JP2015190541A - 摩擦板式クラッチのレリーズ構造 - Google Patents

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欣宣 塩見
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欣宣 塩見
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【課題】クラッチの容量管理が容易で制御がし易い摩擦板式クラッチのレリーズ構造を提供する。【解決手段】クラッチリフター52は、入力ギア111と、入力ギア111との間のボールねじ機構125により入力ギア111の回転に応じて軸方向に移動するスライダ112と、スライダ112の移動に応じて変速クラッチ51の係合を解除する押圧部材113とを備え、スライダ112と押圧部材113との間に第1及び第2セット荷重ばね131,132(吸収ばね)を介挿し、スライダ112の移動に伴う押圧部材113の押圧力Fが段階的に変化するように第1及び第2セット荷重ばね131,132の伸縮を規制する第1及び第2規制部127,128(規制部材)を設けるようにした。【選択図】図4

Description

本発明は、摩擦板を付勢部材により押圧して動力を伝達する摩擦板式クラッチのレリーズ構造に関する。
自動二輪車等の鞍乗り型車両には、クラッチインナとクラッチアウタとの間で摩擦板をクラッチスプリング(付勢部材)により押圧して動力を伝達する摩擦板式クラッチが広く採用されている。この種のクラッチ装置には、モーター制御によって変速と連動してクラッチの切り替えを自動的に行うクラッチ装置があり、クラッチの切り替えを行う際に繊細な制御が求められる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、クラッチの操作部材とカム山部材との間に3個の鋼ボールを保持し、操作部材が回動すると、固定されているカム山部材から鋼ボールを介して受ける反力で、操作部材が移動し、この操作部材にリベットで結合された押力伝達部材によりクラッチを解除させることが記載されている。
特許4451162号公報
しかし、従来の構成は、カムにより変移量を与えて圧着面を拡げて摩擦力の断接を行うため、クラッチやカムの摩耗によりクラッチ制御途中のクラッチ容量が変動してしまい、クラッチの調整が必要になるおそれがあった。また、モーター制御によってクラッチの切り替えを行う場合、モーターの繊細な制御が求められ、制御が複雑になり易かった。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、クラッチの容量管理が容易で制御がし易い摩擦板式クラッチのレリーズ構造を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため、本発明は、クラッチインナ(92)とクラッチアウタ(91)との間で摩擦板(94A)を付勢部材(95)により押圧して動力を伝達する摩擦板式クラッチのレリーズ構造において、回転自在に支持される入力ギア(111)と、前記入力ギア(111)との間のボールねじ(125)により前記入力ギア(111)の回転に応じて軸方向に移動するスライダ(112)と、前記スライダ(112)の移動に応じて当該クラッチを遮断する押圧部材(113)とを備え、前記スライダ(112)と前記押圧部材(113)との間に吸収ばね(131,132)を介挿し、前記スライダ(112)の移動に伴う前記押圧部材(113)の押圧力が段階的に変化するように前記吸収ばね(131,132)の伸縮を規制する規制部材(127,128)を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、ボールねじにより入力ギアの回転に応じて軸方向に移動するスライダと、クラッチを遮断する押圧部材との間に吸収ばねを介挿し、前記スライダの移動に伴う押圧部材の押圧力が段階的に変化するように吸収ばねの伸縮を規制する規制部材を設けたので、入力ギアの制御を複雑にすることなく、吸収ばねによりクラッチ容量を制御することができる。これにより、クラッチの容量管理が容易で制御がし易くなる。
上記構成において、前記吸収ばね(131,132)は、直列に配置される複数の吸収ばねを有し、前記規制部材(127,128)は、各吸収ばね(131,132)によって前記スライダ(112)と前記押圧部材(113)との間に異なるセット荷重を設定するようにしても良い。この構成によれば、低いセット荷重に対応するクラッチ容量にした後に、高いセット荷重に対応するクラッチ容量に段階的に変化させることができ、滑らかにクラッチを制御することができる。
また、上記構成において、前記吸収ばね(131,132)は、前記スライダ(112)と前記押圧部材(113)との間のセット荷重を予め定めた過大バックトルクよりも低くするように設定されるようにしても良い。この構成によれば、セット荷重を設定する、といった簡易な構成で、過大バックトルクの伝達を抑制することができる。
また、上記構成において、前記スライダ(112)と前記押圧部材(113)との間に配置される中間部材(114)を備え、前記吸収ばね(131,132)は、前記中間部材(114)と前記スライダ(112)との間に介挿される第1ばね(131)と、前記中間部材(114)と前記押圧部材(113)との間に介挿される第2ばね(132)とを備え、前記規制部材(128)は、前記第2ばね(132)によって得られるセット荷重が、前記第1ばね(131)によって得られるセット荷重よりも大きくなるように前記中間部材(114)の移動を規制するようにしても良い。この構成によれば、規制部材により中間部材の移動を規制する、といった簡易な構成で、セット荷重を最適化し、クラッチを適切に制御することができる。
また、上記構成において、前記中間部材(114)には、一端に前記第1ばね(131)及び前記第2ばね(132)のいずれか一方の外径部をガイドする凹状の外径ガイド(114C1)が設けられるとともに、他端に前記第1ばね(131)及び前記第2ばね(132)の他方の内径部をガイドする凸状の内径ガイド(114B)が設けられるようにしても良い。この構成によれば、各ばねの作動性を良好に確保しつつ、凸部や凹部の先端部を押圧部材又はスライダに当接させて各ばねの圧縮量を適正に規制できる。
また、上記構成において、前記第1ばね(131)は、当該クラッチを遮断可能な押圧力よりも弱い押圧力を得るセット荷重に設定されるようにしても良い。この構成によれば、いわゆる半クラッチ状態を経てクラッチを遮断することができる。
また、上記構成において、前記第2ばね(132)は、当該クラッチを遮断可能な押圧力を得るセット荷重に設定されるようにしても良い。この構成によれば、クラッチを確実に遮断することができる。
また、上記構成において、前記スライダ(112)は、前記中間部材(114)を摺動自在に収容する筒状に形成され、前記スライダ(112)の内周面に沿って前記押圧部材(113)と前記中間部材(114)とが摺動し、前記スライダ(112)の内周面に、前記押圧部材(113)と前記中間部材(114)との移動範囲を規制する前記規制部材(127,128)が設けられるようにしても良い。この構成によれば、押圧部材と中間部材とを摺動自在に支持する部品、及び、規制部材が取り付けられる部品を共通化でき、部品点数の増大を避けるとともに小型化を図りやすくなる。
また、上記構成において、前記入力ギア(111)を回転自在に支持するとともに、前記スライダ(112)がスプライン結合されるアウターケース(115)を備えるようにしても良い。この構成によれば、入力ギアとスライダを支持する部品を共通化でき、部品点数の増大を避けるとともに小型化を図りやすくなる。
本発明では、ボールねじにより入力ギアの回転に応じて軸方向に移動するスライダと、クラッチを遮断する押圧部材との間に吸収ばねを介挿し、前記スライダの移動に伴う押圧部材の押圧力が段階的に変化するように吸収ばねの伸縮を規制する規制部材を設けたので、クラッチの容量管理が容易で制御がし易くなる。
また、前記規制部材は、直列に配置される複数の前記吸収ばねによって前記スライダと前記押圧部材との間に異なるセット荷重を設定するようにすれば、低いセット荷重に対応するクラッチ容量にした後に、高いセット荷重に対応するクラッチ容量に段階的に変化させることができ、滑らかにクラッチを制御することができる。
また、前記吸収ばねは、前記スライダと前記押圧部材との間のセット荷重を予め定めた過大バックトルクよりも低くするように設定されるようにすれば、簡易な構成で、過大バックトルクの伝達を抑制することができる。
また、前記規制部材は、前記スライダと前記押圧部材との間の中間部材と、前記押圧部材との間に介挿される第2ばねによって得られるセット荷重が、前記中間部材と前記スライダとの間に介挿される第1ばねによって得られるセット荷重よりも大きくなるように前記中間部材の移動を規制するようにすれば、簡易な構成で、セット荷重を最適化し、クラッチを適切に制御することができる。
また、前記中間部材には、一端に前記第1ばね及び前記第2ばねのいずれか一方の外径部をガイドする凹状の外径ガイが設けられるとともに、他端に前記第1ばね及び前記第2ばねの他方の内径部をガイドする凸状の内径ガイドが設けられるようにすれば、各ばねの作動性を良好に確保しつつ、凸部や凹部の先端部を押圧部材又はスライダに当接させて各ばねの圧縮量を適正に規制できる。
また、前記第1ばねは、当該クラッチを遮断可能な押圧力よりも弱い押圧力を得るセット荷重に設定されるようにすれば、いわゆる半クラッチ状態を経てクラッチを遮断することができる。
また、前記第2ばねは、当該クラッチを遮断可能な押圧力を得るセット荷重に設定されるようにすれば、クラッチを確実に遮断することができる。
また、筒状の前記スライダの内周面に沿って前記押圧部材と前記中間部材とが摺動し、前記スライダの内周面に、前記押圧部材と前記中間部材との移動範囲を規制する前記規制部材が設けられるようにすれば、押圧部材と中間部材と規制部材とを支持する部品を共通化でき、部品点数の増大を避けるとともに小型化を図りやすくなる。
また、前記入力ギアを回転自在に支持するとともに、前記スライダがスプライン結合されるアウターケースを備えるようにすれば、入力ギアとスライダを支持する部品を共通化でき、部品点数の増大を避けるとともに小型化を図りやすくなる。
本発明の第1実施形態を適用した自動二輪車の左側面図である。 パワーユニットの内部構造を示した断面図である。 変速クラッチ及び駆動部を周辺構成と共に示した断面図である。 クラッチリフターをリフタープレートと共に示した断面図である。 シフトスピンドルとクラッチリフターの動力伝達構造を示した図である。 (A)及び(B)は変速クラッチを解除する際のクラッチリフターの状態を時系列順に示した図である。 (A)及び(B)は図6(B)の続きを示した図である。 リフターストロークSとクラッチリフターの押圧力Fとの関係を示した図である。 第2実施形態のクラッチリフターを示した断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LEは車体左方を示している。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態を適用した自動二輪車の左側面図である。
自動二輪車10は、ヘッドパイプに回動可能に軸支されたハンドル11と、ハンドル11により操舵される前輪12と、駆動輪である後輪13と、運転者が着座するシート14と、後輪13にチェーン15を介して駆動力を供給するパワーユニット16と、パワーユニット16の制御を行う制御ユニット17(制御部)と、制御ユニット17等に電力を供給するバッテリー18とを備えている。
自動二輪車10の車体フレームは車体カバー19により覆われている。制御ユニット17及びバッテリー18は車体カバー19内におけるシート14の下部に配置されている。パワーユニット16は、前輪12と後輪13の中間位置であって、シート14の下方やや前方に設けられている。運転者が足を置くステップ20は、パワーユニット16の下部に左右一対で設けられている。
パワーユニット16は、自動変速機T(図2)を備える。自動変速機Tは、クラッチの接続・切断操作が自動化された変速機構50を備え、後述する変速クラッチ51(以下、単にクラッチと言うことがある)の切替及び変速段(シフト)の切替えが自動で行われる。
次に、パワーユニット16の構成について説明する。
図2はパワーユニット16の内部構造を示した断面図である。
パワーユニット16は、走行駆動力を発生するエンジン21(内燃機関)と、発電機22と、エンジン21のクランク軸23に設けられた発進クラッチ24と、発進クラッチ24を介して出力されたクランク軸23の駆動力を変速して出力する自動変速機Tとを備えている。
パワーユニット16は、シリンダヘッド30a、シリンダ30b及びクランクケース30cが一体的に結合して構成されている。クランク軸23は複数のベアリング31によって回転自在に軸支される。エンジン21は、コンロッド32を介してクランク軸23に連結されたピストン33と、点火プラグ34と、燃焼室35に設けられた吸排気弁を開閉駆動する動弁機構36とを有する。動弁機構36はクランク軸23からタイミングチェーン36aを介して駆動される。
発進クラッチ24は、発進時及び停止時にクランク軸23とプライマリギア37との間を接続及び切断(以下、断接と言う)する遠心式のクラッチであり、クランク軸23の右端部に配置されている。この発進クラッチ24は、クランク軸23に相対回転自在に挿通されたスリーブ38の一端に固定されたカップ状のアウターケース39と、スリーブ38に設けられたプライマリギア37と、クランク軸23の右端部に固定されたアウタープレート40と、アウタープレート40の外周部にウェイト41を介して半径方向外側を向くように取り付けられたシュー42と、シュー42を半径方向内側に付勢するためのスプリング43とを備えている。
エンジン回転数が所定の回転数以下の場合には、アウターケース39とシュー42とが離間し、クランク軸23と自動変速機Tとの間が切断状態(動力が伝達されない切り離し状態)となる。この切断状態からエンジン回転数が上昇し、所定の回転数を超えると、遠心力によってウェイト41がスプリング43に抗して半径方向外側に移動し、シュー42がアウターケース39の内周面に当接する。これによって、クランク軸23の回転がアウターケース39に設けられたプライマリギア37に伝達され、クランク軸23と自動変速機Tとの間が接続状態(動力が伝達される動力伝達状態)となる。
クランクケース30cは、発進クラッチ24及び変速クラッチ51の車幅方向外側を覆うクラッチカバー30dを着脱自在に備えている。このため、クラッチカバー30dを取り外すと、発進クラッチ24及び変速クラッチ51が外側に露出し、メンテナンス可能になる。
自動変速機Tは、前進4段の変速機構50と、クランク軸23側と変速機構50との間の接続を切り替える変速クラッチ51と、変速機構50及び変速クラッチ51を駆動する駆動部55とを備える。駆動部55は、変速クラッチ51を断接(切断/接続)するクラッチリフター52と、変速機構50の変速段を切り替えるシフター53と、クラッチリフター52及びシフター53を作動させるアクチュエータ部54(図3)とを備える。アクチュエータ部54は、制御ユニット17(図1)によって制御される。
自動変速機Tは、制御ユニット17の制御の下、アクチュエータ部54を制御し、変速機構50の変速段を切り替える。自動変速機Tの動作モードとしては、例えば、自動変速(AT)モードと手動変速(MT)モードとが用意される。自動変速モードの場合には、車速、スロットル開度及びエンジン回転数等に基づいて変速段を自動的に切り替える制御が行われる。なお、車速、スロットル開度及びエンジン回転数等は、公知のセンサ(後述するカウンタ軸回転数センサ68等)を用いて検出される。また、手動変速モードの場合には、乗員(運転者)からの指示に基づいて変速段を切り替える制御が行われる。動作モードは上記に限らず、手動変速モードを省略する等、変速モードは適宜に設けるようにすれば良い。
変速機構50は、プライマリギア37の回転を、制御ユニット17の指示に基づいて所定の変速比に変速して後輪13に伝達する。この変速機構50は、入力軸としてのメイン軸56と、メイン軸56に対して平行配置されたカウンタ軸57と、メイン軸56に設けられた駆動ギア58a,58b,58c及び58dと、カウンタ軸57に設けられた従動ギア59a,59b,59c及び59dとを備える。また、変速機構50は、更に、駆動ギア58bに係合するシフトフォーク60aと、従動ギア59cに係合するシフトフォーク60bと、シフトフォーク60a,60bを軸方向にスライド自在に保持する支持軸61と、シフトフォーク60a,60bの端部を溝62a,62bに沿わせながらスライドさせるシフトドラム63とを備える。
駆動ギア58a,58b,58c及び58dは、この順に従動ギア59a,59b,59c及び59dと噛合している。駆動ギア58bは左右にスライドしたとき、隣接する駆動ギア58a又は58cに側面のドグ歯が係合し、従動ギア59cは左右にスライドしたとき、隣接する従動ギア59b又は59dに側面のドグ歯が係合する。
駆動ギア58a,58cは、メイン軸56に相対回転自在に保持され、従動ギア59b,59dは、カウンタ軸57に相対回転自在に保持される。駆動ギア58b及び従動ギア59cは、メイン軸56及びカウンタ軸57に対してスプライン結合され、軸方向にスライド可能である。また、駆動ギア58d及び従動ギア59aはメイン軸56及びカウンタ軸57に固定されている。
制御ユニット17の制御の下、シフトドラム63がアクチュエータ部54により回転駆動されると、シフトフォーク60a,60bがシフトドラム63の溝62a,62bに沿って軸方向に移動し、駆動ギア58b及び従動ギア59cがいずれかの変速段を構成する位置、又は、隣接するギア58a,58c及び59b,59dと歯合しない中立位置へと移動する。これによって、メイン軸56及びカウンタ軸57間で、ニュートラル状態、又は、1速〜4速の変速段のいずれかに切り替えられる。なお、シフトドラム63の回転角度は不図示のシフトドラムセンサによって制御ユニット17に出力される。
メイン軸56及びカウンタ軸57は、ベアリング64a,64b,66a,66bによって回転自在に保持される。カウンタ軸57の左端部にはスプロケット67が設けられ、スプロケット67の回転がチェーン15を介して後輪13に伝達される。このカウンタ軸57の近傍には、カウンタ軸57の回転速度を検出すカウンタ軸回転数センサ68が設けられ、検出した回転速度は制御ユニット17に出力される。制御ユニット17は、カウンタ軸回転数センサ68の検出値に減速比を考慮することで車速を算出する。
図3は、変速クラッチ51及び駆動部55を周辺構成と共に示した断面図である。アクチュエータ部54は、動力源となるモーター70と、クランクケース30c内を車幅方向に延びるシフトスピンドル71と、モーター70の回転を減速してシフトスピンドル71を駆動するギア列(不図示)とを備える。
シフトスピンドル71は、クランクケース30cの左側壁30e、クラッチカバー30d、及び、メイン軸56のベアリング64bを支持する中間壁部30fに回転自在に支持される。クラッチカバー30dには、シフトスピンドル71の回転位置を検出するスピンドル角度センサ72が設けられる。
シフター53は、シフトスピンドル71に支持されるギアシフトアーム73と、シフトフォーク60a,60bと、シフトスピンドル71の回転を蓄力し、蓄力を開放してギアシフトアーム73を回動させる蓄力機構74とを備える。
ギアシフトアーム73は、シフトフォーク60a,60b等を介してシフトドラム63(図2)に連結されており、アクチュエータ部54によってギアシフトアーム73が回動されることで、シフトドラム63が回転し、変速が行われる。
蓄力機構74は、シフトスピンドル71の軸上にシフトスピンドル71に対して相対回転可能に設けられる回動アーム75と、ギアシフトアーム73を中立位置に付勢するリターンスプリング76と、シフトスピンドル71の軸上に固定され、シフトスピンドル71と一体に回転するストッパカラー77と、ストッパカラー77から軸方向に離間した位置でシフトスピンドル71の軸上に固定され、シフトスピンドル71と一体に回転する蓄力カラー78とを備える。更に、蓄力機構74は、蓄力カラー78とストッパカラー77との間の軸上に、シフトスピンドル71に対して相対回転可能に設けられる一対のスプリングカラー79a,79bと、スプリングカラー79a,79bの外周に巻付くように設けられる蓄力スプリング80とを備える。
回動アーム75は、シフトスピンドル71の外周面に嵌合する内側円筒部75aと、内側円筒部75aの外周面から蓄力スプリング80側へ軸方向に突出するアーム側係止部75bと、内側円筒部75aの外周面からアーム側係止部75bとは反対側に軸方向へ突出する押圧部75cと、ストッパカラー77側に開放したドグ穴75dとを備える。
ギアシフトアーム73は、回動アーム75の内側円筒部75aの外周面に嵌合する外側円筒部73aと、外側円筒部73aから周方向外側に延出されるアーム部73bとを備える。ギアシフトアーム73は、回動アーム75に対して相対回転可能に設けられ、回動アーム75の押圧部75cは、ギアシフトアーム73のアーム部73bに形成された規制開口部73cに挿通される。
リターンスプリング76には、ねじりコイルばねが適用される。リターンスプリング76は、ギアシフトアーム73の外側円筒部73aに巻付くように設けられ、押圧部75cを介してギアシフトアーム73を中立位置の方向へ付勢する。
ここで、中立位置は、変速操作を行っていない通常時の位置である。回動アーム75が所定角度だけ回動すると、押圧部75cは規制開口部73cの内縁部を押圧し、ギアシフトアーム73を回動させる。規制開口部73cには、中間壁部30fに立設されたピン88が挿通される。ピン88は、規制開口部73cを介してギアシフトアーム73の回動範囲を規制する。
ストッパカラー77は、回動アーム75のドグ穴75dに挿通されるドグ歯77aを有する。シフトスピンドル71の回転に伴いストッパカラー77が所定角度だけ回転すると、ドグ歯77aはドグ穴75dの内縁を介して回動アーム75を回転方向に付勢する。
蓄力カラー78は、蓄力スプリング80側に軸方向へ突出するカラー側係止部78aと、カラー側係止部78aとは反対側へ軸方向に突出するクラッチ側ドグ歯78bとを備える。蓄力スプリング80は、ねじりコイルばねであり、一端が回動アーム75のアーム側係止部75bに係止され、他端が蓄力カラー78のカラー側係止部78aに係止される。
ギアシフトアーム73及び回動アーム75は、変速クラッチ51が接続状態にあり、変速機構50に駆動力が発生している状態では、変速機構50によって拘束されており、シフトスピンドル71上で回転不能である。この状態で、アクチュエータ部54によってシフトスピンドル71が回転させられると、蓄力カラー78は、回動アーム75に対して相対回転し、蓄力スプリング80は、一端がアーム側係止部75b側に固定されたままカラー側係止部78a側の他端が回転させられることで変形し、蓄力を開始する。
その後、変速クラッチ51が切断されると、変速機構50の拘束力が弱くなり、ギアシフトアーム73及び回動アーム75が回動可能となって蓄力が開放され、ギアシフトアーム73は、蓄力スプリング80の蓄力によって回動させられた回動アーム75の押圧部75cを介して押圧されて回動する。これにより、シフトドラム63が回転し、変速が行われる。
シフトドラムセンサ(不図示)の検出結果に基づいて変速の完了が検知されると、シフトスピンドル71は逆回転し、ギアシフトアーム73は元の位置に復帰するとともに変速クラッチ51が接続される。なお、変速クラッチ51の切断又は接続に伴うシフトスピンドル71の回転角度は180度未満に設定される。
蓄力スプリング80は、蓄力に伴い、コイル状部の軸線がシフトスピンドル71の軸線に対して傾斜するように変形し、コイル状部の両端部80a,80bが、軸方向に2分割されたスプリングカラー79a,79bにそれぞれ当接する。
詳述すると、両端部80a,80bは、周方向に略180°異なる部分がスプリングカラー79a,79bにそれぞれ当接する。本実施の形態では、スプリングカラー79a,79bが、軸方向に分割式であり互いに相対回転可能であるため、両端部80a,80bが当接した際には、スプリングカラー79a,79bは、力を逃がすようにそれぞれ独立して回転する。このため、蓄力スプリング80を捩じって蓄力する際のフリクションを低減でき、スムーズに蓄力できる。
次いで、変速クラッチ51を説明する。
図3に示すように、メイン軸56には、クランク軸23のプライマリギア37に噛み合うプライマリドリブンギア69が、メイン軸56に対して相対回転可能に軸支される。
変速クラッチ51は、クラッチアウタ91とクラッチインナ92との間に設けられた複数のクラッチ板94をクラッチスプリング95(付勢部材)により押圧して動力を伝達する摩擦板式クラッチであり、メイン軸56の右端部に配置され、プライマリドリブンギア69とメイン軸56とを断接する。
詳述すると、クラッチアウタ91は、車幅方向外側(車体右側)に向けて開放するカップ状に形成され、プライマリドリブンギア69の車幅方向外側(右側)に隣接して配置される。クラッチアウタ91は、メイン軸56に相対回転自在に設けられるとともに、プライマリドリブンギア69に固定され、プライマリドリブンギア69と一体に回転する。
クラッチインナ92は、メイン軸56の軸端(右端)に固定されたクラッチセンタ90と、このクラッチセンタ90に対して軸方向に相対移動自在に設けられるプレッシャープレート93とを備える。プレッシャープレート93は、クラッチアウタ91の径方向内側に配置され、クラッチアウタ91との間のクラッチ板94の一部であるクラッチプレート94Bが噛み合う。
複数のクラッチ板94は、クラッチアウタ91に噛み合う複数のフリクションプレート94A(摩擦板)と、クラッチインナ92に噛み合うクラッチプレート94Bとを相互に並べて構成され、フリクションプレート94Aには、クラッチプレート94Bが押しつけられたときに滑らないように摩擦剤が設けられている。
プレッシャープレート93とクラッチセンタ90との間には、変速クラッチ51を接続する方向にプレッシャープレート93を付勢するクラッチスプリング95が設けられる。クラッチインナ92の車幅方向外側には、変速クラッチ51を切断する方向にプレッシャープレート93を移動させるリフタープレート96が配置され、このリフタープレート96とプレッシャープレート93との間にはレリーズスプリング97が介挿される。
プレッシャープレート93には、リフタープレート96側へ突出するレリーズボス100が周方向に間隔を空けて設けられ、レリーズボス100の端面がリフタープレート96が当接する当接部を構成している。
リフタープレート96は、円板状に形成され、ベアリング87を介してクラッチリフター52の押圧部材113に連結されている。リフタープレート96は、クラッチリフター52によって押圧されることにより、リフタープレート96と一体にクラッチスプリング95の付勢力に対抗する側に移動し、変速クラッチ51を遮断する。つまり、クラッチリフター52は変速クラッチ51のレリーズ機構を構成している。
続いて、クラッチリフター52を説明する。
図4は、クラッチリフター52をリフタープレート96と共に示した断面図である。クラッチリフター52は、シフトスピンドル71の回転が伝達される入力ギア111(入力部材)と、入力ギア111の回転に応じて回転軸線L1に沿った軸方向に移動するスライダ112(移動部材)と、リフタープレート96を押圧する押圧部材113と、スライダ112と押圧部材113との間に設けられる中間部材114と、これらを収容するアウターケース115とを備えている。
アウターケース115は、クラッチカバー30dの車幅方向内側の面に固定され、変速クラッチ51とクラッチカバー30dとの間のスペース内に配置される。より具体的には、アウターケース115は、クラッチカバー30dを取り外した状態で、クラッチカバー30dの内側面に締結部材117(図3参照)によって着脱自在に固定され、変速クラッチ51のリフタープレート96に向かって車幅方向に沿って延びる円筒状のケースに形成される。
入力ギア111は、アウターケース115の最も奥側(車幅方向外側)に収容され、アウターケース115の内周面にベアリング118を介して回転自在に支持される。入力ギア111は、ベアリング118を介してアウターケース115に回転自在に支持される軸部111Aと、軸部111Aの前後中間部から径方向外側に張り出すギア部111Bとを一体に備えている。
シフトスピンドル71には、クラッチリフター52を作動させるためのクラッチ用ギア120(図3)が設けられている。クラッチ用ギア120は、変速クラッチ51近傍にてシフトスピンドル71の外周に固定され、シフトスピンドル71と一体に回転する。
図5は、シフトスピンドル71とクラッチリフター52の動力伝達構造を示した図である。この図に示すように、シフトスピンドル71のクラッチ用ギア120と、クラッチリフター52の入力ギア111との間には、アイドルギア121が配置され、このアイドルギア121を介してクラッチ用ギア120の回転が入力ギア111に伝達される。このようにアイドルギア121を介してシフトスピンドル71の回転をクラッチリフター52に伝達するので、伝達ロスを低減可能である。また、従来のカムを用いる構成と比較して、部品点数を少なくすることができ、構成も簡易化できる。
アイドルギア121は、シフトスピンドル71の回転角度に相当する一対のギア部121A,121Bだけを備えた形状に形成される。本構成では、シフトスピンドル71の回転角度が90°未満であり、ギア部121Aがクラッチ用ギア120に噛合し、ギア部121Bが入力ギア111のギア部111Bに噛合する。これにより、アイドルギア121を円板形状の平歯車に形成する場合よりも小型化することができ、クランクケース30c内のスペース内に配置し易くなる。
図4に示すように、入力ギア111は車幅方向外側の基端部がベアリング122を介して支持され、先端部がボールねじ機構125(ボールねじとも言う)を介してスライダ112に連結される。詳述すると、入力ギア111の先端部の外周面には、螺旋状のボール溝125Aが形成される。一方、スライダ112は、入力ギア111の先端部の外周面を、隙間を空けて覆う円筒状の基端側筒部112Aを備え、この基端側筒部112Aの内周面に、螺旋状のボール溝125Bが形成される。これらボール溝125A,125Bの間に複数のボール125Cが介挿される。また、スライダ112は、アウターケース115にスプライン結合され、回転軸線L1に沿った軸方向だけに移動自在に支持される。
なお、図4は、アクチュエータ部54がシフトスピンドル71を回動させていない状態、つまり、変速クラッチ51が接続状態の場合を示している。
以上の構成により、入力ギア111の回転をスライダ112の軸方向への移動に変換するボールねじ機構125が構成される。ボールねじ機構125は、入力ギア111とスライダ112との間の摩擦力を小さくできるため、入力ギア111の回転に応じて低摩擦でスライダ112を移動させることができ、スライダ112の移動をスムーズにできる。また、カム式やリンク式にする場合よりも構成を簡易化し易く、部品点数の増大や大型化を抑えることができる。なお、ボールねじ機構125に限らず、他の機構を適用しても良い。
スライダ112は、上述した基端側筒部112Aと、基端側筒部112Aから車幅方向内側に向けて延びる円筒状の先端側筒部112Bと、基端側筒部112Aと先端側筒部112Bとの間に設けられ、中間部材114が当接する当接壁112Cとを一体に備える。
先端側筒部112Bの内周面は、中間部材114及び押圧部材113を、スライダ112の軸方向に移動自在に案内する摺動面に形成されている。本構成では、先端側筒部112Bの内周面が、中間部材114の最外周部114Aと同径の円筒面に形成され、中間部材114の最外周部114Aが軸方向に移動してスライダ112と同方向にスライド自在である。また、押圧部材113の基端部113Aの外周面も、中間部材114の最外周部114Aと同径の円筒面に形成され、押圧部材113もスライダ112と同方向にスライド自在である。
スライダ112の先端側筒部112B内には、中間部材114の移動範囲を規制する第1規制部127と、押圧部材113の移動範囲を規制する第2規制部128とが設けられる。これら第1及び第2規制部127,128には、先端側筒部112B内に固定されて内周側に突出する突出部材が適用され、例えば、公知の止め輪等が適用される。
中間部材114は、回転軸線L1に対して最も径方向外側に張り出す最外周部114Aと、最外周部114Aから車幅方向外側に延出する基端部114Bと、車幅方向内側に延出する先端部114Cとを一体に備える。中間部材114は、スライダ112に対して車幅方向内側(変速クラッチ51側)に相対移動した場合に、最外周部114Aが第1規制部127に当接する位置まで移動可能であり、これとは逆に、車幅方向外側(変速クラッチの反対側)に相対移動した場合に、基端部114Bが当接壁112Cに当接する位置まで移動可能である。
この中間部材114と押圧部材113との間には第1セット荷重ばね131(第1ばね)が介挿され、この第1セット荷重ばね131により中間部材114が押圧部材113から離間する側(車幅方向外側)に付勢される。また、中間部材114の先端部114Cは、押圧部材113の貫通孔113Bに挿入されて押圧部材113と中間部材114との相対移動をガイドする先端軸部114Dを備える。更に、この先端軸部114Dの基端側の外周には筒状カラー114Eが装着される。
この筒状カラー114Eは、中間部材114が変速クラッチ51側に移動した際に、押圧部材113に当接して押圧部材113を変速クラッチ51側に移動させる当接部として機能する。なお、筒状カラー114Eに相当する部位を中間部材114に予め一体に形成するようにしても良い。
図4に示すように、変速クラッチ51が接続状態の場合には、第1セット荷重ばね131により中間部材114と押圧部材113とが軸方向に離間した状態に保持される。このときの筒状カラー114Eと押圧部材113との間の隙間を「初期隙間A1」と表記する。また、図4の状態に限らず、筒状カラー114Eと押圧部材113との間の隙間を「隙間A」と適宜に表記する。
第1セット荷重ばね131は、中間部材114と押圧部材113との間の移動量の差を吸収する吸収ばねとして機能するとともに、中間部材114と押圧部材113との間に第1セット荷重F1を付与する付勢部材として機能する。
この第1セット荷重ばね131は、中間部材114の最外周部114Aと、最外周部114Aよりも小径の筒状カラー114Eを含む先端部114Cとの間の段差を利用して設けられ、第1セット荷重ばね131の内径部は、筒状カラー114Eの外周面にガイドされる。
つまり、中間部材114の筒状カラー114Eを含む先端部114Cは、第1セット荷重ばね131の内径部をガイドする凸状の内径ガイドを兼ねる。これによって、第1セット荷重ばね131のずれを抑え、第1セット荷重ばね131を精度良く伸縮させることができる。
中間部材114とスライダ112との間には第2セット荷重ばね132(第2ばね)が介挿され、この第2セット荷重ばね132により、中間部材114がスライダ112の当接壁112Cから離間する側(車幅方向内側)へ付勢される。
第2セット荷重ばね132は、中間部材114とスライダ112との間の移動量の差を吸収する吸収ばねとして機能するとともに、中間部材114とスライダ112との間に第2セット荷重F2を付与する付勢部材として機能する。
第2セット荷重ばね132は、中間部材114の最外周部114Aと、最外周部114Aよりも小径の基端部114Bとの間の段差を利用して設けられ、第2セット荷重ばね132の内径部は、基端部114Bの外周面にガイドされる。また、第2セット荷重ばね132の外径部は、スライダ112の内周面にガイドされる。
つまり、中間部材114の基端部114Bは、第2セット荷重ばね132の内径部をガイドする凸状の内径ガイドを兼ねており、スライダ112の内周面は、第2セット荷重ばね132の外径部をガイドする外径ガイドを兼ねている。これによって、第2セット荷重ばね132のずれを抑え、第2セット荷重ばね132を精度良く伸縮させることができる。
変速クラッチ51が接続状態の場合には、図4に示すように、第2セット荷重ばね132により中間部材114とスライダ112(当接壁112C)とが軸方向に離間した状態に保持される。このときの中間部材114とスライダ112との間の隙間を「初期隙間B1」と表記する。また、図4の状態に限らず、中間部材114とスライダ112との間の隙間を「隙間B」と適宜に表記する。
本構成では、変速クラッチ51の接続状態において、第1セット荷重ばね131により得られる第1セット荷重F1が、第2セット荷重ばね132により得られる第2セット荷重F2よりも低い荷重に設定される。
すなわち、第1セット荷重F1はいわゆる「弱セット荷重」に設定され、第2セット荷重F2はいわゆる「強セット荷重」に設定される。なお、セット荷重は、各ばね131,132を選定することによって容易に微調整可能である。
次に、クラッチリフター52の動作を説明する。
図6(A)、図6(B)、図7(A)、図7(B)は、変速クラッチ51を解除する際のクラッチリフター52の状態を時系列順に示した図である。ここで、図6(A)はクラッチリフター52作動前の状態、つまり、変速クラッチ51の接続状態である。また、図8は、クラッチリフター52のストローク(以下、リフターストロークSと言う)と、クラッチリフター52の押圧力F(押し荷重とも言う)との関係を示した図である。
図6(A)の状態からシフトスピンドル71が回転すると、シフトスピンドル71のクラッチ用ギア120の回転がアイドルギア121を介してクラッチリフター52の入力ギア111に伝達され、入力ギア111の回転に応じてスライダ112が車幅方向内側(クラッチ解除側)へ移動する。ここで、入力ギア111の回転量とスライダ112の移動量は一対一の関係である。
スライダ112が車幅方向内側へ移動し始めた初期段階では、スライダ112と中間部材114との間に作用する反発力が第1セット荷重F1を超えるまでは、第1荷重セットばね131によって中間部材114の車幅方向内側への移動が規制される。このため、図8に符号αで示すように、リフターストロークSは零に維持される。
次に、反発力が第1セット荷重F1を超えると、スライダ112の移動に伴って中間部材114が車幅方向内側へと移動し始め、隙間Aが徐々に狭くなり、図6(B)に示すように、隙間Aが零になるまで中間部材114が移動する。
これによって、図8に示すように、クラッチリフター52の押圧力Fが第1セット荷重F1を超えた時点で、クラッチリフター52の押圧部材113が車幅方向内側に動き始める。この隙間Aが零になるまでのリフターストロークSは初期隙間A1に相当する。
隙間Aが零になるまでは、第1セット荷重ばね131が圧縮されるだけなので、図8に符号βで示すように、クラッチリフター52の押圧力Fの増加分は少ない。従って、リフターストロークSが零から初期隙間A1に相当する値に至る範囲では、押圧力Fを第1セット荷重F1に対応する荷重にほぼ揃えることができる。
隙間Aが零に至った後は、スライダ112と中間部材114との間に作用する反発力が第2セット荷重F2を超えるまでは、第2セット荷重ばね132により中間部材114の車幅方向内側への移動が抑えられる。これにより、図8に符号γで示すように、リフターストロークSは殆ど増えない状態で、クラッチリフター52の押圧力Fが急上昇する。
その後、スライダ112と中間部材114との間に作用する反発力が第2セット荷重F2を超えると、スライダ112の移動に伴って隙間Bが徐々に狭くなり、図7(A)に示すように、隙間Bが零に至る。隙間Bが零になるまでのリフターストロークSは、「初期隙間A1+初期隙間B1」に相当する。
この場合、クラッチリフター52の押圧力Fが第2セット荷重F2を超えた後であって、隙間Bが零に至るまでの間は、第2セット荷重ばね132が圧縮されるだけなので、図8に符号δで示すように、クラッチリフター52の押圧力Fの増加分は少ない。従って、リフターストロークSが、初期隙間A1に相当する値から「初期隙間A1+初期隙間B1」に相当する値に至る範囲では、押圧力Fを第2セット荷重F2と同様の荷重に揃えることができる。
隙間Bが零に至った後は、図7(B)に示すように、スライダ112と、中間部材114と押圧部材113とが一体に移動する。このため、図8に符号εで示すように、リフターストロークSの増大に伴って押圧力Fが急上昇する。
このように、本構成では、クラッチリフター52の押圧力Fを、荷重F1、荷重F2の多段階に制御することができる。このため、リフタープレート96の移動量(リフト量とも言う)を、荷重F1に対応する第1リフト量と、荷重F2に対応する第2リフト量との2段階に制御することができる。これにより、シフトスピンドル71による入力ギア111の回転角度等の制御を複雑にしなくても、クラッチ容量を予め定めた多段階の容量に容易に制御することが可能になる。
少なくともクラッチリフター52の押圧力F1は、変速クラッチ51を遮断可能な押圧力よりも弱い押圧力に設定され、例えば、クラッチ容量を値0.6にする値に設定される。これにより、半クラッチ状態を経て変速クラッチ51の遮断を行うことができ、スムーズなクラッチ制御を行うことが可能になる。また、クラッチリフター52の押圧力F2は、変速クラッチ51を遮断可能な押圧力に設定される。これにより、リフターストロークSが初期隙間A1に相当する値以上になれば、確実に変速クラッチ51を遮断することができる。
また、第1及び第2セット荷重F1は、後輪13から伝達される予め定めた過大バックトルク(駆動方向と逆方向に作用する過大トルク)よりも小さいセット荷重に設定される。このため、過大バックトルクが作用した場合に、クラッチリフター52の押圧部材113が車幅方向外側に待避し、簡易な構成で過大バックトルクの伝達を抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、クラッチリフター52は、入力ギア111と、入力ギア111との間のボールねじ機構125により入力ギア111の回転に応じて軸方向に移動するスライダ112と、スライダ112の移動に応じて変速クラッチ51の係合を解除する押圧部材113とを備え、スライダ112と押圧部材113との間に第1及び第2セット荷重ばね131,132(吸収ばね)を介挿し、スライダ112の移動に伴う押圧部材113の押圧力Fが段階的に変化するように第1及び第2セット荷重ばね131,132の伸縮を規制する第1及び第2規制部127,128(規制部材)を設けたので、入力ギア111の制御を複雑にすることなく、第1及び第2セット荷重ばね131,132によりクラッチ容量を制御することができる。従って、変速クラッチ51の容量管理が容易で入力ギア111の制御も簡略化でき、且つ、カム機構やリンク機構を用いる場合と較べて構成を簡易化し易くなる。
また、第1及び第2セット荷重ばね131,132によってクラッチ容量を制御するので、入力ギア111の回転量に大きく依存することなくクラッチ容量を制御でき、フリクションプレート94A(摩擦板)の摩耗等が生じてもクラッチ容量のずれを抑制でき、経時変化による調整を抑制することができる。
しかも、ボールねじ機構125と入力ギア111の組み合わせを用いるため、クラッチリフター52の入力部材(入力ギア111に相当)の回転量と、クラッチリフター52のリフト機構(スライダ112等のスライド機構に相当)の減速比の自由度を拡げることができる。これにより、減速比を大きくして各部の摩擦の影響によるフリクションを下げることができ、クラッチリフター52の要求駆動トルクを小さくすることができる。さらに、入力ギア111の回転角とリフターストロークSとの関係についても所望の特性に調整し易くなる。
また、本構成では、第1及び第2セット荷重ばね131,132は、直列に配置され、第1及び第2規制部127,128は、各ばね131,132によってスライダ112と押圧部材113との間に異なるセット荷重F1,F2を設定するので、低いセット荷重F1に対応するクラッチ容量にした後に、高いセット荷重F2に対応するクラッチ容量に段階的に変化させることができ、滑らかに変速クラッチ51を制御することができる。
しかも、本構成では、第1セット荷重ばね131は、変速クラッチ51を遮断可能な押圧力よりも弱い押圧力を得るセット荷重に設定されるので、いわゆる半クラッチ状態を経て変速クラッチ51を遮断することができる。
さらに、第2セット荷重ばね132は、変速クラッチ51を遮断可能な押圧力を得るセット荷重に設定されるので、変速クラッチ51を確実に遮断することができる。
さらに、第1及び第2セット荷重ばね131,132は、スライダ112と押圧部材113との間のセット荷重を変速クラッチ51に作用する過大バックトルクよりも低くするように設定するので、セット荷重を設定する、といった簡易な構成で、過大バックトルクの伝達を抑制することができる。
また、スライダ112と押圧部材113との間に配置される中間部材114を備え、第2セット荷重ばね132によって得られるセット荷重が、第1セット荷重ばね131によって得られるセット荷重よりも大きくなるように第2規制部128が中間部材114の移動範囲を規制するので、第2規制部128により中間部材114の移動を規制する、といった簡易な構成で、セット荷重を最適化し、変速クラッチ51を適切に制御することができる。
また、中間部材114は、一端の先端部114Cが第1セット荷重ばね131の内径部をガイドする凸状の内径ガイドとして機能し、他端の基端部114Bが第2セット荷重ばね132の内径部をガイドする凸状の内径ガイドとして機能するので、従って、各ばね131,132の作動性を良好に確保しつつ、各凸部の先端部を押圧部材113又はスライダ112に当接させて各ばね131,132の圧縮量を適正に規制できる。
また、スライダ112は、中間部材114を摺動自在に収容する筒状に形成され、スライダ112の内周面に沿って押圧部材113と中間部材114とが摺動し、スライダ112の内周面に、押圧部材113と中間部材114との移動範囲を規制する第1及び第2規制部127,128が設けられるので、押圧部材113と中間部材114とを摺動自在に支持する部品、及び、第1及び第2規制部127,128が取り付けられる部品を共通化でき、部品点数の増大を避けるとともに小型化を図りやすくなる。
また、入力ギア111を回転自在に支持するとともに、スライダ112がスプライン結合されるアウターケース115を備えるので、入力ギア111とスライダ112を支持する部品を共通化でき、部品点数の増大を避けるとともに小型化を図りやすくなる。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態のクラッチリフター52を示した断面図である。なお、第1実施形態と同様の構造は同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
第2実施形態のクラッチリフター52は、中間部材114が異なっている。
この中間部材114は、最外周部114Aから車幅方向内側に延出する筒状の先端部114C1を備え、この先端部114C1の内部に、第1セット荷重ばね131が介挿される。これによって、第1実施形態と較べて、長い第1セット荷重ばね131を配置できるとともに、中間部材114の軸方向の長さも短くすることができ、クラッチリフター52の短縮化が可能になる。
また、中間部材114の先端部114C1の内周面が、第1セット荷重ばね131の外周部をガイドするので、第1セット荷重ばね131のずれを抑え、第1セット荷重ばね131を精度良く伸縮させることができる。つまり、中間部材114の先端部114C1は、第1セット荷重ばね131の外周部をガイドする凹状の外径ガイドを兼ねることができる。
第2実施形態の構成によれば、第1実施形態の各種効果に加えて、長い第1セット荷重ばね131を配置できるので、第1セット荷重ばね131の選択自由度が向上し、第1セット荷重F1の選択範囲が向上する。また、中間部材114の先端部114C1が第1セット荷重ばね131の外周部をガイドする凹状の外径ガイドを兼ねるので、第1セット荷重ばね131をガイドして作動性を良好に確保することができる。従って、各ばね131,132の作動性を良好に確保しつつ、凸部や凹部の先端部を押圧部材113又はスライダ112に当接させて各ばね131,132の圧縮量を適正に規制できる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、第1及び第2セット荷重ばね131,132にコイルばねを用いる場合を例示したが、これに限らず、公知の他の付勢部材を適用しても良い。
また、上記実施形態では、図1に示す自動二輪車10に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、公知の鞍乗型車両に本発明を広く適用可能であり、また、鞍乗型車両以外に適用される摩擦板式クラッチのレリーズ構造に本発明を広く適用可能である。なお、鞍乗型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
91 クラッチアウタ
92 クラッチインナ
94 クラッチ板
94A フリクションプレート(摩擦板)
94B クラッチプレート
95 クラッチスプリング
111 入力ギア
125 ボールねじ機構(ボールねじ)
112 スライダ
113 押圧部材
114 中間部材
114B 中間部材の基端部(凸状の内径ガイド)
114C 中間部材の先端部(凸状の内径ガイド)
114C1 中間部材の先端部(凹状の内径ガイド)
115 アウターケース
127 第1規制部(規制部材)
128 第2規制部(規制部材)
131 第1セット荷重ばね(第1ばね、吸収ばね)
132 第2セット荷重ばね(第2ばね、吸収ばね)

Claims (9)

  1. クラッチインナ(92)とクラッチアウタ(91)との間で摩擦板(94A)を付勢部材(95)により押圧して動力を伝達する摩擦板式クラッチのレリーズ構造において、
    回転自在に支持される入力ギア(111)と、前記入力ギア(111)との間のボールねじ(125)により前記入力ギア(111)の回転に応じて軸方向に移動するスライダ(112)と、前記スライダ(112)の移動に応じて当該クラッチを遮断する押圧部材(113)とを備え、
    前記スライダ(112)と前記押圧部材(113)との間に吸収ばね(131,132)を介挿し、
    前記スライダ(112)の移動に伴う前記押圧部材(113)の押圧力が段階的に変化するように前記吸収ばね(131,132)の伸縮を規制する規制部材(127,128)を設けたことを特徴とする摩擦板式クラッチのレリーズ構造。
  2. 前記吸収ばね(131,132)は、直列に配置される複数の吸収ばねを有し、
    前記規制部材(127,128)は、各吸収ばね(131,132)によって前記スライダ(112)と前記押圧部材(113)との間に異なるセット荷重を設定することを特徴とする請求項1に記載の摩擦板式クラッチのレリーズ構造。
  3. 前記吸収ばね(131,132)は、前記スライダ(112)と前記押圧部材(113)との間のセット荷重を予め定めた過大バックトルクよりも低くするように設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦板式クラッチのレリーズ構造。
  4. 前記スライダ(112)と前記押圧部材(113)との間に配置される中間部材(114)を備え、
    前記吸収ばね(131,132)は、前記中間部材(114)と前記スライダ(112)との間に介挿される第1ばね(131)と、前記中間部材(114)と前記押圧部材(113)との間に介挿される第2ばね(132)とを備え、
    前記規制部材(128)は、前記第2ばね(132)によって得られるセット荷重が、前記第1ばね(131)によって得られるセット荷重よりも大きくなるように前記中間部材(114)の移動を規制することを特徴とする請求項2又は3に記載の摩擦板式クラッチのレリーズ構造。
  5. 前記中間部材(114)には、一端に前記第1ばね(131)及び前記第2ばね(132)のいずれか一方の外径部をガイドする凹状の外径ガイド(114C1)が設けられるとともに、他端に前記第1ばね(131)及び前記第2ばね(132)の他方の内径部をガイドする凸状の内径ガイド(114B)が設けられることを特徴とする請求項4に記載の摩擦板式クラッチのレリーズ構造。
  6. 前記第1ばね(131)は、当該クラッチを遮断可能な押圧力よりも弱い押圧力を得るセット荷重に設定されることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の摩擦板式クラッチのレリーズ構造。
  7. 前記第2ばね(132)は、当該クラッチを遮断可能な押圧力を得るセット荷重に設定されることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の摩擦板式クラッチのレリーズ構造。
  8. 前記スライダ(112)は、前記中間部材(114)を摺動自在に収容する筒状に形成され、
    前記スライダ(112)の内周面に沿って前記押圧部材(113)と前記中間部材(114)とが摺動し、
    前記スライダ(112)の内周面に、前記押圧部材(113)と前記中間部材(114)との移動範囲を規制する前記規制部材(127,128)が設けられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の摩擦板式クラッチのレリーズ構造。
  9. 前記入力ギア(111)を回転自在に支持するとともに、前記スライダ(112)がスプライン結合されるアウターケース(115)を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の摩擦板式クラッチのレリーズ構造。
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