この実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に基づく液面検出装置の外観構成を説明する図である。
図1を参照して、液面検出装置1は、液面に追従して昇降するフロート20と、ガイド(案内部材)10と、検出回路50とを含む。
検出回路50は、案内部材10に取り付けられた複数の磁気センサ(AMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子)から検出される出力信号に基づいてフロート20の位置を検出する。
図2は、実施形態1に基づくガイド10に取り付けられた複数の磁気センサ5を説明する図である。
図2を参照して、複数の磁気センサ5は、昇降方向に沿って所定間隔に配置されている。
フロート20には、磁石2が設けられている。具体的には、2組の磁石ユニットとして磁石2A,2B,2C,2Dが取り付けられている。磁石2A,2Bで磁石ユニットを構成する。磁石2C,2Dで磁石ユニットを構成する。
複数の磁気センサ5は、フロート20に取り付けられた磁石2の昇降動作に従う磁束密度を検知して、その磁束密度に対応する電気信号を出力する。なお、本例においては、4ピンの磁気センサ5の構成について一例として説明するが、特にピン数はこれに限られず当業者であるならば適宜設計変更することが可能である。
図3は、実施形態1に基づく液面検出装置1の回路構成図である。
図3を参照して、実施形態1に基づく液面検出装置1は、複数の磁気センサ(AMR素子)5と、検出回路50とを含む。本例においては、n個の磁気センサが設けられている場合が示されている。
検出回路50は、アナログ/デジタル変換回路であるA/D回路60と、パラレル/シリアル変換回路であるP/S変換回路30と、演算処理を実行するMPU(Micro-processing unit)40とを含む。
A/D回路60は、複数(n個)の磁気センサ5と接続されて、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
P/S変換回路30は、MPU40から入力されるクロックCLKに同期して並列的に入力されるA/D回路60から入力されたデジタル信号を直列的に信号変換してMPU40に出力する。
MPU40は、P/S変換回路30から入力される複数(n個)の磁気センサ5からの信号を演算処理してフロート20の位置を検出する。
なお、本例におけるMPU40は、A/D回路60からの信号に関して、クロックCLKに同期したP/S変換回路30の出力を受ける構成について説明するが、特に当該構成に限られずマルチプレクサを介してA/D回路60からデジタル信号の入力を受ける構成に変更することも可能である。
図4は、実施形態1に基づく磁気センサ5の磁気抵抗素子のパターンを説明する図である。
図4を参照して、ここでは、磁気センサ5は、4つの磁気抵抗素子MR1〜MR4(総称して磁気抵抗素子MRとも称する)からなるブリッジ構造からなる。
磁気センサ5は、磁界が印加されると、磁気抵抗素子MR1〜MR4の抵抗値変化により抵抗値変化に応じた信号V+,V−を出力する。磁気センサ5は、信号V+,V−の差分ΔVを出力する。
磁気センサ5の磁気抵抗素子MRは異方性磁気抵抗素子であり、折り返し形状のパターン構造である。
磁気抵抗素子MRの磁界印加時の抵抗値は、素子の長さ方向(電流方向)に対して垂直の磁界(90°)が印加された時に最小となり、平行な磁界(0°)が印加されたときに最大となる特性を有する。
また、磁気センサ5には、バイアス磁石3A,3Bが設けられている。バイアス磁石3A,3Bは、磁気抵抗素子MR1〜MR4に対して左上から右下の方向にバイアス磁界がかかるように配置されている。
なお、本例の磁気センサ5の磁気抵抗素子MRは、一例として折り返し形状のパターン構造として説明するが、特に折り返し形状に限られずそのパターン構造は、磁気センサ5の検出特性を高めるように当業者であるならば適宜設計変更することが可能である。また、バイアス磁石3A,3Bの配置(向き)に関しても本例においては一例として左上から右下の方向に45°の角度のバイアス磁界ベクトルがかかるように配置した構成が示されているが、当該配置あるいは角度も磁気センサ5の検出特性を高めるように当業者であるならば適宜設計変更することが可能である。
また、本例においては、2つのバイアス磁石3A,3Bに基づいてバイアス磁界ベクトルをかける構成について説明するが、2つのバイアス磁石ではなく1つのバイアス磁石3Aを45°の傾きで磁気抵抗素子MR1〜MR4の中央部に配置することにより同様のバイアス磁界ベクトルをかけることが可能である。当該構成によりバイアス磁石の個数を減らし、磁気センサ5のコストを低減することが可能である。あるいは、磁気抵抗素子MR1〜MR4が設けられている基板上にバイアス磁石を配置しても良いし、基盤の裏面にバイアス磁石を配置する構成とするようにしても良い。
図5は、実施形態1に基づく磁気センサ5の検出原理を説明する図である。
図5(A)は、外部磁界に従って変化するバイアス磁界ベクトルを説明する図である。
図5(A)に示されるように、磁気センサ5のバイアス磁界ベクトルは、昇降方向に対する外部磁界に従ってそのベクトル方向を変化させる。本例においては、外部磁界が無い状態のバイアス磁界ベクトルV0が実線で示されている。なお、バイアス磁石は、磁気センサ5が飽和感度領域に達する磁界強度となるように設定する。
バイアス磁界ベクトルV0は、外部磁界(右から左方向)に従ってバイアス磁界ベクトルV1に変化する。
一方で、バイアス磁界ベクトルV0は、外部磁界(左から右方向)に従ってバイアス磁界ベクトルV2に変化する。
外部磁界の磁束密度の変化に従いバイアス磁界ベクトルが変化する。磁気センサ5は、バイアス磁界ベクトルの変化を検出して、当該検出結果に応じた出力信号(電位差ΔV)を出力する。
図5(B)には、外部磁界の磁束密度の変化に従う磁気センサ5の出力信号の変化特性が示されている。
図5(B)に示されるように、バイアス磁石3A,3Bに従うバイアス磁界に基づいて所定の磁束密度STがかかっている。この場合の出力は中間値に設定されており、磁気センサ5に印加される磁界の方向の変化に従い電位差ΔVが変化する。
外部磁界として、右から左方向の外部磁界の磁束密度の変化に従い電位差ΔVは、ΔV1側にシフトする。
一方、外部磁界として、左から右方向の外部磁界の磁束密度の変化に従い電位差ΔVは、ΔV2側にシフトする。
中間値からの電位差ΔVの増減に従って磁気センサ5に印加される磁界の極性(どの向きからの磁界か)を検知することが可能である。また、バイアス磁石3A,3Bの磁力強度を変更することにより飽和磁界強度も高めることが可能である。
後述するが外部磁界の磁束密度の変化に応じた信号波形(電位差ΔV)に基づいてフロート20の位置を検出することが可能である。
図6は、実施形態1に基づくフロート20に取り付けられた磁石2の配置を説明する図である。
図6を参照して、ここでは、フロート20を上視した場合の図が示されている。また、磁石2A,2Bで形成される磁石ユニットは、ガイド部材を介して互いに向き合うように対向して設けられている。本例においては、磁石2A,2BのN極が互いに向き合うように対向して設けられている。なお、磁石2A,2BのS極を互いに向き合うように対向して配置することも可能である。
当該配置により、磁力方向は、ガイド部材に沿う方向となり、ガイド部材に沿う方向と垂直な方向の磁力成分は打ち消される。また、フロート20が回転した場合であっても磁力方向や磁束密度にほとんど変化はなく、磁気センサ5は磁束密度の変位量を精度よく測定することが可能である。
図7は、実施形態1に基づくフロート20に取り付けられた磁石2A〜2Dと、磁気センサ5A〜5Cとのレイアウトを説明する図である。
図7に示されるように、磁石2A,2Bは、1組の磁石ユニットを形成する。また、磁石2C,2Dは、1組の磁石ユニットを形成する。
磁石2A,2Bで形成される磁石ユニットは、互いにN極が向き合うように配置されている。また、磁石2C,2Dで形成される磁石ユニットは、互いにS極が向き合うように配置されている。隣接する磁石ユニットは、磁石の磁極が異なるように配置されている。
本例においては、磁石2Aと磁石2Bとの距離は、距離aの2倍の間隔に設定され、また、その中心を磁気センサ5が通過するように配置されている。隣接する磁石ユニットの間隔(中心間距離)も距離aの2倍に設定されている。磁気センサ5の互いの間隔も距離aで配置されている。磁気センサ5は、昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる。
なお、本例においては、3つの磁気センサ5A〜5Cが配置されて、フロート20の位置を検出する場合について説明するが、さらに複数の磁気センサが配置された場合についても同様である。
なお、本例において、例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2Aと磁石2C(あるいは磁石2Bと磁石2D)の昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、基準位置(中心点)の位置に磁気センサ5Bが位置している場合が示されている。
図8は、実施形態1に基づくフロート20が昇降動作によりその位置が変化した場合の磁気センサとの関係を説明する図である。
本例においては、フロート20が右から左方向(一例として昇方向)に変化した場合について説明する。
図8(A)においては、フロート20が上昇して磁気センサ5Aに近づいてきた場合(状態S0)が示されている。
磁気センサ5Aは、フロート20の磁石2A,2Bにより生じる磁界(磁力線)の影響を受ける。具体的には、磁気センサ5Aは、磁石2A,2Bの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルの変化に従い電位差ΔVは減少する。他の磁気センサ5B,5Cについても、磁石2A,2Bの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
図8(B)においては、図8(A)からフロート20がさらに距離a上昇した場合(状態S1)が示されている。
磁気センサ5Aは、磁石2A,2Bとの間の中心線上に位置する状態である。本例においては、当該状態を初期状態とする。
磁気センサ5Bは、磁石2A,2Bの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Bのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルの変化に従い電位差ΔVは減少する。他の磁気センサ5Cについても、磁石2A,2Bの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
図8(C)においては、図8(B)からフロート20がさらに距離a上昇した場合(状態S2)が示されている。
磁気センサ5Aは、磁石2A,2B,2C,2Dにより生じる磁界により最大限昇降方向に磁界がかかる場合が示されている。具体的には、磁気センサ5Aは、磁石2Aから磁石2Cへの磁力線(あるいは磁石2Bから磁石2Dの磁力線)として左から右への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV2側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV2側への変化に従い電位差Vは増加する(最大となる)。
磁気センサ5Bは、磁石2A,2Bとの間の中心線上に位置する状態である。したがって、初期状態である。
磁気センサ5Cは、磁石2A,2Bにより生じる磁界の影響を受ける。具体的には、磁気センサ5Cは、磁石2A,2Bの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
図8(D)においては、図8(C)からフロート20がさらに距離a上昇した場合(状態S3)が示されている。
磁気センサ5Aは、磁石2C,2Dとの間の中心線上に位置する状態である。したがって、初期状態である。
磁気センサ5Bは、磁石2A,2B,2C,2Dにより生じる磁界により最大限昇降方向に磁界がかかる場合が示されている。具体的には、磁気センサ5Bは、磁石2Aから磁石2Cへの磁力線(あるいは磁石2Bから磁石2Dの磁力線)として左から右への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Bのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV2側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV2側への変化に従い電位差ΔVは増加する(最大となる)。
磁気センサ5Cは、磁石2A,2Bとの間の中心線上に位置する状態である。したがって、初期状態である。
図8(E)においては、図8(D)からフロート20がさらに距離a上昇した場合(状態S4)が示されている。
磁気センサ5Aは、磁石2C,2Dにより生じる磁界により昇降方向に磁界がかかる場合が示されている。具体的には、磁石2C,2Dの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
磁気センサ5Bは、磁石2C,2Dとの間の中心線上に位置する状態である。したがって、初期状態である。
磁気センサ5Cは、磁石2A,2B,2C,2Dにより生じる磁界により最大限昇降方向に磁界がかかる場合が示されている。具体的には、磁気センサ5Cは、磁石2Aから磁石2Cへの磁力線(あるいは磁石2Bから磁石2Dの磁力線)として左から右への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Cのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV2側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV2側への変化に従い電位差ΔVは増加する(最大となる)。
図8(F)においては、図8(E)からフロート20がさらに距離a上昇した場合(状態S5)が示されている。
磁気センサ5Aは、磁石2C,2Dにより生じる磁界の影響を受ける。具体的には、磁石2C,2Dの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側にやや変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
磁気センサ5Bは、磁石2C,2Dにより生じる磁界により昇降方向に磁界がかかる場合が示されている。具体的には、磁石2C,2Dの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Bのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
磁気センサ5Cは、磁石2C,2Dとの間の中心線上に位置する状態である。したがって、初期状態である。
図8(G)においては、図8(F)からフロート20がさらに距離a上昇した場合(状態S6)が示されている。
磁気センサ5A,5Bは、磁石2C,2Dにより生じる磁界の影響をやや受ける。具体的には、磁石2C,2Dの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5A,5Bのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側にやや変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
磁気センサ5Cは、磁石2C,2Dにより生じる磁界により昇降方向に磁界がかかる場合が示されている。具体的には、磁石2C,2Dの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Cのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
図9は、実施形態1に基づくフロート20の昇降動作に従う複数の磁気センサの出力信号波形を説明する図である。
図9に示されるように、状態S0〜S6の位置関係と出力信号関係とが示されている。
例えば、磁気センサ5Aに着目すると、磁気センサ5Aで受けた外部磁界の磁束密度に応じた信号が出力されている。
状態S0においては、磁気センサ5Aで受けた外部磁界に従ってバイアス磁界ベクトルが変化して出力信号(電位差ΔV)として低下している場合が示されている。
状態S1においては、磁気センサ5Aは、磁石2A,2Bとの間の中心線上に位置する初期状態であり、本例においては、初期状態である場合の出力信号(電位差ΔV)の電圧を中間値(中間電圧)とする。
状態S2においては、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルがバイアス磁界ベクトルV2側に変化した場合に出力信号が最大となった場合が示されている。
状態S3においては、磁気センサ5Aは、磁石2C,2Dとの間の中心線上に位置する初期状態であり、出力電圧は、中間電圧となった場合が示されている。
状態S4においては、磁気センサ5Aで受けた外部磁界に従ってバイアス磁界ベクトルが変化して出力信号(電位差ΔV)が低下した場合が示されている。
状態S4以降においては、距離に応じて変化する外部磁界に基づいて磁気センサ5Aの出力信号が変化する場合が示されている。
また、磁気センサ5Bに着目すると、磁気センサ5Aの出力信号を距離a(位相として90°)ずらした波形が示されている。磁気センサ5Cに着目すると、磁気センサ5Bの出力信号を距離a(位相として90°)ずらした波形が示されている。
図10は、図9の所定領域を拡大したイメージ図である。
図10を参照して、ここでは、所定領域として図9のハッチング領域の複数の磁気センサ5A〜5Cの出力信号波形が示されている。
磁気センサ5A,5Bの出力信号波形は、中間電圧を基準とした場合、後述する円状に沿って変化する外部磁界の磁気ベクトルPの水平成分(昇降方向)に模式化(近似)することが可能である。
具体的には、隣接する2つの磁気センサから出力される電気信号として位相が90°ずれた信号波形を検出することが可能である。
本例においては、位相が90°ずれているため一方の出力信号(電気信号)を正弦波(sinθ)、他方の出力信号(電気信号)を余弦波(cosθ)で表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて外部磁界の磁気ベクトルPの角度θを算出する。
本実施形態においては、複数の磁気センサの出力信号のうち隣接する2つの磁気センサから出力される電気信号を検出して外部磁界の磁気ベクトルの角度を算出し、当該算出された磁気ベクトルの角度に基づいてフロートの位置を検出する。
図11は、実施形態1に基づく磁気センサ5と磁気ベクトルPとの関係を模式的に説明する図である。
図11には、状態S2から状態S3に移行する場合において磁気センサ5A,5Bに対するフロート20の昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。磁気ベクトルPは、一例として磁石2AのN極および磁石2CのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
なお、説明を簡易にするために磁石2BのN極および磁石2DのS極により生じる磁界の磁力線については省略しているが、磁気ベクトルPの昇降方向と垂直な成分については、当該磁石2BのN極および磁石2DのS極により生じる磁界の磁力線の磁気ベクトルにより打ち消される。したがって、磁気センサ5A,5Bに対する外部磁界としては、昇降方向成分のみとなる。上記したように当該外部磁界に従って各磁気センサ5におけるバイアス磁界ベクトルが変化する。
一例として、外部磁界である磁気ベクトルの大きさと磁束密度(AMR出力)とは相関関係にあるため、昇降方向に対する磁気センサ5Aで検出される出力信号はPcosθ、磁気センサ5Bで検出される出力信号はPsinθで表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルPの角度θとして算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθ(Psinθ/Pcosθ)を算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、正弦波Psinθ、余弦波Pcosθの振幅値Pはtanθを算出することにより打ち消される。
上記処理は、検出回路50で実行される処理である。具体的には、MPU40において上記算出処理が実行される。
磁気ベクトルの角度情報θとして0°〜90°の変化に対応してフロート20の位置は距離a変化する。
例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2A〜2Cの昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、図8(C)の状態S2に示されるフロート20の基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置と同じ位置である。
本例においては、磁気センサ5Aと、磁気センサ5Bとの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、その位置関係を決定する。例えば、角度情報θが45°として算出された場合には、フロートの基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置から磁気センサ5Bの側にa/2の距離移動した位置にあると検出することが可能である。
なお、本例においては、磁気センサ5A,5Bの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、磁気センサ5Aからの位置関係を決定する場合について説明したが、磁気センサ5Bからの位置関係を決定することも可能である。また、同様の方式に従って、磁気センサ5B、5Cの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、磁気センサ5Bからの位置関係を決定することも当然に可能である。他の方式についても同様である。
図12は、実施形態1に基づく角度情報θの精度を説明する図である。
図12(A)には、角度θを0°〜90°まで変化させた場合における、一方の出力信号(電気信号)をPcosθ、他方の出力信号(電気信号)をPsinθに設定した場合におけるarctanθと基準値との比較が示されている。
シミューレーション結果として、基準値とはほとんど相違しない。
また、角度の精度としても図12(B)に示されるように基準値に対して±2°のずれしかない場合が示されており、精度の高いフロート20の位置検出が可能である。
図13は、実施形態1に基づく液面検出装置1の検出方式を説明するフロー図である。
図13に示されるように、中間電圧をともに超える隣接する2本の信号を抽出する(ステップSP2)。なお、中間電圧は、本例においては、一例として初期状態である場合の出力信号の電圧に設定する。具体的には、図8で説明したように例えば、磁気センサ5Aが磁石2A,2Bとの間の中心線上に位置する状態であり、予め電圧を測定することにより中間電圧を設定することが可能である。なお、当該中間電圧の設定の方式としては種々の方式があり、当該方式に限られず、例えば、ピーク値の最大値と最小値との間の中間値に設定するようにしても良い。
そして、図9で説明した点線で囲まれた領域における2本の電気信号を抽出する。
次に、抽出した2本の信号に基づいて磁気ベクトルの角度θを計算する(ステップSP4)。具体的には、2本の電気信号のうちの一方の出力信号(電気信号)をPcosθ、他方の出力信号(電気信号)をPsinθに設定し、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
次に、磁気ベクトルの角度θに基づいてフロート20の位置を算出する(ステップSP6)。算出された角度情報θに基づいてフロート20の基準位置(中心点)を磁気センサの位置から算出する。例えば、上記で説明したように角度情報θが45°として算出された場合には、フロートの基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置よりもa/2の距離、磁気センサ5B側に移動した位置にあると検出することが可能である。
そして、処理を終了する(エンド)。
実施形態1に基づく液面検出装置1により、2つの電気信号に基づいてフロート20の精度の高い位置検出が可能である。当該方式により、信号を切り替える切替回路等を設ける必要がなく、回路構成を簡易にすることが可能であるとともに、小型化を図ることが可能である。
また、環境温度の変化に追従して、磁石や磁気センサの特性が変化して出力信号が変化する可能性があるが、角度計算において2つの出力信号のtanθ(Psinθ/Pcosθ)を算出しているため環境温度に従う変動量が相殺されるため環境温度の影響による誤差を縮小し、精度の高い位置検出が可能である。
なお、本例においては、磁石2Aと磁石2Cとの距離について、距離aの2倍の間隔に設定する場合について説明したが、磁石2A等の厚さ方向(N極およびS極の幅)を調整して、磁気センサ5の検出特性を高めるように当業者であるならば適宜設計変更することが可能である。
(実施形態1の変形例)
図14は、実施形態1に基づくフロート20に取り付けられた磁石2E,2Fと、磁気センサ5A,5B,5Cとのレイアウトを説明する図である。
図14に示されるように、磁石2E,2Fは、1組の磁石ユニットを形成する。
磁石2E,2Fで形成される磁石ユニットは2つの領域に分割され、それぞれの領域で互いにS極あるいはN極が向き合うように配置されている。分割された隣接する領域は、磁石の磁極が異なるように配置されている。
また、本例においては、磁石2Eおよび2Fの距離は、距離aの2倍の間隔に設定される。また、その中心を磁気センサ5が通過するように配置されている。また、N極およびS極の2つの分割された領域の距離は、距離aの2倍の間隔に設定され、磁気センサ5の互いの間隔も距離aで配置されている。磁気センサ5は、昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる。
当該磁石2E,2Fにより生じる磁界(磁力線)は、図7のレイアウトにより生じる磁界(磁力線)と基本的に同様であり、その出力信号波形は、図9で説明したのと同様である。したがって、上記で説明したのと同様の方式に従ってフロート20の位置について精度の高い検出が可能である。
なお、当該構成により配置する磁石の個数を削減することができるとともに、磁石のレイアウトも容易に行なうことが可能である。
なお、本例においては、フロート20が回転可能な構成としてフロート20が回転した場合であっても磁気センサ5が磁界を精度よく測定可能なように磁石を対向配置する構成について説明したが、フロート20が回転せずフロート20がガイド部材に沿って昇降方向に沿ってのみ移動する場合には、対向する磁石を設けない構成(片側磁石のみ)とすることも可能である。以下の構成においても同様である。その場合、磁気センサ内に設けられるバイアス磁石を設けない構成とすることも可能である。
(実施形態2)
実施形態1においては、複数組の磁石ユニットを利用してフロート20の位置を検出する液面検出装置1の構成について説明したが、1組の磁石ユニットを利用してフロート20の位置を検出する液面検出装置について説明する。
図15は、実施形態2に基づくフロート20に取り付けられた磁石2G,2Hと、磁気センサ5A,5B,5Cとのレイアウトを説明する図である。
図15に示されるように、磁石2G,2Hは、1組の磁石ユニットを形成する。
磁石2G,2Hで形成される磁石ユニットは互いにN極が向き合うように配置されている。なお、本例においては、N極が向き合うように配置した例について説明するがS極が向き合う構成とすることも可能である。
また、本例においては、磁石2Gと磁石2Hとの距離は、距離aの2倍の間隔に設定され、また、その中心を磁気センサ5が通過するように配置されている。磁気センサ5の互いの間隔も距離aで配置されている。磁気センサ5は、昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる。
なお、本例においては、3つの磁気センサ5A〜5Cが配置されて、フロート20の位置を検出する場合について説明するが、さらに複数の磁気センサが配置された場合についても同様である。
なお、本例において、例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2G(あるいは磁石2H)の昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、基準位置(中心点)の位置に磁気センサ5Bが位置している場合が示されている。
図16は、実施形態2に基づくフロート20の昇降動作に従う複数の磁気センサの出力信号波形を説明する図である。
図16に示されるように、図9に示されている出力信号波形と同様に、フロート20が磁気センサ5Aに近づくに従って磁気センサ5Aは、磁石2G,2Hの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。他の磁気センサ5B,5Cについても、磁石2A,2Bの磁力線として右から左への磁界の影響を受けるためバイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
そして、さらにフロート20が上昇して、磁気センサ5Aが磁石2G,2Hとの間の中心線上に位置する状態(状態S7)となる。本例においては、当該状態を初期状態とする。そして、当該状態における出力信号の電圧を中間電圧に設定する。
磁気センサ5Bは、磁石2G,2Hの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Bのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。他の磁気センサ5Cについても、磁石2G,2Hの磁力線として右から左への磁界の影響をやや受ける。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2G,2Hの磁力線として左から右への磁界の影響を受ける(状態S8)。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV2側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV2側への変化に従い電位差ΔVは増加する。
磁気センサ5Bは、磁石2G,2Hとの間の中心線上に位置する状態である。したがって、初期状態である。
磁気センサ5Cは、磁石2G,2Hの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Cのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
上記により、磁気センサ5B,5Cの出力信号波形は、磁気センサ5Aの出力信号波形から距離a(位相として90°)ずつずらした波形となる。
図17は、図16の所定領域を拡大したイメージ図である。
図17を参照して、ここでは、所定領域として図16のハッチング領域の複数の磁気センサ5A〜5Bの出力信号波形が示されている。
磁気センサ5A,5Bの出力信号波形は、中間電圧を基準とした場合、後述する円状に沿って変化する外部磁界の磁気ベクトルPの水平成分(昇降方向)に模式化(近似)することが可能である。
具体的には、隣接する2つの磁気センサから出力される電気信号として位相が90°ずれた信号波形を検出することが可能である。
本例においては、位相が90°ずれているため一方の出力信号(電気信号)を正弦波(sinθ)、他方の出力信号(電気信号)を余弦波(cosθ)で表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
図18は、実施形態2に基づく磁気センサ5と磁気ベクトルPとの関係を模式的に説明する図である。
図18には、状態S7から状態S8に移行する場合において磁気センサ5A,5Bに対するフロート20の昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。磁気ベクトルPは、一例として磁石2GのN極およびS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
なお、説明を簡易にするために磁石2HのN極およびS極により生じる磁界の磁力線については省略しているが、磁気ベクトルPの昇降方向と垂直な成分については、当該磁石2HのN極およびS極により生じる磁界の磁力線の磁気ベクトルにより打ち消される。したがって、磁気センサ5A,5Bに対する外部磁界としては、昇降方向成分のみとなる。上記したように当該外部磁界に従って各磁気センサ5におけるバイアス磁界ベクトルが変化する。
一例として、外部磁界である磁気ベクトルの大きさと磁束密度(AMR出力)とは相関関係にあるため、昇降方向に対する磁気センサ5Aで検出される出力信号はPsinθ、磁気センサ5Bで検出される出力信号は−Pcosθで表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルPの角度θとして算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、正弦波Psinθ、余弦波Pcosθの振幅値Pはtanθを算出することにより打ち消される。
上記処理は、検出回路50で実行される処理である。具体的には、MPU40において上記算出処理が実行される。
磁気ベクトルの角度情報θとして0°〜90°の変化に対応してフロート20の位置は距離a変化する。
例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2Gあるいは2Hの昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、図15に示されるフロート20の基準位置(中心点)は、磁気センサ5Bの位置である。また、磁気センサ5Aの出力信号が中間電圧となる位置(図16の状態S7)は、フロート20の基準位置(中心点)が磁気センサ5Aの位置にある場合である。また、磁気センサ5Aの出力信号が最大となる位置(図16の状態S8)は、フロート20の基準位置(中心点)が磁気センサ5Bの位置にある場合である。
本例においては、磁気センサ5Aと、磁気センサ5Bとの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、その位置関係を決定する。例えば、角度情報θが45°として算出された場合には、フロートの基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置よりもa/2の距離、磁気センサ5B側に移動した位置にあると検出することが可能である。
なお、本例においては、磁気センサ5A,5Bの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、磁気センサ5Aからの位置関係を決定する場合について説明したが、磁気センサ5Bからの位置関係を決定することも可能である。また、同様の方式に従って、磁気センサ5B、5Cの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、磁気センサ5Cからの位置関係を決定することも当然に可能である。他の方式についても同様である。
図19は、実施形態2に基づく角度情報θの精度を説明する図である。
図19(A)には、角度θを0°〜90°まで変化させた場合における、一方の出力信号(電気信号)をPcosθ、他方の出力信号(電気信号)をPsinθに設定した場合におけるarctanθと基準値との比較が示されている。
シミューレーション結果として、基準値とはほとんど相違しない。
また、角度の精度としても図19(B)に示されるように基準値に対して±2°程度のずれしかない場合が示されており、精度の高いフロート20の位置検出が可能である。
実施形態2に基づく液面検出装置1により、1つの磁石ユニットを利用してフロート20の位置を検出することが可能であり、回路構成を簡易にすることが可能であるとともに、小型化を図ることが可能である。
(実施形態3)
実施形態1においては、磁気センサ5の間隔を磁石ユニットの間隔の半分の距離である距離aに設定した場合について説明したが、当該距離を変更することも可能である。
具体的には、磁石ユニットの間隔を距離2aに設定するとともに、磁気センサ5の間隔を距離3aに設定する場合について説明する。
図20は、実施形態3に基づくフロート20に取り付けられた磁石2I〜2Tと、磁気センサ5A,5B,5Cとのレイアウトを説明する図である。
図20に示されるように、磁石2I,2Jは、1組の磁石ユニットを形成する。また、磁石2K,2Lは、1組の磁石ユニットを形成する。磁石2M,2Nは、1組の磁石ユニットを形成する。磁石2O,2Pは、1組の磁石ユニットを形成する。磁石2Q,2Rは、1組の磁石ユニットを形成する。磁石2S,2Tは、1組の磁石ユニットを形成する。
磁石2I,2Jで形成される磁石ユニットは互いにN極が向き合うように配置されている。磁石2K,2Lで形成される磁石ユニットは互いにS極が向き合うように配置されている。磁石2M,2Nで形成される磁石ユニットは互いにN極が向き合うように配置されている。磁石2O,2Pで形成される磁石ユニットは互いにS極が向き合うように配置されている。磁石2Q,2Rで形成される磁石ユニットは互いにN極が向き合うように配置されている。磁石2S,2Tで形成される磁石ユニットは互いにS極が向き合うように配置されている。隣接する磁石ユニットは、磁石の磁極が異なるように配置されている。
また、本例においては、磁石2Iと磁石2Jとの距離は、距離aの2倍の間隔に設定され、また、その中心を磁気センサ5が通過するように配置されている。また、隣接する磁石ユニットの間隔(中心間距離)も距離aの2倍に設定されている。磁気センサ5の互いの間隔は距離3aで配置されている。磁気センサ5は、昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる。
なお、本例において、例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2Iから2S(あるいは磁石2Jから2T)の昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、基準位置(中心点)の位置に磁気センサ5Bが位置している場合が示されている。
図21は、実施形態3に基づくフロート20の昇降動作に従う磁気センサ5からの出力信号波形を説明する図である。
図21に示されるように、図9に示されている出力信号波形と同様に、フロート20が磁気センサ5に近づくに従って磁気センサ5Aは、磁石2I,2Jの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
そして、さらにフロート20が上昇して、磁気センサ5Aが磁石2I,2Jとの間の中心線上に位置する状態となる。本例においては、当該状態を初期状態とする。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2I,2Kの磁力線として左から右への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV2側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV2側への変化に従い電位差ΔVは増加する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2K,2Lとの間の中心線上に位置する状態となる。したがって、初期状態となる。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2K,2Mの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2M,2Nとの間の中心線上に位置する状態となる。したがって、初期状態となる。本例においては、一例として当該状態における出力信号の電圧を中間電圧に設定する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2M,2Oの磁力線として左から右への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV2側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV2側への変化に従い電位差ΔVは増加する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2O,2Pとの間の中心線上に位置する状態となる。したがって、初期状態となる。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2O,2Qの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2Q,2Rとの間の中心線上に位置する状態となる。したがって、初期状態となる。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2Q,2Sの磁力線として左から右への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV2側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV2側への変化に従い電位差ΔVは増加する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2S,2Tとの間の中心線上に位置する状態となる。したがって、初期状態となる。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2S,2Tの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
磁気センサ5B,5Cの出力信号波形についても磁気センサ5Aの出力信号波形と同様であり、磁気センサ5Aの出力信号波形から距離3a(位相として270°)ずつずらした波形となっている。
図22は、図21の所定領域を拡大したイメージ図である。
図22を参照して、ここでは、所定領域として図21のハッチング領域の複数の磁気センサ5A,5Bの出力信号波形が示されている。
磁気センサ5A,5Bの出力信号波形は、中間電圧を基準とした場合、後述する円状に沿って変化する外部磁界の磁気ベクトルPの水平成分(昇降方向)に模式化(近似)することが可能である。
具体的には、隣接する2つの磁気センサから出力される電気信号として位相が270°ずれた信号波形を検出することが可能である。
本例においては、270°を90°ずつ3分割して、分割された領域T1〜T3における2本のうち一方の出力信号(電気信号)を正弦波(sinθ)、他方の出力信号(電気信号)を余弦波(cosθ)で表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
図23は、実施形態3に基づく磁気センサ5と磁気ベクトルPとの関係を模式的に説明する図である。
状態S9から状態S10に移行する場合において、磁気センサ5A,5Bに対するフロートの昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。磁気ベクトルPは、一例として磁石2MのN極および磁石2KのS極、磁石2MのN極および磁石2OのS極、磁石2QのN極および磁石2OのS極により生じる磁界により磁気センサ5A,5Bが受ける磁力線の方向を指す。
なお、説明を簡易にするために対向する磁石2L,2N,2P,2Rにより生じる磁界の磁力線については省略しているが、磁気ベクトルPの昇降方向と垂直な成分については、当該磁石2L,2N,2P,2RのN極およびS極により生じる磁界の磁力線の磁気ベクトルにより打ち消される。したがって、磁気センサ5A,5Bに対する外部磁界としては、昇降方向成分のみとなる。上記したように当該外部磁界に従って各磁気センサ5におけるバイアス磁界ベクトルが変化する。
図23(A)には、状態S9から状態S10を3分割した領域T1における磁気センサ5A,5Bにそれぞれ入力されるフロート20の昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。
磁気センサ5Aに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2MのN極および磁石2OのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
磁気センサ5Bに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2MのN極および磁石2KのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
一例として、外部磁界である磁気ベクトルの大きさと磁束密度(AMR出力)とは相関関係にあるため、昇降方向に対する磁気センサ5Aで検出される出力信号はPcosθ、磁気センサ5Bで検出される出力信号は−Psinθで表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、正弦波Psinθ、余弦波Pcosθの振幅値Pはtanθを算出することにより打ち消される。
上記処理は、検出回路50で実行される処理である。具体的には、MPU40において上記算出処理が実行される。
磁気ベクトルの角度情報θとして0°〜90°の変化に対応してフロート20の位置は距離a変化する。
例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2I〜2Sの昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、図20に示されるフロート20の基準位置(中心点)は、磁気センサ5Bの位置である。また、磁気センサ5Aの出力信号が最大となる位置(図21の状態S9)は、フロート20の基準位置(中心点)が磁気センサ5Aの位置にある場合である。また、磁気センサ5Aの出力信号が中間電圧となる位置(図21の状態S10)は、フロート20の基準位置(中心点)が磁気センサ5Bの位置にある場合である。
本例の領域T1の検出領域においては、磁気センサ5Aと、磁気センサ5Bとの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、その位置関係を決定する。例えば、角度情報θが45°として算出された場合には、フロートの基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置よりもa/2の距離、磁気センサ5B側に移動した位置にあると検出することが可能である。
図23(B)には、状態S9から状態S10を3分割した領域T2における磁気センサ5A,5Bにそれぞれ入力されるフロート20の昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。
磁気センサ5Aに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2QのN極および磁石2OのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
磁気センサ5Bに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2MのN極および磁石2KのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
一例として、外部磁界である磁気ベクトルの大きさと磁束密度(AMR出力)とは相関関係にあるため、昇降方向に対する磁気センサ5Aで検出される出力信号は−Psinθで表わすことが可能である。また、磁気センサ5Bで検出される出力信号は−Pcosθで表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、正弦波Psinθ、余弦波Pcosθの振幅値Pはtanθを算出することにより打ち消される。
上記処理は、検出回路50で実行される処理である。具体的には、MPU40において上記算出処理が実行される。
磁気ベクトルの角度情報θとして0°〜90°の変化に対応してフロート20の位置も距離a変化する。
例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2I〜2Sの昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、図20に示されるフロート20の基準位置(中心点)は、磁気センサ5Bの位置である。
本例の領域T2の検出領域においては、磁気センサ5Aと、磁気センサ5Bとの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、その位置関係を決定する。例えば、角度情報θが45°として算出された場合には、フロートの基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置よりもa+a/2の距離、磁気センサ5B側に移動した位置にあると検出することが可能である。
図23(C)には、状態S9から状態S10を3分割した領域T3における磁気センサ5A,5Bにそれぞれ入力されるフロート20の昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。
磁気センサ5Aに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2QのN極および磁石2OのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
磁気センサ5Bに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2MのN極および磁石2OのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
一例として、外部磁界である磁気ベクトルの大きさと磁束密度(AMR出力)とは相関関係にあるため、昇降方向に対する磁気センサ5Aで検出される出力信号は−Pcosθで表わすことが可能である。また、磁気センサ5Bで検出される出力信号はPsinθで表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、正弦波Psinθ、余弦波Pcosθの振幅値Pはtanθを算出することにより打ち消される。
上記処理は、検出回路50で実行される処理である。具体的には、MPU40において上記算出処理が実行される。
磁気ベクトルの角度情報θとして0°〜90°の変化に対応してフロート20の位置も距離a変化する。
例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2I〜2Sの昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、図20に示されるフロート20の基準位置(中心点)は、磁気センサ5Bの位置である。
本例の領域T3の検出領域においては、磁気センサ5Aと、磁気センサ5Bとの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、その位置関係を決定する。例えば、角度情報θが45°として算出された場合には、フロートの基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置よりも2a+a/2の距離、磁気センサ5B側に移動した位置にあると検出することが可能である。
図24は、実施形態3に基づく複数の磁気センサ5A〜5Cの出力信号波形の中からそれぞれの領域T1〜T3における2本の出力信号波形を抽出する方式を説明する図である。
図24を参照して、ここでは、複数の閾値TH0〜TH2が設定されている。閾値TH0は、一例として中間電圧に設定する。閾値TH2は、一例として出力信号波形が下がった最小値との間の中間的なピーク値に設定する。閾値TH1は、一例として閾値TH0と閾値TH2との間の中間値に設定する。なお、当該閾値TH0〜TH2の設定については、一例であり他の方式に従って閾値の設定をするようにしても良い。
本実施形態3においては、閾値TH0〜TH2と出力信号波形との関係とに基づいて領域T1〜T3を分割して、2本の出力信号波形を抽出する。
(1)領域T1については、磁気センサ5Cの出力信号波形(磁気センサ5Aの2つ隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH1を下回り、かつ磁気センサ5Bの出力信号波形(磁気センサ5Aの隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH0を下回る場合、あるいは磁気センサ5Bの出力信号波形(磁気センサ5Aの隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH2を下回り、かつ磁気センサ5Aの出力信号波形の値が閾値TH0を上回る場合に、磁気センサ5Aの出力をPcosθとし、磁気センサ5Bの出力を−Psinθに設定する。
(2)領域T2については、磁気センサ5Aの出力信号波形および磁気センサ5Bの出力信号波形(磁気センサ5Aの隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH0を下回り、かつ磁気センサ5Cの出力信号波形(磁気センサ5Aの2つ隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH0を上回る場合に、磁気センサ5Aの出力を−Psinθとし、磁気センサ5Bの出力を−Pcosθに設定する。
(3)領域T3については、磁気センサ5Bの出力信号波形(磁気センサ5Aの隣の磁気センサから出力される出力信号波形)および磁気センサ5Cの出力信号波形(磁気センサ5Aの2つ隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH0を上回り、かつ磁気センサ5Aの出力信号波形の値が閾値TH0を下回る場合に、磁気センサ5Aの出力を−Pcosθとし、磁気センサ5Bの出力をPsinθに設定する。
そして、上記方式に従って、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、本例においては、閾値TH0〜TH2と出力信号波形との関係とに基づいて領域T1〜T3を分割して、2本の出力信号波形を抽出する方式について説明したが、特に当該方式に限られず、他の方式に従って2本の出力信号波形を抽出することも可能である。
図25は、実施形態3に基づく角度情報θの精度を説明する図である。
図25(A)、(C)、(E)に示されるように、角度θを0°〜90°まで変化させた場合における、一方の出力信号(電気信号)をPcosθ、他方の出力信号(電気信号)をPsinθに設定した場合におけるarctanθと基準値との比較が示されている。
シミューレーション結果として、基準値とはほとんど相違しない。
また、角度の精度としても図25(B)、(D)、(F)に示されるように各領域において±2°程度のずれしかない場合が示されており、精度の高いフロート20の位置検出が可能である。
図26は、実施形態3に基づく液面検出装置1の検出方式を説明するフロー図である。
図26に示されるように、所定の信号関係の組み合わせに基づく2本の信号を抽出する(ステップSP2#)。具体的には、図23で説明した方式に従って、閾値TH0〜TH2と各出力信号波形との組み合わせに基づいて領域T1〜T3に分割し、それぞれの領域における2本の出力信号波形を抽出する。
中間電圧である閾値TH0は、一例として磁気センサ5Aが磁石2M,2Nとの間の中心線上に位置する状態における出力信号の電圧を中間電圧に設定する。閾値TH2は、一例として出力信号波形が下がった最小値との間の中間的なピーク値に設定することが可能である。閾値TH1は、一例として閾値TH0と閾値TH2との間の中間値に設定することが可能である。
次に、抽出した2本の信号に基づいて磁気ベクトルの角度θを計算する(ステップSP4)。具体的には、2本の電気信号のうちの一方の出力信号(電気信号)を正弦波(sinθ)、他方の出力信号(電気信号)を余弦波(cosθ)に設定し、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
次に、磁気ベクトルの角度θに基づいてフロート20の位置を算出する(ステップSP6)。算出された角度情報θに基づいてフロート20の基準位置(中心点)を磁気センサの位置から算出する。
そして、処理を終了する(エンド)。
実施形態3に基づく液面検出装置1により、2つの電気信号に基づいてフロート20の位置について精度の高い検出が可能である。また、2つの磁気センサを利用して270°分の情報(距離3a)を検出することが可能であるため、磁気センサの個数をさらに削減して小型化を図ることが可能である。また、対向している磁石間の距離も短くすることが可能であり、小型化をさらに図ることが可能である。
また、環境温度の変化に追従して、磁石や磁気センサの特性が変化して出力信号が変化する可能性があるが、角度計算において2つの出力信号のtanθ(Psinθ/Pcosθ)を算出しているため変動量が打ち消されて環境温度の影響による誤差を縮小し、精度の高い検出が可能である。
(実施形態3の変形例1)
図27は、実施形態3の変形例1に基づくフロート20に取り付けられた磁石2U,2Vと、磁気センサ5A,5B,5Cとのレイアウトを説明する図である。
図27に示されるように、磁石2U,2Vは、1組の磁石ユニットを形成する。
磁石2U,2Vで形成される磁石ユニットは6つの領域に分割され、それぞれの領域で互いにS極あるいはN極が向き合うように配置されている。分割された隣接する領域は、磁石の磁極が異なるように配置されている。
また、本例においては、磁石2Uおよび2Vの距離は、距離aの2倍の間隔に設定される。また、その中心を磁気センサ5が通過するように配置されている。また、N極およびS極の2つの分割された領域の距離は、距離aの2倍の間隔に設定され、磁気センサ5の互いの間隔は距離3aで配置されている。磁気センサ5は、昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる。
当該磁石2U,2Vにより生じる磁界(磁力線)は、図20のレイアウトにより生じる磁界(磁力線)と基本的に同様であり、その出力信号波形は、図21で説明したのと同様である。したがって、上記で説明したのと同様の方式に従ってフロート20の位置について精度の高い検出が可能である。
なお、当該構成により磁石の個数を削減することができるとともに、磁石のレイアウトも容易に行なうことが可能である。
(実施形態3の変形例2)
実施形態3においては、6組の磁石ユニットで構成されるフロートについて説明したが、磁石ユニットの数を削減することも可能である。
図28は、実施形態3に基づくフロート20に取り付けられた磁石2I〜2Pと、磁気センサ5A,5B,5Cとのレイアウトを説明する図である。
図28に示されるように、磁石2I,2Jは、1組の磁石ユニットを形成する。磁石2K,2Lは、1組の磁石ユニットを形成する。磁石2M,2Nは、1組の磁石ユニットを形成する。磁石2O,2Pは、1組の磁石ユニットを形成する。
磁石2I,2Jで形成される磁石ユニットは互いにN極が向き合うように配置されている。磁石2K,2Lで形成される磁石ユニットは互いにS極が向き合うように配置されている。磁石2M,2Nで形成される磁石ユニットは互いにN極が向き合うように配置されている。磁石2O,2Pで形成される磁石ユニットは互いにS極が向き合うように配置されている。隣接する磁石ユニットは、磁石の磁極が異なるように配置されている。
また、本例においては、磁石2Iと磁石2Jとの距離は、距離aの2倍の間隔に設定され、また、その中心を磁気センサ5が通過するように配置されている。また、隣接する磁石ユニットの間隔(中心間距離)も距離aの2倍に設定されている。磁気センサ5の互いの間隔は距離3aで配置されている。磁気センサ5は、昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる。
なお、本例において、例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2Iから2O(あるいは磁石2Jから2P)の昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、基準位置(中心点)の位置に磁気センサ5Bが位置している場合が示されている。
図29は、実施形態3の変形例2に基づくフロート20の昇降動作に従う磁気センサ5からの出力信号波形を説明する図である。
図29に示されるように、図9に示されている出力信号波形と同様に、フロート20が磁気センサ5に近づくに従って磁気センサ5Aは、磁石2I,2Jの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
そして、さらにフロート20が上昇して、磁気センサ5Aが磁石2I,2Jとの間の中心線上に位置する状態となる。本例においては、当該状態を初期状態とする。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2I,2Kの磁力線として左から右への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV2側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV2側への変化に従い電位差ΔVは増加する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2K,2Lとの間の中心線上に位置する状態となる。したがって、初期状態となる。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2K,2Mの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2M,2Nとの間の中心線上に位置する状態となる。したがって、初期状態となる。本例においては、当該状態における出力信号の電圧を中間電圧に設定する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2M,2Oの磁力線として左から右への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV2側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV2側への変化に従い電位差ΔVは増加する。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2O,2Pとの間の中心線上に位置する状態となる。したがって、初期状態となる。
そして、フロート20がさらに上昇して、磁気センサ5Aは、磁石2O,2Pの磁力線として右から左への磁界の影響を受ける。したがって、磁気センサ5Aのバイアス磁界ベクトルV0は、バイアス磁界ベクトルV1側に変化する。当該バイアス磁界ベクトルV1側への変化に従い電位差ΔVは減少する。
磁気センサ5B,5Cの出力信号波形についても磁気センサ5Aの出力信号波形と同様であり、磁気センサ5Aの出力信号波形から距離3a(位相として270°)ずつずらした波形となっている。
図30は、図29の所定領域を拡大したイメージ図である。
図30を参照して、ここでは、所定領域として図29のハッチング領域の複数の磁気センサ5A,5Bの出力信号波形が示されている。
磁気センサ5A,5Bの出力信号波形は、中間電圧を基準とした場合、後述する円状に沿って変化する外部磁界の磁気ベクトルPの水平成分(昇降方向)に模式化(近似)することが可能である。
具体的には、隣接する2つの磁気センサから出力される電気信号として位相が270°ずれた信号波形を検出することが可能である。
本例においては、270°を90°ずつ3分割して、分割された領域T1〜T3における2本のうち一方の出力信号(電気信号)を正弦波(sinθ)、他方の出力信号(電気信号)を余弦波(cosθ)に設定し、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
図31は、実施形態3の変形例2に基づく磁気センサ5が受ける磁気ベクトルの角度を説明する図である。
状態S11から状態S12に移行する場合において、磁気センサ5A,5Bに対するフロートの昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。磁気ベクトルPは、一例として磁石2IのN極および磁石2KのS極、磁石2MのN極および磁石2KのS極、磁石2MのN極および磁石2OのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
なお、説明を簡易にするために対向する磁石2J,2L,2N,2Pにより生じる磁界の磁力線については省略しているが、磁気ベクトルPの昇降方向と垂直な成分については、当該磁石2J,2L,2N,2PにのN極およびS極により生じる磁界の磁力線の磁気ベクトルにより打ち消される。したがって、磁気センサ5A,5Bに対する外部磁界としては、昇降方向成分のみとなる。上記したように当該外部磁界に従って各磁気センサ5におけるバイアス磁界ベクトルが変化する。
図31(A)には、状態S11から状態S12を3分割した領域T1における磁気センサ5A,5Bにそれぞれ入力されるフロート20の昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。
磁気センサ5Aに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2MのN極および磁石2KのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
磁気センサ5Bに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2IのN極および磁石2KのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
一例として、磁気ベクトルの大きさと磁束密度(AMR出力)とは相関関係にあるため角度θに従って昇降方向に対する磁気センサ5Aで検出される出力信号は−Pcosθで表わすことが可能である。また、磁気センサ5Bで検出される出力信号はPsinθで表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、正弦波Psinθ、余弦波Pcosθの振幅値Pはtanθを算出することにより打ち消される。
上記処理は、検出回路50で実行される処理である。具体的には、MPU40において上記算出処理が実行される。
磁気ベクトルの角度情報θとして0°〜90°の変化に対応してフロート20の位置も距離a変化する。
例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2I〜2Oの昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、図28に示されるフロート20の基準位置(中心点)は、磁気センサ5Bの位置である。また、磁気センサ5Aの出力信号が最小値となる位置(図29の状態S11)は、フロート20の基準位置(中心点)が磁気センサ5Aの位置にある場合である。また、磁気センサ5Aの出力信号が中間電圧となる位置(図29の状態S12)は、フロート20の基準位置(中心点)が磁気センサ5Bの位置にある場合である。
本例の領域T1の検出領域においては、磁気センサ5Aと、磁気センサ5Bとの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、その位置関係を決定する。例えば、角度情報θが45°として算出された場合には、フロートの基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置よりもa/2の距離、磁気センサ5B側に移動した位置にあると検出することが可能である。
図31(B)には、状態S11から状態S12を3分割した領域T2における磁気センサ5A,5Bにそれぞれ入力されるフロート20の昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。
磁気センサ5Aに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2MのN極および磁石2OのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
磁気センサ5Bに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2IのN極および磁石2KのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
一例として、磁気ベクトルの大きさと磁束密度(AMR出力)とは相関関係にあるため角度θに従って昇降方向に対する磁気センサ5Aで検出される出力信号はPsinθで表わすことが可能である。また、磁気センサ5Bで検出される出力信号はPcosθで表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、正弦波Psinθ、余弦波Pcosθの振幅値Pはtanθを算出することにより打ち消される。
上記処理は、検出回路50で実行される処理である。具体的には、MPU40において上記算出処理が実行される。
磁気ベクトルの角度情報θとして0°〜90°の変化に対応してフロート20の位置も距離a変化する。
例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2I〜2Oの昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、図28に示されるフロート20の基準位置(中心点)は、磁気センサ5Bの位置である。
本例の領域T2の検出領域においては、磁気センサ5Aと、磁気センサ5Bとの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、その位置関係を決定する。例えば、角度情報θが45°として算出された場合には、フロートの基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置よりもa+a/2の距離、磁気センサ5B側に移動した位置にあると検出することが可能である。
図31(C)には、状態S11から状態S12を3分割した領域T3における磁気センサ5A,5Bにそれぞれ入力されるフロート20の昇降方向に対する磁気ベクトルが示されている。ここでは、昇降方向はX軸に沿う方向である。
磁気センサ5Aに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2MのN極および磁石2OのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
磁気センサ5Bに影響を与える磁気ベクトルPは、一例として磁石2MのN極および磁石2KのS極により生じる磁界の磁力線の方向を指す。
一例として、磁気ベクトルの大きさと磁束密度(AMR出力)とは相関関係にあるため角度θに従って昇降方向に対する磁気センサ5Aで検出される出力信号はPcosθで表わすことが可能である。また、磁気センサ5Bで検出される出力信号は−Psinθで表わすことが可能である。そして、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、正弦波Psinθ、余弦波Pcosθの振幅値Pはtanθを算出することにより打ち消される。
上記処理は、検出回路50で実行される処理である。具体的には、MPU40において上記算出処理が実行される。
磁気ベクトルの角度情報θとして0°〜90°の変化に対応してフロート20の位置も距離a変化する。
例えば、フロート20の位置として、一例として磁石2I〜2Oの昇降方向における中心を基準位置(中心点)とする。この場合、図28に示されるフロート20の基準位置(中心点)は、磁気センサ5Bの位置である。
本例の領域T3の検出領域においては、磁気センサ5Aと、磁気センサ5Bとの電気信号を利用して、磁気ベクトルの角度情報θを算出して、その位置関係を決定する。例えば、角度情報θが45°として算出された場合には、フロートの基準位置(中心点)は、磁気センサ5Aの位置よりも2a+a/2の距離、磁気センサ5B側に移動した位置にあると検出することが可能である。
図32は、実施形態3の変形例2に基づく複数の磁気センサ5A〜5Cの出力信号波形の中からそれぞれの領域T1〜T3における2本の出力信号波形を抽出する方式を説明する図である。
図32を参照して、ここでは、複数の閾値TH0〜TH2が設定されている。閾値TH0は、一例として中間電圧に設定する。閾値TH2は、一例として出力信号波形が下がった最小値との間の中間的なピーク値に設定する。閾値TH1は、一例として閾値TH0と閾値TH2との間の中間値に設定される。なお、当該閾値TH0〜TH2の設定については、一例であり他の方式に従って閾値の設定をするようにしても良い。
本実施形態3の変形例2においては、閾値TH0〜TH2と出力信号波形との関係とに基づいて領域T1〜T3を分割して、2本の出力信号波形を抽出する。
(1)領域T1については、磁気センサ5Bの出力信号波形(磁気センサ5Aの隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH0を上回り、かつ磁気センサ5Aの出力信号波形および磁気センサ5Cの出力信号波形(磁気センサ5Aの2つ隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH0を下回る場合に、磁気センサ5Aの出力を−Pcosθとし、磁気センサ5Bの出力をPsinθに設定する。
(2)領域T2については、磁気センサ5Aの出力信号波形および磁気センサ5Bの出力信号波形(磁気センサ5Aの隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH0を上回り、かつ磁気センサ5Cの出力信号波形(磁気センサ5Aの2つ隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH0を下回る場合に、磁気センサ5Aの出力をPsinθとし、磁気センサ5Bの出力をPcosθに設定する。
(3)領域T3については、磁気センサ5Cの出力信号波形(磁気センサ5Aの2つ隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH1を下回り、かつ、磁気センサ5Bの出力信号波形(磁気センサ5Aの隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH0を下回る場合、あるいは、磁気センサ5Bの出力信号波形(磁気センサ5Aの隣の磁気センサから出力される出力信号波形)の値が閾値TH2を下回り、かつ、磁気センサ5Aの出力信号波形の値が閾値TH0を上回る場合に、磁気センサ5Aの出力をPcosθとし、磁気センサ5Bの出力を−Psinθに設定する。
そして、上記方式に従って、2つの出力信号(電気信号)に基づいて磁気ベクトルの角度θを算出する。
具体的には、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθを算出し、arctanθを計算することにより角度情報θを算出する。
なお、本例においては、閾値TH0〜TH2と出力信号波形との関係とに基づいて領域T1〜T3を分割して、2本の出力信号波形を抽出する方式について説明したが、特に当該方式に限られず、他の方式に従って2本の出力信号波形を抽出することも可能である。
図33は、実施形態3の変形例2に基づく角度情報θの精度を説明する図である。
図33(A)、(C)、(E)に示されるように、角度θを0°〜90°まで変化させた場合における、一方の出力信号(電気信号)をcosθ、他方の出力信号(電気信号)をsinθに設定した場合におけるarctanθと基準値との比較が示されている。
また、角度の精度としても図33(B)、(D)、(F)に示されるようにある程度のずれしかない場合が示されており、精度の高い検出が可能である。
実施形態3の変形例2に基づく液面検出装置1により、2つの電気信号に基づいてフロート20の位置について精度の高い検出が可能である。また、2つの磁気センサを利用して270°分の情報(距離3a)を検出することが可能であるため、磁気センサの個数をさらに削減して小型化を図ることが可能である。
また、環境温度の変化に追従して、磁石や磁気センサの特性が変化して出力信号が変化する可能性があるが、角度計算において2つの出力信号のtanθ(Psinθ/Pcosθ)を算出しているため変動量が打ち消されて環境温度の影響による誤差を縮小し、精度の高い検出が可能である。
(実施形態3の変形例3)
図34は、実施形態3の変形例3に基づくフロート20に取り付けられた磁石2W,2Xと、磁気センサ5A,5B,5Cとのレイアウトを説明する図である。
図34に示されるように、磁石2W,2Xは、1組の磁石ユニットを形成する。
磁石2W,2Xで形成される磁石ユニットは4つの領域に分割され、それぞれの領域で互いにS極あるいはN極が向き合うように配置されている。分割された隣接する領域は、磁石の磁極が異なるように配置されている。
また、本例においては、磁石2Wおよび2Xの距離は、距離aの2倍の間隔に設定される。また、その中心を磁気センサ5が通過するように配置されている。また、N極およびS極の2つの分割された領域の距離は、距離aの2倍の間隔に設定され、磁気センサ5の互いの間隔は距離3aで配置されている。磁気センサ5は、昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる。
当該磁石2W,2Xにより生じる磁界(磁力線)は、図28のレイアウトにより生じる磁界(磁力線)と基本的に同様であり、その出力信号波形は、図28で説明したのと同様であり、同様の方式に従ってフロート20の位置を検出することが可能である。
なお、当該構成により磁石の個数を削減することができるとともに、磁石のレイアウトも容易に行なうことが可能である。
(実施形態4)
図35は、実施形態4に基づく磁気センサ5#の磁気抵抗素子のパターンを説明する図である。
図35を参照して、本例においては、磁気センサ5は、4つの磁気抵抗素子MR1#〜MR4#からなるブリッジ構造からなる。
4つの磁気抵抗素子MR1#〜MR4#は、中心線に対して対称に配置される。磁気抵抗素子1#,MR3#は、互いに逆方向の磁界の増加に応じて抵抗値が共に増加する磁気抵抗効果特性を有するように、また、磁気抵抗素子2#,4#は、互いに逆方向の磁界の増加に応じて抵抗値が共に減少する磁気抵抗効果特性を有するように、バーバーポール電極構造が形成されている。当該構成により、図5で説明した磁束密度の変化に伴う出力特性を有する。したがって、上記の磁気センサ5の代わりに当該構成の磁気センサ5#を利用した液面検出装置についても上記で説明したのと同様の方式により、フロート20の位置を検出することが可能である。
(実施形態5)
実施形態5においては、ガイド10に対してフロート20の位置がずれた場合であっても精度の高い液面検出が可能な構成について説明する。
図36は、ガイド10に対してフロート20の位置がずれた場合を説明する図である。
図36(A)には、フロート20を上視した場合の図が示されている。また、磁石2G,2Hで形成される磁石ユニットは、ガイド部材を介して互いに向き合うように対向して設けられている。
本例においては、ガイド部材10の中心軸とフロート20の中心とが一致している場合が示されているが、フロート20の位置がずれて、磁気センサ5とフロート20との相対的な位置関係が変化する場合について説明する。フロート20の磁石2Hが磁石2Gよりも磁気センサ5に近づく場合について説明する。
図36(B)には、フロート20に取り付けられた磁石2G,2Hと、磁気センサ5A〜5Cとのレイアウトが示されている。
図36(B)に示されるように、磁気センサ5A〜5Cが磁石2Hに近づいた場合には、水平成分の外部磁界(磁力線)のみならず垂直成分の外部磁界(磁力線)の影響を受ける。これにより、バイアス磁界ベクトルの回転角が変化し、それに応じた出力信号が変化する。この出力信号の変化により液面検出の精度が低下する可能性がある。
図37は、実施形態5に基づくフロート20に取り付けられた磁石2G,2Hと、磁気センサとのレイアウトを説明する図である。
図37を参照して、磁石2G,2Hは、1組の磁石ユニットを形成する。
磁石2G,2Hで形成される磁石ユニットは、互いにN極が向き合うように配置されている。フロート20の構成については、図15で説明したの同様である。
図15で説明したように、磁石2Gと磁石2Hとの距離は、距離aの2倍の間隔に設定され、また、その中心を磁気センサ5が通過するように配置されている。磁気センサ5の互いの間隔も距離aで配置されている。磁気センサ5は、昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる。
ここで、磁気センサ5のバイアス磁界ベクトルの向きは、隣接する磁気センサを比較すると水平方向を基準として対称に設けられる。本例においては、一例として、磁気センサ5PA〜5PCが設けられる。磁気センサ5PA〜5PCのバイアス磁界ベクトルの向きは、フロート20の昇降方向に対して垂直な水平方向となるように配置される。
磁気抵抗素子MR1〜MR4に印加されるバイアス磁界ベクトルの向きがフロート20の昇降方向に対して垂直な水平方向となるように配置される。この点で、磁気センサ5PA〜5PCの磁気抵抗素子MRは、図4の構成と同様の構成とすることが可能であり、当該配置あるいは角度は磁気センサ5PA〜5PCの検出特性を高めるように当業者であるならば適宜設計変更することが可能である。
昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる他の磁気センサについても同様の方式で配置される。
図38は、磁気センサのバイアス磁界ベクトルの変化を説明する図である。
図38(A)には、磁気センサ5A〜5Cのバイアス磁界ベクトルの変化が示されている。
図5で説明したように磁気センサ5A〜5Cに対して昇降方向の外部磁界が印加される場合にはバイアス磁界ベクトルV0は、外部磁界(右から左方向)に従ってバイアス磁界ベクトルV1に変化する。一方で、バイアス磁界ベクトルV0は、外部磁界(左から右方向)に従ってバイアス磁界ベクトルV2に変化する。
一方、フロート20の磁石2Hが磁気センサ5A〜5Cに近づいた場合には水平成分(昇降方向)の外部磁界とともに、垂直成分(水平方向)の外部磁界(磁力線)の影響を受ける。
具体的には、磁気センサ5A〜5Cがずれて無い場合には、磁石2G,2Hからの垂直成分(水平方向)の外部磁界は互いに打ち消されて外部磁界(磁力線)の影響を受けないが、ずれた場合には磁石2G,2Hからの垂直成分(水平方向)の外部磁界は互いに打ち消されずその影響を受けることになる。例えば、図36の磁気センサ5A〜5Cには、磁石2Hから磁石2Gへの垂直成分(水平方向)の外部磁界がかかる。
具体的には、図36の状態において、磁気センサ5Aは、バイアス磁界ベクトルV2#に変化する。また、磁気センサ5Bは、バイアス磁界ベクトルV0#に変化する。また、磁気センサ5Cは、バイアス磁界ベクトルV1#に変化する。
ここで、図36の磁気センサ5Bのバイアス磁界ベクトルV0#を基準とした場合、磁気センサ5Cのバイアス磁界ベクトルV1#は、バイアス磁界ベクトルV0#の状態から角度α時計廻りに回転する。また、磁気センサ5Bのバイアス磁界ベクトルV0#を基準とした場合、磁気センサ5Cのバイアス磁界ベクトルV2#は、バイアス磁界ベクトルV0#の状態から角度β反時計廻りに回転する。
基準となるバイアス磁界ベクトルV0#がバイアス磁界ベクトルV0からずれるとともに、回転角も異なるため磁気センサ5A〜5Cのそれぞれから出力される信号の振幅値が異なり、それゆえに角度検出の誤差となる可能性がある。
図38(B)には、磁気センサ5PA〜5PCのバイアス磁界ベクトルの変化が示されている。
磁気センサ5PA〜5PCのバイアス磁界ベクトルの向きは、フロート20の昇降方向に対して垂直な水平方向となるように配置される。
磁気センサ5PA〜5PCに対して昇降方向の外部磁界が印加される場合にはバイアス磁界ベクトルV3は、外部磁界(右から左方向)に従ってバイアス磁界ベクトルV4に変化する。一方で、バイアス磁界ベクトルV3は、外部磁界(左から右方向)に従ってバイアス磁界ベクトルV5に変化する。
一方、フロート20の磁石2Hが磁気センサ5PA〜5PCに近づいた場合には水平成分(昇降方向)の外部磁界とともに、垂直成分(水平方向)の外部磁界(磁力線)の影響を受ける。
具体的には、磁気センサ5PA〜5PCがずれて無い場合には、磁石2G,2Hからの垂直成分(水平方向)の外部磁界は互いに打ち消されて外部磁界(磁力線)の影響を受けないが、ずれた場合には磁石2G,2Hからの垂直成分(水平方向)の外部磁界は互いに打ち消されずその影響を受けることになる。例えば、図37の磁気センサ5PA〜5PCには、磁石2Hから磁石2Gへの垂直成分(水平方向)の外部磁界がかかる。
具体的には、図37の状態において、磁気センサ5PAは、バイアス磁界ベクトルV5#に変化する。
また、バイアス磁界ベクトルV3の向きと、垂直成分(水平方向)の外部磁界(磁力線)の方向は同じであるため磁気センサ5PBのバイアス磁界ベクトルV3は、昇降方向に対して垂直な水平方向の状態を維持する。また、磁気センサ5PCは、バイアス磁界ベクトルV4#に変化する。
ここで、図37の磁気センサ5PBのバイアス磁界ベクトルV3を基準とした場合、磁気センサ5PCのバイアス磁界ベクトルV4#は、バイアス磁界ベクトルV3の状態から角度γ時計廻りに回転する。また、磁気センサ5PBのバイアス磁界ベクトルV3を基準とした場合、磁気センサ5PAのバイアス磁界ベクトルV5#は、バイアス磁界ベクトルV3の状態から角度γ反時計廻りに回転する。
基準となるバイアス磁界ベクトルV3が固定されており、回転角も同じであるため磁気センサ5PA〜5PCのそれぞれから出力される信号の振幅値が同じであり、それゆえに角度検出の誤差を抑制することが可能である。
具体的には、上記で説明したように本例においても図15で説明したように2本の電気信号のうちの一方の出力信号(電気信号)をPcosθ、他方の出力信号(電気信号)をPsinθに設定し、2つの出力信号(電気信号)に基づいてtanθ(Psinθ/Pcosθ)を算出し、arctanθを計算することにより擬似的な角度情報θを算出する。
当該角度情報θの算出において、フロート20の磁石2Hが磁気センサ5PA〜5PCに近づいた場合には、図37の例においては、振幅値がPからバイアス磁界ベクトルの回転する角度γに基づく振幅値P3に変化することになるが2つの出力信号(電気信号)が同じだけ振幅値が変化するため角度情報θの算出の際に打ち消されることになる。したがって、フロート20の磁石2Hが磁気センサ5PA〜5PCに近づいた場合であっても精度の高いフロート20の位置検出が可能である。
一方で、図36(B)の例においては、2つの出力信号(電気信号)の振幅値がPからバイアス磁界ベクトルの回転する角度αおよびβに基づく振幅値P1およびP2にそれぞれ変化することになり打ち消し合うことができないため比率が変化して角度検出の誤差となる可能性が生じることになる。
図39は、実施形態5に基づく角度情報θの精度を説明する図である。
図39(A)には、角度θを0°〜90°まで変化させた場合における、一方の出力信号(電気信号)をPcosθ、他方の出力信号(電気信号)をPsinθに設定した場合におけるarctanθと基準値との比較が示されている。
実施形態1の構成において図36(B)で説明したようにフロート20のずれが生じた場合には精度が低下する場合が示されているが、本実施形態5に従う図37の構成によれば、精度は低下せずに、精度の高いフロート20の位置検出が可能である。
また、角度の精度としても図39(B)に示されるように基準値に対して±5°のずれしかない場合が示されており、精度の高いフロート20の位置検出が可能である。
フロート20の位置にずれが生じた場合には、隣接する磁気センサのそれぞれには、水平成分(昇降方向)の外部磁界とともに、垂直成分(水平方向)の外部磁界(磁力線)の影響を受ける。
例えば、フロート20の位置にずれが生じた場合には、図36(B)で示される磁気センサ5Cには、水平成分(昇降方向)の外部磁界と垂直成分(水平方向)の外部磁界(磁力線)とを合成した第1の外部磁界が印加される。一方で、磁気センサ5Aには、水平成分(昇降方向)の外部磁界と垂直成分(水平方向)の外部磁界(磁力線)とを合成した第2の外部磁界が印加される。第1の外部磁界と第2の外部磁界とは、水平方向を軸とした場合に対称の状態である。
フロート20の位置にずれが生じた場合には、磁気センサ5A〜5Cの如く、バイアス磁界ベクトルが傾斜した状態で一定方向で配置されている場合には、バイアス磁界ベクトルに第1および第2の外部磁界がそれぞれ印加される入射角度が異なる。それゆえに基準となるバイアス磁界ベクトルからの上述した回転角α,βも異なる。
本実施形態5に基づく構成は、隣接する磁気センサのバイアス磁界ベクトルをフロート20の昇降方向に対して垂直な水平方向となるように設定する。これによりフロート20の位置にずれが生じた場合であっても、バイアス磁界ベクトルに対して第1および第2の外部磁界がそれぞれ印加される場合の入射角度は同じ角度となる。それゆえに基準となるバイアス磁界ベクトルからの上述した回転角γは同じになる。基準となるバイアス磁界ベクトルからの回転角が同じになるため磁気センサ5PA〜5PCのそれぞれから出力される信号の振幅値が同じであり、それゆえに角度検出の誤差を抑制し、精度の高い位置検出が可能である。
図40は、実施形態5の変形例に基づくフロート20に取り付けられた磁石2G,2Hと、複数の磁気センサ5QA〜5QCとのレイアウトを説明する図である。
図40に示されるように、磁石2G,2Hは、1組の磁石ユニットを形成する。
磁石2G,2Hで形成される磁石ユニットは互いにN極が向き合うように配置されている。なお、本例においては、N極が向き合うように配置した例について説明するがS極が向き合う構成とすることも可能である。
また、本例においては、磁石2Gと磁石2Hとの距離は、距離aの2倍の間隔に設定され、また、その中心を磁気センサ5QA〜5QCが通過するように配置されている。磁気センサ5QA〜5QCの互いの間隔も距離aで配置されている。磁気センサ5QA〜5QCは、昇降方向に沿ってガイド部材に取り付けられる。
本例においては、中央に磁気センサ5QBが設けられており、磁気センサ5QAと磁気センサ5QBのバイアス磁界ベクトルの向きは水平方向を基準として対称に設けられる。また、磁気センサ5QCと磁気センサ5QBのバイアス磁界ベクトルの向きは、水平方向を基準として対称に設けられる。
当該配置により、バイアス磁界ベクトルに対して第1および第2の外部磁界がそれぞれ印加される場合の入射角度を同じ角度に設定することが可能となる。それゆえに基準となるバイアス磁界ベクトルからの回転角は同じに設定することが可能であり、磁気センサ5QA〜5QCのそれぞれから出力される信号の振幅値が同じであり、出力信号に対して所定値の補正演算を実行することにより角度検出の誤差を抑制し、精度の高い位置検出が可能である。所定値としては振幅変動の最大値/2に設定することも可能であり、当業者であるならば適宜設計変更することが可能である。
(その他の形態)
図41は、別の実施形態に基づく磁気センサ5Rを説明する図である。
図41を参照して、磁気センサ5Rは、磁気抵抗素子が形成される基盤6と、バイアス磁石4とが示されている。バイアス磁石4のS極が磁気抵抗素子が形成される基盤6に対向しているものとする。なお、本例においては、バイアス磁石4のS極が磁気抵抗素子が形成される基盤6に対向している場合について説明するがN極が磁気抵抗素子が形成される基盤6に対向している場合についても同様である。
図42は、磁気センサ5Pにおけるバイアス磁界ベクトルについて説明する図である。
図42に示されるように、基盤6に設けられた4つの磁気抵抗素子MR1〜MR4が基盤6の昇降方向を基準に線対称に設けられる。4つの磁気抵抗素子MR1〜MR4の上には、バイアス磁石4が設けられる。一例として、当該バイアス磁石4の形状として円柱型の形状が配置される場合が示されている。なお、当該形状に限られず、正方形状のバイアス磁石を配置するようにしても良い。また、磁気抵抗素子MR1〜MR4の上にバイアス磁石4を設ける構成について説明するが、基盤6を介して反対側にバイアス磁石4を設ける構成としても良い。
本例においては、バイアス磁石4の端部近傍に磁気抵抗素子が配置される場合が示されている。当該配置にすることによりバイアス磁界の強度が高い位置で磁気抵抗素子に対してバイアス磁界を印加することが可能である。
一例として、磁気抵抗素子MR1,MR2に対してバイアス磁界としてバイアス磁石4の中心から内側に向かう一方の方向にバイアス磁界ベクトルVB0が印加される場合が示されている。
また、磁気抵抗素子MR3,MR4に対してバイアス磁界としてバイアス磁石4の中心から内側に向かう他方の方向にバイアス磁界ベクトルVA0が印加される場合が示されている。バイアス磁石4の中心線を基準に印加されるバイアス磁界の方向は異なるため、バイアス磁界ベクトルVA0と、バイアス磁界ベクトルVB0とは、それぞれ反対方向である。
なお、本例の磁気センサ5Rの磁気抵抗素子MRは、一例として折り返し形状のパターン構造として説明するが、特に折り返し形状に限られずそのパターン構造は、磁気センサ5Pの検出特性を高めるように当業者であるならば適宜設計変更することが可能である。また、磁気抵抗素子MRに対するバイアス磁界ベクトルの向きとして45°の角度のバイアス磁界ベクトルがかかるように配置した構成が示されているが、当該配置あるいは角度も磁気センサ5Pの検出特性を高めるように当業者であるならば適宜設計変更することが可能である。たとえば、磁気抵抗素子MRに対して30°の角度のバイアス磁界ベクトルが印加されるように設計することも可能である。
図43は、磁気センサ5Rの回路構成を説明する図である。
図43に示されるように、磁気センサ5Rは、4つの磁気抵抗素子MR1〜MR4からなるブリッジ構造からなる。
電源電圧Vccと接地電圧GNDとの間に磁気抵抗素子MR1,MR2が直列に接続される。また、磁気抵抗素子MR1,MR2と並列に電源電圧Vccと接地電圧GNDとの間に磁気抵抗素子MR3,MR4が直列に接続される。
磁気抵抗素子MR3,MR4の接続ノードから信号V−、磁気抵抗素子MR1,MR2の接続ノードから信号V+を出力し、信号V+、V−の差分ΔVを出力する。
本例に示されるように、磁気抵抗素子MR3,MR4には、バイアス磁界ベクトルVA0が印加される。磁気抵抗素子MR1,MR2には、バイアス磁界ベクトルVB0が印加される。
フロート20の昇降方向に対する外部磁界に従ってそのベクトル方向が変化する。
磁気センサ5Rは、バイアス磁界ベクトルの変化を検出して、当該検出結果に応じた出力信号(電位差ΔV)を出力する。
例えば、バイアス磁界ベクトルVA0,VB0は、外部磁界(右から左方向)に従って信号V+が小さくなり、信号V−が大きくなる。したがって、差分ΔVは小さくなる。
一方、バイアス磁界ベクトルVA0,VB0は、外部磁界(左から右方向)に従って信号V+が大きくなり、信号V−が小さくなる。したがって、差分ΔVは大きくなる。
当該磁気センサ5Rを用いた場合であっても上記の方式によりフロート20の位置を検出することが可能である。
また、2つのバイアス磁界ベクトルの向きは、昇降方向に対して垂直な水平方向に沿って設定されているため、フロート20がずれた場合でも、上記したようにバイアス磁界ベクトルの回転角は同じとなるため、角度検出の誤差を抑制し、精度の高い位置検出が可能である。
なお、上記の例において説明した磁気抵抗素子は、反強磁性体層と強磁性体層とが交換結合した交換結合膜を有する磁気抵抗素子を用いることも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。