以下に、図面を用いて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態および実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、発明の実施の形態の説明に用いられる図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
図1―図15を用いて、本実施の形態に係る半導体装置を説明する。ここでは、半導体装置として、スイッチング方式のDC−DCコンバータについて説明する。
<<DC−DCコンバータ>>
図1は、DC−DCコンバータの構成の一例を示したブロック図である。
図1に示すDC−DCコンバータ10は、入力電圧VINを出力電圧VOUTに変換する機能を有し、制御回路(CTRL)100、電圧変換回路(VCNVC)180、及び帰還回路(FBC)190を有する。
なお、以下の説明において、入力電圧VINを電圧VIN、あるいはVINと省略する場合がある。これは、他の電圧、信号、回路、信号線等についても同様である。
VINの電源としては、バッテリーなどのDC電源が用いられる。なお、商用電源などの交流(AC)電源を用いる場合は、AC電源からの出力電圧をDC電圧に変換して、DC−DCコンバータ10に入力すればよい。
CTRL100は、VCNVC180のスイッチのオン/オフを制御するパルス信号(GS)を生成する機能を有する。
VCNVC180は、DC電圧VINをDC電圧VOUTに変換する機能を備えた回路であり、VCNVC180は、スイッチとして機能するトランジスタを有しており、このトランジスタのオン状態とオフ状態を周期的に切り替えることで、入力電圧VINを昇圧又は降圧した電圧VOUTに変換する回路である。トランジスタのオン/オフのデューティー比を変化させることで、VOUTの大きさを調節することができる。
VCNVC180から一定の電圧VOUTが出力されるように、CTRL100は、パルス信号GSのデューティー比を制御する。そのため、CTRL100には、FBC190で生成されたフィードバック信号(FB)が入力される。FBC190は、出力端子の電圧の変化を監視し、その監視結果を信号FBとして出力する。信号FBは、電圧VOUTに応じた信号である。
CTRL100は、信号FBに基づいて、パルス信号GSのデューティー比を変化させるパルス幅変調(PWM)方式により、VCNVC180の制御を行う。
<<電圧変換回路(VCNVC)、帰還回路(FBC)>>
VCNVC180としては、代表的にチョッパ回路が適用できる。図2にチョッパ回路の構成例を示す。図2Aが昇圧型の例であり、図2Bが降圧型の例である。
また、図2A、図2Bには、FBC190の回路構成例も合わせて示している。FBC190としては、例えば、分圧回路を適用することができる。図2A、図2Bには、FBC190として分圧回路191が用いられた例を示す。分圧回路191は抵抗分圧回路であり、直列接続された2つの抵抗R1及び抵抗R2を有する。ノードNrの電圧の変化が信号FBとして、分圧回路191から出力される。
<昇圧型>
図2Aに示すチョッパ回路181は、トランジスタM1、コイルL1、ダイオードD1及びコンデンサC1を有する。チョッパ回路181では、VIN<VOUTとなる。
トランジスタM1がスイッチとして機能する。ここでは、トランジスタM1はnチャネル型としている。トランジスタM1のゲートにはパルス信号GSが入力される。チョッパ回路181において、コイルL1はチョークコイルと呼ばれることがある。コンデンサC1は、ダイオードD1からの出力電圧を平滑にする平滑回路として機能する。
トランジスタM1がオンとなると、VINの入力端子とトランジスタM1間を電流が流れる。この電流により、コイルL1には電流エネルギーが磁気エネルギーとして蓄積される。トランジスタM1がオフになると、コイルL1で蓄積されていたエネルギーにより起電力が生じ、トランジスタM1のドレイン電圧はVINよりも高くなる。これにより、コイルL1からダイオードD1に電流が流れ、コンデンサC1が充電される。コンデンサC1に蓄積されている電荷に応じた電圧がVOUTとして出力される。
<降圧型>
図2Bに示すように、チョッパ回路182も、トランジスタM2、コイルL2、ダイオードD2及びコンデンサC2を有する。チョッパ回路182では、VIN>VOUTとなる。チョッパ回路182の各素子は、チョッパ回路181の素子と同様の機能を備える。
トランジスタM2がオンとなると、VINの入力端子とVOUTの出力端子間に電流が流れ、コンデンサC2が充電される。また、この電流により、コイルL2に逆起電力が生じ、コンデンサC2の電圧は電圧VINよりも低くなる。トランジスタM2がオフになると、ダイオードD2、コイルL2、コンデンサC2により閉回路が形成されるため、コンデンサC2に蓄積されている電荷に応じた電圧がVOUTとして出力される。
ここでは、DC−DCコンバータ10は、デジタル制御方式のコンバータとする。CTRL100では、信号FBをデジタル信号に変換し、このデジタル信号を論理演算の結果から、信号GSのパルス幅を設定する。以下、図面を参照して、CTRL100のより具体的な構成について説明する。
<<CTRL100>>
図3は、DC−DCコンバータ10の構成の一例を示すブロック図である。図3には、VCNVC180およびFBC190として、それぞれ、図2Aに示すチョッパ回路181および分圧回路191を適用した例が示されている。
図3に示すように、CTRL100は、ロジック部110、ヒステリシス・コンパレータ120、コンパレータ130及びデジタル−アナログ変換回路(DAC)140を有する。
ヒステリシス・コンパレータ120は、信号FBの電圧をデジタル信号に変換した信号compを生成するアナログ−デジタル変換回路として機能する。具体的には、ヒステリシス・コンパレータ120は、基準電圧VREFHおよびVREFLと、信号FBの電圧を比較し、比較結果を”H”(ハイレベル)の信号comp、または”L”(ローレベル)の信号compとして、ロジック部110に出力する。
ロジック部110は、パルス幅変調信号である信号pwmを生成する機能を有する。ロジック部110は、ヒステリシス・コンパレータ120からの入力信号compを演算処理し、信号GSのデューティー比を設定する設定値を決定する。この設定値は、信号pwmとして出力される。つまり、ロジック部110は、ヒステリシス・コンパレータ120にてデジタル化された信号FB(信号comp)を演算処理して、信号GSのデューティー比を決定するデジタル信号pwmを生成する回路である。
また、CTRL100は、クロック信号CLKから、DAC140が処理するm(mは2以上の整数)ビットのデジタル信号を生成する。mビットのデジタル信号は、DAC140に入力される。DAC140では、このデジタル信号をアナログ信号に変換して、2m諧調の三角波信号VTRIを生成し、出力する。つまり、DAC140は、三角波生成回路として機能する。
コンパレータ130は、信号GSを生成する回路である。コンパレータ130は、信号VTRIの電圧と信号pwmの電圧とを比較し、比較結果により、信号GSがハイレベルまたはローレベルであるかを設定する。つまり、CTRL100では、信号pwmにより信号GSのデューティー比が調節される。
CTRL100は、一般的なアナログ制御方式の制御回路と同様に、トランジスタM1を制御する信号GSの生成をコンパレータで行っている点で共通するが、VOUTの誤差を増幅するエラー・アンプ(積分回路)の処理と、三角波の生成をデジタル信号処理で行っている点で異なる。
OSトランジスタに関する我々の研究において、OSトランジスタのみで作製したオペアンプは、必要な性能を得るのが難しいという結果が得られている。そこで、CTRL100のように、エラー・アンプ(オペアンプ)を使用しない回路構成とすることで、単極性のトランジスタで、特に、OSトランジスタで、パルス幅変調方式により信号GSを生成することが可能な制御回路を提供することが可能になる。
<CTRLの構成例1>
図4に、CTRL100(DC−DCコンバータ10)のより詳細な構成例を示す。図4には、VCNVC180にチョッパ回路181を適用し、FBC190に分圧回路191を適用した昇圧型のコンバータの例を示している。もちろん、チョッパ回路181の代わりにチョッパ回路182を設けて、降圧型コンバータとすることも可能である。
図4に示すCTRL100は、ロジック部110、ヒステリシス・コンパレータ120、コンパレータ130及びDAC140を有する。バッファー回路150、並びに2つのローパスフィルタ回路(LPF)161、162をさらに有する。これらの回路(150、161、162)は、必要に応じて設ければよい。
LPF161、LPF162は、それぞれ、抵抗(R61、R62)と、コンデンサ(C61、C62)を有する。ロジック部110の出力信号pwmは、LPF161を介して、DAC140に入力され、DAC140の出力信号VTRIは、LPF162を介して、コンパレータ130に入力される。
図4のCTRL100において、回路ブロック200は、1つのチップに集積化が容易な回路群の一例である。回路ブロック200には、その内部回路の動作に必要な電圧(VDD、VSS、VREFH、VREFL、IREF等)、信号(基準クロック信号clk等)が端子から入力される。なお、図4の例では、低電源電圧VSSを接地電位(GND)としている。
<ロジック部110>
ロジック部110は、3つの回路(111―113)を有する。
[CLKDIV回路]
回路(CLKDIV)111は、分周回路である。CLKDIV111は、クロック信号clkを1乃至m分周して、m個のクロック信号を生成する。これらのm個のクロック信号は、DAC140及びDUTYC113にmビットのデジタル信号cnt[m−1:0]として入力される。また、一部のクロック信号は、ロジック部110の内部クロック信号として使用される。
例えば、CLKDIV111は、同期型のmビットのカウンタ回路で構成することができる。図4には、m=6の例を示している。CLKDIV111では、clkを1乃至6分周して、6ビットのデジタル信号cnt[5:0]を生成する。信号cnt[5:0]の1つは、AVEC112のクロック信号clk2として入力される。ここでは、clkを3分周した信号がclk2(周波数が1/8)として、AVEC112に出力される。
[AVEC]
回路(AVEC)112は、一定の周期で、ヒステリシス・コンパレータ120の出力信号compをアップ・カウントし、そのカウント値の平均値を算出する回路である。算出された平均値を表す信号がaveである。
AVEC112は、例えば、図5に示すように、同期式のnビットのカウンタ回路222、nビットの加算回路221を備える。加算回路221には、カウント値をリセットするリセット回路223が設けられている。ここでは、一例としてn=3の場合を説明する。
カウンタ回路222は、クロック信号clk2を1乃至3分周して、加算回路221で使用する3つのクロック信号を生成する。クロック信号の1つは、クロック信号clk3として、DUTYC113に出力される。例えば、clk3は、clk2の2分周信号とする。この場合、clk3の周波数は、clkの1/512となる。
加算回路221は、compの値(1又は0)を1カウント毎に加算する機能を有する。具体的には、compが”H”であるか否かを判定し、compが”H”であれば、カウント値に+1を加算する。また、加算回路221は、一定カウント毎(例えば、7カウント毎)に、カウント値から平均値を算出して、平均値を信号aveとして出力する。この例では、信号aveとして、カウント値が4以上であれば”H”の信号が出力され、4未満であれば”L”の信号が出力される。8カウント毎に、リセット回路223により加算回路221のカウント値はゼロにリセットされる。リセット回路223のこの処理は、ロジック部110の外部から入力されるリセット信号RSTにより制御される。
[DUTYC]
回路(DUTYC)113は、AVEC112の出力信号aveをもとに、信号GSのデューティー比を設定する信号pwmを生成する回路である。DUTYC113は、外部から入力されたGSのデューティー比を設定する値(DUTY比設定値)と、出力信号aveとを比較し、その結果をもとに、信号pwmの論理レベルを”H”または”L”に設定する。
例えば、図6に示すように、DUTYC113は、加減算回路231、リミッター回路232、カウント比較回路233、及びラッチ回路234を含む。ここでは、DUTYC113は6ビットのデジタル信号を処理する回路とする。
DUTYC113には、DUTY比設定値の初期値として、CTRL100の外部から6ビットの信号が入力される。加減算回路231は、信号aveの値(0または1)により、このDUTY比設定値に+1または−1を加算する機能を有する。ここでは、aveが”H”であれば、DUTY比設定値=DUTY比設定値+1の加算を行い、”L”であれば、DUTY比設定値=DUTY比設定値−1の減算を行う。
カウント比較回路233は、6ビットの信号cnt[5:0]をカウントする機能を有する。つまり、DUTYC113の処理の1周期において、カウント比較回路233では1から64までの値を1ずつカウントする。ここでは、カウント比較回路233のカウント値をdigCNTと呼ぶ。カウント比較回路233において、1カウント毎にdigCNTに対して演算処理が行われ、その演算結果は、ラッチ回路234にラッチされる。ラッチ回路234の出力が信号pwmである。
カウント比較回路233は、digCNTが0または1のときに、ラッチ回路234に”H”の信号をラッチする。また、カウント比較回路233は、digCNTがDUTY比設定値に一致すると、ラッチ回路234に”L”の信号をラッチする。例えば、DUTY比設定値が32であれば、digCNTが32になると、pwmは”L”から”H”に遷移する。この場合、pwmにより、信号GSのデューティー比は50%に設定される。
リミッター回路232は、加減算回路231の演算処理を制限する回路であり、DUTY比設定値の最大値及び最小値を設定するための回路である。例えば、DUTY比設定値の最大値を56、最小値を8とする。これにより、64カウント毎に、pwmの電位レベルを適切に設定することができる。
ロジック部110の回路(111―113)は、単極性のトランジスタで構成されるインバータ回路や、NORゲート回路、ANDゲート回路などの基本的なロジック回路を組み合わせることで作製することができる。
<DAC>
図7AはDAC140の構成の一例を示すブロック図であり、図7Bは同回路図である。ここでは、DAC140はR−2Rラダー抵抗回路を用いた6ビットDACである。この場合、DAC140では、64(26)諧調の三角波信号VTRIが生成される。
DAC140は、電圧(VDD、VSS、REFD)用の入力端子、デジタル信号用の入力端子(IN[0]―IN[7])、及び出力端子(DACOUT)を有する。電圧REFDは、アナログ変換時の参照電圧である。VDDは、REFDよりも高電圧とする。
8つの入力端子IN[0]―IN[7]のうち、6つには、CLKDIV111から出力された6ビットの信号cnt[5:0]が入力される。例えば、IN[0]、IN[1]には、VSSを入力し、IN[2]―IN[7]には、それぞれ、信号cnt[0]―cnt[6]を入力すればよい。
DAC140に入力されたcnt[5:0]は、アナログ信号に変換され、三角波信号VTRIとして出力端子DACOUTから出力される。
図7Bの例では、DAC140は、18個の抵抗を有するラダー抵抗回路40、回路41、及び8つの回路42を有する。回路41は、1つのトランジスタMd1及びインバータ回路INVd1を有する。回路42は、トランジスタ(Md2、Md3)及びインバータ回路(INVd2、INVd3)を有する。
<<ヒステリシス・コンパレータ、コンパレータ及びバッファー回路>>
以下、図8―図15を参照して、ヒステリシス・コンパレータ120、コンパレータ130及びバッファー回路150の構成について説明する。ヒステリシス・コンパレータ120、コンパレータ130及びバッファー回路150も、ロジック部110と同様に、単極性のトランジスタで構成することができる。ここでは、nチャネル型トランジスタを例に、これらの回路の構成を説明する。
図8は、ヒステリシス・コンパレータ120、コンパレータ130及びバッファー回路150の構成の一例を示すブロック図である。ヒステリシス・コンパレータ120は、コンパレータ121、122、NANDゲート回路123、及びNANDゲート回路124を含む。図8にでは、ヒステリシス・コンパレータ120の出力は、バッファー回路125と接続されている例を示している。
また、コンパレータ130とコンパレータ(121、122)は、同じ構成のコンパレータ回路(CMP_A)で構成することができる。また、バッファー回路150とバッファー回路125は、同じ構成のバッファー回路(BUF_A)で構成することができる。そのため、回路ブロック200(図4参照)のレイアウトにおいて、3つのCMP_Aを、1つの領域(コンパレータ部30)に集積することができる。また、2つのバッファー回路(BUF_A)も1つの領域(バッファー部50)に集積することができる。
また、NANDゲート回路(123、124)も同じ構成の回路NAND_Aで構成することができる。2つのNAND_Aは、ロジック部110を構成するロジック回路が形成される領域に集積すればよい。
コンパレータ130の非反転入力端子(+)には、DAC140の出力信号VTRIが入力され、反転入力端子(−)には、DUTYC113の出力信号pwmが入力される。コンパレータ130の出力信号outcは、バッファー回路150の入力端子INに入力される。また、バッファー回路150の入力端子INBには、インバータ回路などにより反転された信号outcの反転信号outcbが入力される。
バッファー回路150の出力は、信号GSとして、トランジスタM1のゲートに入力される(図4参照)。
ヒステリシス・コンパレータ120の基準電圧VREFHは、信号FBの設定電圧(VREF)よりも高い電圧であり、基準電圧VREFLは、VREFよりも低い電圧である。コンパレータ121では、FBの電圧がVREFを超えると”H”の信号が出力される。コンパレータ122では、信号FBの電圧がVREF以下になると、”H”の信号が出力される。
コンパレータ121の出力信号outcHと、コンパレータ122の出力信号outcLは、NANDゲート回路(123、124)において、論理演算される。NANDゲート回路(123、124)の出力(Q、QB)は、それぞれ、バッファー回路125に入力される。バッファー回路125の出力が信号compとして、ロジック部110に入力される。なお、バッファー回路125を設けない場合は、出力Qが、ヒステリシス・コンパレータ120で生成された信号compとして、ロジック部110に入力される。
<コンパレータCMP_A>
図9Aは、CMP_Aの構成の一例を示すブロック図であり、図9Bは、同回路図である。
CMP_Aは、電圧(VDD、VSS、IREF)が供給される入力端子、入力端子(VINP、VINN)、及び出力端子CMPOUTを有する。入力端子VINPは非反転入力端子であり、入力端子VINNは反転入力端子である。
CMP_Aは、参照電源回路210、差動増幅回路(AMPA)211、差動増幅回路(AMPB)212、及びインバータ回路(INVA)213を有する。AMPA211は1段または複数段設けられ、INVA213は偶数段設けられる。以下、各回路(210―213)の具体的な構成について説明する。
[参照電源回路]
図10Aは、参照電源回路210の構成の一例を示すブロック図であり、図10Bは、同回路図である。
参照電源回路210は、電圧(IREF、VSS)が供給される入力端子と、内部で生成された電圧を出力する端子(Vb1、Vb2)を有する。参照電源回路210は、分圧回路で構成することができる。例えば、図10Bに示すように、抵抗Rirf1、トランジスタ(Mirf1、Mirf2、Mirf3)を含む分圧回路とすることができる。
[INVA]
図11Aは、INVA213の構成の一例を示すブロック図であり、図11Bは、同回路図である。
INVA213は、電圧(VDD、VSS)が供給される入力端子、入力端子A、出力端子Yを有する。INVA213は、例えば、図11Bに示すように、トランジスタ(Minv1―Minv4)とコンデンサCinv1を含む。
[AMPA]
図12Aは、AMPA211の構成の一例を示すブロック図であり、図12Bは、同回路図である。
AMPA211は、電圧(VDD、VSS)が供給される入力端子、参照電源回路210から電圧が供給される入力端子(Vb1、Vb2)、入力端子(INP、INN)及び出力端子(OUTP、OUTN)を有する。端子INPは非反転入力端子であり、端子INNは反転入力端子である。端子OUTPは非反転出力端子であり、端子OUTNは反転出力端子である。例えば、図12Bに示すように、AMPA211は、トランジスタ(Ma1―Ma20)を含む。
[AMPB]
図13Aは、AMPB212の構成の一例を示すブロック図であり、図13Bは、同回路図である。
AMPB212は、電圧(VDD、VSS)が供給される入力端子、参照電源回路210から電圧が供給される入力端子(Vb1、Vb2)、入力端子(INP、INN)及び出力端子(OUTA)を有する。端子INPは非反転入力端子であり、端子INNは反転入力端子である。AMPB212は、例えば、図13Bに示すように、トランジスタ(Mb1―Mb14)を含む。
<NANDゲート回路>
図14Aは、ヒステリシス・コンパレータ120(図8)に含まれるNAND_Aの構成の一例を示すブロック図であり、図14Bは、同回路図である。
NAND_Aは、電圧(VDD、VSS)が供給される入力端子、入力端子(A、B)、出力端子Yを有する。NAND_Aは、例えば、図14Bに示すようにトランジスタ(Mna1―Mna3)を含む。
<バッファー回路(BUF_A)>
図15Aは、ヒステリシス・コンパレータ120に含まれるバッファー回路BUF_Aの構成の一例を示すブロック図であり、図15Bは、同回路図である。
BUF_Aは、電圧(VDD、VSS、VDDP、VSSP)が供給される入力端子、入力端子(BUFIN、BUFINB)、出力端子BUFOUTを有する。
以上、述べたように、ロジック部110の回路ブロック200内の回路(120、130、140、150)を単極性のトランジスタで構成することができる(図4参照)。また、トランジスタM1、及びダイオードD1も同じ極性のトランジスタで作製することができる。ダイオードD1は、ダイオード接続されたトランジスタで構成すればよい。
この場合、ロジック部110、トランジスタM1、及びダイオードD1を、OSトランジスタで構成することで、150℃以上の温度下においても、動作しうるDC−DCコンバータを提供することができる。
従来であれば、信号GSを生成する制御回路(本実施の形態のロジック部110に相当する回路)は、単結晶Siウエハから作製されたSiトランジスタで構成されている。しかしながら、図22Bの測定結果は、Siトランジスタで構成される制御回路は、150℃以上の環境下では使用できないことを示している。そのため、大きな放熱板などを設けて制御回路の温度上昇を防ぐことが行われているが、放熱板は、制御回路のコストアップにつながる。
一方で、図22Aの測定結果は、OSトランジスタで制御回路を構成することで、大きな放熱板を使用せずに、従来のSiトランジスタが用いられた制御回路よりも動作可能温度範囲を広げることができるため、制御回路のコストダウンにもつながる。
OSトランジスタについては、実施の形態2で説明する。
<CTRLの構成例2>
ロジック部110において、信号pwmは、信号FBの電圧が基準電圧よりも高ければ、そのデューティー比が小さくされ、低ければ、そのデューティー比が大きくされる。そのため、信号pwmをトランジスタM1のゲートに出力するようにしてもよい。信号pwmのデューティー比は、信号FBの変動に応じて設定されているため、信号pwmにより、DC−DCコンバータ10のVOUTを制御することが可能である。この場合は、CTRL100に、コンパレータ130、DAC140等は設けなくてもよい。
<CTRLの構成例3>
DC−DCコンバータ10(図4)において、ヒステリシス・コンパレータ120の出力信号compを、トランジスタM1のオン/オフを制御する制御信号として用いることができる。図23に、このようなDC−DCコンバータの構成の一例を示す。
図23に示すDC−DCコンバータ11は、DC−DCコンバータ10と制御回路(CTRL)の構成が異なる。DC−DCコンバータ11の制御回路(CTRL)101は、ヒステリシス・コンパレータ120およびバッファー回路150を有する。CTRL101は、DC−DCコンバータ10のCTRL100から、デジタル信号処理部(ロジック部110、DAC140)を除いた回路に対応する。よって、DC−DCコンバータ11には、LPF161およびLPF162が不要になる。
CTRL101は、ヒステリシス・コンパレータ120およびバッファー回路150を有する。つまり、CTRL101がパルス幅変調制御方式のDC−DCコンバータの制御回路であるのに対して、CTRL101は、ヒステリシス制御DC−DCコンバータの制御回路となる。
DC−DCコンバータ10のロジック部110は、デジタル信号処理部を有していることから、外部から入力される制御信号(ソフトウエア)の変更により、性能や機能を変更できるため、拡張性に優れている。DC−DCコンバータ11のCTRL101は、は、ヒステリシス・コンパレータ120およびバッファー回路150で構成されているため、応答速度が速く、ロバスト安定性に優れている。
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、OSトランジスタについて説明する。
<トランジスタの構成例1>
図16にOSトランジスタの構成の一例を示す。図16Aは上面図であり、図16Bは、図16Aの切断線B1−B2による断面図であり、図16Cは、図16Aの切断線C1−C2による断面図である。
図16に示すように、OSトランジスタ601は、OS(酸化物半導体)層641、OS層642、OS層643、導電層631、導電層632、導電層633、及び絶縁層622を有する。
基板610は、OSトランジスタ601の作製に耐えうる基板であればよい。例えば、シリコンウエハ、ガラス基板、石英基板等を用いることができる。絶縁層621は下地を構成する膜である。絶縁層621上に、OSトランジスタ601が形成されている。
導電層631及び導電層632は、ソース電極またはドレイン電極として機能し、OS層642に電気的に接続されている。導電層633は、絶縁層622を介してOS層641―643上に形成されており、ゲート電極として機能する。絶縁層622は、ゲート絶縁層を構成する。
<トランジスタの構成例2>
図17にOSトランジスタの構成の一例を示す。図17Aは上面図であり、図17Bは、図17Aの切断線B3−B4による断面図であり、図17Cは、図17Aの切断線C3−C4による断面図である。
図17に示すOSトランジスタ602も、OSトランジスタ601と同様に、絶縁層621上に作製され、かつOS層641―643、導電層631―633、及び絶縁層622を有する。
OSトランジスタ602では、導電層631、632がOS層643上に形成されており、この点でOSトランジスタ601と異なる。
なお、図16、図17の例では、酸化物半導体層として、積層されたOS層641―643を用いる例を示しているが、この構造に限定されるものではない。例えば、OSトランジスタ601においては、OS層641、OS層642のいずれか一方のみを形成するようにしてもよい。また、OSトランジスタ602では、単層層または2層構造の酸化物半導体層で形成してもよい。
OSトランジスタ601、602において、例えば、OS層641―643のうち、少なくともOS層642がIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)を含むものとし、なおかつ、Mの原子数に対するInの原子数の割合が、OSトランジスタ601、602の用途によって異なるものとすることができる。
OS層641及びOS層643は、OS層642を構成する金属元素の少なくとも1つを、その構成要素に含む。これらの伝導帯下端のエネルギーは、OS層642よりも0.05eV以上、0.07eV以上、または0.1eV以上真空準位に近く、もしくは0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下又は0.4eV以下真空準位に近い。
具体的に、OS層641、643がIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、OS層641、643を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x3:y3:z3とすると、z3/y3は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z3/y3を1以上6以下とすることで、OS層641、643として後述するCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8等がある。なお、CAAC−OSとはc軸配向した結晶部を有する酸化物半導体である。CAAC−OSについては後述する。例えば、スパッタリング法でCAAC−OS膜を成膜する場合、金属酸化物の多結晶ターゲットを用いることが好ましい。
なお、OS層641、643の厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、OS層642の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは3nm以上50nm以下である。
OS層641―643は、非晶質または結晶質の両方の形態を取りうる。ただし、チャネル領域が形成されるOS層642が結晶質であることにより、OSトランジスタ601、602に安定した電気的特性を付与することができるため、OS層642は結晶質であることが好ましい。
なお、チャネル形成領域とは、トランジスタの半導体層のうち、ゲート電極と重なり、かつソース電極とドレイン電極に挟まれる領域を意味する。また、チャネル領域とは、チャネル形成領域において、電流が主として流れる領域をいう。
OSトランジスタ601、602の場合、ゲートに電圧を印加することで、伝導帯下端のエネルギーが小さいOS層642にチャネル領域が形成される。即ち、OS層642と絶縁層622との間にOS層643が設けられていることによって、絶縁層622と離隔しているOS層642に、チャネル領域を形成することができる。
また、OS層643は、OS層642を構成する金属元素の少なくとも1つをその構成要素に含むため、OS層642とOS層643の界面では、界面散乱が起こりにくい。従って、当該界面においてキャリアの動きが阻害されにくいため、OSトランジスタ601、602の電界効果移動度が高くなる。
また、OS層642とOS層641の界面に界面準位が形成されると、界面近傍の領域にもチャネル領域が形成されるために、OSトランジスタ601、602の閾値電圧が変動してしまう。しかし、OS層641は、OS層642を構成する金属元素の少なくとも1つをその構成要素に含むため、OS層642とOS層641の界面には、界面準位が形成されにくい。よって、上記構成により、OSトランジスタ601、602の閾値電圧等の電気的特性のばらつきを、低減することができる。
また、金属酸化物膜間に不純物が存在することによって、各膜の界面にキャリアの流れを阻害する界面準位が形成されることがないように、複数の酸化物半導体膜を積層させることが望ましい。積層された金属酸化物膜の膜間に不純物が存在していると、金属酸化物膜間における伝導帯下端のエネルギーの連続性が失われ、界面近傍において、キャリアがトラップされるか、あるいは再結合により消滅してしまうからである。金属酸化物膜間における不純物を低減させることで、主成分である一の金属を少なくとも共に有する複数の金属酸化物膜を、単に積層させるよりも、連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各膜の間で連続的に変化するU字型の井戸構造を有している状態)が形成されやすくなる。
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて、各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーを、酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべく、クライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空(5×10−7Pa―1×10−4Pa程度まで)に排気することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
高純度の真性な酸化物半導体を得るためには、各チャンバー内を高真空排気するのみならず、スパッタリングに用いるガスの高純度化も重要である。上記ガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスの露点を−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下とし、使用するガスの高純度化を図ることで、酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
なお、OSトランジスタ601、602は、半導体膜の端部が傾斜している構造を有していても良いし、半導体膜の端部が丸みを帯びる構造を有していても良い。
また、OSトランジスタ601、602において、ソース電極及びドレイン電極に用いられる導電性材料によっては、ソース電極及びドレイン電極中の金属が、酸化物半導体膜から酸素を引き抜くことがある。この場合、酸化物半導体膜のうち、ソース電極及びドレイン電極に接する領域が、酸素欠損の形成によりn型化される。n型化された領域は、ソース領域またはドレイン領域として機能するため、酸化物半導体膜とソース電極及びドレイン電極との間におけるコンタクト抵抗を下げることができる。よって、n型化された領域が形成されることで、トランジスタの移動度及びオン電流を高めることができ、それにより、トランジスタを用いた半導体装置の高速動作を実現することができる。
なお、ソース電極及びドレイン電極中の金属による酸素の引き抜きは、ソース電極及びドレイン電極をスパッタリング法などにより形成する際に起こりうるし、ソース電極及びドレイン電極を形成した後に行われる加熱処理によっても起こりうる。また、n型化される領域は、酸素と結合し易い導電性材料をソース電極及びドレイン電極に用いることで、より形成されやすくなる。上記導電性材料としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wなどが挙げられる。
絶縁層621は、化学量論的組成以上の酸素が含まれており、加熱により上記酸素の一部をOS層641―643に供給する機能を有する絶縁層であることが望ましい。また、絶縁層621は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、ESR(電子スピン共鳴)シグナルにより得られる、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001を持つスピンの密度が1×1018spins/cm3以下であることが好ましい。
絶縁層621は、加熱により上記酸素の一部をOS層641―643に供給する機能を有するため、酸化物であることが望ましく、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム及び酸化タンタルなどを用いることができる。絶縁層621は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスパッタリング法等により、形成することができる。
なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
OSトランジスタ601、602は、チャネル領域が形成されるOS層642の端部のうち、導電層631及び導電層632とは重ならない端部、言い換えると、導電層631及び導電層632が位置する領域とは異なる領域に位置する端部と、導電層633とが、重なる構成を有する。OS層642の端部は、当該端部を形成するためのエッチングでプラズマに曝されるときに、エッチングガスから生じた塩素ラジカル、フッ素ラジカル等が、酸化物半導体を構成する金属元素と結合しやすい。よって、酸化物半導体膜の端部では、当該金属元素と結合していた酸素が脱離しやすい状態にあるため、酸素欠損が形成され、n型化しやすいやすいと考えられる。
他方、OSトランジスタ601、602では、導電層631及び導電層632とは重ならないOS層642の端部と、導電層633とが重なるため、導電層633の電位を制御することにより、当該端部にかかる電界を制御することができる。よって、OS層642の端部を介して導電層631と導電層632の間に流れる電流を、導電層633に与える電位によって制御することができる。このようなトランジスタの構造を、Surrounded Channel(S−Channel)構造とよぶ。
具体的に、S−Channel構造の場合、OSトランジスタ601、602がオフとなるような電位を導電層633に与えたときは、当該端部を介して導電層631と導電層632の間に流れるオフ電流を小さく抑えることができる。そのため、OSトランジスタ601、602では、大きなオン電流を得るためにチャネル長を短くし、その結果、OS層642の端部における導電層631と導電層632の間の長さが短くなっても、OSトランジスタ601、602のオフ電流を小さく抑えることができる。よって、OSトランジスタ601、602は、チャネル長を短くすることで、オンのときには大きいオン電流を得ることができ、非オンのときにはオフ電流を小さく抑えることができる。
また、具体的に、S−Channel構造の場合、OSトランジスタ601、602がオン状態となるような電位を導電層633に与えたときは、当該端部を介して導電層631と導電層632の間に流れる電流を大きくすることができる。当該電流は、OSトランジスタ601、602の電界効果移動度とオン電流の増大に寄与する。そして、OS層642の端部と、導電層633とが重なることで、OS層642においてキャリアの流れる領域が、絶縁層622に近いOS層642の界面近傍のみでなく、OS層642の広い範囲においてキャリアが流れるため、OSトランジスタ601、602におけるキャリアの移動量が増加する。この結果、OSトランジスタ601、602のオン電流が大きくなる共に、電界効果移動度が高くなり、代表的には電界効果移動度が10cm2/V・s以上、さらには20cm2/V・s以上となる。なお、ここでの電界効果移動度は、酸化物半導体膜の物性値としての移動度の近似値ではなく、トランジスタの飽和領域における電流駆動力の指標であり、見かけ上の電界効果移動度である。
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態2で説明したOSトランジスタに適用可能な酸化物半導体膜について説明する。
OSトランジスタのチャネル形成領域を構成する酸化物半導体膜は、少なくともインジウム(In)または亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にIn及びZnを含むことが好ましい。また、それらに加えて、酸素を強く結びつけるスタビライザーを有することが好ましい。スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを有すればよい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種または複数種を有してもよい。
OSトランジスタの酸化物半導体膜は、以下の酸化物から形成することができる。例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物等がある。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=3:1:2、あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
チャネル形成領域を構成する酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジスタの閾値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、または水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から酸素が減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって増加した酸素欠損を補填するため酸素を酸化物半導体膜に加える処理を行うことが好ましい。本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を加酸素化処理と記す場合がある、または酸化物半導体膜に含まれる酸素を化学量論的組成よりも多くする場合を過酸素化処理と記す場合がある。
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素または水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化またはi型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。なお、実質的に真性とは、酸化物半導体膜中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア密度が1×1017/cm3以下、1×1016/cm3以下、1×1015/cm3以下、1×1014/cm3以下、1×1013/cm3以下であることをいう。
また、このように、i型または実質的にi型である酸化物半導体膜を備えるトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、酸化物半導体膜を用いたトランジスタがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、更に好ましくは1×10−24A以下、または85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、更に好ましくは1×10−21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル型のトランジスタの場合、ゲート電圧が閾値電圧よりも十分小さい状態をいう。具体的には、ゲート電圧が閾値電圧よりも1V以上、2V以上または3V以上小さければ、トランジスタはオフ状態となる。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。成膜される酸化物半導体は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する。
<CAAC−OS>
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって,CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と概略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。試料面と概略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、電子回折を行うと、配向性を示すスポット(輝点)が観測される。例えば、CAAC−OS膜の上面に対し、例えば1nm以上30nm以下の電子線を用いる電子回折(ナノビーム電子回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される。
断面の高分解能TEM像および平面の高分解能TEM像より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることを確認することができる。
CAAC−OS膜に含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。ただし、CAAC−OS膜に含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領域を形成する場合がある。例えば、平面の高分解能TEM像において、2500nm2以上、5μm2以上または1000μm2以上となる結晶領域が観察される場合がある。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面の高分解能TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS膜中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部の割合が高くなることがある。また、不純物の添加されたCAAC−OS膜は、不純物が添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
CAAC−OSは、例えば、欠陥準位密度を低減することで形成することができる。酸化物半導体において、例えば、酸素欠損は欠陥準位である。酸素欠損は、トラップ準位となることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。CAAC−OSを形成するためには、例えば、酸化物半導体に酸素欠損を生じさせないことが重要となる。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。したがって、当該酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。したがって、当該酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある。なお、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
よって、CAAC−OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
<nc−OS>
微結晶酸化物半導体は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体に含まれる結晶部は、例えば、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。
nc−OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
<非晶質酸化物半導体膜>
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
なお、酸化物半導体膜は、nc−OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化物半導体(amorphous−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
amorphous−like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。amorphous−like OS膜は、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
なお、amorphous−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO4の結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。また、酸化物半導体膜は、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の二種以上を有する混合膜であってもよい。酸化物半導体膜が複数の構造を有する場合、例えば、ナノビーム電子回折を用いることで構造解析が可能となる場合がある。
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、半導体装置の一例として、上記実施の形態で説明したDC−DCコンバータを具備する電子機器の例について説明する。
本発明の一態様に係るDC−DCコンバータは、DC電圧で駆動される回路や装置等を備えた様々な電子機器に用いることができる。
電子機器の具体例として、テレビやモニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、CD(Compact Disc)プレーヤやデジタルオーディオプレーヤ等の携帯型又は据置型の音響再生機器、携帯型又は据置型のラジオ受信機、テープレコーダやICレコーダ(ボイスレコーダ)等の録音再生機器、ヘッドホンステレオ、ステレオ、置き時計や壁掛け時計等の時計、コードレス電話子機、携帯無線機、携帯電話機、自動車電話、携帯型又は据置型のゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍端末、電子翻訳機、マイクロフォン等の音声入力機器、スチルカメラやビデオカメラ等のカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、加湿器や除湿器や空調機等の空気調和設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、電動工具、煙感知器、補聴器、心臓ペースメーカ、携帯型X線撮影装置、電気マッサージ器や透析装置等の健康機器や医療機器等が挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ガスメータや水道メータ等の計量器、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、無線用中継局、携帯電話の基地局、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置等の産業機器が挙げられる。また、リチウムイオン二次電池からの電力を用いて電動機により推進する移動体等も、電子機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、農業機械、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、電動カート、小型又は大型船舶、潜水艦、固定翼機や回転翼機等の航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船等が挙げられる。
本発明の一形態において、特に、OSトランジスタで制御回路が構成されたDC−DCコンバータは、150℃以上の高温下でも動作可能である。よって、このような形態に係るDC−DCコンバータは、動作時に温度が上昇する可能性が高い電子機器に好適である。このような電子機器としては、電気自動車(ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車を含む)、電動工具、産業用ロボット、煙感知器、無停電電源等が挙げられる。
図18に、電子機器のいくつかの具体例を示す。
図18には、表示装置の一例が示されている。表示装置8000は、例えば、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカー部8003等を有する。本発明の一態様に係るDC−DCコンバータは、筐体8001の内部に設けられている。
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子等の発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)等の、半導体表示装置を用いることができる。
本実施の形態に係る表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用等、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図18には、据え付け型の照明装置の一例が示されている。照明装置8100は、天井に設けられている。照明装置8100は、筐体8101、光源8102、制御装置8103等を有する。制御装置8103は、調光、タイマー制御等の制御を行う半導体装置であり、制御装置8103に、DC−DCコンバータが組み込まれている。
なお、照明装置として、図18には、住宅用の据え付け型の照明装置8100を例示しているが、その他、卓上型の照明装置や、屋外で使用される照明装置等に、本発明の一形態に係るDC−DCコンバータを用いることができる。
図18には、セパレート型の空調機の一例が示されている。空調機は、室内機8200及び室外機8204を有する。室内機8200は、筐体8201、送風口8202等を有する。室内機8200及び室外機8204の電源回路に、本発明の一形態に係るDC−DCコンバータが設けられている。
なお、図18には、セパレート型の空調機を例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型の空調機としてもよい。
図18に、家電製品の一例として、電気冷凍冷蔵庫を示す。電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303等を有する。筐体8301の内部に本発明の一形態に係るDC−DCコンバータが設けられている。
図19A及び図19Bに、電気自動車の一例を示す。
電気自動車8500には、リチウムイオン二次電池8501が搭載されている。リチウムイオン二次電池8501の電力は、制御回路8502により出力が調整されて、駆動装置8503に供給される。制御回路8502は、図示しないROM、RAM、CPU等を有する処理装置8504によって制御される。例えば、制御回路8502や処理装置8504等の電源回路に、本発明の一形態に係るDC−DCコンバータが用いられる。
駆動装置8503は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、を組み合わせて構成される。処理装置8504は、電気自動車8500の運転者の操作情報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路8502に制御信号を出力する。制御回路8502は、処理装置8504の制御信号により、リチウムイオン二次電池8501から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置8503の出力を制御する。
図20A、図20Bに蓄電装置の一例を示す。
図20Aに示すように、蓄電装置8700は、系統電源8703と電気的に接続するためのプラグ8701を有する。また、蓄電装置8700は、住宅内に設けられた分電盤8704と電気的に接続する。
また、蓄電装置8700は、動作状態等を示すための表示パネル8702等を有していてもよい。表示パネルはタッチスクリーンを有していてもよい。また、表示パネルの他、主電源のオンオフを行うためのスイッチや蓄電システムの操作を行うためのスイッチ等を有していてもよい。
なお、図示しないが、蓄電装置8700を操作するために、蓄電装置8700とは別に、例えば室内の壁に操作スイッチを設けてもよい。あるいは、蓄電装置8700と家庭内に設けられたパーソナルコンピュータ、サーバ等と接続し、間接的に蓄電装置8700を操作してもよい。さらに、スマートフォン等の情報端末機やインターネット等を用いて蓄電装置8700を遠隔操作してもよい。これらの場合、蓄電装置8700とその他の機器とは有線により又は無線により通信を行う機構を、蓄電装置8700に設ければよい。
図20Bは、蓄電装置8700の内部を模式的に示した図である。蓄電装置8700は、複数のバッテリー8705を含むバッテリー群8706とBMU(Battery Management Unit)8707とPCS(Power Conditioning System)8708とを有する。
バッテリー群8706は、バッテリー8705を複数並べて接続したものである。系統電源8703からの電力を、バッテリー群8706に蓄電することができる。バッテリー群8706のそれぞれは、BMU8707と電気的に接続されている。
BMU8707は、バッテリー群8706が有する複数のバッテリー8705の状態を監視及び制御し、またバッテリー8705を保護することができる機能を有する。具体的には、BMU8707は、バッテリー群8706が有する複数のバッテリー8705のセル電圧、セル温度データ収集、過充電及び過放電の監視、過電流の監視、セルバランサ制御、電池劣化状態の管理、電池残量((充電率)State Of Charge:SOC)の算出演算、冷却ファンの制御、又は故障検出の制御等を行う。なお、これらの機能の一部又は全部は上述のように、バッテリー8705内に含めてもよく、あるいはバッテリー群8706ごとに当該機能を付与してもよい。また、BMU8707はPCS8708と電気的に接続する。
PCS8708は、交流(AC)電源である系統電源8703と電気的に接続され、直流−交流変換を行う。例えば、PCS8708は、インバータや、系統電源8703の異常を検出して動作を停止する系統連系保護装置などを有する。蓄電装置8700の充電時には、例えば系統電源8703の交流の電力を直流に変換してBMU8707へ送電し、蓄電装置8700の放電時には、バッテリー群8706に蓄えられた電力を屋内などの負荷に交流に変換して供給する。なお、蓄電装置8700から負荷への電力の供給は、図20Aに示すように分電盤8704を介してもよく、あるいは蓄電装置8700と負荷との接続を有線又は無線により直接行ってもよい。
本発明の一形態に係るDC−DCコンバータは、例えば、PCS8708、BMU8707の組み込まれた回路の電源回路に適用することができる。
図21に、電子機器として、デジタル機器のいくつかの具体例を示す。
図21Aに、携帯型の情報端末の一例を示す。情報端末900は、筐体901、筐体902、表示部903a、表示部903bなどによって構成されている。筐体901と筐体902の少なくとも一部には、DC−DCコンバータ10が設けられている。
なお、表示部903aはタッチ入力機能を有するパネルとなっており、例えば図21Aの左図のように、表示部903aに表示される選択ボタン904により「タッチ入力」を行うか、「キーボード入力」を行うかを選択できる。選択ボタンは様々な大きさで表示できるため、幅広い世代の人が使いやすさを実感できる。ここで、例えば「キーボード入力」を選択した場合、図21Aの右図のように表示部903aにはキーボード905が表示される。これにより、従来の情報端末と同様に、キー入力による素早い文字入力などが可能となる。
また、情報端末900は、図21Aの右図のように、表示部903a及び表示部903bのうち、一方を取り外すことができる。表示部903bもタッチ入力機能を有するパネルとし、持ち運びの際、さらなる軽量化を図ることができ、一方の手で筐体902を持ち、他方の手で操作することができるため便利である。
情報端末900は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付または時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報を操作または編集する機能、様々なソフトウエア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。
また、情報端末900は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
更に、筐体902にアンテナやマイク機能や無線機能を持たせ、携帯電話として用いてもよい。
図21Bは、電子ペーパーを実装した電子書籍端末910の構成例を示す。電子書籍端末910は、筐体911と筐体912の2つの筐体で構成されている。筐体911及び筐体912には、それぞれ表示部913及び表示部914が設けられている。筐体911と筐体912は軸部915により接続されており、軸部915を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体911は、電源916、操作キー917、スピーカー918などを備えている。筐体911、筐体912の少なくとも一には、DC−DCコンバータ10が設けられている。
図21Cに、スマートフォンの構成の一例を示す。スマートフォン930の本体935には、表示部931と、スピーカー932と、マイク933と、操作ボタン934等が設けられている。本体935内にはDC−DCコンバータ10が設けられている。
図21Dは、腕時計型表示装置の構成の一例を示す。腕時計型表示装置940は、本体941、表示部942などによって構成されている。本体941内には、DC−DCコンバータ10が設けられている。
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
<<DC−DCコンバータの制御回路>>
設計したDC−DCコンバータの制御回路をOSトランジスタ(nチャネル型トランジスタ)で作製し、その性能の評価を行った。ここでは、制御回路として、図4の回路ブロック200に対応する回路群を作製した。また、この回路群とともに、電圧変換回路のスイッチを同じチップに集積した。図24は、チップに集積された回路群のブロック図であり、図25は、チップの光学顕微鏡写真である。
図24に示すように、電圧変換回路のスイッチを構成するOSトランジスタMsw1には、バックゲートを設けた。OSトランジスタMsw1のチャネル長は3μmであり、チャネル幅は183,700μmである。なお、OSトランジスタMsw1は、電気的に並列に接続された複数のOSトランジスタで構成されている。
図24に示すように、制御回路105は、制御モードが、PWM制御モード(以下、PWMモードと呼ぶ)と、ヒステリシス制御モード(ヒステリシスモード)とで切り替え可能となっている。制御回路105は、2入力コンパレータ22、3入力コンパレータ23、セレクタ回路24、バッファー回路(G−BUF)25、バッファー回路(P−BUF)26、デジタルブロック60、分周回路61、およびDAC62を有する。制御回路105のトランジスタ、およびOSトランジスタMsw1はOSトランジスタである。また、これらOSトランジスタの酸化物半導体層は、CAAC−OSを形成することが可能な条件で成膜された酸化物半導体膜で形成した。
図25において、コンパレータ部(COMP)は、2入力コンパレータ22、または3入力コンパレータ23を構成する3つのコンパレータ20が形成されている回路ブロックである。ロジック部(LOGIC)は、2つのNANDゲート回路21、セレクタ回路24、デジタルブロック60、および分周回路61が形成されている回路ブロックである。制御回路105のサイズは、5mm×7.7mmであった。
制御回路105において、PWMモードで機能する回路群が、3入力コンパレータ23、デジタルブロック60、分周回路61、DAC62およびP−BUF26である。これらの回路の構成および機能は、図4のロジック部110と同様なため、その説明を援用する。
分周回路61は、CLKDIV111に相当する回路であり、デジタルブロック60は、AVEC112およびDUTYC113の機能を備えたデジタル信号処理回路である。分周回路61はクロック信号clkから6ビットのデジタル信号を生成し、デジタルブロック60およびDAC62に出力する。DAC62は、8ビットのデジタル信号に従って、信号VTRIを生成し、出力する。デジタルブロック60で処理されたデジタル信号は、P−BUF26に出力される。PWMモードでは、P−BUF26の出力信号PWM_OUTが、電圧変換回路のスイッチの制御信号として用いられる。
信号SET_PWMは、信号PWM_OUTのデューティー比設定値を、外部入力信号expwm[5:0]で設定するか、デジタルブロック60で演算した値で設定するかを決定する信号である。信号FIX_PWMは、DUTY比設定値の初期値を決定するための制御信号である。SW_DIG_AVEは、3入力コンパレータ23の出力値の平均値を外部入力信号ex_ave[5:0]で設定するか、デジタルブロック60で演算した値で設定するかを決定する信号である。
ヒステリシスモードでは、G−BUF25の出力信号GSが、電圧変換回路のスイッチの制御信号となる。セレクタ回路24は、信号GSMUXにより、G−BUF25へ出力する信号を、2入力コンパレータ22の出力信号と、3入力コンパレータ23の出力信号に切り替える。電圧Vrefは2入力コンパレータ22の参照電圧である。
2入力コンパレータ22は、1つのコンパレータ20で構成されている。3入力コンパレータ23は、ヒステリシス・コンパレータ120(図8)と同様の回路構成を有しており、2つのコンパレータ20および2つのNANDゲート回路21で構成されている。コンパレータ20は、CMP_A(図9)と同様の回路構成である。ここでは、コンパレータ20は、参照電源回路210(図10)、9段のAMPA211(図12)、1段のAMPB212(図13)、および6段のINVA213(図11)で構成された。6段のINVA213はバッファー回路として機能する。また、NANDゲート回路21は、NAND_A(図14)と同じ回路構成とした。
差動増幅回路を単一導電型のトランジスタで構成する場合、nチャネル型トランジスタとpチャネル型トランジスタを相補的に組み合わせたカスコードカレントミラー回路を構成することができない。そのため、図12、図13に示すように、コンパレータ20を構成する差動増幅回路(AMPA211、AMPB212)を折り返しカスコード回路が用いられた差動増幅回路とした。これにより、コンパレータ20の動作電圧を低くすることができた。また、温度変化に対する電流バイアスを安定化させるため、AMPA211、AMPB212にカレントミラーを多用した。
<<コンパレータの動作検証>>
高温環境下における2入力コンパレータ22(コンパレータ20)の動作を検証した。その結果を図26に示す。図26は、オシロスコープで測定された2入力コンパレータ22の入力信号(Vref,FB)、および出力信号GSの波形を示す。測定環境温度は150℃であった。2入力コンパレータ22には、参照電圧Vref=4.0Vを入力し、フィードバック信号FBとして、振幅5.0V、周波数35kHzのクロック信号を入力した。信号GSの振幅は10Vであった。信号GSの立ち下がり時間Tfは6.2μsであり、立ち上がり時間Trは6μsであった。図26により、試作したコンパレータ20は、150℃の環境において、周波数35kHzで動作すること可能なことが確認された。
<<DC−DCコンバータの動作検証>>
制御回路105と電圧変換回路とを組み合わせてDC−DCコンバータを作製し、その電力効率を測定した。図27は、DC−DCコンバータの電力効率の測定方法を説明する模式図である。
制御回路105をヒステリシスモードで動作させた。ヒステリシス・コンパレータには、3入力コンパレータ23を用いた。電圧変換回路80には、降圧型のチョッパ回路を用いた。電圧変換回路80のスイッチにはSiトランジスタを用いた。コイルのインダクタンスLは100μHであり、容量素子の静電容量Cは300μFであった。電圧変換回路80の出力には、電気的負荷81を接続した。電気的負荷81には、定電流負荷装置を用いた。電圧Voutおよび電流Ioutは、電圧変換回路80から、電気的負荷81へ供給される電圧および電流である。電圧変換回路80に電源91により、電圧Vin、および電流Iinを供給し、制御回路105には電源92により、電圧Vddおよび電流Iddを供給した。
図28に、DC−DCコンバータの負荷電力に対する電力効率及び制御回路105で消費される電流Iddの測定結果を示す。図28のデータは、デジタルマルチメータ(DMM)93で測定された電圧Vinおよび電流Iin、ならびにDMM94で測定された電圧Vddおよび電流Idd、並びに電気的負荷81を流れるロード電流から得られたものである。測定環境温度は、室温、85℃、125℃、150℃とした。図28には、室温と150℃のデータを示す。温度が100℃以上上昇しても、電力効率の著しい低下は確認されなかった。また、消費電流Iddは、150℃では室温よりもやや増加しているもののほぼ変わらない値であった。具体的には、室温における最高電力効率は、Iout=250mA、Idd=2.80mA場合で81.5%であった。また、150℃における最高電力効率は、Iout=300mA、Idd=4.31mAの場合で、80.4%であった。
本実施例により、制御回路をすべてOSトランジスタによって構成することにより、150℃で動作が可能なDC−DCコンバータを実現できることが確認された。