JP2015190900A - 磁界検出素子および磁界検出方法 - Google Patents

磁界検出素子および磁界検出方法 Download PDF

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純喜 中村
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Abstract

【課題】小型化、低コスト化に有利な感磁素子及びこの感磁素子を備えた磁界検出装置、電子機器を提供すること。【解決手段】個別に通電可能であり且つ感磁方向が異なる複数の磁性薄膜(12)を基板(11)上に配置し、この複数の磁性薄膜上に共通のコイル(15)を設けたことを特徴とする感磁素子(10)である。また、個別に通電可能であり且つ感磁方向が異なる複数の磁性薄膜(12)を基板(11)上に配置し、この複数の磁性薄膜上に共通の平面コイル(15)を設け、複数の磁性薄膜は、基板の一方面上において所定の感磁方向となるように所定の角度ピッチ間隔で放射状に設けたことを特徴とする感磁素子である。【選択図】図1

Description

本発明は、直交フラックスゲート磁気センサを用いた地磁気等の磁界を対象とした、方位角や回転位置等の検出に関する。
従来、地磁気(数nT)などの微小磁界を検出する磁気センサとして、フラックスゲート型、磁気抵抗素子型、Hall素子型、磁気インピーダンス素子型等の数多くの手段が知られている。これらの中でも、高い感度が必要とされる場合、フラックスゲートセンサや磁気インピーダンス素子等の高感度の磁気センサが用いられる(例えば、特許文献1)。
地磁気等の外部磁界と、磁界検出装置との間の方位角を得るためには、まず、図25に示されるように、磁界検出素子を備える2つの磁界検出回路171、172の成す角が90度となるように配置する。そして、これらの磁界検出回路171、172から不図示の磁界検出手段を通して得られる2つの直流出力電圧Vx、Vyを基に方位を求める方法が主に用いられてきた。
つまり方位角θに対する、個々のセンサ出力(Vx、Vy)は、ゼロ磁界時の個々のセンサ出力(Vx0,、Vy0)を基にして、
Figure 2015190900
Figure 2015190900
を計算することにより、方位角θが得られる。ただしkはVx、Vyの感度差を補正する係数である。
しかしながら、磁界ゼロでの出力Vx0、Vy0が、外乱磁界等により初期設定とのずれが生じると、上記方位角θの演算精度に影響する。特に磁極に近いところやビル内では地磁気の水平成分が100mG以下となり、10mGに相当するゼロ磁界時の出力変化でも、精度に大きく影響を与える。
さらに、図26は、磁界検出回路171、172の出力特性を表すグラフを示す図であるが、上記方法で方位角θを高精度で得るためには、図26に示される磁界検出素子(磁界検出回路171、172)の特性を同じリニアな特性にする必要がある。しかしながら、磁界検出素子の温度ドリフトや回路の温度ドリフト等の影響で出力電圧値が変化してしまうと、前記出力電圧値を用いた方位角θの演算精度に影響が生じるため、磁界検出素子及び磁界検出装置の特性を同じリニアな特性とする必要があるが、磁界検出素子の感磁特性や磁界検出装置の回路ゲインなどの諸特性を磁界検出回路171及び172に両方において揃えることが困難となる場合がある。また、それら磁界検出回路の諸特性を補償するためには複雑な回路を必要とし、小型で低コスト化を要するものには不向きであった。
このような問題に対して、演算手段や回転等の機械的動作を不要とし、また簡単な構成で高精度に磁気強度および磁気方位を測定する方法として、以下のような提案がなされている。すなわち、上述のように磁界検出部(磁界検出素子)を2軸に直交配置するのではなく、多軸に磁界検出部を配置し、磁界感度の高い磁界検出部を選択することで、方位決定および磁気強度の測定を行う方法が特許文献2および特許文献3において提案されている。
特許第4695325号公報 特開2005−291906号公報 特開2003−185724号公報
ここで、特許文献2では、磁界検出部としてフラックスゲート型センサのコアを円周状に配置し、それぞれのコアに励磁コイルおよび誘導出力検出コイルが設置された磁気センサが開示されている。この磁気センサは、配置されたコアの方向ごとに外部磁気について磁界を検出し、スイッチング動作により検出部を順次切り替えて出力を取り出すように構成されている。
しかしながら、コア型のフラックスゲート型センサであって、磁界検出部を多軸に円周配置するように磁気センサを構成した場合、それぞれの磁界検出部において素子を励磁する必要があるため消費電流が大きい。また磁界検出部の2倍個数だけコイルを作製する必要があるため、回路規模が拡大してしまうという懸念がある。さらに、特にバルク磁性体をコアとして使用した場合、励磁コイルや検出コイルの取付け精度誤差がセンサ出力の個体差として現れ、検出精度に影響が出てしまう。
また、特許文献3では、薄膜磁気インピーダンス素子を用いて磁界検出部を中心部から放射状に配置することにより、特許文献2と同様に磁界検出部の各方向の磁界を検出している。
しかしながら、特許文献3の磁気センサにおいては、同一基板上で90度方向の異なる磁気異方性を有し、同じリニアな出力特性をもつ磁気インピーダンス素子を確保することはプロセス上難しく、磁気異方性の影響で出力波形が変化しやすいという問題がある。
なお、上述した課題は、従来の技術背景を述べたものであり、本発明を限定するものではなく、いずれにしても、磁界検出素子などの感磁素子、あるいは感磁素子を備えた磁界検出装置に関しては、更なる小型化、低コスト化を図ることが比較的困難であった。
本発明は、小型化、低コスト化に有利な感磁素子及びこの感磁素子を備えた磁界検出装置、電子機器を提供するものである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、個別に通電可能であり且つ感磁方向が異なる複数の磁性薄膜を基板上に配置し、前記複数の磁性薄膜上に共通のコイルを設けたことを特徴とする感磁素子である。
また、本発明の他の態様は、個別に通電可能であり且つ感磁方向が異なる複数の磁性薄膜を基板上に配置し、前記複数の磁性薄膜上に共通の平面コイルを設け、前記複数の磁性薄膜は、前記基板の一方面上において所定の感磁方向となるように所定の角度ピッチ間隔で放射状に設けたことを特徴とする感磁素子である。
また、本発明の他の態様は、上記に記載の感磁素子と、前記感磁素子を駆動するための駆動回路とを備えたことを特徴とする磁界検出装置である。
ここで、本発明の感磁素子は、個別に通電可能であり且つ感磁方向が異なる複数の磁性薄膜を基板上に配置し、これら複数の磁性薄膜上に対して共通のコイルを設けた点に特徴がある。
即ち、本発明は、複数の磁性薄膜に対して共通のコイルを適用し、各磁性薄膜に対して個別の通電制御を行って入出力の最適化を図ることにより、例えば、磁界方向の検出等を安定的に行うことが可能となる。
また、本発明は、例えば、複数の磁性薄膜に対してそれぞれ個別のコイルを設けた構成と比べて、素子構成を大幅に簡略化できることから、感磁素子や磁界検出装置の小型化、低コスト化にも有効である。
さらに、本発明は、上述したように、複数の磁性薄膜に対して共通のコイルを適用し、各磁性薄膜に対して個別の通電制御を行って入出力の最適化を図ることで、詳細は後述するが、その後の処理、例えば、磁界方向を特定するための処理負荷を低減することができる。
ここで、本発明において「感磁方向が異なる」とは、ある特定の方向において磁界感度が異なり、各磁性薄膜のそれぞれが異なった磁気的な指向性を持つことを意味する。例えば、複数の磁性薄膜のそれぞれは、感磁方向に延びる短冊状のパターン形状で基板上に設けられ、各々の膜厚は、幅寸法よりも小さい。なお、各磁性薄膜が短冊状のパターン形状で設けられた場合、全体として、その長手方向に異なった磁気的な指向性が得られる。
また、本発明においては、例えば、基板上に各磁性薄膜の長手方向が異なる向きで形成すると、特定の磁界方向を高精度に検出することができる。即ち、本発明においては、複数の磁性薄膜のそれぞれを基板の一方面上において所定の感磁方向となるように設けることで、所望の感度を持った感磁素子を実現することが可能となる。例えば、複数の磁性薄膜が、環状に配設されて個別に通電される複数の個別端子と、複数の個別端子で囲まれた共通端子とを接続する部分として放射状に設けた構造とすることで、共通端子を中心とした全方位の感度を持たせることが可能となる。この場合、環状配置される個別端子の個数を増やし、これに伴って各磁性薄膜の数を増やすことによって、全方位の感度における高い分解能を持たせることができる。即ち、本発明の構成を磁界検出素子として用いる場合には、複数の磁性薄膜における各感磁方向によって磁界検出方向が規定される。
また、共通のコイルは、例えば、上記のように複数の磁性薄膜を放射状に配置した場合には、放射状に配置された複数の磁性薄膜に対して同心円状に設けた平面状のコイルとするのがよい。このように、共通のコイル自体を平面状のコイルとすることで、感磁素子の薄型化、小型化を図ることができる。
なお、本発明の感磁素子を方位素子として適用する場合には、複数の磁性薄膜は、基板の一方面上に所定の角度ピッチ間隔で放射状に設けるのがよい。これにより、各磁性薄膜の配置が方位に対する指向性を持つことになり、方位検出を安定的に行うことが可能となる。また、本発明の感磁素子は、上述したように、素子構成を大幅に簡略化できることから、方位素子としての小型化、低コスト化にも有効である。
ここで、本発明においては、複数の磁性薄膜は、例えば、各薄膜パターンを葛折り状等に形成し、所望の抵抗を持たせるように1つの共通端子を基点として放射状に設けて複数の扇状感磁領域を設け、実装面積の省スペース化によって、感磁素子の更なる小型化を図ることができる。
また、本発明では、複数の扇状感磁領域が、1つの共通端子を基点として点対称配置された少なくとも一対の感磁領域を有するようにしてもよいし、1つの共通端子を基点として何れか一方の点対称領域に配置された少なくとも1つの感磁領域を有するのがよい。これにより、入出力制御の最適化によって1つの感磁領域に対して二つの感度を持たせることができ、実装面積の省スペース化によって感磁素子の更なる小型化を図ることができる。
なお、本発明は、上述した感磁素子と、この感磁素子を駆動するための駆動回路とを備えた磁界検出装置、あるいはこの磁界検出装置を備えた電子機器(例えば、スマートフォン、タブレットPC、ハンディーターミナル等の携帯端末など)についても広く適用可能である。特に、本発明は、小型化が要望される電子機器において有効である。このような本発明の磁界検出装置は、詳細は後述するが、感磁素子の各磁性薄膜に対して個別に通電したことで得られる感磁素子からの出力値に基づいて、磁界方向の検出を行う。磁界方向の検出にあたっては、例えば、感磁素子からの出力値に基づいて定めた感磁素子の各磁性薄膜の1つを基準とした角度の情報を用いて磁界方向を求めるようにしてもよいし、感磁素子からの出力値を二値化して得た二値化データと、所定の磁界方向判定基準データとに基づいて磁界方向を求めるようにしてもよい。そして、このような場合、感磁素子は、磁界検出素子としての役割を果たす。
本発明によれば、小型化、低コスト化に有利な感磁素子、及び磁界検出装置、並びに電子機器を提供することが可能となる。例えば、磁界検出装置においては、非線形関数を用いた方位角の演算が不要となり、あるいは磁界検出素子および磁界検出回路の個体差に起因する出力変動の影響を受けることを防ぐことができる。具体的には、地磁気等の磁気ベクトル方向の検出を良好に行うことができる他、磁界検出装置を回路規模の小さい簡単な構成のものにすることもできる。
本発明の第1実施形態に係る磁界検出素子の斜視図の一例である。 本発明の第1実施形態に係る磁界検出素子の平面図の一例である。 磁性薄膜の具体例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る磁界検出素子を駆動する駆動回路の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る磁界検出素子の出力特性曲線を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る磁界検出装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る磁界検出装置の各セクタの出力特性を示すグラフ図である。 外乱ノイズ等の影響で磁界検出素子の出力がオフセットした場合の出力特性曲線を示す図である。 位相差から方位演算および角度演算を行う方法について説明する図である。 本発明の第2実施態様に係る磁界検出素子の平面図の一例である。 本発明の第2実施態様に係る磁界検出素子の構成の他の例である。 本発明の第2実施態様に係る磁界検出素子を用いた磁界検出装置の各セクタの出力特性曲線を示す図である。 本発明の第2実施態様に係る磁界検出素子による極性判定方法を説明する図である。 反転プロットによる補正を行わない場合の判定フローチャートの一例を示す。 本発明の第2実施態様に係る磁界検出素子による磁界方向判定方法を説明する図である。 本発明の第3実施態様に係る磁界検出素子の構成の一例を示す平面図である。 本発明の第3実施態様に係る磁界検出素子の他の構成例を示す平面図である。 本発明の第3実施態様に係る磁界検出素子を用いた磁界検出装置の出力特性曲線を示す図である。 本発明の第4実施態様に係る磁界検出装置を携帯端末装置に搭載し電子コンパスとして利用する場合の斜視図である。 本発明の第5実施態様に係る磁界検出装置を用いた回転角検出装置の斜視図の一例を示す図である。 本発明の第5実施態様に係る磁界検出装置を用いた回転速度装置の斜視図一例を示す図である。 本発明の第5実施形態に係る磁界検出素子の構成の一例を示す図である。 本発明の第5実施形態に係る磁界検出装置の構成例を示すブロック図である。 出力比較器の入出力信号に関する信号波形の一例を示す図である。 従来の方位センサの構成を示す図である。 従来の方位センサの出力特性曲線を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁界検出素子の外観を示す斜視図の一例である。
本実施形態に係る磁界検出素子10は、本発明における感磁素子の一例であり、図1に示されるように、基板として、例えば、ガラスやセラミック等の非磁性基板11を有する。その非磁性基板11上には、磁性薄膜12が概ね円形状に形成され、これによって複数の扇状感磁領域として、その円の中心部から放射状に伸びる直線で等分された複数の扇形状の検知部(以下、セクタとも言う)に分割されている。
また、これら各セクタは、各セクタ内における磁性薄膜12の感磁方向が所定の角度ピッチθで環状に設置されている。そして、全てのセクタの一端は、基板中心部に置かれた共通端子13にそれぞれ接続され、他端は個別端子14a〜14pと接続される。即ち、各磁性薄膜12は、共通端子13から各個別端子14a〜14pに対して引き出されて相互に連結している。
さらに、本実施形態では、不図示の絶縁層を介して磁性薄膜12上に、全セクタに渡って共通のコイルとして同心円状の薄膜平面コイル15を積層した構造となっている。
ここで、図2は、本実施形態に係る磁界検出素子の平面図の一例である。本実施形態に係る磁界検出素子は、感磁方向がそれぞれ異なるセクタが、円周を等分するように感磁方向の角度ピッチθで配置され、各セクタは互いに共通端子13および個別端子14a〜14pと接続されている。
また、これら全ての磁性薄膜12上には、不図示の絶縁層を介して積層されている薄膜平面コイル15が設けられる。この薄膜平面コイル15は、コイル端子16bから磁性薄膜12の内端側に配線パターンが引き出され、コイルパターン端17aと接続される。また、薄膜平面コイル15の外側の端はコイルパターン端17bで終端され、コイル端子16aと配線パターンで接続される。このとき、17aと17bを結んだ直線はxy軸の略中心と交わる。コイルパターン端17aとコイルパターン端17bとの間にコイル形状パターンを形成している。
また、薄膜平面コイル15は、電磁誘導の法則により、磁性薄膜12の磁束変化を、鎖交するコイルを貫く磁束の変化に反応し、コイル両端間の電位差として出力する。このとき、磁界検出素子10からの出力は、磁束が貫くコイルの面積に比例するため、全検知部(セクタ)において、薄膜平面コイル15を同巻数にする等して磁性薄膜に交差する薄膜平面コイル15の面積が揃うように構成されていると、より好適である。
図2では、コイル中心とコイルパターン端17a及び17bが略一直線上に並ぶように感磁素子を構成している。すなわち、コイルパターンの始端及び終端と、磁界検出素子10の中心部とが略一直線上となる構成であると言え、このような構成により、例えば、本実施形態では、全ての検知部(セクタ)における磁性薄膜12に対して略均一の巻数を確保している。
次に、図3を用いて、磁性薄膜12の構成例および感磁方向について説明する。例えば、図3(a)に示すように、磁性薄膜12の幅方向寸法aに対してその膜厚bが小さな構成とし、発明を実現する一態様として、各磁性薄膜12は、図3(b)のように、1本の磁性薄膜で直方体状に形成されても良い。また、図3(c)のように、複数の磁性薄膜パターンを並列に形成し、各磁性薄膜パターンをアルミニウムや銅等の導電性金属で構成される接続電極25で接続しても良い。また、図3(d)のように、等しい角度φ間隔で磁性薄膜12を略扇形の半径方向に配置し、図3(c)の並列パターンと同様に、導電性金属で磁性薄膜を電気的に直列に接続しても良い。また、磁性薄膜12を用いてつづら折れパターンを形成しても良い。即ち、全体として感磁方向が所定の方向となるように磁性薄膜12またはそのパターンが構成されていればよい。
また、各セクタの感磁方向は、磁性薄膜パターンの反磁界のため、長手方向(中心部から円周部に向かう方向、あるいは円周部のセクタにおける個別端子14a等から共通端子13に向かう方向。以下、同様。)になる。例えば、本実施形態において、図3(b)および図3(c)では、磁性薄膜パターン12と平行である方向が、感磁方向となる。また、図3(d)の場合の感磁方向は、各磁性薄膜12の長手方向の平均方向として規定され、中心に位置する磁性薄膜12の長手方向が、その検知部(セクタ)の感磁方向となる。すなわち、本実施形態の磁性薄膜12は、一例として、感磁方向に延びる短冊状のパターン形状で形成され、かつそれぞれの膜厚が幅寸法よりも小さく、その結果、長手方向に指向性を有する。
さらに、図4は、磁界検出素子10を駆動し、外部磁界に応じた検出出力を取り出すための駆動回路の一例を示すブロック図である。発振回路30からパルス信号を発振するとともに通電切替回路31で各セクタに通電対称の切替えを行うことで、各セクタに接続する個別端子14a〜14pを通して各セクタに個別通電し、磁性薄膜12に高周波電流を通電する。そして、磁性薄膜12の長手方向の外部磁界による磁性体内部の磁束変化を、磁性薄膜12上に積層された薄膜平面コイル15からの誘導出力としてコイル端子16aおよび16bを介して検出する。
ここで、各磁性薄膜12に対して共通のコイル(薄膜平面コイル15)を設けたことで、高周波を通電したセクタのみ、磁性体内の磁束が急速に変化し、薄膜平面コイル15に外部磁界に応じた誘導出力が現れる。
つまり、本実施形態では、複数の磁性薄膜12に対して共通のコイル(薄膜平面コイル15)を適用し、各磁性薄膜12に対して個別の通電制御を行って入出力の最適化を図ることにより、各磁性薄膜12に対して個別のコイルを設けた場合と比べて、例えば、磁界方向を特定するための処理負荷を効果的に低減することができる。
また、本実施形態では、各磁性薄膜12に対して共通の薄膜平面コイル15を設けたことで、全体構成が簡略化できるため、小型化、あるいは薄型化において有効である。本実施形態では、上述した構造を形成するため、非磁性基板11上に各磁性薄膜12をパターニングにより形成後、共通の薄膜平面コイル15を積層する構成とすることで、薄膜プロセスを使うことが可能となり、更なる微細化や複雑なパターン形状にも対応可能である。このため、高い感磁性能を確保しながらも、薄型化、あるいは小型化に有効である。また、本実施形態では、全セクタに渡って共通のコイルとして薄膜平面コイル15を設けたが、複数のセクタ毎に共通のコイルをそれぞれ対応して複数設けてもよい。
なお、この通電対象は1個のセクタでなくとも良い。例えば、図2に示されるセクタ1およびセクタ2のように隣接する2個のセクタに、同時に通電しても良い。この場合も、隣接する2セクタの磁性薄膜の磁束変化を、薄膜平面コイル15で誘導出力として取り出す。合成ベクトルの形成により、2セクタ間の磁界方向の検出ができ、磁界検出分解能を向上させることが可能となる。
再び図4に戻り、コイル端子16aおよび16bを介して取り出された薄膜平面コイル15からの誘導出力は、検波回路32、増幅回路33から出力される。この場合の通電切替回路31は、例えば、アナログスイッチやセレクタ等のスイッチ動作や、各種ゲート素子、スリーステートバッファを用いての出力インピーダンスの制御などによる様々な手段を用いて行うのが良い。
また、本実施形態に係る磁界検出素子10は、例えば、誘導出力検出用の薄膜平面コイル15を全セクタで共通としているため、セクタごとにコイル端子と検波回路との接続を切り替えるためのデバイスを省略できる。これにより、磁界検出装置の構成を簡略化することができるため、本実施形態の磁界検出素子を用いる磁界検出装置において小型化が可能となる。
ここで、図5は、増幅回路33の出力における印加磁界に対する応答波形を説明する図である。図5(a)の特性曲線41はセクタ4(図5(A)参照。以下、同様。)、図5(b)の特性曲線42はセクタ8、図5(c)の特性曲線43はセクタ12の応答波形を示す。これら特性曲線41〜43によれば、セクタ間で磁界検出感度に大きな差はなく、本実施形態の構成において各セクタ間の感度差補償が実質的に不要であることがわかる。よって、較正等の処理が必要でなく、作製上のメリットが生じる。
以下、本実施形態に係る磁界検出素子を用いた磁界検出装置の駆動についての具体的な例を挙げて説明する。詳細には、本実施形態に係る磁界検出素子を用いた、図4の駆動回路を用いて得た出力から磁界方向の判定を行う磁界検出装置および方法の一例について、以下説明する。
まず、本実施形態に係る磁界検出装置の構成例を図6に示す。上述した本実施形態に係る磁界検出素子10を、図4の駆動回路を実現する各種電子部品と、磁界判定および通電切替回路31の切替同期のためにCPU(マイコン34)を搭載した構成としている。上記構成とすることで、マイコン34にて各検知部(セクタ)への通電切替を行う信号を通電切替回路31に送信し、得られた出力とセクタ箇所との同期を行うことができる。
次に、図7を用いて本実施形態に係る磁界方向判定方法について説明する。図5は、図1に示される磁界検出素子(感磁方向ピッチθが22.5度である16個のセクタが配置された磁界検出素子)10を用いて得られた出力特性を説明する図である。
図7(b)に示されるように、セクタごとに増幅回路33からの出力をプロットすると(例えば、図7(a)は磁界検出素子10のセクタ4における被測定磁界を矢印52で示したイメージ図であり、図5(b)の点53は、セクタ6の出力を示す点である)三角関数状の出力が得られる。増幅回路33からの入力値を、マイコン(出力判定部)34において、通電を行っているセクタと同期することで、図7(b)のグラフの三角関数状グラフの頂点位置、すなわち、最大値を示すセクタを判定し、最大出力値セクタ方向を磁界方向と判定することができる。このとき、最小値を示すセクタを判定し、この最小値セクタの180度対称位置のセクタを最大位置セクタとして出力しても良い。本実施形態に係る磁界検出装置によれば、上記のように、角度演算を行わずに、磁界方向の判定を確実に行うことができる。
さらに、周囲磁界などの外乱を受けて出力がオフセットしている場合でも、各セクタ共に出力が平行移動するため、最大値を判定することについて周囲磁界などの影響を受けない磁界検出装置を構成することができる。例えば、図8に示されるグラフは、図7のグラフと比較すると、全体的に1メモリ程度(0.33V)上方にシフトしている。また、回路内にオフセット誤差が生じている場合にも図6の場合同様、各セクタからの出力値にプラスもしくはマイナスのオフセット誤差出力が加わるため、最大値あるいは最小値の判定に影響が生じない。
また、本実施形態に係る磁界方向の判定方法は、前記の最大値および最小値を用いた判定方法以外にも存在する。以下に、この点について詳細に説明する。
図7は、本実施形態に係る磁界検出装置を用いた際の出力波形を示す図である。図7の出力波形においては、出力が基準信号軸(図7の場合、およそ1.65V)と交差する。およそ出力基準軸の値を増幅回路33から出力するときの磁界方向、すなわち、各クロスポイントとその極性変化は、磁界方向に応じて、一意に定まる。上記のことより、出力と基準信号軸とのクロス位置の認識に基づいて、磁界方向の判定を確実に行うことができる。上記は、地磁気を含め、NSの両極からなる磁界の極性切替え方向を検知するに等しい。つまり、NS方向に対して法線方向の検知を行うことができる。図7においては、基準信号軸はセクタ8の出力およびセクタ16の出力と交差している。このとき、セクタ8について注目すると、1つ前のセクタ7においては基準信号軸よりも極性がプラスとなり、1つ後のセクタ9においては極性がマイナスとなっている。極性がプラスからほぼゼロ近傍を経て極性マイナスになるというように、セクタと同期した信号値が変化する場合、磁界方向は磁極方向に対して法線方向であると判定することができ、かつ感磁方向が90度異なるセクタ(本実施形態の場合、セクタ4)を磁界方向として正確に判定することができる。このとき、感磁方向が90度異なるセクタの規定は、磁界検出素子を構成する時点で決定される。すなわち、磁界検出装置に要求される感磁方向の間隔θにより、任意のセクタから90度感磁方向が異なるセクタまでに設置するセクタの数が決まり、クロス位置を認識したセクタに対して感磁方向が90度異なるセクタの位置が規定される。図7の場合、θ=22.5°であるため、任意のセクタ位置から90度感磁方向が異なるセクタまでに、任意のセクタをあわせて5個配置することになる。そして、任意のセクタを例えばセクタ1と規定すると、感磁方向が90度異なるセクタはセクタ5の位置に定まる。
また、本実施形態の場合、セクタ8に対して90度感磁方向が異なるセクタとして、セクタ12も存在するが、上述の極性判定時に極性がプラスの方により近いセクタを選択することで、2点ある任意の基準信号とのクロスポイントから法線方向に存在するセクタに対して、磁界印加方向を正確に判定することができる。
さらに、回路内オフセット誤差が懸念される場合、基準信号軸を以下に示す方法で設定し、出力と基準信号軸とのクロス位置認識に利用することができる。本実施例の場合、図8において出力と基準信号軸とのクロス位置は、前述の方法でセクタ9と判断される。しかし、回路内オフセットが生じていない条件では本来、セクタ4が最大値を示すセクタであり、クロス位置はセクタ8である。このような状況を回避する手段として、共通端子を基点として点対称位置にある1組のセクタの出力平均値を出力基準軸として使用することができる。例えば、図8において前記対称位置に該当するセクタ1とセクタ9の出力平均値を出力基準軸とすると、出力平均値は本来の出力基準軸より約1メモリ(約0.33V)分だけプラスオフセットした値となり、回路内のオフセットを反映した出力基準軸を設定することができる。
また、マイコン34において、例えば、三角関数近似や三角関数データテーブルとの比較を行うことで、簡便に磁界方向の判定を行うことができる。この場合、磁界方向の判定だけでなく、感磁素子の1つの感磁方向を基準として定め、基準方向からの磁界角度を正確に演算し出力したい要求がある場合も、同時に満たすことができる。例えば、図9に示されるように、本実施形態の磁界検出装置を用いて取得したデータをプロットした結果(検出出力71)と、あらかじめマイコン34に入力しておいたデータテーブル値72との比較を行い、位相差73を演算算出する。この演算結果を用いることで、精度良く角度情報の出力も行うことができる。
また、前記同様に磁界検出装置を用いて取得したデータを用いて、マイコン34において最小自乗法などの各種近似演算を行い、本実施形態における図9の三角関数状データ値の固有式を求めることができる。例えば、最小自乗法を用いて前記固有式を得る場合、(式2)を用いて固有式を演算算出し、算出結果より位相差がBとして決定され、基準感磁方向からの磁界方向角度として決定することができる。
ここで、(式2)非線形関数による近似は、Newton法に代表される、各種非線形関数のフィッティング法を用いても良いし、(式2)を線形関数(式3)に置換えても良い。例えば、本実施形態では、図9に示される三角関数状データの周期は、マイコン34でのデータ取り込み周期となり一意となるため、周波数mが定数となる。上述の理由により、線形関数(式3)を用いた固有式の近似が容易であり、(式4)を用いて、(式3)から(式2)の各パラメータの決定が可能である。
Figure 2015190900
Figure 2015190900
Figure 2015190900
以上説明したように、本実施形態では、個別に通電可能な各磁性薄膜12を非磁性の基板11上に設け、これら各磁性薄膜12上に対して共通の薄膜平面コイル15を設けた構成としたことで、各磁性薄膜12に対して個別の通電制御を行って入出力の最適化を図り、例えば、磁界方向を特定するための処理負荷を低減できる他、磁界方向の検出等を安定的に行うことができる。特に、複数の磁性薄膜12に対してそれぞれ個別のコイルを設けた構成と比べて、素子構成を大幅に簡略化できることから、磁界検出素子(感磁素子)10の小型化、低コスト化だけでなく、この磁界検出素子10を搭載した磁界検出装置の小型化、低コスト化にも非常に有効である。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る磁界検出素子について説明する。
本実施形態に係る磁界検出素子の構成について、図10を用いて説明する。第1の実施形態に係る感磁素子では、例示的にセクタが16個配置されているが、本実施形態に係る感磁素子の、各セクタ1〜9の磁性薄膜の感磁方向は長手方向に指向性を有するため、任意の感磁領域の共通端子13を中心に点対称位置に存在する感磁領域からの出力を反転することで補完することができ、結果としてセクタの数を減らすことができる。
図10では、任意の位置のセクタ1に対して感磁方向が180度異なるセクタ9を、共通端子13を中心に点対称配置し、セクタ1からセクタ9までの各セクタを、それぞれ感磁方向が角度ピッチ22.5度になるように配置している。ただし、本実施形態に係る感磁領域の配置は、図10に示される配置に限るものでない。例えば、感磁方向が180度異なり、1つの共通端子13を基点として点対称配置された少なくとも1組の感磁領域が存在するとともに、所定の角度ピッチごとに異なる感磁方向を持つセクタが少なくとも1個ずつ存在すれば良い。
また、図10以外のセクタの配置パターンの例としては、例えば、セクタ2の代わりに、セクタ10を備えるようになっていても良い。また、同様に、セクタ3の代わりに、セクタ11を備えていても良い。
つまり、セクタ1とセクタ9との位置関係のように180度対向する組合せ以外のセクタについては、22.5度感磁方向の異なるセクタとして、セクタ2およびセクタ10のいずれか1つ、セクタ3およびセクタ11のいずれか1つ、セクタ4およびセクタ12のいずれか1つ、セクタ5およびセクタ13のいずれか1つ、セクタ6およびセクタ14のいずれか1つ、セクタ7およびセクタ15のいずれか1つ、セクタ8およびセクタ16のいずれか1つ、がそれぞれ選択されれば良い。
即ち、共通端子13を基点として点対称配置された1組(一対)の感磁領域の組であるセクタ1およびセクタ9と、その他のセクタについては、1つの共通端子13を基点として何れか一方の点対称領域に少なくとも1つの感磁領域を有していれば良い。(このとき、セクタ10〜16のセクタを選択した場合、出力を連続点として捉えるために、セクタ10〜16の出力の極性を反転して使用する。)
また、本実施形態の磁界検出措置は、セクタ1およびセクタ9の各隣の領域において図11に示されるように、ダミーの磁性薄膜パターン12’を設置することができる。ダミーの磁性薄膜パターン12’は、例えば、素子中央部の共通端子13を素子基板外周部まで配線を引き出しに使用しても、コイル内側端部接続用に使用しても良い。電気的に並列に接続することで、磁性薄膜パターンの合成抵抗値を下げ、配線として利用することが可能である。
また、ダミーの磁性薄膜パターン12’を設けることにより、磁界検出に関わるセクタ1〜セクタ9の周辺環境を略均一にするという効果が期待できる。すなわち、磁界検出に関わる各セクタには、感磁方向θの間隔で両隣に略同等の磁性薄膜が配置されることになるため、外部磁束による素子内部の磁力線変化をより均一にすることができる。
本実施形態に係る磁気検出素子によれば、上述のような構成とすることで、図1のセクタ端子14j〜14pを省略することができ、磁界検出素子の小型化が可能となる。さらに各セクタ端子に接続する端子および制御回路の小型化も図ることができる。具体的には、通電切替回路31の小型化やセクタ端子14j〜14pと検波回路32までの配線を設ける必要がなくなり、省スペースに寄与する。
図12は、本実施形態に係る磁界検出素子を用いた磁界検出装置の磁界方向判定の一例を説明する図である。図12(a)は、9つのセクタ1〜9における出力をプロットして得られた出力特性曲線の一例である。図12(b)に示されるように、実在しないセクタ10〜16のそれぞれについて、180度対称位置にあるセクタ1〜8の出力を反転してプロットすることで、図7(b)同様、16個のセクタを配置した場合と同等の波形が得られる。これにより、出力の最大値および最小値を比較し、磁界方向の判定を行うことができる。図12(b)のグラフ上において、セクタ10〜16の三角形状の点は、セクタ2〜8の出力を判定することで得られた値を示す点である。すなわち、セクタ10の出力はセクタ2の出力を反転して補い(図12(b)の点91など)、セクタ11の出力はセクタ3の出力を反転して補い、という具合にして、実在しないセクタ10〜16の出力値を決定する。これにより、図12(b)に示されるような、図7(b)と同様の波形を得ることができる。
本実施形態の磁界方向の判定方法では、実測値を用いても良いし、反転補正値を用いて良いし、最大値もしくは最小値を示すセクタ方向を用いても良い。例えば、図12(b)の例では、セクタ4において最大値を示しているため、これを磁界方向と判定することができる。他の方法としては、最小値セクタを選択し、最小値セクタの共通端子13について対称位置にあるセクタを磁界方向と判定することができる。具体的には、図12(b)の例では最小値セクタはセクタ12であるので、これと対称位置に存在するセクタ4を磁界方向として判定する。また、基準位置とのクロスポイントの判定、三角関数近似等の上述した第1実施形態で記載した諸方法を用いて、磁界方向の判定を行っても良い。
また、図13は、実在するセクタの出力を反転してプロットする補正を行わない場合について説明する図である。例えば、図13(a)の場合、最大値はセクタ9の出力となり、磁界方向の判定が正確ではないことが想定される。このような場合、周期がセクタ1からセクタ16の三角関数状の出力を示す本実施形態では、例えば、セクタ1からセクタ9までの出力値内に、全出力実測値の最大値あるいは最小値のいずれか一方、あるいはその両方が存在することを利用することができる。
図14は、反転プロットによる補正を行わない場合の判定フローチャートの一例を示す。図14のフローチャートによれば、例えば、図13(a)のような出力が得られた場合、フローチャート内条件1で最大値を示すセクタがセクタ2〜セクタ8に存在しないとわかる。その後、条件2において、最小値を示すセクタがセクタ3であると判断できる。その後、セクタ3と共通端子13について対称位置であるセクタ11を磁界方向と判定し出力する。同様に、図13(b)の例では、図14の条件1において、最大出力を示すセクタはセクタ4であると判断でき、これを磁界方向として出力することができる。
さらに、図13(c)のようにセクタ1又はセクタ9の出力が最大値又は最小値を示すことも想定される。この場合、図14のフローチャート内で条件1,2ともに条件に合致せず、条件3により、セクタ1もしくはセクタ9が選択され、それぞれ条件と合致するように磁界方向が判定される。図13(c)の場合は、条件1,2ともに“No”の判定がなされた後、条件3によりセクタ9が選択され、セクタ9の方向を磁界方向と判定し、出力する。
なお、図14における条件1から3は必ずしもこの順番である必要はなく、例えば、最初に条件2を用いてセクタ2〜8の中に最小値を示すセクタがあることを確認するようになっていても良い。また、条件3はセクタ1とセクタ9の出力を比べる際に、最大値セクタがセクタ1であるか判定する代わりに、最大値セクタがセクタ9であるかを判定するようになっていても良い。
上述のように、実在するセクタ数が9個の場合でも磁界方向の判定は可能である。
次に、任意のセクタの中間に被測定磁界がある場合の本実施形態に係る磁界検出素子による磁界方向の判定方法について、図15を用いて説明する。図15(a)に示されるようにセクタ3,4の中間(境界付近)に被測定磁界112が存在する場合、図15(b)のようにセクタ3,4の出力がほぼ同等になり、磁界方向の判定が困難である。このような場合、セクタ3,4に同時に通電することで2セクタ間磁界に対する誘導出力を検出することができる。図15の場合、各セクタ通電後に磁界最大方向をセクタ3,4と判定し、さらにセクタ3,4に同時通電し出力を検出することで、より正確に磁界方向の判定ができる(例えば、図15(c)の点113が示す方向)。以上のように、本実施形態の磁界検出素子によれば、非線形関数を用いた角度演算を行わずに、磁界方向の判定を行うことができる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態に係る磁界検出素子について説明する。
ここで、上述した第2実施形態において説明したように、隣接する2つのセクタに通電し、この2つのセクタ間の磁界に対する誘導出力を検出することが可能である。そのため、図10に示される構成からさらにセクタを間引いた構成も可能である。図16は、本実施形態に係る磁界検出素子の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る磁界検出素子120は、各セクタの感磁方向が45度ずつ異なるようにセクタが5個存在し、うち1組のセクタは、感磁方向が180度異なるように構成されている。また、図17は本実施形態に係る磁界検出素子の他の構成例を示す平面図である。図17では、共通端子13’およびコイルの内部接続端子16bを磁性薄膜のダミーパターン12’を用いて配線している。また、各セクタの片側端子14a、14c、14e、14g、14iを、素子の外周部に沿って配置した外部接続用の電極に導電性金属パターン等を用いて配線している。このような構成とすることで、一般的なIC同様のフットパターンを持った素子を構成することができ、プリント基板への実装が容易となる。
図18(a)のように被測定磁界132が存在する場合、この場合の出力波形は、例えば図18(b)に示される波形である。さらに隣接するセクタ2個を同時通電し、2つのセクタ間の磁界検出出力を補正した波形は図18(c)に示される波形になり(例えば、点133はセクタ2および3から判定される値である)、図18(a)同様の出力応答を得ることができる。また、隣接するセクタに同時に通電する方法以外にも、各セクタの出力から得られるデータから上述した各種近似を行うことにより、セクタ間の出力を補完しても良い。
磁界方向の判定は、上記以外にも、これまでの実施形態で記載した諸々の判定方法を用いても良い。
(第4実施形態)
図19は、本発明の第4実施形態を示す図である。第1〜第3実施形態に係る磁界検出装置を、スマートフォンやゲーム機、ハンディーターミナルやアウトドア用の腕時計等の携帯端末装置に組み込んで、地磁気を対象にして方位計測を行うことができる。図19は、一例として、磁界検出装置140を基板上に実装し、スマートフォン142に組み込んだ場合の斜視図を示す。極端に大きく傾けない限りは傾斜補正が必要でなく、第1〜第3の実施形態いずれかに係る磁界検出方法を用いることで、角度演算処理が不要で16方位が直接的に判定できるセンサの機能を付与できる。さらに、角度演算処理を可能とすれば、三角関数近似を行い、基準位置からの位相差を求めることで、さらに精度のよい磁界方向検出にも対応することができる。
(第5実施形態)
図20は、本発明の第5の実施形態を示す図である。図20に示されるように、第1〜第3実施形態に係る磁界検出装置150に対向して磁界検出装置150の中心軸上に磁石152を用意すると、磁石152から発せられる磁界の回転や変位角の検出が可能となる。具体的な応用例としては、図21に示されるように、機械的に動力を伝達するシャフト162の部材が磁性を持ち、端部へ着磁できるものであれば、シャフト162に磁化を与えることで、その回転数や位相位置(任意基準位置からの変位位置)を容易に検出することができる。
特に位相位置を検出する場合は、例えば、第1実施形態から第4実施形態に説明のように最大磁界角度の判定を、出力の絶対値比較を用いてアナログ的に行っても良いが、以下に説明するように、出力をコンパレータ等の手段を用いてH,L信号に変換し、デジタル的に行っても良い。シャフトの回転制御やレバーの位置制御等を行う場面では、明確に数度単位での検出を要求されず、目的の制御領域に任意の検出対象が入り、動作を開始あるいは停止することができれば良い場面が存在する。また、そのような場面では、磁界検出装置の構成が小さく、検出判定方法も簡易的なものが望まれる。
なお、本実施形態での磁界検出素子の構成は、求める分解能により異なっていてもよい。図22は、本実施形態に係る磁界検出素子の構成の一例を示す図である。図22に示される磁界検出素子は、一例として、45度の分解能を持つ磁界検出素子である。図16の磁界検出素子のセクタ5を省略した形状とも言うことができる。また、図16の磁界検出素子をそのまま使用しても良い。さらに、図23は、本実施形態に係る磁界検出装置の構成例を示すブロック図である。以下、図22および図23を用いて本実施形態の磁界検出装置について詳細に説明する。
まず、通電切替回路31から各セクタに高周波電流を通電し、磁性体の磁束変化を誘導出力として検出用の薄膜平面コイル15から取得、検波回路32を用いて出力を復調するステップまでは、図4の場合と同様である。さらに、図23の構成例においては、検波回路32で復調した出力をコンパレータ等の出力比較器36を通し、基準値に対して信号出力が大きい場合はその信号出力をH、基準値に対して信号出力が小さい場合はその信号出力をLとする。このとき基準値は任意の値を用いることができるが、駆動電圧の約半分の値とすることが望ましい。図24(a)は出力比較器36において信号出力をH/L信号に切替える前の信号出力を示す特性曲線図、図24(b)は出力比較器36において信号出力をH/L信号に切替えた後の出力を示す特性曲線図である。本実施形態では、図24(a)および(b)ともに、図22の構成例のセクタ3の方向に磁界が存在する場合を示している。出力比較器36で基準値と比較出力する場合、一般的に、出力比較器からの出力を安定させる目的で閾値(ヒステリシス)を設けることがある。本実施形態においても同様に、出力比較器36からの出力安定のためにヒステリシスを任意に設定しても良い。
図23に戻り、制御部のマイコン34にて出力比較器36の出力と通電切替回路31の通電切替クロックとを取得し、図24(c)に示される通電切替クロックごとに出力比較器36の出力信号であるH/Lを読み込んで、磁界方向の判定を行う。図22の構成例の場合、セクタ1の出力は閾値を設けているとき“L”となり、セクタ2では“H”、セクタ3では“H”、セクタ4では“H”となる。制御部側のマイコン34ではL,H,H,Hのシリアル信号を受信した場合、磁界判定としては“90度”(磁界方向はセクタ3の方向)という結果を返すよう規定しておく。同様に、45度単位で、0度から315度まで一意のシリアル信号が決まるため、簡易的に磁界方向判定を行うことができる。すなわち、感磁素子と磁界検出装置と出力比較器とを用いた図23の構成において、出力値を二値化して得た二値化データと、所定の角度毎(本実施例では45度毎)に一意に定まる所定の磁界方向判定基準データとに基づいて、磁界方向の検出を行うことができる。
また、本実施形態の磁界検出装置においてさらに分解能を上げた磁界方向の検出を行いたい場合、例えば、図22のセクタ1から順に検知部内の感磁方向を22.5度間隔に8個用いて磁界検出素子を構成することができる。また、任意の分解能において、磁界方向の判定を行いたい場合、180°÷(必要分解能角度)で求められる個数の検知部(セクタ)を持ち、必要分解能角度間隔で検知部を配置した磁界検出素子を構成すれば良い。この場合、磁界検出素子の検知部の配置方法は、図22のように、任意位置をセクタ1と設定し、前記任意位置から仕様分解能(図22の場合45度)間隔に左回り、あるいは右回りに検知部を配置しても良い。
本実施形態では、シリアル信号の読込みにおいて通電切替時のクロックを利用しているが、あらかじめ任意の通電切替周期を規定しておき、読取り周期を制御マイコン側で同期をとっても良い。このとき、読取り周期は磁性体に通電する高周波電流(MHz)よりも十分に遅い周期(kHz等)であることが望ましい。
なお、本実施形態の磁界検出素子は、駆動系装置へ最初から組込むことや、後付で測定機として付与することも可能である。
従来の回転検出では、磁界検出素子の数を減らし、1ないし2個で検出する場合が多く、多極の磁石を必要としていた。一方、本実施形態のように複数個の検出部を持つ1個の磁界検出素子を使用して回転検出を行えば、多極の磁石を使用する必要がなく、構成がシンプルとなりコストの低減を図ることもできる。
以上本発明を各実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態においても適用可能である。
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
10、80、120 磁界検出素子(感磁素子)
140、150、160 磁界検出装置
11 非磁性基板
12 磁性薄膜
12’ ダミーの磁性薄膜
13 磁性薄膜の共通端子
14a〜14o 磁性薄膜の片側端子
15 薄膜平面コイル
16a、16b コイル端子
17a、17b コイルパターン端
21 セクタ
25 接続電極
30 発振/分周回路
31 通電切替回路
32 検波回路
33 増幅回路
34 マイコン
35 ADコンバーター
36 出力比較器
41 セクタ4の出力
42 セクタ8の出力
43 セクタ12の出力
52、112、132 被測定磁界方向
53、71 検出出力プロット
72 データテーブル値
73 位相差
91 反転補正プロット
113、133 同時通電時出力プロット
142 携帯端末装置
152、162 磁性体
171、172 磁界検出回路

Claims (18)

  1. 個別に通電可能であり且つ感磁方向が異なる複数の磁性薄膜を基板上に配置し、
    前記複数の磁性薄膜上に共通のコイルを設けたことを特徴とする感磁素子。
  2. 前記複数の磁性薄膜のそれぞれは、前記感磁方向に延びる部分の膜厚が幅寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の感磁素子。
  3. 前記複数の磁性薄膜は、環状に配設されて個別に通電される複数の個別端子と、前記複数の個別端子で囲まれた共通端子とを接続する部分として設けられたことを特徴とする請求項1に記載の感磁素子。
  4. 前記複数の磁性薄膜のそれぞれは、前記基板の一方面上において所定の感磁方向となるように設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感磁素子。
  5. 前記複数の磁性薄膜は、前記基板の一方面上に所定の角度ピッチ間隔で放射状に設けたことを特徴とする請求項4に記載の感磁素子。
  6. 前記複数の磁性薄膜は、1つの共通端子を基点として放射状に設けて複数の扇状感磁領域を形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の感磁素子。
  7. 前記複数の扇状感磁領域は、前記1つの共通端子を基点として点対称配置された少なくとも一対の感磁領域を有することを特徴とする請求項6に記載の感磁素子。
  8. 前記複数の扇状感磁領域は、前記1つの共通端子を基点として何れか一方の点対称領域に配置された少なくとも1つの感磁領域を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の感磁素子。
  9. 前記複数の磁性薄膜のそれぞれには、入力端子がそれぞれ接続されたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の感磁素子。
  10. 前記共通のコイルは、放射状に配置された前記複数の磁性薄膜に対して同心円状に設けた平面状のコイルであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の感磁素子。
  11. 前記共通のコイルには、出力端子が接続されたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の感磁素子。
  12. 前記複数の磁性薄膜における各感磁方向は、磁界検出方向を規定することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の感磁素子。
  13. 個別に通電可能であり且つ感磁方向が異なる複数の磁性薄膜を基板上に配置し、前記複数の磁性薄膜上に共通の平面コイルを設け、
    前記複数の磁性薄膜は、前記基板の一方面上において所定の感磁方向となるように所定の角度ピッチ間隔で放射状に設けたことを特徴とする感磁素子。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の感磁素子と、前記感磁素子を駆動するための駆動回路とを備えたことを特徴とする磁界検出装置。
  15. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の感磁素子と、前記感磁素子を駆動して外部磁界方向の検出を行うための制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記感磁素子の各磁性薄膜に対して個別に通電したことで得られる前記感磁素子からの出力値に基づいて、磁界方向の検出を行うことを特徴とする磁界検出装置。
  16. 前記制御手段は、前記感磁素子からの出力値に基づいて定めた前記感磁素子の各感磁方向の1つを基準とした角度の情報を求めて磁界方向の検出を行うことを特徴とする請求項14に記載の磁界検出装置。
  17. 前記制御手段は、前記感磁素子からの出力値を二値化して得た二値化データと、所定の磁界方向判定基準データとに基づいて、磁界方向の検出を行うことを特徴とする請求項15に記載の磁界検出装置。
  18. 請求項14乃至17のいずれか1項に記載の磁界検出装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111580021A (zh) * 2019-02-15 2020-08-25 艾普凌科有限公司 磁传感器电路

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