JP2015189844A - 摺動性に優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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温諮 牧野
伸浩 三輪
Nobuhiro Miwa
伸浩 三輪
高山 治幸
Haruyuki Takayama
治幸 高山
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Abstract

【課題】
柔軟性、摺動性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れ、ブリードアウトを起こさない熱可塑性樹脂組成物および該熱可塑性樹脂組成物からなる摺動部材、更には該熱可塑性樹脂組成物からなる分離パッドを提供する。
【解決手段】
ポリエステル樹脂(A)、及びアクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B1)と、メタクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B2)とを有するアクリル系ブロック共重合体(B)とを含有し、該ポリエステル樹脂(A)と該アクリル系ブロック共重合体(B)との質量比が10:100〜100:10であって、デュロメータ硬さ(Aタイプ)が50〜98であることを特徴とした熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、柔軟性、摺動性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れ、ブリードアウトを起こさない熱可塑性樹脂および該熱可塑性樹脂からなる摺動部材や該熱可塑性樹脂からなる分離パッドに関する。
熱可塑性樹脂エラストマーは柔軟性、ゴム的性質に優れているため、加硫ゴムや軟質ポリ塩化ビニルの代替として自動車部品、電子・電気部品、建築材料部材などに広く使用されている。
しかしながら従来の熱可塑性エラストマーでは、摺動性、耐摩耗性、耐傷つき性が要求されるような自動車部品、電子・電気部品、建築材料部材に使用すると表面に膠着感があり、適さない問題点を有している。そこで特許文献1には、樹脂表面にエンボス加工により凸部を形成した摺動部材が提案されているが、生産設備が甚大になる問題を有する。また特許文献2には、平均粒子径の異なる2種類の有機高分子粒子を特定量含有したポリエステルフィルムが提案されているが、摺動性が十分でなく、さらに強度特性において劣る問題がある。さらに特許文献3には、長鎖アルキル基又は長鎖不飽和基を有する滑剤、及びシリコーン化合物から選ばれる摺動剤を配合した摺動部材用樹脂組成物が、特許文献4および特許文献5には、アクリル変性オルガノポリシロキサンを配合してなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物がそれぞれ提案されているが、配合物がブリードアウトを起こして製品に悪影響を与える恐れがある。加えて特許文献6には、熱可塑性エラストマーと、少なくともシリカを含む無機充填剤を配合し混練された複合材料を成形加工して成る摺動性組成物が提案されているが、無機充填剤を多量に配合することにより複合材料の流動性が低下し、得られる摺動性組成物の強度が不足する問題がある。
特開2010−271656号公報 特開平8−34906号公報 特開2005−36158号公報 特開2000−327848号公報 特開2000−143884号公報 特開2011−52031号公報
本発明の目的は、柔軟性、摺動性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れ、ブリードアウトを起こさない熱可塑性樹脂組成物および該熱可塑性樹脂組成物からなる摺動部材、更には該熱可塑性樹脂組成物からなる分離パッドを得ることを目的とする。
すなわち、本発明は、ポリエステル樹脂(A)、アクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B1)及び、メタクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B2)とを有するアクリル系ブロック共重合体(B)とを含有し、該ポリエステル樹脂(A)と該アクリル系ブロック共重合体(B)との質量比が10:100〜100:10であって、デュロメータ硬さ(Aタイプ)が50〜98であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
そして、本発明は、該熱可塑性樹脂組成物からなる摺動部材や、該摺動部材を用いたシール材、更には、該熱可塑性樹脂組成物からなる分離パッドも包含する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、摺動性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れるとともに、ブリードアウトを起こさず、さらには成形加工時の流動性も良好であって、さらには経済性にも優れる樹脂組成物を提供することが可能となる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる摺動部材は柔軟で他の材料との密着性も良好でかつ表面のべとつき感などもないことから摺動部材として優れている。さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる分離パッドをOA機器等の給紙部分において使用すると給紙時の重送(紙を2枚以上重ねて紙送りする)や異音を抑制することが可能となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)、及びアクリル系ブロック共重合体(B)を含有する。
<ポリエステル樹脂(A)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂(A)は、グリコール成分とジカルボン酸成分とからなる。ポリエステル樹脂(A)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の効用が得られる限りにおいては限定されるものではないが、入手が容易であって、得られる熱可塑性樹脂組成物が適度な硬度特性を有する点から半芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。その中でも、より好ましい例としてポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられるが、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、上記のポリエステル樹脂以外でも、共重合体成分としてアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸のいずれかから選択されるジカルボン酸成分と、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれかから選択されるジオール成分とを反応させて得られるポリエステル樹脂であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物のポリエステル樹脂(A)として好ましく用いられる。
<アクリル系ブロック共重合体(B)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含有されるアクリル系ブロック共重合体(B)はアクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B1)とメタクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B2)とからなるブロック共重合体であることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するアクリル系ブロック共重合体(B)において、アクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B1)は、主としてアクリル酸エステル単位から構成される重合体ブロックであり、該重合体ブロックを形成させるためのアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチルなどを挙げることができ、これらのアクリル酸エステルの1種以上を使用することができる。これらのアクリル酸エステル中、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチルなどのアクリル酸アルキルエステルを用いることが本発明の熱可塑性樹脂組成物の柔軟性を向上させる観点から好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルを用いることがより好ましい。
また、上記以外に、本発明の所期の効果を喪失しない限りにおいて、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、前記メタクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、オレフィンなどの他のモノマーを共重合成分(少量成分)として用いても差し支えない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する上記アクリル系ブロック共重合体(B)において、メタクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B2)は、主としてメタクリル酸エステル単位から構成される重合体ブロックであり、該重合体ブロックを形成させるためのメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチルなどを挙げることができ、これらのメタクリル酸エステルの1種以上を使用することができる。これらのメタクリル酸エステルにおいて、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸アルキルエステルを用いることが本発明の重合体組成物の力学特性、耐熱性を向上させる観点から好ましく、メタクリル酸メチルを用いることがより好ましい。
また、上記以外に、本発明の所期の効果を喪失しない限りにおいて、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、前記アクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、オレフィンなどの他のモノマーを共重合成分(少量成分)として用いても差し支えない。
前記アクリル系ブロック共重合体(B)は、B1−B2−B1、またはB2−B1−B2のトリブロック共重合体、およびB1−B2のジブロック共重合体、さらには(B1−B2)のマルチブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。その中でも、得られる熱可塑性樹脂組成物の摺動性が良好であってべとつき感が少ないことから、B2−B1−B2のトリブロック共重合体が好ましく用いられる。
またアクリル系ブロック共重合体(B)における、メタクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B2)の含有量は25質量%〜80質量%の範囲内であることが得られる熱可塑性樹脂組成物が強度を十分に有し、他の物質と接触した際の摺接音や不快音等の発生が少なくなる点から好ましく、25質量%〜50質量%の範囲内であることがより好ましい。なおメタクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B2)の含有量は、1H−NMR(1H−核磁気共鳴)測定によって求めることができる。ここで、1H−NMR測定装置として、Bruker社製核磁気共鳴装置「Avance600」、重溶媒として重水素化クロロホルムを用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるポリエステル樹脂(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)との質量比は10:100〜100:10であることが得られる熱可塑性樹脂組成物の柔軟性と摺動性とを両立する上で重要であり、前記質量比が15:85〜80:20に調整されることがより好ましい。
<マグネシウム元素を含む化合物とケイ素元素を含む化合物とからなる無機充填剤(C)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ポリエステル樹脂(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)に加えて無機充填剤が含有されていることが好ましい。無機充填剤は、得られる熱可塑性樹脂組成物が所望の性能を満足する限りにおいては特に限定されないものの、マグネシウム元素を含む化合物とケイ素元素を含む化合物とからなる無機充填剤(C)が、化学的安定性が高く、得られる熱可塑性樹脂組成物中における分散性が良好であって、該熱可塑性樹脂組成物の強度低下が少ない点から好ましく採用される。特にマグネシウム元素を含む化合物とケイ素元素を含む化合物とからなる無機充填剤(C)として、マグネシウムとシリコンが酸素及び水酸基と結びついて得られる含水珪酸マグネシウムとよばれる層状粘度鉱物の一種を用いることが得られる熱可塑性樹脂組成物の耐久特性に優れることからより好ましく採用される。
なお、含水珪酸マグネシウムは化学構造式がMgSi10(OH)であって、主成分SiO約60%、MgO約30%と結晶水4.8%からなり、鉱物の中でもっともやわらかいものの一つ、モース硬度1の標準物質である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における、ポリエステル樹脂(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)とを合わせた質量に対するマグネシウム元素を含む化合物とケイ素元素を含む化合物とからなる無機充填剤(C)の質量比 {(A)+(B)}:(C)は、100:2〜100:300であることが、特に得られる熱可塑性樹脂組成物が柔軟性と低摩擦性とを両立するうえで好ましく、上記質量比は100:3〜100:50であることがより好ましい。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用する成分としては、上記の成分の他に、用途に応じて増量を目的として炭酸カルシウム、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等を無機充填剤として混合することができる。更には、ガラス繊維、カーボン繊維のような無機繊維あるいは合成繊維で代表される有機繊維あるいは繊維状物の混合も可能である。この他、各種のブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、発泡剤、着色剤等を含有することも可能である。
ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジtert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジtert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−5,5−ウンデカンなどのフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
酸化防止剤は、上記ポリエステル樹脂(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)及びマグネシウム元素を含む化合物とケイ素元素を含む化合物とからなる無機充填材(C)の合計質量部100質量部に対して、3質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以下である。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、JIS K6253に準拠したデュロメータ硬さ(Aタイプ)が50〜98になるように調整されることが得られる熱可塑性樹脂組成物が柔軟性や他の樹脂等の材料との密着性を有し、かつ表面のべとつき感を低減できる点から重要である。デュロメータ硬さ(Aタイプ)が70〜90であることによって、更に好適に前記目的が達成される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、通常の樹脂組成物の製造あるいはゴム組成物の製造に際して用いられる方法が採用でき、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて各成分を均一に複合化することにより製造できる。溶融混練時の温度は150℃〜300℃の中から任意に選ぶことができ、その製造方法になんら制限はない。
<摺動部材>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、摺動性、柔軟性、耐摩耗性、耐傷つき性、耐候性などに優れ、長期間使用しても前記特性が低下しにくいため、摺動部材として適している。
本発明の摺動部材は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、従来公知の方法で成形することにより、例えば熱プレス、射出成形、押出成形、カレンダー成形することにより得られる。さらに、押出成形やカレンダー成形したシートやフィルムを圧縮成形によって細部を加工する2工程による成形方法を用いてもよい。2色成形やインサート成形等の2種材料による複合射出成形、あるいは多層押出成形によって、本発明の熱可塑性樹脂組成物とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂等の硬質樹脂とを一体的に成形して摺動部材とすることもできる。
<シール材>
本発明の摺動部材は摺動性、柔軟性、耐摩耗性、耐傷つき性、耐候性以外にも、他の部材とのあるいは本発明の摺動部材同士が接触した際に異音や不快音の発生が少なく、さらには密着性にも優れるため、ガスケット、パッキン、窓枠シール、住宅窓ドアシール、住宅ドアシール、洗濯機フタのシール等のシール材としても優れており、たとえば、外気の侵入を減らすために一般住宅、ビルなどの窓枠の上部に設置する風止板等の風止材用途に用いられる。
<分離パッド>
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は摺動性、柔軟性、耐摩耗性、耐傷つき性、耐候性などに優れるため、コピー機、スキャナー、プリンター、FAX及びそれら2種以上の複合機等に代表されるOA機器等において、用紙トレイ等からOA機器内部へ用紙を給紙する部位に該給紙される用紙が一枚ずつ分離して給紙するよう設置されている分離パッド材用途に用いることができる。
<その他の用途>
他の用途としてはインストルメントパネル、シフトレバー表皮材、ドアトリム材などの自動車内装材、電子・電気部品などの建築用途などとして種々の用途に用いることができる。
本発明をより具体的かつ詳細に説明するために以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、熱可塑性樹脂組成物からなる摺動部材としての性能評価や該組成物からなる分離パッドとしての性能評価は、以下に示す方法によって行った。
測定1)比重測定
二軸押出機(口径46mm、L/D=46)を使用して、表1に示す配合に従って、各構成成分を混合し250℃で溶融混練して実施例および比較例のペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。そして、この熱可塑性樹脂組成物を射出成形機(日精樹脂工業社製FE120)によって230℃で射出成形して厚さ2mmのシートを得た。このシートを用いて、JIS K7112に準拠し、23℃の条件下で比重を測定した。
測定2)硬さ測定
測定1)と同様にして実施例および比較例のペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た上で測定1)と同様の条件で射出成形を行い、厚さ2mm、直径120mmφの円盤シートを作製した後、長方形状(厚さ2mm×50mm×100mm)に裁断して、測定2)用の測定試料を調整し、JIS K6253準拠の方法によるデュロメータ硬さ(タイプA)を測定した。
測定3)摩擦係数測定
表1に示す組成の熱可塑性樹脂組成物を用いて、測定2)と同様にして測定試料を調整し、前記測定試料に荷重200gを取り付け、引張試験機を使用しステンレス上を引張速度100mm/分で滑らせたときの摩擦係数を測定し、摩擦係数測定値を耐摩耗性、耐傷つき性の指標とした。
測定4)摺接音測定
表1に示す組成の熱可塑性樹脂組成物を用いて、測定2)と同様にして測定試料を調整し、前記測定試料に荷重1500gを取り付け、引張試験機を使用しステンレス上を引張速度100mm/秒で滑らせたときの摺接音の有無を測定した。
測定5)異音発生測定
表1に示す組成の熱可塑性樹脂組成物を用いて、寸法を厚さ2mm×10mm×10mmとした以外は測定2)と同様にして測定試料を調整し、プリンターの分離パッド設置部分に設置し、10000枚の用紙を移送させたときの異音の発生の有無を測定した。
・1枚目から異音が発生した場合:「1枚目から異音発生」と記録
・2枚目から1000枚目の間に異音が発生した場合:「1000枚目までに異音発生」と記録
・1001枚目から5000枚目の間に異音が発生した場合:「5000枚目までに異音発生」と記録
・5001枚目から10000枚目の間に異音が発生した場合:「10000枚目までに異音発生」と記録
・10000枚目まで異音が発生しない場合:「10000枚目まで異音なし」と記録
測定6)重送試験
表1に示す組成の熱可塑性樹脂組成物を用いて、測定5)と同様にして測定原料を調整し、プリンターの分離パッド設置部分に設置し、10000枚の用紙を移送させたときに重送(2枚以上の用紙が移送されること)の発生の有無を測定した。
・1枚目から重送が発生した場合:「1枚目から重送発生」と記録
・2枚目から1000枚目の間に重送が発生した場合:「1000枚目までに重送発生」と記録
・1001枚目から5000枚目の間に重送が発生した場合:「5000枚目までに重送発生」と記録
・5001枚目から10000枚目の間に重送が発生した場合:「10000枚目までに重送発生」と記録
・10000枚目まで重送が発生しない場合:「10000枚目まで重送なし」と記録
測定7)汚れ転移試験
表1に示す組成の熱可塑性樹脂組成物を用いて、測定5)と同様にして測定原料を調整し、プリンターの分離パッド設置部分に設置し、10000枚の用紙を1枚ずつ移送させたときに用紙にシート分離部材の汚れ転移の発生の有無を測定した。
・1枚目から汚れ転移が発生した場合:「1枚目から汚れ転移発生」と記録
・2枚目から1000枚目の間に汚れ転移が発生した場合:「1000枚目までに汚れ転移発生」と記録
・1001枚目から5000枚目の間に汚れ転移が発生した場合:「5000枚目までに汚れ転移発生」と記録
・5001枚目から10000枚目の間に汚れ転移が発生した場合:「10000枚目までに汚れ転移発生」と記録
・10000枚目まで汚れ転移が発生しない場合:「10000枚目まで汚れ転移なし」と記録
測定8)ブリードアウト評価
表1に示す組成の熱可塑性樹脂組成物を用いて、測定2)と同様にして測定原料を調整し、前記測定原料を紙に挟み、紙への染みの発生の有無を確認した。
実施例1〜6の熱可塑性樹脂組成物は摩擦係数がいずれも2以下と小さく、また、測定4)の摺接音測定においても摺接音が発生しなかった。加えてデュロメータ硬さが50〜98の範囲内であって適度な強度と柔軟性を両立しており、摺動部材として優れることが確認できた。
比較例1及び2の熱可塑性樹脂組成物は摩擦係数が9以上、比較例4の熱可塑性樹脂組成物は摩擦係数が4以上といずれも大きく、また、測定4)の摺接音測定においても摺接音が発生し、摺動部材としての適性に劣る結果となった。
比較例3の熱可塑性樹脂組成物は摩擦係数が0.5と小さく、測定4)の摺接音測定においても摺接音が発生しなかったものの、デュロメータ硬さが100と本発明の熱可塑性樹脂組成物の硬さの上限値よりも大きな値となって柔軟性に劣り、摺動部材としての適性に劣る結果となった。
実施例3〜5の熱可塑性樹脂組成物を分離パッドに用いて、測定5)〜測定7)を実施したところ、1000枚の用紙を移送させても、異音、重送ともに発生せず、分離パッドとして優れていることが認められた。
また、実施例1および6の熱可塑性樹脂組成物を分離パッドに用いて、測定5)〜測定7)を実施したところ、5000枚の用紙を移送させても異音、重送ともに発生せず、分離パッドとして非常に優れていることが認められた。
さらに、実施例2の熱可塑性樹脂組成物を分離パッドに用いて、測定5)〜測定7)を実施したところ、10000枚の用紙を移送させても異音、重送ともに発生せず、分離パッドとして極めて優れていることが認められた。
一方、比較例1、2、4の熱可塑性樹脂組成物を分離パッドに用いて、測定5)〜測定7)を実施したところ、測定5)において1枚目の用紙を移送させたときから異音が発生し、分離パッドとしての性能に劣ることが判明した。
さらに、比較例3の熱可塑性樹脂組成物を分離パッドに用いて、測定5)〜測定7)を実施したところ、測定6)において1枚目の用紙を移送させたときから重送が発生し、分離パッドとしての性能に劣ることが判明した。
Figure 2015189844
成分(a)
製品名:Copolyester BR203、製造会社名:イーストマン・ケミカル株式会社、シクロヘキサンジメタノール・テレフタル酸・イソフタル酸縮合体からなるポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート樹脂
成分(b)
製品名:Copolyester 6763、製造会社名:イーストマン・ケミカル株式会社 である、シクロヘキサンジメタノール・テレフタル酸・エチレングリコール縮合体からなるグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂
成分(c)
製品名:タルクFFR、製造会社名:浅田製粉株式会社、化学名:含水珪酸マグネシウム、平均粒子径=0.7μm
成分(d)
製品名:ノバデュラン5010R5、製造会社名:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 である、ブチレングリコールとテレフタル酸重縮合からなるポリブチレンテレフタレート樹脂
成分(e)
製品名:ノバペックスGS385、製造会社名:三菱化学株式会社 である、エチレングリコールとテレフタル酸重縮合からなるポリエチレンテレフタレート樹脂
成分(f)
製品名:LA2250、製造会社:株式会社クラレ である、[ポリメタクリル酸メチル]−[ポリアクリル酸n−ブチル]−[ポリメタクリル酸メチル]からなるトリブロック共重合体であり、ポリメタクリル酸メチルの含有量が30質量%、トリブロック共重合体全体の重量平均分子量が61000であるアクリル系ブロック共重合体。
成分(g)
製品名:LA2330、製造会社:株式会社クラレ である、[ポリメタクリル酸メチル]−[ポリアクリル酸n−ブチル]−[ポリメタクリル酸メチル]からなるトリブロック共重合体であり、ポリメタクリル酸メチルの含有量が22質量%、トリブロック共重合体全体の重量平均分子量が130000であるアクリル系ブロック共重合体。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、摺動性、柔軟性、耐摩耗性、耐傷つき性、耐候性などに優れており、摺動部材としてガスケット、パッキン、窓枠シール、住宅窓ドアシール、住宅ドアシール、洗濯機フタのシール等のシール材等に用いられ、異音や不快音の発生が少なく、さらには密着性にも優れる特徴を有する。また本発明の熱可塑性樹脂組成物は、コピー機、スキャナー、プリンター、FAX及びそれら2種以上の複合機等に代表されるOA機器等の給紙部分の分離パッドに用いることができ、給紙時の重送や異音発生の頻度を大幅に低減化することが可能となる。

Claims (6)

  1. ポリエステル樹脂(A)、アクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B1)及び、メタクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロック(B2)とを有するアクリル系ブロック共重合体(B)とを含有し、該ポリエステル樹脂(A)と該アクリル系ブロック共重合体(B)との質量比が10:100〜100:10であって、デュロメータ硬さ(Aタイプ)が50〜98であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. ポリエステル樹脂(A)がポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂及び、ポリブチレンテレフタレート樹脂から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂からなる請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. ポリエステル樹脂(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)とをあわせた質量に対するマグネシウム元素を含む化合物とケイ素元素を含む化合物とからなる無機充填剤(C)の質量比 {(A)+(B)}:(C)で、100:2〜100:300である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる摺動部材。
  5. 請求項4に記載の摺動部材からなるシール材。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる分離パッド。
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