JP2015189645A - 二段加熱方式縦型黒鉛化炉および黒鉛の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炉を傷めることが極めて少なく、均質な黒鉛を製造することが可能となる黒鉛化炉と黒鉛の製造方法を提供する。
【解決手段】上部から投入された炭素材料を加熱して黒鉛化し、得られた黒鉛を下部から取り出す連続式の縦型黒鉛化炉であって、炉本体と、炉本体の上端に接続された通電加熱筒を備え、通電加熱筒が、炭素材料を上部から投入して充填させる筒状部材と、炭素材料を介して対向して筒状部材の内壁に設置され、通電することにより炭素材料を加熱する通電領域を形成する、少なくとも2つの電極とを具備し、炉本体が、炉本体の外周部に備えられ、炉本体の外側から炭素材料を加熱する外部熱源領域を形成する熱源と、外部熱源領域の下で炉本体の外周部に備えられ、生成された黒鉛を冷却する冷却領域を形成する冷却用ジャケットと、冷却領域の下に設けられた黒鉛を取り出す取り出し口とを具備する縦型黒鉛化炉を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、連続式の縦型黒鉛化炉に関する。
黒鉛は、潤滑性、導電性、耐熱性、耐酸耐アルカリ性に優れており、電極用ペースト、鋳物塗料剤、乾電池、鉛筆、耐火物、製綱用保温材、ゴム樹脂用、固体潤滑剤、ルツボ、パッキング、耐熱、耐熱品、導電塗料、鉛筆、電気ブラシ、グリース、粉末治金、ブレーキパッド、ライニング、クラッチ、メカニカルシール、ゴム樹脂の添加剤等、様々な用途に使用されている。近年では、黒鉛の結晶の積層構造部分にLiイオンが入り込む現象を利用してリチウムイオン電池の電極材として使用されることもある。このように、黒鉛は様々な分野で使用されており、効率的な製造方法の確立は極めて重要といえる。
人造黒鉛を製造する際には、一般に、コークス等の炭素物質からなる原料材料を粉末化させて、おおむね2200℃以上で長時間加熱しなくてはならない。こうした2200℃以上の加熱に耐えられる材料として、炭素材(黒鉛材、等方性黒鉛)を用いることが一般的であり、炉本体およびその内壁、またはその他の炉を構成する各種部材(シャフト、ヒーター、断熱材)等に使用されている。
工業的には、アチソン炉(例えば、特許文献1)を使用し、バッチ式で黒鉛化することが多いが、効率的に製造するために連続式で行うことも取り組まれている。連続式で黒鉛化を行うには、炉を横方向に設置し、黒鉛材製の炉の中で黒鉛化の原料を載せたトレーをコンベアーで横方向に移動して加熱する方法などがある。この方法は高温での作業を要するため、設備の部品材料の選択が必要であり、また、排ガスの対策や入り口と出口の熱の管理が困難な場合がある。このため、構造が複雑となり、設置や運用に手間がかかる。
近年、炉を縦におき、上部から原料を投入して内部で加熱し、下部から黒鉛を取り出す連続式の縦型黒鉛化炉が試みられている(特許文献2,3)。連続式の縦型黒鉛化炉は、炉の内部において、原料を下部から上部にかけて積み上げて加熱し、下方口から黒鉛を取り出しながら取り出した分に相当する原料を上部口から投入することによって、常に一定量の原料が炉の中に存在し、かつ、黒鉛化するものである。この方法は、加熱される部分が炉の内部のみであり、加熱に耐えるトレーやコンベアーが必要でないので、構造が比較的単純であり、かつ、移動のための設備や動力も必要がないため余分な配線も必要なく、操作も簡単である。
特開平5−78111号公報 特開平11−209114号公報 特開2002−167208号公報
しかしながら、本発明者は、特許文献2に記載される連続式黒鉛化炉では、原料の炭素材料が徐々に加熱されていくため、炭素材料の中に存在する不純物が不適切な化合物となって脱離、蒸発していく場合があることを見出した。特に、炭素材料が石油に由来する石油コークスや石油コークスのカルサイン品(カルサインコークス)である場合、不純物として含む硫黄分が1500〜2200℃において、硫化水素または硫黄として脱離する。つまり、黒鉛化炉の内壁が炭素材(黒鉛材)である場合に、脱離した硫化水素等の硫黄分が、黒鉛化炉の内壁を構成する炭素と反応して、内壁を損耗させることを見出した。さらに、内壁を透過した硫化水素等の硫黄分が、炉を構成する各種部材(断熱材、ヒーター)の炭素とも反応して劣化損耗させることを見出した。
他方、特許文献3に記載される連続式黒鉛化炉は、通電加熱によって急速に加熱することが可能である。通電加熱では原料の炭素材料自体が発熱するため、先に記述した硫化水素等の硫黄分は原料の炭素材料と反応するので、炉の内壁、ヒーターおよび断熱材等の炉体を損耗劣化させることがない。しかしながら、本発明者は、通電加熱は、原料が5〜30μmの微粉末である場合、均一に加熱するには不十分であるため、得られる製品が不均一となることを見出した。また、特許文献1には、通電加熱による焼成体の黒鉛化する方法が記載されている。この方法は、炭化物をピッチ等のバインダーで混錬し、円筒状の固体にして黒鉛化材料を製造するものである。つまり、焼成体の黒鉛化を目的とした手法であって、粉末の黒鉛化には適してはいない。
以上のことから、本発明の目的は、炉およびその内壁、各種部材(シャフト、ヒーター、断熱材)等を炭素材(黒鉛材)で構成した場合でも、これら部材の硫黄分を含むガスによる損耗および劣化が極めて少なく、また、原料である炭素材料に均一に熱を加えることができ、均質な黒鉛が得られる縦型黒鉛化炉を提供する。
本発明は、一つの態様によれば、上部から投入された炭素材料を加熱して黒鉛化し、得られた黒鉛を下部から取り出す連続式の縦型黒鉛化炉であって、
炉本体と、前記炉本体の上端に接続された通電加熱筒を備え、
前記通電加熱筒が、前記炭素材料を上部から投入して充填させる筒状部材と、
前記炭素材料を介して対向して前記筒状部材の内壁に設置され、通電することにより前記炭素材料を加熱する通電領域を形成する、少なくとも2つの電極とを具備し、
前記炉本体が、前記炉本体の外周部に備えられ、前記炉本体の外側から前記炭素材料を加熱する外部熱源領域を形成する熱源と、
前記外部熱源領域の下で前記炉本体の外周部に備えられ、生成された黒鉛を冷却する冷却領域を形成する冷却用ジャケットと、
前記冷却領域の下に設けられた前記黒鉛を取り出す取り出し口と
を具備する縦型黒鉛化炉を提供することができる。
また、本発明の別の態様によると、炉本体と、前記炉本体の上端に接続された通電加熱筒を備える、縦型黒鉛化炉の前記通電加熱筒の内部に、上部から炭素材料を投入する工程と、前記投入された炭素材料を前記通電加熱筒の筒状部材の内壁に設置された少なくとも2つの電極を通電して1700〜2300℃に加熱する通電領域を通過させる工程と、さらに、前記炉本体の外周部に設けられた熱源で、2300〜3000℃に加熱する外部熱源領域を通過させて黒鉛に変換する工程と、前記黒鉛を冷却する工程と、前記冷却された黒鉛を前記炉の下部から取り出す工程とを少なくとも含む黒鉛の製造方法を提供することができる。
本発明の縦型黒鉛化炉によれば、炉本体と、炉本体の上端に接続された通電加熱筒を備え、通電加熱筒内に少なくとも2つの電極に通電して炭素材料を加熱する通電領域を形成し、炉本体内に外側から炭素材料を加熱する外部熱源領域を形成することで、炭素材料に粉末を用いた場合でも、均一に熱を加えることができるため、均質な黒鉛を得ることが可能となる。具体的には、炉本体の上端に接続させた通電加熱筒内で炭素材料を直接通電することによって、炭素材料の温度を急速に上昇させ、炭素材料中にわずかに残存する不純物を脱離させる。このことによって、炉内に不純物由来の硫黄分を含むガスが、炉の内壁および炉を構成する各種部材、例えばシャフト、ヒーター、断熱材等の炭素材(黒鉛材)とではなく、原料の炭素材料と反応する。このため、炉本体やその内壁、各種部材(シャフト、ヒーター、断熱材)等を黒鉛材で構成した場合でも、これら部材が硫黄分を含むガスによって損耗および劣化することが極めて少なく、炉を傷めにくい。さらに、通電領域の後に外部熱源領域を設けることにより、微粉末である炭素材料中に反応の不十分な箇所が生じず、炭素材料の加熱ムラが極めて少なくなることから、所望の黒鉛を得ることができる。
また、炉本体を黒鉛材で構成した場合、炉本体の上端に接続させる通電加熱筒の筒状部材を絶縁性物質で構成することによって、炉本体に直接通電させたり、漏電させたりすることがなく、炉の損傷を極めて少なくすることが可能である。さらに、絶縁性物質は黒鉛材よりも放熱性に優れることから、電極材料に熱を溜まりにくくさせ、電極の劣化を妨げるので、電極の寿命をより長くさせる。
本発明に係る縦型黒鉛化炉を用いる黒鉛製造システムの一例である。 本発明に係る一実施態様の縦型黒鉛化炉における、通電領域での(a)長手方向の断面簡略図、(b)電極配置の概念図である。 図2の縦型黒鉛化炉における、通電領域での別の電極配置の概念図である。 本発明に係る別の一実施態様の縦型黒鉛化炉における、通電領域での(a)長手方向の断面簡略図、(b)電極配置の概念図、(c)電極配置の斜視図である。 本発明に係る別の一実施態様の縦型黒鉛化炉における、通電領域での(a)長手方向の断面簡略図、(b)電極配置の概念図である。 図5の縦型黒鉛化炉における、通電領域での別の電極配置の概念図である。 本発明に係る縦型黒鉛化炉を用いる黒鉛製造システムの別の一例である。
以下、本発明を実施するための一例である最良の形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこの形態に限定するものではない。
本発明は、一実施の形態によれば、連続式の縦型黒鉛化炉に関する。本発明の縦型黒鉛化炉は、上部から投入された炭素材料を加熱して黒鉛化し、得られた黒鉛を下部から取り出す連続式の縦型黒鉛化炉であって、炉本体と、炉本体の上端に接続された通電加熱筒を備え、通電加熱筒が、炭素材料を上部から投入して充填させる筒状部材と、炭素材料を介して対向して筒状部材の内壁に設置され、通電することにより炭素材料を加熱する通電領域を形成する、少なくとも2つの電極とを具備し、炉本体が、炉本体の外周部に備えられ、炉本体の外側から炭素材料を加熱する外部熱源領域を形成する熱源と、外部熱源領域の下で炉本体の外周部に備えられ、生成された黒鉛を冷却する冷却領域を形成する冷却用ジャケットと、冷却領域の下に設けられた黒鉛を取り出す取り出し口とを具備している。
図1に、本発明の一実施形態の縦型黒鉛化炉を用いる黒鉛製造システム1aの一例を示す。炭素材料Mは、計量フィーダー6から通電加熱筒を構成する筒状部材4aの上部に設けられたホッパー投入口7を経て、筒状部材4a内に一定量ずつ投入される。筒状部材4aは、炉本体2aの上端にキャップ状に設置されている。通電加熱筒において、筒状部材4aの内壁に少なくとも2つの電極3a−1、3a−2を、炭素材料Mを介して対向して備え、これらの電極3a−1、3a−2に通電することにより、炭素材料Mを加熱する通電領域を形成する。また、通電加熱筒の下の炉本体2aの外周部に熱源として加熱装置8を備え、炉本体2aの外側から炭素材料Mを加熱する外部熱源領域を形成する。炭素材料Mは、通電領域と外部熱源領域を通過させることにより、黒鉛Gに変換される。さらに、外部熱源領域の下の炉本体2aの外周部に冷却用ジャケット11を備え、生成された黒鉛Gを冷却する冷却領域を形成する。冷却された黒鉛Gは、冷却領域の下に設けられた取り出し口12を経て、回収部13で回収される。
炉本体を構成する材料としては、炭素材(好ましくは黒鉛、さらに好ましくは等方性黒鉛)、アルミナ等のセラミックス材、タングステンおよびタンタル等の高融点金属または合金材等が挙げられる。特に、炉本体は、耐熱性が求められることから炭素材(好ましくは黒鉛、さらに好ましくは等方性黒鉛)が好ましく、少なくとも炉本体の内壁(シャフト炉のシャフトを含む)は、好ましくは黒鉛、さらに好ましくは等方性黒鉛で構成する。
炉本体の上端には通電加熱筒が接続されており、通電加熱筒の上部から炭素材料を投入する。通電加熱筒の上部にテーバー形状のホッパーを設置してもよい。さらに、ホッパーの上に計量フィーダーを設置し、炭素材料を一定量ずつ投入してもよい。投入された炭素材料は、通電加熱筒と炉本体内で、十分に充填された状態で加熱され黒鉛に変換される。また、通電加熱筒の上部および炉本体の下部で、シールガスとして不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンまたはヘリウムなど)を流す。このガスは、通電加熱筒の上部および炉本体の下部で空気等の混入を防ぐためである。不活性ガスの流量は、例えば、通電加熱筒の上部では、5〜40L/分、好ましくは10〜30L/分である。また、炉本体の下部では、0.5〜10L/分、好ましくは1〜5L/分である。
通電加熱筒は、炭素材料を上部から投入して充填させる筒状部材と、炭素材料を介して対向して筒状部材の内壁に設置され、通電することにより炭素材料を加熱する通電領域を形成する、少なくとも2つの電極を具備する。少なくとも2つの電極に通電することによって通電領域を形成し、炭素材料を加熱する。通電によって、電極間の炭素材料において、炭素材料の持つ固有抵抗に応じたジュール熱が発生し、これにより加熱が行われる。電極への通電は、直流もしくは交流を用いて行ってよい。炭素材料が粉末の場合、一般に熱伝導率が小さく、炭素材料自体が断熱材の機能を果たすため、炭素材料から熱が逃げにくく、その結果、高温に保持することが可能である。
通電領域において、炭素材料が1700〜2300℃となるように加熱することが好ましい。1700℃より低いと、原料の炭素材料から硫黄等の不純物が脱離せず、2300℃より高いと、原料の炭素材料が粉末である場合、加熱するための電力量が多くなり、コストが高くなる。また、2300℃より高いと、温度制御が困難となり、所望の均一な黒鉛を得られない。通電による加熱は、電極間の中央部が最も高温となる。このため、筒状部材内において炭素材料を効率的に加熱し得るように電極を配置することが好ましい。通電することにより電極間に発現する炭素材料の高温部は、通電に投入する電力を調節することによって、温度および範囲を設定することが可能である。高温部は、2300℃の最高温度とすることが好ましい。具体的には、電圧を30〜3000V、電流を30〜3000Aで調節することで達成される。この範囲とすることにより、短時間、例えば5分以内、好ましくは3分以内に、高温部を所望の温度まで上昇させることが可能となる。
筒状部材は、2000〜2500℃程度の耐熱性を有する絶縁性物質で構成させることが好ましい。耐熱性の絶縁性物質としては、セラミック等が挙げられ、特に炭化ケイ素が好ましい。セラミックは、一般に、耐熱温度として2000℃位が限界であるが、この手法による加熱は電極間の中央部が最も高温に加熱される。このため、電極近傍においては放熱がある程度行われればよく、セラミックでも十分に耐熱性を有する。
筒状部材は、通電領域を形成するために、その内壁に電極を備えられる。このため、筒状部材は、電極を設置するための貫通孔を有している。貫通孔の数および大きさは、電極の数および大きさに合わせて設計されるが、好ましくは少なくとも2つの貫通孔を有する。場合によって、電極をより安定して保持するために、貫通孔の輪郭部または外周部に保持部材を備えてもよい。保持部材を用いる場合、貫通孔の大きさは、保持部材を設置するための空間も考慮して設計する必要がある。貫通孔の位置については、特に限定されないが、少なくとも2つの貫通孔を有する場合、一方の貫通孔を、筒状部材の上端から一定の距離となる位置に作製し、もう一方の貫通孔を、筒状部材の内部を上下に延び筒状部材の横断面の中心を通る中心軸を隔てて、先に作製した貫通孔と対向する位置に作製することができる。
保持部材は、耐熱性の絶縁物質で構成されることが好ましい。耐熱性の絶縁性物質としては、セラミック等が挙げられ、特に炭化ケイ素が好ましい。保持部材は、筒状部材と電極の間、若しくは貫通孔の輪郭部または外周部に配置することができ、筒状部材の貫通孔と接する電極の全ての面に対して配置してもよいが、少なくとも筒状部材の貫通孔部分と電極の底面との間に配置することが好ましい。保持部材の形状は、特に限定されないが、筒状部材の貫通孔に電極を差し込んだ際に、隙間を作らないように設計することが好ましい。保持部材は、電極を安定して保持するのに適した厚みであることが望ましい。また、保持部材の長さは、特に限定されないが、筒状部材の厚みから、電極の貫通孔へ差し込む方向の長さまでの範囲であることが好ましい。保持部材を用いることにより、電極をより安定して設置することができる。このように、筒状部材および保持部材を絶縁性物質(セラミック)とすることにより、筒状部材の貫通孔に設置する電極からの電流の漏れが少なく、また、原料である炭素材料の加熱時に発生する硫黄分を含むガスによる浸食が生じにくい。
電極は、少なくとも1対を形成するために、少なくとも1つの正極と少なくとも1つの負極を用いる。電極の材料としては、炭素材(等方性黒鉛)等が挙げられる。電極の形状は、特に限定されるものではなく、円柱状または直方体としてもよく、2つとも同じ形状であっても異なる形状であってもよい。電極の大きさは、特に限定されるものではないが、所望の高温部の範囲を得るのに適した大きさを使用することが好ましく、2つとも同じ大きさでも異なる大きさでもよいが、正極若しくは負極として作用をもたらす電極の面積が同等であることが好ましい。電極は、筒状部材の貫通孔に、筒状部材の外側から内側に差し込むようにして設置する。筒状部材内において、炭素材料をより均一に加熱させると同時に、炭素材料を一定量ずつ通過させることが可能となるように、電極の内側(筒状部材の中心軸に向く面)を、筒状部材の内壁に沿わせて、例えば内壁面の位置に合わせて、または内壁面からわずかに中心軸側に入り込んだ位置で、固定することが好ましい。
電極の配置の一つの態様としては、少なくとも1対の電極を、炭素材料を介して対向させて筒状部材の内壁に配置する。例えば、1対の各電極を、筒状部材内に充填した炭素材料を介して、筒状部材の壁面に予め電極の大きさに合わせてくり貫かれた(貫通孔)部分にはめ込むように配置する。この場合、1対の電極を結ぶ線の中心が筒状部材の内部の中心軸に合致又は並ぶように、筒状部材を設計することが好ましい。また、筒状部材の貫通孔部分に、電極を保持するための保持部材を設置してもよい。場合によって、静電気を避けるために、必要に応じてアースをとるなどの静電気対策をしてもよい。
図2(a)、(b)は、2つの直方形状の電極3a−1、3a−2を、筒状部材4a内に充填した炭素材料Mを介して、筒状部材4aの予め電極の大きさに合わせてくり貫かれた(貫通孔)部分4h−1、4h−2にはめ込む配置の例を示す。この場合、電極3a−1と3a−2を結ぶ線の中心は、筒状部材4aの内部の中心軸と合致する配置をしている。図3は、2対(4つ)の電極3a−1、3a−2、3a−3、3a−4を、筒状部材4b内に充填した炭素材料Mを介して、筒状部材4bの予め電極の大きさに合わせた貫通孔部分4h−1、4h−2、4h−3、4h−4にはめ込む配置の例を示す。1対の電極3a−1、3a−2間を結ぶ直線と、もう1対の電極3a−3、3a−4間を結ぶ直線が、筒状部材4bの内部の中心軸上で垂直に交わるように、筒状部材4bの貫通孔を設計する。なお、電極3a−1、3a−2、3a−3、3a−4は、電極3a−1、3a−3が正極の場合、電極3a−2、3a−4は負極である。また、図4(a)、(b)、(c)は、筒状部材4cの貫通孔部分4h−11、4h−12に、電極3a−1、3a−2を保持するための保持部材14を設置した配置の例を示す。
別の一態様としては、少なくとも1対の電極の一方が、筒状部材の内壁の一部又は全部に配置され、少なくとも1対の電極の他方が、筒状部材の内部の中心軸上に配置される。例えば、外部から電気を伝達させる配線を付した1つの電極を筒状部材の内部の中心軸上に配置し、筒状部材内に充填した炭素材料を介して、対極となる他の電極を、筒状部材の壁面の予め電極の大きさに合わせた貫通孔部分にはめ込むように配置する。
図5(a)、(b)は、外部から電気を伝達させる配線5を付した1つの電極3a−5を筒状部材4aの内部の中心軸上に配置し、筒状部材4a内に充填した炭素材料Mを介して、他の電極3a−1、3a−2を筒状部材4aの壁面の予め電極の大きさに合わせた貫通孔部分4h−1、4h−2にはめ込む配置を示す。この場合、電極3a−1、3a−2は、筒状部材4aの内部の中心軸上に配置される電極3a−5と対極である。また、図6は、筒状部材4bの壁面の貫通孔部分4h−1、4h−2、4h−3、4h−4に、4つの電極3a−1、3a−2、3a−3、3a−4をはめ込む配置を示す。この場合、電極3a−1、3a−2、3a−3、3a−4は、筒状部材4bの内部の中心軸上に配置される電極3a−5と対極である。
炭素材料は、通電加熱筒で加熱された後、炉本体内へ移動する。炉本体は、円筒状の形状、例えば高さ4.5m、内径20cmの円筒状の形状であってもよく、好ましくは、上方から下方に向けて加熱ゾーンと冷却ゾーンに分かれる。加熱ゾーンは、炉本体の外周部に熱源を備え、炉本体の外側から炭素材料を加熱する外部熱源領域を含み、この領域の後に、1900〜2100℃となる中間領域を含んでいてもよい。加熱ゾーンで炭素材料を黒鉛に変換した後に、得られた黒鉛を例えば30〜200℃に冷却する冷却領域を冷却ゾーンとして設ける。加熱ゾーンと冷却ゾーンの長さの割合は、好ましくは加熱ゾーンを1とすると、冷却ゾーンは0.2〜0.5である。また、通電加熱筒での通電領域と外部熱源領域の長さの割合は、好ましくは通電領域を1とすると、外部熱源領域は2〜10である。また、この2つの領域の後に、中間領域を含む場合、好ましくは通電領域の長さを1とすると、外部熱源領域は2〜10であり、中間領域は1〜5である。
外部熱源領域は、炉本体の外周部に熱源を備え、炉本体の外側から加熱することによって形成し、炭素材料を加熱する。熱源としては、炭素材(等方性黒鉛)製のヒーター等が挙げられる。これらの熱源によって、炉本体の外周部から高温に加熱して、炭素材料を加熱することが可能である。また、別の熱源としては、炉本体の外周部にコイル備え、交流電流をかけて炭素材料を誘導加熱させる。この場合、印加する交流電流は、高周波であってもよい。必要に応じて、コイルである電熱線の外部を、断熱材等によって断熱される。この領域において、炭素材料を2300〜3000℃で加熱することが好ましい。2300℃より低いと、原料の炭素材料の黒鉛化が進まず、リチウムイオン電池の電極材として容量が小さくなる。3000℃より高いと、リチウムイオン電池の電極材としての特性(初期効率)が低くなってしまう。
炉本体の加熱ゾーンは、外部熱源領域の後に、さらに、炭素材料を1900〜2100℃となる中間領域を含んでいてもよい。この領域は、特に加熱されることなく、それまでの工程での加熱による熱量を保持させる。このため、炉本体の外周部に保温材を取り付けることが好ましい。この領域を設けることにより、炭素材料が粉末の場合でも、外部熱源領域との温度勾配を緩やかにして原料の流れをスムーズにすることができ、より均質な黒鉛を得ることが可能となる。
炉本体の加熱ゾーンで炭素材料を黒鉛に変換した後に、冷却ゾーンの冷却領域で、得られた黒鉛を例えば30〜200℃に冷却する。冷却するために、炉本体の外周部に冷却ジャケットを取り付ける。
このようにして得られた黒鉛は、冷却領域の下に設けられた取り出し口を経て、回収部で回収される。回収された黒鉛の取り出し方法は区切りなく取り出してもよいし、一定の量ずつ取り出してもよい。
図7に、本発明の別の一実施態様である縦型黒鉛化炉を用いる黒鉛製造システム1bの一例を示す。炭素材料Mは、計量フィーダー6から通電加熱筒を構成する筒状部材4aの上部に設けられたホッパー投入口7を経て、筒状部材4a内に一定量ずつ投入される。筒状部材4aは、炉本体2bの上端にキャップ状に設置されている。通電加熱筒において、筒状部材4aの内壁に少なくとも2つの電極3a−1、3a−2を、炭素材料Mを介して対向して備え、これらの電極3a−1、3a−2に通電することにより、炭素材料Mを加熱する通電領域を形成する。また、通電加熱筒の下の炉本体2bの外周部に熱源として加熱装置8を備え、炉本体2bの外側から炭素材料Mを加熱する外部熱源領域を形成する。加えて、外部熱源領域の下の炉本体2bの外周部に保温材10を備え、1900〜2100℃とする。炭素材料Mは、通電領域、外部熱源領域および中間領域を通過させることで、黒鉛Gに変換される。さらに、外部熱源領域の下の炉本体2bの外周部に冷却用ジャケット11を備え、生成された黒鉛Gを冷却する冷却領域を形成する。冷却された黒鉛Gは、冷却領域の下に設けられた取り出し口12を経て、回収部13から取り出される。
本発明の縦型黒鉛化炉によれば、炉本体の上端に接続させた通電加熱筒で炭素材料を直接通電することによって、炭素材料の温度を急速に上昇させ、炭素材料中にわずかに残存する不純物を蒸発させる。このことによって、炉内に不純物由来の硫黄分を含むガスを停滞させることなく排出することができるため、炉本体やその内壁、各種部材(シャフト、ヒーター、断熱材)等を黒鉛で構成した場合でも、これら部材の硫黄分を含むガスによる劣化が極めて少なく、炉を傷めにくい。さらに、通電領域の後に外部熱源領域を設けることにより、炭素材料中に反応の不十分な箇所が生じず、炭素材料の加熱ムラが極めて少なくなることから、所望の黒鉛を得ることができる。
また、炉本体を黒鉛材で構成した場合、炉本体の上端に接続させる通電加熱筒の筒状部材を絶縁性物質で構成することによって、炉本体に直接通電させたり、漏電させたりすることがなく、炉の損傷を極めて少なくすることが可能である。さらに、絶縁性物質は黒鉛よりも放熱性に優れることから、電極材料に熱が溜まりにくいので、電極の劣化を妨げることができ、結果として電極の寿命をより長くさせる。
原料材料である炭素材料は、炭化水素を主とする物質であり、加熱すれば黒鉛化する。具体的には、石油コークス、石油コークスのカルサイン品(カルサインコークス)、石炭コークス及びピッチなどが挙げられる。好ましくは、原油の処理の際の減圧蒸留油又は残油流動接触装置(RFCC)のボトム油などから得た原料油で、特に初留点300℃以上、アスファルテン成分及びレジン成分の合計含量が25質量%以下、飽和成分の含量が40質量%以上の重油と芳香族指数fa0.3以上かつ初留点が150℃以上の重油を混合したものをディレードコーキングさせた石油コークスであり、これらは、鱗片状の黒鉛粉が得られるものである。また、この石油コークスのカルサイン品であるカルサインコークス(か焼コークス)も好ましい。このような石油コークスは、石炭コークスや他の炭素源に比べ多くの硫黄が含まれるが、均質で、結晶化に優れ、また、簡単に手に入るなどの点から、リチウムイオン蓄電池の負極材に用いる黒鉛とするのに大変好ましいものである。
減圧蒸留油は、原油を常圧蒸留装置にかけて、ガス・軽質油・常圧残油を得た後、この常圧残油を、例えば、10〜30Torrの減圧下、加熱炉出口温度320〜360℃の範囲で変化させて得られる減圧蒸留装置の蒸留油である。残油流動接触分解装置(RFCC)は、原料油として残油(常圧残油等)を使用し、触媒を使用して分解反応を選択的に行わせ、高オクタン価のFCCガソリンを得る流動床式の流動接触分解する装置である。残油流動接触分解装置のボトム油としては、例えば、常圧残油等の残油をリアクター反応温度(ROT)510〜540℃の範囲で、触媒/油質量比率を6〜8の範囲で変化させて製造したボトム油が挙げられる。ここで、残油流動接触装置(RFCC)の運転条件としては、1例を挙げれば、密度0.9293g/cm、残留炭素5.5質量%の常圧蒸留残油を反応温度530℃、全圧0.21MPa、触媒/油比6で流動接触分解し得られる。初留点は、JIS K 2254に従って、凝縮管の下端から留出油の最初の1滴が落下したときの温度計の読み(℃)である。
飽和成分、レジン成分及びアスファルテン成分の含有率は、TLC−FID法により測定できる。TLC−FID法とは、薄層クロマトグラフィー(TLC)により試料を飽和成分、アロマ成分、レジン成分及びアスファルテン成分に4分割し、その後、水素炎イオン化検出器(Flame Ionization Detector:FID)にて各成分を検出し、各成分量の全成分量に対する百分率をもって組成成分値としたものである。まず、試料0.2g±0.01gをトルエン10mlに溶解して、試料溶液を調整する。予め空焼きしたシリカゲル棒状薄層(クロマロッド)の下端(ロッドホルダーの0.5cmの位置)にマイクロシリンジを用いて1μlスポットし、ドライヤー等により乾燥させる。次に、このマイクロロッド10本を1セットとして、展開溶媒にて試料の展開を行う。展開溶媒としては、第1展開槽にヘキサン、第2展開槽にヘキサン/トルエン(体積比20:80)、第3展開槽にジクロロメタン/メタノール(体積比95:5)を使用する。飽和成分については、ヘキサンを溶媒とする第1展開槽にて溶出して展開する。アロマ成分については、第1展開の後、第2展開槽にて溶出して展開する。アスファルテン成分については、第1展開、第2展開の後、ジクロロメタン/メタノールを溶媒とする第3展開槽にて溶出して展開する。展開後のクロマロッドを測定器(例えば、ダイアヤトロン社(現三菱化学ヤトロン社)製の「イアトロスキャンMK−5」(商品名))にセットし、水素炎イオン化検出器(FID)で各成分量を測定する。各成分量を合計すると全成分量が得られる。
芳香指数faは、Knight法により求めることができる。Knight法では、炭素の分布を13C−NMR法による芳香族炭素のスペクトルとして3つの成分(A1,A2,A3)に分割する。ここで、A1は芳香族環内部炭素数、置換されている芳香族炭素と置換されていない芳香族炭素の半分(13C−NMRの約40〜60ppmのピークに相当)、A2は置換していない残りの半分の芳香族炭素(13C−NMRの約60〜80ppmのピークに相当)A3は脂肪族炭素数(13C−NMRの約130〜190ppmのピークに相当)であり、これらから、faは
fa=(A1+A2)/(A1+A2+A3)
により求められる。13C−NMR法が、ピッチ類の化学構造パラメータの最も基本的な量であるfaを定量的に求められる最良の方法であることは、文献(「ピッチのキャラクタリゼーション II. 化学構造」横野、真田、(炭素、1981(No.105)、p73〜81)に示されている。
ディレードコーキング法は、加圧条件下、ディレードコーカーによって重質油を熱処理して生コークスを得る方法である。ディレードコーカーの条件として、圧力が0.5〜0.7MPa、温度が500〜530℃の範囲が好ましい。このディレードコーカープロセスの生コークスは、水分を多量に含むため、乾燥した後、粉砕、分級に供する。
原料材料である炭素材料は、黒鉛化炉に導入される前に必要に応じて粉末化される。炭素材料の粉末の平均径は、好ましくは5〜50μmとする。5μmより小さいと、流動性が悪くなり、炉内をスムーズに流れなくなり連続処理が困難となる場合がある。50μmより大きいと、リチウムイオン電池電極材としてシートとしたとき十分な薄さが得られなくなる場合がある。平均粒径は、レーザ回折・散乱法を用いて測定できる。粉末化の方法は任意であるが、石油コークスを使用する場合、好ましくは、石油コークスを振動篩等で1mm〜5mm程度にし、その後、乾燥させる。一般的には、石油コークスは回収に揮発性の油成分と使用した際の水分とを含むので乾燥が必要であり、水分を好ましくは1質量%以下まで乾燥させるとよい。必要に応じ、好ましくは600℃程度の温度で1〜2時間加熱し、揮発性の油成分を除去させてもよい。この後、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミルなどを使用して粉末にされる。炭素材料が石油コークス、石炭コークス等であれば、このまま黒鉛化することもよいが、そのあとの処理や出来上がる黒鉛粉の性状が良くなるため、一度好ましくは900〜1500℃程度の温度でか焼することがよい。かかるか焼はローターリーキルンを用いて行うことが一般的である。
本発明の別の一実施形態によれば、上記の縦型黒鉛化炉を用いた黒鉛の製造方法である。つまり、炉本体と、前記炉本体の上端に接続された通電加熱筒を備える、縦型黒鉛化炉の前記通電加熱筒の内部に、上部から炭素材料を投入する工程と、前記投入された炭素材料を前記通電加熱筒の筒状部材の内壁に設置された少なくとも2つの電極を通電して1700〜2300℃に加熱する通電領域を通過させる工程と、さらに、前記炉本体の外周部に設けられた熱源で、2300〜3000℃に加熱する外部熱源領域を通過させて黒鉛に変換する工程と、前記黒鉛を冷却する工程と、前記冷却された黒鉛を前記炉の下部から取り出す工程とを少なくとも含む黒鉛の製造方法である。
この方法により、炭素材料に粉末を用いた場合でも、均一に熱を加えることができるため、均質な黒鉛を得ることが可能となる。
以下、実施例および比較例によって本発明を説明するが、本発明は実施例に限定するものではない。
[実施例1〜2および比較例1]
(1)炭素材料の準備
使用した原料である炭素材料は、以下のとおりである。
<生コークスA>
初留点335℃、アスファルテン+レジン分の含量が27質量%、飽和分の含量が43質量%の重油と芳香族指数0.4以上かつ初留点が168℃の重油の混合物を平均温度450℃でディレードコーキングした生コークスを、振動篩で3mm以下に篩った。その後、150〜200℃で熱風循環炉を用いて水分が1質量%以下になるまで乾燥させ、ローターミルで平均粒径12μmの粉末とした。
<か焼コークスA>(実施例1で使用)
ローターリーキルンを用いて生コークスAを約1500℃でか焼して得られたか焼コークスを振動篩等で3mm以下に篩ったのち、ローターミルで平均粒径12μmの粉末とした。
<生コークスB>
市販の生コークスを、振動篩で3mm以下に篩ったのち、150〜200℃で熱風循環炉を用いて水分が1質量%以下になるまで乾燥させ、ローターミルで平均粒径12μmの粉末とした。
<か焼コークスB>(実施例2、比較例1で使用)
ローターリーキルンを用いて生コークスBを約1500℃でか焼して得られたか焼コークスを振動篩等で3mm以下に篩ったのち、ローターミルで平均粒径12μmの粉末とした。
(2)黒鉛化
得られた炭素材料を、縦型黒鉛化炉を用いて黒鉛に変換させた。黒鉛化炉は、黒鉛製の内壁を備えた内径20cm、全長4.5mの円筒形状の炉本体を有し、炉の下部に取り出し口が設置されている。炉本体の上部から投入された炭素材料を、加熱して黒鉛に変換させた。炉本体の底部から上方1mの間に冷却ジャケットを設置して、黒鉛に変換した材料を冷却させた。冷却した黒鉛を、炉本体の取り出し口を経て、回収部で回収した。実質上の黒鉛化時間が7〜10時間となるようにした。
実施例1〜2においては、図7のように、炉本体の上端に通電加熱筒を備えた炉で行った。通電加熱筒の筒状部材は、炭化ケイ素で構成し、内径20cm、厚さ5cm、高さ0.5mとした。筒状部材の上端から20cmのところに、10cmの正方形形状の上辺が位置するように貫通孔を作製した。さらに、この貫通孔と、筒状部材の内部の中心軸を隔てて、対向するようにもう一つの貫通孔を作製した。作製した2つの貫通孔に、10cmの直方体の電極を、筒状部材の外側から内側に向けてはめ込むようにして配置した。電極に2700Aの電流、30Vの電圧を印加して、炉本体に充填した炭素材料を介して通電させ、高温部が2200〜2300℃となるように加熱した(焼成部)。次に、通電領域を通過させた炭素材料を、炉本体で処理した。まずは、筒状部材の下の炉本体の外周部に、1.1mの範囲で発熱体を設置して外部熱源領域を形成し、これによって炭素材料を2500〜2600℃に加熱した(焼成部)。次に、外部熱源領域の下の炉本体の外周部に、1.1mの範囲で保温材を設置し、上記の2つの加熱で炭素材料に与えた熱を、1900〜2100℃とした(焼鈍部もしくは第1冷却部)。
比較例1においては、実施例1で用いた通電加熱筒が設置されていない代わりに、外部熱源領域が1.1mとなる炉本体を用いた。外部熱源領域での条件は、実施例と同様にして実施した。この炉本体は、従来用いられるものと同様の使用である。
(3)黒鉛化炉の評価
使用した黒鉛化炉の内部を観察して損傷の有無を評価した。
実施例1〜2で用いた黒鉛化炉の内部を確認したところ、損傷は見られず、問題は見いだされなかった。
比較例1で用いた黒鉛化炉の内部を確認したところ、損傷が見られ、実施例の通電領域に相当する位置である炉の上部でえぐれていた。
上記結果が示すように、黒鉛製の従来の黒鉛化炉を用いて、粉末、もしくは微粉末に近い状態で石油コークス等を黒鉛に変換した結果、黒鉛化炉内の壁面(黒鉛製)がえぐれているという状況が発生していた。比較例においては、実施例で用いた黒鉛化炉と異なり、直接通電による加熱を用いないため、脱離した硫黄が炉の構成部材である炭素材(黒鉛材)と反応して、損耗が生じたと推定する。一方、実施例においては、原料の炭素材料が直接通電加熱されることにより、炉の構成部材よりも高温となるため、原料の炭素材料が硫黄分と反応し、炉の構成部材との反応を阻害することで、炉の損耗を防いだと推察する。
1a、1b:縦型黒鉛化炉を用いた黒鉛製造システム
2a、2b:炉本体
3a−1、3a−2、3a−3、3a−4、3a−5:電極
4a、4b、4c:筒状部材
4h−1、4h−2、4h−3、4h−4、4h−11、4h−12:筒状部材の貫通孔部分
5:配線
6:計量フィーダー
7:ホッパー投入口
8:加熱装置
10:保温材
11:冷却ジャケット
12:取り出し口
13:回収部
14: 保持部材
M:炭素材料
G:黒鉛

Claims (7)

  1. 上部から投入された炭素材料を加熱して黒鉛化し、得られた黒鉛を下部から取り出す連続式の縦型黒鉛化炉であって、
    炉本体と、前記炉本体の上端に接続された通電加熱筒を備え、
    前記通電加熱筒が、前記炭素材料を上部から投入して充填させる筒状部材と、
    前記炭素材料を介して対向して前記筒状部材の内壁に設置され、通電することにより前記炭素材料を加熱する通電領域を形成する、少なくとも2つの電極とを具備し、
    前記炉本体が、前記炉本体の外周部に備えられ、前記炉本体の外側から前記炭素材料を加熱する外部熱源領域を形成する熱源と、
    前記外部熱源領域の下で前記炉本体の外周部に備えられ、生成された黒鉛を冷却する冷却領域を形成する冷却用ジャケットと、
    前記冷却領域の下に設けられた前記黒鉛を取り出す取り出し口と
    を具備する縦型黒鉛化炉。
  2. 前記少なくとも2つの電極の一方が、前記筒状部材の内壁の一部又は全部に設けられ、前記少なくとも2つの電極の他方が、前記筒状部材の内部の中心軸上に設けられる請求項1に記載の縦型黒鉛化炉。
  3. 前記電極が、1700〜2300℃の前記通電領域を形成し、前記熱源が、2300〜
    3000℃の前記外部熱源領域を形成する請求項1または請求項2に記載の縦型黒鉛化炉。
  4. 前記外部熱源領域と前記冷却領域の間に、1900〜2100℃となる中間領域が形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の縦型黒鉛化炉。
  5. 前記炉本体の内壁が黒鉛で構成され、前記筒状部材が絶縁性物質で構成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の縦型黒鉛化炉。
  6. 前記絶縁性物質が、炭化ケイ素である請求項1〜5のいずれか1項に記載の縦型黒鉛化炉。
  7. 炉本体と、前記炉本体の上端に接続された通電加熱筒を備える、縦型黒鉛化炉の前記通電加熱筒の内部に、上部から炭素材料を投入する工程と、
    前記投入された炭素材料を前記通電加熱筒の筒状部材の内壁に設置された少なくとも2つの電極を通電して、1700〜2300℃に加熱する通電領域を通過させる工程と、
    さらに、前記炉本体の外周部に設けられた熱源で、2300〜3000℃に加熱する外部熱源領域を通過させて黒鉛に変換する工程と、
    前記黒鉛を冷却する工程と、
    前記冷却された黒鉛を前記炉の下部から取り出す工程と
    を少なくとも含む黒鉛の製造方法。
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