負荷Q値との関係を示す説明図である。 本導波管フィルタの特性例を示す特性図である。 従来の水晶導波管フィルタの構成を示す説明図である。 従来の水晶導波管フィルタの構造を示す説明図である。 従来の水晶導波管フィルタの特性例を示す特性図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る水晶導波管フィルタは、図7,図8に示した同寸法の水晶部と空洞部とを備えた従来の水晶導波管フィルタを基準の構成(基準型)として、基準型から空洞部を囲む導体壁を取り除いた構成であり、スロット線路の幅を基準型より大きくし、水晶部の端面の寸法を基準型より小さくして、それぞれ最適化することにより、フィルタ特性を劣化させないよう調整するものであり、導体壁を設けない簡易な構成で良好な特性が得られるものである。
[本実施の形態に係る水晶導波管フィルタの構成:図1]
本発明の実施の形態に係る水晶導波管フィルタの構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る水晶導波管フィルタの理論上の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る水晶導波管フィルタ(本導波管フィルタ)は、図7に示した従来の水晶導波管フィルタと同様に、水晶部31と、水晶部31に接する空洞部(空気部)32とを備えている。以下、図7に示した従来の導波管フィルタを「基準型」と称する。
但し、本導波管フィルタの特徴として、空気部32の壁面を形成する導体壁が設けられていない点が基準型とは異なっている。つまり、空気部32の端面の大きさは導体壁によって限定されていない。図1では、空気部32の形状を仮想的に示しているが、実際には、水晶部31は開放空間に接しているものである。
しかしながら、開放空間の内の水晶部31に接する空気層は、信号を伝搬する本導波管フィルタの一部として機能するため、この空気層を空気部32と称するものとする。
そして、基準型と同様に、水晶部31のE面に、金属パターン33が形成され、スロット線路と、コプレナ線路で形成された入力ポート36及び出力ポート37が設けられている。尚、図では水晶部31が搭載される基板は省略している。
このような構成とすることにより、本水晶導波管フィルタは、導体壁を不要として構成及び組み立て工程を簡易にし、コストを低減することができるものである。
[空気部33の大きさと導波管フィルタの特性:図2]
まず、空気部32の大きさと導波管フィルタの特性との関係についてのシミュレーション結果を示す。シミュレーションのモデル及び結果について図2を用いて説明する。図2は、空気部32の端面の長さLと共振周波数及び負荷Q値との関係を示す説明図である。尚、ここでは、最低次の共振周波数(f0)に着目して検討した。
図2(a)にシミュレーションを行ったモデルを示す。図2(a)に示すように、水晶部31の端面の一辺の長さを0.6mmとして、空気部32の端面の一辺の長さLを変えて、共振周波数及び負荷Q値(Ql値)を計算した。
図2(b)に、L(mm)とそれに対応する共振周波数f0(GHz)及びQl値の計算結果を示す。また、図2(c)に、Lに対する各特性をグラフに表す。
図2(b)(c)から分かるように、空気部32の一辺(L)を大きくすると、共振周波数f0と負荷Q値は低下する。
L=0.6mmの場合が基準型であり、共振周波数が60.6GHz、負荷Q値が48.1である。
Lが誘電体(水晶部31)の寸法の2倍の長さ(1.2mm)程度までは、共振周波数、負荷Q値共に急激に低下しており、Lの寸法が特性に与える影響が大きい。
しかし、Lがそれより大きくなると、共振周波数は低下量が減少して傾きが緩やかになり、負荷Q値はほぼ平坦となっている。例えば、図2(b)に示すように、Lが誘電体の寸法の3倍である1.8mmの場合と、5倍である3.0mmの場合とを比較すると、両者の差は小さい。
すなわち、誘電体の寸法に対して、空気部32の寸法をある程度以上大きくすると、導体壁の影響が小さくなることがわかる。
[共振周波数と負荷Q値の向上]
図2(b)(c)に示したように、導体壁を取り除いた場合には、導体壁によって空気部の大きさが限定されている場合と比較すると、共振周波数及び負荷Q値が低下する。
そこで、導体壁を設けない構造でも共振周波数と負荷Q値を低下させないように、各種の条件を調整することが必要である。
本実施の形態では、スロット線路の幅、水晶部の一辺の長さ、スロット線路の長さを変えて特性を計算した。
[スロット線路の幅と導波管フィルタの特性:図3]
まず、水晶部31に形成される金属パターン13のスロット線路の幅Wを調整した場合のシミュレーション結果について図3を用いて説明する。図3は、スロット線路の幅Wと共振周波数及び負荷Q値との関係を示す説明図である。
図3(a)に示すように、ここでは、水晶部31に形成される金属パターンの幅を0.6mm、スロット線路の幅(パターン開口部)をWとして、共振周波数及び負荷Q値を計算した。
図3(b)に、スロット線路の幅W(mm)に応じた共振周波数(f0)及び負荷Q値(Ql)を示し、図3(c)にグラフを示す。
図3(b)(c)に示すように、W=0.1mmの場合には、f0=57.2GHz、Ql=34.2となり、基準型(f0=60.6GHz、Ql=48.1)に比べて共振周波数及び負荷Q値は小さいが、Wを大きくすると共振周波数及び負荷Q値も大きくなり、W=0.18mmとした場合には、図2に示した基準型より共振周波数及び負荷Q値は高くなる。
すなわち、スロット線路の幅Wを大きくすることにより、共振周波数及び負荷Q値を高くする(低下させない)ことができるものである。
[水晶部の寸法と導波管フィルタの特性:図4]
次に、水晶部31の寸法を調整した場合のシミュレーション結果について図4を用いて説明する。図4は、水晶部31の寸法Mと共振周波数及び負荷Q値との関係を示す特性図である。
図4(a)に示すように、ここでは、モデルとして、空気部32の端面の一辺の長さを0.6mmとし、水晶部31の端面の一辺の長さをMとして共振周波数及び負荷Q値を求めた。
図4(b)に、水晶部31の一辺の長さM(mm)に応じた共振周波数f0及び負荷Q値Qlを示し、図4(c)にグラフを示す。
図4(b)(c)に示すように、基準型となるM=0.6mmの場合には、f0=60.6GHz、Ql=48.1であり、Mを小さくすると、それに伴ってf0及びQlの値は高くなる。
M=0.4mmの場合には、f0=80.6GHz、Ql=99.5となる。
つまり、空気部32の大きさが等しければ、水晶部31の端面の寸法(大きさ、径)が小さいほどf0及びQlの値を高くすることが可能となる。
[スロット線路の長さと導波管フィルタの特性:図5]
次に、スロット線路の長さを調整した場合のシミュレーション結果について図5を用いて説明する。図5は、スロット線路の長さSと共振周波数及び負荷Q値との関係を示す説明図である。
図5(a)に示すように、スロット線路の長さをSとして、f0及びQl値を求めた。
図5(b)に、スロット線路の長さS(mm)に応じた共振周波数f0及び負荷Q値Qlを示し、図5(c)にグラフを示す。
図5(b)(c)に示すように、スロット線路の長さSを短くすると、f0は高くなるが、Qlが大幅に低下してしまうため、スロット線路の長さを短くすることは現実的ではない。
[各種条件の最適化]
上述したシミュレーションによれば、導体壁を設けない導波管フィルタにおいても、基準型と比べてスロット線路33の幅Wを大きくし、水晶部31の一辺の長さMを短くすることにより、共振周波数及び負荷Q値の低下を防ぐことができるものである。
すなわち、本導波管フィルタでは、スロット線路33の幅W及び水晶部31の一辺の長さMを調整して、最適な共振周波数及び負荷Q値が得られるWとMの組み合わせを決定する。
これにより、基準型の水晶導波管フィルタから、空気部32を囲む導体壁を取り除いた構成としても、スロット線路33の幅W及び水晶部31の端面の大きさを最適化することにより、良好な特性とすることができるものである。
[本水晶導波管フィルタの特性:図6]
次に、本導波管フィルタの特性例について図6を用いて説明する。図6は、本導波管フィルタの特性例を示す特性図であり、実線は通過特性、破線は反射特性を示している。
図6に示すように、本導波管フィルタの特性は図9に示した従来の導波管フィルタの特性と同程度となっており、良好な特性が得られていることが分かる。
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係る水晶導波管フィルタによれば、水晶部31と空気部32とが隣接して配置され、水晶部31のE面に、スロット線路と、入力ポート36と、出力ポート37とを備えた金属パターン33が形成された水晶導波管フィルタを基準の構成(基準型)として、基準型から空気部32を囲む導体壁を取り除き、基準型と比較して、スロット線路の幅を大きくすると共に、水晶部31の端面の大きさを小さくして、共振周波数及び負荷Q値の低下を防ぐようスロット線路の幅と水晶部31の端面の大きさが調整されるものであり、簡易な構成で組み立てを容易にし、コストを低減でき、スロット線路の幅と水晶部31の端面の大きさが最適化されることによって、良好な特性を実現することができる効果がある。
本発明は、簡易な構成で組み立てが容易であり、コストを低減でき、良好な特性が得られる水晶導波管フィルタに適している。
1...導波管フィルタ、 11,31...水晶部、 12...空洞部(空気部)、 13,33...金属パターン、 15...スロット線路、 16,36...入力ポート、 17,37...出力ポート、 21...基板、 22,23...電極、 24...導体壁、 32...空気部

Claims (5)

  1. 特定の周波数帯域を通過させる水晶導波管フィルタであって、
    方形の2つの端面と4つの長面とを備えた直方体の水晶基材から成る水晶部と、導体壁で囲まれ、前記水晶部に隣接した空気部とを備え、前記水晶部の、前記空気部に接し電界と平行な長面に、スロット線路と、入力ポートと、出力ポートのパターンが形成された水晶導波管フィルタを基準の構成として、
    前記基準の構成から前記空気部を囲む導体壁が取り除かれ、
    前記スロット線路の幅又は/及び前記水晶部の端面の大きさが、共振周波数及び負荷Q値が低下しないよう調整されることを特徴とする水晶導波管フィルタ。
  2. スロット線路の幅が基準の構成より大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の水晶導波管フィルタ。
  3. 水晶部の端面の大きさが基準の構成より小さく形成されていることを特徴とする請求項1記載の水晶導波管フィルタ。
  4. スロット線路の幅が基準の構成より大きく形成されると共に、水晶部の端面の大きさが前記基準の構成より小さく形成されていることを特徴とする請求項1記載の水晶導波管フィルタ。
  5. 水晶部の入力ポートと出力ポートは、コプレナ線路で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の水晶導波管フィルタ。
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WO2017219458A1 (zh) * 2016-06-23 2017-12-28 深圳市华讯方舟卫星通信有限公司 一种波导滤波器及Ka波段上变频器

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