JP2015189933A - 熱線遮蔽樹脂シート材および自動車、建造物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複合タングステン酸化物微粒子と、選択波長吸収材料と、熱可塑性樹脂とを含有する熱線遮蔽樹脂シート材であって、前記選択波長吸収材料は、波長550nmの光の透過率が90%以上であり、かつ波長460nmの光の透過率が90%以上であるときの波長420nmの光の透過率が40%以下の透過プロファイルを有する熱線遮蔽樹脂シート材を提供する。
【選択図】なし
Description
その為、近年では、各種建造物や車両の窓材などとして、可視光線を十分に取り入れながら熱線を遮蔽して、明るさを維持しつつ同時に室内等の温度上昇を抑制する熱線遮蔽材が検討され、そのための各種手段が提案されている。
熱線遮蔽の手段として、上述の透明基材上に熱線反射フィルムや熱線遮蔽樹脂シート材を施す方法以外にも、例えば特許文献2や特許文献3には、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透明な樹脂に、熱線反射粒子として酸化チタンで被覆したマイカを練り込んで形成した熱線遮蔽板が提案されている。
また、特許文献2、3に記載された熱線遮蔽板は、熱線遮蔽性能を高めるために熱線反射粒子を多量に添加する必要があるが、この熱線反射粒子の添加量を増大すると可視光線透過性が低下してしまうという問題があった。逆に、熱線反射粒子の添加量を少なくすると、可視光線透過性は高まるものの熱線遮蔽性が低下するため、熱線遮蔽性と可視光線透過性を同時に満足させることは困難であった。更に、熱線反射粒子を多量に配合すると、基材である透明樹脂の物性、殊に耐衝撃性や靭性が低下するという強度面の欠点も有していた。
本発明者らは、JIS R 3106に記載されている可視光透過率算出に使用される重価係数の波長分布に着目した。具体的には、可視光透過率算出に使用される重価係数の波長分布と、短波長領域における日射エネルギーとを詳細に研究した。そして、可視光線の短波長領域を適宜に遮蔽することで、可視光透過率を高く維持しつつ日射透過率のみを低下させることが可能であるとの知見を得た。
当該知見より本発明者らは、強力な近赤外吸収能力を有する複合タングステン酸化物に加え、当該複合タングステン酸化物が十分な吸収能力を持たない領域の光を、効率よく吸収できる選択波長吸収材料を併存させることで、上記目的を達成出来ることに想到した。
とりわけ選択波長吸収材料が、インドール化合物および/またはベンゾトリアゾール化合物であり、さらに好ましくは、特定の化学式を有するインドール化合物、ベンゾトリアゾール化合物および/またはベンゾトリアゾール誘導体化合物である場合には、熱線遮蔽特性を著しく向上出来ることを同時に知見した。
加えて、選択波長吸収材料がベンゾトリアゾール化合物であり、さらに好ましくは特定の化学式を有するベンゾトリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール誘導体化合物である場合には、熱線遮蔽樹脂シート材を長期間使用した場合の色調変化や可視光透過率の変動が少なく、耐候性が非常に良好であることも同時に知見した。
一般式MyWOZ(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示され、かつ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、選択波長吸収材料と、熱可塑性樹脂とを含有する熱線遮蔽樹脂シート材であって、
前記選択波長吸収材料は、波長550nmの光の透過率が90%以上であり、かつ波長460nmの光の透過率が90%以上であるときの波長420nmの光の透過率が40%以下の透過プロファイルを有することを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第2の発明は、
前記選択波長吸収材料が、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、インドール化合物、アゾメチン化合物、ベンゾトリアゾリル化合物、ベンゾイル化合物から選択される1種以上であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第3の発明は、
前記選択波長吸収材料が、〔化学式1〕で示されるベンゾトリアゾール化合物であって、
前記〔化学式1〕で示されるベンゾトリアゾール化合物におけるR1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が各々1〜8のアルキルカルボニルオキシアルキル基、アルキル基の炭素数の合計が2〜10のアルキルオキシカルボニルアルキル基、アリール基、アシル基、スルホ基、シアノ基、〔化学式2〕で示される基、〔化学式3〕で示される基、〔化学式4〕で示される基、〔化学式5〕で示される基から選択されるものであり、
前記〔化学式2〕〜〔化学式5〕で示される基におけるR2は、炭素数1〜8のアルキレン基であり、
前記〔化学式2〕〜〔化学式5〕で示される基におけるR3は、水素原子またはメチル基であり、
前記〔化学式4〕で示される基におけるR4は、炭素数1〜8のアルキレン基であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
〔化学式1〕
〔化学式2〕
〔化学式3〕
〔化学式4〕
〔化学式5〕
第4の発明は、
前記選択波長吸収材料が、〔化学式6〕〜〔化学式10〕のいずれかで示されるベンゾトリアゾール化合物から選択される1種以上であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
〔化学式6〕
〔化学式7〕
〔化学式8〕
〔化学式9〕
〔化学式10〕
第5の発明は、
前記選択波長吸収材料が、〔化学式11〕で示されるインドール化合物であり、
前記〔化学式11〕で示されるインドール化合物中におけるRは、炭素数が1〜10のアルキル基または炭素数が7〜10のアラルキル基であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
〔化学式11〕
第6の発明は、
前記選択波長吸収材料が〔化学式12〕で示されるインドール化合物であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
〔化学式12〕
第7の発明は、
前記熱線遮蔽樹脂シート材中における前記選択波長吸収材料の含有量が、0.01質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第8の発明は、
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体という樹脂群から選択される1種の樹脂、
または、前記樹脂群から選択される2種以上の樹脂の混合物、
または、前記樹脂群から選択される2種以上の樹脂の共重合体、
のいずれかであることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第9の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3から選択される少なくとも1種であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第10の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、分散粒子径40nm以下の微粒子であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第11の発明は、
前記熱線遮蔽樹脂シート材が、さらに紫外線吸収剤を含有することを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第12の発明は、
前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物から選択される1種以上であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第13の発明は、
前記熱線遮蔽樹脂シート材中における前記紫外線吸収剤の含有率が、0.02質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第14の発明は、
前記熱線遮蔽樹脂シート材が、さらに赤外線吸収性有機化合物を含むことを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第15の発明は、
前記赤外線吸収性有機化合物が、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、イモニウム化合物、ジイモニウム化合物、ポリメチン化合物、ジフェニルメタン化合物、トリフェニルメタン化合物、キノン化合物、アゾ化合物、ペンタジエン化合物、アゾメチン化合物、スクアリリウム化合物、有機金属錯体、シアニン化合物から選択される1種以上であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第16の発明は、
前記赤外線吸収性有機化合物が、フタロシアニン化合物、ジイモニウム化合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第17の発明は、
前記熱線遮蔽樹脂シート材中における前記赤外線吸収性有機化合物の含有量が、0.02質量%以上0.2質量%以下であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第18の発明は、
JIS K 7373で算出される黄色度(YI)が−20.0以上10.0以下であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第19の発明は、
JIS K 7373で算出される黄色度(YI)が−20.0以上5.0以下であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第20の発明は、
JIS R 3106で算出される可視光透過率が70%以上であり、且つ、日射透過率が32.5%以下であることを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材である。
第21の発明は、
本発明のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材が、窓材として搭載されていることを特徴とする自動車である。
第22の発明は、
本発明のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材が、窓材として使用されていることを特徴とする建造物である。
本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材は、熱可塑性樹脂中に、熱線遮蔽成分(複合タングステン酸化物微粒子)、選択波長吸収材料が含有され、さらに、分散剤、紫外線吸収剤、所望によりその他の添加物が含有されたものである。
上述したように、本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材は、熱可塑性樹脂中に、熱線遮蔽成分(複合タングステン酸化物微粒子)、選択波長吸収材料が含有され、さらに、分散剤、紫外線吸収剤、所望によりその他の添加物が含有されたものである。そこで、(1)熱線遮蔽成分(複合タングステン酸化物微粒子)、(2)分散剤、(3)選択波長吸収材料、(4)紫外線吸収剤、(5)熱可塑性樹脂、(6)赤外線吸収性有機化合物、(7)その他の添加物、の順で詳細に説明する。
複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MyWOZ(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で表記され、かつ六方晶の結晶構造を有しているものが好ましい。
この理由は、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径が小さければ、幾何学散乱またはミー散乱による波長400nm〜780nmの可視光線領域における光の散乱が低減されるからである。当該波長の光の散乱が低減することで、強い光が照射されたときに熱線遮蔽樹脂シート材が曇りガラスのような外観となって、鮮明な透明性が失われるという事態を回避できる。
これは、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径が40nm以下になると、上述した幾何学散乱またはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる為である。レイリー散乱領域では、散乱光が粒子径の6乗に反比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上する。さらに、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径が25nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。
本発明に係る分散剤は、上述した本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を、後述する熱可塑性樹脂へ均一に分散させる為に用いられる。
本発明に係る分散剤は、示差熱・熱重量同時測定装置(以下、TG−DTAと記載する場合がある。)を用いて測定される熱分解温度が250℃以上あって、ウレタン、アクリル、スチレン主鎖を有する分散剤であることが好ましい。ここで、熱分解温度とはTG−DTAを用いJIS K 7120に準拠した測定において、当該分散剤の熱分解による重量減少が始まる温度である。
熱分解温度が250℃以上であれば、熱可塑性樹脂との混練時に当該分散剤が分解することが少ないからである。これによって、分散剤の分解に起因した熱線遮蔽樹脂シート材の褐色着色、可視光透過率の低下、本来の光学特性が得られない事態を回避出来る。
本発明に係る選択波長吸収材料は、一定の波長領域における光のみを選択的に、強く吸収する材料である。
上述したように、本発明者らは、JIS R 3106に記載されている可視光透過率算出に使用される重価係数の波長分布を考慮し、さらにJIS Z 8701およびJIS K 7373に記載されているプラスチックのYI算出方法を検討した。そして、当該検討の結果、上述した複合タングステン酸化物微粒子だけでは十分に遮蔽しきれない波長420nm付近の光を強く吸収し、かつ可視光透過率算出に大きく寄与する波長領域である波長550nm付近に吸収を持たず、かつYIに大きな影響を及ぼす波長460nm付近の光の吸収を持たない選択波長吸収材料を、複合タングステン酸化物微粒子と併存させる構成に想到した。そして、当該波長420nm付近の光を強く吸収し、波長460nm付近および波長550nm付近に吸収を持たない選択波長吸収材料を、複合タングステン酸化物微粒子と併存させる構成を用いることで、複合タングステン酸化物微粒子単独で使用する場合と比較して、熱線遮蔽樹脂シート材のYIを上昇させることなく、より低い日射透過率を得ることが出来た。
ここで、本発明者らは、上述した選択波長吸収材料が、複合タングステン酸化物微粒子等の微粒子によって散乱されて発生した可視光短波長領域の散乱光を吸収することで、当該青白く曇る現象の発生を抑制し、本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材の透明性を高める効果をも発揮出来ることに想到した。
これは、選択波長吸収材料自体として、波長550nmの光の透過率が90%以上、且つ波長460nmの光の透過率が90%以上のとき、波長420nmの光の透過率が40%以下の透過プロファイルを有するものを選択し、当該選択波長吸収材料と複合タングステン酸化物微粒子とを併用したときに、可視光透過率が低下せず、基材のYIが大きく上昇することもなく、さらに、波長420nm付近の光の吸収も十分に得られるからである。その結果、上記複合タングステン酸化物微粒子を単独で使用した場合と比較して、色調には大きな変化がなく、且つ日射透過率が低くなることで、遮熱特性が向上するからである。
〔化学式1〕
R2は炭素数1〜8のアルキレン基であり、
R3は水素原子またはメチル基であり、
R4は炭素数1〜8のアルキレン基である。
〔化学式2〕
〔化学式3〕
〔化学式4〕
〔化学式5〕
〔化学式6〕
〔化学式7〕
〔化学式8〕
〔化学式9〕
〔化学式10〕
尤も、〔化学式11〕で示されるインドール化合物でなくても、インドール骨格を持ち、媒体や基材の吸収を除いたインドール化合物自体の波長550nmの光の透過率が90%以上、かつ波長460nmの光の透過率が90%以上のとき、波長420nmの光の透過率が40%以下であるインドール化合物であれば、本発明に係る選択波長吸収材料として好適に用いることができる。
〔化学式11〕
〔化学式12〕
これは2.0質量%以下であれば、YIに影響を与える波長の光の吸収が強くなりすぎず、熱線遮蔽樹脂シート材の色調が維持されるからである。また、2.0質量%以下であれば、熱線遮蔽樹脂シート材中で選択波長吸収材料が析出することがなく、膜の強度や接着力、耐貫通性に大きな影響を与えない。
当該観点より、本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材に対しては、例えば自動車用合わせガラスに求められる性能を規定したJIS R 3211およびJIS R 3212に基づく色の識別試験において、透視像の色が正常に識別可能であることが好ましい。
ここで、本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材のYIが−20.0以上10.0以下であると、当該透視像の色が正常に識別可能である。そして、上述した本発明に係る選択波長吸収材料の添加量の構成をとることにより、本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材のYIを−20.0以上10.0以下とすることが出来る。尚、熱線遮蔽樹脂シート材のYIが−20.0以上5.0以下であると、透視像の色がさらに容易に識別可能であるため、より好ましい。
ただし、得られる熱線遮蔽樹脂シート材の透明性を考慮すると、上述した複合タングステン酸化物微粒子と同様に、可塑剤に選択波長吸収材料を分散した状態の分散液、または、固体の分散剤中に選択波長吸収材料が分散した状態の分散体として、熱線遮蔽樹脂シート材へ添加することも可能である。
本発明に係る、熱線遮蔽樹脂シート材において、選択波長吸収材料として波長420nmの光の吸収係数が高い、例えばインドール化合物やアゾメチン化合物、特定のベンゾトリアゾール化合物やベンゾトリアゾール誘導体化合物を用いた場合は、さらに紫外線吸収剤を添加することが好ましい構成である。
紫外領域の光を十分にカットすることで、より高い温度上昇の抑止効果が得られる。また、本発明にかかる熱線遮蔽樹脂シート材が搭載された自動車車内や建造物内部の人間や内装などに対する紫外線の影響、日焼けや家具、内装の劣化などを十分に防止することができる。
この結果、本発明にかかる熱線遮蔽樹脂シート材が、実際に自動車や建造物の窓材として長期にわたり使用された場合であっても、本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材へさらに紫外線吸収剤を添加しておくことで、太陽光等に起因する選択波長吸収材料の光劣化を抑制することができる。
当該紫外線吸収剤の好ましい具体例として〔化学式15〕、〔化学式16〕が挙げられる。
〔化学式15〕
〔化学式16〕
本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材に用いる熱可塑性樹脂は、任意の樹脂を用いることができる。尤も、本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材が各種の窓材に用いられることを考えれば、十分な透明性を持った樹脂であることが望ましい。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、という樹脂群から選択される1種の樹脂、または当該樹脂群から選択される2種以上の樹脂の混合物、または当該樹脂群から選択される2種以上の樹脂の共重合体から、好ましい樹脂の選択を行うことが出来る。
なかでも透明性が高く、かつ窓材として要求される一般的な特性、すなわち剛性、軽量性、長期耐久性、コストなどの面を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂であることが好ましく、ポリカーボネート樹脂であることがさらに好ましい。
また、好ましい2価フェノールとして、ビス(4−ヒドロキシフェニル)のアルカン系があり、特にビスフェノールAを主成分とするものが好ましい。
本発明においては、所望により近赤外域に強い吸収を持つ赤外線吸収性有機化合物を、熱線遮蔽樹脂シート材へさらに添加しても良い。
当該赤外線吸収性有機化合物は、波長650nmから1000nmの可視光長波長領域から近赤外線領域の範囲の光を強く吸収する材料がより好ましい。これは、当該光学的特性を有する赤外線吸収性有機化合物と、波長800nm以上の波長領域に強い吸収をもつ複合タングステン酸化物微粒子とを併存させた時の相乗効果が大きく、複合タングステン酸化物微粒子を単独で使用する場合と比較して、高い遮熱性能が得られるからである。
本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材へは、さらに所望により、一般的な添加物を配合することも可能である。
例えば、所望により、本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材へ任意の色調を与える為、アゾ系染料、シアニン系染料、キノリン系、ペリレン系染料、カーボンブラック等、一般的に熱可塑性樹脂の着色に利用されている染料化合物、顔料化合物を添加しても良い。特に本発明においては、可視光の短波長側の光を吸収しているため、熱線遮蔽樹脂シート材の透過光色がわずかに黄色味を帯びる。そのため、必要に応じて染料、顔料等の化合物を添加して熱線遮蔽樹脂シート材の色調を調整することが好ましい。
本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材の製造方法について、(1)熱線遮蔽機能を有する微粒子の製造方法、(2)熱線遮蔽機能を有する分散体の製造方法、(3)熱線遮蔽樹脂シート材の製造方法、の順で詳細に説明する。
一般式MyWOZで表記される複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を、不活性ガス雰囲気中または還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
まず、タングステン化合物出発原料について説明する。
タングステン化合物出発原料としては、三酸化タングステン粉末、二酸化タングステン粉末、酸化タングステンの水和物粉末、六塩化タングステン粉末、タングステン酸アンモニウム粉末、六塩化タングステン粉末をアルコール中に溶解させた後乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、六塩化タングステンをアルコール中に溶解させたのち水を添加して沈殿させこれを乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、タングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、および、金属タングステン粉末、から選ばれたいずれか1種類以上のものと、元素Mを元素単体または化合物の形態で含有するものとを、好ましい例として挙げることが出来る。
まず、不活性ガス雰囲気中において熱処理する場合、温度条件としては400℃以上1200℃以下が好ましい。400℃以上1200℃以下で熱処理された出発原料は、十分な近赤外線吸収力を有し熱線遮蔽微粒子として効率が良い。不活性ガスとしてはAr、N2等の不活性ガスを用いることがよい。
複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤と、所望により溶剤と、を混合し、一般的な分散方法を用いて複合タングステン酸化物微粒子の分散液を得ることができる。具体的には、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの分散方法を用いることが出来る。
尚、所望により溶剤を加える場合は、120℃以下の沸点を有する有機溶剤の添加が好ましい。沸点が120℃以下であれば、後工程である乾燥工程、特に減圧乾燥で、当該溶剤を除去することが容易である。具体的には、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、エタノールが挙げられるが、沸点が120℃以下で、且つ複合タングステン酸化物微粒子を均一に分散可能なものであれば、任意に選択できる。
当該得られた熱線遮蔽分散体と、選択波長吸収材料と、熱可塑性樹脂とを混練した後、当該混練物を、押出成形法、射出成形法等の公知の方法により、例えば、平面状や曲面状のシート材に成形することにより、熱線遮蔽樹脂シート材を製造することができる。
また、熱可塑性樹脂へ、複合タングステン酸化物微粒子分散体と選択波長吸収材料とを均一に分散した混合物を造粒装置により一旦ペレット化した後、当該ペレットへ、押出成形法、射出成形法等の公知の方法を行なうことにより、熱線遮蔽樹脂シート材を作製することもできる。
本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材は、それ自体を熱線遮蔽透明基材として使用することが出来る。一方、本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材をフィルム状または板状として、ガラス等の透明基材と合わせて使用することも出来る。
本発明に係る熱線遮蔽樹脂シート材の遮熱特性は、可視光透過率に対する日射透過率で示される。可視光透過率に対して日射透過率が低いほど遮熱特性に優れた熱線遮蔽樹脂シート材となる。具体的には、可視光透過率が70%のときに日射透過率が32.5%以下であることが好ましく、31%以下であるとより好ましい。
また、各実施例における選択波長吸収材料の波長420nm、波長460nmならび波長550nmの光の透過率は、選択波長吸収材料を適切な濃度で有機溶媒に溶解させた液を光路長1cmの石英ガラスセルに入れ、日立製作所(株)製の分光光度計U−4000を用いて測定した。ベースラインは溶解に用いた有機溶媒のみを同一のセルに入れた状態で引いた。選択波長吸収材料を溶解させる有機溶媒としてはトルエン、メチルイソブチルケトン、N−メチル−2−ピロリジノンから、選択波長吸収材料の溶媒溶解性に合わせて任意に選択した一種類を用いた。
熱線遮蔽樹脂シート材の可視光透過率ならびに日射透過率は、分光光度計U−4000を用いて測定した波長300〜2100nmの光の透過率から、JIS R 3106に基づいて算出した。尚、当該日射透過率は、熱線遮蔽樹脂シート材の熱線遮蔽性能を示す指標である。可視光透過率がほぼ一定のときの日射透過率がより低ければ、熱線遮蔽性能がより高いと言える。今回は可視光透過率を70.0〜70.5%の範囲に統一し、このときの日射透過率の高低をもって熱線遮蔽性能の優劣の判断基準とした。
一方、熱線遮蔽樹脂シート材のYIは、分光光度計U−4000を用いて測定された波長380〜780nmの光の透過率から、JIS Z 8701およびJIS K 7373に基づいて算出した。
複合タングステン酸化物微粒子Cs0.33WO3(以下、微粒子aと記載する。)を20質量%、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系分散剤(アミン価48mgKOH/g、分解温度250℃)のアクリル系分散剤(以下、分散剤aと記載する。)10質量%、トルエン70質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、複合タングステン酸化物微粒子の分散液(以下、微粒子分散液Aと略称する。)を得た。
ここで、微粒子分散液A内における複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を、日機装製マイクロトラック粒度分布計で測定したところ24nmであった。
上記分散液Aへ、さらに分散剤aを添加し、分散剤aと複合タングステン酸化物微粒子の重量比が[分散剤a/複合タングステン酸化物微粒子]=3となるように調製した。次に、この複合タングステン酸化物微粒子分散液Aからスプレードライヤーを用いてトルエンを除去し、複合タングステン酸化物微粒子分散粉を得た(以下、分散粉Aと略称する。)。
〔化学式6〕
得られた実施例1に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性は、可視光透過率70.1%のときの日射透過率は29.5%、YIは4.7であった。この結果を表2に示した。
実施例1で説明した、選択波長吸収材料の種類および熱線遮蔽膜の製造用組成物中における前記選択波長吸収材料の含有率を表1のように変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜16に係る熱線遮蔽樹脂シート材を得た。そして当該実施例2〜16に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性を実施例1と同様に測定した。実施例2〜16に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性測定結果を表2に示した。
〔化学式6〕
実施例4〜6においては、〔化学式7〕で示されるベンゾトリアゾール化合物(波長550nmの光の透過率を99%、波長460nmの光の透過率を90%としたときの420nmの透過率は0%)を用いた。
〔化学式7〕
実施例7〜9においては、〔化学式8〕で示されるベンゾトリアゾール化合物(波長550nmの光の透過率を99%、波長460nmの光の透過率を90%としたときの420nmの透過率は0%)を用いた。
〔化学式8〕
実施例10においては、〔化学式9〕で示されるベンゾトリアゾール化合物(波長550nmの光の透過率を99%、波長460nmの光の透過率を90%としたときの420nmの透過率は0%)を用いた。
〔化学式9〕
実施例11においては、〔化学式10〕で示されるベンゾトリアゾール化合物(波長550nmの光の透過率を99%、波長460nmの光の透過率を90%としたときの420nmの透過率は0%)を用いた。
〔化学式10〕
実施例12〜14においては、〔化学式12〕で示されるインドール化合物であるオリヱント化学工業製BONASORB UA−3911(CAS No.142676−93−5。波長550nmの光の透過率を99%、波長460nmの光の透過率を90%としたときの420nmの透過率は0%)を用いた。
〔化学式12〕
実施例15においては、〔化学式13〕で示されるアゾメチン化合物であるオリヱント化学工業製BONASORB UA−3701(CAS No.55567−59−4。波長550nmの光の透過率を98%、波長460nmの光の透過率を90%としたときの420nmの透過率は0%)を用いた。
〔化学式13〕
実施例16においては、〔化学式14〕で示されるベンゾフェノン化合物である大和化成製DAINSORB P−6(CAS No.131−55−4。波長550nmの光の透過率を97%、波長460nmの光の透過率を92%としたときの420nmの透過率は25%)を用いた。
〔化学式14〕
熱線遮蔽膜の製造用組成物へさらに紫外線吸収剤として〔化学式15〕で示されるベンゾトリアゾール化合物を、熱線遮蔽膜の製造用組成物中における紫外線吸収剤の含有率が0.3質量%となるよう添加した以外は実施例1と同様にして実施例17に係る熱線遮蔽樹脂シート材を得た。そして当該実施例17に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性を実施例1と同様に測定した。実施例17に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性測定結果を表2に示した。
選択波長吸収材料の種類および熱線遮蔽膜の製造用組成物中における前記選択波長吸収材料の含有率、紫外線吸収剤の種類および熱線遮蔽膜の製造用組成物中における紫外線吸収剤の含有率を表1のように変えた以外は実施例17と同様にして、実施例18、19に係る熱線遮蔽樹脂シート材を得た。そして当該実施例18、19に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性を実施例1と同様に測定した。実施例18、19に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性測定結果を表2に示した。
〔化学式6〕
〔化学式16〕
実施例19においては、選択波長吸収材料として〔化学式12〕で示されるインドール化合物を用い、紫外線吸収剤として〔化学式15〕で示されるベンゾトリアゾール化合物を用いた。
〔化学式12〕
〔化学式15〕
熱線遮蔽膜の製造用組成物へさらに赤外線吸収性有機化合物としてジイモニウム系化合物である日本カーリット製CIR−RL(以下、CIR−RLと記載することがある)を、熱線遮蔽膜の製造用組成物中における赤外線吸収性有機化合物の含有率が0.05質量%となるよう添加した以外は、実施例1と同様にして実施例21に係る熱線遮蔽樹脂シート材を得た。そして当該実施例21に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性を実施例1と同様に測定した。実施例17に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性測定結果を表2に示した。
選択波長吸収材料を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る熱線遮蔽樹脂シート材を得た。そして当該比較例1に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性を実施例1と同様に測定した。比較例1に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性測定結果を表2に示した。
熱線遮蔽膜の製造用組成物中での選択波長吸収材料の含有率を0.005質量%とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る熱線遮蔽樹脂シート材を得た。そして当該比較例2に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性を実施例1と同様に測定した。比較例2に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性測定結果を表2に示した。
選択波長吸収材料として〔化学式17〕で示されるキノフタロン化合物(C.I.ソルベントイエロー33、CAS No.8003−22−3。波長550nmの光の透過率を99%、波長460nmの光の透過率を90%としたときの420nmの透過率は55%)を用い、熱線遮蔽膜の製造用組成物中での選択波長吸収材料の含有率を0.01質量%とした以外は実施例1と同様にして、比較例3に係る熱線遮蔽樹脂シート材を得た。そして当該比較例3に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性を実施例1と同様に測定した。比較例3に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性測定結果を表2に示した。
〔化学式17〕
複合タングステン酸化物微粒子Rb0.33WO3(以下、微粒子bと記載する。)を20質量%、分散剤a10質量%、トルエン70質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、複合タングステン酸化物微粒子の分散液(以下、微粒子分散液Bと略称する。)を得た。
ここで、微粒子分散液B内における複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を、日機装製マイクロトラック粒度分布計で測定したところ21nmであった。
上記微粒子分散液Bへ、さらに分散剤aを添加し、分散剤aと複合タングステン酸化物微粒子の重量比が[分散剤a/複合タングステン酸化物微粒子]=3となるように調製した。次に、この複合タングステン酸化物微粒子分散液からスプレードライヤーを用いてトルエンを除去し、複合タングステン酸化物微粒子分散粉を得た(以下、分散粉Bと略称する。)。
分散粉Aに代えて分散粉Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例21に係る熱線遮蔽樹脂シート材を得た。そして当該実施例21に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性を実施例1と同様に測定した。この結果を表2に示した。
ポリカーボネート樹脂に代えて、熱可塑性樹脂を表2に示した種類に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例22、23に係る熱線遮蔽樹脂シート材を得た。そして当該実施例22、23に係る熱線遮蔽樹脂シート材の光学特性を実施例1と同様に測定した。この結果を表2に示した。なお、熱可塑性樹脂として実施例22ではアクリル樹脂(クラレ製パラペットG)を用い、二軸押出機の混練温度は270℃とした。実施例23ではポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人製TR−8550T )を用い、二軸押出機の混練温度は260℃とした。
実施例1〜23で用いた(化学式6)、(化学式7)、(化学式8)、(化学式9)、(化学式10)で示されるベンゾトリアゾール化合物、(化学式12)で示されるインドール化合物、(化学式13)で示されるアゾメチン化合物、(化学式14)で示されるベンゾフェノン化合物の波長420nmの光の透過率は40%以下であるが、比較例3で用いた(化学式17)で示されるキノフタロン化合物の波長420nmの光の透過率は40%より高い値が得られた。
実施例1〜23においては、選択波長吸収材料を、複合タングステン酸化物微粒子と適切な割合で併存させたことによって、選択波長吸収材料を併存させなかった比較例1より低い日射透過率が得られた。また熱線遮蔽樹脂シート材のYIも10を超えることはなく、選択波長吸収材料の併存による色調の変化も少なかった。なかでも、実施例17〜19においては、さらに紫外線吸収剤を併存させたことで、選択波長吸収材料のみを複合タングステン酸化物微粒子と併存させたものよりも、より低い日射透過率が得られた。また実施例20においては、当該複合タングステン酸化物微粒子や選択波長吸収材料による吸収が十分でない波長800〜1100nm程度の波長の光を吸収する赤外線吸収性有機化合物を併存させたことで、選択波長吸収材料のみを複合タングステン酸化物微粒子と併存させるものよりもより低い日射透過率が得られた。
Claims (22)
- 一般式MyWOZ(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示され、かつ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、選択波長吸収材料と、熱可塑性樹脂とを含有する熱線遮蔽樹脂シート材であって、
前記選択波長吸収材料は、波長550nmの光の透過率が90%以上であり、かつ波長460nmの光の透過率が90%以上であるときの波長420nmの光の透過率が40%以下の透過プロファイルを有することを特徴とする熱線遮蔽樹脂シート材。 - 前記選択波長吸収材料が、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、インドール化合物、アゾメチン化合物、ベンゾトリアゾリル化合物、ベンゾイル化合物から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記選択波長吸収材料が、〔化学式1〕で示されるベンゾトリアゾール化合物であって、
前記〔化学式1〕で示されるベンゾトリアゾール化合物におけるR1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が各々1〜8のアルキルカルボニルオキシアルキル基、アルキル基の炭素数の合計が2〜10のアルキルオキシカルボニルアルキル基、アリール基、アシル基、スルホ基、シアノ基、〔化学式2〕で示される基、〔化学式3〕で示される基、〔化学式4〕で示される基、〔化学式5〕で示される基から選択されるものであり、
前記〔化学式2〕〜〔化学式5〕で示される基におけるR2は、炭素数1〜8のアルキレン基であり、
前記〔化学式2〕〜〔化学式5〕で示される基におけるR3は、水素原子またはメチル基であり、
前記〔化学式4〕で示される基におけるR4は、炭素数1〜8のアルキレン基であることを特徴とする請求項1に記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
〔化学式1〕
〔化学式2〕
〔化学式3〕
〔化学式4〕
〔化学式5〕
- 前記熱線遮蔽樹脂シート材中における前記選択波長吸収材料の含有量が、0.01質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体という樹脂群から選択される1種の樹脂、
または、前記樹脂群から選択される2種以上の樹脂の混合物、
または、前記樹脂群から選択される2種以上の樹脂の共重合体、
のいずれかであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。 - 前記複合タングステン酸化物微粒子が、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子が、分散粒子径40nm以下の微粒子であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記熱線遮蔽樹脂シート材が、さらに紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物から選択される1種以上であることを特徴とする請求項11に記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記熱線遮蔽樹脂シート材中における前記紫外線吸収剤の含有率が、0.02質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする請求項11または12に記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記熱線遮蔽樹脂シート材が、さらに赤外線吸収性有機化合物を含むことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記赤外線吸収性有機化合物が、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、イモニウム化合物、ジイモニウム化合物、ポリメチン化合物、ジフェニルメタン化合物、トリフェニルメタン化合物、キノン化合物、アゾ化合物、ペンタジエン化合物、アゾメチン化合物、スクアリリウム化合物、有機金属錯体、シアニン化合物から選択される1種以上であることを特徴とする請求項14に記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記赤外線吸収性有機化合物が、フタロシアニン化合物、ジイモニウム化合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項15に記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 前記熱線遮蔽樹脂シート材中における前記赤外線吸収性有機化合物の含有量が、0.02質量%以上0.2質量%以下であることを特徴とする、請求項14から16のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- JIS K 7373で算出される黄色度(YI)が−20.0以上10.0以下であることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- JIS K 7373で算出される黄色度(YI)が−20.0以上5.0以下であることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- JIS R 3106で算出される可視光透過率が70%以上であり、且つ、日射透過率が32.5%以下であることを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材。
- 請求項1から20のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材が、窓材として搭載されていることを特徴とする自動車。
- 請求項1から20のいずれかに記載の熱線遮蔽樹脂シート材が、窓材として使用されていることを特徴とする建造物。
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