JP2015183109A - ゴム組成物及びゴム成形体 - Google Patents

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史朗 石川
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Abstract

【課題】効率よく熱を伝導できるゴム成形体を容易に作製できるゴム組成物及び当該ゴム組成物を用いて作製されたゴム成形体を提供する。
【解決手段】ゴム組成物は、ゴム母材と、カーボンナノファイバーとを含み、カーボンナノファイバーが、ラマン分光分析により測定されたIとIの強度比I/Iが0.7以下であり、平均層数が20層以上であるように構成したので、カーボンナノファイバーの剛性が高く、ゴム母材とカーボンナノファイバーとを混合するときに加えられる力によってカーボンナノファイバーが変形しにくく、粘度の上昇が抑制され、効率よく熱を伝導できるゴム成形体を容易に作製できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びゴム成形体に関する。
電子部品の動作の安定化、長寿命化のためには、電子部品から発生する熱を効率よく外部に放出することが好ましい。そのために、電子部品に使用される樹脂成形体やゴム成形体等も高い熱伝導度を有することが求められている。例えば、ゴム組成物に炭素繊維等の熱伝導度の高いフィラーを混合することで、ゴム組成物から作製されるゴム成形体の熱伝導度が向上する技術が提案されている。
ゴム成形体の熱伝導度を十分に向上させるためには、ゴム組成物がより多くのフィラーを含有している必要がある。しかしながらゴム組成物は、フィラーの含有量が多くなると粘度が上昇し、ゴム成形体を作製するのが難しくなる。ゴム成形体を作製できたとしても、ゴム成形体は、強度が低く、ゴムとしての特性も損なわれているという問題がある(特許文献1参照)。
このような問題を解決するために、様々な研究・開発がなされている(特許文献1〜4参照)。
例えば、特許文献1には、炭素繊維とセラミックス粒子とを含むゴム組成物が開示されている。
特許文献2及び特許文献3には、セラミックス粒子と、接着性を有する高分子化合物を介してセラミックス粒子と接着された炭素繊維とを含む複合材料用組成物が開示されている。
特許文献1に開示されるゴム組成物、特許文献2、3に開示される複合材料用組成物では、炭素繊維とセラミックス粒子とを混合することで、粘度の上昇を抑えつつ熱伝導度の向上を図っている。
特許文献4には、比表面積が10〜50m2/g、平均アスペクト比が65〜500、平均繊維径が50〜130nmである炭素繊維を含む導電性樹脂組成物が開示されている。特許文献4に開示される導電性樹脂組成物では、上記の様な低比表面積でかつ高アスペクト比の炭素繊維を混合することで、粘度の上昇を抑えつつ熱伝導度の向上を図っている。
特開2011−79916号公報(段落0003、0014参照) 特開2012−122082号公報(請求項1、段落0046参照) 特開2006−321968号公報(請求項9、段落0045参照) 特開2006−225648号公報(請求項1、段落0011参照)
しかしながら、特許文献1に開示されるゴム組成物、特許文献2、3に開示される複合材料用組成物では、炭素繊維と比較して熱伝導度が低いセラミックス粒子を含むため、十分に熱伝導度を向上できない。また、熱伝導度を向上するためにセラミックス粒子の混合量を増加させると、ゴム組成物の粘度が上昇し、ゴム成形体を作製するのが難しくなる。
特許文献4に開示される導電性樹脂組成物では、比表面積が小さい、すなわち、繊維径が大きい炭素繊維を用いているため、炭素繊維のネットワークがつながりにくく、炭素繊維を介した熱の伝導経路がパーコレーションしにくい。また、特許文献4に開示される導電性樹脂組成物では、炭素繊維の剛性が不明であるため、炭素繊維を混合する過程で炭素繊維が変形して樹脂組成物の粘度が上昇する恐れがある。
我々は上記の問題点の解決に向けて鋭意努力する中で、熱処理を加えたカーボンナノファイバーを用いることによって、粘度の上昇を最低限に抑えながら、熱伝導度を最大限向上させられることを発見した。これは熱処理によってカーボンナノファイバーの剛性が上がり、そのため粘度の上昇が抑えられること、さらにはカーボンナノファイバーの破断がなくなり、熱伝導度も上がるため、熱伝導度を効率的に向上させられることが理由と考えられる。本発明は、上記発見に基づき、効率よく熱を伝導できるゴム成形体を容易に作製できるゴム組成物及び当該ゴム組成物を用いて作製されたゴム成形体を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、ゴム母材とカーボンナノファイバーとを含み、前記カーボンナノファイバーは、ラマン分光分析により測定されたDバンドピーク強度(I)とGバンドピーク強度(I)の強度比I/Iが0.7以下であり、平均層数が20層以上であることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記カーボンナノファイバーの平均外径が20nm以上50nm未満であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が100以下となるように形成されていることを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1〜第3のいずれかの観点に基づくゴム組成物を用いて作製されていることを特徴とする。
本発明の第1の観点のゴム組成物は、ゴム母材とカーボンナノファイバーとを含み、カーボンナノファイバーが、ラマン分光分析により測定されたIとIの強度比I/Iが0.7以下であり、平均層数が20層以上である。I/Iの値はカーボンナノファイバーの欠陥の少なさや結晶性の良さを示しており、この値が低ければ低いほど剛性が高くなり、また熱伝導度も高くなる。また層数が大きいほど厚みが増えるので、カーボンナノファイバーの剛性が高くなる。したがってこれらの両者を兼ね備えたカーボンナノファイバーは、剛性が非常に高く、さらには熱伝導度も高い。そのためゴム組成物は、ゴム母材とカーボンナノファイバーとを混合するときに加えられる力によってカーボンナノファイバーが変形しにくく、粘度の上昇が抑制される。さらには高い剛性によってゴム材料との混連中のカーボンナノファイバーの破断が抑えられ、カーボンナノファイバーを長く保っておける。よってゴム組成物は、成形性が良く、長さを保った熱伝導度の高いカーボンナノファイバーによって効率よく熱を伝導できるゴム成形体を容易に作製できる。
本発明の第2の観点のゴム組成物は、カーボンナノファイバーの平均外径が20nm以上50nm未満であるので、カーボンナノファイバーが、ゴム組成物に、より均一に分散され、パーコレートしたネットワークを作りやすい。よって、ゴム組成物は、より熱伝導度の高いゴム成形体を容易に作製できる。
本発明の第3の観点のゴム組成物は、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が100以下となるように形成されているので、流動性があり、ゴム成形体を容易に作製できる。
本発明の第4の観点のゴム成形体は、第1〜第3のいずれかの観点に基づくゴム組成物を用いて作製されているので、効率よく熱を伝導できる。
1.ゴム組成物の構成
ゴム組成物は、ゴム母材と、カーボンナノファイバーとを含んでいる。ゴム組成物は、その他に加硫促進剤、硫黄、熱伝導度を上昇させるためのフィラー等を含んでいてもよい。
ゴム母材は、ゴムの母材となる物質であり、例えばシリコーン、ニトリルゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴムである。
カーボンナノファイバーは、ラマン分光分析により測定されたDバンドピーク強度(I)とGバンドピーク強度(I)の強度比I/Iが0.7以下である。Dバンドピークは1300〜1400cm−1の範囲にあるピークであり、カーボンナノファイバーの有する結晶の欠陥に由来するピークである。Gバンドピークは1570〜1620cm−1の範囲にあるピークであり、カーボンナノファイバーの有するグラファイト構造に由来するピークである。カーボンナノファイバーの有する結晶の欠陥が多くなると、Dバンドピークは大きくなり、Gバンドピークは小さくなる。一方、カーボンナノファイバーの有する結晶の欠陥が少なくなると、Dバンドピークは小さくなり、Gバンドピークは大きくなる。したがってI/Iは、カーボンナノファイバーの有する結晶の欠陥の多少を表しており、その値が小さいほどカーボンナノファイバーに結晶の欠陥が少ないことを意味する。
カーボンナノファイバーは、上記の通りI/Iが0.7以下であり、結晶の欠陥が少ない。
また、カーボンナノファイバーは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:以下、TEMという。)写真から測定した20本のカーボンナノファイバーの層数の平均値である平均層数が20層以上である。
以上の通りカーボンナノファイバーは、I/Iが0.7以下であり、平均層数が20層以上であるので、剛性が高い。したがって、ゴム組成物は、ゴム母材とカーボンナノファイバーとを混合するときに加えられる力によってカーボンナノファイバーが変形しにくいので、粘度の上昇が抑制される。さらにはカーボンナノファイバーの破断が少なくなり、カーボンナノファイバーをより長く保っておける。ゴム組成物には、このようなカーボンナノファイバーが略均一に混合されている。さらにカーボンナノファイバーは、I/Iが0.7以下であると欠陥がすくないため、カーボンナノファイバー自体の熱伝導度が高い。そのためゴム組成物は、熱伝導度がより向上する。
なおI/Iが0.7より大きい又は平均層数が20層未満であると、カーボンナノファイバーは剛性が低下する。剛性が低下すると、ゴム母材と混合するときに加えられる力によってカーボンナノファイバーは変形する。この場合、カーボンナノファイバーが変形することによってカーボンナノファイバーに加えられた力が吸収され、カーボンナノファイバーが抵抗となるので、ゴム組成物は粘度が上昇してゴム成形体を作製し難くなる。さらに、カーボンナノファイバーが破断しやすくなり、ゴムとの混連中に短くなってしまう。さらに、I/Iが0.7より大きいと、カーボンナノファイバーが欠陥を多く有するようになるので、カーボンナノファイバー自体の熱伝導度が低くなり、ゴム組成物は熱伝導度が低下する。
カーボンナノファイバーは、TEM写真から測定した40本のカーボンナノファイバーの外径の平均値である平均外径が20nm以上50nm未満であることが望ましい。平均外径が50nm未満になると、カーボンナノファイバーが、ゴム組成物に、より均一に分散してパーコレートしたネットワークを作りやすくなり、ゴム組成物は熱伝導度がさらに高まるからである。
なお平均外径が20nm未満になると、カーボンナノファイバーが破断しやすくなるため、カーボンナノファイバーが短くなり、ゴム組成物の熱伝導度が低下し始める。さらには層数が小さくなるため、カーボンナノファイバーが混合時に変形、破断し、ゴム組成物はムーニー粘度が高くなってしまう。
ゴム組成物は、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が100以下であることが望ましい。粘度が上昇すると、混合に余計な力が必要となるうえ、ゴム成形体の成形性が悪くなるからである。
ゴム組成物へのカーボンナノファイバーの含有割合は、ゴム組成物のムーニー粘度、熱伝導度に合わせて適宜調整される。
2.ゴム組成物の製造方法
ゴム組成物の製造方法は、(1)カーボンナノファイバーを熱処理する工程と、(2)カーボンナノファイバーとゴム母材とを混合する工程とからなる。
(1)カーボンナノファイバーを熱処理する工程は、平均層数が20層以上のカーボンナノファイバーを用意し、当該カーボンナノファイバーをAr雰囲気中において、所定温度で所定時間、熱処理する。
(2)カーボンナノファイバーとゴム母材とを混合する工程を説明する。当該工程ではまず、ゴム母材を所定温度、所定回転数で所定時間、素練りする。素練りすることで、ゴム母材の分子や分子同士の結合が切断されてゴム母材の弾性が低下し、ゴム組成物は加工しやすくなる。次に、素練りしたゴム母材に熱処理したカーボンナノファイバーを所定量投入し、所定温度、所定回転数で所定時間、混練りする。当該混合物を冷却した後、所定量の加硫促進剤及び硫黄を混合物に投入し、混合物を所定温度、所定回転数で所定時間、さらに混練りする。混練することで、ゴム母材とカーボンナノファイバー等の添加物とが均一に混合される。以上の工程を経て、ゴム組成物を得る。
3.ゴム組成物の用途
ゴム組成物は、ゴム成形体の原料として用いることができる。ゴム成形体は、ゴム組成物を所定形状に成形し、所定温度で所定時間、加硫することで作製できる。加硫することで、ゴム母材の分子間が架橋され、ゴム組成物は、硬化してゴム成形体となる。
ゴム組成物にはカーボンナノファイバーが略均一に混合されている。よってゴム組成物は、パーコレートしたカーボンナノファイバーのネットワークが形成され易く、カーボンナノファイバーを介してゴム組成物全体に熱が伝わり易い。それゆえに、ゴム組成物を用いて作製したゴム成形体は熱伝導度が高い。
4.作用及び効果
ゴム組成物は、ゴム母材と、カーボンナノファイバーとを含み、カーボンナノファイバーが、ラマン分光分析により測定されたIとIの強度比I/Iが0.7以下であり、平均層数が20層以上であるように構成した。よって、カーボンナノファイバーは、剛性が高い。そのためゴム組成物は、ゴム母材とカーボンナノファイバーとを混合するときに加えられる力によってカーボンナノファイバーが変形しにくく、粘度の上昇が抑制される。さらにはカーボンナノファイバーの破断が少なくなり、カーボンナノファイバーをより長く保っておける。よってゴム組成物は、成形性が良く、効率よく熱を伝導できるゴム成形体を容易に作製できる。またI/Iが0.7以下であるため、カーボンナノファイバーに欠陥が少なく、カーボンナノファイバー自体の熱伝導度が高い。よってゴム組成物は、より熱伝導度を向上できる。
また、ゴム組成物は、カーボンナノファイバーの平均外径が20nm以上50nm未満であるようにすることで、カーボンナノファイバーが、ゴム組成物に、より均一に分散され、パーコレートしたネットワークを作りやすい。よって、ゴム組成物は、より熱伝導度の高いゴム成形体を容易に作製できる。
5.実施例
(1)ゴム成形体の作製
実施例1〜4のシート状のゴム成形体を射出成型により作製した。実施例1では、Cheap Tubes社から入手したカーボンナノファイバー(製品名:Multi Walled Nanotubes-MWNTs 20-30nm Specifications)を用いた。当該カーボンナノファイバーをAr雰囲気中において、3000℃で1時間、熱処理した。
続いて、ゴム母材としてのシリコーン(信越シリコーン社製)100質量部を、オープンロール機(関西ロール社製、製品名:テスト用ロール機)を用いてロール幅0.5μmで、50℃、30rpmで30秒間素練りした。素練りしたシリコーンに、熱処理したカーボンナノファイバーを、含有割合が10wt%となるように投入し、50℃、30rpmで5分間混練りした。当該混合物を冷却した後、加硫促進剤(信越化学社製、製品名:t−ブチルパーオキシヘキサン)1質量部と硫黄1.5質量部とを混合物に投入し、混合物を50℃、30rpmで20分さらに混練りして実施例1のゴム組成物を得た。
最後に、実施例1のゴム組成物を射出成型によりシート状に成形し、当該シート状のゴム組成物を、高圧プレス機(太田製作所社製)を用いて150℃で15分間加硫して、厚さ2mmの実施例1のゴム成形体を作製した。
実施例2のゴム成形体は、カーボンナノファイバーの熱処理時間を2時間にした点以外実施例1と同じ条件で作製した。
実施例3のゴム成形体は、カーボンナノファイバーの熱処理時間を5時間にした点以外実施例1と同じ条件で作製した。
実施例4のゴム成形体は、昭和電工社より入手したカーボンナノファイバー(製品名:VGCF−H)を用いた点以外実施例3と同じ条件で作製した。
(2)ゴム成形体の評価方法
実施例1〜4のゴム成形体に用いるカーボンナノファイバーの平均層数と平均外径とを、熱処理前のカーボンナノファイバーについて撮影したTEM写真から測定した。カーボンナノファイバーの平均層数は、TEM写真から20本のカーボンナノファイバーについて層数を測定し、その平均値を算出して求めた。カーボンナノファイバーの平均外径は、TEM写真から40本のカーボンナノファイバーについて外径を測定し、その平均値を算出して求めた。
実施例1〜4のゴム成形体の熱伝導度を測定した。ゴム成形体をシート形状にカットし、当該断片の熱伝導度を、レーザーフラッシュ法熱物性測定装置(NETZSCH製、製品名:LAF−447)を用いて測定し、ゴム成形体の熱伝導度とした。
実施例1〜4のゴム成形体中のカーボンナノファイバーのI/Iをラマン分光分析により測定した。熱処理後のカーボンナノファイバーのラマン分光スペクトルを、ラマン分光測定装置(HORIBA社製、製品名:Xplora)を用いて測定した。また測定波長は532nmを使用した。測定したラマン分光スペクトルからフォークト関数を用いてフィッティングを行い、ピーク強度であるIとIとを取得し、ゴム成形体中のカーボンナノファイバーのI/Iを算出した。なお測定地点は10地点とした。
実施例1〜4のゴム成形体の作製に用いたゴム組成物の加硫前のムーニー粘度を、ムーニービスコメータ(島津製作所社製、商品名:SMV−300)を用いて、JIS K 6300−1に従って測定した。ムーニー粘度は、L字型のロータを用い、予熱時間を1分、ロータ回転時間を4分、試験温度を100℃として測定した。
(3)ゴム成形体の特性評価
実施例のゴム成形体との比較のために、比較例1、2として平均層数が20層未満のカーボンナノファイバーを用いてゴム成形体を作製した。比較例1のゴム成形体は、Cheap Tubes社より入手したカーボンナノファイバー(製品名:Multi Walled Nanotubes-MWNTs 8-15nm Specifications)を用いた点以外実施例1のゴム成形体と同じ条件で作製した。比較例2のゴム成形体は、熱処理時間を2時間とした点以外比較例1のゴム成形体と同じ条件で作製した。また、比較例3としてI/Iが0.7より大きいカーボンナノファイバーを用いてゴム成形体を作製した。比較例3のゴム成形体は、熱処理を行わなかった点以外実施例1のゴム成形体と同じ条件で作製した。比較例1〜3のゴム成形体についても、実施例と同様の方法で熱伝導度とゴム組成物のムーニー粘度とを測定した。実施例1〜4と比較例1〜3の測定結果を表1に示す。
Figure 2015183109
実施例1〜4のゴム成形体は、比較例1〜3のゴム成形体と比較してムーニー粘度が低いことがわかる。さらに実施例1〜4のゴム成形体は、比較例1、2のゴム成形体と比較して熱伝導度が高いことがわかる。これは、本発明のゴム組成物が、ムーニー粘度の増加を抑制しつつ、ゴム成形体の熱伝導度を向上できることを意味している。
また、実施例1〜3のゴム成形体と比較例1、2のゴム成形体を比較すると、カーボンナノファイバーのI/Iが0.7以下であっても平均層数が20層未満であると、ゴム組成物のムーニー粘度が高く、熱伝導度が低いことがわかる。また、実施例1〜3のゴム成形体と比較例3の成形体を比較すると、カーボンナノファイバーの平均層数が20層以上であってもI/Iが0.7より大きいと、ゴム組成物のムーニー粘度が高く、熱伝導度が低いことがわかる。これは、平均層数が少ない又はI/Iが大きいと、カーボンナノファイバーの剛性が低下し、ゴム母材とカーボンナノファイバーとを混合するときに加えられる力によってカーボンナノファイバーが変形し、ゴム組成物の粘度が上昇することを意味している。
以上より、本発明のゴム組成物を用いることで、熱伝導度の高いゴム成形体を容易に作製できることが確認できた。
実施例1〜3のゴム成形体と実施例4のゴム成形体を比較すると、実施例4のゴム成形体は、実施例1〜3のゴム成形体よりも熱伝導度が低いことがわかる。実施例4のゴム成形体に含まれるカーボンナノファイバーは実施例1〜3のゴム成形体に含まれるカーボンナノファイバーよりも平均外径が大きい。そのため実施例4のゴム成形体に含まれるカーボンナノファイバーは、パーコレートしたネットワークを作りにくく、ゴム組成物全体の熱伝導度が低下したと考えられる。
なお、実施例4のゴム成形体は実施例1〜3のゴム成形体よりもゴム組成物のムーニー粘度が低い。実施例4のゴム成形体に含まれるカーボンナノファイバーは、実施例1〜3のゴム成形体に含まれるカーボンナノファイバーより平均層数が多く、より剛性が高いので、ゴム母材と混合するときに加えられた力によって変形しにくい。そのため実施例4のゴム成形体は、実施例1〜3のゴム成形体よりもゴム組成物のムーニー粘度が上昇しなかったと考えられる。
実施例1〜4のゴム組成物は、ゴム組成物のムーニー粘度が100以下である。よって本発明のゴム組成物はムーニー粘度(ML1+4100℃)が100以下となるように形成されていることが確認できた。
実施例1〜3を比較すると、熱処理時間が長くなるほど、I/Iが小さくなり、その結果、粘度が低下し、熱伝導度が高くなっていることがわかる。これは、熱処理によって、カーボンナノファイバーの有する結晶の欠陥が減少し、カーボンナノファイバーの剛性がより高くなっていること、さらにはカーボンナノファイバー自体の熱伝導度が向上していることを意味している。
6.変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、カーボンナノファイバーの含有割合、平均層数、平均外径、I/I、ゴム組成物のムーニー粘度、熱処理温度、熱処理時間、ゴム母材及び加硫促進剤の種類等については、適宜変更することが可能である。

Claims (4)

  1. ゴム母材とカーボンナノファイバーとを含み、
    前記カーボンナノファイバーは、ラマン分光分析により測定されたDバンドピーク強度(I)とGバンドピーク強度(I)の強度比I/Iが0.7以下であり、平均層数が20層以上であることを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記カーボンナノファイバーの平均外径が20nm以上50nm未満であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. ムーニー粘度(ML1+4100℃)が100以下となるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて作製されていることを特徴とするゴム成形体。
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