JP2002013828A - 地中熱交換器および地中熱交換器の設置方法 - Google Patents

地中熱交換器および地中熱交換器の設置方法

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JP2002013828A JP2000195598A JP2000195598A JP2002013828A JP 2002013828 A JP2002013828 A JP 2002013828A JP 2000195598 A JP2000195598 A JP 2000195598A JP 2000195598 A JP2000195598 A JP 2000195598A JP 2002013828 A JP2002013828 A JP 2002013828A
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inner cylinder
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Hiroo Sakai
弘夫 境
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Hitachi Plant Technologies Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の同軸方式と比べ熱伝達率を向上させ、外
筒に対して内筒が相対的に支持固定され、なおかつ外筒
がケーシング機能を兼務することができる地中熱交換器
の提供を目的とする。 【解決手段】軸方向に延設されたフィン22aを外周面
上に有する外筒22が地中に掘削された孔10の内部に
設置されるとともに軸方向に延設されたフィン24aを
外周面上に有する内筒24が前記外筒の内部に設置さ
れ、前記外筒22の下端部が閉塞されるとともに前記内
筒24の下端部は開口されて前記内筒24内部が前記外
筒22内部と連通され、前記外筒22と前記内筒24と
の間の空間および前記内筒24内部の空間を熱媒体に通
過させて前記熱媒体と地中との間で熱交換を行う構成と
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中熱交換器およ
び地中熱交換器の設置方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】地中は熱容量が高くその温度は1年を通
じてほぼ一定であるため、夏期には地上の熱を地中に放
出し、冬期には地熱を吸収して地上で利用することがで
きる。また、夏期の間に地中に蓄えた熱を、冬期に地上
で利用することができる。これらを実現する地中熱交換
器は、今後さらなる普及が期待されている。
【0003】地中熱交換器は地中に掘削した縦孔内に設
置する。従来の地中熱交換器の構造としては、図7に示
すものが広く知られている。同図(1)は短管方式、
(2)は二重管方式と呼ばれるものである。これらはい
ずれも、縦孔111の内部にU字形状の高密度ポリエチ
レン製などのパイプ114が設置され、パイプ内部を矢
印116のように流れる熱媒体(水や不凍液など)と岩
石や土壌との間で熱交換を行う。一方、同図(3)は同
軸方式と呼ばれるものであり、高密度ポリエチレン等の
材料からなる外筒122と内筒124とが縦孔内に設置
され形成される。地上から供給された熱媒体が矢印12
6のように外筒122と内筒124との間の空間を通っ
て下端部に至り、反転して矢印128のように内筒12
4内部の空間を通って地上に戻る間に、熱媒体と地中と
の間で熱交換を行う。
【0004】一方地上では、地中熱交換器120の内筒
124の内部から排出される熱媒体が、ポンプを介して
冷暖房機等の地上熱交換器における熱媒体取入れ口に接
続される。さらに地上熱交換器における熱媒体排出口
は、地中熱交換器120の外筒122と内筒124との
間の空間に接続される。このような装置内に熱媒体を循
環させて、最終的に地中と地上との間で熱量の交換を行
うものである(図3および特開平5−118700号公
報参照)。
【0005】一般的な同軸方式の地中熱交換器は以下の
ように設置される。最初に掘削用ドリルを用いて、地中
に直径100〜200mm、深さ30〜100m程度の
縦孔を掘削する。その際縦孔内への土壌の崩落を防止す
るため、掘削した部分に順次鋼管からなるケーシングを
設置する。掘削終了後にはケーシング内部を通して掘削
用ドリルを抜き取る。次に熱媒体を密封するために予め
下端部を閉塞した外筒をケーシング内に設置する。続け
て外筒内部に内筒を設置するが、内筒内部が下端部で外
筒内部と連通するように、外筒下端部の閉塞板と内筒下
端部との間に一定の間隔をおいて内筒を固定する。最後
にケーシングを抜き取って、縦孔と外筒外周面との間に
硅砂等の充填材を充填する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】地中熱交換器には一般
に熱伝達率の向上が要望されている。また従来の同軸方
式の場合、外筒に対して内筒が相対的に固定されていな
いために、熱媒体が流れる際に内筒が振動して、内筒の
耐久性が低下するという問題点があった。
【0007】また地中熱交換器を設置する縦孔の掘削時
に使用するケーシングは、熱交換器設置後には抜管され
るものであるから、上記同軸方式の外筒にケーシング機
能を兼務させることによって、工程を効率化しコストを
低減することが望まれている。しかし同軸方式の外筒を
ケーシングとして用いるには、従来用いられていた高密
度ポリエチレン等の材料からなる外筒では強度不足であ
った。また従来は熱媒体を密封するために予め下端部を
閉塞した外筒をケーシング内に設置していたが、外筒が
ケーシング機能を兼務する場合には、掘削用ドリルが外
筒内部を通って抜き取られるため予めその下端部を閉塞
しておくことができず、掘削用ドリル抜き取り後に孔内
の深い位置で下端部を閉塞する必要があり、その作業が
困難であった。
【0008】本発明は上記要望と問題点に着目し、従来
の同軸方式と比べ熱伝達率を向上させ、外筒に対して内
筒が相対的に支持固定され、なおかつ外筒にケーシング
機能を兼務させた地中熱交換器の提供を目的とする。さ
らに、孔内の深い位置で外筒の下端部を簡単に閉塞する
ことができる地中熱交換器の設置方法の提供を目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る地中熱交換器は、軸方向に延設された
フィンを外周面上に有する外筒が地中に掘削された孔の
内部に設置されるとともに軸方向に延設されたフィンを
外周面上に有する内筒が前記外筒の内部に設置され、前
記外筒の下端部が閉塞されるとともに前記内筒の下端部
は開口されて前記内筒内部が前記外筒内部と連通され、
前記外筒と前記内筒との間の空間および前記内筒内部の
空間を熱媒体に通過させて前記熱媒体と地中との間で熱
交換を行う構成とした。
【0010】一方、本発明に係る地中熱交換器の設置方
法は、地中に掘削された孔の内部に設置される外筒下端
部の内周面上に棚部を設けるとともに前記外筒の内部に
設置される内筒下端部に円板を固着し、前記円板の底面
または前記棚部の上面のいずれか一方に係合凸部を形成
するとともに他方に係合凹部を形成し、前記円板を前記
棚部の上面上に配置した上で、前記内筒を回転すること
により前記係合凸部を前記係合凹部に係合して前記外筒
下端部を閉塞する構成とした。
【0011】また、地中に掘削された孔の内部に設置さ
れる外筒下端部の内周面上に棚部を設けるとともに前記
外筒の内部に設置される内筒下端部に円板を固着し、前
記円板の底面または前記棚部の上面に発熱体を取り付
け、前記円板の底面を前記棚部の上面上に配置した上
で、前記発熱体に通電することにより前記円板と前記棚
部とを溶着して前記外筒下端部を閉塞することを特徴と
する構成とした。
【0012】
【作用】軸方向に延設されたフィンを外周面上に有する
外筒が地中に掘削された孔の内部に設置されることによ
り、外筒外周の表面積が広くなり、従来の同軸方式の地
中熱交換器に比べ熱伝達率が向上する。また半径方向の
外力に対する外筒の強度が増加し、高密度ポリエチレン
等の材料からなる外筒でもケーシングの機能を兼務する
ことが可能となり、別途鋼管等によるケーシングを必要
としない。さらに、軸方向に延設されたフィンを外周面
上に有する内筒が外筒の内部に設置されることにより、
内筒外周面のフィンの先端が外筒内周面に当接して内筒
が支持固定される。
【0013】一方、内筒を回転することにより係合凸部
を係合凹部に係合して外筒下端部を閉塞する構成とした
ので、内筒を回転させるだけで簡単に外筒の下端部を閉
塞することができる。
【0014】また、発熱体に通電することにより円板と
棚部とを溶着して外筒下端部を閉塞する構成としたの
で、電線に通電するだけで簡単に外筒の下端部を閉塞す
ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照して詳細に説明する。第1実施形態として、軸方向に
延設されたフィンを外周面上に有する外筒が地中に掘削
された縦孔の内部に設置されるとともに軸方向に延設さ
れたフィンを外周面上に有する内筒が前記外筒の内部に
設置され、前記内筒下端部に固着された円板の底面外周
部にリング状凸部が形成されるとともに前記外筒下端部
の内周面上に設けられた棚部上面にリング状溝部が形成
され、前記リング状凸部が前記リング状溝部内に配置さ
れて前記外筒の下端部が閉塞され、前記内筒下端部の側
壁に貫通孔が穿設されて前記内筒内部が前記外筒内部と
連通され、地上から供給された熱媒体を前記外筒と前記
内筒との間の空間および前記内筒内部の空間を通過させ
て地上に戻す間に熱媒体と地中との間で熱交換を行う地
中熱交換器について説明する。図1に第1実施形態にか
かる地中熱交換器の説明図を示す。同図(1)はA−A
線における地面と水平方向の断面図であり、同図(2)
はB−B線における地面と垂直方向の断面図の下端部で
ある。
【0016】最初に、外筒22について説明する。外筒
は腐食を防止するため高密度ポリエチレン等の材料を用
いて数mの長さに形成し、これを順次継ぎ足して地中3
0〜100m程度の深さに掘削された縦孔10の内部に
設置する。なお縦孔に限らず水平方向の孔に設置しても
よい。外筒22の外周面にはフィン22aを軸方向に延
設する。フィンは直線形状や螺旋形状等に延設する。図
2にフィン形状の説明図を示す。直線形状のフィン22
aは、外筒22のほぼ全長にわたる長さを有する複数の
凸部が、外筒軸と平行な直線形状に形成されたものであ
る。螺旋形状のフィン22bは、外筒22のほぼ全長に
わたって形成された同じピッチの複数の螺旋状凸部を組
み合わせたものである。一方、外筒22の下端部の内周
面上には、内部に向かって突出する棚部36を全周にわ
たって設ける。棚部36の上面にはリング状溝部38を
形成する。
【0017】次に、内筒24について説明する。内筒は
腐食を防止するため高密度ポリエチレン等の材料を用い
て外筒22と同程度の長さに形成し、これを順次継ぎ足
して外筒の内部に設置する。内筒外周面にはフィン24
aを軸方向に延設する。フィンは直線形状や螺旋形状等
に形成する。内筒のフィン形状も図2に示す外筒のフィ
ン形状と同様である。直線形状のフィン24aは、内筒
24のほぼ全長にわたる長さを有する複数の凸部が、内
筒軸と平行な直線形状に形成されたものである。螺旋形
状のフィンは、内筒24のほぼ全長にわたって形成され
た同じピッチの複数の螺旋状凸部を組み合わせたもので
ある。
【0018】一方、内筒24の下端部には、外筒22の
下端部の閉塞に利用する円板31を固着する。円板は腐
食を防止するため高密度ポリエチレン等の材料を用い
て、直径は外筒の内径より小さく形成する。円板と同じ
高密度ポリエチレン製の内筒24の下端部とは、熱を加
えて相互を溶着する。なお円板31により内筒24の下
端部が閉塞されてしまうので、内筒の下端部の側壁に貫
通孔26を穿設して開口させ、内筒24の内部を外筒2
2の内部と連通する。円板31の底面外周部に全周にわ
たってリング状凸部33を形成する。
【0019】次に上記構成による地中熱交換器20の作
用について、冬期における地中からの採熱作用を例にし
て説明する。最初に本実施形態に係る地中熱交換器の使
用方法について説明する。図3に地中熱交換器の使用方
法の説明図を示す。地上のポンプ2を作動させると、地
上配管6内にある温度の低い熱媒体が、地中熱交換器2
0の外筒22と内筒24との間の空間に供給される。地
上から地中深くに供給されるに従って周囲の土壌の温度
が高くなるから、外筒壁を介して熱媒体との間で熱交換
が行われる。さらに下端部に到達すると、反転して内筒
24の内部を通って地上に戻される。熱を吸収し温度の
高くなった熱媒体は、室内暖房機等の地上熱交換器4の
熱媒体取入れ口4aに供給され、室内の冷たい空気等と
の間で熱交換を行う。そして熱を放出し温度の低くなっ
た熱媒体は、熱媒体排出口4bから配管6を通って、再
度外筒22と内筒24との間の空間に供給される。
【0020】次に熱伝達率の向上作用について説明す
る。熱媒体は外筒壁を隔てて周囲の土壌と熱交換を行う
ので、外筒壁の熱伝達率が向上すれば交換熱量が増加
し、熱交換器としての性能が向上する。一般に隔壁の表
面積が大きいほど熱伝達率は大きくなるので、外筒外周
面上にフィンを設けることにより外周面の表面積が増加
し、外周側の熱伝達率が大きくなる。また内筒の外周面
上に螺旋形状のフィンを設け、これを外筒内部に設置し
て外筒と内筒との間の空間に熱媒体を流すと、熱媒体が
撹拌されて熱媒体中の温度の低い部分が外筒内周面に接
触する機会が多くなる。外筒に流入する熱量は外筒内外
の温度差に比例するので、これにより熱交換器には多く
の熱量が流入し、交換熱量が増加して熱交換器としての
性能が向上する。
【0021】次に外筒に対する内筒の相対的な支持固定
作用について説明する。従来の同軸方式では外筒に対し
て内筒が半径方向に相対的に固定されていなかったた
め、熱媒体が内筒内部の空間または外筒と内筒との間の
空間を流れる際に内筒が振動し、内筒の耐久性が低下す
るという問題点があった。そこで内筒外周面にフィンを
設け、これを外筒内部に設置することにより、フィンの
先端が外筒内周面に当接し内筒の半径方向変位が抑制さ
れる。すると内筒内部の空間または外筒と内筒との間の
空間に熱媒体が流れても、内筒が大きく振動することが
なくなり、内筒の耐久性を向上させることができる。ま
た、外筒に対して内筒を常に同軸状に配置することがで
き、さらには熱交換器としての性能のばらつきを低減す
ることができる。
【0022】なお、以上は冬期における地中からの採熱
作用の場合を例に説明したが、夏期における地中への廃
熱作用の場合および蓄熱作用の場合にも、上記と同様の
効果を得ることができる。また上記の一般的な地中熱交
換器の使用方法とは逆に、熱媒体が地上から内筒内部の
空間に供給され、下端部で反転して外筒と内筒との間の
空間を通って地上に戻される場合でも、上記と同様の効
果を得ることができる。さらに図7(3)に示す従来の
同軸方式の地中熱交換器において、予め下端部が閉塞さ
れた外筒122の外周面上に本実施形態と同様のフィン
を設けるとともに、下端部が開口した内筒124の外周
面上に本実施形態と同様のフィンを設けた場合にも、上
記と同様の効果を得ることができる。
【0023】次に外筒によるケーシング機能の兼務作用
について説明する。最初に本実施形態に係る地中熱交換
器の設置方法について、図1を用いて説明する。まず掘
削用ドリルを用いて、地中に直径100〜200mm、
深さ30〜100mの縦孔10を掘削する。その際縦孔
内への土壌の崩落を防止するため、本実施形態では鋼管
からなるケーシングに代わって、上記のように形成した
外筒22を掘削した部分に順次設置する。掘削終了後に
は外筒22の内部を通して掘削用ドリルを抜き取る。次
に上記のように形成した内筒24を外筒22の内部に挿
入する。内筒24の下端部に固着した円板31が外筒2
2の棚部36に達した後、リング状凸部33をリング状
溝部38内に配置して、外筒22の下端部を閉塞する。
なお、リング状凸部の先端に接着剤を塗布したりゴム製
等のパッキンを取り付けたりした上でリング状溝部内に
配置すれば、より効果的に外筒下端部が閉塞できる。最
後に縦孔10と外筒22の外周面との間に硅砂等の充填
材12を充填する。
【0024】地中熱交換器の設置に当たり、孔内への土
壌の崩落を防止するために、上記のように形成した外筒
を掘削した部分に順次設置するが、外筒外周面にはフィ
ンが形成されているので、半径方向からの外力に対する
外筒の強度が増加している。従って、高密度ポリエチレ
ン等の材料で外筒を形成しても充分にケーシングの機能
を兼務することができ、工程を効率化してコストを低減
できる。特に外筒外周面上に螺旋形状のフィンを形成し
た場合には、外筒周方向の亀裂発生を防止することがで
きるのみならず、軸方向の亀裂発生も同時に防止するこ
とができる。なお、上記のように形成した外筒を設置す
ることにより、地中熱交換器設置後に外筒が半径方向か
らの外力を受けた場合にも、外筒の破損を防止できる。
加えて、内筒外周面にフィンを設けこれを外筒内部に設
置することにより、内筒もその外力を負担することがで
き、外筒の破損をより効果的に防止できる。
【0025】なお、上記は内筒に固着された円板にリン
グ状凸部が形成されるとともに外筒に設けられた棚部に
リング状溝部が形成される場合について述べたが、逆に
円板にリング状溝部が形成されるとともに棚部にリング
状凸部が形成される構成としてもよい。また特に接着剤
やパッキンを併用する場合には、リング状凸部およびリ
ング状溝部を設けることなく、直接に円板底面および棚
部上面が接触する構成としてもよい。いずれの場合にも
上記と同様の効果を得ることができる。
【0026】第2実施形態として、地中に掘削された孔
の内部に設置される外筒下端部の内周面上に棚部を設け
るとともに前記外筒の内部に設置される内筒下端部に円
板を固着し、前記円板の底面外周部にリング状凸部を形
成するとともに前記棚部上面にリング状溝部を形成し、
前記リング状凸部の内側壁面上に係合凸部としてのくさ
び型凸部を形成するとともに前記リング状溝部の内側壁
面上に誘導溝部およびこれに連続する係合凹部としての
くさび型溝部を形成し、前記円板を前記棚部の上面上に
配置し前記くさび形凸部を前記誘導溝部内に配置した上
で、前記内筒を回転することにより前記くさび形凸部を
前記くさび型溝部に係合して前記外筒下端部を閉塞す
る、地中熱交換器の設置方法について説明する。図4に
第2実施形態の説明図を示す。
【0027】最初に内筒について説明する。図4(1)
および(2)に第2実施形態における内筒の説明図を示
す。同図(1)はC−C線断面図であり、同図(1)は
D−D線断面図である。内筒24の外周面上にフィンを
設ける点、内筒底部の側壁に貫通孔26を設ける点、内
筒の下端部に円板41を固着する点および円板の底面外
周部にリング状凸部43を形成する点については、第1
実施形態と同様である。第2実施形態では、リング状凸
部43の内側壁面上の一部に、係合凸部としてくさび型
凸部44を形成する。くさび型凸部44は具体的には次
のような形状とする。すなわち円板41の中心を通り円
板と垂直な平面がくさび型凸部44を切った場合の断面
において、下端部から上端部にかけて順次その幅が狭く
なる形状であり、ちょうど先端の尖ったくさびが下から
円板41に当接しているような形状である。下端部の幅
を最大値として後述するように順次変化させ、上端部の
幅を最小値としている。くさび型凸部44の上端部から
下端部までの高さはリング状凸部43の高さと同程度と
する。また同じくさび型凸部44を周方向等間隔に4個
程度設ける。なおくさび型凸部44は、周方向等間隔に
配置すれば任意の個数とすることができる。くさび型凸
部44の下端幅は、周方向の一方の端部を最大値として
他方の端部にかけて順次狭くなり、周方向の他方の端部
を最小値としている。
【0028】次に外筒について説明する。図4(3)お
よび(4)に第2実施形態における外筒の説明図を示
す。同図(3)は平面図であり、同図(4)はE−E線
断面図である。外筒22の外周面上にフィンを設ける
点、外筒下端部の内周面上に棚部46を設ける点および
棚部上面にリング状溝部48を形成する点については、
第1実施形態と同様である。第2実施形態では、リング
状溝部48の内側壁面上の一部に、誘導溝部49aを形
成する。誘導溝部49aの幅は上記くさび型凸部44の
最大下端幅より若干広く、深さはリング状溝部の高さと
同程度に、いずれも一定に形成する。また誘導溝部49
aが周方向に広がる角度はくさび型凸部より若干大きく
し、同じ誘導溝部49aを上記くさび型凸部44と同
数、周方向等間隔に設ける。さらに係合凹部として、上
記くさび型凸部44の断面と同じ溝形状を有するくさび
型溝部49bを、リング状溝部48の内側壁面上であっ
て上記各誘導溝部49aに連続して設ける。くさび型溝
部49bが周方向に広がる角度はくさび型凸部と同程度
とし、同じくさび型溝部49bを上記くさび型凸部44
と同数、周方向等間隔に設ける。
【0029】次に外筒22の下端部の閉塞方法について
説明する。縦孔内に上記のように形成した外筒22を設
置した後に、上記のように形成した内筒24を外筒22
の内部に挿入する。内筒24の下端部に固着した円板4
1が外筒22の棚部46の上面上に達した後、前記くさ
び形凸部44を前記誘導溝部49a内に配置する。そし
て内筒24を回転すると、くさび形凸部44がくさび型
溝部49bに徐々に入り込み、最終的に両者の形状が一
致した時点で両者が係合し、円板41が外筒22に固定
されて外筒の下端部が密閉閉塞される。
【0030】次に本実施形態の効果について説明する。
くさび形凸部を誘導溝部内に配置し、内筒を回転するこ
とにより係合凸部としてのくさび形凸部を係合凹部とし
てのくさび型溝部に係合して円板を外筒に固定するの
で、孔内の深い位置で外筒の下端部を簡単に閉塞するこ
とができる。特に下端幅が周方向一方端部から他方端部
にかけて順次狭くなるくさび型凸部を、くさび型凸部の
断面と同じ溝形状を有するくさび型溝部に係合するの
で、くさび型凸部がくさび型溝部の底面に押圧されると
ともにリング状凸部がリング状溝部の底面に押圧され
て、熱媒体の液漏れを防止することができる。なお、内
筒外周面に螺旋形状のフィンを形成した場合、フィンに
沿って熱媒体が流れると内筒は周方向に力を受けるが、
その力によってくさび型凸部がくさび型溝部にさらに深
く係合することとなる方向に螺旋形状の方向やくさび型
凸部の下端幅が狭くなる方向を設定すれば、より効果的
に熱媒体の液漏れを防止することができる。
【0031】なお、上記は内筒側にリング状凸部並びに
くさび型凸部を設け外筒側にリング状溝部並びに誘導溝
部およびくさび型溝部を設けた場合について述べたが、
逆に内筒側にリング状溝部並びに誘導溝部およびくさび
型溝部を設け外筒側にリング状凸部並びにくさび型凸部
を設けてもよい。また上記はリング状凸部の内側壁面上
にくさび型凸部を設けリング状溝部の内側壁面上に誘導
溝部およびくさび型溝部を設けた場合について述べた
が、逆にリング状凸部の外周面上にくさび型凸部を設け
リング状溝部の外側壁面上に誘導溝部およびくさび型溝
部を設けてもよい。さらに、リング状凸部およびリング
状溝部を設けることなく、円板底面上または棚部上面上
に直接くさび型凸部または誘導溝部およびくさび型溝部
を設けてもよい。加えて、係合凸部および係合凹部はく
さび型凸部およびくさび型溝部に限られるものではな
く、相互に内筒および外筒の軸方向に係合し合うもので
あれば、任意の形状とすることができる。これらいずれ
の構成によっても、上記と同様の効果を得ることができ
る。
【0032】第3実施形態として、地中に掘削された孔
の内部に設置される外筒下端部の内周面上に棚部を設け
るとともに前記外筒の内部に設置される内筒下端部に円
板を固着し、前記円板の底面外周部にリング状凸部を形
成するとともに前記棚部上面にリング状溝部を形成し、
前記リング状凸部の先端面に発熱体としてニクロム抵抗
体を埋設し、前記リング状凸部を前記リング状溝部内に
配置した上で、前記ニクロム抵抗体に通電することによ
り前記リング状凸部と前記リング状溝部とを溶着して前
記外筒下端部を閉塞する、地中熱交換器の設置方法につ
いて説明する。図5に第3実施形態の断面図を示す。な
お、図5は第1実施形態のB−B線断面図と同じ位置に
おける第3実施形態の断面図である。
【0033】最初に内筒について説明する。内筒24の
外周面上にフィンを設ける点、内筒底部の側壁に貫通孔
26を設ける点、内筒の下端部に円板51を固着する点
および円板の底面外周部にリング状凸部53を形成する
点については、第1実施形態と同様である。第3実施形
態では、リング状凸部の先端に予め発熱体としてニクロ
ム抵抗体54を埋設しておく。さらにニクロム抵抗体5
4にはこれに通電するための導線54aが接続される。
導線54aは、ニクロム抵抗体54が周囲の高密度ポリ
エチレン材料を溶解させる温度に達した場合に、ニクロ
ム抵抗体54との接続部分で自動的に切断されるように
形成しておく。内筒24の設置後に地上からニクロム抵
抗体54に通電するため、導線54aは地中熱交換器の
深さに対応する長さを有し、内筒底部の貫通孔26から
内筒24の内部を通って地上にわたされる。なお発熱体
はニクロム抵抗体に限られるものではなく、通電するこ
とによって発熱し円板および棚部を溶着しうるものであ
ればよい。
【0034】次に外筒について説明する。外筒22の外
周面上にフィンを設ける点、外筒下端部の内周面上に棚
部56を設ける点および棚部上面にリング状溝部58を
形成する点のいずれについても、第1実施形態と同様で
ある。
【0035】次に外筒22の下端部の閉塞方法について
説明する。縦孔内に上記のように形成した外筒22を設
置した後に、上記のように形成した内筒24を外筒22
の内部に挿入する。内筒24の下端部に固着した円板5
1が外筒22の棚部56に達した後、前記リング状凸部
53を前記リング状溝部58内に配置する。そして導線
54aを介してニクロム抵抗体54に通電すると、ニク
ロム抵抗体が発熱して、リング状凸部53先端およびリ
ング状溝部58上面の高密度ポリエチレン材料を熔解す
る。ニクロム抵抗体54に通電した導線54aが自動的
に切断され、通電が止まり温度が下がると、溶解した部
分が固化して両者が溶着され、円板51が外筒22に固
定されて外筒の下端部が密閉閉塞される。最後に切断さ
れた導線を内筒内部から引き出す。
【0036】次に本実施形態の効果について説明する。
リング状凸部をリング状溝部内に配置した上で、ニクロ
ム抵抗体に通電しリング状凸部とリング状溝部とを溶着
して円板を外筒に固定するので、孔内の深い位置で外筒
の底部を簡単に閉塞することができる。特にリング状凸
部とリング状溝部との高密度ポリエチレン材料が全周に
わたって溶着されるので、熱媒体の液漏れを有効に防止
することができる。さらに溶着することにより外力が加
えられても円板と外筒とがはずれないので、熱媒体の液
漏れ防止の効果を長期間にわたって発揮することができ
る。なお導線54aは、内筒底部の貫通孔26から内筒
24の内部を通って地上にわたされ、通電後にニクロム
抵抗体との接続部分で自動的に切断されるので、導線を
地中熱交換器内に残すことなく簡単に引き出すことがで
き、導線が熱媒体の流路を閉鎖することがない。
【0037】なお、上記は内筒側にリング状凸部を設け
外筒側にリング状溝部を設けた場合について述べたが、
逆に内筒側にリング状溝部を形成し外筒側にリング状凸
部を形成してもよい。また外筒の棚部上面はリング状溝
部を設けずに単なる平面としてもよいし、円板にもリン
グ状凸部を設けずに単なる平面としてもよい。さらにニ
クロム抵抗体等の発熱体は円板側でなく外筒棚部の上面
に埋設してもよい。これらいずれの構成によっても、上
記と同様の効果を得ることができる。
【0038】第4実施形態として、地中に掘削された孔
の内部に設置される外筒下端部の内周面上に棚部を設け
るとともに前記外筒の内部に設置される内筒下端部に円
板を固着し、前記円板の底面外周部にリング状凸部を形
成するとともに前記棚部上面にリング状溝部を形成し、
前記リング状凸部の内側壁面上に固定用溝部を形成する
とともに前記リング状溝部の内側壁面上に固定用凸部を
形成し、前記リング状凸部の下部を前記リング状溝部の
上部に配置した上で、前記内筒を押し込むことにより固
定用溝部を固定用凸部に係合して前記外筒下端部を閉塞
する、地中熱交換器の設置方法について説明する。図6
に第4実施形態の断面図を示す。なお、図6は第1実施
形態のB−B線断面図と同じ位置における第4実施形態
の断面図である。
【0039】最初に内筒について説明する。内筒24の
外周面上にフィンを設ける点、内筒底部の側壁に貫通孔
26を設ける点、内筒の下端部に円板61を固着する点
および円板の底面外周部にリング状凸部63を形成する
点については、第1実施形態と同様である。第4実施形
態では、リング状凸部63の内側壁面上に全周にわたっ
て固定用溝部64を設ける。固定用溝部は半円状の断面
を有する。
【0040】次に外筒について説明する。外筒22の外
周面上にフィンを設ける点、外筒下端部の内周面上に棚
部66を設ける点および棚部上面にリング状溝部68を
形成する点については、第1実施形態と同様である。第
4実施形態では、リング状溝部68の内側壁面上に全周
にわたって固定用凸部69を設ける。固定用凸部も固定
用溝部64と同様に半円状の断面を有する。
【0041】次に外筒22の下端部の閉塞方法について
説明する。縦孔内に上記のように形成した外筒22を設
置した後に、上記のように形成した内筒24を外筒22
の内部に挿入する。内筒24の下端部に固着した円板6
1が外筒22の棚部66に達した後、リング状凸部63
の下部をリング状溝部68の上部に配置する。そして矢
印65のように内筒24を押し込むと、固定用溝部64
が固定用凸部69に係合し、円板61が外筒22に固定
されて外筒下端部が密閉閉塞される。
【0042】次に本実施形態の効果について説明する。
内筒を押し込んで固定用溝部を固定用凸部に係合し円板
を外筒に固定するので、孔内の深い位置で外筒の底部を
簡単に閉塞することができる。特に固定用溝部に係合し
た固定用凸部は、熱媒体の液漏れをも防止する。
【0043】なお、リング状凸部の外側壁面上に固定用
溝部を形成し、リング状溝部の外側壁面上に固定用凸部
を形成しても、上記と同様の効果を得ることができる。
またリング状凸部側に固定用凸部を形成し、リング状溝
部側に固定用溝部を形成しても、上記と同様の効果を得
ることができる。
【0044】
【発明の効果】軸方向に延設されたフィンを外周面上に
有する外筒が地中に掘削された孔の内部に設置されると
ともに軸方向に延設されたフィンを外周面上に有する内
筒が前記外筒の内部に設置され、前記外筒の下端部が閉
塞されるとともに前記内筒の下端部は開口されて前記内
筒内部が前記外筒内部と連通され、前記外筒と前記内筒
との間の空間および前記内筒内部の空間を熱媒体に通過
させて前記熱媒体と地中との間で熱交換を行う構成とし
たので、従来の同軸方式の地中熱交換器に比べ熱伝達率
が向上する。また外筒に対して内筒が相対的に支持固定
される。さらに外筒がケーシングの機能を兼務すること
が可能となり、別途鋼管等によるケーシングを必要とし
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る地中熱交換器の断面図であ
り、(1)はA−A線断面図であり、(2)はB−B線
断面図の下端部である。
【図2】フィン形状の説明図である。
【図3】地中熱交換器の使用方法の説明図である。
【図4】第2実施形態の説明図であり(1)は内筒のC
−C線断面図であり、(2)はD−D線断面図であり、
(3)は外筒の平面図であり、(4)はE−E線断面図
である。
【図5】第1実施形態のB−B線断面図と同じ位置にお
ける第3実施形態の断面図である。
【図6】第1実施形態のB−B線断面図と同じ位置にお
ける第4実施形態の断面図である。
【図7】従来の地中熱交換器の説明図であり、(1)は
短管方式であり、(2)は二重管方式であり、(3)は
同軸方式である。
【符号の説明】
2………ポンプ、4………地上熱交換器、4a………熱
媒体取入れ口、4b………熱媒体排出口、6………配
管、10………縦孔、12………充填材、20………地
中熱交換器、22………外筒、22a………直線形上フ
ィン、22b………螺旋形状フィン、24………外筒、
24a………直線形上フィン、26………貫通孔、31
………円板、33………リング状凸部、36………棚
部、38………リング状溝部、41………円板、43…
……リング状凸部、44………くさび状凸部、46……
…棚部、48………リング状溝部、49a………誘導溝
部、49b………くさび状溝部、51………円板、53
………リング状凸部、54………ニクロム抵抗体、54
a………導線、56………棚部、58………リング状溝
部、61………円板、63………リング状凸部、64…
……固定用溝部、65………矢印、66………棚部、6
8………リング状溝部、69………固定用凸部、110
a………短管方式、110b………二重管方式、111
………縦孔、114………内筒、116………矢印、1
20………同軸方式、122………外筒、124………
内筒、126,128………矢印

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に延設されたフィンを外周面上に
    有する外筒が地中に掘削された孔の内部に設置されると
    ともに軸方向に延設されたフィンを外周面上に有する内
    筒が前記外筒の内部に設置され、前記外筒の下端部が閉
    塞されるとともに前記内筒の下端部は開口されて前記内
    筒内部が前記外筒内部と連通され、前記外筒と前記内筒
    との間の空間および前記内筒内部の空間を熱媒体に通過
    させて前記熱媒体と地中との間で熱交換を行うことを特
    徴とする地中熱交換器。
  2. 【請求項2】 地中に掘削された孔の内部に設置される
    外筒下端部の内周面上に棚部を設けるとともに前記外筒
    の内部に設置される内筒下端部に円板を固着し、前記円
    板の底面または前記棚部の上面のいずれか一方に係合凸
    部を形成するとともに他方に係合凹部を形成し、前記円
    板を前記棚部の上面上に配置した上で、前記内筒を回転
    することにより前記係合凸部を前記係合凹部に係合して
    前記外筒下端部を閉塞することを特徴とする地中熱交換
    器の設置方法。
  3. 【請求項3】 地中に掘削された孔の内部に設置される
    外筒下端部の内周面上に棚部を設けるとともに前記外筒
    の内部に設置される内筒下端部に円板を固着し、前記円
    板の底面または前記棚部の上面に発熱体を取り付け、前
    記円板の底面を前記棚部の上面上に配置した上で、前記
    発熱体に通電することにより前記円板と前記棚部とを溶
    着して前記外筒下端部を閉塞することを特徴とする地中
    熱交換器の設置方法。
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