JP6695561B1 - 地熱交換器および地熱発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】約180℃以下の中低温の地熱帯を用いても、効率良く熱交換を行うことができ、地熱開発の対象となる場所の数を増やして、地熱エネルギー採取量を増やすことを可能とする地熱交換器と、この地熱交換器を用いて効率良く大容量の発電を行うことが可能な地熱発電装置を提供する。【解決手段】生産された気液2相流は上昇して地上に取出され、フラッシャー10内で、蒸気と圧力水に分離される。地上では、フラッシャー10に接続された蒸気加熱器15と、蒸気加熱器15の出口側に設けられた増圧ファン16とを備えている、分離によって生じた蒸気単相流は、蒸気加熱器15によって加熱されて過熱蒸気となり、この過熱蒸気は増圧ファン16によって蒸気加熱器15の出口において増圧される。【選択図】図1

Description

本発明は、地熱エネルギーを効率よく取り出すことができる地熱交換器および地熱発電装置に関する。
地熱エネルギーを利用して発電する地熱発電は、高温のマグマ層を熱源とするものであり、半永久的な熱エネルギーとすることができるとともに、発電の過程において温室効果ガスを発生しないことから、化石燃料の代替手段として近年注目されている。また、原子力発電所の事故により、原子力に多くを依存していた日本のエネルギー政策は根本から見直すことを余儀なくされており、地熱エネルギーの活用への期待が高まっている。
従来の地熱発電は、地熱帯をボーリングし、地熱帯に存在する自然の蒸気や熱水を自然の圧力を利用して取り出し発電を行っている。そのため、取り出された蒸気と熱水には、地熱帯特有の硫黄その他の不純物が多量に含まれている。この不純物はスケールとなって、熱井戸や配管類、あるいはタービン等に付着する。スケールが付着すると、経年的に発電出力が減少し長期間の使用が困難となる。
このスケールによる問題を解決するために、地上から水を送り、エネルギーを採取する方式を採用した地熱交換器が、特許文献1、特許文献2に記載されている。また、地熱エネルギーを有効に取り出すことを目的として、地下においてフラッシュ率を向上させる手段を備えた地熱交換器に関する発明が、特許文献3に記載されている。
特許第4927136号公報 特許第5731051号公報 特許第6176890号公報
特許文献3に記載されたものは、地下に設置された地熱交換器で取出した高温熱水と蒸気の気液2相流を取出すものであるが、高温の地熱地帯をピンポイントで探すことが難しく、このことがボーリング費用を押し上げる大きな原因となっている。一般的に地熱開発では、投資金額に見合う坑井の開発は非常に難易度が高く、また、メンテナンスにおいても非常に高額なるという欠点がある。
また、特許文献3に記載されたものは、地下で発生させた気液2相流の圧力水を地上に設置されたフラッシャー内で分離させて蒸気を発生させるものであるが、この場合において、蒸気を発生させるメカニズムは、蒸気温度を圧力水より低い温度で減圧沸騰させることが基本であるため、蒸気温度を高くするためには、高温の地熱帯を探さなければならない。
さらに、特許文献3では、取り出す圧力水の温度を上げるために、地中深くボーリングをしなければ、十分な地熱が得られないことが欠点となっている。このことがボーリング工事費用を押し上げ、ボーリング地点が少なくなるという逆循環になっている。
国が推し進める超臨界地熱発電においては、374℃、22MPa以上の領域までボーリングしなければならない。この場合において、2重管を直線状に施工することが難しい場合には、斜め掘りや水平掘り、非直線状のボーリングを行うことが必要になる。さらに、日本国内の主要な地熱地帯は、多くの場合温泉地域であり、温泉枯渇を心配する地域の同意を得るために、地熱流体を取出さない高効率の地熱交換システムの開発が重要である。また、地熱開発においては、全国に圧倒的に多く存在する、約180℃以下の中低温地帯を対象とした地熱発電システムの開発が重要である。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、約180℃以下の中低温の地熱帯を用いても、効率良く熱交換を行うことができ、地熱開発の対象となる場所の数を増やして、地熱エネルギー採取量を増やすことを可能とする地熱交換器と、この地熱交換器を用いて効率良く大容量の発電を行うことが可能な地熱発電装置を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の地熱交換器は、地中に設けられ地上から水が供給される外管と、前記外管の内側に配置された内管とを備えた2重管構造であり、内管はその底部に設けられた仕切弁を備え、外管内の水に対して地熱帯から熱が供給されて、沸騰せずに高圧熱水が生成される高圧エリアが形成され、仕切弁が開いたときに高圧エリアの高圧熱水が内管内に流入し、内管内の減圧エリアの上部はタービンが必要とする圧力近くに減圧されて気液2相流に変換され、この気液2相流が地上に取出される地熱交換器であって、減圧エリアでのフラッシュ率を向上させる第一のフラッシュ率向上手段を有し、第一のフラッシュ率向上手段は、仕切弁が設置された位置における高圧エリア内の高圧熱水の圧力と内管内の減圧エリアとの圧力差が設定基準値を超えたときに仕切弁が開いて、減圧エリアにおける圧力が、タービンが必要とする圧力近くに減圧されて気液2相流に変換されることによるものであり、外管に注入される水を加圧ポンプにより加圧する圧力を設定することによって、仕切弁が開くようになっており、地上でのフラッシュ率を向上させる第二のフラッシュ率向上手段を有し、第二のフラッシュ率向上手段は、地上に配置されたフラッシャーと、フラッシャーに接続された蒸気加熱器と、蒸気加熱器の出口側に設けられた増圧ファンとによって構成され、フラッシャーで気水分離されて単相流となった蒸気を、蒸気加熱器で加熱して過熱蒸気とし、この過熱蒸気を増圧ファンによって蒸気加熱器出口において増圧するものであることを特徴とする。
高圧エリアでは、外管に注入される水を加圧ポンプにより加圧する圧力を設定することによって、高圧の状態を作ることができ、これによって、高圧エリアに存在する、蒸気を含まない液相の高圧熱水は、熱量を多く含む状態となる。内管の底部には仕切弁が設けられており、この仕切弁は、仕切弁が設置された位置における高圧エリア内の高圧熱水の圧力と内管内の減圧エリアとの圧力差が設定基準値を超えたときに開いて、減圧エリアで減圧されて気液2相流に変換されるため、熱量を多く含む熱水から気液2相流が生成されることになり、減圧エリアでのフラッシュ率を向上することができる。
また、地下に設置された仕切弁を介して、熱水から気液2相流が生成されるため、熱水を地上に上げてから気液2相流を生成する方式と比較すると、外管に注入される水を加圧するための加圧ポンプの負担が小さくて済み、エネルギー採取のための総合効率を高めることができる。
さらに、地上において、フラッシャーで気水分離されて単相流となった蒸気を、蒸気加熱器で加熱して過熱蒸気とし、この過熱蒸気を増圧ファンによって蒸気加熱器出口において増圧することによって、フラッシャー出口では減圧されるため、フラッシュ率が大きくなり、蒸気発生量を増やすことができる。そのため、約180℃以下の中低温の地熱帯を用いても、効率良く熱交換を行うことができ、地熱開発の対象となる場所の数を増やして、地熱エネルギー採取量を増やすことが可能となる。
本発明の地熱交換器においては、前記仕切弁が設置された位置における高圧エリア内の高圧熱水の圧力を、地熱帯の温度条件から定められる水の飽和温度における飽和圧力として、前記圧力差の設定基準値を超えて前記仕切弁が開くようにした構成とすることができる。
また、本発明の地熱交換器においては、前記仕切弁が設置された位置における高圧エリア内の高圧熱水の圧力を、水の臨界圧力付近として、前記圧力差の設定基準値を超えて前記仕切弁が開くようにした構成とすることができる。
本発明の地熱交換器においては、前記蒸気加熱器による加熱は、高温の燃焼排気の排熱を用いてなされることとすることができる。
高温の燃焼排気の排熱を用いることにより、発電によるもの以外のエネルギーを用いることができる。その一例として、バイオマス燃料等を用いることができる。
本発明の地熱交換器においては、前記蒸気加熱器と前記増圧ファンは、一体型の装置として製造され、現地工事前に、工場製作時に予め機能が確認されていることとすることができる。
蒸気加熱器と増圧ファンまでを工場にて製作して組み立てた上で設置することにより、現地での工事を簡易にし、工期の短縮を図ることができる。
本発明の地熱交換器においては、前記蒸気加熱器と前記増圧ファンとの組み合わせが、直列に複数配列されていることとすることができる。
蒸気加熱器と増圧ファンとの組み合わせが、直列に複数配列されていることにより、より高温の過熱蒸気を生産することができる。
本発明の地熱発電装置は、本発明の地熱交換器を用いて発電を行うことを特徴とする。
本発明の地熱交換器は、フラッシュ率を向上することができるため、大容量の発電が可能となる。
本発明によると、約180℃以下の中低温の地熱帯を用いても、効率良く熱交換を行うことができ、地熱開発の対象となる場所の数を増やして、地熱エネルギー採取量を増やすことを可能とする地熱交換器と、この地熱交換器を用いて効率良く大容量の発電を行うことが可能な地熱発電装置を実現することができる。
本発明の実施形態に係る地熱交換器と地熱発電装置の構成を示す図である。 特許文献3におけるシステムフローを示す図である。 本発明におけるシステムフローを示す図である。 本発明におけるシステムフローを示す図である。
以下に、本発明の地熱交換器と地熱発電装置を、その実施形態に基づいて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る地熱交換器と地熱発電装置の構成を示す。
地熱交換器1は、地中に設けられ地上から水が供給される外管2と、外管2の内側に配置された内管3とを備えた2重管構造であり、内管3は、その底部4に設けられた仕切弁6を備えている。
外管2内に注入された水に対して、地熱帯から熱が供給されて沸騰せずに高圧熱水が生成され、高圧エリア5が形成される。この高圧熱水は沸騰せずに、仕切弁6が開いたときに内管3内に流入する。高圧エリア5では、蒸気を含まない液相の高圧熱水として存在する。
内管3内の減圧エリア8では、タービンが必要とする圧力近くに減圧されており、この減圧エリア8において、高圧熱水は気液2相流に変換され、この気液2相流が地上に取出される。
地熱交換器1は、地下において、減圧エリア8でのフラッシュ率を向上させる第一のフラッシュ率向上手段を有している。この第一のフラッシュ率向上手段は、仕切弁6が設置された位置における高圧エリア5内の高圧熱水の圧力と内管3内の減圧エリア8との圧力差が設定基準値を超えたときに仕切弁6が開いて、減圧エリア8における圧力が、タービンが必要とする圧力近くに減圧されて気液2相流に変換されることによるものであり、外管2に注入される水を加圧ポンプ9によって加圧する圧力を設定することによって、仕切弁6が開くようにするものである。仕切弁6が設置された位置における高圧エリア5内の高圧熱水の圧力を、地熱帯の温度条件から定められる水の飽和温度における飽和圧力とすることができ、また、水の臨界圧力付近とすることもできる。
生産された気液2相流は上昇して地上に取出され、フラッシャー10内で、蒸気と圧力水に分離される。地上では、フラッシャー10に接続された蒸気加熱器15と、蒸気加熱器15の出口側に設けられた増圧ファン16とを備えている、分離によって生じた蒸気単相流は、蒸気加熱器15によって加熱されて過熱蒸気となり、この過熱蒸気は増圧ファン16によって、蒸気加熱器15の出口において増圧される。
蒸気加熱器15によって、蒸気を飽和蒸気から過熱蒸気に変えることができ、これにより、タービン12の効率を向上させることができる。さらに、蒸気加熱器15の出口に蒸気を移送する増圧ファン16が設置されていることにより、フラッシャー10の出口の圧力を減圧ことができる。そのため、フラッシュ率が高くなり、蒸気発生量が大きくなって、大容量の地熱発電が可能となる。
このように、地上において、フラッシュ率を向上させる第二のフラッシュ率向上手段を有しており、この第二のフラッシュ率向上手段は、地上に配置されたフラッシャー10と、フラッシャー10に接続された蒸気加熱器15と、蒸気加熱器5の出口側に設けられた増圧ファン16とによって構成され、フラッシャー10で気水分離されて単相流となった蒸気を、蒸気加熱器15で加熱して過熱蒸気とし、この過熱蒸気を増圧ファン16によって、蒸気加熱器15の出口において増圧するものである。
フラッシャー10は容量を十分に大きくして、地熱の時間変動、負荷の時間変動に余裕をもって対応できるように設計されている。フラッシュ率が大きくなるように設計することによって、循環水量を減らす効果も得られるため、地熱交換器の熱効率を向上することができる。
フラッシャー10内に貯留する圧力水は、フラッシャー10に十分な容量を持たせて貯留させることにより、坑井の温度の時間変化に対応できる熱容量を持たせることができ、発電に適用した場合に、発電出力を安定化させることができる。坑井は水平状の掘削とすることができる(自在掘削)点で、適用できる坑井の範囲を大幅に増やすことができる。
過熱蒸気は、蒸気槽11と蒸気弁21を経てタービン12に導入されて、タービン12を駆動させ、発電機14によって発電がなされる。蒸気槽11には、放散弁13が接続されている。
蒸気加熱器15の熱源として、発電出力の一部を使うこともできるが、高温の燃焼排気の排熱を用いることもできる。その一例として、バイオマス発電等の燃焼排気を利用することができる。この場合には、蒸気温度を大きく上げることができる点で、さらに有効である。
蒸気加熱器15と増圧ファン16は、一体型の装置として製造され、現地工事前に、工場製作時に予め機能が確認されているようにすることができる。また、蒸気加熱器15と増圧ファン16との組み合わせが、直列に複数配列されているようにすることができる。状況に応じて、蒸気加熱器15と増圧ファン16の配列の順序を入れ替えて、蒸気の増圧・過熱の順序を入れ替えることもできる。
地上に取出された気液2相流から蒸気を分離された後の圧力水は、高温状態を維持して循環水槽23に供給され、復水器18から補給水槽19に送られる循環水を加熱する構成となっている。補給水槽19には、補給水ポンプ22と水処理装置17が接続されている。蒸気を分離された残りの圧力水は、まだ十分に圧力、温度とも高い状態であるため、この圧力水で循環水を加熱することにより、システムの安全性を高めることができる。
以下に、特許文献3に記載されたものと比較しつつ、本発明の具体的な実施例を示す。
図2に、特許文献3におけるシステムフローを示す。
図2においては、特許文献3に記載の地熱交換器を用いて、160℃の熱水から145℃の飽和蒸気を発生させるフローを示している。この場合、
フラッシュ率(%)=(高温側熱水の潜熱-低温側の熱水の潜熱)/低温側の蒸発潜熱
=(675.55−610.63)÷2129.60=3.05%
である。
この計算において、表1に示す飽和蒸気表の数値を用いている。
Figure 0006695561
このフラッシュ率の値が大きいほど、高効率のシステムを構築することができるが、全国各地に点在する地熱地帯(特に180℃以下の地熱帯)において、160℃の熱水から145℃の飽和蒸気を生産させるモデルでは、フラッシュ率は3.05%であり、その場合においては、蒸気量の約32.8倍(1/0.0305)の循環水を循環させることが必要となる。大部分の地熱帯の温度が180℃以下であることから、蒸気温度を高くすることができず、効率を高くすることができないことも併せて、大容量の発電を計画することは難しい。
このような問題点を解決するために、本発明においては、図3に示すフローを用いている。図3では、160℃の熱水を減圧沸騰させて、100℃の飽和蒸気を発生させ、地上に配置された蒸気加熱器15を用いて、135℃の過熱蒸気を生産している。
図4は、160℃の熱水を減圧沸騰させて、100℃の飽和蒸気を発生させる点は、図3に示すものと同様であるが、蒸気加熱器15と増圧ファン16を一体として工場で製造し、現地に設置したものを示している。
蒸気加熱器15と増圧ファン16の一体型装置の入力側では、蒸気は100℃、0.1014MPaであり、出力側では、135℃、0.415MPaとなっている。この数値の詳細については、後に詳述する。
本発明における課題は、フラッシュ率をアップすることによって蒸気生産効率をアップすること、蒸気温度を高くすること、高温の地熱帯をボーリングすることなく効率良く地熱エネルギーを取り出すことにある。
このような課題設定のもとに、以下のような設計を行った。
表2に、過熱蒸気表を示す。
Figure 0006695561
設計の基準数値の設定のために参考とした、蒸気温度、蒸気圧力、蒸気量の平均的な数値を、表3に示す。
Figure 0006695561
本発明における基本方針は、
1.特許文献3の手法によって、160℃の熱水から100℃の飽和蒸気を生成する
2.1で生産した飽和蒸気を、加熱し、過熱蒸気とする
3.フラッシャー出口の圧力を下げることによって、圧力差を大きくし、フラッシュ率をアップさせる(地下の仕切弁の、入口と出口の圧力差を大きくする)
ことにある。
表4に、160℃の熱水を減圧沸騰させて、100℃の飽和蒸気を発生させる数値データを示す。
Figure 0006695561
(高温側熱水の潜熱-低温側の熱水の潜熱)/低温側の蒸気の潜熱
=(675.55−419.04)÷2257.0=11.37%
となり、160℃の熱水を100℃まで減圧沸騰することによって、循環水の11.37%の飽和蒸気を生成することができる。
本発明においては、生産した飽和蒸気を増圧ファン16で増圧する前に、飽和蒸気が熱水に戻らないように、蒸気加熱器15によって135℃の過熱蒸気にする。タービン12へ入力する蒸気が、飽和蒸気から過熱蒸気になることにより、蒸気のエネルギーが増え、低温度の地熱井からでも、熱水の抽出が可能となる。
表5に、潜熱の数値を示す。
Figure 0006695561
蒸気加熱器の必要容量Cは、表1(飽和蒸気表)、表2(過熱蒸気表)、表3(蒸気流量)に示す数値を用いて、
C=蒸気流量×(高温側潜熱 - 低温側潜熱)
=0.3056 × (2746.6−2676.1)
=21.5kW
従って、100℃の飽和蒸気を135℃の過熱蒸気とするために必要な電力は、21.5kWとなる。この加熱のための熱源は、電力以外のものを用いることができる。
表6、表7に、増圧ファンの必要出力と、関連数値を示す。
Figure 0006695561
Figure 0006695561
増圧ファン16がない場合、タービン12の入力蒸気圧が蒸気発生器での蒸気圧と等しくなるため、そのフラッシュ率は、表8のようになる。表8において、タービン入力蒸気圧(0.41MPa)での飽和蒸気温度は約145℃であることを用いている。
Figure 0006695561
このように、飽和蒸気を蒸気加熱器15により加熱した後、増圧ファン16により増圧することにより、フラッシュ率は、11.37-3.05=8.32ポイント改善する。
表9、表10に、蒸気加熱器15と増圧ファン16を用いた場合と、これらを用いない場合との比較を示す。
表9は、蒸気加熱器・増圧ファンがない場合(145℃の飽和蒸気−エンタルピー2740.3kJ/kg)であり、表10は、蒸気加熱器・増圧ファンをつけた場合(135℃の過熱蒸気−エンタルピー2746.6kJ/kg)である。
Figure 0006695561
Figure 0006695561
本発明においては、蒸気加熱器15と増圧ファン16を設置した結果、循環水量が少なくて済むため、加圧ポンプの容量が少なくて済む。加圧ポンプの能力によって、発電出力が左右されるため、以下に、加圧ポンプの容量計算の詳細を示す。
ポンプ揚程のうち、ヘッド(高さ)は入りと出が相殺するため、損失水頭とフラッシャーの出口圧力とする。数式はダルシー・ワイスバッハの式を採用した。
損失水頭 Hl=f×L×V/2G×D
摩擦損失係数 f=0.02+0.0005/D
表11に、計算に用いるL、D、Vを示し、表12に、配管用炭素鋼管(SGP)からなる2重管の径の数値を示す。外管は350mmの配管用炭素鋼鋼管(SGP)であり、内管は250mmのSGP鋼管である。重力加速度Gを9.8としている。
Figure 0006695561
Figure 0006695561
表13、表14に、外管と内管について、特許文献3に記載のものと、本発明との対比を示す。表13において、内管は地上分の設備分の損失水頭分として100mを加えた数値とした。
Figure 0006695561
Figure 0006695561
表15に、特許文献3の場合と、本発明の場合について、加圧ポンプの比較を示す。
Figure 0006695561
表15に示す数値については、条件を同じにするため、以下のようにシステム全体の数値を統一している。
1 ポンプ容量=9.8×Q×H/η(Q:流量、H:高さ、η:効率)
2 小水量、高揚程循環ポンプとする。
3 加圧する圧力は、飽和圧力(沸騰圧)とする。
4 両システムとも、圧力弁に水圧分が作用する。(水圧分全揚程が減少する)
5 循環水量=タービン必要流量/フラッシュ率(%)とする。
損失水頭の計算では、特許文献3による方式では、発電に占めるポンプ容量は43%に達する。そのため、この方式では、もっと高温帯をボーリングして、フラッシュ率を上げることが必要となる。
このように、本発明において、蒸気加熱器15と増圧ファン16を設置したことにより、発電出力を同じ条件とした場合、蒸気温度は10℃低くてよいため、低温度の地熱帯に適用できる。また、循環水量は26.8%で済むため、加圧ポンプの容量削減ができる。さらに、フラッシュ率は3.7倍となる。
表16に、特許文献3に記載のものと、本発明との性能比較を示す。表16において、合計欄は、発電数値−(加熱器+増圧ファン+ポンプ容量)で計算した。また、差は、(本発明方式−特許6176890)で計算した。
Figure 0006695561
表16に示すように、発電出力を同じとした場合、本発明方式の方が、総合出力は29.6kW増加する。
以上説明したように、160℃の熱水から、100℃の蒸気を生産した後、蒸気加熱器15で加熱して135℃の過熱蒸気を作り、フラッシャー10の出口で負圧を与えるために、蒸気加熱器15の出口を増圧ファン16で増圧することにより、システム全体のフラッシュ率を大きくすることができ、循環水の量を減らすことができる。飽和蒸気は、飽和蒸気ラインにあるため、仕事をするとすぐに水に戻るが、動力用蒸気はすべて過熱蒸気の領域とすることにより、タービンの効率がアップする。
本発明は、約180℃以下の中低温の地熱帯を用いても、効率良く熱交換を行うことができ、地熱開発の対象となる場所の数を増やして、地熱エネルギー採取量を増やすことを可能とする地熱交換器と、この地熱交換器を用いて効率良く大容量の発電を行うことが可能な地熱発電装置として、地熱発電の分野において広く利用することができる。
1 地熱交換器
2 外管
3 内管
4 底部
5 高圧エリア
6 仕切弁
8 減圧エリア
9 加圧ポンプ
10 フラッシャー
11 蒸気槽
12 タービン
13 放散弁
14 発電機
15 蒸気加熱器
16 増圧ファン
17 水処理装置
18 復水器
19 補給水槽
20 断熱部
21 蒸気弁
22 補給水ポンプ
23 循環水槽

Claims (7)

  1. 地中に設けられ地上から水が供給される外管と、前記外管の内側に配置された内管とを備えた2重管構造であり、内管はその底部に設けられた仕切弁を備え、外管内の水に対して地熱帯から熱が供給されて、沸騰せずに高圧熱水が生成される高圧エリアが形成され、仕切弁が開いたときに高圧エリアの高圧熱水が内管内に流入し、内管内の減圧エリアの上部はタービンが必要とする圧力近くに減圧されて気液2相流に変換され、この気液2相流が地上に取出される地熱交換器であって、
    減圧エリアでのフラッシュ率を向上させる第一のフラッシュ率向上手段を有し、第一のフラッシュ率向上手段は、仕切弁が設置された位置における高圧エリア内の高圧熱水の圧力と内管内の減圧エリアとの圧力差が設定基準値を超えたときに仕切弁が開いて、減圧エリアにおける圧力が、タービンが必要とする圧力近くに減圧されて気液2相流に変換されることによるものであり、外管に注入される水を加圧ポンプにより加圧する圧力を設定することによって、仕切弁が開くようになっており、
    地上でのフラッシュ率を向上させる第二のフラッシュ率向上手段を有し、第二のフラッシュ率向上手段は、地上に配置されたフラッシャーと、フラッシャーに接続された蒸気加熱器と、蒸気加熱器の出口側に設けられた増圧ファンとによって構成され、フラッシャーで気水分離されて単相流となった蒸気を、蒸気加熱器で加熱して過熱蒸気とし、この過熱蒸気を増圧ファンによって蒸気加熱器出口において増圧するものであることを特徴とする地熱交換器。
  2. 前記仕切弁が設置された位置における高圧エリア内の高圧熱水の圧力を、地熱帯の温度条件から定められる水の飽和温度における飽和圧力として、前記圧力差の設定基準値を超えて前記仕切弁が開くようにしたことを特徴とする請求項1記載の地熱交換器。
  3. 前記仕切弁が設置された位置における高圧エリア内の高圧熱水の圧力を、水の臨界圧力付近として、前記圧力差の設定基準値を超えて前記仕切弁が開くようにしたことを特徴とする請求項1記載の地熱交換器。
  4. 前記蒸気加熱器による加熱は、高温の燃焼排気の排熱を用いてなされることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の地熱交換器。
  5. 前記蒸気加熱器と前記増圧ファンは、一体型の装置として製造され、現地工事前に、工場製作時に予め機能が確認されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の地熱交換器。
  6. 前記蒸気加熱器と前記増圧ファンとの組み合わせが、直列に複数配列されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の地熱交換器。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の地熱交換器を用いて発電を行うことを特徴とする地熱発電装置。
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