以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図9は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。このうち図1および図2は、パネル部材10を示す斜視図または縦断面図であり、図3〜図5は、パネル部材10が発現する光学機能を説明するため図であり、図6〜図9は、パネル部材の製造方法の一例を説明するための図である。
ここで説明するパネル部材10は、何らかの光学機能を発現することを期待された第1光学機能面11および第2光学機能面12を含んだパネル状の部材である。光学機能面は、光の作用や性質を利用した機能を備える平面もしくは曲面またはこれらを組み合わせた面である。光は、可視光だけでなく赤外線から紫外線までを含む意味である。光の作用や性質としては、例えば、光の直進、屈折、反射、吸収、発光、干渉、および偏光などが挙げられる。光学機能としては、例えば、表示機能、照明機能、遮光機能、および太陽電池、光学素子、光学部材または光学機器などとの光接続機能などが挙げられる。図1および図2に示すように、パネル部材10は、第1方向d1に配列された複数の単位レンズ30を有している。この単位レンズ30は、パネル部材10に入射する光またはパネル部材10から出射する光に対してレンズ機能を発現し、当該光の進行方向を調整する。単位レンズ30は、或る角度範囲AR1内の方向から入射した光を第1光学機能面11に導き、或る角度範囲AR2内の方向から入射した光を第2光学機能面12に導く。また、このような単位レンズ30は、第1光学機能面11からの光を屈折させて第1角度範囲AR1内の方向へ出射させ、第2光学機能面12からの光を屈折させて第2角度範囲AR2内の方向へ出射させる。
つまり、第1光学機能面11は、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮する。また、第2光学機能面12は、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮する。
そして、ここで説明するパネル部材10では、各光学機能面11,12からの光学機能が連続して発現されるようになる角度範囲を、すなわち、第1角度範囲AR1および第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整し得るようにするための工夫がなされている。この結果、各光学機能面11,12での光学機能が安定して発揮され、パネル部材10が有効に機能するようになる。
以下に詳述する一実施の形態では、一例として、第1光学機能面11は、太陽電池パネル50への入光面50aとして機能する。すなわち、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光は、単位レンズ30によって進行方向が調整されて、入光面50aとして機能している第1光学機能面11を介して太陽電池パネル50へ入射し、発電に利用される。また、第2光学機能面12は、一例として、表示対象13を表示するための表示面をなしている。表示対象13は、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクターなどの絵柄(イメージ)や、文字、マーク、数字などの情報を例示することができる。表示対象13は、静止していても動いていてもよい。ここで、パネル部材10へ入射する光は、第2光学機能面12またはそれに光接続された表示素子等で反射し、単位レンズ30によって進行方向が調整されて、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する。あるいは、第2光学機能面12またはそれに光接続された表示素子等が発光する場合、第2光学機能面12から出射された光は、単位レンズ30によって進行方向が調整されて、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する。そして、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光は、表示対象13を表示する。すなわち、観察者は第2角度範囲AR2から表示対象13を観察することができる。ただし、本発明は、以下に詳述する一実施の形態に限定されるものではなく、第1光学機能面11による光学機能および第2光学機能面12による光学機能は、適宜変更することができる。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「光制御シート」には、「光制御フィルム」や「光制御板」等と呼ばれる部材も含まれる。
また、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面、パネル面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。以下に説明する実施の形態においては、パネル部材10のパネル面、後述する光制御シート20のシート面、光制御シート20の後述する本体部40のシート面、太陽電池パネル50のパネル面、太陽電池パネル50の入光面50a、並びに、第1光学機能面11は、互いに並行となっている。さらに、本明細書において、シート状(フィルム状、板状、パネル状)の部材に対して用いる「法線方向」とは、当該部材のシート面への法線方向のことを指す。
以下、本実施の形態によるパネル部材10の構成および作用効果について詳述していく。図1および図2によく示されているように、パネル部材10は、光制御シート20と、光制御シート20の背面に配置された太陽電池パネル50と、を有している。光制御シート20は、パネル部材10の表面10aを形成し、太陽電池パネル50は、パネル部材10の裏面10bを形成している。表面10aは、パネル部材10へ入射する太陽光等の外光等の入射面をなす。また、表面10aは、表示対象13を可視化する第2光学機能面12からの光がパネル部材10から出射する出射面をなす。
光制御シート20は、シート状の本体部40と、本体部40上に支持されたレンズ部25と、を有している。レンズ部25は、第1方向d1に配列された多数の単位レンズ30を含んでいる。多数の単位レンズ30は、その光軸odが互いに平行となるようにして、並べられている。とりわけ図示された例において、単位レンズ30は、その光軸odが、パネル部材10の法線方向ndと平行となるよう配置されている。また、第1方向d1は、パネル部材10のパネル面に沿っており、パネル部材10の法線方向ndに直交している。
図示された例において、パネル部材10は、第1方向d1が鉛直方向と平行になるようにして、配置されている。
レンズ部25は、図1に示すように、いわゆるレンチキュラーレンズまたはシリンドリカルレンズを構成している。すなわち、各単位レンズ30は、その配列方向である第1方向d1に対して交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示された例において、単位レンズ30は、第1方向d1および法線方向ndの両方と直交する第2方向d2に、直線状に延びている。また、レンズ部25に含まれる複数の単位レンズ30は、互いに同一に構成されている。
単位レンズ30は、凸レンズ状のレンズ面31を有している。このレンズ面31は、パネル部材10の表面10aをなしている。第1方向d1および法線方向ndの両方に平行な図2の断面(以下においては、「主切断面」とも呼ぶ)において、レンズ面31は、光軸odを中心として対称となっている。図2に示すように、各単位レンズ30は、そのレンズ面31に入射する平行光束を、焦点fp上に集める。図2に示された焦点fpは、単位レンズ30の光軸odに沿って入射する平行光L21に対する焦点であり、したがって単位レンズ30の光軸od上に位置している。
ところで、図示された例において、単位レンズ30は、互いに隙間をあけて第1方向d1に配列されている。すなわち、第1方向d1に隣り合う二つの単位レンズ30のレンズ面31の間には、当該二つのレンズ面31の対面する基端部32b間を接続する接続面38が設けられている。図示された例において、接続面38は、パネル部材10のパネル面に沿って延びている。パネル部材10の表面10aは、単位レンズ30のレンズ面31と接続面38とによって形成されている。単位レンズ30を含む光制御シート20は、一例として、金型を用いた樹脂成型によって作製され得る。接続面38を設けて、単位レンズ30どおしの間に隙間を設けることによって、法線方向ndに対して大きく傾斜した角度範囲からの光が単位レンズ30に入射する前にその隣の単位レンズ30で遮られてしまう問題、いわゆる「ケラレ」を減らすことができる。
なお、単位レンズ30のレンズ面31の基端部32bは、レンズ面31のうちの、パネル部材の法線方向ndに沿って本体部40から最も接近した部分、或いは、本体部40に接続する部分のことである。また、単位レンズ30のレンズ面31の先端部32aは、レンズ面31のうちの、パネル部材の法線方向ndに沿って本体部40から最も突出した部分を、先端部32aとする。
本体部40は、互いに対向する一対の主面として、面40aおよび面40bを有している。面40aは、レンズ部25と隣接する面を形成し、面40bは、光制御シート20の太陽電池パネル50と隣接する面を形成している。本実施の形態において、第1光学機能面11は、本体部40の裏面10b上に位置しており、第2光学機能面12は、本体部40の内部に位置している。
すなわち、第1光学機能面11は、第1方向d1に配列された複数の単位レンズ30に対向して、平面状に延び広がっている。図示された例において、第1光学機能面11は、光制御シート20のシート面、言い換えると、パネル部材10のパネル面と平行に延びている。したがって図示された例では、第1光学機能面11は、単位レンズ30の配列方向である第1方向d1と平行に延び広がり、且つ、単位レンズ30の長手方向である第2方向d2とも平行に延び広がっている。
上述したように、第2光学機能面12は、本体部40の内部に配置されている。すなわち、パネル部材10の法線方向ndにおいて、第2光学機能面12は、単位レンズ30と第1光学機能面11との間に位置している。第2光学機能面12は、単位レンズ30に対応して、単位レンズ30の配列方向である第1方向d1に配列されている。各第2光学機能面12は、当該第2光学機能面12が対応する一つの単位レンズ30に対向して位置している。図2に示すように、各第2光学機能面12は、対応する単位レンズ30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。本実施の形態では、第2光学機能面12は、単位レンズ30と同様に、配列方向である第1方向d1と交差する方向に線状に延びている。より厳密には、第2光学機能面12は、単位レンズ30と同様に、第1方向d1と直交する第2方向d2に直線状に延びている。なお、図示された例において、単位レンズ30に対応して多数設けられた第2光学機能面12は、互いに同一に構成されている。
各第2光学機能面12は、第1光学機能面11に対して傾斜している。すなわち、主切断面において、第2光学機能面12の法線と第1光学機能面11の法線とは0°よりも大きくて90°未満の角度をなしている。また、各第2光学機能面12は、単位レンズ30の光軸odに直交する方向に対して傾斜している。このような第2光学機能面12によれば、後述するように、第2光学機能面12からの光学機能が発現されるようになる角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となり、また、第1光学機能面11からの光学機能が発現されるようになる角度範囲である第1角度範囲AR1も、高い自由度で調整することが可能となる。
図2に示すように、傾斜した第2光学機能面12は、第1方向d1における一側(図示する例では、図2における上側であって、鉛直方向における上側)にて、パネル部材10の法線方向ndに沿って、第1光学機能面11から離間して単位レンズ30に近接し、第1方向d1における他側(図示する例では、図2における下側であって、鉛直方向における下側)にて、パネル部材10の法線方向ndに沿って単位レンズ30から離間して第1光学機能面11に近接している。より具体的な構成として、第2光学機能面12は、第1方向d1において一側に位置する第1端部12aが、第1方向d1において他側に位置する第2端部12bよりも、パネル部材10の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接するように、第1光学機能面11に対して傾斜している。図2から理解され得るように、このような第2光学機能面12には、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲からの光が、入射しやすくなる。したがって、第2光学機能面12からの光学機能は、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
このような傾向を強化する観点から、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12は、第1方向d1における一側から他側に向けて、段階的または連続的に、パネル部材の法線方向ndにおいて単位レンズ30の側から第1光学機能面11の側へ接近していくことが好ましい。図示された例において、第2光学機能面12は平面として形成されている。そして、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12は、第1方向d1における一側(上側)から他側(下側)に向けて、連続的に一定の傾斜の程度で、パネル部材の法線方向ndに沿って単位レンズ30の側から第1光学機能面11の側へ接近していく。このような第2光学機能面12によれば、第2光学機能面12からの光学機能は、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
加えて、図2に示すように、第1光学機能面11は、単位レンズ30の焦点fp上に位置している。より厳密には、第1光学機能面11は、レンズ部25に含まれる多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面上に位置している。そして、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1方向d1における他側(下側)に位置する第2端部12bは、第1光学機能面11に接続している。すなわち、図示された実施の形態では、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第2端部12bは、単位レンズ30の焦点fp上に位置することになる。このようなパネル部材10によれば、第2端部12bが位置するようになる焦点fpを結ぶ光のパネル部材10への入射方向を境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
とりわけ、図示された実施の形態では、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1方向d1における他側(下側)に位置する第2端部12bは、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束L21(図2参照)が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上に位置している。すなわち、第2光学機能面12の第2端部12bは、単位レンズ30の光軸od上に位置している。このようなパネル部材10によれば、パネル部材の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
ところで、図2に示すように、光制御シート20の本体部40の内部には、第2光学機能面12だけでなく、反射面15も設けられている。反射面15は、一例として、高い反射率を有した材料からなる薄膜によって形成される。反射面15は、各第2光学機能面12と重ねられ、第1光学機能面11の側を向いている。すなわち、反射面15は、第2光学機能面12と背合わせとなるようにして、配置されている。この反射面15は、後に詳述するように、本体部40内に傾斜して配置された第2光学機能面12の裏側に回り込む光を反射して、第1光学機能面11に誘導する。したがって、この反射面15を設けることにより、第1光学機能面11に導かれる光の入射角度範囲に相当する第1角度範囲AR1を広角化することができる。
なお、図示された本実施の形態では、上述したように、第1光学機能面11は、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能する。すなわち、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光は、入光面50aとして機能している第1光学機能面11を介して太陽電池パネル50へ入射し、発電に利用される。太陽電池パネル50は、太陽電池素子を含んでおり、取り込んだ光によって電流を生じさせる。太陽電池パネル50は、種々の既知な部材を用いることができ、特に限定されない。
一方、図示された本実施の形態での第2光学機能面12は、表示対象13を形成された表示面をなしている。したがって、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光は、表示対象13を可視化させる。すなわち、第2角度範囲AR2から第2光学機能面12が視認され、結果として、第2光学機能面12に形成された表示対象13を観察することができる。なお、第2光学機能面12によって動く表示対象13を表示する場合、第1光学機能面11と隣接した太陽電池パネル50から発電された電気を駆動に用いることが簡便である。
図3には、第2光学機能面12に形成される表示対象13の一例が示されている。複数の第2光学機能面12が、第1方向d1に配列されるとともに、各第2光学機能面12は、第1方向d1に直交する第2方向d2に直線状に延びている。したがって、第1方向d1における各位置に位置する第2光学機能面12が、当該第2光学機能面12の第1方向d1における位置に応じた表示対象要素13aを付与されることによって、第2方向d2に細長く延びる各第2光学機能面12に形成された表示対象要素13aの組み合わせとして二次元的な表示対象13を表示することが可能となる。図3に示された例では、アルファベットの大文字の「N」が表示対象13として表示されている。このように、複数の表示対象要素13aの組み合わせとして表示対象13を表示することで、各第2光学機能面12および各単位レンズ30のサイズを小さくできるため、第2角度範囲AR2を広げたりパネル部材10のサイズを大きくしたとしても、より良好な表示対象13を観察できるようになる。
本実施の形態のパネル部材10は、表示対象13が連続して表示される角度範囲を高い自由度で調整可能である。そのため、本実施の形態のパネル部材10は、様々な用途で利用可能であり、例えば、屋外看板、道路情報掲示板、建築物の外壁面などで用いられる数m〜数十mサイズの大型パネル用途や、ポスター、標識、建築物の内壁面などで用いられる数十cm〜数mサイズの中型パネル用途や、卓上スタンド、携帯端末などで用いられる数cm〜数十cmの小型パネル用途などを例示することができる。
次に、上述してきたパネル部材10の製造方法の一例について、主として図6〜図9を参照しながら、説明する。
まず、図6に示すように、透明樹脂を成型することにより、成型物を作製する。成型は、熱溶融押出加工や射出成型等を採用することができる。図6に示すように、得られた成型物60は、上述した光制御シート20の本体部40のうち、第2光学機能面12および反射面15とその周囲となる部分とが、切欠部62として削り取られた形状となっている。したがって、成型物60は、レンズ部25を含んでいる。
次に、図7に示すように、成型物60の切欠部62内に、第2光学機能面12としての表示面面を形成する。一例として、インクジェット印刷によって、成型物60の切欠部62内に、表示対象13を形成する。その後、図8に示すように、切欠部62内における表示面としての第2光学機能面12上に、反射面15を形成する。一例として、反射性物質を含有した塗工液を、インクジェット印刷によって、成型物60の切欠部62内に塗工することにより、反射面15を形成することができる。
次に、図9に示すように、成型物60の切欠部62を透明樹脂で埋め戻す。例えば、液状の透明樹脂を塗布するとともにスキージで掻き取ることによって、第2光学機能面12および反射面15が形成されている切欠部62に、透明樹脂を充填する。次に、この透明樹脂を切欠部62内で固化させることにより、光制御シート20を作製することができる。
作製された光制御シート20に太陽電池パネル50を接合することにより、上述のパネル部材10が得られる。
次に、主として、図3〜図5を参照しながら、パネル部材10の作用について説明する。パネル部材10は、例えば、単位レンズ30の配列方向である第1方向d1が鉛直方向に沿うようにして、配置される。また、第2光学機能面12の第1方向d1における一側に位置する第1端部12aが、鉛直方向における上側に位置し、第2光学機能面12の第1方向d1における他側に位置する第2端部12bが、鉛直方向における下側に位置するように、パネル部材10が配置される。
パネル部材10の最も観察者側には、レンズ部25が設けられている。レンズ部25の単位レンズ30は、パネル部材10に入射する光またはパネル部材10から出射する光に対してレンズ機能を発揮して、当該光の進行方向を調整する。単位レンズ30は、或る角度範囲AR1内の方向から入射した光を第1光学機能面11に導き、或る角度範囲AR2内の方向から入射した光を第2光学機能面12に導く。言い換えると、単位レンズ30は、第1光学機能面11からの光を屈折させて第1角度範囲AR1内の方向へ出射させ、第2光学機能面12からの光を屈折させて第2角度範囲AR2内の方向へ出射させる。したがって、第1光学機能面11は、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮することができる。また、第2光学機能面12は、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮することができる。
本実施の形態では、第1光学機能面11が、太陽電池パネル50の入光面50aをなしている。したがって、広い角度範囲から入射する光を第1光学機能面11に導いて、太陽電池パネル50での発電に利用することが好ましい。とりわけ、太陽光は、時間帯や季節に応じて位置を変化させる。パネル部材10では、このように時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を第1光学機能面11に導くことができれば好ましい。すなわち、入射方向を変化させる太陽光を高効率で取り込むにあたり、上述した第1角度範囲AR1が広角化されていることが好ましい。
下記の表1は、世界の幾つかの国の主要な都市における季節ごとの南中高度(°)を示している。第1光学機能面11が太陽電池パネル50の入光面50aとして機能している場合、使用が想定される国の主要な都市における春分秋分の南中高度が第1角度範囲AR1に含まれることが好ましい。その国で有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は54°から56°までの高度が第1角度範囲AR1に含まれるようにすればよい。さらに、49°から61°までの高度が第1角度範囲AR1に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。また、使用が想定される国の主要な都市における夏至の南中高度から冬至の南中高度までが第1角度範囲AR1に含まれることがさらに好ましい。その国で一年を通して有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は31°から79°までの高度が第1角度範囲AR1に含まれるようにすればよい。さらに、25°から84°までの高度が第1角度範囲AR1に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。なお、所望の高度が第1角度範囲AR1に含まれることを容易にするために、第1角度範囲AR1の角度範囲が45°程度以上連続していることが好ましい。もっとも、パネル部材10を傾けて配置することによって、所望の高度を第1角度範囲AR1に含まれるようにすることも可能である。一方、第1角度範囲AR1の角度範囲の上限については、第2角度範囲AR2とのバランスで適宜設定すればよいが、135°程度未満とすることによって、後述のように、本実施の形態のパネル部材10の特長をより発揮させることができる。
一方、本実施の形態において、第2光学機能面12は、表示対象13を形成された表示面となっている。したがって、第2角度範囲AR2から第2光学機能面12に形成された表示対象13を観察することができる。この用途において、第2角度範囲AR2は、表示対象13を観察し得る視野角となる。一般的に、視野角である第2角度範囲AR2は、広角化されていることが好ましい。図16を参照して説明した従来技術のように、30°程度の視野角が間をあけて繰り返し現れる表示媒体では、表示される表示対象の視認性が著しく低下し、情報表示機能を有効に発揮することができない。したがって、本実施の形態のパネル部材10の特長をより発揮させるために、第2角度範囲AR2の視野角が45°程度以上連続していることが好ましい。なお、第2角度範囲AR2の視野角の上限については、第1角度範囲AR1とのバランスで適宜設定すればよいが、135°程度未満になるケースが多いと考えられる。
また、表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに太陽電池パネル50が観察されると、表示対象13の視認性や意匠性を著しく害することになる。したがって、表示対象13が形成された第2光学機能面12が観察され得る第2角度範囲AR2は、太陽電池パネル50が観察されるようになる第1角度範囲AR1と区分けされていること、すなわち重なり合っていないことが好ましい。
一方、上述してきた本実施の形態によるパネル部材10は、第1方向d1に配列された単位レンズ30と、複数の単位レンズに対向して位置している第1光学機能面11と、第1方向d1に配列されて単位レンズ30に対向して位置している第2光学機能面12と、を有している。そして、第2光学機能面12は、パネル部材の法線方向ndにおいて、単位レンズ30と第1光学機能面11との間に位置し、且つ、第1光学機能面11に対して傾斜している。とりわけ、第2光学機能面12は、単位レンズ30の光軸odに直交する方向に対して傾斜して広がっている。その一方で、第1光学機能面11は、単位レンズ30の光軸odに直交する方向に広がっている。
このようなパネル部材10では、図4によく示されているように、傾斜した第2光学機能面12が、斜め方向から入射する光L42,L43,L44を効率的に受光することが可能となる。図16を参照して説明した従来例では、実用上選択可能な樹脂材料の屈折率に起因して、単位レンズ130の光軸に対して30°程度以上傾斜した方向からの光L153,L154は、当該単位レンズ130でのレンズ機能によって大きく進行方向を曲げられることなく、結果として、当該単位レンズ130以外の単位レンズに対面する光学機能面111,112に入射することになっていた。その一方で、本実施の形態によれば、図4に示すように、大きく傾斜した方向に進む光L44も、入射した単位レンズ30に対向する第2光学機能面12にて受光されるようになる。図4に点線で示すように、この光L44は、仮に第2光学機能面12が第1光学機能面11と同一面上に並べられていた場合、入射した単位レンズ30とは異なる単位レンズに対面する領域に進み、従来技術で説明した不具合を生じさせる。
すなわち、第2光学機能面12を傾斜させることにより、第2光学機能面12に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2、言い換えると、第2光学機能面12からの光の出射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、図16に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができ、とりわけ格段に広角化させることができる。また、第2角度範囲AR2の調整または広角化は、一般的に高価となる高屈折率材料を単位レンズ30に用いることを必要とせず、従来と同様の材料を使用すればよい。すなわち、材料面からのコスト上昇を来すことなく、第2角度範囲AR2の調整および広角化を実現することができる。
以上のことから、広い第2角度範囲AR2内で、第2光学機能面12からの光学機能が発揮されるようになる。本実施の形態によるパネル部材10では、広い視野角から安定して第2光学機能面12に付与された絵柄13を観察することができる。したがって、観察者は、優れた視認性で表示対象13を観察することができ、且つ、優れた意匠性で表示対象13を表示することができる。
また、図10に示すように、パネル部材10が大面積を有すると、観察位置vpからパネル部材10の表面10aの全域を観察する際の観察角度範囲θvも広くなる。図10に示された例においては、観察角度範囲θvが30°よりも大きくなっている。一方、図16を参照して説明した従来のパネル部材110では、第1光学機能面111及び第2光学機能面112のうちの一方の光学機能を連続して得られる角度範囲が30°程度となっている。したがって、図10の使用状態において、従来のパネル部材110を用いた場合、例えば、中央の領域Zcにおいて第1光学機能111に形成された絵柄が観察位置vpから観察され、中央領域Zcの両側の領域Zeにおいて第2光学機能112に形成された絵柄が観察位置vpから観察されるようになる。したがって、図10に示された用途に従来のパネル部材110を適用して、大面積のパネル部材100を作製することは実質的に不可能であった。
これに対して本実施の形態によれば、第2光学機能面12に形成された絵柄13を観察し得る第2角度範囲AR2は、従来のパネル部材110で一方の光学機能面での光学機能が連続して発揮されるようになる角度範囲と比較して格段に広く設定することが可能となる。とりわけ本実施の形態によるパネル部材10では、第2光学機能面12が、パネル部材10の法線方向ndにより第1光学機能面11と区分けされ、且つ、パネル部材10の法線方向ndに対して下方に傾斜した広い角度範囲に設定されている。したがって、観察位置vpからパネル部材10の全域を見渡す際の観察角度範囲θvが広くなったとしても、パネル部材10の全域に絵柄13を観察することができる。
図10に示された例において、パネル部材10は、複数の光制御シート20を配列することにより形成されている。光制御シート20を敷き詰めて形成されるパネル部材10は、一般的に大面積を有するようになる。したがって、複数の光制御シート20を含んでなるパネル部材10においては、第2光学機能面12での光学機能が連続的に発揮される角度範囲としての第2角度範囲AR2を広角化することが可能であるといった本実施の形態の作用効果が、極めて有効に奏されることとなる。
とりわけ図10に示された例では、複数の光制御シート20は、少なくとも第1方向d1に配列されている。仮に図16を参照して説明した従来の光制御シートを組み合わせてパネル部材110を形成しようとすると、各光制御シートにおける単位レンズと光学機能面との位置決め精度に応じても、表示絵柄の表示品位を劣化させてしまうこともある。すなわち、図10の例において従来の光制御シート(図16)を用いた場合、本来第1光学機能面111の絵柄が観察されるべき中央の領域Zc内において、単位レンズ130と第1光学機能面111との位置決め精度が十分でなかったことに起因して、第2光学機能面112の絵柄が観察される可能性がある。同様に、従来の光制御シート(図16)を第1方向d1に配列してパネル部材110を作製した場合、本来第2光学機能面112の絵柄が観察されるべき領域Ze内において、単位レンズ130と第2光学機能面112との位置決め精度が十分でなかったことに起因して、第1光学機能面111の絵柄が観察される可能性もある。とりわけ、このような不具合は、第1光学機能面111の絵柄が観察されるべき領域Zcと第2光学機能面112の絵柄が観察されるべき領域Zeとの境界の近傍に、複数の光制御シートの繋ぎ目が位置している場合に顕著となる。
このような不具合についても,本実施の形態によるパネル部材10では、第2光学機能面12に形成された絵柄13を観察し得る第2角度範囲AR2は、従来のパネル部材110で一方の光学機能面での光学機能が連続して発揮されるようになる角度範囲と比較して格段に広く設定することが可能となる。したがって、仮に単位レンズ30と第2光学機能面12との位置決め精度が低下したとしても、観察位置vpから、太陽電池パネル50の入光面50aを目に入れることなく、絵柄13を観察することができる。
また、図5に示すように、第2光学機能面12は、パネル部材の法線方向ndに沿って、単位レンズ30と第1光学機能面11との間に位置している。そして、傾斜した第2光学機能面12の単位レンズ30とは反対側となる位置にも、第1光学機能面11が配置されている。図示された例では、第1光学機能面11は、パネル部材の法線方向ndに沿って単位レンズ30に対面する全領域に、延び広がっている。このように広範囲に広がる第1光学機能面11によって、広い角度範囲からパネル部材10へ入射する光を受光することが可能となる。
とりわけ、傾斜した第2光学機能面12の裏側に位置する第1光学機能面11は、図5に示すように、第2光学機能面12で効率的に受光される光L42,L43,L44(図4参照)とは逆側に傾斜した光L52,L53,L54,L55を効率的に受光することが可能となる。つまり、鉛直方向における下方に進みながらパネル部材10へ入射する光L52,L53,L54,L55を効率的に受光することが可能となる。このため、本実施の形態によれば、図5に示すように、入射した単位レンズ30とは異なる単位レンズに対面する領域に進むような光L54も、第1光学機能面11にて有効に受光することができる。
すなわち、単位レンズ30と第1光学機能面11との間の領域で第2光学機能面12を傾斜させることにより、第1光学機能面11に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1、言い換えると、第1光学機能面11からの光の出射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を、図16に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができ、とりわけ格段に広角化させることができる。また、第1角度範囲AR1の調整または広角化は、一般的に高価となる高屈折率材料を単位レンズ30を用いることを必要とせず、従来と同様の材料を使用すればよい。すなわち、材料面からのコスト上昇を来すことなく、第1角度範囲AR1の調整および広角化を実現することができる。
以上のことから、広い第1角度範囲AR1内で、第1光学機能面11からの光学機能が発揮されるようになる。本実施の形態によるパネル部材10では、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を、効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電に利用することが可能となる。
また、本実施の形態では、図2に示すように、第2光学機能面12は、第1方向d1における一側にて、例えば鉛直方向における上側にて、パネル部材の法線方向ndに沿って単位レンズ30に近接し、第1方向d1における他側にて、例えば鉛直方向における下側にて、パネル部材の法線方向ndに沿って第1光学機能面11に近接している。とりわけ本実施の形態では、第2光学機能面12は、第1方向d1において一側に位置する第1端部12aが、第1方向d1において他側に位置する第2端部12bよりも、パネル部材10の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接するように、第1光学機能面11に対して傾斜している。このような本実施の形態によれば、パネル部材の法線方向ndに対して第1方向d1における一側に傾斜した方向からの光L22、言い換えると第1方向d1に沿って他側に進みながらパネル部材10へ入射する光L22は、第1光学機能面11に入射しやすくなる。言い換えると、第1光学機能面11からの光L22は、パネル部材の法線方向ndに対して第1方向d1における一側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。一方、パネル部材の法線方向ndに対して第1方向d1における他側に傾斜した方向からの光L23、言い換えると第1方向d1に沿って一側に進みながらパネル部材10へ入射する光L23は、第2光学機能面12に入射しやすくなる。言い換えると、第2光学機能面12からの光L23は、パネル部材の法線方向ndに対して第1方向d1における他側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。
つまり、本実施の形態によれば、第1光学機能面11からの光学機能が発揮されるようなる方向の角度範囲である第1角度範囲AR1と、第2光学機能面12からの光学機能が発揮されるようなる方向の角度範囲である第2角度範囲AR2とが、区分けされやすくなる。言い換えると、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、重なり合いにくくなる。これにより、第1角度範囲AR1および第2角度範囲AR2をそれぞれ有効に広角化させることができる。とりわけ、本実施の形態によるパネル部材10では、第1角度範囲AR1を鉛直方向における上側に傾斜した方向にとり、第2角度範囲AR2を鉛直方向における下側に傾斜した方向に取ることにより、太陽光の受光および表示対象13の表示を効果的に両立させることができる。
さらに、本実施の形態によれば、パネル部材10は、各第2光学機能面12と重ねられ、第1光学機能面11の側を向く複数の反射面15を、さらに有している。図5に示すように、この反射面15は、極めて大きな傾斜角度にて本体部40内を進む光L55を、反射して第1光学機能面11に向けることができる。すなわち、反射面15によれば、第1角度範囲AR1をさらに広角化させることができる。図示された例において、第1角度範囲AR1は第2角度範囲AR2よりも広くなる。これにより、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を、第1光学機能面11によって効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電に利用することが可能となる。
さらに本実施の形態では、図2に示すように、第1光学機能面11は、単位レンズ30の焦点fp上に位置している。より厳密には、第1光学機能面11は、レンズ部25に含まれる多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面上に位置している。そして、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1方向d1における他側(下側)に位置する第2端部12bは、第1光学機能面11に接続している。すなわち、図示された実施の形態では、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第2端部12bは、単位レンズ30の焦点fp上に位置することになる。このようなパネル部材10によれば、第2端部12bが位置するようになる焦点fpを結ぶ光のパネル部材10への入射方向を境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
とりわけ、図示された実施の形態では、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1方向d1における他側(下側)に位置する第2端部12bは、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束L21,L41,L51が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上に位置している。このようなパネル部材10によれば、パネル部材の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
このように第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2との重なり合いが少なくなれば、さらには第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となれば、第1光学機能面11での光学機能および第2光学機能面12での光学機能が、互いに悪影響を及ぼすことなく、より有効に発揮されるようになる。本実施の形態においては、第1光学機能面11に付与された表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに太陽電池パネル50が観察されることを効果的に防止することが可能となる。この場合、表示対象13の視認性や表示対象13の意匠性を改善することができる。
さらに本実施の形態によれば、複数の単位レンズ30は、第1方向d1に互いから離間して配置され、第1方向d1に隣り合う二つの単位レンズ30の間に、単位レンズ30とともにパネル部材10の表面10aをなす接続面38が設けられている。この接続面38を設けることによって、斜めに進む光に対する隣接レンズの「けられ」を少なくすることができる。
とりわけ本実施の形態において、接続面38は、パネル部材10のパネル面に沿って延びている。また、第2光学機能面12は、パネル部材10のパネル面に沿って接続面38からずれて配置されている。このような本実施の形態では、図5に示すように、接続面38を介してパネル部材10に入射する光L56が、第1光学機能面11に入射するようになる。したがって、これらの光L56の方向にも、第1光学機能面11が何らかの光学機能を発揮すること、例えば太陽電池パネル50に当該光を取り込むことが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、第1方向d1に配列された単位レンズ30と、複数の単位レンズに対向して位置している第1光学機能面11と、第1方向d1に配列されて単位レンズ30に対向して位置している第2光学機能面12と、を有している。そして、第2光学機能面12は、パネル部材の法線方向ndにおいて単位レンズ30と第1光学機能面11との間に位置し、且つ、第1光学機能面11に対して傾斜している。このようなパネル部材10によれば、第1光学機能面11での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第1角度範囲AR1および第2光学機能面12での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となる。また、第1角度範囲AR1および第2角度範囲AR2を効果的に広角化させることも可能となる。さらに、第1角度範囲AR1および第2角度範囲AR2の調整または広角化は、一般的に高価となる高屈折率材料を単位レンズ30に用いることを必要とせず、従来と同様の材料を使用すればよい。すなわち、材料面からのコスト上昇を来すことなく、第1角度範囲AR1および第2角度範囲AR2の調整または広角化を行うことができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
まず、第1の変形例について、図11を参照して、第2光学機能面12の配置位置に関する変形例を説明する。上述した実施の形態では、図2に示すように、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1方向d1における他側(図面における下側)に位置する第2端部12bが、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束L21(図2参照)が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上に位置していた。この上述した実施の形態では、パネル部材の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
しかしながら、この例に限られず、図11に示すように、第2光学機能面12の第2端部12bは、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束L101が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上からずれて配置されていてもよい。図11に示された例においても、第2光学機能面12の第2端部12bは、第1光学機能面11に接続している。したがって、図11に示された例でも、第2光学機能面12の第2端部12bが位置するようになる焦点を結ぶ光L102のパネル部材10への入射方向daを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。図11に示された例では、パネル部材の法線方向ndよりも第1方向d1における一側(図面における上側)に傾斜した方向daを中心として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが切り分けられるようになる。図11に示されたパネル部材10は、例えば、上述した実施の形態での用途において、低い位置に設置される際に好適であり、第1光学機能面11で太陽光を十分に取り込みながら、第2光学機能面12に付与された表示対象13を、目線と同じか目線よりも少し上に、優れた視認性で観察することができる。
その一方で、上述した実施の形態での用途に適用されるパネル部材10を目線よりも高い位置に設置する場合には、図11に示された例とは異なり、後述する図12に示された第2光学機能面12のように、当該第2光学機能面12の第1方向d1における他側(図面における下側)に位置する第2端部12bが、光軸od上よりも第1方向d1における一側にずれていることが好ましい。この場合、第2光学機能面12に付与された表示対象13を、十分な視認性で仰ぎ見ることを可能にしながら、第1光学機能面11で太陽光を非常に高い効率で取り込むことができる。
また、図2、図11、および図12では、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束L21が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fpは、第2光学機能面12の第1方向d1における他側(図面における下側)に位置する第2端部12bが含まれる光軸odに垂直な面上に位置している。しかしながら、これらの例に限られず、図示しないが、焦点位置fpは、第2端部12bが含まれかつ光軸odに垂直な面よりも光軸odにおける第1光学機能面側にずれて位置していてもよい。焦点位置fpが、第2端部12bが含まれかつ光軸odに垂直な面上に位置しているかあるいはその面よりも光軸odにおける第1光学機能面側にずれて位置していることで、第1端部12a付近の表示と第2端部12b付近の表示とが観察する角度によって反転して見えるおそれを防ぐことができる。
次に、第2の変形例について、図12を参照して、光学機能面の数に関する変形例を説明する。上述した実施の形態において、パネル部材10が、第1光学機能面11および第2光学機能面12の二種類の光学機能面を有する例を示したが、これに限られない。図12に示された変形例のように、パネル部材10が、第1方向d1に配列された多数の第3光学機能面18をさらに含むようにしてもよい。図12に示された変形例において、第3光学機能面18は、複数の単位レンズ30と第1光学機能面11との間に位置している。各第3光学機能面18は、当該第3光学機能面18が対応する一つの単位レンズ30に対向して位置している。結果として、図12に示された変形例において、一つの単位レンズ30に対して、一つの第2光学機能面12と一つの第3光学機能面18とが設けられている。パネル部材の法線方向ndを中心として、第2光学機能面12と第3光学機能面18とは対称的に構成されている。図12に示された変形例では、パネル部材の法線方向ndに対する傾斜角度が小さい方向からパネル部材10へ入射する光L111は、第1光学機能面11に入射し、パネル部材の法線方向ndに対して第1方向d1における他側(下側)に傾斜した方向からの光L112は、第2光学機能面12に入射し、パネル部材の法線方向ndに対して第1方向d1における一側(上側)に傾斜した方向からの光L113は、第3光学機能面13に入射する。例えば、第2光学機能面12および第3光学機能面13を表示面として機能させることによって、パネル部材の法線方向ndに対して第1方向d1における一側および他側の両方から、表示対象を観察することができる。この場合、第2光学機能面12が表示する絵柄や情報と第2光学機能面12が表示する表示対象とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。あるいは、傾斜した第3光学機能面13を太陽電池パネルの入光面として機能させることによって、上方から入射する太陽光を受けやすくすることができる。あるいは、第3光学機能面13を遮蔽面として機能させることによって、第1角度範囲AR1を狭めて、第2光学機能面11が見える範囲を制御することができる。
次に、第3の変形例について、図13〜図15を参照して、第2光学機能面の配列に関する変形例を説明する。上述した実施の形態において、第1方向d1に配列された単位レンズ30が、第1方向d1と交差する方向に線状に延びている例を示したが、これに限られない。例えば、図13および図14に示された変形例のように、単位レンズ30が、パネル部材10のパネル面に沿って二次元配列されることによって、二軸方向以上に配列されていてもよい。図13に示された変形例において、単位レンズ30は、正方格子配列により、互いに直交する二方向dx1,dx2に同一のピッチで配列されている。図14に示された変形例において、単位レンズ30は、ハニカム配列により、互いに60°の角度をなす三つの方向dy1,dy2,dy3に同一のピッチで配列されている。このような変形例によれば、単位レンズ30が配列されている二以上の方向に沿った各面内において、各光学機能面11,12からの光学機能が発揮される角度範囲を切り分けることが可能となる。そのため、第3の変形例にて、第2光学機能面を表示面として機能させた場合、表示対象13が観察可能な第2角度範囲を複数の方向に沿った面内で広げることができ、そして、複数の観察方向に対して異なる表示対象13を表示することもできる。
図15には、二元配列される単位レンズ30との組み合わせで使用される第1光学機能面11および第2光学機能面12が示されている。図15に示された例において、第2光学機能面12は、当該第2光学機能面12が対応する一つの単位レンズ30から第1光学機能面11へ向けて先細りするようにして延びる仮想筒14の側面14aに位置している。とりわけ図15に示された例では、第2光学機能面12は、仮想筒14の側面14aの全領域上に位置している。水平面内で観察方向を変化させた場合であっても表示対象13を見ることができるので、例えばパネル部材10を地面や床面のような目線よりも低い位置に第1光学機能面を水平面と並行になるように配置した場合に好適である。ただし、図15に示された仮想筒14の側面14aが複数に区分され、第2光学機能面12が一つの区分を占め、第2光学機能面12とは異なる光学機能を有した他の光学機能面が、仮想筒14の側面14aの他の区分上に設けられていても良い。また、図15に示された仮想筒14は、円筒状となっているが、円筒状に限られることなく、例えば角筒状となっていてもよい。
さらに、既に説明したように、第1光学機能面11が、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能すること、或いは、第2光学機能面12が、表示対象13を表示する面として機能することは例示に過ぎない。一例として、第1光学機能面11も、表示を行うための表示面として機能してもよい。この変形例では、第1方向d1が水平方向と交差するようにして、パネル部材10が配置され、第1光学機能面11によって表示される表示対象と第2光学機能面12によって表示される表示対象とが、水平面内で観察方向を変化させることにより、切り替わって観察されるようにしてもよい。このとき、第1光学機能面11にディスプレイを重ね合わせることによって、第1光学機能面11によって動く表示対象13を表示し、第2光学機能面12によって静止した表示対象13を表示するようにしてもよい。別の一例として、第1光学機能面11が表示対象13を表示する面として機能し、第2光学機能面11が太陽電池パネル50の入光面50aとして機能するようにするようにしてもよい。それによって、傾いた第2光学機能面11が上方から入射する太陽光を受けやすくなる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。