JP2015191237A - コンパクトな変形レトロフォーカスタイプの広角レンズ - Google Patents

コンパクトな変形レトロフォーカスタイプの広角レンズ Download PDF

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Abstract

【課題】像面湾曲と横方向色収差を十分に排除し、焦点合わせの際の大きな収差と結像品質の悪化を回避したレトロフォーカスタイプの広角レンズを提供する。【解決手段】焦点合わせの間、一定の全長をもつコンパクトな変形レトロフォーカスタイプの広角レンズであって、撮影対象から見て定置にある正の屈折力の前群G1と、撮像面IMの側にある正の屈折力の後群G2とを有し、前群G1と後群G2との間には、位置固定で配置された開口絞りAPを備えており、この際、後群G2は、光軸線に沿って摺動可能な第1部分後群G2aと、撮像面IMに対して定置にある第2部分後群G2bとから構成され、更にこの際、第1部分後群G2a及び第2部分後群G2bは、正の屈折力を有し、無限遠から近距離範囲への焦点合わせの間、第1部分後群G2aと前群G1との間の間隔が減少される。【選択図】図1

Description

(関連出願の記載)
本出願は、2014年3月28日出願のドイツ特許出願第 10 2014 104 457.6 号の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は、引用をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、請求項1の上位概念の特徴を有する、変形レトロフォーカスタイプのコンパクトな写真撮影用の広角レンズに関する。即ち本発明は、一定の全長をもつコンパクトな変形レトロフォーカスタイプの広角レンズに関し、特に、撮影対象から見て定置にある正の又は負の屈折力の前群と、撮像面の側にある正の屈折力の後群と、前記前群と前記後群との間に位置固定で配置された開口絞りとを有し、前記後群は、前記開口絞りの側にあり且つ焦点合わせのために光軸線に沿って摺動可能な第1部分後群と、前記撮像面に対して定置にある第2部分後群とから構成される形式の広角レンズに関する。通常、レトロフォーカスタイプのレンズは、例えばレフレックスカメラにおいて撮像面に対して比較的大きなバックフォーカスをもつものとして知られている。変形レトロフォーカスタイプとの表現において変形(abgewandelt)とは、バックフォーカスを短くするということにあり、それによりミラーのないカメラにもレンズが適することなる。
下記特許文献1から、一定の全長をもつ上記形式の広角レンズが公知であり、該広角レンズは、撮影対象から見て定置にある正の屈折力の前群を有する。正の屈折力の第1部分後群は、焦点合わせの目的で摺動可能であり、同様に正の屈折力の第2部分後群は定置で構成されている。前群と第1部分後群との間には、開口絞りが配置されている。
下記特許文献2から、全焦点合わせ距離にわたり全長が変化しない写真レンズが公知である。この写真レンズは、光方向において撮影対象側から見て、正の全屈折力の第1レンズ群を有し、該第1レンズ群は、負のレンズを含んでいる。光方向で見て第2レンズ群と第3レンズ群は、各々、負の屈折力の接合レンズから構成され、第4レンズ群は、正の屈折力を有する。第2と第3のレンズ要素は、焦点合わせのために摺動可能に備えられている。
下記特許文献3から、前側レンズ群が正の屈折力を有し、中間レンズ群が負の屈折力を有し、後側レンズ群が正の屈折力を有する望遠レンズが公知である。中間レンズ群は、2つの下位群に分割されており、この際、望遠レンズの焦点合わせは、両方の下位群の間の間隔の変更のもと、撮像面に向かう両方の下位群の運動により行われる。
US 2013/0162886 A1 US 5,909,319 A DE 33 45 987 A1
レトロフォーカスタイプの写真レンズは、通常、撮影対象から見て、負の屈折力の前側レンズ群(前群)と正の屈折力の後側レンズ群(後群)とを有する。レトロフォーカスタイプの写真レンズは、逆望遠レンズタイプとも称される。これらの写真レンズにおいては、入射する光束の口径を制限するために開口絞りが通常は前群と後群との間か又は後群の中に配置されている。この種の写真レンズにおいては、通常、開口絞りの後方に配置された全レンズ群(後群)が光軸線に対して軸方向に摺動される。焦点合わせのために運動すべきそのようなレンズ群の重量は大きく、例えば自動焦点(オートフォーカス)の目的のためには動きが鈍すぎる。またそのような写真レンズにおいて自動焦点の目的のために必要な強力なモータ機構は、大きな騒音発生と大きな電力消費をもたらしてしまう。それに加え、レトロフォーカスレンズにおけるこの種の焦点合わせは、非点差や横方向色収差や像面湾曲などの画像誤差を焦点合わせ中に増加ないし変化させることになる。従って特に近距離範囲における写真レンズの補正状態は不十分である。
これらの写真レンズの更なる問題点は、焦点合わせ距離の長さが、多くの場合、例えば自動焦点の目的のために必要であるような高速の焦点合わせには適していないということである。
本発明の主たる課題は、レトロフォーカスタイプの写真レンズにおいて既知の像面湾曲と横方向色収差を十分に排除し、焦点合わせの際の大きな収差と結像品質の悪化を回避することである。
本発明の更なる課題は、大きな口径と、コンパクトな構造と、最大の結像能力と、全距離設定範囲にわたるが特にほぼ0.3mの撮影対象距離に至るまでの近距離範囲においてできるだけ均一となる写真レンズの補正状態とを保証し、それと同時に自動焦点の目的のための適合性を改善することである。
前記課題は、冒頭に記載した形式の写真レンズにおいて、請求項1に記載した特徴により解決される。
即ち本発明の一視点により、一定の全長をもつコンパクトな変形レトロフォーカスタイプの広角レンズであって、撮影対象から見て定置にある正の又は負の屈折力の前群と、撮像面の側にある正の屈折力の後群と、前記前群と前記後群との間に位置固定で配置された開口絞りとを有し、前記後群は、前記開口絞りの側にあり且つ焦点合わせのために光軸線に沿って摺動可能な第1部分後群と、前記撮像面に対して定置にある第2部分後群とから構成され、前記第1部分後群及び前記第2部分後群は、共に正の屈折力を有し、無限遠から近距離範囲への焦点合わせの間、前記第1部分後群と前記前群との間の間隔が減少され、前記後群の焦点距離に対する前記前群の焦点距離の比率は、−3よりも小さいか又は+3よりも大きく、前記第1部分後群の焦点距離に対する前記後群の焦点距離の比率は、1/3と3との間にあることを特徴とする広角レンズが提供される。
また本発明の有利な構成は、下位請求項の特徴から明らかである。尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、本発明を後続段落で説明する具体的な実施例、特に図示の形態に限定するものではないことを付言する。
本発明の前記一視点により、前記主たる課題に対応する効果、即ちレトロフォーカスタイプの写真レンズにおいて既知の像面湾曲と横方向色収差を十分に排除し、焦点合わせの際の大きな収差と結像品質の悪化を回避することができる。また本発明の前記一視点により、前記更なる課題に対応する効果、即ち大きな口径と、コンパクトな構造と、最大の結像能力と、全距離設定範囲にわたるが特にほぼ0.3mの撮影対象距離に至るまでの近距離範囲においてできるだけ均一となる写真レンズの補正状態とを保証し、それと同時に自動焦点の目的のための適合性を改善することができる広角レンズが提供される。
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)一定の全長をもつコンパクトな変形レトロフォーカスタイプの広角レンズであって、撮影対象から見て定置にある正の又は負の屈折力の前群と、撮像面の側にある正の屈折力の後群と、前記前群と前記後群との間に位置固定で配置された開口絞りとを有し、前記後群は、前記開口絞りの側にあり且つ焦点合わせのために光軸線に沿って摺動可能な第1部分後群と、前記撮像面に対して定置にある第2部分後群とから構成され、前記第1部分後群及び前記第2部分後群は、共に正の屈折力を有し、無限遠から近距離範囲への焦点合わせの間、前記第1部分後群と前記前群との間の間隔が減少され、前記後群の焦点距離に対する前記前群の焦点距離の比率は、−3よりも小さいか又は+3よりも大きく、前記第1部分後群の焦点距離に対する前記後群の焦点距離の比率は、1/3と3との間にあること。
(形態2)前記前群は、3つのレンズ要素から構成され、第1レンズ要素は、負の屈折力を有し、第2レンズ要素は、正の屈折力を有し、第3レンズ要素は、正の又は負の屈折力を有し、前記前群の前記レンズ要素は、各々、個別レンズとしてか、接合固定された又は別々形式のダブレットレンズとして、前記第1レンズ要素と前記第2レンズ要素と前記第3レンズ要素の各々の屈折力に対応する全屈折力を有するよう構成されていることが好ましい。
(形態3)焦点合わせ群として構成された前記第1部分後群は、1つのレンズか、接合固定された2つの個別レンズか、又は2つの個別レンズから構成されており、前記個別レンズの全屈折力は、前記レンズの屈折力に対応することが好ましい。
(形態4)前記第2部分後群は、正の又は負の屈折力の2つのレンズ要素から構成され、第1レンズ要素及び/又は第2レンズ要素は、各々2つの個別レンズから構成され、別々に嵌込固定されるか又は接合レンズとして構成されていることが好ましい。
(形態5)前記前群の質量又は前記第2部分後群の質量に対する前記第1部分後群の質量の比率は、0.7よりも小さいことが好ましい。
(形態6)当該広角レンズは、1:1.4と1:2.8との間の口径比において20mmと25mmとの間の焦点距離を有し、前記前群は、1/240dptの屈折力を有し、当該広角レンズの焦点距離に対する、前記前群の前記第1レンズ要素のレンズ頂点から前記撮像面に至るまで測定された広角レンズ全長の比率は、2.0以上であることが好ましい。
(形態7)前記第2部分後群の前記第2レンズ要素は、非球面レンズとして構成されていることが好ましい。
(形態8)焦点合わせ範囲は、無限遠から、近距離調節限界として、広角レンズ全長の4倍に対応する撮影対象距離に至るまで延在することが好ましい。
各請求項に記載された特徴について、最新の光学系設計では、通常、例えばオプティカル・リサーチ・アソシエイツ(Optical Research Associates)による「code V」のような自動補正プログラムが使用されることを考慮することができ、これらの自動補正プログラムは、予め設定されたレンズ順番と屈折力配分から、所定の課題のために最適化された補正状態を有する機能可能な撮影レンズ系のための提案を計算することができる。光学系設計者による予め設定されたパラメータの目標を定めた変更に基づき、自動で達成された補正状態が、その都度、更に改善される。
請求項1の特徴を用い、このやり方により、使用すべき光学ガラスの、半径、レンズ厚、レンズ間隔、屈折率、アッベ数のための構成データが既に獲得される。下位請求項に記載された特徴を考慮し、それらの構成パラメータが段階的に目的を定めて改善される。
唯一の図面である図1には、本発明による写真レンズ(広角レンズ)の一実施例が縮尺に従って図示されている。この際、図1は、無限遠にある撮影対象に焦点合わせした場合の写真レンズのレンズ断面を示している。
本発明による写真レンズ(広角レンズ)の一実施例を示す図である。
図1には、光方向において即ち撮影対象(OE)から見て、定置にある正の屈折力の前群(G1)と、撮像面(IM)の側にある正の屈折力の後群(G2)とに写真レンズ(広角レンズ)が分割されている様子が図示されている。前群(G1)と後群(G2)との間には開口絞り(AP)が位置固定で配置されている。後群(G2)は、開口絞り(AP)の側にあり且つ焦点合わせ(フォーカシング)のために一点鎖線で示された光軸線に沿って摺動可能な第1部分後群(G2a)と、撮像面(IM)に対して定置にある第2部分後群(G2b)とから構成される。第1部分後群(G2a)と第2部分後群(G2b)は、正の屈折力を有する。無限遠から近距離範囲への焦点合わせの間、第1部分後群(G2a)と前群(G1)との間の間隔は減少する。自動焦点(オートフォーカス)の目的のために改善された適合性は、4mmよりも短い焦点合わせ動作距離(フォーカスストローク)により達成される。第1部分後群(G2a)の運動方向は、符号G2aのところの矢印により示唆されている。図示はされていないが代替的な一実施形態において、第2部分後群(G2b)の屈折力を負に構成してもよく、また別の一変形形態では、負の屈折力の前群(G1)を設けることも可能である。これらの実施形態により、自動焦点の目的のための特殊な適合性を備えた広角レンズであって、全長が一定、即ち広角レンズの全長が焦点合わせ過程中に変化することのない、コンパクトな変形レトロフォーカスタイプの広角レンズが実現される。
有利な一実施形態により、正の屈折力の前群(G1)においては、前群(G1)の焦点距離(f1)と後群(G2)の焦点距離(f2)との比率は+3よりも大きく、負の屈折力の前群(G1)においては、前群(G1)の焦点距離(−f1)と後群(G2)の焦点距離(f2)との比率は−3よりも小さい。それに加え、第1部分後群(G2a)の焦点距離(f2a)に対する後群(G2)の焦点距離(f2)の比率が1/3と3との間にあると特に有利であると分かった。
有利には、前群(G1)が例えば−0.01dptと0dptとの間の弱い負の全屈折力を有するか又は例えば0dptと0.01dptとの間の弱い正の全屈折力を有する場合には、補正の必要性(Korrektionsaufwand)が少ないことにより、写真レンズを特にコンパクトに且つ低コストで実施することが可能である。前群(G1)の正の全屈折力により、特に第3レンズ(L3)の正の屈折力により、より小さい直径の開口絞り(AP)が実現され、このことは、小さい外径と、第1レンズ要素(L1)のレンズ頂点から写真レンズの撮像面(IM)までの少ない全長(L)とにとって有利である。
前群(G1)は、3つのレンズ要素(L1,L2,L3)から構成され、この際、第1レンズ要素(L1)は、負の屈折力を有し、第2レンズ要素(L2)は、正の屈折力を有し、第3レンズ要素(L3)は、正の又は負の屈折力を有する。前群(G1)のレンズ要素(L1,L2,L3)は、各々、個別レンズとしてか、接合固定(例えば接合剤による固定)されるか又は別々に嵌込固定(例えば枠などによる固定)されたダブレットレンズ(L3a,L3b)として実現され、この際、第1レンズ要素(L1)と第2レンズ要素(L2)と第3レンズ要素(L3)ないしダブレットレンズ(L3a,L3b)の各々の屈折力が協働し、前群(G1)の全屈折力に対応する屈折力をもたらす。第3レンズ要素(L3)は、好ましくは、ダブレットレンズとして、負の屈折力の第1平凹レンズ(L3a)と、正の屈折力の第2平凸レンズ(L3b)とから構成されている。前群(G1)のためには、1/240dpt(焦点距離f1=240mm)の正の全屈折力が特に有利であると分かった。
更なる有利な一実施形態において、焦点合わせ群(フォーカス群)として構成された第1部分後群(G2a)は、1つのレンズ(L4)か、接合固定された2つの個別レンズ(L4a,L4b)か、又は2つの個別レンズ(L4a,L4b)から構成されている。2つの個別レンズ(L4a,L4b)を用いる実施形態の場合には、それらの個別レンズ(L4a,L4b)の各々の屈折力が共同で第1部分後群(G2a)の屈折力に対応する全屈折力をもたらすことを考慮しなくてはならない。この際、好ましくは、前側の個別レンズ(L4a)は、負の屈折力の凸凹レンズとして構成され、後側の個別レンズ(L4b)は、正の屈折力の両凸レンズとして構成されている。光学的に特に良好に修正された焦点群(G2a)の一実施形態においては、第1部分後群(G2a)における前側の個別レンズ(L4a)か又は後側の個別レンズ(L4b)が、無限遠の撮影対象距離から近距離範囲への焦点合わせのために、光軸線に沿って、第1部分後群(G2a)の各々他方の個別レンズ(L4b又はL4a)の実際の焦点合わせ運動から独立してフローティングエレメント(浮動要素)として摺動可能である。
好ましくは、第2部分後群(G2b)は、正の又は負の屈折力の2つのレンズ要素(L5,L6)から構成されている。第1レンズ要素(L5)も、同時に又は選択的に第2レンズ要素(L6)も、各々2つの個別レンズ(L5a,L5b)及び図1では非図示の個別レンズ(L6a,L6b)から、別々に嵌込固定されるか又は接合レンズ(Kittglied)として構成することが可能である。好ましくは、第2部分後群(G2b)は、正の屈折力の両凸第1レンズ(L5a)と、負の屈折力の両凹第2レンズ(L5b)とから構成され、接合レンズとして構成されている。第2レンズ要素(L6)は、好ましくは、歪みの減少のために、片方の側面で又は特に有利には両方の側面で非球面の湾曲形状を有するレンズとして構成されている。
自動焦点の目的のための本発明による写真レンズ(広角レンズ)の適合性は、前群(G1)の質量に対する第1部分後群(G2a)の質量のバランスのとれた比率(質量G2a/質量G1)、ないし第2部分後群(G2b)の質量に対する第1部分後群(G2a)の質量のバランスのとれた比率(質量G2a/質量G2b)により更に改善され、その比率は、各々0.7よりも小さい値をとる。第1部分後群(G2a)の使用ガラスは、光軸線の領域において5.5mmの厚さをもち、その重さは3.6グラムよりも少ない。このように低質量とされた、焦点合わせ過程の際に運動される質量体は、焦点合わせのために運動すべき光学要素(G2a)のための高速で且つ必要なエネルギーの少ない電気機械駆動部にとって有利である。そのようなサイズ決定により特に静かな自動焦点運動が実現可能である。
後群(G2)における構造及び屈折力配分は、大きなバックフォーカス(S)を可能とし、該バックフォーカスは、例えばデジタル写真撮影用の非図示のカメラシャッタの機械的な構成部材のような構成部材を格納するために十分な空間を提供してくれる。つまり上述した広角レンズの具体的な実施形態において、バックフォーカス(S)、即ち第2部分後群(G2b)の第2レンズ(L6)、ここでは非球面レンズ(L6)における撮像面(IM)の側の最後のレンズ頂点と、撮像面(IM)との間の構成空間長は、ほぼ15.7mmである。
本発明による広角レンズは、1:1.4と1:2.8との間の口径比において20mmと25mmとの間の焦点距離(f’)を有する。この焦点距離データは、撮像面(IM)において予め設定されて利用可能な25mmと31.5mmとの間の画像撮影対角線に依存ないし関係する。好ましくは、広角レンズの焦点距離(f’)に対する、前群(G1)の第1レンズ要素(L1)のレンズ頂点から撮像面(IM)に至るまで測定された広角レンズ全長(L)の比率は、2.0以上である。
撮像面(IM)内にある非図示の16mm×24mmの大きさのAPSCフォーマットサイズの画像センサにおいて、画像撮影のために利用可能な画像対角線は28.4mmを有する。この場合、広角レンズの焦点距離(f’)は23mmであり、この際、前群(G1)は、240mmの焦点距離を有する。広角レンズの焦点距離(f’)に対する広角レンズ全長(L)の比率は、2.35の値に対応する。この場合、広角レンズ全長(L)は、54mmの値をとる。
口径比は、画像撮影のために利用可能な画像対角線に依存せず、本発明による広角レンズにおいては、好ましくは1:2.0である。このようにして均一の良好な光学性能のもと、特にコンパクトな構造の写真レンズが実現可能である。
4mmの第1部分後群(G2a)の焦点合わせ運動により達成可能な焦点合わせ範囲は、無限遠から、広角レンズ全長(L)の4倍に対応する近距離調節限界(近距離設定限界 Naheinstellgrenze)に至るまで延在する。
本発明の基礎となる写真レンズ(広角レンズ)は、その使用においてカメラの具体的なセンササイズに制限されていないことは勿論であり、その理由は、例えば典型的な小型画像フォーマット(24mm×36mm)のために本発明の本質的な光学構造をスケール変更する場合、APSCフォーマットのために上記した焦点距離範囲は、対応するフォーマット係数分だけスケール変更されて得られるためである。このようにして典型的な小型画像フォーマットについても、30mmと40mmとの間の等価焦点距離を有する写真レンズが実現可能である。
近距離範囲、即ち広角レンズ全長(L)の4倍に対応するか又はこれを下回る近距離調節限界において結像能力を更に改善するために、開口絞り(AP)の直径を減少させることが可能である。この措置は、同様に広角レンズの口径比を変化させる。近距離調節限界を減少させるための更なる措置として、前群(G1)の第3レンズ要素(L3)又は負の屈折力の平凹レンズ(L3a)又は正の屈折力の平凸レンズ(L3b)を、第1部分後群(G2a)の実際の焦点合わせ運動から独立してフローティングエレメントとして摺動可能とすることもできる。同じ目的を有する代替的な措置として、第2部分後群(G2b)のレンズ要素(L5)又は正の屈折力の両凸レンズ(L5a)又は負の屈折力の両凹レンズ(L5b)を、第1部分後群(G2a)の実際の焦点合わせ運動から独立してフローティングエレメントとして摺動可能とすることもできる。
尚、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。また本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。即ち本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想に従って当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
L1 負の屈折力のレンズ
L2 正の屈折力のレンズ
L3 正の又は負の屈折力のレンズ
L3a 負の屈折力の平凹レンズ
L3b 正の屈折力の平凸レンズ
L4 正の屈折力の焦点合わせ用レンズ群
L4a 負の屈折力の凸凹レンズ
L4b 正の屈折力の両凸レンズ
L5 正の又は負の屈折力のレンズ
L5a 正の屈折力の両凸レンズ
L5b 負の屈折力の両凹レンズ
L6 非球面レンズ
G1 前群
G2 後群
G2a 第1部分後群(焦点合わせ群)
G2b 第2部分後群
IM 撮像面
OE 撮影対象面
S バックフォーカス
AP 開口絞り
L 広角レンズ全長

Claims (8)

  1. 一定の全長をもつコンパクトな変形レトロフォーカスタイプの広角レンズであって、
    撮影対象から見て定置にある正の又は負の屈折力の前群(G1)と、撮像面(IM)の側にある正の屈折力の後群(G2)と、前記前群(G1)と前記後群(G2)との間に位置固定で配置された開口絞り(AP)とを有し、
    前記後群(G2)は、前記開口絞り(AP)の側にあり且つ焦点合わせのために光軸線に沿って摺動可能な第1部分後群(G2a)と、前記撮像面(IM)に対して定置にある第2部分後群(G2b)とから構成され、
    前記第1部分後群(G2a)及び前記第2部分後群(G2b)は、共に正の屈折力を有し、無限遠から近距離範囲への焦点合わせの間、前記第1部分後群(G2a)と前記前群(G1)との間の間隔が減少され、
    前記後群(G2)の焦点距離(f2)に対する前記前群(G1)の焦点距離(f1)の比率は、−3よりも小さいか又は+3よりも大きく、
    前記第1部分後群(G2a)の焦点距離(f2a)に対する前記後群(G2)の焦点距離(f2)の比率は、1/3と3との間にあること
    を特徴とする広角レンズ。
  2. 前記前群(G1)は、3つのレンズ要素(L1,L2,L3)から構成され、第1レンズ要素(L1)は、負の屈折力を有し、第2レンズ要素(L2)は、正の屈折力を有し、第3レンズ要素(L3)は、正の又は負の屈折力を有し、
    前記前群(G1)の前記レンズ要素(L1,L2,L3)は、各々、個別レンズとしてか、接合固定された又は別々形式のダブレットレンズ(L3a,L3b)として、前記第1レンズ要素(L1)と前記第2レンズ要素(L2)と前記第3レンズ要素(L3)の各々の屈折力に対応する全屈折力を有するよう構成されていること
    を特徴とする、請求項1に記載の広角レンズ。
  3. 焦点合わせ群として構成された前記第1部分後群(G2a)は、1つのレンズ(L4)か、接合固定された2つの個別レンズ(L4a,L4b)か、又は2つの個別レンズ(L4a,L4b)から構成されており、前記個別レンズ(L4a,L4b)の全屈折力は、前記レンズ(L4)の屈折力に対応すること
    を特徴とする、請求項1又は2に記載の広角レンズ。
  4. 前記第2部分後群(G2b)は、正の又は負の屈折力の2つのレンズ要素(L5,L6)から構成され、第1レンズ要素(L5)及び/又は第2レンズ要素(L6)は、各々2つの個別レンズ(L5a,L5b)から構成され、別々に嵌込固定されるか又は接合レンズとして構成されていること
    を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の広角レンズ。
  5. 前記前群(G1)の質量又は前記第2部分後群(G2b)の質量に対する前記第1部分後群(G2a)の質量の比率は、0.7よりも小さいこと
    を特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の広角レンズ。
  6. 当該広角レンズは、1:1.4と1:2.8との間の口径比において20mmと25mmとの間の焦点距離(f’)を有し、
    前記前群(G1)は、1/240dptの屈折力を有し、
    当該広角レンズの焦点距離(f’)に対する、前記前群(G1)の前記第1レンズ要素(L1)のレンズ頂点から前記撮像面(IM)に至るまで測定された広角レンズ全長(L)の比率は、2.0以上であること
    を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の広角レンズ。
  7. 前記第2部分後群(G2b)の前記第2レンズ要素(L6)は、非球面レンズとして構成されていること
    を特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の広角レンズ。
  8. 焦点合わせ範囲は、無限遠から、近距離調節限界として、広角レンズ全長(L)の4倍に対応する撮影対象距離に至るまで延在すること
    を特徴とする、請求項6に記載の広角レンズ。
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