以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
≪第1の実施の形態≫
図1〜図14は、本発明の第1の実施の形態を説明するための図である。このうち図1及び図2は、パネル部材10を示す斜視図または縦断面図であり、図3〜図7は、パネル部材10が発現する光学機能を説明するため図であり、図8〜図11は、パネル部材の製造方法の一例を説明するための図である。また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
ここで説明するパネル部材10は、何らかの光学機能を発現することを期待された第1光学機能面11及び第2光学機能面12を含んだパネル状の部材である。光学機能面は、光の作用や性質を利用した機能を備える平面もしくは曲面またはこれらを組み合わせた面である。光は、可視光だけでなく赤外線から紫外線までを含む意味である。光の作用や性質としては、例えば、光の直進、屈折、反射、吸収、発光、干渉、および偏光などが挙げられる。光学機能としては、例えば、表示機能、照明機能、遮光機能、および太陽電池、光学素子、光学部材または光学機器などとの光接続機能などが挙げられる。図1及び図2に示すように、パネル部材10は、第1軸方向d1に配列された複数の凸部30を有している。各凸部30は、その表面にレンズ面31を形成している。レンズ面31は、パネル部材10に入射する光またはパネル部材10から出射する光に対してレンズ機能を発現し、当該光の進行方向を調整する。レンズ面31は、或る角度範囲AR1内の方向からパネル部材10に入射した光を第1光学機能面11に導き、或る角度範囲AR2内の方向からパネル部材10に入射した光を第2光学機能面12に導く。つまり、レンズ面31は、第1光学機能面11からの光を屈折させて第1角度範囲AR1内の方向へ出射させ、第2光学機能面12からの光を屈折させて第2角度範囲AR2内の方向へ出射させる。
つまり、第1光学機能面11は、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮する。また、第2光学機能面12は、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮する。
そして、ここで説明するパネル部材10では、各光学機能面11、12からの光学機能が連続して発現されるようになる角度範囲を、すなわち、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整し得るようにするための工夫がなされている。この結果、各光学機能面11、12での光学機能が安定して発揮され、パネル部材10が有効に機能するようになる。
以下に詳述する一実施の形態では、一例として、第1光学機能面11は、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能する。すなわち、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光は、レンズ面31によってその進行方向が調整されて、入光面50aとしての第1光学機能面11を介して太陽電池パネル50へ入射し、発電に利用される。また、第2光学機能面12は、一例として、表示対象13を表示するための表示面をなしている。ここで、パネル部材10へ入射する光は、第2光学機能面12またはそれに接続された表示素子等で反射し、レンズ面31によって進行方向が調整されて、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する。あるいは、第2光学機能面12またはそれに接続された表示素子等が発光する場合、第2光学機能面12から出射された光は、レンズ面31によって進行方向が調整されて、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する。そして、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光は、表示対象13を表示する。すなわち、観察者は第2角度範囲AR2から表示対象13を観察することができる。なお、表示対象13として、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクターなどの絵柄(イメージ)や、文字、マーク、数字などの情報を例示することができる。表示対象13は、静止していても動いていてもよい。ただし、本発明は、以下に詳述する一実施の形態に限定されるものではなく、第1光学機能面11による光学機能及び第2光学機能面12による光学機能は、適宜変更することができる。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「光制御シート」には、「光制御フィルム」や「光制御板」等と呼ばれる部材も含まれる。
また、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面、パネル面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。以下に説明する実施の形態においては、パネル部材10のパネル面、後述する光制御シート20のシート面、光制御シート20の後述する本体部40のシート面、太陽電池パネル50のパネル面、太陽電池パネル50の入光面50a、並びに、第1光学機能面11は、互いに並行となっている。さらに、本明細書において、シート状(フィルム状、板状、パネル状)の部材に対して用いる「法線方向」とは、当該部材のシート面への法線方向のことを指す。
以下、本実施の形態によるパネル部材10の構成および作用効果について詳述していく。図1および図2によく示されているように、パネル部材10は、光制御シート20と、光制御シート20の背面に配置された太陽電池パネル50と、を有している。光制御シート20は、パネル部材10の表面10aを形成し、太陽電池パネル50は、パネル部材10の裏面10bを形成している。表面10aは、パネル部材10へ入射する太陽光等の外光等の入射面をなす。また、表面10aは、表示対象13を可視化する第2光学機能面12からの光がパネル部材10から出射する出射面をなす。
光制御シート20は、シート状の本体部40と、本体部40上に支持されたレンズ部25と、を有している。レンズ部25は、第1軸方向d1に配列された多数の凸部30を含んでいる。各凸部30は、本体部40とは反対側を向く面にレンズ面31を形成している。多数の凸部30は、そのレンズ面31の光軸odが互いに平行となるようにして、並べられている。とりわけ図示された例において、凸部30は、そのレンズ面31の光軸odが、本体部40の法線方向ndと平行となるよう配置されている。また、第1軸方向d1は、パネル部材10のパネル面に沿っており、本体部40の法線方向ndに直交している。図示された例において、パネル部材10は、第1軸方向d1が鉛直方向と平行になるようにして、配置されている。
レンズ部25は、図1に示すように、いわゆるレンチキュラーレンズ乃至シリンドリカルレンズを構成している。すなわち、各凸部30は、その配列方向である第1軸方向d1に対して交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示された例において、凸部30は、第1軸方向d1及び法線方向ndの両方と直交する第2軸方向d2に、直線状に延びている。また、レンズ部25に含まれる複数の凸部30は、互いに同一に構成されている。
各凸部30は、第1光学機能面11とは反対側に向かって凸となるように、シート状の本体部40から突出している。言い換えると、各凸部30は、本体部40の法線方向ndに向かって、シート状の本体部40から突出している。第1軸方向d1及び法線方向ndの両方に平行な図2の断面(以下においては、「主切断面」とも呼ぶ)において、レンズ面31は、光軸odを中心として対称となっている。図2に示すように、各凸部30のレンズ面31は、当該レンズ面31に入射する平行光束を集光領域に集める。図2に示す凸部30のレンズ面31は、当該レンズ面31の光軸odに沿って入射する平行光L21を焦点fpに集める例が示されており、この場合、焦点fpは、レンズ面31の光軸od上に位置する。
ところで、図示された例において、凸部30は、互いに隙間をあけて第1軸方向d1に配列されている。すなわち、第1軸方向d1に隣り合う二つの凸部30のレンズ面31の間には、当該二つのレンズ面31の対面する基端部32b間を接続する接続面38が設けられている。図示された例において、接続面38は、本体部40のシート面に沿って延びている。パネル部材10の表面10aは、凸部30のレンズ面31と接続面38とによって形成されている。凸部30を含む光制御シート20は、一例として、金型を用いた樹脂成型によって作製され得る。接続面38を設けて、隣り合う凸部30の間に隙間を設けることによって、法線方向ndに対して大きく傾斜した角度範囲からの光が凸部30のレンズ面31に入射する前にその隣の凸部30のレンズ面31で遮られてしまう問題、いわゆる「ケラレ」を減らすことができる。
本実施の形態において、各凸部30は、本体部40に一体に成形されている。すなわち、各凸部30と本体部40との間に仮想的に規定され得る境界面に継ぎ目が形成されていない。
本体部40は、互いに対向する一対の主面として、第1主面40a及び第2主面40bを有している。第1主面40aは、レンズ部25と隣接する面を形成し、第2主面40bは、光制御シート20の、太陽電池パネル50と隣接する面を形成している。図2に示すように、本体部40の第2主面40bに、各々が対応する凸部30に対向するようにして形成された複数の切込部41が設けられている。各切込部41は、本体部40の第2主面40bの他の部分よりも、本体部40の法線方向ndに向かって凹んでいる。複数の切込部41は、凸部30に対応して、凸部30の配列方向である第1軸方向d1に配列されている。本実施の形態では、各切込部41は、対応する凸部30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。言い換えると、各切込部41は、本体部40の法線方向ndからみて、対応する凸部30と少なくとも部分的に重なっている。本実施の形態では、各切込部41は、凸部30と同様に、配列方向である第1軸方向d1と交差する方向、より厳密には、第1軸方向d1と直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。
図2に示すように、各切込部41は、パネル部材10の裏面10b側から表面10a側に向かって延びる第1切込面42及び第2切込面43を有している。図示する例では、第1切込面42が、第2切込面43よりも第1軸方向d1において一側に位置している。第1切込面42と第2切込面43との間の間隔は、本体部40の法線方向ndに沿ってパネル部材10の表面10aに接近していくにつれて、狭くなっている。そして、最も接近した第1切込面42の表面10a側の端部と、第2切込面43の表面10a側の端部とが、互いに接続されている。
本実施の形態では、第1切込面42の表面10a側の端部と、第2切込面43の表面10a側の端部との前記接続領域上に、切込部41の表面10a側の端部が位置する。切込部41の表面10a側の端部は、本体部40の第1主面40aから離間している。言い換えると、切込部41の表面10a側の端部は、本体部40の法線方向ndにおいて、当該切込部41に対応するレンズ面31の基端部32bよりも、第1光学機能面11に近接して位置している。このような形態によれば、切込部41と本体部40の第1主面40aとの間に、肉厚を確保することができるため、屈曲や衝撃に対する機械強度を確保することができる。
本実施の形態において、切込部41内に低屈折率部60が配置されており、本体部40と低屈折率部60との間となる位置で、切込部41の第2切込面43に沿って第2光学機能面12が配置されている。一方、第1光学機能面11は、各低屈折率部60を本体部の第2主面40bとの間で挟むようにして配置されている。
第1光学機能面11は、第1軸方向d1に配列された複数の凸部30の各々に対向して、平面状に延び広がっている。図示された例において、第1光学機能面11は、本体部40のシート面、言い換えると、パネル部材10のパネル面と平行に延びている。したがって図示された例では、第1光学機能面11は、凸部30の配列方向である第1軸方向d1と平行に延び広がり、且つ、凸部30の長手方向である第2軸方向d2とも平行に延び広がっている。
上述したように、第2光学機能面12は、本体部40に形成された切込部41内に配置されている。したがって、本体部40の法線方向ndにおいて、第2光学機能面12は、凸部30と第1光学機能面11との間に位置している。第2光学機能面12は、凸部30に対応して、凸部30の配列方向である第1軸方向d1に配列されている。各第2光学機能面12は、当該第2光学機能面12が対応する一つの凸部30に対向して位置している。図2に示すように、各第2光学機能面12は、対応する凸部30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。言い換えると、各第2光学機能面12は、本体部40の法線方向ndからみて、対応する凸部30と少なくとも部分的に重なっている。本実施の形態では、第2光学機能面12は、凸部30と同様に、配列方向である第1軸方向d1と交差する方向に線状に延びている。より厳密には、第2光学機能面12は、凸部30と同様に、第1軸方向d1と直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。なお、図示された例において、凸部30に対応して多数設けられた第2光学機能面12は、互いに同一に構成されている。
各第2光学機能面12は、第1光学機能面11に対して傾斜し、レンズ面31の光軸odに平行な方向に対して傾斜している。すなわち、各第2光学機能面12は、第1光学機能面11及びレンズ面31の光軸odのいずれとも非平行になっている。このような第2光学機能面12によれば、後述するようにして、第2光学機能面12からの光学機能が発現されるようになる角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となり、また、第1光学機能面11からの光学機能が発現されるようになる角度範囲である第1角度範囲AR1も、高い自由度で調整することが可能となる。
図2に示すように、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において一側(図示する例では、図2における上側であって、鉛直方向における上側)に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側(図示する例では、図2における下側であって、鉛直方向における下側)に位置する他端部12bよりも、本体部40の法線方向ndにおいて凸部30に近接するように、本体部40のシート面に対して傾斜している。したがって、第2光学機能面12の一端部12aは、第2光学機能面12の他端部12bよりも、本体部40の法線方向ndにおいて凸部30に近接している。図2から理解されるように、このような第2光学機能面12には、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲からの光が、入射しやすくなる。したがって、第2光学機能面12からの光学機能は、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
このような傾向を強化する観点から、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12は、第1軸方向d1における一側(上側)から他側(下側)に向けて、段階的又は連続的に、本体部40の法線方向ndに沿って凸部30から離間していくことが好ましい。図示された例において、第2光学機能面12は平面として形成されている。そして、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12は、第1軸方向d1における一側から他側に向けて、連続的に一定の傾斜の程度で、本体部40の法線方向ndに沿って凸部30から離間していく。このような第2光学機能面12によれば、第2光学機能面12からの光学機能が、法線方向ndに対して他側に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
また、図2に示すように、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において一側(上側)に位置する一端部12aが、当該第2光学機能面12に対応するレンズ面31の先端部32aよりも第1軸方向d1において一側に位置している。すなわち、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において一側(上側)に位置する一端部12aが、当該第2光学機能面12に対応するレンズ面31の光軸odよりも第1軸方向d1において一側に位置している。上述のように、レンズ面31は、光軸odを中心として対称となっており、レンズ面31にて屈折して法線方向ndに対して他側に傾斜した方向から本体部40内を進行する光は、光軸odよりも第1軸方向d1において一側に位置した領域を通過し易い。したがって、各第2光学機能面12の一端部12aが、対応するレンズ面31の光軸odよりも第1軸方向d1において一側に位置することにより、レンズ面31にて屈折して法線方向ndに対して他側に傾斜した方向から本体部40内を進行する光を、第2光学機能面12にてさらに受光し易くなる。すなわち、第2光学機能面12からの光学機能は、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲に向けて、さらに効果的に発揮されるようになる。
図示された実施の形態では、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側(下側)の端部である他端部12bは、当該第2光学機能面12に対応するレンズ面31の先端部32aと、第1軸方向d1において同一位置に位置している。また、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における一側の端部である一端部12aは、当該第2光学機能面12に対応するレンズ面31の第1軸方向d1における一側の基端部32bと、第1軸方向d1において同一位置に位置している。もっとも、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の一端部12aは、当該第2光学機能面12に対応するレンズ面31の第1軸方向d1における一側の基端部32bから、第1軸方向d1においてずれて位置していてもよい。とりわけ図示された例では、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の一端部12aは、レンズ面31の第1軸方向d1における一側の基端部32bから、本体部40の法線方向ndに沿ってパネル部材10の裏面10b側に離間している。
なお、レンズ面31の先端部32aは、レンズ面31のうちの、本体部40の法線方向ndに沿って本体部40から最も突出した部分のことである。また、レンズ面31の基端部32bは、レンズ面31のうちの、本体部40の法線方向ndに沿って本体部40に最も接近した部分、或いは、本体部40に接続する部分のことである。
加えて、図2に示すように、第1光学機能面11は、レンズ面31の焦点fp上に位置している。より厳密には、第1光学機能面11は、レンズ部25に含まれる多数のレンズ面31の焦点fpによって画成される仮想面上に位置している。そして、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側(下側)に位置する他端部12bは、第1光学機能面11に接続している。すなわち、図示された実施の形態では、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の他端部12bは、本体部40の法線方向ndに進む平行光束L21(図2参照)がレンズ面31に入射した際におけるレンズ面31の焦点位置fp上に位置している。さらに言い換えると、第2光学機能面12の他端部12bは、レンズ面31の光軸od上に位置している。このようなパネル部材10によれば、本体部40の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
なお、図示された本実施の形態では、上述したように、第1光学機能面11は、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能する。すなわち、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光は、入光面50aとしての第1光学機能面11を介して太陽電池パネル50へ入射し、発電に利用される。太陽電池パネル50は、太陽電池素子を含んでおり、取り込んだ光によって電流を生じさせる。太陽電池パネル50は、種々の既知な部材を用いることができ、特に限定されない。
一方、図示された本実施の形態での第2光学機能面12は、表示対象13を表示するための表示面をなしている。したがって、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光は、表示対象13を可視化させる。すなわち、第2角度範囲AR2から第2光学機能面12が視認され、結果として、第2光学機能面12に形成された表示対象13を観察することができる。なお、第2光学機能面12によって動く表示対象13を表示する場合、第1光学機能面11と隣接した太陽電池パネル50から発電された電気を駆動に用いることが簡便である。
図3には、第2光学機能面12に形成される表示対象13の一例が示されている。複数の第2光学機能面12が、第1軸方向d1に配列されるとともに、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1に直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。したがって、第1軸方向d1における各位置に位置する第2光学機能面12が、当該第2光学機能面12の第1軸方向d1における位置に応じた表示対象要素13aを付与されることによって、第2軸方向d2に細長く延びる各第2光学機能面12に形成された表示対象要素13aの組み合わせとして二次元的な表示対象13を表示することが可能となる。図3に示された例では、アルファベットの大文字の「N」が表示対象13として表示されている。このように、複数の表示対象要素13aの組み合わせとして表示対象13を表示することで、各第2光学機能面12および各凸部30のサイズを小さくできるため、第2角度範囲AR2を広げたりパネル部材10のサイズを大きくしたとしても、より良好な表示対象13を観察できるようになる。
本実施の形態のパネル部材10は、表示対象13が連続して表示される角度範囲を高い自由度で調整可能である。そのため、本実施の形態のパネル部材10は、様々な用途で利用可能であり、例えば、屋外看板、道路情報掲示板、建築物の外壁面などで用いられる数m〜数十mサイズの大型パネル用途や、ポスター、標識、建築物の内壁面などで用いられる数十cm〜数mサイズの中型パネル用途や、卓上スタンド、携帯端末などで用いられる数cm〜数十cmの小型パネル用途などを例示することができる。
さて、上述のように、レンズ面31は、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向から入射した光L22を第1光学機能面11に導き、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向から入射した光L23を第2光学機能面12に導く。ところが、図2に示すように、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向からレンズ面31に入射した光L25は、当該レンズ面31と他側で隣り合うレンズ面31に対面する第2光学機能面12に、パネル部材10の裏面10b側から向かっていく。このような方向からの光L25が、裏面10b側から第2光学機能面12に入射してしまうと、第2光学機能面12から期待された光学機能が発現されない。そこで、本実施の形態では、パネル部材10の裏面10b側から第2光学機能面12に向かう光L25を、第1光学機能面11に導くように、第2光学機能面12が配置された切込部41内に低屈折率部60が設けられている。この低屈折率部60は、本体部40よりも屈折率が低くなっている。このような低屈折率部60によれば、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向からレンズ面31に入射した光L25をも第1光学機能面11に導くことを可能にするため、第1角度範囲AR1をさらに広角化させることができる。
図4に、切込部41内に配置された低屈折率部60を拡大して示す。図4に示すように、本実施の形態の低屈折率部60は、第2光学機能面12が配置された切込部41内に隙間なく配置されている。このため、低屈折率部60は、本体部40に形成された切込部41の形状に対応する。ゆえに、複数の低屈折率部60は、切込部41と同様に、凸部30の配列方向である第1軸方向d1に配列されている。本実施の形態において、各低屈折率部60は、対応する凸部30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。さらに、低屈折率部60は、切込部41の形状に対応して、凸部30の配列方向である第1軸方向d1と交差する方向、より厳密には、第1軸方向d1と直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。
図4に示すように、低屈折率部60は、切込部41の第1切込面42に沿って配置された入光面61と、切込部41の第2切込面43に沿って配置された接続面62と、入光面61の裏面10b側の端部と接続面62の裏面10b側の端部との間を延びる出光面63と、を含んでいる。このうち、入光面61は、レンズ面31にて屈折した光L31が入光する面をなし、出光面63は、入光面61からの光L31が出光する面をなしている。図4に示す例では、出光面63は、第1光学機能面11に沿って位置し、第1光学機能面11に隣接している。入光面61は、出光面63の第1軸方向d1において一側に位置する端部から、凸部30側つまりパネル部材10の表面10a側に向かって延び出している。接続面62は、出光面63の第1軸方向d1において他側に位置する端部から、凸部30側に向かって延び出している。また、接続面62は、第2光学機能面12に沿って位置し、当該第2光学機能面12に隣接している。
図4に示すように、切込部41の第1切込面42及び第2切込面43の形状に対応して、入光面61と接続面62との間の間隔は、本体部40の法線方向ndに沿って出光面63から離間していくにつれて、狭くなっていく。そして、最も幅の狭くなった入光面61の表面10a側の端部と、接続面62の表面10a側の端部とが、互いに接続されている。とりわけ、図4に示された例では、入光面61、接続面62および出光面63が平坦面として形成されており、低屈折率部60は、主切断面において三角形形状をなしている。
ただし、主切断面における低屈折率部60の断面形状は、三角形形状である必要はなく、種々の形状を有するようにしてもよい。例えば、主切断面における低屈折率部60の断面形状は、三角形の一以上の角、例えば入光面61と接続面62とが接続した角が面取りされてなる形状となっていてよい。また、入光面61の表面10a側の端部と、接続面62の表面10a側の端部と、の間を延びる上面がさらに設けられていてもよい。つまり、主切断面における低屈折率部60の断面形状は、台形形状であってもよい。
このような低屈折率部60は、本体部40をなす材料よりも屈折率の低いものであれば特に限定されず、流体であってもよいし、固体であってもよい。本体部40をなす材料として、例えば、屈折率が1.50〜1.60程度に調整されたウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系等のアクリレート系樹脂が挙げられる。一方、低屈折率部60をなす樹脂材料として、例えば、屈折率が1.45〜1.51程度に調整されたアクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の紫外線硬化性樹脂が挙げられる。低屈折率部60が本体部40をなす樹脂材料よりも屈折率の低い樹脂材料からなる場合、第2光学機能面12を樹脂材料で覆うことで当該第2光学機能面12を保護することができる。これにより、本体部40に形成された切込部41内に配置された第2光学機能面12に、環境の変化や振動等の外乱に対する耐性を付与することができる。あるいは、低屈折率部60は、気体からなってもよい。この場合、低屈折率部60の入光面61と本体部40との界面で、大きな屈折率差を生じさせることができるため、凸部30から低屈折率部60に向かってくる光L25の進行方向を、本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、大きく変更させることができる。本実施の形態では、低屈折率部60は、空気からなる。
また、上述のように、各凸部30は、本体部40に一体に成形されている。したがって、凸部30は本体部40と同一の材料にて構成され、凸部30の屈折率も本体部40の屈折率と等しい。ゆえに、低屈折率部60の屈折率は、凸部30の屈折率よりも低くなっている。
このような低屈折率部60によれば、入光面61と本体部40との界面で、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向から凸部30に入射した光L25を、当該光L25の進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、偏向させることができる。上述のように、第1光学機能面11は本体部40のシート面に沿って配置されているため、低屈折率部60によれば、凸部30からの光L31を第1光学機能面11に向けて偏向させることができる。このような光学機能を効果的に発現する観点から、低屈折率部60の入光面61は、以下に説明するような幾何学的関係を満たすことが好ましい。
先ず、図4に示すように、低屈折率部60で偏向させることが意図された光L31は、第2光学機能面12にパネル部材10の裏面10b側から接近してくる。このため、低屈折率部60で偏向させることが意図された光L31が本体部40の法線方向ndに対してなす角度θ3は、第2光学機能面12が法線方向ndに対してなす角度θ1よりも大きくなる。図4に示す幾何学的関係から理解されるように、低屈折率部60で偏向させることが意図された光L31を、第1光学機能面11に向けて偏向させるためには、この光L31を入光面61の法線方向ND1に対して第1光学機能面11とは反対側から入射させる必要がある。したがって、低屈折率部60が、第2光学機能面12が法線方向ndに対してなす角度θ1よりも大きな角度で入射する光L31を、第1光学機能面11に向けて偏向させるためには、前記主切断面において、第2光学機能面12と低屈折率部60の入光面61とのなす角度θ2は、少なくとも第2光学機能面12に直交する平面P2と第2光学機能面12とのなす角度よりも小さくなればよい。すなわち、第2光学機能面12と低屈折率部60の入光面61とのなす角度θ2は、少なくとも鋭角、すなわち、0°以上90°未満の角度であればよい。ここで、平面P2とは、第2光学機能面12に直交する方向に向かって、低屈折率部60の表面10aに近接した端部から、裏面10b側に延び出す平面である。第2光学機能面12と入光面61とのなす角度θ2を鋭角にすることにより、第2光学機能面12が本体部40の法線方向ndに対してなす角度θ1よりも大きな角度で向かってくる光L31の少なくとも一部を、その進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げることができる。すなわち、レンズ面31にて屈折してパネル部材10の裏面10b側から第2光学機能面12に向かってくる光の少なくとも一部L25を、第1光学機能面11に有効に導くことができる。
また、主切断面において、対象となる光が入射するレンズ面31の第1軸方向d1において一側に位置する基端部32bと、対象となる光が偏向される低屈折率部60の表面10aに近接した端部と、を結ぶ直線をSL2とする。言い換えると、主切断面において、対象となる光が入射するレンズ面31の基端部のうち、対象となる光が偏向される低屈折率部60から離間した側に位置する基端部32bと、対象となる光が偏向される低屈折率部60の入光面61と接続面62との接続位置と、を結ぶ直線をSL2とする。図4に示す幾何学的関係から理解されるように、低屈折率部60で偏向させることが意図された光L31、L32のうち本体部40の法線方向ndに対してなす角度が最も大きい光は、前記直線SL2と平行な方向から低屈折率部60に向かう光L32となる。したがって、前記直線SL2と平行な方向から低屈折率部60に向かう光L32を、第1光学機能面11に向けて偏向させるためには、上述のように、この光L32を入光面61の法線方向ND1に対して第1光学機能面11とは反対側から入射させる必要がある。したがって、前記直線SL2と平行な方向から低屈折率部60に向かう光L32を、第1光学機能面11に向けて偏向させるためには、前記主切断面において、第2光学機能面12と入光面61とのなす角度θ2は、前記直線SL2に直交する平面P3と第2光学機能面12とのなす角度θ4よりも小さいのがよい。すなわち、前記主切断面において、入光面61は、前記直線SL2に直交する平面P3と、第2光学機能面12と、の間に配置されるのがよい。ここで、平面P3とは、前記直線SL2に直交する方向に向かって、低屈折率部60の表面10aに近接した端部から、裏面10b側に延び出す平面である。第2光学機能面12と低屈折率部60の入光面61とのなす角度θ2を、前記直線SL2に直交する平面P3と第2光学機能面12とのなす角度θ4よりも小さくすることにより、低屈折率部60に向かう任意の光L31、L32を、その進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げることができる。
また、金型の作製精度を向上させる観点から、低屈折率部60の入光面61と第2光学機能面12とは、第一軸方向d1に直交し本体部40の法線方向ndに平行な面に関して互いに逆側に傾斜しているのがよい。この場合、光制御シート20を賦型するための金型に、切込部41を形成するための突起部を精度良く形成することができる。これにより、本体部40に切込部41を高精度に形成することができ、この結果、切込部41内に配置される低屈折率部60を高精度に形成することができる。
ところで、上述のように、凸部30は、第1光学機能面11とは反対側に向かって凸となるように本体部40から突出している。この場合、パネル部材10の使用に伴い、隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vに異物が堆積していき易い。とりわけ、本実施の形態のパネル部材10は、屋外看板、道路情報掲示板、建築物の外壁面のような屋外での使用も想定されることから、谷部領域Vに異物が堆積するような利用形態が益々想定され得る。そこで、本実施の形態のパネル部材10は、少なくとも隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vに位置し、当該谷部領域Vの少なくとも一部を埋める平坦化層70を備えている。平坦化層70によれば、隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vの少なくとも一部を埋めることができるため、当該谷部領域Vに異物が堆積することを有効に抑制することができる。加えて、隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vの少なくとも一部を埋めることにより、パネル部材10の表面10aを滑らかにすることができる。これにより、パネル部材10の表面10aの手触りをよくすることができ、商品性を高めることができる。
平坦化層70の屈折率は、凸部30の屈折率とは異なっている。このため、平坦化層70と凸部30との界面に屈折率差が生じ、レンズ面31が形成される。本実施の形態の平坦化層70の屈折率は、凸部30の屈折率よりも低い。このため、レンズ面31は、本体部40側から第1光学機能面11とは反対側に向かって凸となる凸レンズとして機能し、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2からパネル部材10に入射する光に対して、集光機能を発揮することができる。
本実施の形態の平坦化層70は、各レンズ面31を覆っている。平坦化層70が各レンズ面31を覆うことにより、レンズ面31をキズや摩耗から保護することができる。ただし、平坦化層70は、少なくとも隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vに位置し、当該谷部領域Vの少なくとも一部を埋めることができればよく、レンズ面31を必ずしも覆う必要はない。
加えて、谷部領域Vを埋める平坦化層70は、隣り合う2つのレンズ面31の間を接続する各接続面38も覆うことになる。したがって、平坦化層70は、パネル部材10の表面10aをなしている。平坦化層70がパネル部材10の表面10aをなすことにより、パネル部材10の表面10aを一層滑らかにすることができる。
上述のように、本実施の形態のパネル部材10において、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2が広角化されていることから、平坦化層70には、広い角度範囲から光が入射する。このため、平坦化層70に入射する光の入射角度が広範になることから、平坦化層70における光の反射損失を低減することが好ましい。図5に、平坦化層70における反射損失を低減する工夫を説明するための図が示されている。図5に示す平坦化層70は、レンズ面31の形状に対応して起伏した面となっている。この場合、第1角度範囲AR1から平坦化層70に入射する光束及び第2角度範囲AR2から平坦化層70に入射する光束の入射角度を抑え、平坦化層70での反射損失を抑制することができる。
このような平坦化層70での光の反射損失を効果的に抑制する観点から、平坦化層70は、図5に示す主切断面において、以下の関係を満たすことが好ましい。図5に示す主切断面において、平坦化層70の本体部40とは反対側を向く面、つまり、パネル部材10の表面10aをなす面上において、隣り合う2つのレンズ面31の先端部32aの中間となる位置に本体部40の法線方向ndにおいて対面する位置をP1とする。図5に示す主切断面において、平坦化層70の本体部40とは反対側を向く面上において、隣り合う2つのレンズ面31のうちの一方のレンズ面31の先端部32aに本体部40の法線方向ndにおいて対面する位置をP2とし、隣り合う2つのレンズ面31のうちの他方のレンズ面31の先端部32aに本体部40の法線方向ndにおいて対面する位置をP3とする。図5に示すように、前記位置P1と前記位置P2との間の本体部40の法線方向ndにおける距離hを、前記一方のレンズ面31の第1軸方向d1における長さW、つまりレンズ面31の2つの基端部32b間の第1軸方向d1における長さで除算した値は、0よりも大きく0.15よりも小さい。同様に、前記位置P1と前記位置P3との間の本体部40の法線方向ndにおける距離hを、前記他方の凸部30の第1軸方向d1における長さWで除算した値は、0よりも大きく0.15よりも小さい。この場合、平坦化層70が異物が堆積することを効果的に抑制する機能を発揮した上で、平坦化層70での光の反射損失を効果的に抑制することができる。ただし、平坦化層70は、起伏した形状をもつ例に限定されず、本体部のシート面に平行な平面であってもよい。
また、図5に示すように、平坦化層70は、本体部40の側から順に重ねられた複数の層71〜73を含み、各層71〜73は、当該層71〜73よりも本体部40側に位置する他の層71、72よりも屈折率が低くなっている。図5に示す例では、平坦化層70は、本体部40の側から順に重ねられた第1層71、第2層72及び第3層73を含んでいる。この場合、第3層73は、第1層71及び第2層72よりも屈折率が低く、第2層72は、第1層71よりも屈折率が低くなっている。一般に、光が相対的に低い屈折率をもつ層から相対的に高い屈折率をもつ層に進入する場合、2つの層の間に、相対的に高い屈折率をもつ層に近接して位置するほど屈折率が大きくなるように複数の層を介在させて、屈折率を徐々に変化させるのが、反射損失の低減の観点から好ましい。したがって、このような形態によれば、本体部40に近接して位置する層71〜73ほど屈折率が大きくなり、屈折率差を徐々に変化させることができるため、パネル部材10の表面10aに入射する光の反射損失を極めて効果的に低減することができる。
一例として、本体部40に近接して位置する第1層71を樹脂層で形成し、第1層71に重ねられた第2層72を、第1層71をなす樹脂よりも屈折率の低い樹脂層で形成し、第2層72に重ねられた第3層73を屈折率の低い無機物を主成分として含む蒸着層で形成してもよい。
次に、上述してきたパネル部材10の製造方法の一例について、主として図8〜図11を参照しながら、説明する。
まず、図8に示すように、透明樹脂を成型することにより、成型物90を作製する。成型は、熱溶融押出加工や射出成型等を採用することができる。図8に示すように、得られた成型物90には、上述した光制御シート20の本体部40の第2主面40bとなる部分に、切込部41が形成されている。また、成型物90には、凸部30を含むレンズ部25が賦型されている。
次に、図9に示すように、成型物90の切込部41内に、第2光学機能面12としての表示面を形成する。一例として、インクジェット印刷によって、成型物90の切込部41内に、表示対象13を形成する。その後、図10に示すように、少なくとも隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vを埋めるように、平坦化層70をレンズ部25に積層する。これにより、光制御シート20が得られる。
次に、図11に示すように、光制御シート20の切込部41が形成された面側に、太陽電池パネル50を接合させる。これにより、太陽電池パネル50の入光面50aをなす第1光学機能面11を形成することができる。また、光制御シート20の切込部41を太陽電池パネル50で覆うことにより、切込部41内に空気からなる低屈折率部60を設けることができる。なお、低屈折率部60が本体部40をなす材料よりも屈折率の低い樹脂材料にて構成される場合には、第2光学機能面12が形成された切込部41に、低屈折率部60をなす材料を充填すればよい。したがって、切込部41内に空気からなる低屈折率部60を設けることにより、切込部41を他の材料で埋める必要がなくなるため、パネル部材10を効率良く作製することができる。このようにして、上述のパネル部材10が得られる。
次に、主として、図6及び図7を参照しながら、パネル部材10の作用について説明する。パネル部材10は、例えば、凸部30の配列方向である第1軸方向d1が鉛直方向に沿うようにして、配置される。また、第2光学機能面12の第1軸方向d1における一側に位置する一端部12aが、鉛直方向における上側に位置し、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側に位置する他端部12bが、鉛直方向における下側に位置するように、パネル部材10が配置される。
パネル部材10の最も観察者側には、レンズ部25が設けられている。レンズ部25の凸部30にて形成されるレンズ面31は、パネル部材10に入射する光またはパネル部材10から出射する光に対してレンズ機能を発揮して、当該光の進行方向を調整する。レンズ面31は、或る角度範囲AR1内の方向から入射した光を、直接的にあるいは低屈折率部60を利用して第1光学機能面11に導き、或る角度範囲AR2内の方向から入射した光を第2光学機能面12に導く。言い換えると、レンズ面31は、第1光学機能面11からの光を屈折させて第1角度範囲AR1内の方向へ出射させ、第2光学機能面12からの光を屈折させて第2角度範囲AR2内の方向へ出射させる。したがって、第1光学機能面11は、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮することができる。また、第2光学機能面12は、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮することができる。
本実施の形態では、第1光学機能面11が、太陽電池パネル50の入光面50aをなしている。したがって、広い角度範囲から入射する光を第1光学機能面11に導いて、太陽電池パネル50での発電に利用することが好ましい。とりわけ、太陽光は、時間帯や季節に応じて位置を変化させる。パネル部材10では、このように時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を第1光学機能面11に導くことができれば好ましい。すなわち、入射方向を変化させる太陽光を高効率で取り込むにあたり、上述した第1角度範囲AR1が広角化されていることが好ましい。
下記の表1は、世界の幾つかの国の主要な都市における季節ごとの南中高度(°)を示している。第1光学機能面11が太陽電池パネル50の入光面50aとして機能している場合、使用が想定される国の主要な都市における春分秋分の南中高度が第1角度範囲AR1に含まれることが好ましい。その国で有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は54°から56°までの高度が第1角度範囲AR1に含まれるようにすればよい。さらに、49°から61°までの高度が第1角度範囲AR1に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。また、使用が想定される国の主要な都市における夏至の南中高度から冬至の南中高度までが第1角度範囲AR1に含まれることがさらに好ましい。その国で一年を通して有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は31°から79°までの高度が第1角度範囲AR1に含まれるようにすればよい。さらに、25°から84°までの高度が第1角度範囲AR1に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。なお、所望の高度が第1角度範囲AR1に含まれることを容易にするために、第1角度範囲AR1の角度範囲が45°程度以上連続していることが好ましい。もっとも、パネル部材10を傾けて配置することによって、所望の高度を第1角度範囲AR1に含まれるようにすることも可能である。一方、第1角度範囲AR1の角度範囲の上限については、第2角度範囲AR2とのバランスで適宜設定すればよいが、135°程度未満とすることによって、後述のように、本実施の形態のパネル部材10の特長をより発揮させることができる。
一方、本実施の形態において、第2光学機能面12は、表示対象13を表示するための表示面となっている。したがって、第2角度範囲AR2から第2光学機能面12に形成された表示対象13を観察することができる。この用途において、第2角度範囲AR2は、表示対象13を観察し得る視野角となる。一般的に、視野角である第2角度範囲AR2は、広角化されていることが好ましい。図18を参照して説明した従来技術のように、30°程度の視野角が間をあけて繰り返し現れる表示媒体では、表示される表示対象の視認性が著しく低下し、情報表示機能を有効に発揮することができない。したがって、本実施の形態のパネル部材10の特長をより発揮させるために、第2角度範囲AR2の視野角が45°程度以上連続していることが好ましい。なお、第2角度範囲AR2の視野角の上限については、第1角度範囲AR1とのバランスで適宜設定すればよいが、135°程度未満になるケースが多いと考えられる。
また、表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに太陽電池パネル50が観察されると、表示対象13の視認性や意匠性を著しく害することになる。したがって、表示対象13が付与された第2光学機能面12が観察され得る第2角度範囲AR2は、太陽電池パネル50が観察されるようになる第1角度範囲AR1と区分けされていること、すなわち重なり合っていないことが好ましい。
一方、上述してきた本実施の形態によるパネル部材10は、第1軸方向d1に配列されたレンズ面31をもつ凸部30と、複数の凸部30に対向して位置している第1光学機能面11と、第1軸方向d1に配列されて凸部30に対向して位置している第2光学機能面12と、を有している。そして、第2光学機能面12は、本体部40の法線方向ndにおいて、凸部30と第1光学機能面11との間に位置し、且つ、第1光学機能面11に対して傾斜している。とりわけ、第2光学機能面12は、レンズ面31の光軸odに直交する方向に対して傾斜して広がっている。その一方で、第1光学機能面11は、レンズ面31の光軸odに直交する方向に広がっている。
このようなパネル部材10では、図6によく示されているように、傾斜した第2光学機能面12が、当該第2光学機能面12の正面方向すなわち法線方向から向かってくる光L42、L43、L44を効率的に受光することが可能となる。図6に示す例では、第2光学機能面12がレンズ面31の光軸odに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該光軸odに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L42、L43、L44、を効率的に受光することが可能となる。図18を参照して説明した従来例では、実用上選択可能な樹脂材料の屈折率に起因して、レンズ面131の光軸に対して30°程度以上傾斜した方向からの光L553、L554は、当該レンズ面131でのレンズ機能によって大きく進行方向を曲げられることなく、結果として、当該レンズ面131以外のレンズ面に対面する光学機能面111、112に入射していた。その一方で、本実施の形態によれば、図6に示すように、光軸odに対して第1軸方向d1における他側に大きく傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L44も、入射したレンズ面31に対向する第2光学機能面12にて受光されるようになる。図6に点線で示すように、この光L44は、仮に第2光学機能面12が第1光学機能面11と同一面上に交互に並べられていた場合、入射したレンズ面31とは異なるレンズ面に対面する領域に進み、従来技術で説明した不具合を生じさせる。
すなわち、第2光学機能面12を本体部40のシート面に対して傾斜させることにより、第2光学機能面12に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2、言い換えると、第2光学機能面12からの光の出射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、図18に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができる。とりわけ、第2光学機能面12は、第1光学機能面11よりも凸部30に接近した切込部41内で第1光学機能面11に対して傾斜している。これにより、第2光学機能面12が第1光学機能面11と同一面上に交互に並べられた図18に示す従来のパネル部材よりも、光軸odに対して傾斜した、第2光学機能面12の正面方向から向かってくる光L42、L43、L44を第2光学機能面12にて有効に受光することが可能となる。この結果、第2光学機能面12は、図18に示された従来例よりも、光軸odに対して傾斜した広範な方向から向かってくる光L42、L43、L44を受光することが可能となり、第2角度範囲AR2を広角化させることができる。
また、図7に示すように、第2光学機能面12は、本体部40の法線方向ndにおいて、凸部30と第1光学機能面11との間に位置している。そして、傾斜した第2光学機能面12の凸部30とは反対側となる位置にも、第1光学機能面11が配置されている。図示された例では、第1光学機能面11は、本体部40の法線方向ndに沿って各凸部30に対面する全領域に、延び広がっている。このように広範囲に広がる第1光学機能面11によって、広い角度範囲からパネル部材10へ入射する光を受光することが可能となる。
また、第2光学機能面12に対してなす角度がより小さい方向から本体部40内を進行する光L52、L53、L54ほど、第2光学機能面12に受光され難い。このことから、傾斜した第2光学機能面12よりも裏面10b側に位置する第1光学機能面11は、図7に示すように、第2光学機能面12で効率的に受光される光L42、L43、L44(図6参照)とは逆側に傾斜した光L52、L53、L54を効率的に受光することが可能となる。つまり、第1軸方向d1において他側に進みながらレンズ面31へ入射する光、図示する例では、鉛直方向における下方に進みながらレンズ面31へ入射する光L52、L53、L54を効率的に受光することが可能となる。
ただし、第1軸方向d1において他側に進みながらレンズ面31へ入射する光L54であっても、本体部40の法線方向ndに対してなす角度が大きい場合、レンズ面31にて屈折されて、当該レンズ面31と隣り合うレンズ面31に対面する第2光学機能面12に、パネル部材10の裏面10b側から向かっていくこともある。上述のように、本実施の形態では、このような光L54をも第1光学機能面11に導くことを可能にするため、第2光学機能面12が配置された切込部41内に低屈折率部60が設けられている。このため、図7に示すように、第2光学機能面12に裏面10b側から向かっていく光L54は、低屈折率部60の入光面61と本体部40との界面で、当該光L54の進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げられる。これにより、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向から凸部30に入射した光L54であっても、第1光学機能面11に導くことができる。図7から理解されるように、この光L54は、仮に第2光学機能面12が第1光学機能面11と同一面上に交互に並べられていた場合、入射した凸部30とは異なる凸部に対面する領域に進み、従来技術で説明した不具合を生じさせる。
すなわち、凸部30と第1光学機能面11との間の領域で第2光学機能面12を傾斜させ、第2光学機能面12が配置された切込部41内に低屈折率部60を設けることにより、第1光学機能面11に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1、言い換えると、第1光学機能面11からの光の出射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を、図18に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができ、さらには格段に広角化させることもできる。
なお、上述のように、各レンズ面31は、凸部30よりも屈折率の低い平坦化層70によって覆われている。第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2が広角化されていることから、平坦化層70に入射する光の入射角度が広範になる。このため、平坦化層70における光の反射損失を低減するのが好ましい。この点、平坦化層70における光の反射損失を低減するべく、平坦化層70は、本体部40の側から順に重ねられた複数の層71〜73を含み、各層71〜73は、当該層71〜73よりも本体部40側に位置する他の層71、72よりも屈折率が低くなっている。このような形態によれば、隣り合う層の間の屈折率差を徐々に変化させることができるため、パネル部材10に入射する光の反射損失を効果的に低減することができる。
以上のように本実施の形態によれば、シート状の本体部40と、第1軸方向d1に沿って本体部40上に並べて配列され、本体部40とは反対側を向く面にレンズ面31を形成する複数の凸部30と、複数の凸部30に対向して位置する第1光学機能面11と、複数の凸部30と第1光学機能面11との間に位置している第2光学機能面12と、を備え、レンズ面31は、或る方向から入射した光L22、L52〜L54を第1光学機能面11に導き、前記或る方向とは異なる別の方向から入射した光L23、L42〜L44を第2光学機能面12に導く。このようなパネル部材10によれば、第2光学機能面12が第1光学機能面11に対して傾斜しているため、傾斜した第2光学機能面12は、正面方向から入射する光L23、L42〜L44を、有効に受光し易くなる。そして、レンズ面31は、レンズ面の集光作用によって、広範囲な角度範囲AR2内の方向から当該レンズ面31に入射した光L23、L42〜L44を、第2光学機能面12に集める。一方、傾斜した第2光学機能面12に遮られずに第1光学機能面11に向かう光L22、L52、L53は、第2光学機能面12に受光され易い光L23、L42〜L44とは逆側に傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L22、L52、L53となる。そして、レンズ面31は、レンズ面の集光作用によって、広範囲な角度範囲AR1内の方向から当該レンズ面31に入射した光L22、L52、L53を、第1光学機能面11に集める。このように、第2光学機能面12を第1光学機能面11に対して傾斜させることにより、第1光学機能面11での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第1角度範囲AR1および第2光学機能面12での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となる。また、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2を効果的に広角化させることも可能となる。さらに、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2の調整又は広角化は、一般的に高価となる高屈折率材料を凸部30に用いることを必要とせず、従来と同様の材料を使用すればよい。すなわち、材料面からのコスト上昇を来すことなく、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2の調整又は広角化を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、本体部40の第1光学機能面11側を向く面に各凸部30に対向するようにして複数の切込部41が形成され、各切込部41内に本体部40よりも屈折率の低い低屈折率部60が配置され、各第2光学機能面12は、各々に対応する低屈折率部60と本体部40との間に設けられており、レンズ面31は、前記或る方向及び前記別の方向とは異なる更なる別の方向から入射した光L25、L54を低屈折率部60に導き、低屈折率部60は、本体部40との界面でレンズ面31からの光L25、L54を、当該光L25、L54の進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、偏向させる。このような低屈折率部60によれば、パネル部材10の裏面10b側から第2光学機能面12に向かうように本体部40内を進行する光L25、L54を、本体部40との界面で、当該光L25、L54の進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、偏向させることができる。これにより、期待された光学作用が及ぼされ得ない、パネル部材10の裏面10b側から第2光学機能面12に向かう光L25、L54であっても、第1光学機能面11に導くことができるため、第1角度範囲AR1をさらに広角化させることができる。
とりわけ、本実施の形態によれば、第1光学機能面11が太陽電池パネル50の入光面50aをなしている。上述のように、本実施の形態によれば、広い第1角度範囲AR1内で、第1光学機能面11からの光学機能が発揮されるようになるため、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電に利用することが可能となる。
とりわけ、本実施の形態によれば、第2光学機能面12は、表示対象13を表示するための表示面である。上述のように、本実施の形態によれば、広い第2角度範囲AR2内で、第2光学機能面12からの光学機能が発揮されるようになるため、広い視野角から安定して第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察することができる。したがって、観察者は、優れた視認性で表示対象13を観察することができ、且つ、優れた意匠性で表示対象13を表示することができる。
また、本実施の形態では、図2に示すように、各第2光学機能面12の第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aは、当該第2光学機能面12に対応するレンズ面31の先端部32aよりも第1軸方向d1において一側に位置し、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bよりも、本体部40の法線方向ndにおいて凸部30に近接するように、第1光学機能面11に対して傾斜している。このような形態によれば、第2光学機能面12は、当該第2光学機能面12の正面方向から向かってくる光L23、L42〜L44を効率的に受光することが可能なため、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向からの光、言い換えると第1軸方向d1において一側に進みながらパネル部材10へ入射する光L23、L42〜L44が、第2光学機能面12に入射しやすくなる。言い換えると、第2光学機能面12からの光L23、L42〜L44は、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。一方、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向からの光L22、L52〜L54は、第2光学機能面12となす角度が小さい方向から本体部40内を進行するため、第2光学機能面12に受光され難い。この第2光学機能面12にて受光され難い、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向からの光、言い換えると第1軸方向d1において他側に進みながらパネル部材10へ入射する光L22、L52〜L54は、第1光学機能面11に入射しやすくなる。言い換えると、第1光学機能面11からの光L22、L52〜L54は、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。
つまり、上記の形態によれば、第1光学機能面11からの光学機能が発揮されるようになる方向の角度範囲である第1角度範囲AR1と、第2光学機能面12からの光学機能が発揮されるようになる方向の角度範囲である第2角度範囲AR2とが、区分けされやすくなる。言い換えると、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、重なり合いにくくなる。これにより、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2をそれぞれ有効に広角化させることができる。
このように第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2との重なり合いが少なくなれば、さらには第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となれば、第1光学機能面11での光学機能および第2光学機能面12での光学機能が、互いに悪影響を及ぼすことなく、より有効に発揮されるようになる。本実施の形態においては、第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察している際に、第1光学機能面11に重ねられた太陽電池パネル50が表示対象13とともに観察されることを効果的に防止することが可能となる。この場合、表示対象13の視認性や表示対象13の意匠性を改善することができる。
とりわけ、本実施の形態によるパネル部材10では、第1光学機能面11に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を鉛直方向における上側に傾斜した方向に設定し、第2光学機能面12に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を鉛直方向における下側に傾斜した方向に設定している。この場合、典型的な利用として想定される表示板としての用途においてパネル部材10を目線よりも高い位置に設置する場合に有効である。観察者は、鉛直方向における上側に見上げながらパネル部材10を観察するため、第2角度範囲AR2から第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察することができる。一方、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化するが、鉛直方向における下側に傾斜した方向に進みながらレンズ面31に入射する。このため、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化しても、第1角度範囲AR1からレンズ面31に入射して第1光学機能面11に向かうことができる。したがって、このような形態によれば、太陽光の受光および表示対象13の表示を効果的に両立させることができる。
加えて、本実施の形態によれば、前記主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側の他端部12bは、第1光学機能面11に接続している。このような形態によれば、第2角度範囲AR2からパネル部材10に入射する光が、第2光学機能面12の他端部12bと第1光学機能面11との間を通過して第1光学機能面11に到達してしまうことを防止することができる。このため、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とをよりはっきりと区分けすることに寄与する。
また、本実施の形態によれば、低屈折率部60は、空気からなる。この場合、低屈折率部60の入光面61と本体部40との界面で、大きな屈折率差を生じさせることができるため、凸部30から低屈折率部60に向かってくる光L25、L54を、当該光L25、L54の進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、大きく曲げることができる。これにより、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に極めて大きく傾斜した方向から凸部30に入射した光L25、L54であっても、第1光学機能面11に効果的に導くことができる。この結果、第1光学機能面11に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1、言い換えると、第1光学機能面11からの光の出射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を、図18に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができ、さらには格段に広角化させることもできる。
また、本実施の形態によれば、凸部30は、第1光学機能面11とは反対側に向かって凸となるように本体部40から突出しており、少なくとも隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vに位置し、当該谷部領域Vの少なくとも一部を埋める平坦化層70が設けられ、平坦化層70の屈折率は、凸部30の屈折率よりも低い。平坦化層70によれば、隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vの少なくとも一部を埋めることができるため、当該谷部領域Vに異物が堆積することを有効に抑制することができる。加えて、隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vの少なくとも一部を埋めることにより、パネル部材10の表面10aを滑らかにすることができる。これにより、パネル部材10の表面10aの手触りをよくすることができ、商品性を高めることができる。
また、本実施の形態によれば、平坦化層70は、各レンズ面31を覆っている。平坦化層70が各レンズ面31を覆うことにより、レンズ面31をキズや摩耗から保護することができる。
また、本実施の形態によれば、平坦化層70は、本体部40の側から順に重ねられた複数の層71〜73を含み、各層71〜73は、当該層71〜73よりも本体部40側に位置する他の層71、72よりも屈折率が低くなっている。このような形態によれば、隣り合う層の間の屈折率差を徐々に変化させることができるため、パネル部材10に入射する光の反射損失を効果的に低減することができる。
さらに本実施の形態によれば、複数の凸部30は、第1軸方向d1に互いから離間して配置され、第1軸方向d1に隣り合う二つの凸部30の間に、凸部30とともにパネル部材10の表面10aをなす接続面38が設けられている。接続面38を設けることによって、法線方向ndに対して大きく傾斜した方向に進む光に対する隣接レンズの「けられ」を少なくすることができる。
とりわけ本実施の形態において、接続面38は、パネル部材10のパネル面に沿って延びている。また、第2光学機能面12は、パネル部材10のパネル面に沿って接続面38からずれて配置されている。このような本実施の形態では、図2に示すように、接続面38を介してパネル部材10に入射する光L26が、第1光学機能面11に入射するようになる。したがって、これらの光L26の方向にも、第1光学機能面11が何らかの光学機能を発揮すること、例えば太陽電池パネル50に当該光を取り込むことが可能となる。
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態では、図2に示すように、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側(図面における下側)に位置する他端部12bが、本体部40の法線方向ndに進む平行光束L21(図2参照)がレンズ面31に入射した際におけるレンズ面31の焦点位置fp上に位置していた。しかしながら、第2光学機能面12の他端部12bの配置は、このような例に限定されない。図12及び図13に、第2光学機能面12の他端部12bの配置例を示す。図12及び図13に示す例では、第2光学機能面12の他端部12bは、本体部40の法線方向ndに進む平行光束L121、L131がレンズ面31に入射した際におけるレンズ面31の焦点位置fp上からずれて配置されている。
このうち、図12に示された例では、第2光学機能面12の他端部12bは、対応するレンズ面31の焦点fpよりも第1軸方向d1において他側に位置している。さらに、第2光学機能面12の他端部12bは、多数のレンズ面31の焦点fpによって画成される仮想面上で、第1光学機能面11に接続している。このような形態によれば、本体部40の法線方向ndよりも第1軸方向d1における一側(上側)に傾斜した方向daを中心として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが切り分けられるようになる。この場合、例えば、典型的な利用として想定される表示板としての用途においてパネル部材10を目線に対してあまり高くない位置に設置する際に好適である。すなわち、観察者が、水平方向に対してなす角度が小さい方向dbから、あるいは、鉛直方向における上側に傾斜した方向dcに向かって、パネル部材10を観察した場合、第2光学機能面12に形成された表示対象13を観察することができる。一方、鉛直方向における下側に傾斜した方向に進んでレンズ面31に入射する太陽光L122は、第1光学機能面11に向かっていくことができる。したがって、このような形態によれば、第1光学機能面11で太陽光を十分に取り込みながら、第2光学機能面12に付与された表示対象13を、目線と同じか目線よりも上に、優れた視認性で観察することができる。
一方、図13に示された例では、第2光学機能面12の他端部12bは、対応するレンズ面31の焦点fpよりも第1軸方向d1において一側に位置している。さらに、第2光学機能面12の他端部12bは、多数のレンズ面31の焦点fpによって画成される仮想面上で、第1光学機能面11に接続している。このような形態によれば、本体部40の法線方向ndよりも第1軸方向d1における他側(下側)に傾斜した方向deを中心として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが切り分けられるようになる。この場合、例えば、典型的な利用として想定される表示板としての用途において、パネル部材10を目線よりも比較的高い位置に設置する際に好適である。すなわち、観察者は、鉛直方向における上側に見上げながらパネル部材10を観察することになるため、鉛直方向における上側に傾斜した方向dfに見上げて第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察することができる。一方、水平方向に対してなす角度が小さい方向から、あるいは、鉛直方向における下側に傾斜した方向に進んでパネル部材10に入射する太陽光L131、L132は、第1光学機能面11に向かって進行することができる。したがって、このような形態によれば、第2光学機能面12に付与された表示対象13を、十分な視認性で仰ぎ見ることを可能にしながら、第1光学機能面11で太陽光を非常に高い効率で取り込むことができる。
また、図2、図12及び図13に示す例では、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の他端部12bが、多数のレンズ面31の焦点fpによって画成される仮想面上に位置した例を示したが、このような例に限定されない。第2光学機能面12の他端部12bは、多数のレンズ面31の焦点fpによって画成される仮想面上からずれて配置されていてもよい。とりわけ、第2光学機能面12の他端部12bは、多数のレンズ面31の焦点fpによって画成される仮想面上、あるいは、当該仮想面よりもレンズ面31に近接した位置に配置されている場合、一端部12a付近の表示と他端部12b付近の表示とが観察する角度によって反転して見えるおそれを防ぐことができる。
また、上述した実施の形態において、第2光学機能面12と重ねられるようにして反射面15がさらに配置されていてもよい。図14に、このような例が示されている。図14に示すパネル部材10において、第2光学機能面12が、凸部30の側を向き、反射面15が、第1光学機能面11の側を向いている。すなわち、各反射面15は、対応する第2光学機能面12と背合わせとなるようにして、配置されている。このような反射面15は、一例として、高い反射率を有した材料からなる薄膜によって形成される。このような反射面15によれば、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に極めて大きく傾斜した方向から低屈折率部60の入光面61に入射した光L33が、当該入光面61にて第1光学機能面11に向けて充分に偏向されなかった場合であっても、反射面15で反射して第1光学機能面11に向かうことができる。したがって、反射面15を設けることにより、第1光学機能面11に導かれる光の入射角度範囲に相当する第1角度範囲AR1をさらに広角化することができる。これにより、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を、第1光学機能面11によって効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電を効率良く行うことが可能となる。
さらに、既に説明したように、第1光学機能面11が、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能すること、或いは、第2光学機能面12が、表示対象13を表示する面として機能することは例示に過ぎない。一例として、第1光学機能面11も、表示を行うための表示面として機能してもよい。この変形例では、第1方向d1が水平方向と交差するようにして、パネル部材10が配置され、第1光学機能面11によって表示される表示対象と第2光学機能面12によって表示される表示対象とが、水平面内で観察方向を変化させることにより、切り替わって観察されるようにしてもよい。このとき、第1光学機能面11にディスプレイを重ね合わせることによって、第1光学機能面11によって動く表示対象13を表示し、第2光学機能面12によって静止した表示対象13を表示するようにしてもよい。別の一例として、第1光学機能面11が表示対象13を表示する面として機能し、第2光学機能面12が太陽電池パネル50の入光面50aとして機能するようにするようにしてもよい。それによって、傾いた第2光学機能面12が上方から入射する太陽光を受けやすくなる。
≪第2の実施の形態≫
次に、図15〜図17を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図15は、本発明の第2の実施の形態によるパネル部材10を示す縦断面図であり、図16及び図17は、パネル部材10が発現する光学機能を説明するため図である。図15〜図17を参照して説明する第2の実施の形態は、第1光学機能面11の配列及び低屈折率部60が設けられていない点で異なるが、その他の構成は、第1の実施形態およびその変形例と同様に構成することができる。第2の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態およびその変形例と同様に構成され得る部分について、上述の第1の実施の形態およびその変形例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図15に示すように、本実施の形態の第1光学機能面11及び第2光学機能面12は、本体部40内に配置されている。各第1光学機能面11は、当該第1光学機能面11に対応する一つの凸部30に対向して配置され、各第2光学機能面12も、当該第2光学機能面12に対応する一つの凸部30に対向して配置されている。各凸部30に対応して配置された第2光学機能面12は、当該凸部30に対応して配置された第1光学機能面11よりも、第1軸方向d1における一側に配置されている。
上述した第1の実施の形態と同様に、第2光学機能面12は、第1軸方向d1に配列され、本体部40のシート面に対して傾斜している。第2光学機能面12は、第1軸方向d1に配列され、本体部40のシート面に対して第1光学機能面11とは異なる角度で傾斜している。第2光学機能面12は、上述した第1の実施の形態と略同様に構成されるため、ここでは詳細な説明を省略する。
一方、第2光学機能面12とは異なる角度で傾斜した第1光学機能面11は、対応する凸部30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。本実施の形態では、第1光学機能面11は、凸部30と同様に、配列方向である第1軸方向d1と交差する方向、より厳密には、第1軸方向d1と直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。なお、図示された例において、凸部30に対応して多数設けられた第1光学機能面11は、互いに同一に構成されている。
上述のように、各第1光学機能面11は、本体部40のシート面、すなわち、パネル部材10のパネル面に対して傾斜し、レンズ面31の光軸odに平行な方向に対しても傾斜している。すなわち、各第1光学機能面11は、本体部40のシート面、及び、レンズ面31の光軸odに平行な方向のいずれとも非平行になっている。このような第1光学機能面11によれば、後述するように、第1光学機能面11からの光学機能が発現されるようになる角度範囲である第1光学機能面11を、高い自由度で調整することが可能となる。
図15に示すように、各第1光学機能面11は、第1軸方向d1において他側(下側)に位置する他端部11bが、第1軸方向d1において一側(上側)に位置する一端部11aよりも、パネル部材10の法線方向ndにおいて凸部30に近接するように、本体部40のシート面に対して傾斜している。したがって、第1光学機能面11の他端部11bは、第1光学機能面11の一端部11aよりも、パネル部材10の法線方向ndにおいて凸部30に近接している。図15から理解され得るように、このような第1光学機能面11には、法線方向ndに対して一側(上側)に傾斜した角度範囲からの光が、入射しやすくなる。したがって、第1光学機能面11からの光学機能は、法線方向ndに対して一側(上側)に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
このような傾向を強化する観点から、パネル部材の主切断面において、第1光学機能面11は、第1軸方向d1における他側(下側)から一側(上側)に向けて、段階的又は連続的に、パネル部材の法線方向ndにおいて凸部30から離間していくことが好ましい。図示された例において、第1光学機能面11は平面として形成されている。そして、図15に示されたパネル部材10の主切断面において、第1光学機能面11は、第1軸方向d1における他側から一側に向けて、連続的に一定の傾斜の程度で、パネル部材の法線方向ndに沿って凸部30から離間していく。このような第1光学機能面11によれば、第1光学機能面11からの光学機能は、法線方向ndに対して一側に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
図示された実施の形態では、図15に示されたパネル部材の主切断面において、第1光学機能面11の第1軸方向d1における一側(上側)の端部である一端部11aは、当該第1光学機能面11に対応するレンズ面31の先端部32aと、第1軸方向d1において同一位置に位置している。また、図15に示されたパネル部材の主切断面において、第1光学機能面11の第1軸方向d1における他側(下側)の端部である他端部11bは、当該第1光学機能面11に対応するレンズ面31の第1軸方向d1における他側の基端部32bよりも、第1軸方向d1において他側に位置している。
図15に示す第1光学機能面11は、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能する。すなわち、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光は、入光面50aとしての第1光学機能面11を介して太陽電池パネル50へ入射し、発電に利用される。
次に、第1光学機能面11と第2光学機能面12との配置関係について述べる。図15に示すように、第1光学機能面11の他端部11bと、第2光学機能面12の一端部12aと、の間の間隔は、第1光学機能面11の一端部11aと、第2光学機能面12の他端部12bと、の間の間隔よりも、広くなっている。さらに、第1光学機能面11上の各位置と、対応する第2光学機能面12との間の間隔は、段階的又は連続的に変化していく。本実施の形態では、第1光学機能面11上の各位置と、対応する第2光学機能面12との第1軸方向d1に沿った間隔が、当該第1光学機能面11上の位置がパネル部材の法線方向ndに沿って凸部30から離間するにつれて、段階的又は連続的に狭くなっていく。したがって、第1光学機能面11の一端部11aと第2光学機能面12の他端部12bとが最も接近する。図示された実施の形態では、第1光学機能面11の一端部11aと第2光学機能面12の他端部12bとが繋がっている。もっとも、第1光学機能面11の一端部11aと第2光学機能面12の他端部12bとは、互いに離間していてもよい。
また、図15に示すように、繋がった第1光学機能面11の一端部11aと第2光学機能面12の他端部12bとの接続領域が、パネル部材の主切断面において、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束L221がレンズ面31に入射した際におけるレンズ面31の焦点位置fp上に位置している。すなわち、繋がった第1光学機能面11の一端部11aと第2光学機能面12の他端部12bとの接続領域は、レンズ面31の光軸od上に位置している。このようなパネル部材10によれば、パネル部材の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
また、図15に示すように、第1光学機能面11の他端部11bは、第1軸方向d1における他側で当該第1光学機能面11と隣り合う第2光学機能面12の一端部12aと繋がっている。繋がった第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域は、隣り合う二つのレンズ面31の基端部32b間を接続する接続面38から、パネル部材の法線方向ndに沿って離間した位置に位置している。もっとも、第1光学機能面11の他端部11bは、第1軸方向d1における他側で当該第1光学機能面11と隣り合う第2光学機能面12の一端部12aから、離間していてもよい。
また、図15に示すパネル部材10は、少なくとも隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vに位置し、当該谷部領域Vの少なくとも一部を埋める平坦化層70を備えている。平坦化層70は、各レンズ面31を覆っている。平坦化層70の構成は、上述した第1の実施の形態と略同様なためここでは詳細な説明を省略する。
次に、主として、図16及び図17を参照しながら、本実施の形態のパネル部材10の作用について説明する。パネル部材10は、例えば、凸部30の配列方向である第1軸方向d1が鉛直方向に沿うようにして、配置される。本実施の形態では、第1光学機能面11が、太陽電池パネル50の入光面50aをなし、第2光学機能面12は、表示対象13を表示するための表示面となっている。
図16によく示されているように、傾斜した第2光学機能面12は、当該第2光学機能面12の正面方向から向かってくる光L242,L243,L244を効率的に受光することが可能となる。図16に示す例では、第2光学機能面12が凸部30の光軸odに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該光軸odに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L242,L243,L244、を効率的に受光することが可能となる。本実施の形態によれば、図16に示すように、光軸odに対して第1軸方向d1における他側に大きく傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L244も、入射したレンズ面31に対向する第2光学機能面12にて受光されるようになる。図16に点線で示すように、この光L244は、仮に第1光学機能面11と第2光学機能面12とがパネル部材10の裏面10bと同一面上に交互に並べられていた場合、入射したレンズ面31とは異なるレンズ面に対面する領域に進み、従来技術で説明した不具合を生じさせる。
すなわち、第2光学機能面12を本体部40のシート面に対して傾斜させることにより、第2光学機能面12に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2、言い換えると、第2光学機能面12からの光の出射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、図18に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができる。とりわけ、第2光学機能面12は、パネル部材10の裏面10bよりも凸部30に接近した本体部40内で本体部40のシート面に対して傾斜している。これにより、第1光学機能面11と第2光学機能面12とがパネル部材10の裏面10bと同一面上に交互に並べられた図18に示す従来のパネル部材よりも、光軸odに対して傾斜した、第2光学機能面12の正面方向から向かってくる光L242,L243,L244を第2光学機能面12にて有効に受光することが可能となる。この結果、第2光学機能面12は、図18に示された従来例よりも、光軸odに対して傾斜した広範な方向から向かってくる光L242,L243,L244を受光することが可能となり、第2角度範囲AR2を広角化させることができる。
以上のことから、広い第2角度範囲AR2内で、第2光学機能面12からの光学機能が発揮されるようになる。本実施の形態によるパネル部材10では、広い視野角から安定して第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察することができる。したがって、観察者は、優れた視認性で表示対象13を観察することができ、且つ、優れた意匠性で表示対象13を表示することができる。
一方、第2光学機能面12とは異なる角度で傾斜した第1光学機能面11は、第2光学機能面12に入射する光とは異なる方向から入射する光L252,L253,L254を効率的に受光することが可能となる。図17によく示されているように、第1光学機能面11は、当該第1光学機能面11の正面方向から向かってくる光L252,L253,L254を効率的に受光することができる。図17に示す例では、第1光学機能面11がレンズ面31の光軸odに対して第1軸方向d1における他側に傾斜しているため、当該光軸odに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L252,L253,L254、を効率的に受光することが可能となる。本実施の形態によれば、図17に示すように、光軸odに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L254も、入射したレンズ面31に対向する第1光学機能面11にて受光されるようになる。図17に点線で示すように、この光L254は、仮に第1光学機能面11と第2光学機能面12とがパネル部材10の裏面10bと同一面上に交互に並べられていた場合、入射したレンズ面31とは異なるレンズ面に対面する領域に進み、従来技術で説明した不具合を生じさせる。
すなわち、第1光学機能面11を本体部40のシート面に対して傾斜させることにより、第1光学機能面11に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1、言い換えると、第1光学機能面11からの光の出射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を、図18に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができる。とりわけ、第1光学機能面11は、パネル部材10の裏面10bよりも凸部30に接近した本体部40内で本体部40のシート面に対して傾斜している。これにより、第1光学機能面11と第2光学機能面12とがパネル部材10の裏面10bと同一面上に交互に並べられた図18に示す従来のパネル部材よりも、光軸odに対して傾斜した、第1光学機能面11の正面方向から向かってくる光L252,L253,L254を第1光学機能面11にて有効に受光することが可能となる。この結果、第1光学機能面11は、図18に示された従来例よりも、光軸odに対して傾斜した広範な方向から向かってくる光L252,L253,L254を受光することが可能となり、第1角度範囲AR1を広角化させることができる。
以上のことから、広い第1角度範囲AR1内で、第1光学機能面11からの光学機能が発揮されるようになる。本実施の形態によるパネル部材10では、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を、効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電に利用することが可能となる。
このように、本実施の形態によれば、シート状の本体部40と、第1軸方向d1に沿って本体部40上に並べて配列され、本体部40とは反対側を向く面にレンズ面31を形成する複数の凸部30と、本体部40内で第1軸方向d1に配列された複数の第1光学機能面11と、本体部40内で第1軸方向d1に配列された複数の第2光学機能面12と、を備え、第1光学機能面11は、本体部40のシート面に対して傾斜し、第2光学機能面12は、本体部40のシート面に対して第1光学機能面11とは異なる角度で傾斜し、レンズ面31は、或る方向から入射した光を第1光学機能面11に導き、前記或る方向とは異なる別の方向から入射した光を第2光学機能面12に導く。このようなパネル部材10によれば、第1光学機能面11及び第2光学機能面12が本体部40のシート面に対して傾斜しているため、傾斜した各光学機能面11、12が、各々の正面方向から入射する光L223、L242〜L244を有効に受光し易くなる。とりわけ、第2光学機能面12は、第1光学機能面11と異なる角度で本体部40のシート面に対して傾斜している。このため、第2光学機能面12は、第1光学機能面11に受光され易い光L222、L252〜L254とは異なる方向からレンズ面31に入射する光L223、L242〜L244を有効に受光し、第1光学機能面11は、第2光学機能面12に受光され易い光L223、L242〜L244とは異なる方向からレンズ面31に入射する光L222、L252〜L254を有効に受光する。そして、レンズ面31は、レンズ面の集光作用によって、広範囲な第2角度範囲AR2内の方向から当該レンズ面31に入射した光L223、L242〜L244を、第2光学機能面12に集め、広範囲な第1角度範囲AR1内の方向から当該レンズ面31に入射した光L222、L252〜L254を、第1光学機能面11に集める。このように、第2光学機能面12を本体部40内で第1光学機能面11とは異なる角度で本体部40のシート面に対して傾斜させることにより、第1光学機能面11での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第1角度範囲AR1および第2光学機能面12での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となる。また、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2を効果的に広角化させることも可能となる。さらに、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2の調整又は広角化は、一般的に高価となる高屈折率材料を凸部30に用いることを必要とせず、従来と同様の材料を使用すればよい。すなわち、材料面からのコスト上昇を来すことなく、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2の調整又は広角化を行うことができる。
ところで、第2光学機能面12に形成された表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに第1光学機能面11に重ねられた太陽電池パネル50が観察されると、表示対象13の視認性や意匠性を著しく害することになる。したがって、表示対象13が形成された第2光学機能面12が観察され得る第2角度範囲AR2は、太陽電池パネル50が観察されるようになる第1角度範囲AR1と区分けされていること、すなわち重なり合っていないことが好ましい。
そこで、本実施の形態のパネル部材10では、図15に示すように、各第2光学機能面12は、対応する第1光学機能面11よりも、第1軸方向d1における一側に配置されている。そして、各第1光学機能面11は、第1軸方向d1において他側に位置する他端部11bが、第1軸方向d1において一側に位置する一端部11aよりも、パネル部材の法線方向ndにおいて凸部30に近接するように、本体部40のシート面に対して傾斜し、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bよりも、パネル部材の法線方向ndにおいて凸部30に近接するように、本体部40のシート面に対して傾斜している。このような本実施の形態によれば、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向からパネル部材10へ入射する光L223、言い換えると第1軸方向d1において一側に進みながらパネル部材10へ入射する光L223を、第1光学機能面11よりも第2光学機能面12に選択的に導くことができる。言い換えると、第2光学機能面12からの光L223は、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。また、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向からパネル部材10へ入射する光L222、言い換えると第1軸方向d1において他側に進みながらパネル部材10へ入射する光L222を、第2光学機能面12よりも第1光学機能面11に選択に導くことができる。言い換えると、第1光学機能面11からの光L222は、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。
つまり、このような形態によれば、第1光学機能面11に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1が、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向に対応し、第2光学機能面12に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2が、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向に対応する。このため、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、区分けされやすくなる。言い換えると、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、重なり合いにくくなる。これにより、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2をそれぞれ有効に広角化させることができる。
このように第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2との重なり合いが少なくなれば、さらには第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となれば、第1光学機能面11での光学機能および第2光学機能面12での光学機能が、互いに悪影響を及ぼすことなく、より有効に発揮されるようになる。本実施の形態においては、第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに第1光学機能面11に重ねられた太陽電池パネル50が観察されることを効果的に防止することが可能となる。この場合、表示対象13の視認性や表示対象13の意匠性を改善することができる。
また、本実施の形態によれば、第1光学機能面11の他端部11bと、第2光学機能面12の一端部12aと、の間の間隔は、第1光学機能面11の一端部11aと、第2光学機能面12の他端部12bと、の間の間隔よりも、広くなっている。このような形態によれば、第1光学機能面11と第2光学機能面12とをバランスよく配置することができ、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを、区分けすることに寄与する。
また、本実施の形態によれば、第1光学機能面11上の各位置と、対応する第2光学機能面12との第1軸方向d1に沿った間隔が、当該第1光学機能面11上の位置がパネル部材10の法線方向ndに沿って凸部30から離間するにつれて、狭くなっていく。このような形態によれば、第1光学機能面11が、第2光学機能面12へ入射すべき光を遮ってしまうこと、あるいは、第2光学機能面12が、第1光学機能面11へ入射すべき光を遮ってしまうこと、を効果的に抑制することができる。このため、第1光学機能面11が、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光に対して、より確実に光学機能を発揮することができる。また、第2光学機能面12が、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光に対して、より確実に光学機能を発揮することができる。
また、本実施の形態によれば、第1光学機能面11の第1軸方向d1において一側に位置する一端部11aは、第2光学機能面12の第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bと繋がっている。このような形態によれば、第1光学機能面11の一端部11aと第2光学機能面12の他端部12bとの間を、レンズ面31で曲げられた光が透過することを防止し、当該光を第1光学機能面11または第2光学機能面12に入射させることができる。この結果、パネル部材10に入射する光を効率よく利用することができる。とりわけ、第1光学機能面11の一端部11aと第2光学機能面12の他端部12bとの接続領域は、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束L221がレンズ面31に入射した際におけるレンズ面31の焦点位置fp上に位置している。このようなパネル部材10によれば、パネル部材の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、第1光学機能面11の第1軸方向d1において他側に位置する他端部11bは、第1軸方向d1における他側で当該第1光学機能面11と隣り合う第2光学機能面12の、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aと繋がっている。このような形態によれば、第1光学機能面11の他端部11bと、隣り合う第2光学機能面12の一端部12aと、の間を、パネル部材10に入射した光が透過することを防止し、当該光を第1光学機能面11または第2光学機能面12に入射させることができる。この結果、パネル部材10に入射する光を効率よく利用することができる。
また、本実施の形態によれば、凸部30は、本体部40とは反対側に向かって凸となるように突出しており、少なくとも隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vに位置し、当該谷部領域Vの少なくとも一部を埋める平坦化層70が設けられ、平坦化層70の屈折率は、凸部30の屈折率よりも低い。平坦化層70によれば、隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vの少なくとも一部を埋めることができるため、当該谷部領域Vに異物が堆積することを有効に抑制することができる。加えて、隣り合う2つの凸部30の間となる谷部領域Vの少なくとも一部を埋めることにより、パネル部材10の表面10aを滑らかにすることができる。これにより、パネル部材10の表面10aの手触りをよくすることができ、商品性を高めることができる。
また、本実施の形態によれば、平坦化層70は、各レンズ面31を覆っている。平坦化層70が各レンズ面31を覆うことにより、レンズ面31をキズや摩耗から保護することができる。
また、本実施の形態によれば、平坦化層70は、本体部40の側から順に重ねられた複数の層71〜73を含み、各層71〜73は、当該層71〜73よりも本体部40側に位置する他の層71、72よりも屈折率が低くなっている。このような形態によれば、隣り合う層の間の屈折率差を徐々に変化させることができるため、パネル部材10に入射する光の反射損失を効果的に低減することができる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。