JP2015191041A - 蛍光キューブ及び光学顕微鏡 - Google Patents

蛍光キューブ及び光学顕微鏡 Download PDF

Info

Publication number
JP2015191041A
JP2015191041A JP2014066748A JP2014066748A JP2015191041A JP 2015191041 A JP2015191041 A JP 2015191041A JP 2014066748 A JP2014066748 A JP 2014066748A JP 2014066748 A JP2014066748 A JP 2014066748A JP 2015191041 A JP2015191041 A JP 2015191041A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
fluorescent cube
degrees
optical
fluorescent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014066748A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6457186B2 (ja
Inventor
正 渡邊
Tadashi Watanabe
正 渡邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Corp filed Critical Olympus Corp
Priority to JP2014066748A priority Critical patent/JP6457186B2/ja
Publication of JP2015191041A publication Critical patent/JP2015191041A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6457186B2 publication Critical patent/JP6457186B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)

Abstract

【課題】観察光路への励起光の入射を抑制する技術を提供する。【解決手段】蛍光キューブ12は、蛍光観察機器において使用される。蛍光キューブ12は、励起波長域の光を遮断して蛍光波長域の光を選択的に透過させるバリアフィルタ16と、45度の入射角で入射した励起波長域の光を反射し、45度の入射角で入射した蛍光波長域の光を透過させるダイクロイックミラー15と、バリアフィルタ16の光学面とダイクロイックミラー15の光学面のなす角度が45度よりも大きくなるように、バリアフィルタ16とダイクロイックミラー15とを支持する筐体17と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、蛍光キューブ及びそれを備えた光学顕微鏡に関する。
蛍光観察手法は、分子と結合した蛍光色素からの蛍光を検出することで細胞や組織などを観察する手法であり、生物や医学の分野において広く利用されている。また、近年では、GFP(Green Fluorescent Protein)などに代表される毒性の無い発光性の蛋白質(以降、蛍光蛋白質と記す)を細胞内に発現させることが可能となったため、生理的な活性が保たれた試料(つまり、生きた試料)を観察することも可能となっている。このため、現在では、蛍光観察手法は、生きた試料を用いた研究に盛んに利用されていて、例えば、一分子レベルで試料を可視化する研究などにも利用されている。
生きた試料を対象とした観察では試料に与えるダメージを極力抑えることが望ましい。その一方で、ダメージ抑制のため試料に照射する励起光のエネルギーを抑えると、試料から放出される蛍光も弱くなってしまう。特に、一分子レベルで試料を可視化する場合には、放出される蛍光は極めて微弱なものとなってしまう。
このような事情から、検出される蛍光が微弱な場合でも試料を正確に観察することができるように、蛍光とともに検出されるノイズ(励起光や自家蛍光など)を十分に減らして高いS/N比を実現する技術が求められている。これに関連する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
特開2005−321753号公報
ところで、蛍光観察手法の中でも光学顕微鏡を用いた手法は多くの研究者が用いる主要な手法である。光学顕微鏡を用いた蛍光観察手法では励起光から蛍光を分離するためのキーパーツとして、蛍光キューブが用いられることが多い。蛍光キューブには、励起フィルタ、ダイクロイックミラー、バリアフィルタから成る蛍光フィルタセットが組み込まれ、この蛍光フィルタセットの性能が、ノイズを減らしつつ蛍光を効率よく検出するために重要な役割を果たす。
このうち、ダイクロイックミラーは通常、一般的な顕微鏡光学系からの要請により、照明光路の光軸および観察光路の光軸に対して正確に45度傾けて配置される。このため、ダイクロイックミラーは45度の入射角で入射する光に対して所望の波長透過率特性(一般的には45度の入射角で入射する励起光を反射させて蛍光を透過させる特性)が得られるように、設計される。
しかしながら、ダイクロイックミラーに入射する光には、例えば、蛍光キューブの筐体で反射・散乱した励起光など45度とは異なる入射角で入射するものが含まれる。特許文献1には、このうちの光学面に対して垂直に近い角度(45度によりも小さな入射角)で入射する励起光をダイクロイックミラーで反射させる技術が記載されている。ただし、特許文献1の技術を用いても、ダイクロイックミラーに45度よりも大きな入射角で入射する励起光はダイクロイックミラーを透過して観察光路へ入射してしまう。
以上のような実情を踏まえ、本発明は、観察光路への励起光の入射を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、蛍光観察機器において使用される蛍光キューブであって、励起波長域の光を遮断して蛍光波長域の光を選択的に透過させる蛍光波長選択素子と、45度の入射角で入射した前記励起波長域の光を反射し、45度の入射角で入射した前記蛍光波長域の光を透過させる波長分離素子と、前記蛍光波長選択素子の光学面と前記波長分離素子の光学面のなす角度が45度よりも大きくなるように、前記蛍光波長選択素子と前記波長分離素子とを支持する筐体と、を備える蛍光キューブを提供する。
本発明の別の態様は、照明光路と観察光路の交わる箇所に、前記照明光路の光軸及び前記観察光路の光軸の各々と前記波長分離素子の光学面とのなす角度が45度となるように配置された、上記態様の蛍光キューブを備える光学顕微鏡を提供する。
本発明の更に別の態様は、照明光路と観察光路の交わる箇所に、前記照明光路の光軸及び前記観察光路の光軸の各々と前記波長分離素子の光学面とのなす角度が45度となるように配置された、上記態様の蛍光キューブと、前記励起波長域の光を出射するレーザ光源と、を備える光学顕微鏡を提供する。
本発明によれば、観察光路への励起光の入射を抑制する技術を提供することができる。
蛍光顕微鏡の光学系の概略図である。 蛍光フィルタセットの波長−透過率特性を説明するための図である。 蛍光キューブの構成と蛍光キューブで生じる散乱光を例示した図である。 本発明の一実施形態に係る蛍光顕微鏡の構成を例示した図である。 本発明の一実施形態に係る蛍光キューブの構成を例示した図である。 本発明の一実施形態に係る蛍光フィルタセットの正規の角度で入射する光に対する波長−透過率特性を示した図である。 入射角の異なる散乱光C1、C2、C3に対する本発明の一実施形態に係るダイクロイックミラーの波長−透過率特性を示した図である。 散乱光C2に対する本発明の一実施形態に係るバリアフィルタの波長−透過率特性を示した図である。 散乱光C3に対する本発明の一実施形態に係るバリアフィルタの波長−透過率特性を示した図である。 正規の角度で入射する光に対する本発明の実施例1に係る蛍光フィルタセットの波長−透過率特性を示した図である。 正規の角度以下の角度で入射する光に対する本発明の実施例1に係るダイクロイックミラーの波長−透過率特性を示した図である。 正規の角度以上の角度で入射する散乱光C1、C2、C3に対する本発明の実施例1に係るダイクロイックミラーの波長−透過率特性を示した図である。 バリアフィルタの配置角度を変更した場合における、入射角の異なる散乱光C1、C2、C3に対する本発明の実施例1に係るバリアフィルタの波長−透過率特性を示した図である。 正規の角度で入射する光に対する本発明の実施例2に係る蛍光フィルタセットの波長−透過率特性を示した図である。 正規の角度以下の角度で入射する光に対する本発明の実施例2に係るダイクロイックミラーの波長−透過率特性を示した図である。 正規の角度以上の角度で入射する散乱光C1、C2、C3に対する本発明の実施例2に係るダイクロイックミラーの波長−透過率特性を示した図である。 本発明の実施例2に係る蛍光顕微鏡の構成を例示した図である。
本発明の一実施形態である蛍光キューブについて説明する前に、一般的な蛍光キューブ2について説明する。
まず、蛍光顕微鏡10を用いた蛍光観察手法において、蛍光キューブ2による蛍光分離がどのように行われるのかについて、図1から図3を参照しながら説明する。図1は、光学顕微鏡の一種である蛍光顕微鏡10の光学系の概略図である。図2は、図1に示す励起フィルタ4、ダイクロイックミラー5及びバリアフィルタ6からなる蛍光フィルタセット3の波長−透過率特性を説明するための図である。図3は、蛍光キューブ2の構成と蛍光キューブ2で生じる散乱光を例示した図である。
白色光源1から出射した光(照明光)は、光学面が照明光路の光軸と直交するように配置された励起フィルタ4を透過する。その際、473-495nmの範囲の波長(励起波長域)の光が選択されることにより、励起光Eが作られる。励起フィルタ4を透過して作られた励起光Eは、光学面と照明光路の光軸(及び観察光路の光軸)とのなす角度が45度になるように配置されたダイクロイックミラー5で反射し、対物レンズ9によってGFPにより蛍光標識された試料Sに照射される。
GFPは、図2に示す吸収スペクトルの光を吸収し図2に示す蛍光スペクトルの光を発する特性を有している。このため、励起光Eが照射された試料Sは、図2に示す蛍光スペクトルを有する蛍光Fを発する。この蛍光Fは、試料Sで散乱した励起光Eとともに対物レンズ9に入射する。その後、これらの光(蛍光F及び励起光E)は、対物レンズ9を経て入射するダイクロイックミラー5及びバリアフィルタ6で分離され、蛍光Fは観察光路に導かれる。
試料Sから生じた蛍光Fは、試料Sで散乱した励起光Eの10-6又は10-7程度の光量しかなく非常に微弱である。しかしながら、励起光Eは、図2に示すように、特にバリアフィルタ6によって十分なレベルまで(具体的には10-6又は10-7以下の光量まで)カットされる。このため、蛍光キューブ2は、観察光路への励起光Eの入射に起因するノイズを抑制することができる。
次に、本発明者が見出した一般的な蛍光キューブ2の課題について説明する。
蛍光キューブ2の上述した作用は予め設計された角度(例えば、ダイクロイックミラー5に対しては45度、バリアフィルタ6に対しては5度。以降、正規の角度と記す)で入射した光に対するものである。正規の角度で入射しない光、特に正規の角度とは大きく異なる角度で入射する光については上述した作用とは異なる作用が生じる可能性が高く、観察光路への励起光Eの入射を十分に抑制することができない。これは、ダイクロイックミラー5やバリアフィルタ6は一般に基板に光学多層膜が形成された多層膜フィルタであり、多層膜フィルタの波長−透過率特性は入射角によって異なるからである。
正規の角度で入射しない光には、図3に示すような蛍光キューブ2の筐体7で反射・散乱した励起光がある(以降では、これらの励起光を散乱光と記す)。白色光源1から出射した光はコリメータレンズによって平行光に変換されて蛍光キューブ2に入射する。このため、光軸と平行に入射する軸上光については予め光束径が適切に設計されていれば筐体7へ照射されないため散乱光は生じない。一方、軸外光については光軸に対して傾いた平行光として蛍光キューブ2に入射することになるため、特に軸外光の光束の周辺部分が筐体7に照射されやすく、散乱光が生じやすい。
軸外光の強度が弱いこと、散乱時に減衰することなどから、軸外光に起因する散乱光の影響は軽微であるとも考えられる。しかしながら、上述したように微弱な蛍光しか発しない一分子レベルの極小な試料や生きた試料を用いた研究などにも蛍光キューブ2が使用されることを考慮すると、観察系(又は観察光路)に入るノイズを極力減らして、散乱光の影響を積極的に除去することが望ましい。
そこで、蛍光キューブ2で生じる典型的な散乱光を取り上げて、それぞれの散乱光の影響を考察する。
蛍光キューブ2の筐体7の内面には、光の反射・散乱を抑えるため、黒アルマイト処理、黒植毛紙の貼付け処理、砂目処理などが施されているのが通常である。例えば、図3に示す反射防止シート8は、黒植毛紙からなる。ただし、黒アルマイトでも5-10%%、植毛紙でも0.5-1%程度の反射があり、反射・散乱を抑えるための処理には限界がある。特に、光学部品の取り付け部分には、その取り付け精度への要請から表面に凸凹や砂目を施すことが難しい。このため、励起フィルタ4の取り付け部分(図3に示す部分A、部分B)やダイクロイックミラー5の取り付け部(図3に示す部分C)から生じる散乱光は強くなりやすく、その意味において蛍光キューブ2で生じる典型的な散乱光といえる。
このうち、図3に示す部分Aから生じる散乱光が観察光路に入射するには、部分Aでの散乱後、少なくとも1回以上の散乱が必要となる。鏡面反射の場合とは異なり散乱には、光量を数%以下程度にまで減衰させる効果があるため、部分Aから生じる散乱光の影響は極めて小さく無視できると考えられる。
これに対して、図3に示す部分B、部分Cから生じる散乱光は、その後散乱することなく観察光路に入射し得るので、ダイクロイックミラー5又はバリアフィルタ6で十分に減衰させることが出来ない場合には、その影響は無視できない。
部分B、部分Cから生じる散乱光を比較すると、図3に示すように、部分Bから生じる散乱光はダイクロイックミラー5に垂直に近い角度(入射角が概ね0度から20度)で入射するのに対して、部分Cから生じる散乱光はダイクロイックミラー5に対して45度を越える入射角で入射する。
部分Bから生じる散乱光については、特許文献1に記載される技術をダイクロイックミラー5に適用することで、観察光路への入射を抑制しその影響を排除することが可能である。一方、部分Cから生じる散乱光については、特許文献1に記載される技術を適用するとむしろ効率よくダイクロイックミラー5を透過してしまう可能性がある。これは、良く知られているように、多層膜フィルタ(ダイクロイックミラー5)の波長−透過率特性は入射角が大きくなるほど短波長側にシフトするからである。
以下、図4及び図5を参照しながら、本発明の一実施形態である蛍光顕微鏡20及び蛍光キューブ12について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る蛍光顕微鏡20の構成を例示した図である。図5は、本発明の一実施形態に係る蛍光キューブ12の構成を例示した図である。
図4に示す蛍光顕微鏡20は、試料Sからの蛍光を検出することで試料Sを観察する蛍光観察機器であり、照明光路上に、光源11と、照明光学系21とを備え、観察光路上に、結像レンズ22と、検出装置23とを備えている。蛍光顕微鏡20は、さらに蛍光キューブ12を備え、蛍光キューブ12は照明光路と観察光路の交わる箇所に配置されている。また、蛍光顕微鏡20は、蛍光キューブ12と試料Sの間に対物レンズ19を備えている。
光源11は、例えば、白色光源であり、励起波長域を含む波長域の照明光を出射する。照明光学系21は、光源11からの照明光を所定の光束径の平行光に変換して蛍光キューブ12に入射させる。対物レンズ19は、蛍光キューブ12からの励起光を標本Sに照射し、標本Sからの蛍光及び標本Sを反射・散乱した励起光を蛍光キューブ12に入射させる。結像レンズ22は、蛍光キューブ12を透過した蛍光を検出装置23の受光面に集光させる。検出装置23は、例えば、光電変換素子が二次元に配列されたCCDイメージセンサを含むCCDカメラである。
一般的な蛍光キューブ2は、上述したように、軸外光に起因する散乱光を十分に遮断することができないといった課題を有している。中でも図3に示す部分Cから生じる散乱光のようにダイクロイックミラー5に45度を越える入射角で入射する散乱光の排除が困難である。本発明の一実施形態である蛍光キューブ12は、この点に着目して改善がなされたものである。
蛍光キューブ12は、図5に示すように、励起波長域の光を選択的に透過させる励起波長選択素子である励起フィルタ14、波長分離素子であるダイクロイックミラー15、及び、励起波長域の光を遮断して蛍光波長域の光を選択的に透過させる蛍光波長選択素子であるバリアフィルタ16からなる蛍光フィルタセット13と、蛍光フィルタセット13を支持する筐体17と、を備えている。さらに、筐体17のダイクロイックミラー15を介して励起フィルタ14と対向する位置には反射防止シート18が貼り付けられている。
ダイクロイックミラー15は、入射角45度を正規の角度として設計されていて、少なくとも、45度の入射角で入射した励起波長域の光を反射し、45度の入射角で入射した蛍光波長域の光を透過させるように構成されている。また、励起フィルタ14、バリアフィルタ16は、それぞれ入射角0度、5度を正規の角度として設計されている。
筐体17は、ダイクロイックミラー15の光学面とバリアフィルタ16の光学面とのなす角が45度よりも大きくなるように、ダイクロイックミラー15とバリアフィルタ16とを支持している。より具体的には、ダイクロイックミラー15は、その光学面が照明光路P1の光軸及び観察光路P2の光軸の各々と45度の角度をなすように配置されるのに対して、バリアフィルタ16は、その光学面が観察光路P2の光軸と直交するようには配置されず、ダイクロイックミラー15の傾きとは反対の方向に5度傾けて配置される。また、励起フィルタ14は、その光学面が照明光路P1の光軸と直交するように配置されている。
図3に示す一般的な蛍光キューブ2でも、バリアフィルタ6を反射した光がゴーストやフレアとなり観察像の解像を劣化させる事態を避けるため、筐体7は、観察光路の光軸に対して光学面が直交しないように、バリアフィルタ6を支持している。その傾き角は、通常は光学系の要請によって2-6度程度である。ただし、蛍光キューブ2では、蛍光キューブ2の小型化の要請から、ダイクロイックミラー5の傾きに近づくようにバリアフィルタ6が傾けられる。
図5に示す破線は、一般的な蛍光キューブ2におけるバリアフィルタ6の配置(つまり、従来の配置例)を示している。このように、蛍光キューブ12は、バリアフィルタ16を傾ける方向が従来の配置例とは逆であり、この点において蛍光キューブ2とは全く異なっている。このバリアフィルタの配置の違いによって、蛍光キューブ12は、蛍光キューブ2では十分に減衰させることができない部分Cからの散乱光を減衰させることができる。
以下では、図5に示す異なる3つの方向に散乱した散乱光(散乱光C1、散乱光C2、散乱光C3)を例にして、部分Cからの散乱光の減衰が、バリアフィルタの配置の違いによってどの程度異なるかについて具体的に説明する。
表1は、図5に示す3つの散乱光が各光学素子(ダイクロイックミラー15、バリアフィルタ16)に入射する角度を示したものである。ここでは、ダイクロイックミラー15の光学面とバリアフィルタ16の光学面とのなす角θが40度である場合を従来の配置例として、ダイクロイックミラー15の光学面とバリアフィルタ16の光学面とのなす角θが50度である場合を本発明の配置例として、示している。
蛍光フィルタセット13が正規の角度で入射する光に対して図6に示す波長−透過率特性を有しているとすると、散乱光C1、C2、C3に対するダイクロイックミラー15の波長−透過率特性は、図7に示すものとなる。散乱光が励起波長域の光であることを考慮すると、45度に近い角度で入射する散乱光C1の透過量はさほど多くないが、散乱光C2及び散乱光C3はその多くが透過してしまう。
図8、図9は、それぞれ、散乱光C2、C3に対するバリアフィルタ16の波長−透過率特性を示した図である。図8を参照すると、本発明の配置例では、バリアフィルタ16は励起波長域全体の平均で0.0001%以下の透過率を示しているため、ほとんど散乱光C2を通さない。これに対して、従来の配置例では、バリアフィルタ16は495nm程度の波長域において最大30%を超える透過率を示し、励起波長域全体の平均でも4%を超える透過率を示している。このため、本発明の配置例の方がバリアフィルタ16ではるかに多くの散乱光C2を遮断することができる。
図9を参照すると、本発明の配置例でも、バリアフィルタ16は490-495nmの波長域で最大50%程度もの透過率を示し、励起波長域全体の平均でも4%程度の透過率を示す。しかしながら、バリアフィルタ16は従来の配置例では、本発明の配置例よりも広い波長域(470-495nm)において高い透過率を示し、励起波長域全体の平均でも30%近い透過率を示す。このため、散乱光C2の場合と同様に、本発明の配置例の方がバリアフィルタ16ではるかに多くの散乱光C3を遮断することができる。
表2は、部分Cからの散乱光(散乱光C1、C2、C3を含む)がバリアフィルタ16を透過する割合を、バリアフィルタ16を本発明の配置例で配置した場合と従来の配置例で配置した場合とで比較して示したものである。表2から明らかなように、バリアフィルタ16を本発明の配置例で配置することで、バリアフィルタ16を従来の配置例で配置した場合に比べて、散乱光の透過を著しく抑えることができる。
以下、本発明の各実施例に係る蛍光キューブについて説明する。
本実施例に係る蛍光キューブは、図4に示す蛍光顕微鏡のような蛍光観察機器の照明光路と観察光路の交わる箇所に配置されて使用される蛍光キューブである。
本実施例に係る蛍光キューブは、励起波長域の光を選択的に透過させる励起波長選択素子である励起フィルタ、波長分離素子であるダイクロイックミラー、及び、励起波長域の光を選択的に透過させる蛍光波長選択素子であるバリアフィルタからなる蛍光フィルタセットと、蛍光フィルタセットを支持する筐体とを有している。
蛍光キューブは、ダイクロイックミラーの光学面が照明光路の光軸及び観察光路の光軸の各々と45度の角度をなすように配置される。バリアフィルタは、その光学面が観察光路の光軸と5度の角度をなし、かつダイクロイックミラーの光学面と50度の角度をなすように配置され、筐体によって支持されている。励起フィルタは、その光学面が照明光路の光軸と直交するように、つまり、その光学面がダイクロイックミラーの光学面と45度の角度をなし且つバリアフィルタの光学面と90度よりも大きな角度(ここでは95度)をなすように配置され、筐体に支持されている。これらの配置は、図5に示す上述した実施形態に係る蛍光キューブ12と同様である。
蛍光フィルタセットを構成する各フィルタは、いずれも基板に光学多層膜が形成された多層膜フィルタであり、図10に示す波長−透過率特性を有している。
励起フィルタ、バリアフィルタは、それぞれ、オリンパス製の蛍光フィルタBP470-495、BA510IFであり、上述した励起フィルタ14、バリアフィルタ16と透過帯域幅や光の遮断性能、光の入射角が変わった時の特性変化などに関して同等の特性を有している。なお、励起フィルタの基板とバリアフィルタの基板は、いずれも蛍光波長域の光及び励起波長域の光に対して透明な基板である。
本実施例に係るダイクロイックミラーは、上述したダイクロイックミラー15と光学多層膜の構成は同じであるが、光学多層膜が形成される基板の材料(基材)が異なっている。基材は励起波長域の光を遮断するショット社製の色ガラスGG495であり、基板はこれを1mm厚に両面研磨した平行平板である。基板の表面(主反射面)には表3に示す構成(32層構成、基準波長=500nm)の光学多層膜が形成され、一方、基板の裏面には反射防止膜が形成されている。
本実施例に係る筐体は、アルミにより作られていて、その表面には、その内部を含めて全面黒アルマイト処理が施されている。また、励起フィルタに対向する位置には、図5に示す蛍光キューブ12と同様に、(株)ベルセード製0.35mm厚植毛紙からなる反射防止シートが貼り付けられている。これにより、筐体内部での光の反射・散乱の抑制が図られている。
図11には、45度以下の入射角で入射する光に対する本実施例に係るダイクロイックミラーの波長特性が示されている。本実施例に係るダイクロイックミラーでは、光学多層膜の4〜27層目が45度の入射角で入射する励起波長域の光を反射する繰り返し層部分として寄与し、基材である色ガラスG495が0〜20度の入射角で入射した励起波長域の光の遮断に寄与する。
これにより、図11に示されるように、少なくとも0度から20度(つまり、光学面に対して垂直に近い角度)及び45度(正規の角度)の入射角で入射した励起波長の光に対して低い透過率が実現される。即ち、本実施例では、上述した筐体の部分Bからの散乱光は、ダイクロイックミラーで遮断することができる。
なお、比較例として図11に示される波長−透過率特性は、基材のみが異なる上述した実施形態に係るダイクロイックミラー15の波長−透過率特性である。比較例では入射角度が浅くなると励起波長域で比較的高い透過率を示すことからも、0度から20度の入射角で入射する励起波長域の光の遮断が色ガラスに依存していることを確認することができる。
図12には、45度以上の入射角で入射する光に対する本実施例に係るダイクロイックミラーの波長特性が示されている。図12に示されるように、本実施例に係るダイクロイックミラーでは、正規の角度を上回る入射角で入射する励起波長の光を十分に遮断することは難しく、部分Cから生じる散乱光C1、C2、C3を十分に遮断することができない。
しかしながら、本実施例に係るバリアフィルタは、上述した実施形態に係るバリアフィルタ16と同じものである。そして、その光学面とダイクロイックミラーの光学面とのなす角度θが50度になるように配置されている点も、バリアフィルタ16と同様である。従って、本実施例では、上述した実施形態と同様に、部分Cから生じる散乱光は、バリアフィルタで十分に遮断することができる。
以上のように、本実施例に係る蛍光キューブでは、従来の蛍光キューブでは難しかった筐体の部分Bからの散乱光と部分Cからの散乱光との両方を十分に減衰させることが可能であり、その結果、筐体の任意の部位で生じる散乱光を減衰させることができる。従って、軸外光の散乱に起因する光が観察光路に入ることを効果的に防ぐ事ができる。
また、本実施例に係る蛍光キューブでは、蛍光フィルタセットを構成する各フィルタに光学多層膜が形成されているため、波長選択や波長分離を高い効率で行うことができる。
また、本実施例に係る蛍光キューブでは、ダイクロイックミラーの基板に入射角に伴う波長シフトが少ない色ガラスを用いているため、より確実に散乱光を減衰させることができる。また、ダイクロイックミラーの光学多層膜の層数を抑えることもできる。
また、筐体内面に全面黒アルマイト処理が施されて、さらに反射防止シートも設置されているため、筐体内面での散乱光の発生自体を抑えることができる。
なお、本実施例では、バリアフィルタをその光学面とダイクロイックミラーの光学面とのなす角度θが50度になるように配置した例を示したが、この角度は50度に限られない。例えば、表4には、バリアフィルタの光学面とダイクロイックミラーの光学面とのなす角度θが46度と52度の場合における、バリアフィルタへの散乱光の入射角が示されている。
図13には、表4に示されるそれぞれの角度で入射した光に対するバリアフィルタの波長−透過率特性が示されている。図13と、従来の配置例におけるバリアフィルタの波長−透過率特性が示されている図8及び図9とを比較すると、角度θが46度と52度のいずれの場合であっても、従来の配置例よりも、部分Cから生じる散乱光を遮断することが出来ることを確認することができる。
従って、その光学面とダイクロイックミラーの光学面とのなす角度θが45度よりも大きな角度となるようにバリアフィルタを配置すれば、従来よりも励起波長域の光を遮断し、部分Cからの散乱光が観察光路に入ることを抑えることができる。
本実施例に係る蛍光キューブは、図4に示す蛍光顕微鏡のような蛍光観察機器の照明光路と観察光路の交わる箇所に配置されて使用される蛍光キューブである。
本実施例に係る蛍光キューブは、励起波長域の光を選択的に透過させる励起波長選択素子である励起フィルタ、波長分離素子であるダイクロイックミラー、及び、励起波長域の光を選択的に透過させる蛍光波長選択素子であるバリアフィルタからなる蛍光フィルタセットと、蛍光フィルタセットを支持する筐体とを有している。
本実施例に係る励起フィルタ、ダイクロイックミラー、バリアフィルタの配置は、実施例1に係る蛍光キューブと同様である。蛍光フィルタセットを構成する各フィルタは、いずれも基板に光学多層膜が形成された多層膜フィルタであり、図14に示す波長−透過率特性を有している。なお、励起フィルタ、バリアフィルタが、それぞれ、オリンパス製の蛍光フィルタBP470-495、BA510IFである点も、実施例1に係る蛍光キューブと同様である。
本実施例に係るダイクロイックミラーは、合成石英からなる基材を1mm厚に両面研磨した平行平板である基板を備えている。この基板は、蛍光波長域の光及び励起波長域の光に対して透明である。そして、基板の表面(主反射面)には表5に示す構成(58層構成、基準波長=500nm)の光学多層膜が形成され、一方、基板の裏面には反射防止膜が形成されている。
なお、58層構成の光学多層膜は、基板の端から1mmを除く基板表面全体に形成されていて、光学多層膜が形成された範囲全体で図14に示す特性が保証されている。また、ダイクロイックミラーは光学多層膜が形成されていない基板の端から1mmの範囲で筐体に確実に密着して支持されている。このように、ダイクロイックミラーの光学多層膜は、筐体に基板が支持された状態で基板表面のうちの露出している部分全体に形成される。このため、本実施例に係る蛍光キューブでは、光学多層膜と筐体との間からの励起波長域の光の漏れが確実に防止される。
本実施例に係る筐体は、射出成形によって黒色の樹脂から作られていて、その表面には、外部は細かめのシボ加工が、内部は素子の取り付け基準面を除いて鏡面反射を防ぐための粗めのシボ加工が施されている。なお、励起フィルタに対向する位置には、(株)ベルセード製0.35mm厚植毛紙からなる反射防止シートが貼り付けられている点は、実施例1に係る蛍光キューブと同様である。
図15には、45度以下の入射角で入射する光に対する本実施例に係るダイクロイックミラーの波長特性が示されている。本実施例に係るダイクロイックミラーでは、光学多層膜の26〜56層目が45度の入射角で入射する励起波長域の光を反射する繰り返し層部分として寄与し、光学多層膜の4〜25層目が0〜20度の入射角で入射する励起波長域の光を反射する繰り返し層部分として寄与する。これにより、図15に示されるように、少なくとも0度から20度(つまり、光学面に対して垂直に近い角度)及び45度(正規の角度)の入射角で入射した励起波長域の光に対して低い透過率が実現される。即ち、本実施例では、上述した筐体の部分Bからの散乱光は、ダイクロイックミラーで遮断することができる。
なお、具体的には、ダイクロイックミラーは、0度で入射した光に対して励起波長域全体の平均で光学濃度(以降、ODと記す)4.5程度(透過率0.003%程度)を有し、20度で入射した光に対して励起波長域全体の平均でOD4.9程度(透過率0.0012%程度)を有している。本実施例に係るダイクロイックミラーは、0度から20度の間の入射角で入射する光に対する光学濃度が励起波長域全体の平均で3を越えていて、良好な性能を示している。
図16には、45度以上の入射角で入射する光に対する本実施例に係るダイクロイックミラーの波長特性が示されている。図16に示されるように、本実施例に係るダイクロイックミラーでは、正規の角度を上回る入射角で入射する励起波長域の光を十分に遮断することは難しく、部分Cから生じる散乱光C1、C2、C3を十分に遮断することができない。
しかしながら、本実施例に係るバリアフィルタは、実施例1に係るバリアフィルタ16と同じものである。そして、その光学面とダイクロイックミラーの光学面となす角度θが50度になるように配置されている点も、バリアフィルタ16と同様である。従って、本実施例でも、実施例1と同様に、部分Cから生じる散乱光は、バリアフィルタで十分に遮断することができる。
以上のように、本実施例に係る蛍光キューブでは、従来の蛍光キューブでは難しかった筐体の部分Bからの散乱光と部分Cからの散乱光との両方を十分に減衰させることが可能であり、その結果、実施例1に係る蛍光キューブと同様に、筐体の任意の部位で生じる散乱光を減衰させることができる。従って、軸外光の散乱に起因する光が観察光路に入ることを効果的に防ぐ事ができる。また、蛍光フィルタセットを構成する各フィルタに光学多層膜が形成されているため、波長選択や波長分離を高い効率で行うことができる点も、実施例1に係る蛍光キューブと同様である。
また、本実施例に係る蛍光キューブでは、筐体内面に粗めのシボ加工が施されて、さらに、反射防止シートも設置されているため、筐体内面での散乱光の発生自体を抑えることができる。
また、本実施例に係る蛍光キューブでは、45度の入射角で入射する励起波長域の光に加えて、0〜20度の入射角で入射する励起波長域の光についても光学多層膜で遮断するように、ダイクロイックミラーが構成されている。これにより、ダイクロイックミラーの品質(光学特性、耐環境性)の安定及び向上、特にダイクロイックミラーにおける0〜20度の入射角で入射する励起波長域の光に対する光遮断性能の向上、が実現されるため、実施例1に係る蛍光キューブに比べてノイズレベルをさらに低減することができる。
また、本実施例に係る蛍光キューブでは、0〜20度の入射角で入射する励起波長域の光に対する光学濃度が励起波長域全体の平均で3を越えるようにダイクロイックミラーが構成されている点も、全体のノイズレベルをバランスよく抑えることに寄与する。さらに、筐体と光学多層膜とが隙間無く配置され、その結果、これらの隙間からの励起波長域の光漏れを完全に防止することができる点もノイズレベルの低減に寄与する。従って、本実施例に係る蛍光キューブによれば、実施例1に係る蛍光キューブよりもさらに高い蛍光観察性能を実現することができる。
図17は、本実施例に係る蛍光顕微鏡の構成を例示した図である。図17に示す蛍光顕微鏡30は、走査型共焦点レーザ顕微鏡であり、試料Sからの蛍光を検出することで試料Sを観察する蛍光観察機器であるという点は図4に示す蛍光顕微鏡20と同様である。
蛍光顕微鏡30は、照明光路上に、レーザ31と、照明光学系32とを備え、観察光路上に、結像レンズ39と、共焦点絞り40と、検出装置41とを備えている。蛍光顕微鏡30は、さらに蛍光キューブ33を備え、蛍光キューブ33は照明光路と観察光路の交わる箇所に配置されている。蛍光顕微鏡30は、蛍光キューブ33と試料Sとの間に、XYスキャナー37と、対物レンズ38と、を備えている。
レーザ31は、例えば、励起波長域の光である488nmのレーザ光を出射するアルゴンレーザである。照明光学系32は、レーザ31からのレーザ光を蛍光キューブ33に入射させる。XYスキャナー37は、例えば、ガルバノミラーであり、対物レンズ38の光軸と直交するXY方向にレーザ光で標本Sを走査する。対物レンズ38は、XYスキャナー37からのレーザ光を標本Sに照射し、標本Sからの蛍光及び標本Sを反射・散乱した励起光を、XYスキャナー37を介して蛍光キューブ33に入射させる。結像レンズ39は、蛍光キューブ33を透過した蛍光を集光させる。共焦点絞り40は、対物レンズ38の焦点位置と光学的に共役な位置にピンホールが形成された絞りである。共焦点絞り40が試料Sの焦点位置以外の位置から生じた蛍光を遮断することで、検出装置41は試料Sの焦点位置から生じた蛍光のみを検出する。検出装置41は、例えば、光電子増倍管(PMT)である。
蛍光キューブ33は、波長分離素子であるダイクロイックミラー35及び蛍光波長選択素子であるバリアフィルタ36からなる蛍光フィルタセット34と、蛍光フィルタセット34を支持する筐体とを有している。なお、蛍光キューブ33は、励起波長選択素子である励起フィルタを有しない点を除き、実施例2に係る蛍光キューブと同様である。
即ち、本実施例では、励起フィルタを用いることなく、励起波長域の光が直接レーザ31から出射される点が、実施例2と大きく異なっているが、本実施例に係る蛍光キューブ33によっても、実施例2に係る蛍光キューブと同様の効果を得ることができる。
また、一般に非常に強い光が入射する励起フィルタでは散乱光が生じ得るが、本実施例に係る蛍光キューブ33では、励起フィルタが省略されているため、励起フィルタで発生するはずの散乱光が発生しない。このため、蛍光キューブ33で生じる散乱光自体を減らすことができる。これに対して、実施例1及び実施例2に係る蛍光キューブでは、励起フィルタで散乱光が生じるが、励起フィルタで生じる散乱光をその出射角度によらずダイクロイックミラー又はバリアフィルタで遮断することができる。このため、実施例1及び実施例2に係る蛍光キューブのような励起フィルタを有する蛍光キューブは、より多くの散乱光を遮断することができる。
また、本実施例に係る蛍光顕微鏡30は、光源としてレーザ31を備えている。一般的にレーザを用いる観察ではノイズ低減に対する要求が厳しい。この点においてノイズの低減に効果的な蛍光キューブ33の使用は好適である。
上述した実施例は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。上述した蛍光キューブ及び顕微鏡は、特許請求の範囲により規定される本発明の思想を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。例えば、上述した実施例では、励起波長域として473-495nmの波長範囲が例示されているが、蛍光フィルタセットに形成される多層膜フィルタの膜厚比率を変更することで励起波長域は変更可能であり、この点は蛍光波長域についても同様である。従って、本発明の励起波長域や蛍光波長域は特定の波長範囲に限られるものではなく、任意に変更可能である。
また、上述した実施例2及び実施例3において、ダイクロイックミラーの光学多層膜が、筐体に基板が支持された状態で基板表面のうちの露出している部分全体に形成される例を示したが、実施例1に係るダイクロイックミラーも同様に構成してもよい。
また、上述した実施例では、筐体内面での光の散乱を抑制するための処理として、黒アルマイト処理、植毛紙の貼付け処理、シボ加工処理などを例示したが、表面に凹凸をつけるサンドブラスト処理、黒色塗料による塗装処理などの他の処理によって散乱を抑制してもよい。
1 白色光源
2、12、33 蛍光キューブ
3、13、34 蛍光フィルタセット
4、14 励起フィルタ
5、15、35 ダイクロイックミラー
6、16、36 バリアフィルタ
7、17 筐体
8、18 反射防止シート
9、19、38 対物レンズ
10、20、30 蛍光顕微鏡
11 光源
21、32 照明光学系
22、39 結像レンズ
23、41 検出装置
31 レーザ
37 XYスキャナー
40 共焦点絞り
S 試料

Claims (12)

  1. 蛍光観察機器において使用される蛍光キューブであって、
    励起波長域の光を遮断して蛍光波長域の光を選択的に透過させる蛍光波長選択素子と、
    45度の入射角で入射した前記励起波長域の光を反射し、45度の入射角で入射した前記蛍光波長域の光を透過させる波長分離素子と、
    前記蛍光波長選択素子の光学面と前記波長分離素子の光学面のなす角度が45度よりも大きくなるように、前記蛍光波長選択素子と前記波長分離素子とを支持する筐体と、を備える
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  2. 請求項1に記載の蛍光キューブにおいて、
    前記波長分離素子は、0度から20度の間の入射角で入射する前記励起波長域の光を遮断するように、構成される
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  3. 請求項2に記載の蛍光キューブにおいて、
    前記波長分離素子は、
    前記蛍光波長域の光及び前記励起波長域の光に対して透明な基板と、
    前記基板上に形成された光学多層膜と、を備える
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  4. 請求項3に記載の蛍光キューブにおいて、
    前記光学多層膜は、
    0度から20度の間の入射角で入射する前記励起波長域の光を反射する繰り返し層部分と、
    45度の入射角で入射する前記励起波長域の光を反射する繰り返し層部分と、を備える
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  5. 請求項2に記載の蛍光キューブにおいて、
    前記波長分離素子は、
    前記励起波長域の光を遮断する色ガラスからなる基板と、
    前記基板上に形成された光学多層膜と、を備える
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  6. 請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の蛍光キューブにおいて、
    前記光学多層膜は、
    前記筐体に前記基板が支持された状態で前記基板の少なくとも一面のうちの露出している部分全体に形成される
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  7. 請求項2に記載の蛍光キューブにおいて、
    前記波長分離素子は、0度から20度の間の入射角で入射する光に対する光学濃度が前記励起波長域全体の平均で3を越えるように、構成される
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の蛍光キューブにおいて、
    前記蛍光波長選択素子は、
    前記蛍光波長域の光及び前記励起波長域の光に対して透明な基板と、
    前記蛍光波長選択素子の前記基板上に形成された光学多層膜と、を備える
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の蛍光キューブにおいて、
    前記筐体の内面に光の反射を抑える処理が施されている
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の蛍光キューブにおいて、さらに、
    前記励起波長域の光を選択的に透過させる励起波長選択素子を備え、
    前記筐体は、前記励起波長選択素子の光学面と前記波長分離素子の光学面のなす角度が45度となり、且つ、前記励起波長選択素子の光学面と前記蛍光波長選択素子の光学面のなす角度が90度よりも大きくなるように、前記励起波長選択素子を支持する
    ことを特徴とする蛍光キューブ。
  11. 照明光路と観察光路の交わる箇所に、前記照明光路の光軸及び前記観察光路の光軸の各々と前記波長分離素子の光学面とのなす角度が45度となるように配置された、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の蛍光キューブを備えることを特徴とする光学顕微鏡。
  12. 照明光路と観察光路の交わる箇所に、前記照明光路の光軸及び前記観察光路の光軸の各々と前記波長分離素子の光学面とのなす角度が45度となるように配置された、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の蛍光キューブと、
    前記励起波長域の光を出射するレーザ光源と、を備える
    ことを特徴とする光学顕微鏡。
JP2014066748A 2014-03-27 2014-03-27 蛍光キューブ及び光学顕微鏡 Active JP6457186B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014066748A JP6457186B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 蛍光キューブ及び光学顕微鏡

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014066748A JP6457186B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 蛍光キューブ及び光学顕微鏡

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015191041A true JP2015191041A (ja) 2015-11-02
JP6457186B2 JP6457186B2 (ja) 2019-01-23

Family

ID=54425595

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014066748A Active JP6457186B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 蛍光キューブ及び光学顕微鏡

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6457186B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018536191A (ja) * 2015-11-05 2018-12-06 ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングLeica Microsystems CMS GmbH 透過顕微鏡検査および蛍光顕微鏡検査のための顕微鏡

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10115781A (ja) * 1997-11-18 1998-05-06 Olympus Optical Co Ltd 光学顕微鏡
JPH11218678A (ja) * 1998-01-29 1999-08-10 Nikon Corp フィルタカセット
JP2005106801A (ja) * 2003-06-25 2005-04-21 Olympus Corp 蛍光観察用装置
JP2005321753A (ja) * 2004-04-05 2005-11-17 Olympus Corp 落射顕微鏡および蛍光フィルターセット
US20060012860A1 (en) * 2004-07-19 2006-01-19 Leica Microsystems Cms Gmbh Indexable microscope
JP2008111914A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Olympus Corp 蛍光キューブ及びそれを備えた蛍光顕微鏡
JP2011118265A (ja) * 2009-12-07 2011-06-16 Nikon Corp 顕微鏡装置
JP2011164409A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Sanyo Electric Co Ltd 蛍光キューブ,照明切替装置及び蛍光測定装置
JP2011242437A (ja) * 2010-05-14 2011-12-01 Olympus Corp 多層膜フィルター、及び、それを用いた蛍光顕微鏡
WO2014013912A1 (ja) * 2012-07-19 2014-01-23 株式会社ニコン 光学素子、光学装置、計測装置、及びスクリーニング装置

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10115781A (ja) * 1997-11-18 1998-05-06 Olympus Optical Co Ltd 光学顕微鏡
JPH11218678A (ja) * 1998-01-29 1999-08-10 Nikon Corp フィルタカセット
JP2005106801A (ja) * 2003-06-25 2005-04-21 Olympus Corp 蛍光観察用装置
JP2005321753A (ja) * 2004-04-05 2005-11-17 Olympus Corp 落射顕微鏡および蛍光フィルターセット
US20060012860A1 (en) * 2004-07-19 2006-01-19 Leica Microsystems Cms Gmbh Indexable microscope
JP2008111914A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Olympus Corp 蛍光キューブ及びそれを備えた蛍光顕微鏡
JP2011118265A (ja) * 2009-12-07 2011-06-16 Nikon Corp 顕微鏡装置
JP2011164409A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Sanyo Electric Co Ltd 蛍光キューブ,照明切替装置及び蛍光測定装置
JP2011242437A (ja) * 2010-05-14 2011-12-01 Olympus Corp 多層膜フィルター、及び、それを用いた蛍光顕微鏡
WO2014013912A1 (ja) * 2012-07-19 2014-01-23 株式会社ニコン 光学素子、光学装置、計測装置、及びスクリーニング装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018536191A (ja) * 2015-11-05 2018-12-06 ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングLeica Microsystems CMS GmbH 透過顕微鏡検査および蛍光顕微鏡検査のための顕微鏡

Also Published As

Publication number Publication date
JP6457186B2 (ja) 2019-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10649186B2 (en) Mobile microscope
US9488818B2 (en) Immersion objective for microscopes and use thereof
JP2008197127A (ja) 顕微鏡用対物レンズおよびそれを備えた蛍光検出システムと多光子励起レーザー走査型顕微鏡
US20080062511A1 (en) Laser scanning microscope for fluorescence testing
CN106324819B (zh) 抗眩光匀光光源及具该光源的影像撷取装置
JP2019039993A (ja) 蛍光観察用フィルタ及び蛍光観察顕微鏡
Gauderon et al. Effect of a confocal pinhole in two‐photon microscopy
JP2010054601A5 (ja)
JP4837279B2 (ja) 落射顕微鏡および蛍光フィルターセット
US11016022B2 (en) Multimodal imaging system
JP6457186B2 (ja) 蛍光キューブ及び光学顕微鏡
US8212215B2 (en) Refraction assisted illumination for imaging
JP4488299B2 (ja) ダイクロイックミラー、蛍光フィルタセットおよび顕微鏡装置
JP2009009139A (ja) 波長特異的位相顕微鏡検査法
US20090273831A1 (en) Light module, optical tweezers generator and dark field microscope
WO2011119372A1 (en) Refraction assisted illumination for imaging
JP6153321B2 (ja) 顕微鏡
JP2009019961A (ja) 蛍光検出システム
US9977155B2 (en) Microscope apparatus
US20090097110A1 (en) Polarized phase microscopy
JP4786154B2 (ja) 反射防止膜を設けた光学素子を備えた顕微鏡
JP5321305B2 (ja) 走査型顕微鏡
Sanderson Confocal microscopy
JP2008111914A (ja) 蛍光キューブ及びそれを備えた蛍光顕微鏡
US11533392B1 (en) Solid-state illumination system for compact microscopy

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170919

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180424

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181220

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6457186

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250