JP6577332B2 - 抗菌性能に優れた抗菌性合成繊維布帛 - Google Patents

抗菌性能に優れた抗菌性合成繊維布帛 Download PDF

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Description

本発明は、抗菌性能に優れた合成繊維布帛に関する。さらに詳しくは、本発明は、抗菌性能に対する優れた耐久性を有するとともに、人体、生物等に障害のない合成繊維からなる抗菌性繊維布帛に関する。
ポリエステル繊維等からなる合成繊維は、力学特性、化学特性、加工性、イージーケア性を有することから、衣料用、寝装具用、インテリア用等に広く使用されている。近年、
これらの繊維用途において、消費者の衛生に関する認識及び衛生嗜好が高まってきており、抗菌性を付与した繊維に対する要望が高まってきている。
ポリエステル繊維等の合成繊維に、人体には安全で、しかも耐久性のある抗菌性を付与することは容易なことではなく、これまでに繊維処理剤として用いられている第4級アンモニウム塩系等の抗菌剤は洗濯耐久性に乏しく、敏感肌の人の場合、皮膚がかぶれる等の問題もあり人体に優しく、抗菌性能の満足のいくものが得られていない。
特に最近ではMRSAのような耐性菌の出現により、抗生物質が抗菌性万能とはいえなくなり、このような耐性菌への配慮も必要となっている。
さらに、ジフェニルエーテル系抗菌剤のように加工繊維の焼却時に、発がん物質のダイオキシンが生成する事例が報告されており、環境への配慮も必要となっている。
耐性菌に対しても強い抗菌性を示し、かつ発がん物質の生成もない抗菌剤として、ゼオライトに銀、銅又は亜鉛を担持させた無機化合物を繊維ポリマー中に練り込み等の方法にて使用されているが、効果を出すには使用量を多くする必要があり、使用量が多くなると経時的に酸化を受け変色を起こす問題があり、製品での安定性、安全性に高く、抗菌性能に優れた布帛が求められている。
下記の特許文献1には、天然物質で安全性の高い脱アセチル化キチン(キトサン)を抗菌剤成分として用いる加工法が提案されている。しかしながら抗菌効果は満足いくものの、繊維表面への固着には、バインダー樹脂、架橋剤が使用されており人体に対して安全性に問題がある。
また、下記の特許文献2には、キトサンとセリシンの複合体を用いる加工法が提案されている。しかしながら、抗菌効果の耐久性を出すには、セリシンを複合するとともに、凹部を有する異型断面糸を用いる必要があり、キトサン単独の場合や凹部を有しないマルチフィラメント糸を用いた場合には耐久効果がない問題がある。
また、下記の特許文献3には、キトサンと銅、銀、亜鉛等の金属の水溶性塩と有機酸塩を用いる加工法が提案されている。しかしながら抗菌効果の耐久性を出すには、水溶性金属塩をキトサンと結合させた金属錯塩を繊維に接着させることが必要であり、キトサン単独では耐久効果がない問題がある。
このように、現状では、天然物質で安全性が高く、人体にも環境にも優しい脱アセチル化したキチンを合成繊維に単独で少量付与し抗菌性能の洗濯耐久性に優れた布帛は得られていない。
特開平4−257301号公報 特許第3592815号公報 特許第3484520号公報
本発明が解決しようとする課題は、合成繊維布帛にキチンナノファイバーを、樹脂バインダーを使用せずに、繊維表面に直接強固に付着させることにより、抗菌性能の洗濯耐久性に優れ、人体や環境に優しい、抗菌性繊維布帛を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討し実験を重ねたところ、キチンナノファイバーを酸性水溶液に浸けて超音波照射にてキチンナノファイバー水分散体を作製し、この水分散体に合成繊維布帛を浸漬し、樹脂バインダーを使用せずに、キチンナノファイバー直接付着させることで、抗菌性能の耐久性が高い布帛が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりのものである。
[1]合成繊維の繊維表面に、幅20〜80nm、長さ150〜600nmのキチンナノファイバーが、該繊維の表面積1μmあたり25本以上で直接付着していることを特徴とする抗菌性繊維布帛。
[2]pH3.5〜5.0に調整した酸性溶液にキチンナノファイバーを分散させた溶液中に合成繊維を、25〜80℃の温度で15分〜45分間、浸漬させ、該キチンナノファイバーを該合成繊維に付着させる工程を含む、[1]に記載の抗菌性繊維布帛の製造方法。
本発明の抗菌性繊維布帛は、合成繊維からなる布帛であって、その繊維表面に特定の大きさのキチンナノファイバーを網目状に直接付着させることで、優れた抗菌性能を有し、その抗菌性能の洗濯耐久性に優れるとともに、肌にやさしいしなやかな風合を有する繊維布帛である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の抗菌性布帛は、合成繊維からなる布帛であり、繊維表面に特定の大きさのキチンナノファイバーを網目状に直接付着させることで抗菌性能に優れ、肌にやさしいしなやかな風合に優れ、かつ、それら性能の洗濯耐久性が良好なものである。
本発明で用いられる合成繊維は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、又はこれらの共重合体からなる繊維が挙げられ、特に、ポリエステル、ポリアミド繊維は好適である。
また、合成繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面においても丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、M型、八葉型、扁平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空形や不定形なものでもよい。中でも、凹部を1か所以上持つ異型断面形は付与したキチンナノファイバーの洗濯耐久性が高まるとともに、しなやかな風合が得やすいため好ましい。
繊維が加工される糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等が挙げられる。
布帛形態としては、編物、織物、及びこれらの複合布帛(例えば、積層布等)が挙げられる。
また合成繊維を複数種混用して用いる場合の糸条の形態の例としては、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等による混用形態が挙げられる。
本実施形態の合成繊維は、特に限定はしないが、単糸デシテックスが0.01〜3デシテックスが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5デシテックスであり、トータルデシテックスが20〜250デシテックスであることが好ましい。
また、本実施形態の合成繊維中に、再生セルロース繊維やウール、シルク等の他の繊維が少し混じっていてもよい。
本実施形態の合成繊維は、酸化チタン、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤、アルカリ金属等を含有していてもよく、従来公知の方法にて製造すればよい。
キチンナノファイバーは、キチン含有生物由来の材料からなるものであり、例えば、特開2010−1830309号公報、特許第5186694号公報等の方法により得られたものや市販品として、例えば、(株)スギノマシン製のBiNFi−s(ビンフィス)等が挙げられる。
本実施形態においては、バインダー樹脂を用いることなく合成繊維表面にキチンナノファイバーを網目状に直接付着させることに特徴がある。
キチンナノファイバーを網目状に直接付着させるには、キチンナノファイバーをpH3.5〜5.0に調整した酸性水溶液に分散させ、超音波照射を行い、キチンナノファイバー1本1本をバラケさせるとともに、この分散水溶液のゼータ電位をプラスに高めたキチンナノファイバー水分散体を用いることで達成できる。
この際、pH3.5〜5.0の酸性水溶液の調整は、任意の酸を用いることができるが、オキシカルボン酸を用いるのが超音波照射した際にキチンナノファイバーが凝集することなく1本1本バラケさせ、水溶液中での分散性を高め易いともに分散水溶液のゼータ電位をプラス側に高めるので好ましい。オキシカルボン酸とは、有機化合物の1分子内にカルボキシル基と水酸基をもつものをいい、乳酸、リンゴ酸、酒石酸等が、使用濃度が少ない使用量にてpHのコントロールがし易いので好ましく使用できる。
水溶液のpHは、3.5〜5.5に調整するのが好ましい。水溶液のpHが3.5未満、5.5以上の場合、超音波照射後にキチンナノファイバー分散水溶液のゼータ電位を+40〜100mVに高めることができないし、キチンナノファイバーの分散安定性が悪くなるので好ましくない。
本実施形態の超音波処理における超音波の周波数は、10〜200kHzであることが好ましい、この範囲であると幅30〜150nm、長さ200〜900nmのキチンナノファイバー1本1本に分離された分散安定性が高まるとともに、分散水溶液のゼータ電位が+40〜100mVに高められる。またキチンナノファイバーの比表面積が150m/g以上に高められる。周波数が10kHz未満では、キャビテーションが強すぎると1本1本の分離分散安定性が悪くなるので好ましくなく、また200kHzを超える場合はキャビテーション効果が小さくなるので分散水溶液のゼータ電位を+40mV以上に高めることができないので好ましくない。超音波処理は、超音波ホモジナイザー、超音波分散機、超音波洗浄機等を用いて行うことができる。
また、超音波照射にてキチンナノファイバーの分散性、分散水溶液のゼータ電位を制御する手段は、キチンナノファイバーの含有濃度、処理温度、時間が挙げられる。
pH3.5〜5.0の酸性水溶液に浸すキチンナノファイバーの含有濃度は、0.01〜0.4重量%が好ましく、0.02〜0.2重量%がより好ましい。処理温度は25〜50℃であり、処理時間は20〜90分間、好ましくは15〜45分間である。
また、超音波処理を行うときは密閉系で処理することが、キチンナノファイバーの分散安定性が高まるため、好ましい。
また、超音波処理にて、キチンナノファイバー水分散体のゼータ電位が高まったかの判断は、ゼータ電位計の測定にて判断することができる。
本実施形態において、酸性溶液中に分散させたキチンナノファイバー水分散体を合成繊維の繊維表面に直接付与させる方法は、浸漬加工、パディング加工、スプレー加工、インクジェット等いかなる方法でもよいが、工業生産において合成繊維表面に効率よく付着させやすく付着効率のよい浸漬法での加工が好ましい。浸漬加工は、繊維の染色した後に実施することができる。
本実施形態においては、超音波処理した後のキチンナノファイバー水分散体の溶液に合成繊維布帛を浸けて合成繊維表面に比表面積が150m/g以上のキチンナノファイバーを網目状に付着させることに特徴がある。
通常の撹拌機等にて水分散体を作製した場合、キチンナノファイバーの分散性、分散安定性が悪く、ゼータ電位も+40mV以下である。本発明の超音波処理を行った場合、キチンナノファイバー自体を1本1本に分散させることができ、分散溶液のゼータ電位は+40〜100mVに高められる。一方の繊維表面のゼータ電位は−30〜60mVであることから樹脂バインダーを用いることなく繊維表面へ網目状の付着を強固に行うことが可能である。
また幅が20〜80nm、長さが150〜600nmのナノファイバーの形状も網目状に付着する際に優位に作用している。キチンナノファイバーの幅、長さが上記の範囲を外れる場合は、網目状に形成することができない。
この際の水分散溶液中のキチンナノファイバーの含有濃度は0.01〜0.4重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜0.2重量%である。含有濃度が0.01重量%未満では、本発明の抗菌性能が得られず、他方、0.4重量%を超える場合、しなやかな風合が得られにくくなるので好ましくない。
分散水溶液のpHは3.5〜5.0の酸性に調整し、浴比は1:10〜30で、処理温度は25〜80℃で、処理時間は15〜45分で加工するのがキチンナノファイバー分散状態で合成繊維表面に網目状に付着させ易く、網目状に付着することで洗濯耐久性が高まるので好ましい。このとき、処理温度が25℃未満や80℃超の場合、キチンナノファイバーの付着性が悪く、洗濯耐久性も悪い。加工液のpHが3.5未満の場合、キチンナノファイバー水分散体のゼータ電位が低下し、付着性悪く、洗濯耐久性も悪くなる。一方、pH5.0以上の場合、キチンナノファイバー水分散体のゼータ電位が低下するとともにキチンナノファイバーの分散性が低下し凝集が起こりやすく、ゼータ電位の低下にて付着性も悪くなり、洗濯耐久性も悪くなるので好ましくない。
本実施形態においては、キチンナノファイバーを分散させた水溶液を用い合成繊維表面にキチンナノファイバーを網目状に絡みつくように直接付着させるので、バインダー樹脂を使用しなくてもキチンナノファイバーの洗濯耐久性は高まる。また、網目状に繊維表面に付着させることから、キチンナノファイバーの付着量が比較的低くても抗菌効果が得られる。
特に、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維を用いた場合、網目状の付着がより強固なものであることから洗濯20回を繰り返し行ってもこの状態はほぼ同じで、耐久性の高いものが得やすい。また、キチンナノファイバーを、バインダー樹脂を使用せずに付着させるので、肌触りのよいしなやかな風合が得られるとともに吸水性が向上する。
本実施形態において、合成繊維表面に網目状に付着したキチンナノファイバーの大きさは、電子顕微鏡で観察され、繊維表面積1μm内に、幅20〜80nm、長さ150〜600nmのものが25本以上、直接付着していることが観察できる。
また、繊維表面に網目状に付着したものがキチンであるかは、赤外分光光度計(FT−IR)によるスペクトル解析やX線散乱測定装置によるX線解析パターンにて確認することができる。
本実施形態の合成繊維布帛の染色については、通常実施されている条件であればいずれの条件も適用することができる。
また、衣服の着用時、汗をかいたときに快適に感じるには、布帛が水分を吸い取る力を有することが必要であるが、汗を吸い取るだけでは一ヶ所に水分が保持されるのでベタツキ感が解消されずに不快感を感じたままである。ベタツキ感を解消するためには、吸い取った水分をすばやく拡散させる必要がある。本実施形態においては、繊維表面にキチンナノファイバーが網目状に直接付着しているので、繊維表面上に超微細な起伏ができ、この起伏と表面積の増大により水分をすばやく拡散させる力を発揮する。着用時、汗をかいたときの快適性は水滴消失時間と吸水拡散面積で表すことができる。水滴消失時間と吸水拡散と快適性との関係において、水滴消失時間が2秒以下、好ましくは1秒以下で吸水拡散面積が8cm以上、好ましくは10cm以上であると着用快適性に優れる。本発明の布帛においては、水滴消失時間が1秒以下、吸水拡散面積が11cmを達成し、肌着衣料に用いた場合、しなやかな風合を有していることから肌触りがよく、汗をかいたとき肌にはりつくことなく着心地のよい衣料が得られる。
また、染色布帛の仕上加工方法は、通常繊維が実施されている方法であれば、いずれも適用することができ、布帛特性に応じ適宜設定すればよい。
このようにして得られた合成繊維布帛は、繊維製品衛生加工評議会(SEK)が定める認証基準に規定されている抗菌性能に優れる。具体的には後術する黄色ブドウ球菌における静菌活性値が2.2以上、好ましくは2.5以上である。
本実施形態の抗菌性布帛は、繰り返し洗濯した後でも、上記試験における抗菌性能に優れることを特徴とする。具体的には、JIS−L−0217−103法による洗濯を20回繰り返した後の布帛でも、上記抗菌性能を維持することができる。
本実施形態の抗菌性繊維性布帛は上記抗菌性能に加え、吸水性能にも優れ、具体的には洗濯20回後の水滴消失時間が2秒以下であり、吸水拡散面積が8cm以上であり商品価値の高い布帛品である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例等で用いた特性値の測定法を示す。
(1)抗菌性評価
繊維製品衛生加工評議会(SEK)の統一試験法に準じて行った。滅菌後クリーンベンチ内で乾燥した検体(1辺が約18mmの正方形の試験片0.4g)に、予め高圧蒸気滅菌した後氷冷した1/20濃度のニュートリエントブロスで、生菌数を(1+0.3)×10個/mlに調整した試験菌懸濁液0.2mlを検体全体に均一に浸みるように接種し、減菌したキャップを締め付ける。これを37±1℃で18時間培養し、培養後の生菌数を測定した。
検体は、標準布(抗菌防臭加工製品の加工効果評価試験マニュアルに規定された布)と加工布の2種類であり、試験菌としては、黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538P)を用い、下記の方法で抗菌性の指標である静菌活性値を算出し、静菌活性値が2.2以上のものを抗菌性ありと判断した。
静菌活性値:LogB−LogC
但し、試験成立条件(LogB−LogA)>1.5を満たすものとする
A:標準布の接種直後に回収した菌数平均値
B:標準布の18時間培養後の菌数平均値
C:試験布の18時間培養後の菌数平均値
(2)繊維表面のキチンナノファイバーの付着状態
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、形式S−3500N)を用いて、試料の繊維表面を5万倍に拡大し、適宜に5ヶ所写真撮影し、スケールゲージと比較して、サンプル布帛の繊維表面積1μmに存在するキチンナノファイバーの幅、長さ、及び数を測定し、平均値を求めた。
(3)洗濯条件
JIS L−0217 103法に従って、20回行った。尚、洗剤は、花王製アタック 1g/Lを用いた。
(4)水滴消失時間
加工品について、JIS−L−1097滴下法に準じて水滴消失時間を評価した。洗濯20回後のサンプルにつき5回測定を行い、平均水滴消失時間を求めた。このときの水滴1滴の平均量は0.039mlであった。
(5)吸水拡散面積
布帛を直径15cmの刺繍用の丸枠に取り付け、布帛表面に水溶性青染料(C.I.アシッドブルー62を0.005wt%含有)を0.1ml滴下し、3分後に濡れ拡がった吸水拡散面積を次式により求めた。
吸水拡散面積(cm)=[縦の直径(cm)×横の直径(cm)]×π÷4
サンプル毎に測定5回を行い、平均吸水拡散面積を求めた。
(6)風合い評価
検査者(30人)の感触によって加工品の洗濯20回後の布帛を以下の評価基準で相対評価した。
○:肌触りのよいしなやかな風合
△:肌触り感、しなやか感がやや劣る
×:硬く、肌触り感が悪い
[実施例1、2]
<キチンナノファイバー水分散体の作製>
スギノマシン製キチンナノファイバー(商品名:ビンフィス(型式;SFo−20010)、濃度10wt%)をリンゴ酸にてpH4に調整した水溶液に濃度が0.025重量%、0.05重量%となるように所定量を撹拌させながら溶解させた。
次に、この水溶液を、超音波装置を用い、高周波出力80W、発信周波数40kHzにて30℃に加温しながら45分間、密閉状態で照射し、キチンナノファイバーの凝集がなく分散された溶液を作製した。
分散溶液を室温にて2昼夜放置後も、キチンナノファイバーの凝集や沈殿は全くなく、水溶液中での分散安定性が高いことを確認した。また、分散溶液のゼータ電位は、濃度0.025重量%の場合、+52、4mV、濃度0.05重量%の場合、+58.8mVであった。またキチンナノファイバーの比表面積は240m/gであった。
<繊維布帛へのキチンナノファイバーの付与>
W型断面糸のポリエステル繊維84dtex/48fを常法により、28ゲージにて、スムース編地を作製した。
次いで、80℃で精練した後、190℃でプレセットを行い、下記に示す条件にて染色を行った。
<染色条件>
分散染料:C.I.ディスパースブルー167 0.2%omf
分散剤 :ニッカサンソルトRM−340 0.5g/リットル
酢酸 :0.5g/リットル
酢酸ナトリウム:1g/リットル
浴比 :1:20
染色温度、時間:130℃、30分
染色後は、80℃にて湯洗及び水洗の順序で2回繰り返した後、脱水を行った。
染色布帛表面のゼータ電位は、−45.4mVであった。
次に、上記で作製した、キチンナノファイバー濃度0.025重量%、0.05重量%pH4の分散溶液に、別々に染色布帛を浸漬(浴比1:10)し、50℃で30分間処理し、処理後は脱水し、目付が120g/mになるように調整し、130℃の熱処理にて仕上げた。
得られた染色布帛の繊維表面上の付着しているキチンナノファイバー、抗菌性能、風合、吸水性の評価結果を以下の表1に示す。表1の結果から実施例1、2で得られた布帛は、抗菌性能、吸水性能に優れ、しなやかな風合を有し、商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
[比較例1]
実施例1にて得られた染色布帛を下記に示す条件にて樹脂バインダー併用のもとにキトサンをPad法にて付与し、150℃熱処理にて、実施例1と同等の目付となるように仕上げた。
<仕上剤処方>
キトサン:ダイキトサンW−10(大日精化社製) 6重量部
アクリルバインダー:ライトエポックBX−71(共栄社製)3重量部
得られた染色布帛の抗菌性能、風合、吸水性能の評価結果を以下の表1に示す。
以下の表1の結果から、本発明の実施例1、2で得られた染色布帛は、比較例1で得られた布帛に比べ、抗菌性能、吸水性能に優れ、風合にも優れ商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
Figure 0006577332
[実施例3、4]
三角断面のナイロン6繊維88dtex/60fを常法により、28ゲージにて、スムース編地を作製した。
次いで、80℃で精練した後、180℃でプレセットを行い、下記に示す条件にて染色を行った。
<染色条件>
酸性染料:C.I.アシッドレッド249 0.05%omf
均染剤 :ミグレガールN−48B 0.5g/リットル
酢酸 :0.1g/リットル
浴比 :1:30
染色温度、時間:100℃、30分
染色後は、80℃にて湯洗及び水洗の順序で2回繰り返した後、脱水を行った。
染色布帛表面のゼータ電位は、−40.2mVであった。
<繊維布帛へのキチンナノファイバーの付与>
実施例1で作製した、キチンナノファイバー濃度0.025重量%、0.05重量%のpH4の分散溶液に、別々に染色布帛を浸漬(浴比1:10)し、40℃で30分間処理した。処理後は脱水し、目付が130g/mになるように調整し、130℃の熱処理にて仕上げた。
得られた染色布帛の繊維表面上に付着しているキチンナノファイバー、抗菌性能、風合、吸水性の評価結果を以下の表2に示す。表2の結果から実施例3、4で得られた布帛は、抗菌性能、吸水性能に優れ、しなやかな風合を有し、商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
[比較例2]
実施例2にて得られた染色布帛を下記に示す条件にて樹脂バインダー併用のもとにキトサンをPad法にて付与し、140℃熱処理にて、実施例2と同等の目付となるように仕上げた。
<仕上剤処方>
キトサン:ダイキトサンW−10(大日精化社製) 6重量部
シリコーンバインダー:パインテックスS−200L(大和化学製)3重量部
得られた染色布帛の抗菌性能、風合、吸水性能の評価結果を以下の表2に示す。
表2の結果から、本発明の実施例3、4で得られた染色布帛は、比較例2で得られた布帛に比べ、抗菌性能、吸水性能に優れ、風合にも優れ商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
Figure 0006577332
本発明のキチンナノファイバーを繊維表面に付与した合成繊維布帛は、抗菌性能、吸水拡散性能に優れ、肌触りのよいしなやかな風合を有し着用感に優れる抗菌性布帛であるため、インナー分野、スポーツ衣料分野、介護衣料分野で好適に利用可能である。

Claims (2)

  1. 合成繊維の繊維表面に、幅20〜80nm、長さ150〜600nmのキチンナノファイバーが、該繊維の表面積1μmあたり25本以上で直接付着していることを特徴とする抗菌性繊維布帛。
  2. pH3.5〜5.0に調整した酸性溶液にキチンナノファイバーを分散させた溶液中に合成繊維を、25〜80℃の温度で15分〜45分間、浸漬させ、該キチンナノファイバーを該合成繊維に付着させる工程を含む、請求項1に記載の抗菌性繊維布帛の製造方法。
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