JP2015189525A - 巻取用紙管及びこれに紙を巻き取った巻取紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】長さ300mmの紙管を長手方向に10mm/minの速度で圧縮した際に応力が生じ始めてから座屈するまでの間で、ひずみ量の変化量が1.0mmの領域中で最も応力の増加量が大きい部分において、横軸をひずみ量、縦軸を応力とした際のひずみ量と応力の傾きが20kN/mm以上である巻取用紙管である。
【選択図】図1
Description
本発明に係る巻取用紙管は、紙管内層と紙管外層とから成る。紙管内層に用いる紙管原紙としては、ダンボール古紙を主体とした再生紙から成っていて、厚さが0.3〜1.0mmのものが好適である。
紙管は、一般に、紙管原紙を所定の巻き紙幅にカットしてリボンテープ状にしたものを、マンドレルと呼ばれる鉄芯に巻いて、貼り付けて製造される。巻き方は、巻き紙を軸にスパイラル(螺旋)状に巻き付けていくスパイラル巻きや、巻き紙を軸に対して直角に巻き付けていく平巻き等がある。これらのうちでは、スパイラル巻きの方が強度が強くなるため、好ましい。このようにして作製された紙管は、所定の寸法にカットされ、乾燥、シーズニングを経て完成される。
本発明においては、紙管を成形した後、シーズニングを常温(室温)にて6日間以上、好ましくは、6〜30日、更に好ましくは、12〜30日行い、紙管の水分を6.5〜8.0%に調整する。この方法で水分を調整すると、紙管の内側と外側の水分差が少なくなるため、紙管の変形や寸法の変化が生じにくくなる。一方、強制乾燥等によって急速に水分を減らすと、紙管の内側と外側で水分差が生じるため、寸法が変化してしまう。そして、このように変形した紙管や寸法変化が生じた紙管を使用すると、オフセット印刷時のシワの発生要因となることは、上述したとおりである。
本発明においては、紙管を形成した後、紙管の水分を6.5〜8.0%に調整する。水分が6.5%未満であると、乾燥に時間がかかると共に、吸湿により寸法が変化して口金部との間にズレが生じたり、機器に装着する際に緩みが生じたりし、更には、口金を装着する際、紙管が割れるトラブルが発生したりする。一方、8.0%を超えると、強度が低下して変形を防止することができなくなる。水分の測定は、JIS P8127による。
本発明においては、紙幅の最も広いA巻取りにおいて最も効果を奏する。A巻取りの紙幅は1626mmであるが、ワインダーや輪転機の巻取チャッキングの圧力等で紙管が長手方向で圧縮されるため、A巻取り用の紙幅よりもわずかに長い1628±2mmとするのが望ましい。また、ワインダーや輪転機の巻取チャッキング部で紙管両端部に回転荷重がかかるため、紙管両端部に口金を取り付けるのが望ましい。
紙管の長手方向に圧縮した際の強度測定は、図1に模式的に示すような方法で行い、長手方向の圧縮試験時のひずみ量と応力の傾きを見る。このひずみ量と応力の傾きは、長さ300mmの紙管を長手方向に10mm/minの速度で圧縮した際に、応力が生じ始めてから座屈するまでの間で、ひずみ量の変化量が1.0mmの領域中で最も応力の増加量が大きい部分において、グラフの横軸をひずみ量、縦軸を応力とした際のひずみ量と応力の傾きのことである。この値が低いと、ワインダーや印刷機におけるチャッキング圧によって紙管が変形し、印刷時に巻取の回転がスムーズにいかず、シワが発生しやすくなる。本発明においては、ひずみ量は20kN/mm以上であり、好ましくは、25kN/mm以上である。
本発明に係る新聞巻取紙の新聞用紙における原料パルプとしては、化学パルプ(NBKP、LBKP等)や機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)、脱墨古紙パルプ(DIP)を任意の割合で混合して使用することができる。環境面への配慮からすると、DIPを高配合することが望ましく、全パルプ絶乾重量あたりDIPを50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含有することとする。
本発明に係る新聞用紙は、酸性抄造される酸性紙又は中性抄造される中性紙に特に限定されるものではなく、こわさが低下しやすい中性紙の場合においてもシワの発生を抑えることができ、中性新聞用紙の場合は本発明の効果がより顕著に現れる。また、中性抄造の場合は、填料として炭酸カルシウムを高配合することが可能であり、填料として炭酸カルシウムを高配合することは、裏抜け防止等の品質の面からも好ましいと言える。
酸性抄造、中性抄造で使用する内添薬品の種類や添加量はそれぞれ異なるが、従来公知の内添サイズ剤である、アルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤等を使用することができる。また、填料としては、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン等のシリカ、炭酸カルシウム−シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、カオリンクレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホリマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等を単独で、あるいは、適宜2種類以上を組み合わせて使用することができる。
表面強度や印刷適性を高めるために、新聞用紙原紙の上に表面紙力剤や表面サイズ剤等を含有する表面処理剤を塗布することができる。表面紙力剤としては、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、カチオン化澱粉などに代表される澱粉系、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、ノニオン性ポリアクリルアミド等のポリアクリルアミド系、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース系等の水溶性高分子を挙げることができる。これらは、単独で、あるいは、2種類以上混合して用いられる。
製造方法は特に限定されるものではなく、抄紙機として、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機、円網式抄紙機、短綱式抄紙機等を適宜選択して使用し、坪量30〜50g/m2程度になるように抄紙して新聞用紙原紙とする。
以下に、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。紙管の水分、耐圧強度、座屈強度の測定方法、及び、オフセット印刷時のシワの評価方法は次のとおりであり、表1はその試験結果を示すものである。
(1)紙管の水分測定方法
水分の測定はJIS P8127に則り測定した。
(2)紙管の長手方向における圧縮試験時のひずみ量と応力の傾きの測定方法
長さ300mmの紙管を長手方向に10mm/minの速度で荷重を加え、応力が生じ始めてから座屈するまでの間で、ひずみ量の変化量が1.0mmの領域中で最も応力の増加量が大きい部分において、グラフの横軸をひずみ量、縦軸を応力とした際のひずみ量と応力の傾きを測定した(図1参照)。
(3)オフセット印刷時のシワの評価
オフセット輪転機(東京機械製)を使用し、両出し17万部/時の印刷速度で4色印刷(刷順:墨→藍→紅→黄)を行い、新聞巻取紙を1本使用する間の印刷物のシワの有無を目視で評価した。
<新聞用紙の製造>
製紙用パルプとして、新聞脱墨パルプ(ろ水度150mlCSF)、TMP(ろ水度80mlCSF)、NKP(ろ水度500mlCSF)を70:25:5重量%の配合割合で混合したパルプスラリーに、填料として炭酸カルシウムをパルプ絶乾重量当たり5.0重量%、カチオン化澱粉を0.5重量%添加して、紙料を調整した。この紙料を用いて、ギャップフォーマー型ツインワイヤー抄紙機で抄速1000m/minにて坪量43g/m2になるように新聞用紙原紙を抄造し、更に、オンマシンのゲートロールコーターで、澱粉を塗工量がフェルト面、ワイヤー面共に0.2g/m2となるように塗工し、オフセット印刷用新聞用紙を得た。
ボビンカッターで紙管原紙を108.5mm、112.0mm、113.5mm、114.5mmの4種類のmmの幅にカットし、紙管製造機(ラングストン)のマンドレルの外周面に厚さ0.7mmの紙管原紙を12層、その外周に厚さ0.5mmの紙管原紙を5層、その外周に厚さ0.8mmの紙管原紙を5層、その外周に厚さ0.25mmのライナーを1層巻き付けた(紙管原紙の巻回数:22)。紙管原紙の幅は巻き付ける過程における紙管の径に応じて、4種類の幅の中から適宜選択した。接着剤として酢酸ビニルエマルジョンを用い、ロールコータにより各紙層間に35g/m2塗布、接着し、スパイラルチューブを得た。次いで、スパイラルチューブを長さ1700mmに断裁し、乾燥温度35℃、湿度RH30%で、17時間乾燥した。シーズニングは、室温にて28日間行った。その後、長さ1629mmに断裁し、口金を装着し、所定の紙管を得た。その際の紙管の水分は7.1%であった。この紙管について、先に示した方法にて、長手方向の圧縮強度を測定した。(以下の実施例及び比較例においても同様にして測定した。)
ツードラムワインダーにより、上記のようにして得られたオフセット印刷用新聞用紙を、上記のようにして得られた紙管に速度2500m/分で巻き取って、新聞巻取紙を得た。この新聞巻取紙について、先に示した方法にてオフセット印刷を行い、印刷時のシワの発生の有無を測定した。(以下の実施例及び比較例においても同じ。)
0.25mmのライナーの代わりに0.3mmのライナーを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で新聞巻取紙を得た。紙管の水分は6.5%であった。
シーズニングを14日間行った以外は、実施例1と同様の方法で新聞巻取紙を得た。紙管の水分は7.9%であった。
マンドレルの外周面に厚さ0.8mmの紙管原紙を3層、その外周に厚さ0.6mmの紙管原紙を10層、その外周に厚さ0.5mmの紙管原紙を14層巻きつけた(紙管原紙の巻回数:27)以外は、実施例1と同様の方法で新聞巻取紙を得た。紙管の水分は7.7%であった。
スパイラルチューブを断裁した後、乾燥しなかった以外は、実施例1と同様の方法で新聞巻取紙を得た。紙管の水分は7.9%であった。
マンドレルの外周面に厚さ0.9mmの紙管原紙を10層、その外周に厚さ0.8mmの紙管原紙を6層、その外周に厚さ0.3mmの紙管原紙を2層巻きつけた以外は、実施例1と同様の方法で新聞巻取紙を得た。紙管の水分は6.6%であった。
シーズニングを5日間行った以外は、実施例1と同様の方法で新聞巻取紙を得た。紙管の水分は8.6%であった。
乾燥温度55℃、湿度RH15%で、17時間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法で新聞巻取紙を得た。紙管の水分は6.2%であった。
乾燥時間を24時間とし、シーズニングを行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で新聞巻取紙を得た。紙管の水分は6.6%であった。
表1より明らかなように、紙管の長手方向における圧縮試験時のひずみ量と応力の傾きについて、本発明の要件を充足する実施例1乃至5の場合はしわの発生が見られなかったが、それを充足しない比較例1乃至4についてはしわの発生が見られた。比較例1において上記要件を充足しなかったのは、紙管原紙の巻き回数が不足していたためと考えられ、比較例2において上記要件を充足しなかったのは、シーズニング期間が足りなかったためと考えられる。また、比較例3において上記要件を充足しなかったのは、乾燥温度が高く、乾燥湿度が低かったためと考えられる。比較例4において上記要件を充足しなかったのは、シーズニング期間を設けなかったためと考えられる。
Claims (8)
- 長さ300mmの紙管を長手方向に10mm/minの速度で圧縮した際に、応力が生じ始めてから座屈するまでの間で、ひずみ量の変化量が1.0mmの領域中で最も応力の増加量が大きい部分において、横軸をひずみ量、縦軸を応力とした際のひずみ量と応力の傾きが20kN/mm以上である、巻取用紙管。
- 前記紙管原紙の巻き回数が19回以上である、請求項1に記載の巻取用紙管。
- 紙管成形後、常温にて6〜30日間シーズニングを行うことにより、水分を6.5〜8.0%とした、巻取用紙管。
- 紙管の両端に口金が取り付けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載の巻取用紙管。
- 紙管の長さが1628mm±2mmである、請求項1乃至4のいずれかに記載の巻取用紙管。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の巻取用紙管に、紙を巻き取った巻取紙。
- 前記紙が新聞用紙である、請求項6に記載の巻取紙。
- 前記新聞用紙が中性新聞用紙である、請求項7に記載の巻取紙。
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