JP2015191680A - 磁気記録媒体用結合剤およびその製造方法、磁気記録媒体用組成物、ならびに磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用結合剤およびその製造方法、磁気記録媒体用組成物、ならびに磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気記録媒体用結合剤として使用される塩化ビニル系樹脂であって、高硬度な塗膜を形成可能な塩化ビニル系樹脂を提供すること。【解決手段】ウレタン結合と、式(1):−S−A−Z[式(1)中、Aは活性水素基を1つ以上含んでもよい二価の連結基を表し、Zは活性水素基を表す]で表される一価の含硫黄置換基と、を含む側鎖を有する塩化ビニル系樹脂である磁気記録媒体用結合剤。

Description

本発明は、磁気記録媒体用結合剤およびその製造方法、上記磁気記録媒体用結合剤を含む磁気記録媒体用組成物、ならびに磁気記録媒体に関する。
塗布型磁気記録媒体(以下、単に「磁気記録媒体」とも記載する。)は、通常、強磁性粉末、非磁性粉末等とともに結合剤を含む塗料組成物を非磁性支持体上に直接または他の層を介して間接的に塗布し、必要に応じて加熱、光照射等の硬化処理を施し磁性層、非磁性層等を形成することにより作製される。
上記の塗料組成物に用いられる結合剤(磁気記録媒体用結合剤)は、磁気記録媒体の各種性能に重要な役割を果たしている。そのような磁気記録媒体用結合剤として、例えば特許文献1等には、塩化ビニル系樹脂が開示されている。
特開昭60−238306号公報
磁気記録媒体に求められる性質の1つとして、繰り返し走行に耐え得る高い走行耐久性を有することが挙げられる。そのためには、磁性層、非磁性層等の塗膜として高硬度な塗膜を形成することが有効である。この点に関し、塩化ビニル系樹脂は、硬い塗膜を形成可能な樹脂として知られている。
近年、磁気記録媒体の走行耐久性への要求は更に高まっており、磁性層、非磁性層等の塗膜として、より長時間の繰り返し走行においても損傷しにくい高硬度な塗膜を形成することが求められている。しかし、このような近年求められている高硬度塗膜としては、従来の塩化ビニル系樹脂から形成される塗膜の硬さは、必ずしも十分ではない。
そこで本発明の目的は、磁気記録媒体用結合剤として使用される塩化ビニル系樹脂であって、高硬度な塗膜を形成可能な塩化ビニル系樹脂を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、磁気記録媒体用結合剤として、ウレタン結合と、−S−A−Z(ここでAは活性水素含有基を1つ以上含んでもよい二価の連結基を表し、Zは活性水素基を表す。Sは硫黄原子である。)により表される一価の含硫黄置換基と、を含む側鎖を有する塩化ビニル系樹脂を見出すに至った。
上記磁気記録媒体用結合剤によれば、高硬度な塗膜、より詳しくは、高ヤング率および高い破断応力を示すことができる塗膜を形成することが可能となる。ここで破断応力とは、引張試験(詳細は後述する。)において塗膜が破断する際の応力であって、ヤング率とともにこの値が高い塗膜は、長時間の繰り返し走行において損傷しにくい高硬度塗膜と言える。
以下は本発明者による推測であって、本発明を何ら限定するものではないが、本発明者は、側鎖に導入したウレタン結合と上記の一価の含硫黄置換基が、塩化ビニル系樹脂から形成される塗膜の硬度向上に寄与しているのではないかと考えている。上記の一価の含硫黄置換基については、本発明者は、この置換基は、上記活性水素基と反応し得る官能基を有する硬化剤との反応性(架橋性)に優れると推察しており、これにより、かかる硬化剤との併用によっていっそう高硬度な塗膜の形成が可能になると考えている。
更に本発明者は、上記磁気記録媒体用結合剤は、マイケル付加を利用する以下の工程:
水酸基含有塩化ビニル系樹脂と、
イソシアネート基と、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれる不飽和結合含有基と、を有する不飽和結合含有化合物と、
を反応させることにより、上記塩化ビニル系樹脂が有する水酸基と上記不飽和結合含有化合物が有するイソシアネート基とによりウレタン結合を形成し、側鎖にウレタン結合および上記不飽和結合含有基を有する塩化ビニル系樹脂を得ること、
得られた塩化ビニル系樹脂と活性水素基を有するチオールとを溶媒中でマイケル付加反応に付すこと、
により得ることができることも、新たに見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、本発明の一態様は、
ウレタン結合と、
下記式(1):
−S−A−Z …(1)
で表される一価の含硫黄置換基と、
を含む側鎖を有する塩化ビニル系樹脂である磁気記録媒体用結合剤に関する。式(1)中、Aは活性水素基を1つ以上含んでもよい二価の連結基を表し、Zは活性水素基を表す。
一態様では、式(1)中、Aは、活性水素基の1つ以上によって置換されていてもよいアルキレン基を表す。
一態様では、活性水素基は、水酸基である。
一態様では、上記側鎖は、硫酸基、硫酸塩基、スルホン酸基およびスルホン酸塩基からなる群から選ばれる官能基を更に含む。
一態様では、上記塩化ビニル系樹脂は、エポキシ基含有側鎖を更に有する。
本発明の更なる態様は、
上記磁気記録媒体用結合剤の製造方法であって、
水酸基含有塩化ビニル系樹脂と、
イソシアネート基と、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれる不飽和結合含有基と、を有する不飽和結合含有化合物と、
を反応させることにより、上記塩化ビニル系樹脂が有する水酸基と上記不飽和結合含有化合物が有するイソシアネート基とによりウレタン結合を形成し、側鎖にウレタン結合および上記不飽和結合含有基を有する塩化ビニル系樹脂を得ること、
得られた塩化ビニル系樹脂と活性水素基を有するチオールとを溶媒中でマイケル付加反応に付すこと、
により、上記磁気記録媒体用結合剤を得る製造方法、
に関する。
一態様では、上記チオールが有する活性水素基は、水酸基である。
一態様では、マイケル付加反応は、塩基を含む溶媒中で行われる。
一態様では、上記塩基は、有機塩基である。
一態様では、上記溶媒は、ケトン系溶媒を含む。
本発明の更なる態様は、
上記磁気記録媒体用結合剤を含む磁気記録媒体用結合剤組成物、
に関する。
一態様では、上記磁気記録媒体用組成物は、上記磁気記録媒体用結合剤が有する活性水素基と架橋可能な架橋性基を有する硬化剤を更に含む。
一態様では、上記硬化剤は、ポリイソシアネートを含む。
本発明の更なる態様は、
非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
上記磁気記録媒体用結合剤およびこの結合剤が有する活性水素基と架橋可能な架橋性基を有する硬化剤との反応生成物からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含む層を有する磁気記録媒体、
に関する。
本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用結合剤によれば、高硬度な塗膜を形成することができる。かかる結合剤を用いることにより、高硬度な磁性層や非磁性層を形成することが可能となり、優れた走行耐久性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
[磁気記録媒体用結合剤]
本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用結合剤(以下、「結合剤」とも記載する。)は、ウレタン結合と、上記した式(1)で表される一価の含硫黄置換基と、を含む側鎖を有する塩化ビニル系樹脂である。磁気記録媒体用結合剤とは、塗布型磁気記録媒体を構成する磁性層、非磁性層等の各種塗膜の形成のために用いられる結合剤である。
以下、上記結合剤について、更に詳細に説明する。なお、本発明において、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。また、本発明において、「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
上記結合剤は塩化ビニル系樹脂であり、塩化ビニル由来の構造単位−CH2CHCl−を含む繰り返し単位を有する主鎖を有し、側鎖に、ウレタン結合(−O−C(=O)−NH−)および式(1):
−S−A−Z …(1)
で表される一価の含硫黄置換基を含む。先に記載した通り、本発明者は、上記塩化ビニル系樹脂が、ウレタン結合および式(1)で表される一価の含硫黄置換基を側鎖に含むことが、高硬度な塗膜の形成を可能にすることに寄与すると推察している。
式(1)中、Aは活性水素基を1つ以上含んでもよい二価の連結基を表し、Zは活性水素基を表す。本発明において活性水素基とは、この基に含まれる水素が脱離し他の官能基(架橋性基)と架橋構造を形成可能な官能基をいい、例えば、水酸基、一級アミノ基、二級アミノ基、チオール基、カルボキシル基等を挙げることができ、水酸基、一級アミノ基、二級アミノ基が好ましく、後述の上記結合剤を含む組成物の安定性の観点からは水酸基がより好ましい。
Aは、活性水素基を1つ以上含んでもよい二価の連結基を表す。Aで表される二価の連結基は、式(1)で表される一価の含硫黄置換基において、硫黄原子Sと活性水素基Zとを連結する連結基である。Aで表される二価の連結基としては、例えば、−CR12−(R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す)、−O−、−C(=O)−、の1つまたは2つ以上の組み合わせからなる二価の連結基を挙げることができる。ここで上記の一価の置換基とは、活性水素基、炭素数1〜3のアルキル基を挙げることができる。上記アルキル基は、後述する酸性基によって置換されていてもよい。
Aで表される二価の連結基は、好ましくは活性水素基、酸性基により置換されていてもよいアルキレン基であり、より好ましくは活性水素基、酸性基により置換されていてもよい炭素数2〜30のアルキレン基であり、更に好ましくは活性水素基、酸性基により置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基であり、いっそう好ましくは活性水素基により置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基である。アルキレン基を置換する活性水素基は、上述の通り、水酸基、一級アミノ基、二級アミノ基が好ましく、水酸基がより好ましい。また、Aで表される二価の連結基が活性水素基を含む場合、Aに含まれる活性水素基は、例えば1〜3つであり、1または2つであることが好ましい。一方、Aに含まれる酸性基は、例えば0または1つである。合成の容易性の観点からは、Aには酸性基が含まれないことが好ましい。
式(1)で表される一価の含硫黄置換基1つあたりに含まれる活性水素基は、1つ以上であり、好ましくは1〜3つであり、より好ましくは1または2つである。また、上記結合剤の式(1)で表される一価の含硫黄置換基に含まれる活性水素基の総数(側鎖が複数含まれる場合には、複数の側鎖に含まれる活性水素基の総数)は、下記式(A)により規定される活性水素基当量により表すことができる。
活性水素基当量=活性水素基価[mmol/kg]×重量平均分子量Mw/1000000 …(A)
活性水素基当量は、例えば1以上であり、好ましくは5以上である。また、活性水素基当量は、例えば200以下であり、100以下または50以下であってもよい。活性水素基価は、水酸基については後述の実施例に記載の方法により求められる水酸基価をいうものとする。また、水酸基以外の活性水素基についての活性水素基価も、水酸基価と同様に求めることができる。
上記側鎖において、式(1)で表される含硫黄置換基は、ウレタン結合と直接結合していてもよく、二価の連結基(以下において、「X1」と記載する。)を介して結合していてもよく、二価の連結基を介して結合していることが好ましい。二価の連結基X1は、例えば、−CR34−(R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す)、−O−、−C(=O)−、の1つまたは2つ以上の組み合わせからなる二価の連結基を挙げることができる。ここでR3、R4で表される一価の置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基を挙げることができる。上記アルキル基は、後述の酸性基によって置換されていてもよい。また、―(CH2)m−O−C(=O)−C=Cで表される一価の置換基を挙げることもできる。ここで、mは1以上の整数であり、好ましくは1〜6の範囲の整数であり、より好ましくは1〜3の範囲の整数であり、更に好ましくは1または2であり、いっそう好ましくは1である。なお、―(CH2)m−O−C(=O)−C=Cで表される一価の置換基は、後述する製造方法に用いられる不飽和結合含有化合物由来の基であることができる。X1として好ましい構造の一例としては、−(置換基を有していてもよいアルキレン基)−O−C(=O)−(置換基を有していてもよいアルキレン基)−、を挙げることができる。より好ましい構造としては、*−(置換基を有していてもよいアルキレン基)−O−C(=O)−(無置換アルキレン基)−、を挙げることができる。上記において、*はウレタン結合との結合位置を表す。また、上記構造における置換基を有していてもよいアルキレン基としては、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキレン基を挙げることができる。上記アルキレン基を置換する置換基としては、R3、R4について記載した通りである。
上記側鎖に含まれるウレタン結合は、少なくとも1つであり、2つ以上(例えば2〜5つ)であってもよく、好ましくは1つまたは2つであり、より好ましくは1つである。ウレタン結合が2つ以上含まれる場合、ウレタン結合間を連結する連結基としては、式(1)で表される含硫黄置換基とウレタン結合とを連結する二価の連結基として例示したものを挙げることができる。
上記側鎖は、ウレタン結合によって主鎖と結合していてもよく、ウレタン結合と主鎖との間に二価の連結基(以下において、「X2」と記載する。)が存在していてもよく、二価の連結基が存在していることが好ましい。二価の連結基X2としては、例えば、−CR56−(R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す)、−O−、−C(=O)−、の1つまたは2つ以上の組み合わせからなる二価の連結基を挙げることができる。R5、R6で表される一価の置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基を挙げることができる。上記アルキル基は、後述の酸性基によって置換されていてもよい。X2として好ましい構造の一例としては、*−C(=O)−O−(置換基を有していてもよいアルキレン基)−、*−O−(置換基を有していてもよいアルキレン基)−、を挙げることができる。ここで*は、主鎖との結合位置を表す。上記構造における置換基を有していてもよいアルキレン基としては、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキレン基を挙げることができる。上記アルキレン基を置換する置換基については、R5、R6について記載した通りである。
以上記載した上記側鎖の好ましい態様としては、
*−C(=O)−O−X2−O−C(=O)−NH−X1−S−A−Z
*−O−X2−O−C(=O)−NH−X1−S−A−Z
を挙げることができる。ここで*は、主鎖との結合位置を表す。
本発明の一態様にかかる結合剤は、上記側鎖を有する塩化ビニル系樹脂であればよく、上記側鎖以外の構造は、特に限定されるものではない。例えば、上記側鎖以外の構造としては、エポキシ基含有側鎖を挙げることができる。エポキシ基含有側鎖は、好ましくは、末端エポキシ基が二価の連結基により主鎖と結合する構造を有する。ここで二価の連結基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、−O−、またはこれらの2つまたは3つの組み合わせからなる二価の連結基、上記X1、X2として例示した二価の連結基を挙げることができる。特開昭60−238306号公報に記載されているように、エポキシ基を有することは、磁気記録媒体用結合剤として好ましい。上記結合剤の側鎖に含まれるエポキシ基の数は、好ましくは1分子あたり1〜40個程度である。
ところで磁気記録媒体用結合剤として、強磁性粉末、非磁性粉末等の粉末の粒子表面に吸着する性質を有する吸着官能基を有するものは、粉末の分散性向上の観点から好ましい。吸着官能基により粒子表面に吸着することにより粒子同士の凝集を抑制することができるためである。そのような吸着官能基としては、酸性基を挙げることができる。ここで酸性基とは、水中または水を含む溶媒(水性溶媒)中でH+を放出しアニオンに解離可能な基をいう。例えば、硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、それらの塩の形態等を挙げることができ、より一層の分散性向上の観点からは、硫酸基、スルホン酸基、およびそれらの塩の形態が好ましい。ここで硫酸基(−SO4H)の塩の形態とは、−SO4MにおいてMがアルカリ金属イオン等のカチオンを表す硫酸塩基を意味する。スルホン酸基(−SO3H)の塩の形態とは、−SO3MにおいてMがアルカリ金属イオン等のカチオンを表すスルホン酸塩基を意味する。その他の基の塩の形態についても、同様である。上記酸性基は、一態様では、ウレタン結合および式(1)で表される一価の含硫黄置換基を有する側鎖に含まれることが好ましい。上記側鎖1つあたりに含まれる酸性基の数は、例えば1〜3つである。
一般に、磁気記録媒体に用いられる結合剤の重量平均分子量としては、塗膜強度の観点からは10,000以上であることが好ましく、結合剤を含む塗布液の粘度を塗布に適した粘度に維持する観点からは200,000以下であることが好ましい。上記観点から、本発明の一態様にかかる結合剤である塩化ビニル系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜200,000の範囲であることが好ましく、10,000〜100,000であることがより好ましい。本発明における重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリスチレン換算で求められる値をいうものとする。
[磁気記録媒体用結合剤の製造方法]
以上説明した本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用結合剤は、
水酸基含有塩化ビニル系樹脂と、
イソシアネート基と、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれる不飽和結合含有基と、を有する不飽和結合含有化合物と、
を反応させることにより、上記塩化ビニル系樹脂が有する水酸基と上記不飽和結合含有化合物が有するイソシアネート基とによりウレタン結合を形成し、側鎖にウレタン結合および上記不飽和結合含有基を有する塩化ビニル系樹脂を得ること、
得られた塩化ビニル系樹脂と活性水素基を有するチオールとを溶媒中でマイケル付加反応に付すこと、
により得ることができる。
以下、上記製造方法について、更に詳細に説明する。ただし本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用結合剤は、上記製造方法により製造されるものに限定されるものではなく、上記側鎖を含むものであれば、いずれの製造方法により製造されたものであってもよい。
以下、水酸基含有塩化ビニル系樹脂と上記不飽和結合含有化合物との反応により、側鎖にウレタン結合および上記不飽和結合含有基を有する塩化ビニル系樹脂を得る工程をウレタン化工程といい、上記のマイケル付加反応を行う工程をマイケル付加反応工程という。また、以下では、上記の不飽和結合含有基を、「(メタ)アクリロイル(オキシ)基」とも記載する。
<ウレタン化工程>
ウレタン化工程では、塩化ビニル系樹脂が有する水酸基と不飽和結合含有化合物が有するイソシアネート基とが反応しウレタン結合が形成されることにより、側鎖にウレタン結合と上記不飽和結合含有基とを有する塩化ビニル系樹脂を得ることができる。ここで導入されたウレタン結合は、先に記載した側鎖に含まれるウレタン結合になるものである。即ち、本工程は、側鎖にウレタン結合を導入するための工程である。更に本工程において側鎖に導入される上記不飽和結合含有基が、その後に行われるマイケル付加反応工程において活性水素基を有するチオールと反応することにより、ウレタン結合を有する側鎖に、活性水素基を導入することができる。
ウレタン化工程で用いる水酸基含有塩化ビニル系樹脂は、公知の方法で合成することができ、市販品として入手することもできる。合成方法については、例えば、特開昭60−238306号公報等を参照できる。また、市販品としては、例えば日本ゼオン社製MR110、MR104、MR112、MR113、日信化学工業社製ソルバインA、ソルバインTAO、ソルバインMK6等を挙げることができる。これら市販品の中には、先に記載した酸性基を、水酸基を有する側鎖に含むものもある。このような側鎖を有する塩化ビニル系樹脂を合成原料として用いることにより、ウレタン結合と、式(1)で表される一価の含硫黄置換基とともに酸性基を含む側鎖を有する塩化ビニル系樹脂を得ることができる。上記製造方法では、水酸基含有塩化ビニル系樹脂が有する水酸基含有側鎖が、マイケル付加反応工程により先に記載した側鎖に転換される。したがって、水酸基含有塩化ビニル系樹脂としては、導入したい側鎖の数以上の水酸基含有側鎖を有するものを市販品から選択し、または公知の方法で合成して用いればよい。
上記のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル(オキシ)基とを有する不飽和結合含有化合物としては、一般に、放射線硬化性官能基を有する樹脂の合成において、放射線硬化性官能基導入成分として用いられる各種化合物を用いることができる。上記製造方法では、そのような化合物の中から、先に詳述した構造を有する側鎖を導入可能な構造を有する化合物を選択し、ウレタン化工程のために用いればよい。一例としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(BEI)等を挙げることができる。上記化合物は、公知の方法で合成可能であり、市販品として入手することもできる。
ウレタン化工程は、水酸基含有塩化ビニル系樹脂および不飽和結合含有化合物を溶媒(反応溶媒)に溶解し、必要に応じて、反応触媒を添加し、加熱、加圧、窒素置換等を行うことによって進行させることができる。または、乾燥空気中もしくは乾燥酸素雰囲気下で上記反応を行ってもよい。上記反応のための反応温度、反応時間等の反応条件としては、放射線硬化性官能基を有する樹脂の合成において一般的な反応条件を採用することができる。また、ウレタン化反応中に不飽和結合含有化合物の不飽和結合含有基が反応することを防ぐために、重合禁止剤の存在下でウレタン化工程を実施することもできる。重合禁止剤の一例としては、ベンゾキノン化合物、フェノチアジン化合物等を挙げることができるが、特に限定されるものではなく、各種重合禁止剤を使用することができる。
ウレタン化工程において使用可能な反応触媒としては、公知の反応触媒を使用することができ、例えばアミン触媒や有機スズ触媒、有機ビスマス触媒を例示できる。アミン触媒としては、ジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン、及び、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンを例示でき、有機スズ触媒としては、ジブチルスズジラウレート(ジラウリン酸ジブチル錫)、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジデカネート、ジオクチルスズジデカネートを例示できる。有機ビスマス触媒としてはビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)を例示できる。反応効率の点からは、有機スズ触媒を使用することが好ましい。触媒の添加量は、水酸基含有塩化ビニル系樹脂および不飽和結合含有化合物の合計量に対して、例えば0.00001〜5質量部、好ましくは0.00001〜1質量部、さらに好ましくは0.00001〜0.1質量部である。
反応溶媒は、放射線硬化性官能基を有する樹脂の合成において通常使用される公知の溶媒から選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、シクロヘキサンが挙げられる。
以上説明したウレタン化工程後、この工程により得られた側鎖にウレタン結合と上記不飽和結合含有基とを有する塩化ビニル系樹脂を反応溶液から公知の方法で回収し、マイケル付加反応工程に付してもよく、ウレタン化工程後の反応溶液をそのままマイケル付加反応工程に付してもよい。後者の態様は、工程の簡略化の観点から好ましい。
<マイケル付加反応工程>
マイケル付加反応とは、α,β−不飽和カルボニル化合物に対して求核剤が1,4−付加する反応のことをいう。以下に、ウレタン化工程によりメタクリロイルオキシ基を有する塩化ビニル系樹脂を得た態様を例にとって説明する。
下記反応式中、波線はポリウレタン主骨格を表し、Xは水酸基含有基を表す。
マイケル付加反応の一態様では、Z−A−SH(AおよびZは、式(1)と同義である。)で表されるチオールのプロトンを引き抜き(脱プロトン化)、Z−A−S-で表されるアニオンを発生させる。アニオンを発生させるためには、塩基を含む溶媒中でマイケル付加反応を行うことが好ましい。溶媒に含まれる塩基により脱プロトン化が起こり、Z−A−S-で表されるアニオンが発生するからである。そして発生したアニオンが求核剤として下記反応式の上段に示す塩化ビニル系樹脂に含まれるメタクリロイルオキシ基に1,4−付加することにより、下記反応式の下段に示すように、塩化ビニル系樹脂の側鎖に、式(1)(−S−A−Z)で表される一価の含硫黄置換基を付加させることができる。
Figure 2015191680
ただし、上記製造方法におけるマイケル付加反応は、塩基存在下で行われるものに限定されるものではない。収率の観点からは、塩基存在下でマイケル付加反応を行うことが好ましいが、塩基に代えて、マイケル付加反応に使用される公知の触媒を用いてマイケル付加反応を行うこともできる。
上記マイケル付加反応によれば、(メタ)アクリロイル(オキシ)基の位置に式(1)で表される一価の含硫黄置換基を導入することができる。ただし、マイケル付加反応において塩化ビニル系樹脂が有する(メタ)アクリロイル(オキシ)基がすべて上記チオールと反応することは必須ではなく、一部が未反応のまま、本発明の一態様にかかる結合剤に含まれていてもよい。
マイケル付加反応工程で用いるチオールとしては、Z−A−SH(AおよびZは、式(1)と同義である。)で表されるものを、公知の方法で合成し、または市販品として入手し用いればよい、上記チオールのZに含まれ、Aに含まれ得る活性水素基については、先に記載した通りであり、水酸基、一級アミノ基、二級アミノ基が好ましく、水酸基がより好ましい。上記チオールに含まれるチオール基は、一分子中に1つであることが好ましい。
マイケル付加反応は、ウレタン化工程で得られた塩化ビニル系樹脂を含む溶液に、上記チオールを添加し混合し、必要に応じて反応触媒も添加し混合することにより、進行させることができる。上記溶液としては、好ましくは、ウレタン化工程後に得られた反応溶液の一部または全部を用いることができる。
前述のように、塩基を含む溶媒を用いることによって、塩基によりチオールを脱プロトン化しマイケル付加反応を良好に進行させることができる。塩基としては、有機または無機の塩基を使用することができる。溶剤溶解性の観点からは、有機塩基を使用することが好ましい。有機塩基としては、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン、ピコリン等を使用することができる。反応速度を高めるためには強塩基を使用することが望ましく、塩基強度pKbが6.50〜13.0の範囲の塩基を使用することが好ましい。なお本発明における塩基強度とは、以下の方法によって測定される値をいうものとする。
試料50mgを水20ml、テトラヒドロフラン30mlの混合液に溶解させる。三菱化学アナリテック社製GT−100Win型自動滴定装置を用いて、0.1N−HCl(和光純薬)を滴下し、中和滴定を行う。中和点までに滴下した量の半分の滴下量に相当するpHを読み取り、このpHを塩基強度(pKb)とする。塩基の使用量は、チオールを脱プロトン化し得る量とすればよく、例えばチオール100質量部に対して0.001〜100質量部程度とすることができる。
有機溶媒としては、使用するチオールが良好な溶解性を示すものを選択して使用することが好ましい。例えば、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。チオールは、一般にケトン系溶媒に対して良好な溶解性を発揮することができるため、全溶媒に対してケトン系溶媒を60質量%以上含むものを用いることが好ましく、100%ケトン系溶媒を使用することも可能である。また、マイケル付加反応工程後の反応溶液をそのまま、または硬化剤等の他の成分を添加し塗膜を形成する場合には、上記溶媒は比較的低沸点で揮発しやすい溶媒が好ましい。ケトン系溶媒は、この点からも好ましい溶媒である。このためには、ウレタン化工程もケトン系溶媒を用いて行い、ウレタン化工程後に得られた反応溶液を、マイケル付加反応工程に付すことが好ましい。
溶媒中の塩化ビニル系樹脂量は、溶媒100質量部に対して例えば1〜40質量部とすることができる。一方、チオール量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、例えば0.2〜20質量部使用することができる。反応条件は、通常のマイケル付加反応と同様とすることができ、例えば、反応温度は20〜90℃、反応時間は10分〜10時間であり、反応は大気圧下で行うことができる。
以上説明したマイケル付加反応工程を行うことにより、ウレタン結合を有する側鎖に式(1)で表される1価の含硫黄置換基を導入することができる。
上記マイケル付加反応工程後に得られた反応溶液には、先に詳述した磁気記録媒体用結合剤である塩化ビニル系樹脂が含まれている。かかる塩化ビニル系樹脂は、公知の方法で反応溶液から回収し磁気記録媒体用結合剤として用いてもよく、反応溶液をそのまま、または溶媒、強磁性粉末、非磁性粉末、添加剤等の各種成分を添加し磁気記録媒体用組成物としてもよい。以下に、そのような磁気記録媒体用組成物について説明する。
[磁気記録媒体用組成物]
本発明の一態様は、上記磁気記録媒体用結合剤を含む磁気記録媒体用組成物(以下、「組成物」とも記載する。)に関する。
上記組成物に含まれる磁気記録媒体用結合剤は、先に記載したように、ウレタン結合および活性水素基を、式(1)で表される一価の含硫黄置換基に含む。このような構造を有することは、磁気記録媒体に含まれる塗膜(磁性層、非磁性層等)の硬度向上に寄与すると、本発明者は推察している。
好ましい一態様では、上記組成物は、上記結合剤が有する活性水素基と架橋可能な架橋性基を有する硬化剤を含む。硬化剤は、一種のみ用いてもよく、二種以上の異なる硬化剤を併用してもよい。上記架橋性基としては、イソシアネート基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、−C(=O)−O−C(=O)−で表される部分構造を有する環状基等を挙げることができる。上記結合剤が、式(1)で表される一価の含硫黄置換基に活性水素基を含むことが、硬化剤との反応性(架橋性)を高めることに寄与すると、本発明者は推察している。上記結合剤と硬化剤との反応は、通常、磁気記録媒体の製造工程において行われる加熱処理において進行させることができる。上記磁気記録媒体用結合剤との併用により、より高硬度の塗膜の形成を可能とする観点からは、架橋性基としては、イソシアネート基が好ましい。したがって、硬化剤としてはイソシアネート化合物が好ましく、2つ以上のイソシアネート基を有する2官能以上のイソシアネート化合物(ポリイソシアネート)がより好ましい。
上記ポリイソシアネートとしては、2官能以上のイソシアネート化合物、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を2官能以上のポリイソシアネートを使用することができる。これらは公知の方法で合成することができ、また市販品として入手可能である。より高硬度な塗膜形成の観点からは、ポリイソシアネートとして3官能以上のポリイソシアネートを使用することが好ましい。3官能以上のポリイソシアネートの具体例としては、トリメチロールプロパン(TMP)にTDI(トリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにIPDI(イソホロンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにXDI(キシリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、などアダクト型ポリイソシアネート化合物、TDIの縮合イソシアヌレート型3量体、TDIの縮合イソシアヌレート5量体、TDIの縮合イソシアヌレート7量体、およびこれらの混合物。HDIのイソシアヌレート型縮合物、IPDIのイソシアヌレート型縮合物、さらにクルードMDIなどを挙げることができる。また、形成される塗膜強度の観点から本発明の水酸基含有ポリウレタン樹脂との併用が好ましいポリイソシアネートとしては、環状構造を有するポリイソシアネートを挙げることもできる。含まれる環状構造は、非芳香族性の飽和または不飽和の炭素環またはヘテロ環であってもよく、芳香族の炭素環またはヘテロ環であってもよい。硬化剤の使用量は、上記結合剤100質量部に対して、例えば5〜80質量部とすることができる。また、上記結合剤は、磁気記録媒体の磁性層、非磁性層等の塗膜を形成するための塗布液における含有量として、強磁性粉末、非磁性粉末等の粉末100質量部に対して5〜50質量部の範囲で使用することが好ましい。
上記組成物は、更に、磁気記録媒体の磁性層、非磁性層等の各種塗膜を形成するための塗布液に通常使用される成分、例えば、強磁性粉末、非磁性粉末、添加剤、溶媒等を任意に含むことができる。または、そのような成分を添加した後に、上記の各種塗膜を形成するための塗布液として用いることもできる。溶媒としては、先に反応溶媒として使用可能な溶媒として例示した各種溶媒を用いることができる。その他、塗布型磁気記録媒体に通常使用される各種添加剤を、何ら制限なく使用することができる。
[磁気記録媒体]
本発明の更なる態様は、非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、上記磁気記録媒体用結合剤およびこの結合剤が有する活性水素基と架橋可能な架橋性基を有する硬化剤との反応生成物からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含む層を有する磁気記録媒体に関する。上記成分を含む層は、本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用組成物をそのまま塗布液として、または先に記載した成分を添加して調製した塗布液を用いて、形成することができる。硬化剤を併用することにより、上記の反応生成物を含む層を得ることができる。このような反応生成物を含む層は、より高い硬度を示すことができるため好ましい。
上記成分を含む層は、一態様では、磁性層である。また他の一態様では、非磁性支持体と磁性層との間に設けられた非磁性層であることもできる。また、更に他の一態様では、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面側に設けられるバックコート層であることもできる。例えば磁性層として上記成分を含む層を設けることにより、磁気ヘッドと磁性層との接触摺動に長期間耐え得る高い耐久性を有する、バックアップテープとして好適な磁気記録媒体を提供することが可能となる。
本発明の一態様にかかる磁気記録媒体については、上記成分を含む層を少なくとも一層有する点以外は、塗布型磁気記録媒体に関する公知技術を何ら制限なく適用することができる。例えば、磁性層については特開2011−216179号公報段落0018〜0027、非磁性層については同公報段落0028〜0176、非磁性支持体、バックコート層、層構成、製造方法その他詳細については、同公報段落0177〜0187、ならびに同公報の実施例の記載を参照できる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に記載の「部」、「%」は、「質量部」、「質量%」を示す。
[実施例1−1]
1.ウレタン化工程
水酸基含有塩化ビニル系樹脂として、日本ゼオン社製塩化ビニル系樹脂(MR104)を用いた。上記塩化ビニル系樹脂は、下記構造単位を含む塩化ビニル系樹脂である。
Figure 2015191680
反応容器に、上記水酸基含有塩化ビニル系樹脂249.6g、シクロヘキサノン582.4gを秤量し、液温60℃、攪拌速度210rpmの条件にて混合した。液温を40〜50℃にし、重合禁止剤として1,4−ベンゾキノン0.5g(4.464mmol)、反応触媒としてジラウリン酸ジブチル錫0.125gを添加し、溶解させた。
次いで、上記反応容器内の反応溶液へイソシアネート基とメタクリロイルオキシ基を有する不飽和結合含有化合物(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI))13.75g(0.04mol)を30分かけて滴下し、滴下終了後、40℃で2時間攪拌し、塩化ビニル系樹脂溶液Aを得た。
以上の工程により、上記構造単位(b)、(d)、(e)を、下記構造単位(b)−1、(d)−1、(e)−1に転換することができる。
Figure 2015191680
2.マイケル付加反応工程
上記1.で得た塩化ビニル系樹脂溶液A(846.4g)の液温を50℃に昇温し、反応触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU) 0.125g、活性水素基(水酸基)を有するチオールとして1−チオグリセロール(ATG)9.58gを添加して混合しマイケル付加反応に付し、塩化ビニル系樹脂溶液Bを得た。
以上の工程により、上記構造単位(b)−1、(d)−1、(e)−1を、下記構造単位(b)−2、(d)−2、(e)−2に転換することができる。
Figure 2015191680
3.重量平均分子量の測定
上記2.で得た塩化ビニル系樹脂溶液Bに含まれる塩化ビニル系樹脂の重量平均分子量を、0.3%の臭化リチウムを含有するDMF溶媒を用いてGPCを使用し、標準ポリスチレン換算で求めたところ、5.5万であった。
4.未反応ATGの有無の確認
塩化ビニル系樹脂溶液Bを一部採取し、下記分析条件によりガスクロマトグラフィーによる分析に付し未反応ATGの有無を確認したところ、未検出であった。
(ガスクロマトグラフィー分析条件)
装置:島津社製GC−17A
カラム:DB−1
カラム温度:50℃
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
カラム昇温プログラム:50℃/5分→10℃/1分で250℃に昇温→250℃/10分
5.水酸基当量の算出
上記塩化ビニル系樹脂溶液Bに含まれる塩化ビニル系樹脂の水酸基当量を、下記方法により求めたところ、36であった。
塩化ビニル系樹脂の固形分が1質量部になるように塩化ビニル系樹脂溶液を3つ口フラスコに精秤し、無水酢酸0.25質量部、ピリジン4.75質量部を加えて50℃で1時間反応を行った。その後、イオン交換水10質量部を添加し、10分攪拌した後に2−ブタノール10質量部を添加した。得られた溶液を0.5N−KOH/EtOH溶液で滴定し滴定終点を求めた。
塩化ビニル系樹脂溶液を秤量しなかった点以外は同様の方法で空試験を行った。
下記式により求めた水酸基価から、先に記載した式(A)により水酸基当量を求めた。
水酸基価=(空試験における0.5N−KOH/EtOH滴下量−塩化ビニル系樹脂溶液の0.5N−KOH/EtOH滴下量)×5000
6.マイケル付加反応により導入された水酸基個数の算出
上記マイケル付加反応により塩化ビニル系樹脂に導入された水酸基数を以下の方法により算出したところ、1分子あたり37個であった(未反応ATGが検出されなかったため、反応率100%として下記算出方法により算出した)。
(導入された水酸基個数の算出方法)
導入された水酸基個数=マイケル付加反応工程で用いたチオール量(mmol)×反応率(%)×チオールが1分子中に有する水酸基個数(個)÷マイケル付加反応工程に付した塩化ビニル系樹脂の固形質量(g)×重量平均分子量÷100000
(マイケル付加反応工程に付した塩化ビニル系樹脂の固形質量計算方法)
塩化ビニル系樹脂の固形質量(g)=ウレタン化工程に付した水酸基含有塩化ビニル系樹脂の質量(g)+ウレタン化工程に付した不飽和結合含有化合物の質量(g)
[実施例1−2]
1.ウレタン化工程
水酸基含有塩化ビニル系樹脂として、日本ゼオン社製塩化ビニル系樹脂(MR104)を用いた。反応容器に、上記水酸基含有塩化ビニル系樹脂249.6g、シクロヘキサノン582.4gを秤量し、液温60℃、攪拌速度210rpmの条件にて混合した。液温を40〜50℃にし、重合禁止剤としてフェノチアジン0.2g(1.00mmol)、反応触媒としてジラウリン酸ジブチル錫0.125gを添加し、溶解させた。
次いで、上記反応容器内の反応溶液へイソシアネート基とアクリロイルオキシ基を有する不飽和結合含有化合物(1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズBEI)10.56g(0.04mol)を30分かけて滴下し、滴下終了後、50℃で2時間攪拌し、塩化ビニル系樹脂溶液Cを得た。
以上の工程により、上記構造単位(b)、(d)、(e)を、下記構造単位(b)−11、(d)−11、(e)−11に転換することができる。
Figure 2015191680
2.マイケル付加反応工程
上記1.で得た塩化ビニル系樹脂溶液Cを用いた点、およびATG使用量を4.79gに変更した点以外、合成例1のマイケル付加反応工程と同様の方法で、塩化ビニル系樹脂溶液Dを得た。その後、実施例1−1と同様に、各種測定および算出を行った。
以上の工程により、上記構造単位(b)−11、(d)−11、(e)−11を、例えば、下記構造単位(b)−12、(d)−12、(e)−12に転換することができる。なお下記構造単位(b)−12、(d)−12、(e)−12は、構造単位(b)−11、(d)−11、(e)−11に、それぞれ2つ含まれていた不飽和結合の一方にマイケル付加反応に供された構造であるが、両方がマイケル付加反応に供された構造も含まれ得る。
Figure 2015191680
[実施例1−3]
マイケル付加反応工程におけるATG使用量を2.40gに変更した点以外は実施例1−1と同様の方法で、塩化ビニル系樹脂溶液を得た。その後、実施例1−1と同様に、各種測定および算出を行った。
[実施例1−4]
マイケル付加反応工程を、以下の方法により行った。
実施例1−2のウレタン化工程で得た塩化ビニル系樹脂溶液C842.9gを液温50℃に昇温し、反応触媒としてDBU 0.125g、活性水素基(水酸基)を有するチオールとして3−メルカプト−1−プロパノール(3MP)2.38gを添加して混合しマイケル付加反応に付し、塩化ビニル系樹脂溶液を得た。
その後、実施例1−1と同様に、各種測定および算出を行った。なお未反応3MPの有無を、未反応ATGの確認と同様の方法で確認したところ、未検出であった。
以上の工程により、上記構造単位(b)−11、(d)−11、(e)−11を、例えば下記構造単位(b)−13、(d)−13、(e)−13に転換することができる。なお下記構造単位(b)−13、(d)−13、(e)−13は、構造単位(b)−11、(d)−11、(e)−11に、それぞれ2つ含まれていた不飽和結合の一方にマイケル付加反応に供された構造であるが、両方がマイケル付加反応に供された構造も含まれ得る。
Figure 2015191680
[実施例1−5]
マイケル付加反応工程を、以下の方法により行った。
実施例1−2のウレタン化工程で得た塩化ビニル系樹脂溶液C842.9gを液温50℃に昇温し、反応触媒としてDBU 0.125g、活性水素基(水酸基)を有するチオールとして6−メルカプト−1−ヘキサノール(6MH)3.38gを添加して混合しマイケル付加反応に付し、塩化ビニル系樹脂溶液を得た。
その後、実施例1−1と同様に、各種測定および算出を行った。なお未反応6MHの有無を、未反応ATGの確認と同様の方法で確認したところ、未検出であった。
以上の工程により、上記構造単位(b)−11、(d)−11、(e)−11を、例えば下記構造単位(b)−14、(d)−14、(e)−14に転換することができる。なお下記構造単位(b)−14、(d)−14、(e)−14は、構造単位(b)−11、(d)−11、(e)−11に、それぞれ2つ含まれていた不飽和結合の一方にマイケル付加反応に供された構造であるが、両方がマイケル付加反応に供された構造も含まれ得る。
Figure 2015191680
上記実施例で用いたチオールの構造を、以下に示す。
Figure 2015191680
Figure 2015191680
Figure 2015191680
以上の結果を、下記表1に示す。
Figure 2015191680
[実施例2−1]
1.樹脂フィルムの作製
実施例1−1で得た塩化ビニル系樹脂溶液3.0g(固形分質量0.96g)、ポリイソシアネート溶液0.28g(日本ポリウレタン社製コロネート3041(イソシアネート基含有率8.7%、固形分質量0.14g)、シクロヘキサノン1.12gを混合し固形分濃度25%の溶液を作製した。
作製した溶液を、300μmのギャップを持つドクターブレードを用いて、ベースフィルム(東レ社製トレリナ(登録商標)50−3000)に塗布し、100℃/常圧/1時間、次いで、140℃/常圧/3時間、次いで、100℃/常圧/48時間乾燥させた後、塗膜をベースフィルムから剥離し、樹脂フィルムを得た。
上記の塩化ビニル系樹脂溶液の固形分質量は、以下の方法により測定した固形分濃度から求めた。ポリイソシアネート溶液の固形分質量も同様に求めた。
(固形分濃度測定方法)
塩化ビニル系樹脂溶液1質量部をアルミカップに測り取った。40℃/大気圧/1時間の条件で第1乾燥を行い、更に、140℃/真空/3時間の条件で第2乾燥を行った。第2乾燥後のアルミカップを27℃/相対湿度50%の環境下で30分放置し、天秤にて質量を測定した。
乾燥後にアルミカップに残った塩化ビニル系樹脂質量を1質量部で割った値に100をかけたものを固形分濃度(質量%)とした。
2.破断応力、ヤング率の測定
上記1.得た樹脂フィルムから1.0cm×5cmのサイズの試料を、株式会社東洋精機製作所社製ストログラフVシリーズ(型式:V1−C)を用いて、荷重レンジ2.5kgf、速度50mm/minの条件にて破断応力および伸び率を測定した。ヤング率は、伸び率0〜0.5%におけるストログラフ曲線の傾きから算出した。破断応力は76MPa、ヤング率は2.8GPaであった。
3.架橋点個数の算出
樹脂フィルム作製に用いた溶液は、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基が、塩化ビニル系樹脂の側鎖に導入された水酸基よりも過少であるため、イソシアネート基と水酸基との架橋点の個数を、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基の数として下記方法により求めた。
(塩化ビニル系樹脂1分子中の架橋点個数)=A÷B
A=ポリイソシアネート中に含まれるイソシアネート基のモル数(mol)=ポリイソシアネート固形質量(g)×イソシアネート基含有率(%)÷100÷42
B=塩化ビニル系樹脂のモル数(mol)=塩化ビニル系樹脂の質量÷塩化ビニル系樹脂の重量平均分子量Mw
[実施例2−2]
実施例1−2で得た塩化ビニル系樹脂溶液3.0g(固形分質量0.94g)、ポリイソシアネート溶液0.18g(日本ポリウレタン社製コロネート3041、固形分質量0.10g)、シクロヘキサノン0.98gを混合し固形分濃度25%の溶液を作製した。
その他は実施例2−1と同様に行った。
[実施例2−3]
実施例1−2で得た塩化ビニル系樹脂溶液3.0g(固形分質量0.94g)、ポリイソシアネート溶液0.18g(日本ポリウレタン社製コロネート3041 固形分質量0.19g)、シクロヘキサノン1.18gを混合し固形分濃度25%の溶液を作製した。
その他は実施例2−1と同様に行った。
[実施例2−4]
実施例1−2で得た塩化ビニル系樹脂溶液3.0g(固形分質量0.94g)、ポリイソシアネート溶液0.55g(日本ポリウレタン社製コロネート3041 固形分質量0.29g)、シクロヘキサノン1.38gを混合し固形分濃度25%の溶液を作製した。
その他は実施例2−1と同様に行った。
[実施例2−5]
実施例1−3で得た塩化ビニル系樹脂溶液3.0g(固形分質量0.94g)、ポリイソシアネート溶液0.18g(日本ポリウレタン社製コロネート3041 固形分質量0.10g)、シクロヘキサノン0.95gを混合し固形分濃度25%の溶液を作製した。
その他は実施例2−1と同様に行った。
[実施例2−6]
実施例1−4で得た塩化ビニル系樹脂溶液3.0g(固形分質量0.89g)、ポリイソシアネート溶液0.28g(日本ポリウレタン社製コロネート3041、固形分質量0.14g)、シクロヘキサノン0.87gを混合し固形分濃度25%の溶液を作製した。
その他は実施例2−1と同様に行った。
[実施例2−7]
実施例1−5で得た塩化ビニル系樹脂溶液3.0g(固形分質量0.90g)、ポリイソシアネート溶液0.28g(日本ポリウレタン社製コロネート3041 固形分質量0.14g)、シクロヘキサノン0.88gを混合し固形分濃度25%の溶液を作製した。
その他は実施例2−1と同様に行った。
[実施例2−8]
実施例1−4で得た塩化ビニル系樹脂溶液3.0g(固形分質量0.89g)をシクロヘキサノン0.56gを混合し固形分濃度25%の溶液を作製した。
その他は実施例2−1と同様に行った。
[比較例1]
塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン社製MR104)1.0gをシクロヘキサノン3.3gに完溶させ、ポリイソシアネート溶液0.29g(日本ポリウレタン社製コロネート3041、固形分質量0.15g)を混合し固形分濃度25%の溶液を作製した。
その他は実施例2−1と同様に行った。
[比較例2]
塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン社製MR104)1.0gをシクロヘキサノン3.0gに完溶させた樹脂溶液を用いて、実施例2−1と同様の方法で樹脂フィルムを作製した。
その他は実施例2−1と同様に行った。
以上の結果を、表2に示す。
Figure 2015191680
Figure 2015191680
評価結果
表2に示す結果から、実施例で作製した樹脂フィルムは、比較例で作製した樹脂フィルムに対して、破断応力、ヤング率がともに向上していることが確認できる。中でも、硬化剤(ポリイソシアネート)を併用して作製した実施例2−1〜2−7の樹脂フィルムにおいて、破断応力、ヤング率の向上が顕著であった。例えば実施例2−1と比較例1とを対比すると、架橋点個数(樹脂フィルム作製に用いたポリイソシアネートがすべて架橋した場合に形成される架橋点の個数)は同じ値であるにもかかわらず、実施例2−1は比較例1と比べ破断応力およびヤング率が向上している。以下は推察であるが、ウレタン結合と式(1)で表される一価の含硫黄置換基を含む側鎖を有する塩化ビニル系樹脂は硬化剤との反応性(架橋性)に優れ、これにより実施例2−1で作製した樹脂フィルムには、比較例1で作製した樹脂フィルムより多くの架橋構造が含まれていると考えられる。このことが、破断応力およびヤング率向上に寄与していると、本発明者は推察している。
以上の結果から、ウレタン結合と式(1)で表される一価の含硫黄置換基を含む側鎖を有する塩化ビニル系樹脂によれば、高硬度な塗膜の形成が可能になることが確認された。このような塩化ビニル系樹脂を磁気記録媒体用結合剤として用いることにより、高硬度な塗膜(磁性層、非磁性層等)を有する走行耐久性に優れた磁気記録媒体を形成することができる。
本発明は、磁気記録媒体の製造分野、例えば、繰り返し走行耐久性が求められるバックアップテープの製造分野において有用である。

Claims (14)

  1. ウレタン結合と、
    下記式(1):
    −S−A−Z …(1)
    で表される一価の含硫黄置換基と、ここで式(1)中、Aは活性水素基を1つ以上含んでもよい二価の連結基を表し、Zは活性水素基を表す、
    を含む側鎖を有する塩化ビニル系樹脂である磁気記録媒体用結合剤。
  2. 前記式(1)中、Aは、活性水素基の1つ以上によって置換されていてもよいアルキレン基を表す請求項1に記載の磁気記録媒体用結合剤。
  3. 前記活性水素基は、水酸基である請求項1または2に記載の磁気記録媒体用結合剤。
  4. 前記側鎖は、硫酸基、硫酸塩基、スルホン酸基およびスルホン酸塩基からなる群から選ばれる官能基を更に含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤。
  5. 前記塩化ビニル系樹脂は、エポキシ基含有側鎖を更に有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤の製造方法であって、
    水酸基含有塩化ビニル系樹脂と、
    イソシアネート基と、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれる不飽和結合含有基と、を有する不飽和結合含有化合物と、
    を反応させることにより、前記塩化ビニル系樹脂が有する水酸基と前記不飽和結合含有化合物が有するイソシアネート基とによりウレタン結合を形成し、側鎖にウレタン結合および前記不飽和結合含有基を有する塩化ビニル系樹脂を得ること、
    得られた塩化ビニル系樹脂と活性水素基を有するチオールとを溶媒中でマイケル付加反応に付すこと、
    により、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤を得る、前記製造方法。
  7. 前記活性水素基は、水酸基である請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記マイケル付加反応を、塩基を含む溶媒中で行う請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 前記塩基は、有機塩基である請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記溶媒は、ケトン系溶媒を含む請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤を含む磁気記録媒体用組成物。
  12. 前記磁気記録媒体用結合剤が有する活性水素基と架橋可能な架橋性基を有する硬化剤を更に含む請求項11に記載の磁気記録媒体用組成物。
  13. 前記硬化剤は、ポリイソシアネートを含む請求項12に記載の磁気記録媒体用組成物。
  14. 非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤および該結合剤が有する活性水素基と架橋可能な架橋性基を有する硬化剤との反応生成物からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含む層を有する磁気記録媒体。
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