JP5321305B2 - 走査型顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、走査型顕微鏡に関し、特に、試料からの光をデスキャンせずに検出する走査型顕微鏡に関する。
近年、生物顕微鏡の分野では、非線形効果を利用した顕微鏡が注目を浴びている。なかでも、多光子励起を利用した走査型多光子顕微鏡(例えば、特許文献1参照)は、拡散に強く、試料の深い部位まで観察することができるため、ユーザからの需要が増加している。走査型多光子顕微鏡を用いれば、例えば、これまで観察の難しかった脳などの拡散の大きい試料の観察が可能となる。
また、従来の走査型共焦点顕微鏡では、レーザ光(以下、励起光と称する)を走査しながら照射することにより試料から発せられる観察光をデスキャンしながら、ピンホールを通過させて共焦点効果を得ることにより、光軸方向の分解能を得ている。これに対して、走査型多光子顕微鏡では、試料における励起光の集光位置の部位だけが励起されるので、ピンホールを用いなくても光軸方向の分解能を得ることができる。
このように、走査型多光子顕微鏡では、ピンホールを使用しなくてよいため、必ずしも試料からの観察光をデスキャンする必要はない。従って、例えば、励起光を走査する走査手段と対物レンズとの間に光束分離手段を設け、光束分離手段により励起光と異なる方向に観察光を反射し、反射された観察光を、デスキャンせずにPMT(photo multiplier tube:光電子増倍管)などの検出手段により検出するようにすることが可能である。このように走査型顕微鏡において観察光をデスキャンせずに検出する光学系をNDD(Non Descanned Detector)ともいう。
従来の走査型共焦点顕微鏡が、試料のピンホールと共役な部分からの観察光しか受光できないのに対し、NDDを用いた走査型多光子顕微鏡では、励起光のスポットの周りの散乱した光も受光することができ、より明るい画像を得ることができる。
特開2000−330029号公報
ところで、従来の観察光をデスキャンする光学系では、検出手段に入射する光束の入射角がほぼ0度となるため、検出手段に入射する光束に対して垂直にバリアフィルタを配置するだけで、カバーガラスなどで反射された励起光が検出手段に入射するのを十分に防止することができた。
一方、NDDでは、観察光をデスキャンせずに検出するため、検出手段に入射する光束の入射角は必ずしも0度とは限らず、様々な入射角の光束が入射する。従って、バリアフィルタに入射する光束の入射角も一定ではなくなるため、観察光をデスキャンする光学系の場合と同様にバリアフィルタを配置したのでは、励起光が検出手段に入射するのを十分に防止できない可能性がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、試料からの観察光を検出する検出手段への励起光の入射を簡単かつ確実に防止できるようにするものである。
本発明の一側面の走査型顕微鏡は、多光子励起可能な励起光を走査手段を介して走査しながら試料に照射し、前記試料から発せられた観察光を前記走査手段による走査をせずに検出手段で検出する走査型顕微鏡であって、前記観察光を検出する前記検出手段までの前記観察光の光路上に、前記励起光と同じ波長域の光を遮蔽する特性を有し、かつ前記観察光を選択的に透過する特性を有しない第1の遮光手段と、前記励起光と同じ波長域の光を遮蔽する特性を有し、かつ前記観察光を選択的に透過する特性を有しない第2の遮光手段とを備え、前記第1の遮光手段を透過し、前記第2の遮光手段に入射する前記励起光の少なくとも一部の前記第2の遮光手段への入射角が、前記第1の遮光手段への入射角とは異なるように構成されてなる。
本発明の一側面の走査型顕微鏡においては、第1の遮光手段および第2の遮光手段により、観察光を検出する検出手段に向かう光のうち、励起光と同じ波長域の光が遮蔽される。
本発明の一側面によれば、試料からの観察光を検出する検出手段への励起光の入射を簡単かつ確実に防止することができる。
本発明を適用した走査型顕微鏡の一実施の形態を示すブロック図である。 走査型顕微鏡を走査型多光子顕微鏡として用いる場合の観察光の光路の具体例を示す図である。 IRカットフィルタの性能の一例を示す図である。 対物レンズから、IRカットフィルタの間に配置されるレンズの焦点面までの光路を直線上に並べて示した図である。 IRカットフィルタの間に配置されるレンズの設置条件を説明するための図である。 IRカットフィルタの間に配置されるレンズの設置条件を説明するための図である。 IRカットフィルタの間に配置されるレンズの設置条件を説明するための図である。 IRカットフィルタの設置条件を変えて遮光性能を比較した実験結果を示す図である。 IRカットフィルタの他の設置例を示す図である。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した走査型顕微鏡の一実施の形態を示す図である。
走査型顕微鏡1のレーザ光源11は、波長が異なる複数のレーザ光を、同時または個別に射出することが可能である。なお、以下、レーザ光源11から赤外光および可視光の2種類のレーザ光が射出されるものとして説明する。また、以下、レーザ光源11から射出される赤外光は、試料2の多光子励起を誘発するための、所定の周期で射出される非常に短い(例えば、100フェムト秒)パルス状の光(以下、IRパルス光と称する)であるものとする。
レーザ光源11から射出されたレーザ光は、走査装置12、集光レンズ13、ダイクロイックミラー14および対物レンズ15を通って、ステージ16上に設置されている試料2に照射される。
より具体的には、レーザ光源11から射出されたレーザ光は、走査装置12に入射し、ダイクロイックミラー41を透過し、走査部42に入射する。走査部42は、例えば、ガルバノスキャナにより構成され、レーザ光は、走査部42により偏向され、瞳投影レンズ43を透過して、走査装置12から射出される。
瞳投影レンズ43を透過したレーザ光は、いったん集光した後、集光レンズ13により平行光束とされ、ダイクロイックミラー14を透過し、対物レンズ15により試料2の観察面において集光される。このとき、走査部42は、図示せぬ制御部の制御の基に、レーザ光の走査範囲や走査速度を制御しながら、試料2の観察面においてレーザ光を走査する。
なお、試料2の観察時には、IRパルス光または可視光のいずれか一方が試料2の画像を得るためのイメージング(励起)用の励起光として用いられる。
例えば、IRパルス光を励起光として用いる場合、可視光は、全く使用されないか、または試料2の光刺激用として使用される。この場合、IRパルス光が試料2に照射されると、試料2からは多光子励起による蛍光が発現し、この蛍光は、観察光となって、対物レンズ15を透過し、対物レンズ15により平行光束とされ、ダイクロイックミラー14に入射し、ダイクロイックミラー14により、NDD(Non Descaned Detector)17の方向に反射され、NDD17に入射する。
NDD17に設けられているIRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bは、同じ性能を有し、IRパルス光と同じ波長域を含む所定の波長域の光を遮蔽し、それ以外の波長の光を透過する。そして、NDD17に入射した観察光は、IRカットフィルタ61aにより所定の波長域の成分が遮蔽され、それ以外の成分が透過される。IRカットフィルタ61aを透過した観察光は、レンズ62により集光されながら、IRカットフィルタ61bに入射し、IRカットフィルタ61bにより所定の波長域の成分が遮蔽され、それ以外の成分が透過される。
IRカットフィルタ61bを透過した観察光は、ダイクロイックミラー63に入射し、所定の第1の波長域以外の成分が、ダイクロイックミラー63を透過し、第1の波長域の成分が、ダイクロイックミラー63により、バリアフィルタ64bの方向に反射される。ダイクロイックミラー63を透過した観察光は、バリアフィルタ64aにより所定の第2の波長域の成分が透過され、レンズ65aにより平行光束とされ、PMT(photo multiplier tube:光電子増倍管)66aに入射する。また、バリアフィルタ64bの方向に反射された観察光は、バリアフィルタ64bにより第1の波長域の成分が透過され、レンズ65bにより平行光束とされ、PMT66bに入射する。
PMT66a,66bは、それぞれ受光した観察光を検出し、その光量に応じた電圧の検出信号を図示せぬコントローラに供給する。なお、試料2に照射されるIRパルス光は、上述したように走査部42により走査されるので、PMT66a,66bは、試料2の観察面にわたる観察光を検出する。そして、図示せぬコントローラは、PMT66a,66bからの各電気信号に基づいて、試料2の観察画像を生成する。
これに対して、可視光が励起光として用いられる場合、IRパルス光は、多光子励起による試料2の光刺激用として使用される。すなわち、IRパルス光により試料2の観察面が刺激された状態で、その観察面に可視光が照射されると、試料2からは蛍光が発現し、この蛍光は観察光となって、対物レンズ15を透過し、対物レンズ15により平行光束とされ、ダイクロイックミラー14を透過し、集光レンズ13によりいったん集光された後、瞳投影レンズ43により平行光束とされ、走査部42に入射する。そして、観察光は、走査部42によりデスキャンされ、ダイクロイックミラー41により集光レンズ44の方向に反射される。集光レンズ44の方向に反射された観察光は、対物レンズ15の焦点位置とほぼ共役な位置に設けられたピンホール45を通って、PMT46に入射する。
PMT46は、受光した観察光を検出し、その光量に応じた電圧の検出信号を図示せぬコントローラに供給する。なお、試料2に照射される可視光は、上述したように走査部42により走査されるので、PMT46は、試料2の観察面にわたる観察光を検出する。そして、図示せぬコントローラは、PMT46からの電気信号に基づいて、試料2の観察画像を生成する。
このように、走査型顕微鏡1では、走査型多光子顕微鏡および走査型共焦点顕微鏡の両方として使用することができる。
なお、以下、IRカットフィルタ61aおよびIRカットフィルタ61bを、特に区別する必要がない場合、単に、IRカットフィルタ61と称する。
図2は、走査型顕微鏡1を走査型多光子顕微鏡として用いる場合の観察光の光路の具体例を示す図である。
対物レンズ15の光軸付近にある、試料2の観察面Sの点A1から発現された観察光L1は、対物レンズ15により平行光束とされ、対物レンズ15の瞳Pを通過し、ダイクロイックミラー14によりNDD17の方向に反射される。NDD17に入射した観察光L1は、ほぼ垂直な方向からIRカットフィルタ61aに入射し、IRカットフィルタ61aを透過した後、レンズ62により集光されながら、IRカットフィルタ61bを透過し、レンズ62の焦点面Fにおいて集光する。そして、観察光L1は、ダイクロイックミラー63により2方向に分岐され、ダイクロイックミラー63を透過した観察光は、バリアフィルタ64aを透過し、レンズ65aにより平行光束とされ、ほぼ垂直な方向からPMT66aに入射する。一方、ダイクロイックミラー63により反射された観察光L1は、バリアフィルタ64bを透過し、レンズ65bにより平行光束とされ、ほぼ垂直な方向からPMT66bに入射する。
また、対物レンズ15の光軸からずれた位置にある、試料2の観察面Sの点A2から発現された観察光L2は、観察光L1と同様にして、NDD17に入射する。NDD17に入射した観察光L2は、斜め方向からIRカットフィルタ61aに入射し、IRカットフィルタ61aを透過した後、レンズ62により集光されながら、IRカットフィルタ61bを透過し、レンズ62の焦点面Fにおいて集光する。そして、観察光L2は、ダイクロイックミラー63により2方向に分岐され、ダイクロイックミラー63を透過した観察光は、バリアフィルタ64aを透過し、レンズ65aにより平行光束とされ、斜め方向からPMT66aに入射する。一方、ダイクロイックミラー63により反射された観察光L2は、バリアフィルタ64bを透過し、レンズ65bにより平行光束とされ、斜め方向からPMT66bに入射する。
このように、走査型顕微鏡1を走査型多光子顕微鏡として使用する場合、観察光がデスキャンされないため、試料2の観察面Sにおいて観察光が発現する位置によって、NDD17の各部(IRカットフィルタ61a、IRカットフィルタ61b、PMT66a、PMT66bなど)への入射角が異なる。
また、NDD17には、多光子励起に用いるIRパルス光の一部が、ノイズ光として入射する。例えば、対物レンズ15の瞳Pを通過したIRパルス光の一部が、試料2の上に載置されたカバーガラス(不図示)の界面や対物レンズ15により反射され、観察光とほぼ同じ光路を辿って、NDD17に入射する。NDD17に入射するIRパルス光の大部分は、この光路を辿る。
また、例えば、IRパルス光の一部が、対物レンズ15の瞳に入らずに、走査型顕微鏡1の鏡筒内で反射され、NDD17に入射する。そのほとんどは、対物レンズ15の瞳Pおよびその近傍を通過して、NDD17に入射する。
従って、NDD17に入射するIRパルス光(ノイズ光)は、ほぼ対物レンズ15の瞳Pを通過してNDD17に入射すると考えてよい。そして、ノイズ光のNDD17への入射角も、観察光と同様に様々な値をとる。
IRパルス光は、光出力が数Wに及ぶ強力なレーザ光であり、ノイズ光の光量は、試料2から発現される蛍光の光量と比較して決して弱くない。そのため、走査型顕微鏡1では、PMT66a,66bにノイズ光が入射するのを確実に防止するために、IRカットフィルタ61aおよびIRカットフィルタ61bの2枚のフィルタが設けられている。
ところで、一般的に光学フィルタの性能は、光線の入射角により異なる。図3は、IRカットフィルタ61の性能の一例を示している。なお、図内の横軸は波長を示し、縦軸はOD(Optical Density,光学濃度)を示している。また、図内の実線は、IRカットフィルタ61への光線の入射角が0度の場合の遮光特性を示し、点線は、入射角が45度の場合の遮光特性を示している。
図3に示されるように、入射角により、IRカットフィルタ61の遮光特性、すなわち、遮蔽される光の波長域および透過光のOD値は大きく異なり、入射角が小さいほど、全体的にOD値が大きくなり、遮光率が向上する。図3の例では、特に、850mn以上の長波長域において、その傾向が顕著に現れている。
上述したように、ノイズ光のIRカットフィルタ61aへの入射角は様々であり、例えば、図2の観察光L1と同様に、IRカットフィルタ61aに対して垂直に入射するノイズ光については、IRカットフィルタ61aで十分に遮蔽することができる。一方、図2の観察光L2と同様に、IRカットフィルタ61aに対して斜めから入射するノイズ光については、その入射角によっては、IRカットフィルタ61aで十分に遮光できない可能性がある。そのため、走査型顕微鏡1では、IRカットフィルタ61aだけでなく、IRカットフィルタ61bを用いて、ノイズ光の除去を行っている。
また、IRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bとの間に配置されているレンズ62により、IRカットフィルタ61aを透過するノイズ光のほとんどが屈折され、IRカットフィルタ61aへの入射角とIRカットフィルタ61bへの入射角とが異なるようになっている。従って、レンズ62を挟まずに、互いの遮光面が平行になるようにIRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bとを並べた場合と比較して、IRカットフィルタ61aを透過したノイズ光を、より確実にIRカットフィルタ61bにより遮蔽することができる。
ここで、図4乃至図7を参照して、レンズ62の設置位置の条件について考える。なお、図4は、対物レンズ15からレンズ62の焦点面Fまでの光路を、分かりやすくするために直線上に並べて示した図である。なお、図中、光束L11は、図2の観察光L1と同じ光路を進む光束を示しており、光束L12は、図2の観察光L2と同じ光路を進む光束を示している。また、以下、対物レンズ15の瞳Pとレンズ62との間の距離をdとし、レンズ62の焦点距離(図内のレンズ62と焦点面Fとの間の距離)をfとする。
上述したように、例えば、ノイズ光が光束L11と同じ光路を進み、ほぼ垂直な方向からIRカットフィルタ61aに入射する場合、ノイズ光は、IRカットフィルタ61aにより十分遮蔽される。一方、ノイズ光が光束L12と同じ光路を進み、斜め方向からIRカットフィルタ61aに入射する場合、ノイズ光は、IRカットフィルタ61aにより遮蔽されずに透過する割合が増え、十分な遮光率を確保できない可能性がある。よって、以下、ノイズ光が光束L12と同じ光路を進む場合について考える。
まず、距離d=焦点距離fである場合、光束L12の主光線Lmは、レンズ62を透過することにより、レンズ62の光軸とほぼ平行になり、ほぼ垂直な方向からIRカットフィルタ61bに入射する。従って、この場合、IRカットフィルタ61aを透過したノイズ光が、IRカットフィルタ61bにより遮蔽される割合は最大となる。
次に、焦点距離f<距離dである場合について考える。
まず、図5に示されるように、レンズ62の中心からの高さhの位置を通過する光線L21のIRカットフィルタ61aへの入射角(=対物レンズ15からの射出角=レンズ62への入射角)をθaとし、光線L21のIRカットフィルタ61bへの入射角(=レンズ62からの射出角)をθbとすると、入射角θaと入射角θbとの関係は、以下の式(1)により表される。
Figure 0005321305
なお、以下、図内の角度について、時計回りの方向を正の方向とし、反時計回りの方向を負の方向とする。従って、図5において、入射角θaは負の値となり、入射角θbは正の値となる。
そして、以下の式(2)が成り立つとき、すなわち、入射角θbの大きさ(絶対値)が入射角θaの大きさ(絶対値)より小さいとき、光線L21と同じ光路を進み、IRカットフィルタ61aを透過したノイズ光は、IRカットフィルタ61bにより十分に遮蔽されると考えられる。
Figure 0005321305
上述したように、NDD17に入射するノイズ光は、ほぼ対物レンズ15の瞳Pを通過すると考えてよい。従って、焦点距離fが距離dより短い場合に、ノイズ光のIRカットフィルタ61aへの入射角θaの大きさが最大になるのは、例えば、図6の光線L31のように、対物レンズ15の瞳Pの下端を通過し、レンズ62の有効径の上端を通過するときである。そして、入射角θaの大きさが最大のときに、式(2)が成り立つようにすれば、入射角θaの大きさに関わらず、IRカットフィルタ61aを透過したノイズ光を、IRカットフィルタ61bにより十分に遮蔽することができると考えられる。
ここで、観察に推奨される対物レンズ15の瞳Pの半径をh1、レンズ62の有効径の半径をh2とし、入射角θaが小さく、θa≒tanθa=−(h1+h2)/dが成り立つとすると、図6の光線L31について、式(2)は以下の式(3)に変形することができる。
Figure 0005321305
そして、焦点距離fが左辺にくるように式(3)を整理すると、以下の式(4)となる。
Figure 0005321305
従って、焦点距離fが距離dより短い場合、距離dと焦点距離fとの関係が式(4)を満たすとき、IRカットフィルタ61aを透過したノイズ光を、IRカットフィルタ61bにより十分に遮蔽することができると考えられる。
次に、焦点距離f>距離dである場合について考える。この場合、レンズ62を透過した光が、レンズ62の焦点面Fにおいて、レンズ62の有効径以上の大きさで結像してしまうと、NDD17のサイズを大きくする必要が生じる。
例えば、図7に示されるように、レンズ62の有効径の上端を通過する光束L41の焦点面Fにおける結像位置をxとし、結像位置xとレンズ62の光軸との間の距離をh3とすると、距離h3>レンズ62の有効径の半径h2となる場合に、NDD17のサイズを大きくする必要が生じる。これは、光束L41の上端の光線LuのIRカットフィルタ61bへの入射角θbが、0より小さくなる場合である。従って、焦点距離fが距離dより長い場合には、光線LuのIRカットフィルタ61bへの入射角θbが、以下の式(5)を満たすようにすればよい。すなわち、光線Luが、レンズ62を透過した後、図内の水平方向または斜め下方向に進むようにすればよい。
Figure 0005321305
なお、式(5)のθaは、光線LuのIRカットフィルタ61aへの入射角を表している。ここで、入射角θaが小さく、θa≒tanθa=−(h2−h1)/dが成り立つとすると、式(5)は以下の式(6)に変形することができる。
Figure 0005321305
そして、焦点距離fが左辺にくるように式(6)を整理すると、以下の式(7)となる。
Figure 0005321305
以上の式(4)と式(7)を組み合わせると、以下の式(8)となる。
Figure 0005321305
ここで、対物レンズ15の瞳Pの半径h1およびレンズ62の有効径の半径h2の代わりに、対物レンズ15の瞳径φ1およびレンズ62の有効径φ2を用いると、式(8)は以下の式(9)となる。
Figure 0005321305
なお、対物レンズ15の瞳径φ1<レンズ62の有効径φ2(対物レンズ15の瞳Pの半径h1<レンズ62の有効径の半径h2)であるものとする。
従って、距離dと焦点距離fとの関係が、式(9)を満たす場合、NDD17のサイズを大きくすることなく、PMT66aおよびPMT66bへのノイズ光の入射を確実に防止することができる。
なお、式(9)を距離dについて整理すると、以下の式(10)となる。
Figure 0005321305
なお、以上に説明したレンズ62の設置条件は、その一例であり、例えば、IRカットフィルタ61の性能、レンズ62の性能など、さらに他のパラメータを考慮して、設置条件を求めるようにしてもよい。
図8は、走査型顕微鏡1において、IRカットフィルタ61の設置条件を変えて遮光性能を比較した実験結果を示している。より具体的には、図8は、試料2の代わりに素ガラスを設置し、素ガラスにより反射されたIRレーザ光がNDD17に入射される状態で、IRカットフィルタ61aを1枚のみで使用したした場合、IRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bの間にレンズ62を挟まずに2枚重ねた場合、または、上述したようにIRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bの間にレンズ62を挟んだ場合のPMT66aの受光量を比較した結果を示している。
図8に示されるように、PMT66aの受光量は、IRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bの間にレンズ62を挟んだ場合が最も小さく、IRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bを2枚重ねた場合が次に小さく、IRカットフィルタ61aを1枚のみで使用した場合が最も大きくなっている。換言すれば、IRパルス光(ノイズ光)に対する遮光性能は、IRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bの間にレンズ62を挟んだ場合が最も高く、IRカットフィルタ61aを1枚のみで使用した場合が最も低くなる。特に、IRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bの間にレンズ62を挟んだ場合には、IRパルス光(ノイズ光)に対する遮光性能が劇的に向上していることが分かる。
以上の結果から、ただIRカットフィルタ61を2枚重ねて置くだけでなく、設置条件を工夫することにより、簡単にノイズ光に対する遮光性能を向上できることが分かる。
なお、IRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bの間にレンズ62を挟む以外にも、例えば、図9に示されるように、レンズ62の前に、IRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bを、互いの遮光面を傾けて配置するようにしてもよい。これにより、ノイズ光のIRカットフィルタ61aへの入射角とIRカットフィルタ61bへの入射角が異なるようになり、IRカットフィルタ61aを透過したノイズ光を、より確実にIRカットフィルタ61bにより遮蔽することが可能になる。
なお、図9では、IRカットフィルタ61aの遮光面が、レンズ62の光軸に対して垂直になるように配置されているが、IRカットフィルタ61aではなくIRカットフィルタ61bの遮光面を、レンズ62の光軸に対して垂直になるように配置するようにしてもよい。また、IRカットフィルタ61aおよびIRカットフィルタ61bの両方とも、レンズ62の光軸に対して傾けて配置するようにしてもよい。
また、入射角に対する性能が互いに異なるように、IRカットフィルタ61aとIRカットフィルタ61bを選定するようにしてもよい。例えば、入射光を遮蔽できる遮光帯域がほぼ同じで、入射角に対する遮光特性が互いに異なるように(例えば、一方が、入射角が0度の光線に対する遮光率が最も高く、他方が、所定の斜め方向の入射角の光線に対する遮光率が最も高くなるように)、IRカットフィルタ61aおよびIRカットフィルタ61bを選定するようにしてもよい。これにより、IRカットフィルタ61aを透過したノイズ光を、より確実にIRカットフィルタ61bにより遮蔽することが可能になる。
さらに、IRカットフィルタ61の枚数は2枚に限定されるものではなく、3枚以上用いるようにしてもよい。
また、レンズ62は、1枚のレンズにより実現するようにしてもよいし、複数のレンズ群により実現するようにしてもよい。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
1 走査型顕微鏡, 2 試料, 11 レーザ光源, 12 走査装置, 14 ダイクロイックミラー, 15 対物レンズ, 17 NDD, 61a,61b IRカットフィルタ, 62 レンズ, 65a,65b レンズ, 66a,66b PMT

Claims (6)

  1. 多光子励起可能な励起光を走査手段を介して走査しながら試料に照射し、前記試料から発せられた観察光を前記走査手段による走査をせずに検出手段で検出する走査型顕微鏡において、
    前記観察光を検出する前記検出手段までの前記観察光の光路上に、
    前記励起光と同じ波長域の光を遮蔽する特性を有し、かつ前記観察光を選択的に透過する特性を有しない第1の遮光手段と、
    前記励起光と同じ波長域の光を遮蔽する特性を有し、かつ前記観察光を選択的に透過する特性を有しない第2の遮光手段と
    を備え、
    前記第1の遮光手段を透過し、前記第2の遮光手段に入射する前記励起光の少なくとも一部の前記第2の遮光手段への入射角が、前記第1の遮光手段への入射角とは異なるように構成されてなる
    走査型顕微鏡。
  2. 前記第1の遮光手段と前記第2の遮光手段とは同じ性能を有し、
    前記第1の遮光手段と前記第2の遮光手段との間に、前記第1の遮断手段を透過した光を集光するレンズを備える
    請求項1に記載の走査型顕微鏡。
  3. 前記励起光を前記試料に集光し、前記試料から発せられた前記観察光が透過する対物レンズの瞳と前記レンズとの間の距離をd、前記レンズの焦点距離をf、前記対物レンズの瞳径をφ1、前記レンズの有効径をφ2とした場合、以下の式を満たす
    Figure 0005321305
    請求項2に記載の走査型顕微鏡。
  4. 前記第1の遮光手段の遮光面と前記第2の遮光手段の遮光面のうちの少なくとも1つの遮光面が前記第1の遮光手段と前記第2の遮光手段とを含む光学系の光軸に対して傾けて配置されている
    請求項1に記載の走査型顕微鏡。
  5. 前記第1の遮光手段と前記第2の遮光手段とは、遮光帯域がほぼ同じであり、かつ、入射角に対する遮光特性が異なる
    請求項1に記載の走査型顕微鏡。
  6. 前記第2の遮光手段と前記検出手段との間に、前記観察光を選択的に透過するバリアフィルタを備える
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の走査型顕微鏡。
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