JP2015179721A - 回路基板と回路基板用の導体ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】耐ヒートサイクル性に優れ、電気抵抗率が一層低減された導体パターンを備える回路基板を提供する。
【解決手段】かかる回路基板は、セラミックスからなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面に形成されたガラスレスの導体パターンと、を備える。上記導体パターンは、上記絶縁基板に接する銅めっき層と、該銅めっき層上に形成された導体層とを備える。上記導体層は、銅成分と無機フィラー成分とを含む。上記無機フィラー成分は、実質的にガラスを含まず、平均粒子径が10μm以上50μm以下の粒子で構成されている。そして、上記導体層の体積熱膨張率が12ppm/℃以下である。また、上記導体パターンの電気抵抗率が20μΩ・cm未満である。
【選択図】図1

Description

本発明は、パワー半導体等のセラミック電子材料に用いられる回路基板に関する。詳しくは、電気抵抗率が20μΩ未満の導体パターンを備えた回路基板に関する。
近年、コンバータやインバータ等の電力制御に用いられる次世代の半導体デバイス(典型的にはパワーデバイス)が盛んに研究開発されている。
この半導体デバイスの周辺技術の一つに、該半導体デバイスを実装するための回路基板がある。回路基板は、例えば、電気絶縁性の基板の表面に、電気伝導性や熱伝導性の高い導体パターン(金属層)を備え、配線回路としての機能や半導体デバイスで発生した熱を逃がす機能(放熱機能)を発揮するものである。かかる回路基板は、例えば、セラミック製の基板の表面に、金属粉末(例えば銅)、ガラスフリット(無機バインダ)、樹脂(有機バインダ)、溶剤等から構成される導体ペースト(例えば銅ペースト)を付与して、乾燥、焼成することによって作製することができる。
特開平05−325636号公報 特開2006−260951号公報 特開2004−056148号公報 特開2004−134378号公報
かかる回路基板では、昨今の半導体デバイスの小型化、高密度化および高速化等といった高性能化に伴い、耐ヒートサイクル性(例えば、−40〜250℃の温度範囲でヒートサイクルを繰り返した時の基板と導体パターンとの接合強度)を維持しつつ、導体パターンを低抵抗化することが求められている。
導体パターンの更なる低抵抗化には、電気伝導の障害となる非導電成分、例えばガラスの含有量を低減することが有効と考えられる。しかしながら、このことは基板と導体パターンとの接合性(例えば耐ヒートサイクル性)の低下につながる虞がある。すなわち、ガラスは一般に金属(例えば銅)に比べて相対的に熱膨張率が小さいため、該ガラスの含有率が高いほど導体パターンの熱膨張率を低く保つことができる。換言すれば、単純にガラスの含有量を低下させると、導体パターンの熱膨張率が高くなり、熱膨張率の小さい基板(例えば窒化物系セラミックスからなる基板)を用いた場合に、該基板との熱膨張率の整合性がとれなくなって剥離等の不具合を生じる虞がある。
このような2律背反のために、これまで導体パターンの大幅な低抵抗化を実現することは困難であった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐ヒートサイクル性に優れ、かつ電気抵抗率が一層低減された導体パターンを備える回路基板を提供することである。また、他の目的は、かかる導体パターンを形成するための導体ペーストを提供することにある。
この背反する2つの特性を備える回路基板を実現するべく、本発明者は様々な角度から検討を重ねた。その結果、これを解決し得る手段を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によって、セラミックスからなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面に形成されたガラスレスの導体パターンと、を備えた回路基板が提供される。上記導体パターンは、上記絶縁基板に接する銅めっき層と、該銅めっき層上に形成された導体層とを備える。上記導体層は、銅成分と無機フィラー成分とを含む。上記無機フィラー成分は、実質的にガラスを含まず、平均粒子径(D50)が10μm以上50μm以下の粒子で構成されている。そして、上記導体層の体積熱膨張率が12ppm/℃以下である。また、上記導体パターンの電気抵抗率が20μΩ・cm未満である。
絶縁基板と導体層との間に銅めっき層を介在させることで、導体層にガラス成分を含まずとも、絶縁基板と導体パターンとが強固に一体化された回路基板を実現することができる。また、導体層に無機フィラーを含むことで該無機フィラーが熱膨張率を調整する役割を果たし、該導体層の体積熱膨張率(以下、単に「熱膨張率」ということもある。)を12ppm/℃以下に制御することができる。これにより、低温〜高温のヒートサイクルに対しても高い耐久性を実現することができる。さらに、導体パターンをガラスレスとし、かつ無機フィラーの平均粒子径を上記範囲とすることで、優れた導電性(電気抵抗率が20μΩ・cm以下、特には電気抵抗率が10μΩ・cm以下)を実現することができる。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、一般的な粒度分布測定装置を用いて、レーザー回折・光散乱法で測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側から累積50%に相当する粒子径(50%体積平均粒子径。D50やメジアン径ともいう。)を指すものとする。また、本明細書において「熱膨張率」とは、特に断りの無い限り、一般的な示差膨張方式の熱機械分析(Thermo Mechanical Analysis:TMA)に基づいて室温〜300℃(例えば25〜300℃、あるいは30〜300℃)の温度範囲にて測定した体積膨張の算術平均値(平均体積熱膨張率)を指すものとする。また、本明細書において「電気抵抗率」とは、一般的な抵抗率計を用いて4端子4探針法で測定した値を指すものとする。
また、「実質的にガラスを含まず」とは、少なくとも積極的に該ガラス成分を含有しないことをいい、例えば不可避的な不純物として極微量に混入することは許容し得る。
ここに開示される回路基板の好適な一態様では、上記銅成分と上記無機フィラー成分との合計体積を100体積%としたときに、上記無機フィラー成分の体積比率が25体積%以上45体積%以下である。
無機フィラー成分の含有率を上記範囲とすることで、導体層の低抵抗化と、接合性(例えば耐ヒートサイクル性)の維持向上とを高いレベルで両立することができる。したがって、本発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
ここに開示される回路基板の好適な一態様では、銅成分は、1μm以上10μm以下の平均粒子径の銅粉末が焼結してなる。
銅粉末(原料)の平均粒子径を上記範囲とすることで、低温焼成(例えば500℃以下の焼成)によって銅粒子同士を焼結することができ、緻密な導体層を実現することができる。
ここに開示される回路基板の好適な一態様では、上記絶縁基板が窒化ケイ素基板である。
窒化ケイ素(Si)からなる基板の熱膨張率は凡そ2.6ppm/℃と、銅の熱膨張率に比べて非常に小さい。このため、ここに開示される技術の適用が特に効果的である。
ここに開示される回路基板の好適な一態様では、上記銅めっき層の平均厚みが2μm以下である。
上述の通り、絶縁基板を構成するセラミックと銅めっき層を構成する銅は、熱膨張率が大きく異なる。このため、絶縁基板と銅めっき層との剥離を防止するためには、銅めっき層の厚みを小さく抑えて絶縁基板との熱膨張率の整合をとることが有効である。これにより、一層優れた熱的安定性(耐ヒートサイクル性)を実現することができる。
ここに開示される回路基板の好適な一態様では、上記導体層の平均厚みが100μm以上300μm以下である。
導体層の厚みを厚くすることで、電気伝導性の向上や放熱性の向上を実現し得る。また、一般に、比較的厚めに形成された導体層では低温〜高温(例えば−40〜250℃)のヒートサイクルの繰り返しによって剥離やクラック等の不具合が生じ易い傾向にある。しかしながら、ここに開示される技術によればこのような不具合を防止することができるので、導体層の低抵抗化と優れた接合性との高いレベルでの両立が可能となる。したがって、このような場合に本発明がとりわけ顕著な効果を奏する。
ここに開示される回路基板の好適な一態様では、上記無機フィラーが、シリカおよび/またはリン酸タングステン酸ジルコニウムである。リン酸タングステン酸ジルコニウムは熱膨張率が負の値を示すため、導体層の熱膨張率を効果的に低減することができる。また、シリカは、熱膨張率が0.5ppm/℃とリン酸タングステン酸ジルコニウムには及ばないものの、入手が容易でありかつ安価なため、トータルバランスに優れている。
また、本発明の他の側面として、ガラスレスの導体パターンを形成するための回路基板用の導体ペーストが提供される。かかる導体ペーストは、銅粉末と、無機フィラー粉末と、熱可塑性樹脂と、溶媒と、を含む。上記無機フィラー粉末は、実質的にガラスを含まず、平均粒子径が10μm以上50μm以下である。そして、上記導体パターンを形成したときに、該導体パターンの体積熱膨張率が12ppm/℃以下であり電気抵抗率が20μΩ・cm未満であることを実現する。
このような組成の導体ペーストを用いることで、ガラスレスであっても熱膨張率の低い導体層を実現することができる。これにより、例えば熱膨張率の小さなセラミック基板(例えば窒化ケイ素基板)とも良好な接合性を実現することができ、なおかつ優れた耐ヒートサイクル性を実現することができる。その結果、熱的安定性が高く、電気抵抗率が一層低減された導体パターンを実現することができる。
ここに開示される導体ペーストの好適な一態様では、上記銅粉末と上記無機フィラー粉末との合計体積を100体積%としたときに、上記無機フィラー粉末の体積比率が25体積%以上45体積%以下である。また、ここに開示される導体ペーストの他の好適な一態様では、上記銅粉末の平均粒子径が1μm以上10μm以下である。
なお、ガラスに比べて熱膨張率の小さな無機フィラーは市販されており、これを含む導体ペーストに関する先行技術も存在する(例えば特許文献1〜4)。しかしながら、ここに開示される技術のように導体層の熱膨張率を調整するために無機フィラーを添加して、かつガラス成分を含有しない(ガラスフリーの)導体ペーストはこれまでに例が無い。
一実施形態に係る回路基板を模式的に示す断面図である。
以下、ここに開示される技術の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば一般的な回路基板の製造方法や導体ペーストの調製方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪回路基板≫
ここに開示される回路基板は、セラミックスからなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面に形成された導体パターンと、を備えている。上記導体パターンは、上記絶縁基板に接する銅めっき層と、該銅めっき層上に形成された導体層とを備えている。そして、以下の(A)〜(D):(A)上記導体パターンがガラスレスであること;(B)上記導体層が、ガラス以外無機フィラー成分であって平均粒子径が10μm以上50μm以下の粒子で構成される無機フィラー成分を含むこと;(C)上記導体層の体積熱膨張率が12ppm/℃以下であること;(D)上記導体パターンの電気抵抗率が20μΩ・cm未満であること;によって特徴づけられる。したがって、その他の構成要素については特に限定されず、種々の用途に応じて任意に決定することができる。
<絶縁基板>
ここに開示される回路基板の絶縁基板は、セラミック材料からなる。かかるセラミック材料としては、例えば、金属炭化物からなる炭化物系セラミックス;金属窒化物からなる窒化物系セラミックス;金属酸化物からなる酸化物系セラミックス;金属のホウ化物、フッ化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等からなるセラミックス;が挙げられる。
好適例として、熱膨張率が比較的小さなもの、具体的には、窒化ケイ素(シリコンナイトライド:Si)、窒化アルミニウム(アルミナイトライド:AlN)、窒化ホウ素(BN)等の窒化物系セラミックス;炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)等の炭化物系セラミックス;コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、ムライト(3Al・2SiO)等の複合酸化物系セラミックス;等が挙げられる。
なかでも、熱膨張率がとりわけ小さなセラミック材料(および該材料の30〜500℃の平均体積熱膨張率)を例示すると、コーディエライト(<|0.1|ppm/℃)、窒化ホウ素(1.4ppm/℃)、窒化ケイ素(2.6ppm/℃)、炭化ケイ素(3.7ppm/℃)、窒化アルミニウム(4.6ppm/℃)、ムライト(5.0ppm/℃)等が挙げられる。特に、窒化ケイ素は曲げ強度が凡そ600〜800MPaと殊に機械的強度に優れるため、高い機械的強度の要求される用途で好ましく用いることができる。また、窒化アルミニウムは、曲げ強度が凡そ200〜400MPaと窒化ケイ素ほどの高温耐久性は期待できないが、熱伝導率が150〜200W/m・Kと高いため、放熱性を要求される用途で好ましく用いることができる。
<導体パターン>
ここに開示される回路基板の導体パターンは、ガラスレス(ガラスフリー)である。すなわち、電気伝導性や熱伝導性の低いガラスを少なくとも意図的には混入させないことで、電気伝導性や熱伝導性に優れた導体パターンを実現することができる。ここに開示される技術では、導体パターンの電気抵抗率が20μΩ・cm未満であり、好ましくは15μΩ・cm以下、より好ましくは10μΩ・cm、特には6μΩ・cm以下であるとよい。
かかる導体パターンは、絶縁基板に接する銅めっき層と、該銅めっき層の表面に固着された導体層から構成される。
銅めっき層は、接合力の小さな絶縁基板と導体層とを接合するための、言わば接着層である。これにより、導体層に無機バインダ成分(ガラス)を含まずとも、強固に一体化された回路基板を実現することができる。
かかる銅めっき層は、実質的に(例えば、銅めっき層全体の95質量%以上が)銅成分からなる。このため、銅めっき層の熱膨張率は、銅の熱膨張率(16ppm/℃)と概ね同等であり得る。ゆえに、例えば絶縁基板が熱膨張率の小さなセラミック材料からなる場合には、絶縁基板と銅めっき層との熱膨張率が大きく異なることがあり得る。例えば、絶縁基板が窒化物系セラミックスからなる場合、銅めっき層の熱膨張率が、絶縁基板の熱膨張率に対して3〜5倍以上大きくなることがある。したがって、このような場合には銅めっき層の厚みを薄くして、熱応力を小さく抑えることが好ましい。
上記の理由から、好適な一態様では、銅めっき層の平均厚みが5μm以下(好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm以下)である。これにより、銅めっき層の熱膨張率をほぼ考慮する必要が無くなり、耐ヒートサイクル特性を一層向上することができる。また、銅めっき層の平均厚みは、0.01μm以上(好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、例えば0.5μm以上)であるとよい。これにより、絶縁基板と導体層とをより安定的に接合することができ、熱的安定性の高い回路基板を実現することができる。
導体層は、配線回路としての導電機能や、半導体デバイスで発生した熱を逃がす放熱機能を発揮する部位である。ここに開示される回路基板に備えられた導体層は、体積熱膨張率が12ppm/℃以下(好ましくは11.5ppm/℃以下、例えば9〜11.5ppm/℃)である。これにより、例えば熱膨張率の比較的小さな絶縁基板を用いる場合であっても、優れた耐ヒートサイクル性を実現することができる。
かかる導体層は、銅成分と無機フィラー成分とを含んでいる。
銅成分は、導体層の主体をなすものであり、導体層に電気伝導性や放熱性を付与するための成分である。銅成分は、導体層を緻密化する観点や導体層形成時の取扱性や作業性等を考慮して、平均粒子径(D50)が0.1μm以上(典型的には0.5μm以上、好ましくは1μm以上、例えば2μm以上)であって、10μm以下(典型的には5μm以下、例えば4μm以下)の銅粉末が焼結(シンタリング)されてなるとよい。
ここに開示される技術において、無機フィラー成分は、いわゆる熱膨張率調整材である。かかる無機フィラー成分は、実質的にガラスを含まず、ガラス以外の無機物で構成されている。好適な無機フィラー材料として、リン酸ジルコニウム系化合物;酸化ケイ素(シリカ:SiO)、二酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、酸化マグネシウム(マグネシア:MgO)、酸化チタン(チタニア:TiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)等の酸化物系材料;コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)等の複合酸化物系材料;窒化ケイ素(シリコンナイトライド:Si)、窒化アルミニウム(アルミナイトライド:AlN)等の窒化物系材料;炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)等の炭化物系材料;等が例示される。
好適な一態様では、導体層中に無機フィラー成分としてのリン酸ジルコニウム系化合物を含んでいる。リン酸ジルコニウム系化合物は、熱膨張率が相対的に小さいため、導体層の熱膨張率を効果的に低減することができる。かかるリン酸ジルコニウム系化合物としては、例えば、リン酸タングステン酸ジルコニウム(Zr(WO)(PO、ZWP)やリン酸ジルコニウム((ZrO))が挙げられる。なかでもリン酸タングステン酸ジルコニウムは熱膨張率が−3.1ppm/℃と負の値を示すため、より少ない含有量で導体層の熱膨張率を好適な範囲に調整することができる。このため、導体層本来の機能性(導電機能や放熱機能)を十分に発揮させることができ、好ましい。
また、好適な他の一態様では、導体層中に無機フィラー成分としてのシリカを含んでいる。シリカは、熱膨張率が0.5ppm/℃とリン酸タングステン酸ジルコニウムには及ばないものの、入手が容易でありかつ安価なため、トータルバランスに優れている。
ここに開示される技術では、無機フィラー成分を構成する粒子の平均粒子径(D50)が50μm以下である。これにより、導体層を平滑性に優れかつ均質なものとし得る。また、ここに開示される技術では、無機フィラー成分を構成する粒子の平均粒子径(D50)が10μm以上(例えば15μm以上)である。これにより、導体層中の無機フィラー粒子同士の接触の数(粒子同士の界面の数)を減少させることができ、接触抵抗を低減することができる。さらに好ましくは、高い機械的強度を実現することができる。
上記導体層中の無機フィラー粒子同士の接触の数を減少させるという観点からは、無機フィラー成分を構成する粒子の10%体積平均粒子径(D10)が、0.5μm以上(例えば1μm以上)であって、例えば30μm以下(例えば25μm以下)あるとよい(ただし、当然、D50≧D10である。)。また、より均質な導体層を実現する観点からは、無機フィラー成分を構成する粒子の90%体積平均粒子径(D90)が、例えば20μm以上(例えば30μm以上)であって、70μm以下(例えば60μm以下)あるとよい(ただし、当然、D90≧D50である。)。
好適な一態様では、導体層中の銅成分を構成する粒子の平均粒子径に比べて、無機フィラー成分を構成する粒子の平均粒子径が大きい。例えば、銅成分を構成する粒子の平均粒子径に対して、無機フィラー成分を構成する粒子の平均粒子径が2〜10倍程度大きいとよい。これにより、導体層中の抵抗が一層低減され、更に高い導電性を実現することができる。
無機フィラー成分を構成する粒子の比表面積は、通常5m/g以下であり、典型的には3m/g以下、例えば0.1〜2.5m/g程度であるとよい。これにより、導体層中の無機フィラー粒子同士の接触面積を減少させることができ、接触抵抗を一層低減することができる。なお、本明細書において「比表面積」とは、吸着質として窒素(N)ガスを用いたガス吸着法(定容量式吸着法)によって測定されたガス吸着量を、BET法(例えば、BET1点法)で解析した値(m/g)をいう。
また、無機フィラー成分を構成する粒子の形状は、例えば、球状、楕円状、破砕状、繊維状等であり得る。より平滑性や均質性の高い導体層を実現する観点からは、例えば平均アスペクト比(長径/短径比)が凡そ1〜1.5(例えば1〜1.3)の球状、楕円状、もしくは破砕状の粒子が好ましい。
導体層における銅成分の含有割合は特に限定されないが、例えば、銅成分と無機フィラー成分との合計体積を100体積%としたときに、銅成分の体積比率が55体積%以上75体積%以下であるとよい。これにより、銅めっき層との接合性に優れ、かつ電気伝導性や放熱性の高い導体層を実現することができる。また、導体層における無機フィラー成分(熱膨張率調整材)の含有割合は特に限定されないが、例えば、銅成分と無機フィラー成分との合計体積を100体積%としたときに、無機フィラー成分の体積比率が25体積%以上45体積%以下であるとよい。これにより、導体層の熱膨張率を比較的小さく抑えることができ、絶縁基板との熱膨張率の整合をとることができる。その結果、剥離等の不具合を防止することができ、耐ヒートサイクル性の高い導体層を実現することができる。
なお、導体層中には、本発明の効果を著しく低減させない限りにおいて、銅成分と無機フィラー成分以外の成分(例えばこの種の分野で一般に使用され得る各種添加剤)を含んでもよい。
導体層のサイズや厚みは、例えば実装(接続)する半導体デバイスの寸法、高さ、間隔(配置)等を考慮して決定すればよく特に限定されないが、導電性や放熱性を確保する観点からは、できるだけ広い領域に、比較的厚めの導体層を形成することが好ましい。かかる理由から、導体層の厚みは100μm以上(典型的には120μm以上、例えば150μm以上)であるとよい。また、厚みの上限は、耐久性や作製容易性の観点から、例えば300μm以下(例えば250μm以下)であるとよい。
<実施形態>
以下、図1を参照しつつ一実施形態に係る回路基板について説明する。なお、以下の図面において、同様の作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために必要に応じて模式化されており、実際の回路基板の寸法関係(長さ、幅、厚さ等)を必ずしも正確に反映したものではない。
図1に示す態様において、回路基板1は絶縁基板(セラミック基板)2の表面に導体パターン4を備えている。絶縁基板2の一方の表面には、予め定められた設計図に沿った導体パターン(配線回路)4が形成されている。この形態では、サイズ(長さ等)や厚みが異なり別個独立した複数(ここでは計7つ)の導体パターン4が絶縁基板2上に形成されている。各導体パターン4は、銅めっき層4aと導体層(配線層)4bから構成されている。また、絶縁基板2のもう一方の表面には、ほぼ全面に渡り1つの導体パターン(放熱層)6が形成されている。導体パターン6は、上記配線回路と同様に、銅めっき層6aと導体層6bから構成されている。
なお、導体パターンは、図1に示すように絶縁基板2の両面に備えられていてもよく、あるいは片方の表面のみに備えられていても良い。また、導体パターンは、図1の導体パターン6のように1つであってもよく、図1の導体パターン4のように複数であってもよい。また、導体パターンは、絶縁基板2の一部に備えられていてもよいし、絶縁基板2のほぼ全面に渡って備えられていてもよい。さらに、例えば耐ヒートサイクル性の向上や腐食の防止等を目的として、導体層4b、6bの表面にめっき層(例えばニッケルめっき層や金めっき層)を備えていてもよい。
かかる回路基板は、電気伝導性や放熱性、機械的強度等の諸特性に優れ、かつ絶縁基板と導体パターンとが強固に一体化されたものであり得る。したがって、ここに開示される回路基板は、パワー半導体等のセラミック電子材料を構成する部材として好適に用いることができる。
≪回路基板の製造方法≫
このような回路基板の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の工程:
(1)セラミックスからなる絶縁基板の表面に銅めっき処理を施すこと;
(2)銅粉末と無機フィラー粉末と熱可塑性樹脂と溶媒とを含む導体ペーストを調製すること;
(3)上記調製した導体ペーストを銅めっき処理済みの絶縁基板上に付与すること;および
(4)上記導体ペーストを付与した絶縁基板を、不活性雰囲気中において上記熱可塑性樹脂の燃え抜け温度以上で焼成し、導体パターンを形成すること;
を包含する方法によって製造することができる。以下、各工程を順に説明する。
<1.銅めっき処理>
まず、絶縁基板の表面に銅めっき処理を施す。銅めっき処理は、例えば従来公知の一般的な無電解めっきの手法によって形成することができる。すなわち、まずパラジウム等の核形成成分によって核が形成されるように調整し、その上に無電解銅めっきを行うとよい。これにより、核形成成分が絶縁基板の表面に物理的に接合して、絶縁基板の表面に強固に固着された銅めっき層を形成することができる。なお、銅めっき処理の詳細な手順等については、後の実施例で述べる。
<2.導体ペーストの調製>
次に、導体ペースト(銅ペースト)を調製する。導体ペーストは、典型的には、銅粉末と、無機フィラー粉末と、熱可塑性樹脂と、溶媒と、を含んでいる。そして、以下の条件(a)および(b):(a)上記無機フィラー粉末は、実質的にガラスを含まず、平均粒子径(D50)が10μm以上50μm以下であること;(b)上記導体パターンを形成したときに、該導体パターンの体積熱膨張率が12ppm/℃以下であり、電気抵抗率が20μΩ・cm未満であること;を具備することが好ましい。なお、その他の構成要素については特に限定されず、種々の用途に応じて任意に決定することができる。
銅粉末は、導体パターンに電気伝導性や放熱性を付与するための成分である。
なお、本明細書において「銅粉末」とは、銅(Cu)を主体とする粒子の集合体をいい、典型的には銅単体から成る粒子の集合体であるが、例えば銅を主体とする合金や銅以外の不純物を微量含むものであっても、全体として銅を主体とする粒子の集合体であればここでいう「銅粉末」に包含され得る。
銅粉末を構成する粒子としては、例えば低温(500℃以下)での焼結に適した大きさ(粒子径)のものを用いるとよい。具体的には、平均粒子径が10μm以下のものが好ましく、5μm以下(例えば4μm以下)のものがより好ましい。焼成時の温度を500℃以下と従来に比べて低めに設定できることで、焼成に起因する熱収縮(熱応力による歪み)を抑えることができる。そのため、基材(ここでは銅めっき層)との密着性に優れた導体パターンを実現することができる。また、緻密性の高い導体パターンを形成することができる効果もある。下限値は特に限定されないが、取扱性や作業性等を考慮して、0.1μm以上(典型的には0.5μm以上、好ましくは1μm以上、例えば2μm以上)のものを用いるとよい。また、銅粉末を構成する粒子の形状は、例えば、球状、鱗片状、円錐状、繊維状等であり得る。なかでも、充填性がよく緻密な導体パターンを形成しやすい等の理由から、球状もしくは鱗片状の粒子が好ましく用いられる。このような平均粒子径および/または粒子形状の銅粉末を用いた導体ペーストによれば、電気伝導性や放熱性に優れた導体パターンを形成することができる。
導体ペースト中の銅粉末の含有割合は特に限定されないが、典型的には導体ペースト全体の50質量%以上(例えば60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上)であって、98質量%以下(典型的には90質量%以下、例えば85質量%以下)であるとよい。これにより、導体パターンの緻密性を高めることができ、高い電気伝導性や放熱性を形成することができる。
無機フィラー粉末は、導体パターンの熱膨張率を調整するためのいわゆる熱膨張率調整材である。無機フィラー粉末としては、ガラス以外の無機物、例えば上述のようなシリカやリン酸ジルコニウム系化合物を用いるとよい。また、無機フィラー粉末を構成する粒子は、平均粒子径が10μm以上であって50μm以下であるとよい。このような無機フィラー粉末を用いることで、低抵抗かつ熱膨張率が良く抑えられた(例えば導体パターンの熱膨張率が12ppm/℃以下の)導体パターンを安定的に形成することができる。好適な一態様では、無機フィラー粉末の平均粒子径が、銅粉末の平均粒子径に比べて大きい。これにより、一層導電性の高い導体パターンを形成することができる。
導体ペースト中の無機フィラー粉末(熱膨張率調整材)の含有割合は、例えば形成する導体パターンの厚み等によっても異なり得るため特に限定されないが、典型的には導体ペースト全体の1質量%以上(典型的には5質量%以上、例えば10質量%以上)であって、30質量%以下(典型的には25質量%以下、例えば20質量%以下)であるとよい。また、銅粉末と無機フィラー粉末との合計体積を100体積%としたときの無機フィラー粉末の体積比率は、25体積%以上であって45体積%以下であるとよい。かかる構成によると、例えば導体パターン(典型的には導体層)を比較的厚めに形成した場合であっても、絶縁基板との熱膨張率の整合をとることができ、剥離等の不具合の発生を抑制することができる。また、無機フィラー粉末の含有割合を必要最小限に抑えることで、電気伝導性や放熱性に一層優れた導体パターンを形成することができる。
熱可塑性樹脂は、導体ペーストを乾燥させた後に、該導体ペースト中の固形分(銅粉末や無機フィラー粉末)を仮固着させるための接合成分(有機バインダ成分)である。
熱可塑性樹脂としては、使用する溶媒(典型的には有機溶剤)に可溶であって、不活性ガス雰囲気中、500℃以下の低温焼成によって熱分解されて燃え抜けるものを好ましく用いることができる。好適例(およびその燃え抜け温度)としては、アクリル(250℃)、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂(メタクリル樹脂を含む。);ポリアセタール樹脂(310℃);ポリビニルブチラ−ル(460℃)、ポリビニルアルコールとエチレンの共重合体等のポリビニルアセタール系樹脂;ポリスチレン(410℃)、アクリロニトリルとブタジエンとスチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン(445℃)、環状オレフィン等のポリオレフィン樹脂;等が挙げられる。
導体ペースト中の熱可塑性樹脂の含有割合は、例えば銅粉末や無機フィラー粉末の粒子径によっても異なり得るため特に限定されないが、銅粉末および無機フィラー粉末を仮固着するために必要な最小限の量まで低減することが好ましい。すなわち、導体ペースト中の熱可塑性樹脂の含有割合は、導体ペースト全体の0.1質量%以上(典型的には0.15質量%以上)であって、1質量%以下(典型的には0.5質量%以下、例えば0.3質量%以下)であるとよい。0.1質量%以上とすることで、安定的に導体パターンを形成することができる。また、1質量%以下とすることで、例えば厚みが100μm以上の導体パターンを形成した際にも、500℃以下の低温焼成によって好適に樹脂成分を燃え抜けさせることができる。その結果、導体パターン中に樹脂が残存し難くなり、接合性を確保しつつも、放熱性や電気伝導性に優れた導体パターンを形成することができる。
溶媒は、ここに開示される導体ペーストの構成成分(すなわち、固形分としての銅粉末と無機フィラー粉末と熱可塑性樹脂)を溶解または分散させるものであると同時に、溶媒の粘度を向上させて塗工時のダレや滲み等を防止する役割をも併せ持つ。導体ペーストは、回路基板の導体パターンを形成するために用いられるため、ペースト状(インク状、スラリー状を包含する。)に調製することで、作業性や成形性を向上させることができ、均質な導体パターンを安定的に形成することが可能となる。
溶媒としては、20℃における粘度が200〜2000mPa・s(例えば250〜1700mPa・s)の高粘性有機溶媒を好ましく用いることができる。これにより、上記熱可塑性樹脂の低減に伴う導体ペーストの粘性の低下を補うことができ、塗工不良や接合不良等の不具合を好適に防止することができる。高粘性有機溶媒としては、少なくとも1種のポリオール類(例えばジオール類やトリオール類)を含む有機溶媒を好ましく用いることができる。具体例(およびその粘度)として、オクタンジオール(271mPa・s)や日香MARS(1650mPa・s)が挙げられる。日香MARSは、日本香料薬品株式会社製の溶剤であり、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の異性体の混合物である。
なお、本明細書において「粘度」とは、液温が20℃の状態において一般的な粘度計を用いて測定した値をいう。例えば、平行円板型回転粘度計(B型粘度計)を用いて、ローターの回転速度20rpmで測定した値をいう。
使用する溶媒の量は、上記構成成分を均質に溶解または分散させ得る量であって、例えば形成する導体パターンの厚み等を考慮して塗工に適した粘度となるよう調整すればよい。導体ペースト中の溶媒の含有割合は特に限定されないが、典型的には導体ペースト全体の0.1質量%以上(典型的には1質量%以上、例えば5質量%以上)であって、20質量%以下(典型的には15質量%以下、例えば10質量%以下)であるとよい。
さらに、導体ペースト中に上記熱可塑性樹脂と溶媒の総和が占める割合を、10質量%以下(典型的には、1〜10質量%、例えば5〜10質量%)とすることが好ましい。このように銅粉末と無機フィラー粉末の占める割合を高めることで、例えば厚みが100μm以上の導体パターンでも、緻密にかつ安定的に形成することができる。
なお、導体ペーストには、該導体ペーストを適した性状(例えば粘性やpH、接合強度等)に調整すること等を目的として、上記主要構成成分に加えて各種の添加剤を添加しても良い。かかる添加剤の一例を挙げると、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、pH調整剤、防腐剤、着色剤等がある。
上記構成成分(例えば銅粉末と無機フィラー粉末と熱可塑性樹脂と溶媒)を所定の割合で調合し、従来公知の分散・混練手法(例えば、ロールミル、ミキサー等)で混練することにより、導体ペースト(銅ペースト)を調製することができる。このように調製された導体ペーストは、従来に比べ低い温度(典型的には500℃以下、例えば400〜500℃)で焼結可能であり、電気伝導性や放熱性、耐にヒートサイクル性に優れる導体パターンを実現可能なことを特徴とする。したがって、セラミックスからなる絶縁基板上に配線回路や放熱層を形成する用途で好ましく用いることができる。
<3.導体ペーストの付与>
次に、銅めっき処理済みの絶縁基板の表面に、上記導体ペーストを付与する。導体ペーストの付与(典型的には塗工)には、従来公知の手法(例えば、スクリーン印刷法、メタルマスク印刷法、グラビア印刷法、ドクターブレード法、ディスペンサー塗布法、ディップ塗布法、インクジェット法等)を用いることができる。なかでも、印刷法を好ましく採用することができる。印刷法を用いることで、例えば複雑な形状の(例えば厚みやサイズの異なる)配線パターンに対応した塗工を、簡便かつ精度良く行うことができる。
<4.焼成>
次に、典型的には、上記付与した導体ペーストを適当な温度(典型的には30〜150℃、例えば80〜120℃)で予備乾燥させる。
その後、導体ペースト中の銅が十分に焼結され得る温度で所定時間、焼成を行う。焼成温度は、使用する熱可塑性樹脂が燃え抜ける温度より高く設定する。好適には、比較的低温、例えば、熱可塑性樹脂の燃え抜け温度以上であって500℃以下(典型的には350〜500℃、例えば400〜500℃)に設定する。これにより、焼成時の熱収縮(熱応力による歪み)を最小限に抑えることができる。また、焼成時間は、通常凡そ0.1〜5時間程度(典型的には0.5〜3時間)とするとよい。また、焼成時の雰囲気は、銅の酸化を防止する観点から、不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。ここで不活性ガス雰囲気とは、酸素および炭化水素ガスを実質的に含まない雰囲気として規定できる。典型的な雰囲気ガスとして、窒素ガス、アルゴンやヘリウム等の希ガスが挙げられる。
これにより、導体ペースト中の熱可塑性樹脂と溶媒は、焼成によってほぼ完全に燃え抜ける。同時に、銅成分が焼結して、銅めっき層の表面に導体層が強固に固着される。なお、上記焼成温度の範囲では、無機フィラー成分には組成や性状の変化(例えば軟化等)は生じないため、導体ペーストに含有される材料の状態と同等の性状を保っている。
次に、典型的には、焼成後の基板にエッチング処理を施す。エッチング処理は、従来公知の一般的な手法によって行うことができる。すなわち、導体ペーストが付与・焼成されなかった部分(導体パターンの非形成部)に付着している銅めっき(詳細には銅めっき中のパラジウム成分)を除去する。これにより、例えば導体層の表面に他のめっき処理(例えばニッケルー金めっき処理)を施す場合にも、導体パターンの非形成部にめっき層が成長することを防止し得、耐電圧の低下を防ぐことができる。
さらに、耐ヒートサイクル性の向上や腐食の防止等を目的として、導体層の表面に再度めっき処理(例えばニッケルめっきや金めっき)を施すこともできる。
このような方法により、セラミックスからなる絶縁基板の表面に、銅めっき層と、実質的に銅成分と無機フィラー成分からなる導体層とが、この順に形成されてなる回路基板を好適に製造することができる。
かかる導体層の体積熱膨張率は、12ppm/℃以下(例えば9〜11.5ppm/℃)であり得る。また、銅めっき層と導体層とからなる導体パターンの電気抵抗率は、20μΩ・cm未満(好ましくは15μΩ・cm以下)であり得る。
なお、ここに示した製造方法では、導体ペーストを調製し、該導体ペーストを銅めっき層の表面に付与することで導体層を形成しているが、かかる態様には限定されない。費用や製造安定性を勘案し、例えば、無電解銅めっきのパターン上に、電解複合めっき(銅めっき中に無機フィラーが分散された状態を作るめっき方法)を施すことによって、導体層を形成することもできる。特に比較的厚めの導体層を形成する場合には、めっき速度が求められるため、作業効率の観点からいって、無電解銅めっきより電解めっきのほうが有利である。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明を以下の実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
ここでは、絶縁基板上に導体パターンを形成し、基板と導体パターンとの接合性、および、導体パターンの電気的特性について評価した。
具体的には、まず、市販の窒化ケイ素基板(三菱マテリアル製)に無電解銅めっき処理を施した。無電解銅めっきの条件を、表1に示す。これにより、窒化ケイ素基板の表面全体に平均厚さ1.5μmの銅めっき層を形成した。
Figure 2015179721
次に、表2に示す銅粉末と無機フィラー粉末(F1〜F4)と熱可塑性樹脂と溶媒とを準備した。これらの材料を、表4に示す割合でそれぞれ混合して導体ペースト(S1〜S13)を調製した。
Figure 2015179721
次に、上記調製した導体ペースト(S1〜S13)を、上記銅めっき層付きの窒化ケイ素基板の表面に、ドクターブレード法によって孔版印刷した。印刷パターンは、30mm×30mmの方形で、印刷厚み(メタルマスク穴)を0.18mmとした。
次に、上記導体パターン付きの窒化ケイ素基板をホットプレート上で加熱乾燥(120℃、3時間)した後、窒素ガス雰囲気中、500℃で1時間焼成した。これにより、上記銅めっき層の表面に、凡そ100〜150μmの導体パターンを形成した。
そして、エッチングによって窒化ケイ素基板上の無電解銅めっきを除去した。エッチングの条件を、表3に示す。
Figure 2015179721
ここではさらに耐ヒートサイクル性を持たせるために、導体層をニッケルめっきと金めっきで被覆した。これにより、窒化ケイ素基板の表面に、銅めっき層と導体層とニッケルー金めっきとをこの順で備えた回路基板(例1〜例13)を作製した。
使用した無機フィラー粉末の性状について表4に纏める。なお、表4中の「D10」、「D50」および「D90」は、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定によって測定した体積基準の粒度分布において、それぞれ微粒子側から累積10%、累積50%、累積90%に相当する粒子径である。また、「体積比率」とは、銅粉末と無機フィラー粉末との合計体積を100体積%としたときに、無機フィラー粉末の占める体積割合である。
[電気的特性]
上記得られた回路基板(例1〜例7)の導体層について、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計(型式:ロレスタGP MCP−T610)を用いて4端子4探針法で電気抵抗率を測定した。結果を表4の「電気抵抗率」の欄に示す。
[接合性]
上記回路基板(例1〜例7)について、−40〜250℃の間でヒートサイクルを200回繰り返した後、接合性を評価した。具体的には、外観上から(目視で)歪みや割れ等の不具合がないかを確認した後、ピンセットで基板から導体パターンを剥がせるか否かを確認し、基板と導体パターンとの機械的な接合性を評価した。
結果を表4の「接合性」の欄に示す。なお、表4において「○」は、ヒートサイクル後も導体パターンに歪みや割れ等の外観上の不具合が確認されず、かつ両者が良好に接合されていたことを、「×」はヒートサイクル後に外観上の不具合が確認された、および/または両者が剥離していたこと、を表している。
Figure 2015179721
表4に示すように、無機フィラーとして平均粒子径が凡そ22μmの球状シリカを用いた例1および例2では、基板と導体パターンとの接合性が高く、かつ電気抵抗率が20μΩ・cmを下回っていた。
これに対し、無機フィラー(球状シリカ)の含有割合を20体積%まで減らした例7では、電気抵抗率は低減したが、ヒートサイクル後に導体パターンの剥離が認められた。これは、球状シリカの割合を減少させたことで、導体パターンの熱膨張率が13ppm/℃以上と高くなり、窒化ケイ素基板との熱膨張の整合性がとれなくなったためと考えられる。また逆に、無機フィラー(球状シリカ)の含有割合を50体積%まで増やした例8では、耐ヒートサイクル特性には優れていたが、電気抵抗率は20μΩ・cmを下回ることができなかった。
無機フィラーとして平均粒子径が凡そ11μmの破砕状リン酸タングステン酸ジルコニウム(ZWP)を用いた例3〜例5では、基板と導体パターンとの接合性が高く、かつ電気抵抗率が20μΩ・cmを下回っていた。また、無機フィラーの含有割合が同程度の例1と例4、または、例2と例5を比較すると、ZWPを用いた例4および例5のほうがより低い電気抵抗率を実現することができた。これは、ZWP自身の体積熱膨張率が球状シリカに比べて小さいために、少ない割合で同程度の体積熱膨張率を実現することができたためと考えられる。
これに対して、例7の場合と同様にZWPの割合を21体積%まで減らした例9では、導体パターンの熱膨張率が12.5ppm/℃と高くなり、ヒートサイクル後に導体パターンの剥離が認められた。
無機フィラーとして平均粒子径が凡そ3μmの球状シリカを用いた例10〜例13では、無機フィラー含有割合が同程度のものと比べて電気抵抗率が大きかった。これは、体積占有率が同等であっても、導体層中の無機フィラー粒子の数が増えたことで該粒子同士の接触の数が増え、接触抵抗が増大したためと考えられる。さらに、例10〜例12では、接合性(耐ヒートサイクル)も悪かった。これは、導体層中の無機フィラー粒子の数が増えたことで、粒子の接点が増えたためと考えられる。
これを裏付けるように、無機フィラーとして平均粒子径が凡そ37μmの球状シリカ(F1の微粒子カット品)を用いた例6では、例1に比べてさらに電気抵抗率を低減することができた。
これらの結果は、ここに開示される発明の技術的意義を裏付けるものである。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 回路基板(配線基板)
2 絶縁基板(セラミック基板)
4 導体パターン(配線回路)
4a 銅めっき層
4b 導体層(配線層)
6 導体パターン(放熱層)
6a 銅めっき層
6b 導体層

Claims (10)

  1. セラミックスからなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面に形成されたガラスレスの導体パターンと、を備える回路基板であって、
    前記導体パターンは、前記絶縁基板に接する銅めっき層と、該銅めっき層上に形成された導体層とを備え、
    前記導体層は、銅成分と、無機フィラー成分と、を含み、
    前記無機フィラー成分は、実質的にガラスを含まず、平均粒子径が10μm以上50μm以下の粒子で構成されており、
    前記導体層の体積熱膨張率が12ppm/℃以下であり、
    前記導体パターンの電気抵抗率が20μΩ・cm未満である、回路基板。
  2. 前記銅成分と前記無機フィラー成分との合計体積を100体積%としたときに、前記無機フィラー成分の体積比率が25体積%以上45体積%以下である、請求項1に記載の回路基板。
  3. 前記銅成分は、1μm以上10μm以下の平均粒子径の銅粉末が焼結してなる、請求項1または2に記載の回路基板。
  4. 前記絶縁基板が窒化ケイ素基板である、請求項1から3のいずれか1項に記載の回路基板。
  5. 前記銅めっき層の平均厚みが2μm以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の回路基板。
  6. 前記導体層の平均厚みが100μm以上300μm以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の回路基板。
  7. 前記無機フィラーが、シリカおよび/またはリン酸タングステン酸ジルコニウムである、請求項1から6のいずれか1項に記載の回路基板。
  8. ガラスレスの導体パターンを形成するための回路基板用の導体ペーストであって、
    銅粉末と、無機フィラー粉末と、熱可塑性樹脂と、溶媒と、を含み、
    前記無機フィラー粉末は、実質的にガラスを含まず、平均粒子径が10μm以上50μm以下であり、
    前記導体パターンを形成したときに、該導体パターンの体積熱膨張率が12ppm/℃以下であり電気抵抗率が20μΩ・cm未満であることを実現する、導体ペースト。
  9. 前記銅粉末と前記無機フィラー粉末との合計体積を100体積%としたときに、前記無機フィラー粉末の体積比率が25体積%以上45体積%以下である、請求項8に記載の導体ペースト。
  10. 前記銅粉末の平均粒子径が1μm以上10μm以下である、請求項8または9に記載の導体ペースト。
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