JP2015180825A - 地熱交換器および地熱発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用する蒸気によって不純物が装置に付着することがなく、地下から取出される高温・高圧の熱水から蒸気が得られるため大容量で熱効率に優れた熱交換が可能であり、地熱帯付近における環境に悪影響を及ぼすことのない地熱交換器と地熱発電装置を提供する。
【解決手段】地熱交換器1は、高圧給水ポンプ17によって加圧された処理水が供給される加圧水注入管11と、加圧水注入管11中を地熱帯10まで下降する処理水に対して、地熱帯10から熱が供給されて生成される熱水が蒸気を含まない状態で上昇する熱水取出管12とを有しており、熱水取出管12から取出された熱水が蒸気発生器21に送られて、蒸気発生器21内のみで蒸気として取り出される。加圧水注入管11は熱水取出管12の外周側に配置されており、熱水は加圧水注水管11の下部に設けられた導入穴15を通って熱水取出管12に移る構造を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、地熱帯に存在する自然の蒸気をそのまま取出すことなく、地熱帯を熱源として熱交換を行う地熱交換器と、この地熱交換器を用いて発電を行う地熱発電装置に関する。
地熱発電のような地熱エネルギーを利用する手法は、熱源を地球の高温のマグマ層とするものであり、半永久的な熱エネルギーを利用することができ、また、発電の過程において温室効果ガスを発生しないことから、化石燃料に依存する発電の代替手段として近年注目されている。また、原子力発電所の事故により、原子力に多くを依存していた日本のエネルギー政策は根本から見直すことを余儀なくされており、この観点からも、自然環境を損なわないエネルギー獲得手段が強く求められている。
従来の地熱発電では、地熱帯をボーリングし、地熱帯に存在する自然の蒸気を自然の圧力を利用して取り出し、気水分離して使用する方法であるため、取り出された蒸気には地熱帯特有の硫黄その他の不純物が多量に含まれている。この不純物はスケールとなって、熱井戸や配管類、あるいはタービンの羽根等に付着する。スケールが付着すると、経年的に発電出力が減少し、長期間の使用が困難となる。このスケールによる問題を解決するために、地上から水を送り、加熱させて取り出す方式を採用した技術の一例が、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載されている。また、本発明者による発明が特許文献5に記載されている。
特開平9−112407号公報 実開昭57−12571号公報 特開2000−161198号公報 特開昭49−103122号公報 特開2011−52621号公報
特許文献1に記載の発明は、熱交換部前縁から導入された任意温度の流体を、地中におかれた熱交換部内で地熱により蒸気と熱水の混合体、すなわち気液二相流の状態で、熱交換部後端で取り出すものである。
また、特許文献2に記載の発明は、地下に挿入された管内に水を導入することにより、地中内で地熱により蒸気となり、その蒸気を気液分離器で液体を分離し、蒸気のみをタービン、復水器へと輸送することを特徴とするものである。
しかし、特許文献1、特許文献2には地下に送られる水を加圧するための加圧手段が記載されていない。また、特許文献3、特許文献4には、加圧手段に関する記載はあるものの、特許文献3、特許文献4における給水加圧装置は、地上から水を地下へ導入するための駆動力を得るために設置されたものであり、地下から蒸気を取り出すことが明示されている。従って、どの方式によっても、取り出されるものは熱水と蒸気が含まれた気液二相流状態であるため、気水分離して蒸気だけを取り出すためには、気水分離することが不可欠である。
また、本発明者の出願による特許文献5には、加圧水注入管と熱水取出管とを備え、加圧水注入管が熱水取出管の内部に配置され、加熱された処理水は開放された加圧水注入管の下端を通って熱水取出管に移る構造を有する地熱発電装置が記載されている。しかし、この構造によると、加圧水注入管が熱水取出管の内部に配置されているため、加圧水注入管は地熱帯からの熱を受け取りにくいという問題点がある。
本発明者はその後検討を行った結果、従来行われている地下の熱水を取出す方式、または地下熱交換器内で蒸気を発生させ、気液二相流として地上に取り出し、気水分離器を経て蒸気をタービンに導入する方式における問題点を解決し、より効率的にエネルギー取得が可能な地熱交換器と地熱発電装置の発明に至った。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、使用する蒸気によって不純物が装置に付着することがなく、地下から取出される高温・高圧の熱水から蒸気が得られるため、大容量で熱効率に優れた熱交換が可能であり、地熱帯付近における環境に悪影響を及ぼすことのない地熱交換器と地熱発電装置を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の地熱交換器は、高圧給水ポンプによって加圧された処理水が供給される加圧水注入管と、前記加圧水注入管中を地熱帯まで下降する処理水に対して、地熱帯から熱が供給されて生成される熱水が蒸気を含まない状態で上昇する熱水取出管とを有し、前記熱水取出管から取出された前記熱水が蒸気発生器に送られて、蒸気発生器内のみで蒸気として取り出される地熱交換器であって、前記加圧水注入管が前記熱水取出管の外周側に配置されており、前記熱水は前記加圧水注水管の下部を通って前記熱水取出管に移る構造を有していることを特徴とする。
加圧水注入管に対して、高圧給水ポンプによって加圧された処理水が供給され、この処理水が加圧水注入管中を下降して地熱帯に達することにより、地熱帯から処理水に熱が供給されて熱水が生成され、この熱水を地上に取り出して蒸気発生器で蒸気に変えるものであるため、蒸気に不純物が含まれておらず、地熱帯に存在する自然の蒸気を直接使用する場合のように、タービンや配管等にスケールが付着しないため、スケールを除去する必要がなく、メンテナンスが容易である。また、気液二相流によって管内で生ずる蒸気閉塞や流動不安定による振動を防ぐことができ、運転時の安全性の観点からも有利である。
また、地上に配置される蒸気発生器に送られるまで、熱水取出管からは熱水が蒸気を含まない状態で地表まで上昇して取出されるため、熱水と蒸気の混合状態である気水混合二相流として取りだす場合と比べて、エネルギー効率が高い。
さらに、加圧水注入管が熱水取出管の外周側に配置されているため、加圧水注入管は地熱帯からの熱を受け取りやすく、加圧水注入管に注入される水を効率良く高温状態にすることができる。
本発明の地熱交換器においては、地表側から地熱帯の途中に至るまでの区間では、前記加圧水注入管と前記熱水取出管との間に中間層が設けられることにより、地熱帯に近い側から順に、前記加圧水注入管と前記中間層と前記熱水取出管とからなる3重管構造となっており、前記中間層は、ガス層あるいは断熱材充填層であることが好ましい。
このような中間層を設けることにより、高温の熱水が上昇する熱水取出管から加圧水注入管への熱伝導を防止することができ、熱水取出管中の熱水を高温状態のまま取りだすことができる。特に、地表側から地熱帯の途中に至るまでの区間では、熱水取出管と加圧水注入管との温度が著しく異なっているため、この区間に中間層を設けて断熱することによる熱損失防止効果は大きい。
本発明の地熱交換器においては、前記熱水取出管の断面積は、前記加圧水注入管の断面積より小さくなるように、前記熱水取出管と前記加圧水注入管とが形成されていることが好ましい。
ここでの断面積とは、主流と垂直な方向について、熱水取出管および加圧水注入管を切断したときの断面積を意味する。
これにより、加圧水注入管から熱水取出管に移った熱水が熱水取出管内を上昇する際の流速を早くすることができる。そのため、熱損失を防いで、熱水取出管中の熱水を高温状態で取りだす効果が期待できる。
本発明の地熱交換器においては、前記加圧水注入管は、熱伝導性の高い材料で形成され、前記中間層を構成する中管と前記熱水取出管は、断熱性の高い材料で形成されていることが好ましい。
これにより、加圧水注入管を下降する水に対して地熱帯からの熱が効果的に伝導するとともに、熱水取出管中を上昇する熱水からの熱伝導は抑制されるため、熱水取出管中の熱水を高温状態で取りだすことができる。
本発明の地熱交換器においては、前記熱水取出管の外側に直接、前記加圧水注入管が形成される2重管構造となっている区間では、前記熱水取出管の外周に導入穴が複数設けられており、この導入穴によって、前記加圧水注入管の下部付近に存在する熱水が前記熱水取出管に取りこまれることが好ましい。
これにより、最高温部と予想される最下部領域における流体の滞留時間を増やし、地熱帯からの熱の供給により高温となった加圧水注入管内の水が熱水取出管へスムーズに移ることができる。
本発明の地熱交換器においては、前記熱水取出管の全長に亘ってその外側に前記中間層が設けられた3重管構造となっており、前記熱水取出管の最下部から熱水が取りこまれる構造とすることができる。
中間層が熱水取出管の全長に亘って設けられているため、中間層による加圧水注入管と熱水取出管との断熱効果を高めることができる。
本発明の地熱交換器においては、前記加圧水注入管の外周側に、地下に存在する天然の熱水または蒸気が地熱井を上昇することを防止する中間蓋部が設けられていることが好ましい。
これにより、地下に存在する天然の熱水または蒸気が地上に上昇して、熱源が保有する熱エネルギーが失われることを防止できるとともに、天然の地熱水や蒸気が失われて自然環境が破壊されることを防止することができる。
本発明の地熱交換器においては、前記加圧水注入管には、伝熱面積を増大させて地熱帯からの伝熱を促進する伝熱面積増大手段が設けられていることが好ましい。
伝熱面積増大手段が設けられていることにより、地熱帯の熱が加圧水注入管に伝達されやすくなり、加圧水注入管内を流れる加圧水を効率良く加熱することができる
本発明の地熱交換器においては、前記加圧水注入管の底部には支持台が取り付けられていることが好ましい。
加圧水注入管、熱水取出管からなる2重管構造体、あるいは加圧水注入管、熱水取出管、中間層からなる3重管構造体の荷重を支持台によって分散して受けることができ、吊り下げ方式のものよりも、地熱井に対して安定して設置することができる。
本発明の地熱交換器においては、前記3重管構造の部分の最深部と途中の任意の位置に、振動防止のための補強部が設けられていることが好ましい。
3重管構造の部分では、振動、特に横方向の振動が発生しやすいが、補強部を設けることにより、この部位での振動を防止することができる。
本発明の地熱交換器においては、少なくとも1つの前記熱水取出管と1つの前記加圧水注入管とが組み合わされてなる挿入管が、1つまたは複数の地熱井に対して1つまたは複数挿入され、この挿入管と地上に配置される前記高圧給水ポンプと前記蒸気発生器とが組み合わされて構成されることとすることができる。
1つの地熱井に対して1つの挿入管を挿入して使用することも可能であるが、ボーリングする場所によって、温度・圧力ともそれぞれ異なるため、発電に利用した場合に、地熱井1つに対する発電出力がそれぞれ違うこととなる。そのため、複数の地熱井に対して、挿入管の熱水取出管の出口を並列につなぎ、それぞれの地熱井を用いて得られる熱水を合計して採集することで、蒸気発生器・タービン・復水器・発電機・変圧器等の容量を大きく設計することができ、発電所全体の効率がアップするという利点がある。
本発明の地熱交換器においては、前記地熱井は、既存の設備に付帯するものであることとすることができる。
既存の設備に付帯する空の地熱井や休止中の地熱井に対して、熱水取出管と加圧水注入管とが組み合わされて構成される挿入管を挿入して用いることにより、新たにボーリングを行うことなく、熱水によるエネルギーを取出すことができる。
本発明の地熱発電装置は、上述した地熱交換器を用いて発電を行うことを特徴とする。
本発明の地熱交換器を用いて発電を行うことにより、自然環境に悪影響を与えることなくエネルギー効率の高い発電を行うことができる。
本発明によると、使用する蒸気によって不純物が装置に付着することがなく、地下から取出される高温・高圧の熱水から蒸気が得られるため、大容量で熱効率に優れた熱交換が可能であり、地熱帯付近における環境に悪影響を及ぼすことのない地熱交換器と地熱発電装置を実現することができる。
本発明の実施形態に係る地熱交換器の構成を示す図である。 発電機室の構成を示す図である。 熱水取出管の全長に亘ってその外側に中間層が設けられた構造のものを示す図である。 加圧水注入管の外周側に、伝熱面積増大手段が設けられた構造のものを示す図である。 加圧水注入管の外周側に、中間蓋部が設けられた構造のものを示す図である。 水の相図である。 飽和沸騰域における熱伝達様式の変化図である。 熱水のみの単相流として取り出す場合の、配管材料(熱伝導率)の違いによる入口圧力の変化を示す図である。 熱水のみの単相流として取り出す場合の、ボイド率の変化を示す図である。 熱水のみの単相流として取り出す場合の、液相温度の変化を示す図である。 熱水のみの単相流として取り出す場合の、流量0.001m3/sの場合の熱出力を示す図である。 熱水のみの単相流として取り出す場合の、流量変化による熱出力変化を示す図である。 気液二相流として取り出す場合の、配管材料(熱伝導率)の違いによる入口圧力の変化を示す図である。 気液二相流として取り出す場合の、流量0.001m3/sの場合の熱出力を示す図である。 気液二相流として取り出す場合の、流量変化による熱出力変化を示す図である。 気液二相流として取り出す場合の、ボイド率の変化を示す図である。
以下に、本発明の地熱交換器と地熱発電装置をその実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る地熱交換器の構成を示す図である。図1(a)は、地熱交換器の概観を示す図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図であり、図1(c)は、図1(a)のB−B断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る地熱交換器1は、地熱井2に挿入され、加圧水注入管11と熱水取出管12とを有しており、加圧水注入管11が熱水取出管12の外周側に配置されている。加圧水注入管11と熱水取出管12とはいずれも地中に埋設されており、加圧水注入管11と熱水取出管12の下部寄りの所定の区間が、地下深部に存在する地熱帯10に接するように、加圧水注入管11と熱水取出管12の深さが設定されている。この構造とすることにより、地熱帯10を熱源として加熱されて生成された高圧熱水は、加圧水注入管11の下部を通って熱水取出管12に移る構造を有している。
地熱交換器1は、地表3側から地熱帯10の途中に至るまでの区間では、加圧水注入管11と熱水取出管12との間に中間層13が設けられている。すなわち、この区間においては、地熱帯10に近い側から順に、加圧水注入管11、中間層13、熱水取出管12からなる3重管構造となっている。中間層13は、ガス層あるいは断熱材充填層として、断熱効果を持たせている。ガス層とすることの一例として、中空あるいは減圧状態もしくは真空とすることもできる。また、中間層13自体を断熱性の高い材料で形成してもよく、中空ではなく閉管として形成してもよい。
地熱帯10に接する加圧水注入管11は、加圧水注入管11を下降する注入水に対する地熱帯10からの熱の供給を良くするために、セラミック系複合材料または、炭素系複合材料のように熱伝導性が高く強度に優れた材料で形成されている。一方、中間層13を構成する中管14と熱水取出管12は、熱水取出管12を流れる熱水の高温状態を維持するために、断熱性の高い材料で形成されている。その一例として、通常の金属材料に断熱材コーティングを施したもの等を用いることができる。3重管構造となっている部分では、高圧給水ポンプ17によるポンプ圧と地熱帯10からの地熱圧がはたらくため、これらの圧力とのバランスを考慮して強度を持たせつつ、地熱帯10からの熱伝導性を良くするために、外管である加圧水注入管11の管厚を薄くしている。
上述した3重管構造となっている区間よりも下側では、熱水取出管12の外側に直接、加圧水注入管11が形成される2重管構造となっている。この区間では、熱水取出管12の外周に導入穴15が複数設けられており、この導入穴15によって、加圧水注入管11の下部付近に存在する熱水が熱水取出管12に取りこまれる。加圧水注入管11の下端11bは、強度を確保するために厚い構造とし、熱水取出管12の下端12bを支える構造となっている。
3重管構造の部分の最深部と途中の任意の位置の数か所には、横方向の振動防止のための補強部16が設けられている。補強部16の具体的な構造として、支持枠を形成した構造を採ることができる。中管14の地表3側上部に対して圧力調整部18が設けられており、この圧力調整部18によって中管14の圧力調整がなされる。また、地熱井2対して地表3において蓋19が取り付けられており、これにより、自然の温泉水の流出を防いで、環境破壊を防止している。3重管構造部分は、工場にて作製した一定の長さの3重管を現場で継ぎ足す方法で地下に挿入する。
図1(b)、図1(c)に示すように、内管である熱水取出管12の断面積は、外管である加圧水注入管11の断面積より小さくなるように形成されている。これにより、熱水取出管12内を上昇する熱水の流速を早くすることができ、熱損失を防ぐ効果が期待できる。
加圧水注入管11には、上端11a側から、高圧給水ポンプ17によって加圧された、不純物を除去した高純度の処理水が供給され、この処理水は、加圧水注入管11中を白い矢印で示すように降下して、下端11b付近に達する。下端11b付近では、黒い矢印で示すように地熱帯10から供給される熱によって処理水は加熱され、加熱された処理水は、導入穴15を通って熱水取出管12に移り、加圧状態と高温状態を維持しつつ熱水取出管12中を白い矢印で示すように上昇して、蒸気を含まない熱水のみの状態として上端12aに達して取出される。
このことからわかるように、高圧給水ポンプ17は、蒸気を含まない熱水のみの状態として取出すために必要な圧力を、加圧水注入管11に注入される処理水に対して与えている。この加圧の具体的な実現可能性については後に詳述する。
熱水取出管12から取出された熱水は、蒸気発生器21に送られて減圧される。蒸気発生器21では、加圧水注入管11に注入される処理水への加圧圧力よりも低い圧力条件下で高圧状態が維持されており、これによって、高温・高圧の蒸気を得ることができる。この高温・高圧の蒸気が生成されることにより、大きな熱エネルギーの移動が可能となる。
この方式によると、地下の地熱交換器・配管等で水を沸騰させることなく、高圧給水ポンプ17で圧力をかけて熱水のみを地上に取出し、蒸気発生器21内だけで減圧沸騰させ、高温・高圧の蒸気を取り出すことができる。
地熱交換器1は、少なくとも1つの熱水取出管12と1つの加圧水注入管11とが組み合わされて構成される挿入管が、1つまたは複数の地熱井2に対して1つまたは複数挿入され、この挿入管と地上に配置される高圧給水ポンプ17と蒸気発生器21とを組み合わせて構成することができる。
1つの地熱井に対して1つの挿入管を挿入して使用することも可能であるが、ボーリングする場所によって、温度・圧力ともそれぞれ異なるため、発電に利用した場合に、地熱井1つに対する発電出力がそれぞれ違うこととなる。そのため、複数の地熱井に対して、挿入管の熱水取出管の出口を並列につなぎ、それぞれの地熱井を用いて得られる熱水を合計して採集することで、蒸気発生器・タービン・復水器・発電機・変圧器等の容量を大きく設計することができ、発電所全体の効率がアップするという利点がある。
例えば、3つの地熱井を使用する場合、それぞれの地熱井での熱出力を発電機出力に換算して、1号井500kW、2号井400kW、3号井600kWである場合、3ユニット独立で発電システムを構築するより、これらを合計して、1号井+2号井+3号井=1500kWの1ユニットとして設計すれば、全体の出力は同じでも、蒸気発生器・タービン・復水器・発電機、変圧器の容量を大きく設計することができ、電気機器の効率は容量によってアップするため、発電に利用した場合には発電所全体の効率がアップすることになる。また、工事費等の建設費を格段に安くすることができる。
また、地熱交換器1は、新設の地熱井2を用いることができる他、既存の設備、例えば、既存の地熱発電所に付帯する地熱井2であって、空の地熱井や休止中の地熱井に対して、熱水取出管12と加圧水注入管11とが組み合わされて構成される挿入管を挿入して用いることができる。
本発明のように、加圧水注入管11と熱水取出管12とを地熱井2に挿入する構成の地熱交換器においては、加圧された処理水が加圧水注入管11に供給され、熱水取出管12からは蒸気を含まない熱水のみが取り出されるようにすることによって、格別の効果を有する。
例えば、気水混合状態での取り出しと、高圧熱水での取り出しとの比較を、取出管の管径と関連付けて行うと、気水混合状態での取り出しによって、高圧熱水での取り出しと同じ量のエネルギーを得るためには、取出管の管径を、高圧熱水での取り出しの場合よりも大きくすることが必要となる。しかし、取出管の管径を大きくすると、取出管を形成するために行うボーリングの断面積が大きくなり、工事の際や運転時における温泉資源に与える損失が大きくなるなど、環境への負荷が大きくなるという欠点がある。また、工事が大掛かりとなることによる工事設備の大型化が避けられず、工期の長期化やコスト高の要因となる。
また、地下で沸騰させる方式では、流体力学的な不安定性や、蒸気閉塞などの問題により実現性に困難が伴う。さらに、気液二相流の熱伝達率は熱水のみの単相流の熱伝達率に比べて非常に大きくなるので、熱媒体を長距離に亘って輸送する際のエネルギー損失が大きい。
これに対し、本発明によると、地上で減圧沸騰させることで、地熱によって作動媒体が得た熱量(エネルギー)を高効率で変換できるばかりでなく、上述した理由により熱水取出管の管径を小さく設定することができ、これにより、環境への負荷を低減し、工事が大掛かりとなることを抑制することが可能である。
このように、加圧された処理水が加熱されて得られる熱水のみを取り出す方式は、加圧水注入管11と熱水取出管12とを必須の構成要件とする本発明において、管径を小さく維持することができることによって、環境への負荷を配慮しつつ、大容量で高効率の発電を可能とするものであり、加圧された処理水が加熱されて得られる熱水を取り出す方式が本発明の構成に適用されることによって、極めて有利であって固有の作用効果を生じる。
図2に、発電機室20の構成を示す。
蒸気発生器21で生成された蒸気は蒸気過熱器22でさらに加熱されて、高温・高圧の蒸気としてタービン23に送られ、発電機24で発電がなされる。タービン23内の蒸気は復水器25に送られ、復水器25によって生成される復水は、高度処理水と合わせて、高圧給水ポンプへ送られ、再び地熱井へ送られる。
図2では、本発明の地熱交換器を地熱発電に用いた例を示しているが、本発明の地熱交換器の適用対象はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の地熱交換器によって得られた蒸気を空調に直接用いるシステムとして利用することが可能であり、その他の利用も可能である。
図3に、熱水取出管の全長に亘ってその外側に中間層が設けられた構造のものを示す。
図3に示すように、中間層13が熱水取出管12の全長に亘ってその外側に設けられた3重管構造となっており、熱水取出管12の最下部に熱水取入口26が設けられている。加圧水注入管11を下降して加熱された熱水は、熱水取入口26から熱水取出管12に取り込まれる。この構造によると、中間層13が熱水取出管12の全長に亘って設けられているため、中間層13による加圧水注入管11と熱水取出管12との断熱効果を高めることができる。
図4に、加圧水注入管の外周側に、中間蓋部が設けられ構造のものを示す。図4(a)は、地熱交換器の概観を示す図であり、図4(b)は、図4(a)のC−C断面図である。
図4に示すように、加圧水注入管11の深さ方向の中間位置において、加圧水注入管11の外周側に中間蓋部27が設けられている。中間蓋部27は、地熱井2を塞ぐように、加圧水注入管11の外周に亘って径方向に突出するように設けられたものであり、地熱井2は中間蓋部27によって上下方向に仕切られる構造となっている。
このような中間蓋部27が存在することにより、地下に存在する天然の熱水が地上に上昇することを防止できる。また、天然の蒸気は中間蓋部27によって凝縮して地下に戻る。そのため、熱源が保有する熱エネルギーが失われることを防止できるとともに、天然の地熱水や蒸気が失われて自然環境が破壊されることを防止することができる。
加圧水注入管11の底部には、支持台28が取り付けられており、支持台28の下端面が地熱井2の底部に接するように配置される。この支持台28を設けることにより、加圧水注入管11、熱水取出管12からなる2重管構造体、あるいは加圧水注入管11、熱水取出管12、中間層13からなる3重管構造体の荷重を支持台28によって分散して受けることができ、吊り下げ方式のものよりも、地熱井2に対して安定して設置することができる。支持台28の数は状況に応じて適宜変更できる。
図5に、加圧水注入管の外周側に、伝熱面積増大手段が設けられた構造のものを示す。図5(a)は、地熱交換器の概観を示す図であり、図5(b)は、図5(a)のD−D断面図である。
図5に示すように、加圧水注入管11の外周側には、伝熱面積を増大させて地熱帯からの伝熱を促進する伝熱面積増大手段として機能する側壁フィン29が複数設けられている。側壁フィン29は、加圧水注入管11の外周に亘って径方向に突出するように設けられた円盤状の形状とすることができる他、その形状と数は状況に合わせて適宜変更できる。
また、加圧水注入管11の底部には、下方向に向かって突出する構造の底部フィン30が設けられている。この底部フィン30も伝熱面積増大手段として機能するものである。図5においては、ピン型形状のものを示しているが、その形状と数は状況に合わせて適宜変更できる。
なお、上述した中間蓋部27、支持台28、側壁フィン29、底部フィン30は、図3に示す構造のものに対しても同様に取り付けることができる。また、図3に示すものに対して、図1に示すものと同様に、3重管構造の最下部に補強部16を設けることができる。
本発明は、地上より高圧給水ポンプ17で加圧された水を、地下の地熱交換器内部で蒸気を発生させることなく、気体を含まない状態、すなわち単相流として地上へ取り出し、その後、蒸気発生器21で減圧して沸騰させることにより蒸気として地熱を取り出すことに大きな特徴がある。以下に、その実現可能性について、詳細に説明する。
図6に水の相図を示す。液体から気体へ相変化を起こす時、すなわち、図6のT−Cの線を左から右へ横切る際の温度が沸点であり、沸点は圧力を上げることによって高くすることができる。本発明の給水加圧は、地下地熱交換器(単相流1軸3重管式地熱交換器)内でのこの相変化を抑制することを目的に設置するものであり、地下地熱交換器内で蒸気を発生させず、意図的に単相の熱水として取り出すものである。
従来技術の地熱発電所では、地下からの気液二相流を気水分離器によって蒸気と水に分離する、フラッシュ方式(1度だけ気水分離器を通す方式をシングルフラッシュと呼び、さらに高い発電効率を得るためにさらにもう1度気水分離器を通す方式をダブルフラッシュと呼ぶ)を採用しているが、この方式と比較すると、本発明が、自然の蒸気を取り出す方式ではなく、高圧ポンプによる圧入から蒸気発生・タービン・復水器にいたるまで完全な閉鎖ラインを構成していることによる優位性がある。そのため、ポンプで圧力をかけて、気水混合(気液ニ相流)として取り出す場合と比較して検討を行った。
一般に実用化されている地熱発電技術は、自然の熱水または、地下熱交換器内で蒸気を発生させて、熱水と蒸気の混合体、すなわち気液二相流として地上へ取り出す。蒸気中に水滴(熱水および蒸気の凝縮水)が混入すると、タービンの熱効率は、乾き蒸気(蒸気のみの状態)で作動する場合に比べて、効率が著しく低下する、いわゆる湿り損失が生じることが知られている。また、蒸気中の水滴が高速で回転するタービン動翼あるいは配管内壁に衝突することにより、エロージョン(衝突摩耗)を受け、さらなる効率の低下のみならず機器損傷を引き起こす原因となる。
そのため、取り出した気液二相流は、タービンに導入される前段で、気水分離器によって機械的に蒸気と水に分離させる必要があるが、それがコストを引き上げる要因にもなる。沸騰水型原子炉でも炉心で生じた気液二相流は気水分離器とその後段にさらに蒸気乾燥器を設置し、より乾き蒸気に近づける工夫をしている。すなわち、気液二相流として地下熱交換器で地中熱を授受した場合、液相に蓄えられた熱量は捨てざるを得ない。
地下熱交換器を流れる流体の熱伝達を考えた場合、気液二相流の熱伝達率は一般に単相流のそれより格段に大きい。強制流動沸騰系の熱伝達は、沸騰の様相によって細かく分類され複雑であるが、その一例として図7に飽和沸騰、すなわち液体の温度が飽和温度に等しいか、あるいはわずかに高く、有効な蒸気の発生が行われている状態の流れにおける熱伝達率を示している。この熱伝達率とは、流れている流体から、それに接する壁へいかに熱が伝わりやすいかを示す尺度である。縦軸は気液二相流の場合の熱伝達率hTPと単相流の場合の熱伝達率hLzの比を表わし、横軸は、Lockhart-Martinelliパラメータと呼ばれる量で、気液二相流の圧力損失や伝熱の整理の際に一般に用いられるものである。図7から、気液二相流の熱伝達率は単相流のそれに比して、10倍から数10倍になることが分かる。なお、飽和沸騰域における熱伝達様式の変化を示す図7は、J. G. Collier, "Convective Boiling and Condensation," McGraw-Hill, New York. (1972)より引用している。
地下熱交換器において、給水側を内管とした場合と、外管とした場合のいずれにおいても、取水時に配管壁を通じて低温部(外管取水の場合は低温地中と内管低温給水、内管取水の場合は外管給水)と熱交換を行う。完全な断熱材というものは存在せず、高温部である取水側から低温部への熱移動が必ず生じる。
上述のように、気液二相流の場合、単相流に比べてその伝わる量が格段に大きい、すなわち熱を奪われやすいため、地下深部で受熱した地中熱を地上に運ぶ前に、地下熱交換器内あるいは地中に戻すことになり、熱効率が低下するかあるいは蒸気を取り出すことができなくなる可能性がある。
また、気液二相流は、非常に複雑な流動様式、伝熱機構を有する。さらに浮力の影響などがそれに加わると、現象はより複雑かつ不安定になる。本発明は、数100m〜kmのオーダーで3重管熱交換器を製造することを想定しているが、深部においてさらに地下圧が体系に加わった場合には正常に気液二相流が駆動されるか不明である。
特に、このように長い流路の3重管の場合、蒸気発生による振動が問題となる。この問題は原子炉でも取り上げられており、これを防ぐ方策が開発されている状況である。振動が増幅されれば、機器の損傷を引き起こす。さらに重要な点は、どの地点で蒸気が発生するかである。
最底部が最も高温になるため、最底部で蒸発するかあるいは上昇流の間に減圧沸騰で蒸気が発生する可能性が高い。いずれの場合も最も懸念されるのは、発生した蒸気よって生じた高圧部が流路を閉塞させるベーパーロックと呼ばれる現象の発生である。ベーパーロック自体は、逆止弁等で防ぎきれる事象ではなく、これが生じた場合、過熱による機器破損を引き起こす可能性があり、これを防ぐ必要がある。
次に、数値解析による本発明の実現可能性について説明する。試行計算では、1000mの坑井に本発明の熱交換器(外管径80mm)を設置して、地下最深部の温度を270℃とした。計算容量、時間の制限により熱交換器の外径が小さなものになっているが、実際にも同程度の熱交換器を多数台地中に設置してモジュール型熱交換器として使用することも想定している。また、流量を基準に考えると、伝熱に関しては、管径の大小に大きく左右されることはない。
図8は、熱交換器総経路2000m間で全く相変化を起こさず、熱交換器出口において熱水として取り出すために必要な入口圧力を示す。横軸は、熱交換器の熱伝導率である。変化させた熱伝導率は既存の材料で十分に達成できる値である。いずれの場合も流量は0.001m/s(3.6m/h)であり、また出口での熱水圧力が6MPaになるように入口圧力を調整している。この流量、また加圧は従来の汎用加圧ポンプで十分可能な値である。
また、図9には、熱交換器内の温度分布とボイド率の入口からの距離に対する変化を示す。ボイド率とは、気液二相流のある体積での気相の占める割合であり、0から1の範囲の値を示す。0の場合が水のみ、1の場合が蒸気のみの状態となる。配管の熱伝導率が0.01W/mK(熱が逃げにくい)、0.1W/mK(熱が逃げやすい)の場合のみについて示すが、当然ながらボイド率は全区間にわたって0を示している。
図10には、図9に対応した全区間にわたる液相温度変化を示す。図10からわかるように、出口において概ね260℃かつ6MPaの熱水を取り出すことができる。図11は、流量0.001m/sの場合の熱出力を示す図であり、図11のように投入ポンプ動力に比して大きな熱出力を得ることができる。また、図12は、流量変化による熱出力変化を示す図であり、流量を上げることにより熱出力を上げることができる。
なお、図11、図12において、出力と表示しているものは、地熱井から取り出す熱出力をKWで表示したものであり、出力−動力と表示しているものは、熱出力から高圧給水ポンプ容量を差し引いた数値であり、実質の熱出力に相当するものである。また、ポンプ動力と表示しているものは、高圧給水ポンプの容量である。これらの表示は、図14、図15においても同様である。
次に、同じ計算コードを用いて、図13から図16に、地下熱交換器内で蒸気を発生させ、気液二相流として取り出す場合の計算結果を示す。これは先述の単相流として取り出した場合と同規模の熱出力を取り出すことを仮定したものである。
図13は、配管材料(熱伝導率)の違いによる入口圧力の変化を示しており、図14は、流量0.001m/sの場合の熱出力を示し、図15は、流量変化による熱出力変化を示している。この場合、出口圧力は3.5MPaとなる。ただし、熱出力は気液二相流として有する熱量から導いたものであり、先に述べたように、この後の気水分離によって蒸気の熱のみが利用される。
また、図16は、図9と比較するボイド率変化の様子である。最下部を越して、上昇流領域において沸騰が開始され、熱交換器配管材料の熱伝導率が0.1W/mKの場合は出口のボイド率が約0.7(体積割合で30%は水)、0.01W/mKの場合で0.8程度である。また、0.01W/mKの計算結果から、出口近傍において気液二相流の状態が目まぐるしく変化していることが分かる。この計算には、上述したベーパーロックや沸騰(気泡生成)に起因する不安定性などは考慮されておらず、極めて理想的な条件での流れとなっていることがわかる。
以上の結果から、本発明の特徴点である、地上より高圧給水ポンプで加圧された水を、地下の地熱交換器内部で蒸気を発生させることなく、気体を含まない状態、すなわち単相流として地上へ取り出し、その後、蒸気発生器で減圧して沸騰させることにより蒸気として地熱を取り出すことの実現可能性は証明されている。また、気液二相流を使用するにあたっての種々の問題を排除しつつ、気液二相流を使用した場合と同等の熱効率を、単相流によって容易に得ることができることも証明されている。
本発明は、使用する蒸気によって不純物が発電装置に付着することがなく、地下から取出される高温・高圧の熱水から蒸気が得られるため大容量で熱効率に優れた熱交換が可能であり、地熱帯付近における環境に悪影響を及ぼすことのない地熱交換器と地熱発電装置として利用することができる。
1 地熱交換器
2 地熱井
3 地表
10 地熱帯
11 加圧水注入管
11a 加圧水注入管の上端
11b 加圧水注入管の下端
12 熱水取出管
12a 熱水取出管の上端
12b 熱水取出管の下端
13 中間層
14 中管
15 導入穴
16 補強部
17 高圧給水ポンプ
18 圧力調整部
19 蓋
20 発電機室
21 蒸気発生器
22 蒸気過熱器
23 タービン
24 発電機
25 復水器
26 熱水取入口
27 中間蓋部
28 支持台
29 側壁フィン
30 底部フィン

Claims (13)

  1. 高圧給水ポンプによって加圧された処理水が供給される加圧水注入管と、前記加圧水注入管中を地熱帯まで下降する処理水に対して、地熱帯から熱が供給されて生成される熱水が蒸気を含まない状態で上昇する熱水取出管とを有し、
    前記熱水取出管は、熱伝導性の高い材料で形成され、熱伝導率が0.01W/mK〜0.1W/mKの配管で作製され、
    前記熱水取出管から取出された前記熱水が蒸気発生器に送られて、蒸気発生器内のみで蒸気として取り出される地熱交換器であって、前記加圧水注入管が前記熱水取出管の外周側に配置されており、前記熱水は前記加圧水注水管の下部を通って前記熱水取出管に移る構造を有していることを特徴とする地熱交換器。
  2. 地表側から地熱帯の途中に至るまでの区間では、前記加圧水注入管と前記熱水取出管との間に中間層が設けられることにより、地熱帯に近い側から順に、前記加圧水注入管と前記中間層と前記熱水取出管とからなる3重管構造となっており、前記中間層は、ガス層あるいは断熱材充填層であることを特徴とする請求項1記載の地熱交換器。
  3. 前記熱水取出管の断面積は、前記加圧水注入管の断面積より小さくなるように、前記熱水取出管と前記加圧水注入管とが形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の地熱交換器。
  4. 前記加圧水注入管は、熱伝導性の高い材料で形成され、前記中間層を構成する中管と前記熱水取出管は、断熱性の高い材料で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の地熱交換器。
  5. 前記熱水取出管の外側に直接、前記加圧水注入管が形成される2重管構造となっている区間では、前記熱水取出管の外周に導入穴が複数設けられており、この導入穴によって、前記加圧水注入管の下部付近に存在する熱水が前記熱水取出管に取りこまれることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の地熱交換器。
  6. 前記熱水取出管の全長に亘ってその外側に前記中間層が設けられた3重管構造となっており、前記熱水取出管の最下部から熱水が取りこまれることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の地熱交換器。
  7. 前記加圧水注入管の外周側に、地下に存在する天然の熱水または蒸気が地熱井を上昇することを防止する中間蓋部が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の地熱交換器。
  8. 前記加圧水注入管には、伝熱面積を増大させて地熱帯からの伝熱を促進する伝熱面積増大手段が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の地熱交換器。
  9. 前記加圧水注入管の底部には支持台が取り付けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の地熱交換器。
  10. 前記3重管構造の部分の最深部と途中の任意の位置に、振動防止のための補強部が設けられていることを特徴とする請求項2から9のいずれかに記載の地熱交換器。
  11. 少なくとも1つの前記熱水取出管と1つの前記加圧水注入管とが組み合わされてなる挿入管が、1つまたは複数の地熱井に対して1つまたは複数挿入され、この挿入管と地上に配置される前記高圧給水ポンプと前記蒸気発生器とが組み合わされて構成されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の地熱交換器。
  12. 前記地熱井は、既存の設備に付帯するものであることを特徴とする請求項11記載の地熱交換器。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の地熱交換器を用いて発電を行うことを特徴とする地熱発電装置。

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