JP2015190071A - 金属キレート微粒子水分散体 - Google Patents

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一子 鈴木
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一子 鈴木
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Abstract

【課題】樹脂バインダーを使用せずに直接布帛表面に付着可能な抗菌消臭性能に優れた金属キレート微粒子水分散体を提供すること。
【解決手段】平均粒子径が50nm以下の金属キレート微粒子が水に分散されていることを特徴とする水分散体。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属キレート微粒子水分散体に関する。さらに詳しくは、本発明は、抗菌消臭性能を有する金属キレート微粒子水分散体に関し、この水分散体で布帛を処理し、金属キレート微粒子を布帛表面に付着させることによって、抗菌性能と消臭性能に優れた耐久性を有する布帛を得ることができる。
近年、衣服着用時の快適性、特に夏場における日常生活の中での快適性を満足させるための機能として、抗菌性能や消臭性能が求められている。特に夏のシーズンにおいて長期に渡る気温25℃以上の夏日や真夏日での環境下において、快適性および着心地を持続させるには抗菌性能と消臭性能の耐久性を有するとともに、汗をかいたときに速やかに吸水し拡散させることが、着心地のよさを実感する上で重要である。
抗菌消臭性能を発現させるために亜鉛等の金属微粒子を付与した繊維製品が提案されているが、その多くは夏のシーズンに頻繁に洗濯される環境下での耐久性が低かったり、風合が悪く着用時の着心地が悪いという問題がある。
下記特許文献1には、亜鉛化合物微粒子とジルコニウム化合物微粒子を水可溶性バインダー樹脂と共に繊維表面に付与することにより、抗菌消臭性能を有する繊維が得られることが開示されている。しかしながら、金属微粒子をバインダーとともに繊維表面に直接付与していることから、しなやかさがなく、また吸水拡散性能が悪く、その結果、着心地が悪く、さらに洗濯50回以上の抗菌消臭性能がないという問題がある。
また、下記特許文献2には、キトサンとカルボン酸ポリマーと酸化亜鉛とバインダー樹脂を含む処理液で繊維を処理することで消臭性能が得られることが開示されている。しかしながら、バインダー樹脂を使用していることからしなやかさがないとともに、吸水拡散性能が悪く、着心地の悪いものであり、抗菌効果がないという問題がある。
さらに、下記特許文献3には、プラチナナノコロイドの水溶液或いはこの水溶液と抗菌防臭剤又は抗菌消臭剤との混合液を布帛に付与することで抗菌、消臭および吸水・速乾性能に優れる布帛が得られることが開示されている。しかしながら、綿繊維からなる布帛に対する抗菌消臭効果は良好なものの、セルロース繊維と合成繊維との混用布帛、特に長繊維複合布帛に加工した場合は、洗濯50回後の消臭効果が悪く、吸水拡散性が悪く着心地が悪いという問題がある。
このように、現状では、バインダー樹脂を使用しないで仕上げた染色布帛において、抗菌性能と消臭性能に優れ、かつこれらの性能の洗濯耐久性に優れた、金属微粒子水分散体は得られていない。
特許第3568613号公報 特許第3787675号公報 国際公開第2012/086204号パンフレット
本発明が解決しようとする課題は、抗菌消臭性能の洗濯耐久性に優れた金属キレート微粒子水分散体を提供するとともに、この微粒子を布帛に樹脂バインダーを使用せずに直接強固に付着させることが可能な金属キレート微粒子水分散体を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し、実験を重ねたところ、キレート剤の存在下で金属化合物を超音波照射処理すると抗菌消臭性能に優れた金属キレート微粒子が得られ、この微粒子を布帛に樹脂バインダーを使用せずに付与することで抗菌性能および消臭性能の洗濯耐久性が優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりのものである。
[1]平均粒子径が50nm以下である金属キレート微粒子が水に分散されていることを特徴とする水分散体。
[2]金属が銀、銅、亜鉛、金、白金から選ばれた少なくとも1種の金属を0.01重量%以上含有することを特徴とする上記[1]に記載の水分散体。
本発明の金属キレート微粒子水分散体は優れた抗菌消臭性能を有し、この水分散体を樹脂バインダーを使用せずに直接布帛に付着させることにより、抗菌消臭性能の洗濯耐久性に優れた布帛が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の金属キレート微粒子水分散体は、金属がキレート剤にてキレート化された構造の微粒子水分散体である。金属キレート微粒子水分散体は、金属化合物とキレート剤と水をアルコールに溶解させた溶液に超音波照射を行い、金属をキレート化させるとともに微粒子化させた後、水に分散させることにより得ることができる。
一般に金属酸化物の粒子径が小さくなると粒子同士の相互作用が発現し、粒子は凝集しやすくなる問題があるが、本発明においては金属化合物をキレート剤と水とアルコールとの存在下で超音波照射することで金属がキレート化されるとともに、微粒子化されるので、さらに水に分散させたときに凝集することなく、分散性の優れた金属キレート微粒子水分散体が得られやすい特徴がある。
本発明でいうキレート剤とは、2,4−ペンタンジオール、アセト酢酸エチル等のジケトン系、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコール系、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン系、グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸系をいい、それぞれ単独で又は複数組み合わせて使用することができ、なかでもオキシカルボン酸を使用するのが、金属キレート微粒子の粒子サイズのバラツキを小さくすることができ、水に分散させたときに凝集のない分散体を得やすく、ノンバインダーにて布帛へ吸着させやすいので好ましい。またキレート剤はあらかじめ水に溶解させたのちアルコールに添加し、溶解させるのが好ましい。
本発明に用いる金属は、銀、銅、亜鉛、金、白金のうち少なくとも1種を用いればよく、特に亜鉛を用いた場合にはキレート化後の微粒子の粒子サイズのバラツキが小さく、水に分散させたときに凝集のない分散体を得やすいので好ましい。
また、本発明で用いる金属化合物は、金属の硝酸塩、塩化物、硫酸塩、炭酸塩等の無機塩、または酢酸塩、クエン酸塩等の親水性有機酸塩等より選べばよく、中でも、酢酸塩がアルコールに易溶であり、キレート化後の金属キレート微粒子を水に分散させたときに凝集のない分散体を得やすいので好ましい。
本発明で用いるアルコールは、エタノールやメタノール等の脂肪族アルコール系より選べばよいが、なかでもメタノールを使用するのが超音波処理により得られる金属キレート微粒子の粒子サイズのバラツキが小さく、平均粒子径が50nm以下、好ましくは20nm以下の微粒子が得やすく好ましい。
本発明においては、水に溶解させたキレート剤をアルコールに添加し、溶解させ、さらに金属化合物を溶解させた溶液に、超音波照射することで、平均粒子径が50nm以下、好ましくは20nm以下の金属キレート微粒子を得ることができる。このとき、水に溶解させるキレート剤と水の比率は、モル比率で1:1が好ましい。また、水に溶解させたキレート剤をアルコールに添加し、溶解させるときは、おおよそ10〜50倍の容量のアルコールに添加し、溶解させることが好ましい。このキレート剤を溶解させたアルコール溶液に溶解させる金属化合物の濃度は0.001mol/L以上が好ましい。
本発明の金属キレート微粒子水分散体を用いてバインダー樹脂を使用せずに布帛表面に金属キレート微粒子を直接付着させるためには、金属キレート微粒子の平均粒子径が50nm以下、好ましくは20nm以下に微粒子化する必要があり、超音波処理により達成することができきる。
超音波処理における超音波の周波数は、10〜200kHzであることが好ましく、この範囲であると金属キレート微粒子は平均粒子径が1.5〜20nmのものが得られる。周波数が10kHz未満では、キャビテーション強度が強すぎて粒子サイズのバラツキが大きくなるので好ましくなく、また200kHzを超える場合はキャビテーション効果が小さくなるので金属のキレート化が不十分であるとともに、平均粒子径が50nmより大きくなり好ましくない。超音波処理は、超音波ホモジナイザー、超音波分散機、超音波洗浄機等を用いて行うことができる。
また、超音波照射処理における金属のキレート化の程度および金属キレート微粒子の粒径等を制御する手段は、アルコール濃度、アルコールに溶解させるキレート剤と金属化合物の比率、処理温度および時間が挙げられ、アルコール濃度は、金属化合物の重量に対し、5〜20倍程度とし、キレート剤と金属化合物の比率は、モル濃度比率で1:1から1:4程度とし、処理温度は35〜65℃であり、処理時間は30分〜300分である。
また、超音波処理を行うときは、密閉系で処理することで金属キレート微粒子の平均粒子径が50nm以下の安定したものができるので好ましい。
また、本発明において、金属が超音波処理にてキレート化されたか否かは、超音波処理後の溶液をFT−IRにて分析することで確認することができる。キレート化の判断はキレート剤に使用した化合物に応じIRチャートのピークが移動しているかで判断することができ、例えば、金属化合物として酢酸亜鉛を用い、キレート剤に乳酸を使用した場合、1420cm-1、1580cm-1におけるカルボキシイオンのOHの面外変角振動にてピークが移動していることでキレート化されていると判断することができ、この際のピークの移動距離が5cm-1以上であればキレート化されていると判断することができる。
次に、超音波処理された溶液を水に希釈し金属キレート微粒子の水分散体を得るが、この際の金属キレート微粒子の濃度は0.01〜2.0重量%が好ましく、0.05〜1.5重量%がより好ましい。この濃度が0.01重量%未満では、布帛を処理した場合、抗菌消臭性能が不十分である。一方、2.0重量%を超えると分散安定性が悪く、凝集を起こし粒子径50nm以下のものが得られない。水への分散のやり方は、マグネチックスターラ等で水を攪拌しながら、この水の中に金属キレート微粒子を投入し、10〜20分ほど攪拌すれば、凝集のない透明な金属キレート微粒子水分散体が得やすいので好ましい。この際、水溶液のpHは3.5〜5.0の範囲にあると凝集することなく分散性が安定である。
本発明においては金属がキレート化されているので凝集をおこすことなく、平均粒子径が4〜50nmの金属キレート微粒子の水分散体が得られ、キレート剤としてオキシカルボン酸を使用した場合、凝集のない無色透明な水分散体を得やすく、金属キレート微粒子水分散体のゼータ電位が−5〜−70mVの範囲に制御しやすく布帛への吸着性が高まり好ましい。このようにして得られた金属キレート微粒子水分散体の用途は、布帛の抗菌消臭剤として使用することができる。
本発明の金属キレート微粒子水分散体において、金属キレート微粒子を布帛に付着させるために、金属キレート微粒子水分散体で布帛を処理する方法は、浸漬加工、パディング加工、スプレー加工、インクジェット加工等いかなる方法でもよいが、工業生産において効率よく吸着させやすく、吸着効率の高い浸漬加工が好ましい。
本発明の金属キレート微粒子水分散体で処理する布帛を構成する繊維は、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維やビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維やポリエステル、アクリル、ポリアミド等の合成繊維が好ましく、中でもポリエステル繊維を酸性基にて改質した塩基性染料可染型繊維が金属キレート微粒子の吸着性が高く、洗濯耐久性が優れているので特に好ましく、他の繊維と混用して使用してもかまわない。
また、本発明の金属キレート微粒子水分散体で処理する布帛を構成する繊維の総繊度、単糸繊度、断面形状は特に限定はしない。また繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。また布帛形態としては、編物、織物、不織布、及びこれらの複合布帛(例えば、積層布等)が挙げられる。
本発明の金属キレート微粒子水分散体において、布帛へ金属キレート微粒子を付着させる方法は、工業生産において効率よく吸着させやすい浸漬法での加工が好ましい。浸漬加工は、布帛の染色と同時又は、染色した後に実施することができ、加工液のpHを3.5〜5.0の酸性に調整した浴に金属キレート微粒子水分散体を添加し、浴比は1:10〜30で、処理温度は100〜135℃で、処理時間は15〜45分で加工するのが金属キレート微粒子を安定して吸着させ易く、洗濯耐久性が高いので好ましい。このとき、処理温度が100℃未満の場合、金属キレート微粒子の吸着性が悪く、洗濯耐久性も悪い。一方、処理温度が135℃を超えると、設備が大掛かりになりコスト高となり好ましくない。加工液のpHが3.5未満や5.0を超える場合、金属キレート微粒子の吸着性が悪くなり好ましくない。
本発明の金属キレート微粒子水分散体で布帛を処理すると、布帛表面に金属キレート微粒子が直接吸着するので、バインダー樹脂を使用しなくても金属キレート微粒子の洗濯耐久性は高まる。特に、酸性基で改質した塩基性染料可染型繊維を用いた場合、より強固に吸着し、吸着率も高いことから洗濯50回以上の耐久性に優れ、洗濯50回後の金属キレート微粒子の脱落率は10%以下である。また、金属キレート微粒子をバインダー樹脂を使用せずに付着させるので、しなやかな風合が得られるとともに吸水性能の低下を抑制できる。
また、金属キレート微粒子の布帛への付着量は、0.01〜0.5重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜0.3重量%である。金属キレート微粒子の付着量が0.01重量%未満では洗濯50回後の抗菌消臭性能が不良であり、0.5重量%を超えるとコスト高となり好ましくない。
本発明において、例えば金属化合物として酢酸亜鉛を用い、乳酸にてキレート化させた亜鉛キレート微粒子を布帛表面に吸着させたときの微粒子の粒径は、電子顕微鏡で観察され、布帛表面積500nm2当たり、粒子径が50nmを超えるものは2個以下であり、粒子径が50nm以下の微粒子が付着していることが観察できる。特に繊維として塩基性染料可染型繊維を用いた場合、粒子径20nm以下の亜鉛キレート微粒子にて布帛表面が完全に被覆されていることが観察できる。洗濯50回を繰り返し行ってもこの状態は同じで、耐久性の高いものである。
本発明の金属キレート微粒子水分散体で処理した布帛の染色については、通常実施されている条件であればいずれの条件も適用することができる。
また、塩基性染料可染型繊維からなる布帛のカチオン染料による染色と同時に、金属キレート微粒子を布帛に付着させた場合、金属キレート微粒子の吸着効率が高く、洗濯耐久性の高いものが得られるとともに、発色性の高いものが得られる。
また、衣服の着用時、汗をかいたときに快適に感じるには、布帛が水分を吸い取る力を有することが必要であるが、汗を吸い取るだけでは一ヶ所に水分が保持されるのでベタツキ感が解消されずに不快感を感じたままである。ベタツキ感を解消するためには、吸い取った水分をすばやく拡散させる必要がある。本発明の金属キレート微粒子水分散体で処理した布帛においては、布帛表面に金属キレート微粒子が直接吸着しているので、布帛表面上に超微細な起伏ができ、この起伏と表面積の増大により水分をすばやく拡散させる力を発揮する。着用時、汗をかいたときの快適性は水滴消失時間と吸水拡散面積で表すことができる。夏場に着用する肌着衣料やスポーツ衣料のように洗濯回数の多い用途においては、少なくとも洗濯50回の耐久性は必要である。本発明では水滴消失時間と吸水拡散面積と快適性との関係について検討した結果、洗濯50回後の水滴消失時間が2秒以下、好ましくは1秒以下で、吸水拡散面積が10cm2以上、好ましくは12cm2以上であると布帛製品の着用快適性に優れる。また、洗濯50回後の吸水拡散面積の変化率が、未洗濯時の吸水拡散面積の50%以下であるとさらに好ましい。
また、本発明の金属キレート微粒子水分散体で処理して得られた染色布帛の仕上加工法は、通常実施されている条件であればいずれも適用することができ、布帛の特性に応じ適宜設定すればよい。また、仕上布帛の生地pHが弱酸性にあると消臭性能が安定して得られるので、仕上剤浴中に不揮発性の有機酸を添加し、調整することが好ましい。
このようにして本発明の金属キレート微粒子水分散体で処理して得られた布帛は、繊維製品衛生加工評議会(SEK)が定める認証基準に規定されている抗菌性能に優れる。具体的には後述する黄色ブドウ球菌における静菌活性値が2.2以上、好ましくは2.5以上である。また、社団法人繊維評価技術協議会が定める消臭加工繊維製品認証基準(2010年4月1日版)に規定されている汗臭に対する消臭性能に優れる。具体的には後述する、JTETC消臭性区分「汗臭」消臭試験における、JTETCが定める消臭加工繊維製品認証基準によるアンモニアの減少率は70%以上、好ましくは75%以上、酢酸の減少率は80%以上、好ましくは85%以上、イソ吉草酸の減少率は85%以上、好ましくは90%以上である。
本発明の金属キレート微粒子を付与した布帛は上記抗菌消臭性能に加え、吸水性能にも優れ、具体的には洗濯50回後の水滴消失時間が2秒以下で、吸水拡散面積が10cm2以上であり、堅牢度性能も良好であり、具体的には、JIS−L−0848 A法における汗アルカリ堅牢度が3級以上である商品価値の高い染色品である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例等で用いた特性値の測定法を示す。
(1)金属キレート微粒子のキレート化の確認
FT−IR装置(Nicolet製,Magna760)を用い、下記の測定条件にて超音波処理前後の溶液の測定を行い、ピークトップの変動度合いを確認し、5cm-1以上変動している場合、キレート化していると判断した。
測定手法:1回反射ATR法(S.T.Japan社製 DuraScope ダイヤモンドATR結晶)
測定領域:700〜4000cm-1
分解能:4cm-1
積算回数:32回
(2)分散体中の金属キレート微粒子の粒子径
超音波処理後の溶液及び水に希釈分散させた溶液中の金属キレート微粒子の粒径をMALVERN社製 Zetasizer Nano ZSの装置にて、5回測定し、その平均値を求めた。
(3)布帛表面上の金属キレート微粒子の粒子径
サンプル布帛を電子顕微鏡上で観察した写真から金属キレート微粒子の投影面積を算出し、それと等しい面積を持つ円の直径を求め、金属キレート微粒子の粒子径とした。サンプル布帛の任意の5箇所について表面積500nm2中に存在する全ての金属キレート微粒子の粒子径を測定し、平均した。
(4)金属キレート微粒子の洗濯耐久性
金属キレート微粒子を付着させた布帛の洗濯前後について、蛍光X線装置(リガク製,RIX3001)にて元素分析を行い、金属元素強度を測定し、次式にて脱落率を算出した。尚、任意の5箇所を測定し、平均した。
金属キレート微粒子の脱落率(%)=((洗濯前の元素強度−洗濯後の元素強度)/洗濯前の元素強度)×100
(5)抗菌性評価
繊維製品衛生加工評議会(SEK)の統一試験法に順じて行った。減菌後クリーンベンチ内で乾燥した検体(1辺が約18mmの正方形の試験片0.4g)に、予め高圧蒸気減菌した後水冷した1/20濃度のニュートリエントプロスで、生菌数を(1±0.3)×105個/mlに調整した試験菌懸濁液0.2mlを検体全体に均一に浸みるように接種し、減菌したキャップを締め付ける。これを37±1℃で18時間培養し、培養後の生菌数を測定した。
検体は、標準布(抗菌防臭加工製品の加工効果評価試験マニュアルに規定された布)と試験布の2種類であり、試験菌としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aurcus ATCC 6538P)を用い、下記式により抗菌性の指標である静菌活性値を算出し、静菌活性値が2.2以上のものを抗菌性ありと判断した。但し、(LogB−LogA)>1.5を満たすことを試験成立条件とした。
静菌活性値=LogB−LogC
ここで、Aは標準布の接種直後に回収した菌数平均値であり、Bは標準布の18時間培養後の菌数平均値であり、Cは試験布の18時間培養後の菌数平均値である。
(6)JTETC消臭性区分「汗臭」消臭試験
臭気成分としてアンモニア、酢酸、イソ吉草酸の3成分を用いて消臭試験を行い、下記の方法により消臭性能を評価した。
<消臭性能評価>
1.機器分析試験:JTETCが定める消臭加工繊維製品認証基準に従い、上記3成分について機器分析を行った。即ち、容器に臭気成分とサンプルを入れ、2時間放置後の臭気成分の残留濃度(2時間後の試料試験濃度)を測定した。臭気成分のみを入れた容器の残留濃度を空試験濃度として、下記式により、臭気成分の減少率を計算した。
減少率(%)=(2時間後の空試験濃度−2時間後の試料試験濃度)/(2時間後
の空試験濃度)×100
なおアンモニアと酢酸は検知管法により、イソ吉草酸はガスクロマトグラフィー法により測定した。判定は、アンモニアの減少率70%以上および酢酸の減少率80%以上およびイソ吉草酸の減少率85%以上の条件を全て満足する場合を合格「○」、それ以外を不合格「×」と判定した。
2.官能試験:フラスコに臭気成分とサンプルを入れ、2時間放置後のサンプル生地とフラスコ内の臭気について、判定臭気と比較し、判定者6名のうち、5名以上が下記基準により臭気を弱と判断した場合を合格とした。
臭気「強」:判定臭ガスより強い場合
臭気「弱」:判定臭ガスと比較して同等又はより弱い場合
なお、判定臭気としては、臭気強度2.0のアンモニア、酢酸、イソ吉草酸ガスを用いた。
(7)染色布帛のpH
JIS L−1096による抽出液のpHをB法(ISO法)にて測定し、布帛のpHを求めた。
(8)洗濯条件
JIS L−0217 103法に従って、50回行った。尚、洗剤は、花王製アタック(1g/L)を用いた。
(9)水滴消失時間
JIS L−1097 滴下法に従って水滴消失時間を評価した。サンプル毎に5回ずつ測定を行い、平均水滴消失時間を求めた。尚、このときの水滴1滴の平均量は0.039mlであった。
(10)吸水拡散面積
布帛を直径15cmの刺繍用の丸枠に取り付け、布帛表面に水溶性青染料(C.I.アシッドブルー62を0.005wt%含有)を0.1ml滴下し、3分後に濡れ拡がった吸水拡散面積を次式により求める。
吸水拡散面積(cm2)=[縦の直径(cm)×横の直径(cm)]×π÷4
サンプル毎に測定を5回行い、平均吸水拡散面積を求めた。
(11)発色性の評価
染色品につき、布帛の分光反射率Rを測定し、以下に示すKubelka−Munkの式より求めた。この値が大きいほど発色性が高い(表面濃度が高い)こと、即ち、良く発色されていることを示す。当該染料の最大吸収波長である610nmでの値を採用した。
K/S=(1−R)2/2R
(12)風合評価
検査者30人の感触によって染色仕上品を次の基準で相対評価し、21人以上の感触で得られた基準を示した。
○:しなやかで肌触りがよく着心地がよい
△:しなやか感、肌触り感がやや劣る
×:硬く、肌触り感が悪い
(13)汗アルカリ堅牢度
染色品について、JIS−L−0848−A法に準じて汗アルカリ人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度を、それぞれ、変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
[実施例1〜3]
<金属キレート微粒子水分散体の作製>
乳酸5.4gを水1.08gに溶解した溶液をメタノール100ml中に添加して均一に混合し、得られた溶液中に酢酸亜鉛(2水塩)13.2gを攪拌しながら溶解させた。
次に、この溶液を50℃に加温しながら、超音波装置を用い、高周波出力80W、発信周波数40kHzにて2時間、密閉状態で超音波照射した。
超音波処理前後の溶液をFT−IRによるチャート解析にてカルボキシルイオンのOHの面外変角振動を確認したところ、1450cm−1が1420cm−1に、1570cm−1が1580cm−1に変動していることから、亜鉛はキレート化されており、亜鉛キレート微粒子が生成していると判定した。次に生成した微粒子の粒径をZetasizer Nano ZSにて測定したところ平均粒子径が4.1nmであることを確認した。
次に得られた亜鉛キレート微粒子の分散液14.8gを水1000g中に添加し、マグネチックスターラにて10分間攪拌し、亜鉛キレート微粒子の0.2重量%の水分散体を得た。得られた水分散体は、pHが4.7で無色透明で凝集物のないものであり、亜鉛キレート微粒子の平均粒子径が7.8nmであった。
<金属キレート微粒子の布帛への付与>
三菱レイヨン(株)製の塩基性染料可染型ポリエステル繊維(商品名:A.H.Y.)70dtex/48fのPOYを常法により185℃にて仮撚加工を行い、76dtex/48fの複合糸を得た。次に、得られた複合糸を用い、常法により24ゲージにて、フライス丸編地を作製した。次いで、拡布状で60℃でプレウエットした後、185℃でプレセットを行った後、下記に示す条件にて染色と同時に亜鉛キレート微粒子水分散体による処理を行った。
<染色条件>
分散型カチオン染料:カヤクリル ブルー 2RL−ED:1.5%omf
pH:4.3(乳酸にて調整)
亜鉛キレート微粒子濃度;布帛への付着量が表1記載の量となるように調整
浴比:1:20
温度:120℃
時間:40分
染色後は、80℃で湯洗及び水洗をこの順序で2回繰り返した後、水の浴に可縫製向上剤と柔軟剤を添加し、布帛にパディング法にて付与した後、140℃の熱処理にて仕上げた。
得られた染色布帛のpHは5.9、目付は147g/m2、コース密度は55/インチ、ウエル密度は33/インチ、厚みは0.52mmであった。得られた染色布帛を電子顕微鏡にて10万倍の倍率にて観察したとき、繊維表面積500nmあたり、粒子径が50nmを超える亜鉛キレート微粒子は1個も存在しておらず、粒子径20nm以下の亜鉛キレート微粒子で完全に覆われていることが確認できた。この状態は洗濯50回後も同じであった。
得られた染色布帛の抗菌性能、消臭性能、吸水拡散性能、発色性、汗アルカリ堅牢度、風合の評価結果を表1に示す。表1の結果から、実施例1〜3で得られた亜鉛キレート微粒子を付与した布帛は、抗菌性能、消臭性能、吸水拡散性能、発色性、汗アルカリ堅牢度性能に優れ、しなやかな風合を有し商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
[比較例1]
布帛の染色において亜鉛キレート微粒子を添加しなかったことを除いて、実施例と同様に染色布帛を得た。得られた染色布帛を下記に示す条件にて樹脂バインダー併用のもとに酸化亜鉛をパッド法にて付与し、140℃の熱処理にて仕上げた。
<仕上剤処方>
酸化亜鉛微粒子水分散体(住友大阪セメント製ZW−230B;平均粒子径67
nm):10重量部
シリコーンバインダー(大和化学製パインテックスS−200L):3重量部
得られた染色布帛の抗菌性能、消臭性能、吸水拡散性能、発色性、汗アルカリ堅牢度、風合の評価結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明の実施例1〜3で得られた染色布帛は、比較例1で得られた布帛に比べ、抗菌性能、消臭性能の耐久性に優れており、本発明の亜鉛キレート微粒子水分散体は、抗菌性能、消臭性能の耐久性に優れた亜鉛キレート微粒子水分散体であることが分かる。
Figure 2015190071
本発明の金属キレート微粒子水分散体は、抗菌性能、消臭性能に優れ、この水分散体を樹脂バインダーを使用せずに直接布帛に付着させることにより、洗濯耐久性に優れる抗菌消臭性能が得られることから、布帛の抗菌消臭剤として好適に利用可能である。

Claims (2)

  1. 平均粒子径が50nm以下である金属キレート微粒子が水に分散されていることを特徴とする水分散体。
  2. 金属が銀、銅、亜鉛、金、白金から選ばれた少なくとも1種の金属を0.01重量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の水分散体。
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