以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
≪第1の実施の形態≫
図1〜図10は、第1の実施の形態を説明するための図である。このうち図1、図2は、太陽電池複合型表示体10の構成を示す斜視図または縦断面図であり、図3〜図5は、太陽電池複合型表示体10の作用を説明するため図であり、図6〜図8は、太陽電池複合型表示体10の製造方法の一例を説明するための図であり、図9〜図10は、光源70について説明するための図である。
ここで説明する太陽電池複合型表示体10は、所定の表示機能及び外光を利用した発電機能の両方を発揮する。図1及び図2に示す太陽電池複合型表示体10において、第1軸方向d1に交互に配列された複数の向き調整面21及び複数の光透過面22が、太陽電池パネル50よりも入光側に設けられている。或る角度範囲AR1内の方向D21から太陽電池複合型表示体10を観察すると、主として向き調整面21に配置された表示面12が観察される。したがって、表示面12は、或る角度範囲AR1から太陽電池複合型表示体10を観察する観察者に対して表示機能を発揮する。一方、別の或る角度範囲AR2内の方向から入射した光L22は、主として光透過面22を通過して太陽電池パネル50に導かれる。したがって、太陽電池パネル50は、別の或る角度範囲AR2から太陽電池複合型表示体10へ入射する光に対して発電機能を発揮する。しかして、太陽電池複合型表示体10によれば、観察者からの観察方向と外光の入射方向との相違を利用して、観察者が表示面12を観察する際に太陽電池パネル50が視認されることを抑制し、周囲との調和を図ることを可能にしている。
以下、本実施の形態による太陽電池複合型表示体10の構成及び作用効果について詳述していく。図1及び図2によく示されているように、太陽電池複合型表示体10は、シート状のシート部材20と、シート部材20の背面に配置された太陽電池パネル50と、を備えている。
シート状のシート部材20は、互いに対向する一対の主面として、第1面20a及び第2面20bを有している。第1面20aは、太陽電池複合型表示体10へ入射する太陽光等の外光等の入射面をなす。また、第1面20aは、表示対象13(図3参照)を可視化する表示面12からの光が太陽電池複合型表示体10から出射する出射面をなす。一方、第2面20bは、太陽電池パネル50に対向する面をなしている。
シート部材20の第2面20bは、第1軸方向d1に交互に配列された複数の向き調整面21及び複数の光透過面22と、を含んでいる。向き調整面21には、表示対象13を表示するための表示面12が配置されている。向き調整面21は、表示面12を支持すると共に、表示面12を観察し得る視野角を調整するべく設けられている。一方、光透過面22は、隣り合う表示面12の間で太陽電池複合型表示体10に入射する光L22を透過させて、太陽電池パネル50に導くために設けられている。なお、図示する例では、複数の向き調整面21は互いに同一に構成され、複数の光透過面22も互いに同一に構成されている。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面、パネル面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。以下に説明する実施の形態においては、シート部材20のシート面、太陽電池パネル50のパネル面、並びに太陽電池パネル50の受光面50aは、互いに並行となっている。さらに、本明細書において、シート状(フィルム状、板状、パネル状)の部材に対して用いる「法線方向」とは、当該部材のシート面への法線方向のことを指す。
図1に示すように、各向き調整面21及び各光透過面22は、その配列方向である第1軸方向d1に対して交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示された例において、各向き調整面21及び各光透過面22は、第1軸方向d1及びシート部材20の法線方向ndの両方と直交する第2軸方向d2に、直線状に延びている。また、図2に示す例では、各向き調整面21と各光透過面22とは、法線方向ndからみて互いにずれて配置されている。なお、本実施の形態において、第1軸方向d1及び第2軸方向d2は、シート部材20のシート面に沿っており、シート部材20の法線方向ndに直交している。図示された例において、太陽電池複合型表示体10は、第1軸方向d1が鉛直方向と平行になり第2軸方向d2が水平方向と平行になるようにして、配置されている。
各向き調整面21は、シート部材20のシート面、言い換えると、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜し、シート部材20の法線方向ndに対しても傾斜している。すなわち、各向き調整面21は、シート部材20のシート面及びシート部材20の法線方向ndのいずれとも非平行になっている。向き調整面21と共に当該向き調整面21に配置された表示面12を太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜させることにより、表示面12に付与された表示対象13を観察し得る視野角となる第1角度範囲AR1を、高い自由度で調整することが可能となる。
図2に示すように、各向き調整面21は、第1軸方向d1において一側(図示する例では、図2における上側であって、鉛直方向における上側)に位置する一端部21aが、第1軸方向d1において他側(図示する例では、図2における下側であって、鉛直方向における下側)に位置する他端部21bよりも、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、シート部材20のシート面に対して傾斜している。図2から理解され得るように、このような向き調整面21によれば、法線方向ndに対して他側に傾斜した角度範囲に向けて、光が出射しやすくなる。したがって、向き調整面21に配置された表示面12からの表示機能は、法線方向ndに対して他側に傾斜した方向D21から観察されたときに、効果的に発揮されるようになる。
このような傾向を強化する観点から、太陽電池複合型表示体の主切断面において、向き調整面21は、第1軸方向d1における一側(上側)から他側(下側)に向けて、段階的又は連続的に、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50に接近していくことが好ましい。図示された例において、向き調整面21は平面として形成されている。そして、図2に示された太陽電池複合型表示体の主切断面において、向き調整面21は、第1軸方向d1における一側から他側に向けて、連続的に一定の傾斜の程度で、シート部材20の法線方向ndに沿って太陽電池パネル50に接近していく。このような向き調整面21によれば、向き調整面21に配置された表示面12からの表示機能が、法線方向ndに対して他側に傾斜した方向D21から観察されたときに、効果的に発揮されるようになる。
上述したように、向き調整面21に、表示対象13を表示するための表示面12が配置されている。本実施の形態では、表示面12は、向き調整面21に重なるように当該向き調整面21に沿って配置されている。したがって、表示面12から第1角度範囲AR1へ向けて太陽電池複合型表示体10から出射する光は、表示面12に付与された表示対象13を可視化させる。すなわち、第1角度範囲AR1から表示面12が視認され、結果として、表示面12に形成された表示対象13を観察することができる。なお、表示面12によって動く表示対象13を表示する場合、太陽電池パネル50から発電された電気を駆動に用いることが簡便である。
図3に、表示面12に形成される表示対象13の一例が示されている。複数の表示面12が、第1軸方向d1に配列されるとともに、各表示面12は、第1軸方向d1に直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。したがって、第1軸方向d1における各位置に位置する表示面12が、当該表示面12の第1軸方向d1における位置に応じた表示対象要素13aを付与されることによって、第2軸方向d2に細長く延びる各表示面12に形成された表示対象要素13aの組み合わせとして二次元的な表示対象13を表示することが可能となる。図3に示された例では、アルファベットの大文字の「N」が表示対象13として表示されている。このように、複数の表示対象要素13aの組み合わせとして表示対象13を表示することで、各向き調整面21のサイズを小さくできるため、第1角度範囲AR1を広げたり太陽電池複合型表示体10のサイズを大きくしたとしても、より良好な表示対象13を観察できるようになる。
上述のように、本実施の形態の太陽電池複合型表示体10は、表示対象13が連続して表示される角度範囲を高い自由度で調整可能である。そのため、本実施の形態の太陽電池複合型表示体10は、様々な用途で利用可能であり、例えば、屋外看板、道路情報掲示板、建築物の外壁面などで用いられる数m〜数十mサイズの大型パネル用途や、ポスター、標識、建築物の内壁面などで用いられる数十cm〜数mサイズの中型パネル用途や、卓上スタンド、携帯端末などで用いられる数cm〜数十cmの小型パネル用途などを例示することができる。
一方、隣り合う向き調整面21の間に位置する各光透過面22は、シート部材20のシート面、言い換えると、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜し、シート部材20の法線方向ndに対しても傾斜している。すなわち、各向き調整面21は、シート部材20のシート面及びシート部材20の法線方向ndのいずれとも非平行になっている。光透過面22を太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜させることにより、太陽電池パネル50による発電が連続して安定して行われるようになる角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となる。
光透過面22がシート部材20のシート面に対して傾斜する角度は、向き調整面21が光制御シート20のシート面に対して傾斜する角度と異なっている。とりわけ、図2に示す太陽電池複合型表示体の主断面において、光透過面22は、シート部材20の法線方向ndに対して向き調整面21とは反対側に傾斜している。上述のように、各向き調整面21は、一端部21aが他端部21bよりもシート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、シート部材20のシート面に対して傾斜している。したがって、各光透過面22は、第1軸方向d1において他側に位置する他端部22bが、第1軸方向d1において一側に位置する一端部22aよりも、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、シート部材20のシート面に対して傾斜している。図2から理解され得るように、このような光透過面22は、法線方向ndに対して一側に傾斜した角度範囲からの光が、入射しやすくなる。したがって、法線方向ndに対して一側に傾斜した方向から太陽電池複合型表示体10に入射する光L22を、太陽電池パネル50により導きやすくなる。
このような傾向を強化する観点から、太陽電池複合型表示体の主切断面において、光透過面22は、第1軸方向d1における他側から一側に向けて、段階的又は連続的に、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50に接近していくことが好ましい。図示された例において、光透過面22は平面として形成されている。そして、図2に示された太陽電池複合型表示体の主切断面において、光透過面22は、第1軸方向d1における他側から一側に向けて、連続的に一定の傾斜の程度で、シート部材20の法線方向ndに沿って太陽電池パネル50に接近していく。このような光透過面22によれば、法線方向ndに対して一側に傾斜した方向から太陽電池複合型表示体10に入射する光L22を、太陽電池パネル50により有効に導きやすくなる。
次に、向き調整面21と光透過面22との関係について述べる。図2に示す太陽電池複合型表示体の主断面において、向き調整面21と、第1軸方向d1における他側で当該向き調整面21と隣り合う光透過面22と、の第1軸方向d1に沿った間隔dtは、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50に接近していくにつれて、段階的又は連続的に狭くなっていく。したがって、向き調整面21の他端部21bは、他側に位置する光透過面22の一端部22aと最も接近する。図示された実施の形態では、向き調整面21の他端部21bは、他側に位置する光透過面22の一端部22aと繋がっている。もっとも、向き調整面21の他端部21bは、他側に位置する光透過面22の一端部22aから離間していてもよい。
一方、向き調整面21の一端部21aは、第1軸方向d1における一側で当該向き調整面21と隣り合う光透過面22の他端部22bと繋がっている。もっとも、向き調整面21の一端部21aは、第1軸方向d1における一側で当該向き調整面21と隣り合う光透過面22の他端部22bから離間していてもよい。
また、図2に示す主切断面において、向き調整面21は、当該向き調整面21と隣り合う光透過面22の長さと等しくなっている。したがって、シート部材20の第2面20bに占める向き調整面21の割合は、シート部材20の第2面20bに占める光透過面22の割合と等しい。ただし、図2に示す主切断面において、向き調整面21は、当該向き調整面21と隣り合う光透過面22の長さと異なっていてもよい。とりわけ、向き調整面21が当該向き調整面21と隣り合う光透過面22よりも短くなっている場合、シート部材20の第2面20bに占める向き調整面21の割合を、シート部材20の第2面20bに占める光透過面22の割合よりも小さくすることができる。この場合、相対的に多くの光を光透過面22に導き易くなる傾向となり、結果として、より多くの光を太陽電池パネル50に導くことに寄与し得る。
また、図2に示す例では、向き調整面21がシート部材20のシート面に対してなす角度θ1は、光透過面22がシート部材20のシート面に対してなす角度θ2と等しい。ただし、向き調整面21がシート部材20のシート面に対してなす角度θ1は、観察されることが意図された観察者による観察方向に応じて決定され、光透過面22がシート部材20のシート面に対してなす角度θ2は、取り込むことが意図された外光の入射方向に応じて決定される。したがって、向き調整面21がシート部材20のシート面に対してなす角度θ1は、光透過面22がシート部材20のシート面に対してなす角度θ2と異なっていてもよい。
また、図2に示す例では、各向き調整面21及び各光透過面22が、平坦面からなる。ただし、このような例に限定されず、各向き調整面21及び各光透過面22は、曲面からなってもよい。一例として、各向き調整面21及び各光透過面22は、レンズ面のような球面乃至湾曲面の一部をなしてもよい。より具体的には、各向き調整面21及び各光透過面22は、外方側に向かって凸となるように湾曲したレンズ面であってもよいし、内方側に向かって凹となるように湾曲したレンズ面であってもよい。
また、図2に示すように、シート部材20の第2面20bのうち、シート部材20の法線方向ndに沿って太陽電池パネル50に接近するように突出した地点を頂部23とする。この場合、頂部23は、1つの光透過面22の一端部22aと1つの向き調整面21の他端部21bとの接続位置として規定される。本実施の形態では、シート部材20の頂部23に接するようにして太陽電池パネル50が配置され、シート部材20の第2面20bと太陽電池パネル50との間に空気層30が形成されている。図2に示す例では、空気層30は、シート部材20の向き調整面21と、シート部材20の光透過面22と、太陽電池パネル50の受光面50aと、によって囲まれる空間に形成されている。なお、太陽電池パネル50は、シート部材20の頂部23に接するように配置された例に限定されず、頂部23から離間して配置されていてもよい。また、シート部材20は、太陽電池パネル50と空気層30を介して配置された例に限定されず、太陽電池パネル50と接合層を介して接合されていてもよい。
この太陽電池パネル50は、受光面50aで受光した光を電気エネルギーに変換する発電装置である。太陽電池パネル50の受光面50aには、第2角度範囲AR2から光透過面22に取り込まれた光L22が導かれるようになっており、この光L22が発電に利用される。
図2に示すように、太陽電池パネル50は、第1軸方向d1に配列された複数の向き調整面21及び複数の光透過面22の各々に対向して、平面状に延び広がっている。図示された例において、太陽電池パネル50は、シート部材20のシート面と平行に延びている。したがって図示された例では、太陽電池パネル50は、向き調整面21及び光透過面22の配列方向である第1軸方向d1と平行に延び広がり、且つ、向き調整面21及び光透過面22の長手方向である第2軸方向d2とも平行に延び広がっている。
このような太陽電池パネル50として、種々の形態のものを使用することができる。例えば、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等からなる平板状のシリコン基板を含むシリコン系太陽電池パネル、薄膜太陽電池パネル、カルコパイライト系太陽電池等を、太陽電池パネル50として用いることができる。
次に、上述してきた太陽電池複合型表示体10の製造方法の一例について、主として図6〜図8を参照しながら説明する。
まず、図6に示すように、透明樹脂を成型することにより、シート部材20を作製する。成型は、熱溶融押出加工や射出成型等を採用することができる。図6に示すように、得られたシート部材20の第2面20bには、複数の向き調整面21と複数の光透過面22とが交互に形成されている。
次に、図7に示すように、シート部材20の向き調整面21に表示面12を形成する。一例として、インクジェット印刷によって、シート部材20の向き調整面21に表示面12を形成する。その後、図8に示すように、シート部材20の第2面20bに対向して太陽電池パネル50を配置する。これにより、太陽電池複合型表示体10が得られる。
次に、主として、図4及び図5を参照しながら、太陽電池複合型表示体10の作用について説明する。太陽電池複合型表示体10は、例えば、向き調整面21及び光透過面22の配列方向である第1軸方向d1が鉛直方向に沿うようにして、配置される。具体的には、第1軸方向d1における一側が、鉛直方向における上側に沿い、第1軸方向d1における他側が、鉛直方向における下側に沿うように、太陽電池複合型表示体10が配置される。
図4によく示されているように、傾斜した向き調整面21に配置された表示面12は、当該表示面12の正面方向から視認され易い。図5に示す例では、表示面12がシート部材20の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向D41、D42、D43から太陽電池複合型表示体10を観察したときに表示面12を視認し易くなる。このように、向き調整面21をシート部材20の法線方向ndに対して傾斜させることにより、向き調整面21に位置する表示面12が観察される視野角となる第1角度範囲AR1を、高い自由度で調整することができる。したがって、観察者は、優れた視認性で表示対象13を観察することができ、且つ、優れた意匠性で表示対象13を表示することができる。
一方、向き調整面21とは異なる角度で傾斜した光透過面22は、向き調整面21を視認し易い方向D41、D42、D43とは異なる方向から入射する光L51、L52、L53を効率的に取り込むことが可能となる。図5に示す例では、光透過面22がシート部材20の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向から太陽電池複合型表示体10に入射する光L51、L52、L53を効率的に取り込むことが可能となる。光透過面22に取り込まれた光L51、L52、L53は、空気層30内を進行して太陽電池パネル50に導かれる。このように、光透過面22を向き調整面21とは異なる角度でシート部材20の法線方向ndに対して傾斜させることにより、太陽電池パネル50に導かれるようになる太陽電池複合型表示体10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することができる。したがって、本実施の形態による太陽電池複合型表示体10では、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電に利用することが可能となる。
ところで、太陽電池複合型表示体10の設置条件やシート部材20の設計条件によっては、表示面12を照明する有効な光が得られず、表示面12が暗く観察されてしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、シート部材20の外部に光源70が設置されており、当該光源70が表示面12を照明するようになっている。
図9は、光源70の配置を説明するための断面図である。図9に示すように、光源70は、シート部材20の第1面20aに向けて光を投射する投光面71を有している。投光面71上の各位置から第1面20aに向けて、拡散光すなわち種々の方向に向かう光が照射されるようになっている。本実施の形態による投光面71は、平坦な形状に成形され、シート部材20の第1面20aを見上げるように配置されている。より詳細には、図9に示す主切断面において、投光面71は、シート部材20の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向、つまり上側に傾斜した方向を向いている。
また、投光面71は、第1軸方向d1において最も一側に位置する表示面12Tよりも、第1軸方向d1において他側つまり下側に位置している。換言すれば、投光面71は、第1軸方向d1において最も一側に位置する表示面12Tよりも、第1軸方向d1において一側に延び出してはいない。
図10は、光源70の投光面71上での輝度についての角度分布を示すグラフである。図10のグラフは、光源70の投光面71から出射する光の輝度を主切断面内の各方向から測定することによって得られる輝度の角度分布である。図10のグラフにおいて、縦軸は、輝度を示しており、横軸は、輝度を測定した角度(向き)を示している。なお、角度の値は、シート部材20の法線方向ndと平行な方向を0°とし、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜する場合を正の値とし、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜する場合を負の値として表している。
図10に示すように、光源70の投光面71上での輝度の角度分布において、シート部材20の法線方向ndに対して傾いた方向に輝度のピークP1が存在している。ここで輝度のピークとは、輝度の角度分布において極大となる輝度のことである。図10に示すグラフでは、輝度のピークP1は、シート部材20の法線方向ndでの輝度よりも高い輝度を呈すると共に、輝度の角度分布において最大の輝度を呈している。
図9には、輝度のピークP1が得られる方向dxが示されている。図9に示すように、輝度のピークP1を呈する方向dxは、シート部材20の法線方向ndに対して第1方向d1における一側に傾いている。すなわち、輝度のピークP1を呈する方向dxに沿って投光面71から射出する光L91は、シート部材20の法線方向ndに対して第1方向d1における一側に傾斜した方向に向かっていく。
上述のように、第1方向d1が上下方向に対応しており、第1方向d1における一側が上下方向における上方に位置している。このため、図9に示すように、輝度のピークP1を呈する方向dxは、水平面に対して上側に傾く。この場合、表示面12が法線方向ndに対して上側に傾斜するため、輝度のピークP1を呈する方向dxに沿って投光面71上から出射する光は、表示面12に正面から向かっていき、表示面12を効果的に照明する。
その上、図10に示された輝度の角度分布では、輝度のピークP1を呈する方向dxを含み且つ輝度のピークの半分以上の輝度が得られる角度域の広さ、言い換えると半値角θhは、例えば30°以上70°以下となっている。
以上のように、本実施の形態によれば、第1面20a及び第1面20aに対向する第2面20bを有し、一軸方向d1に沿って複数の表示面12が配列されたシート部材20と、シート部材20の第2面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、一軸方向d1及びシート部材20の法線方向ndの両方に平行な主切断面において、表示面12は、一軸方向d1において一側に位置する端部12aが、一軸方向d1において他側に位置する端部12bよりも、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜または湾曲している。このような太陽電池複合型表示体10によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した表示面12がその正面方向となる方向D21、D41〜D43から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D21、D41〜D43とは異なる別の方向から太陽電池複合型表示体10に入射する光束L23、L51〜L53は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D21、D41〜D43と外光L23、L51〜L53の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。その上、太陽電池パネル50がシート部材20の第2面20bに対向して配置されているため、太陽電池パネル50の受光面50aが外部に露出していない。このため、太陽電池パネル50をさらに目立たなくさせることができる。
加えて、本実施の形態による太陽電池複合型表示体10は、シート部材20の第1面20aに向けて光を投射する投光面71を有する光源70をさらに備え、光源70の投光面71から出射する光の輝度を、主切断面内の各方向から測定することによって得られる輝度の角度分布において、シート部材20の法線方向ndに対して一側に傾斜した方向dxに輝度のピークP1が存在する。このような形態によれば、投光面71から出射する光が、ある程度表示面12に正面方向から向かっていき、表示面12を効果的に照明する。このため、表示面12が明るく観察され、表示面12による表示機能を高めることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、シート部材20の第1面20aに向けて光を投射する投光面71を有する光源70をさらに備え、投光面71は、一軸方向d1において最も一側に位置する表示面12Tよりも一軸方向d1において他側に位置し、投光面71は、当該投光面71上の各位置から拡散光を照射する。このような形態によれば、投光面71から照射される拡散光の少なくとも一部が、シート部材20の法線方向ndに対して一側に傾斜した方向に向かいながらシート部材20の第1面20aに入射する。このような光は、ある程度表示面12に正面方向から向かっていき、表示面12を効果的に照明する。このため、表示面12が明るく観察され、表示面12による表示機能をさらに高めることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、投光面71から投射される光束L92がシート部材20の第1面20aに入射する領域の、一軸方向d1に沿った長さr1は、投光面71の、一軸方向d1に沿った長さr2よりも長い。このような形態によれば、投光面71から出射する光が、一軸方向d1に拡がりながらシート部材20の第1面20aに向かう。このため、光源70によって、一軸方向d1に配列された複数の表示面12のうちのより多くを明るく照明することが可能となり、表示面12による表示機能を効果的に高めることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、シート部材20の第2面20bは、一軸方向d1に交互に配列された複数の向き調整面21及び複数の光透過面22と、を含み、向き調整面21は、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜し、光透過面22は、太陽電池パネル50のパネル面に対して向き調整面21とは異なる角度で傾斜し、向き調整面21に表示面12が配置されている。このような形態によれば、向き調整面21及び光透過面22が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した向き調整面21及び光透過面22が、各々の正面方向から入射する光を有効に利用し易くなる。とりわけ、光透過面22は、向き調整面21と異なる角度で太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜している。このため、向き調整面21に配置された表示面12は、光透過面22に取り込まれ易い光L22、L51〜L53の傾斜する方向とは異なる方向D21、D41〜D43から太陽電池複合型表示体10を観察したときに視認され易くなり、光透過面22は、向き調整面21を視認し易い方向D21、D41〜D43とは異なる方向から太陽電池複合型表示体10に入射する光L22、L51〜L53を有効に取り込む。この結果、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。
ところで、向き調整面21に配置された表示面12にて形成される表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに光透過面22を介して太陽電池パネル50が観察されると、表示対象13の視認性や意匠性を著しく害することになる。したがって、表示面12が観察され得る第1角度範囲AR1は、太陽電池パネル50が観察されるようになる第2角度範囲AR2と区分けされていること、すなわち重なり合っていないことが好ましい。
そこで、本実施の形態の太陽電池複合型表示体10では、図2に示す主切断面において、向き調整面21は、シート部材20の法線方向ndに対して光透過面22とは逆側に傾斜している。このような形態によれば、向き調整面21に配置された表示面12は、光透過面22に取り込まれ易い光L22、L51〜L53の傾斜する方向とは逆の方向D21、D41〜D43から太陽電池複合型表示体10を観察したときに選択的に観察され易くすることができ、光透過面22は、向き調整面21を視認し易い方向D21、D41〜D43とは逆の方向から太陽電池複合型表示体10に入射する光L22、L51〜L53を選択的に取り込むことができる。具体的には、向き調整面21は、一端部21aが他端部21bよりもシート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、シート部材20のシート面に対して傾斜し、光透過面22は、他端部22bが一端部22aよりもシート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、シート部材20のシート面に対して傾斜している。この場合、シート部材20の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向D21、D41〜D43から太陽電池複合型表示体10を観察したときに、光透過面22よりも向き調整面21に配置された表示面12を選択的に観察し易くすることができる。また、シート部材20の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向から太陽電池複合型表示体10へ入射する光L22、L51〜L53を、向き調整面21よりも光透過面22に選択に導くことができる。
つまり、このような形態によれば、向き調整面21に配置された表示面12を観察し得る視野角となる第1角度範囲AR1が、シート部材20の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向に対応し、光透過面22を介して太陽電池パネル50に導かれるようになる太陽電池複合型表示体10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2が、シート部材20の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向に対応する。言い換えると、一軸方向d1において一側に傾斜した方向に向かって太陽電池複合型表示体10を観察したときに表示面12が観察され、一軸方向d1において他側に傾斜した方向に向かいながら太陽電池複合型表示体10に入射した光が、隣り合う2つの表示面12の間を通過して太陽電池パネル50に到達する。この場合、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、区分けされやすくなる。言い換えると、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、重なり合いにくくなる。
このように第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2との重なり合いが少なくなれば、表示面12による表示機能及び太陽電池パネル50での発電機能が、互いに悪影響を及ぼすことなく、より有効に発揮されるようになる。本実施の形態においては、表示面12に付与された表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに光透過面22を介して太陽電池パネル50が観察されることを抑制することが可能となる。この場合、表示対象13の視認性や表示対象13の意匠性を改善することができる。
とりわけ、本実施の形態による太陽電池複合型表示体10では、表示面12を観察し得る視野角となる第1角度範囲AR1を鉛直方向における下側に傾斜した方向に設定し、太陽電池パネル50に導かれるようになる太陽電池複合型表示体10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を鉛直方向における上側に傾斜した方向に設定している。この場合、典型的な利用として想定される表示板としての用途において太陽電池複合型表示体10を目線よりも高い位置に設置する場合に有効である。観察者は、鉛直方向における上側に見上げながら太陽電池複合型表示体10を観察するため、第1角度範囲AR1から表示面12に付与された表示対象13を観察することができる。一方、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化するが、鉛直方向における下側に傾斜した方向、あるいは、略水平方向に進みながら太陽電池複合型表示体10に入射する。このため、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化しても、第2角度範囲AR2から光透過面22に入射して太陽電池パネル50に向かうことができる。したがって、このような形態によれば、太陽電池パネル50による太陽光の受光及び表示面12による表示を効果的に両立させることができる。
また、本実施の形態によれば、太陽電池複合型表示体10の主切断面において、向き調整面21と、第1軸方向d1における他側で当該向き調整面21と隣り合う光透過面22と、の第1軸方向d1に沿った間隔dtは、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50に接近していくにつれて、狭くなっていく。このような形態によれば、向き調整面21に配置された表示面12が、光透過面22へ入射すべき光を遮ってしまうこと、あるいは、光透過面22が、向き調整面21に配置された表示面12の観察を遮ってしまうこと、を効果的に抑制することができる。このため、表示面12が、第1角度範囲AR1内の方向から太陽電池複合型表示体10を観察したときに、より確実に表示機能を発揮することができる。また、光透過面22が、第2角度範囲AR2から太陽電池複合型表示体10へ入射する光をより確実に太陽電池パネル50へ導くことができる。
ところで、下記の表1は、世界の幾つかの国の主要な都市における季節ごとの南中高度(°)を示している。使用が想定される国の主要な都市における春分秋分の南中高度が第2角度範囲AR2に含まれることが好ましい。その国で有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は54°から56°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすればよい。さらに、49°から61°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。また、使用が想定される国の主要な都市における夏至の南中高度から冬至の南中高度までが第2角度範囲AR2に含まれることがさらに好ましい。その国で一年を通して有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は31°から79°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすればよい。さらに、25°から84°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。なお、所望の高度が第2角度範囲AR2に含まれることを容易にするために、第2角度範囲AR2の角度範囲が45°程度以上連続していることが好ましい。もっとも、太陽電池複合型表示体10を傾けて配置することによって、所望の高度を第2角度範囲AR2に含まれるようにすることも可能である。一方、第2角度範囲AR2の角度範囲の上限については、第1角度範囲AR1とのバランスで適宜設定すればよいが、135°程度未満とすることによって、本実施の形態の太陽電池複合型表示体10の特長をより発揮させることができる。
なお、上述した形態に対して様々な変更を加えることが可能である。例えば、上述した形態では、図2に示すように、頂部23が1つの向き調整面21と1つの光透過面22とにより鋭角として規定された例を示したが、頂部23の形状は、上述した例に限定されない。頂部23は、第1面20aに沿った平坦面として構成されていてもよい。
≪第2の実施の形態≫
次に、図11及び図12を参照して、第2の実施の形態について説明する。図11及び図12は、それぞれ、第2の実施の形態における太陽電池複合型表示体10を示す斜視図及び断面図である。図11及び図12を参照して説明する第2の実施の形態は、シート部材20の第2面20bの形状が異なるが、その他の構成は、第1の実施形態と同様に構成することができる。第2の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図11及び図12に示す例では、シート部材20の第2面20bは、第1軸方向d1に沿って配列された複数のレンズ面31を含み、各表示面12は、各々に対応するレンズ面31の一部に沿って配置されている。各レンズ面31及び表示面12は、第1軸方向d1に交差する方向、より詳細には第1軸方向d1に直交する第2軸方向d2に沿って延びている。
ここで、レンズ面31の両端部のうち、第1軸方向d1において一側(図示する例では、図12における上側であって、鉛直方向における上側)に位置する端部を一端部31aと呼び、第1軸方向d1において他側(図示する例では、図12における下側であって、鉛直方向における下側)に位置する端部を他端部31bと呼び、一端部31a及び他端部31bからシート部材20の法線方向ndに沿って最も離れた地点を頂部31cと呼ぶこととする。本実施の形態の頂部31cは、レンズ面31のうちの太陽電池パネル50から最も離間した地点となる。そして、この頂部31cをレンズ面31の光軸odが通過している。
図15に示す各表示面12は、対応するレンズ面31のうちの、一端部31aと頂部31cとの間となる領域の一部または全部を覆い、他端部31bと頂部31cとの間となる領域を覆っていない。
以上のように、図12に示す形態によれば、第1面20a及び第1面20aに対向する第2面20bを有し、一軸方向d1に沿って複数の表示面12が配列されたシート部材20と、シート部材20の第2面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、一軸方向d1及びシート部材20の法線方向ndの両方に平行な主切断面において、表示面12は、一軸方向d1において一側に位置する端部12aが、一軸方向d1において他側に位置する端部12bよりも、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜または湾曲している。このような太陽電池複合型表示体10によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して上述のように湾曲しているため、湾曲した表示面12がその正面方向となる方向D121から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D121とは異なる別の方向から太陽電池複合型表示体10に入射する光束L123は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D121と外光L123の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。その上、太陽電池パネル50がシート部材20の第2面20bに対向して配置されているため、太陽電池パネル50の受光面50aが外部に露出していない。このため、太陽電池パネル50をさらに目立たなくさせることができる。
加えて、本実施の形態による太陽電池複合型表示体10は、シート部材20の第1面20aに向けて光を投射する投光面71を有する光源70をさらに備え、光源70の投光面71から出射する光の輝度を、主切断面内の各方向から測定することによって得られる輝度の角度分布において、シート部材20の法線方向ndに対して一側に傾斜した方向dxに輝度のピークP1が存在する(図10参照)。このような形態によれば、投光面71から出射する光が、ある程度表示面12に正面方向から向かっていき、表示面12を効果的に照明する。このため、表示面12が明るく観察され、表示面12による表示機能を高めることが可能となる。
あるいは、本実施の形態によれば、シート部材20の第1面20aに向けて光を投射する投光面71を有する光源70をさらに備え、投光面71は、一軸方向d1において最も一側に位置する表示面12Tよりも一軸方向d1において他側に位置し、投光面71は、当該投光面71上の各位置から拡散光を照射する。このような形態によれば、投光面71から照射される拡散光の少なくとも一部が、シート部材20の法線方向ndに対して一側に傾斜した方向に向かいながらシート部材20の第1面20aに入射する。このような光は、ある程度表示面12に正面方向から向かっていき、表示面12を効果的に照明する。このため、表示面12が明るく観察され、表示面12による表示機能を高めることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、シート部材20の第2面20bは、一軸方向d1に沿って配列された複数のレンズ面31を含み、各表示面12は、各々に対応するレンズ面31の一部に沿って配置されている。この場合、各レンズ面31の一部に表示面12を配置することで実現することができるため、太陽電池複合型表示体10の製造が容易である。
なお、図12に示す太陽電池複合型表示体10では、レンズ面31が太陽電池パネル50とは反対側に向かって突出する凸レンズからなる例を示したが、レンズ面31の形態はこのような例に限定されない。図13に、レンズ面31が第2面20b側に向かって凹む凹レンズからなる例を示す。
図13に示す各表示面12は、対応するレンズ面31のうちの、他端部31bと頂部31cとの間となる領域の一部または全部を覆い、一端部31aと頂部31cとの間となる領域を覆っていない。このため、表示面12は、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bよりも、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、シート部材20のシート面に対して傾斜している。このような形態であっても、上述の形態と同様な作用効果を奏することができる。
≪第3の実施の形態≫
次に、図14及び図15を参照して、第3の実施の形態について説明する。図14及び図15は、それぞれ、第3の実施の形態における太陽電池複合型表示体10を示す斜視図及び断面図である。図14及び図15を参照して説明する第3の実施の形態は、表示面12がシート部材20内に配列されている点で異なるが、その他の構成は、第1の実施形態と同様に構成することができる。第3の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
本実施の形態のシート部材20は、表示面12が配列されたルーバーシートを構成している。図14及び図15に示すシート部材20の第1面20a及び第2面20bは、平坦な面になっており、シート部材20内に複数の表示面12が配列されている。複数の表示面12は、第1軸方向d1に沿って配列されており、第1軸方向d1に交差する方向、より詳細には直交する第2軸方向d2に延びている。シート部材20のうち、隣り合う2つの表示面12の間となる領域は、光透過領域25を規定する。
シート部材20の第1面20aに支持シート40が貼り合わせられている。支持シート40は、シート部材20を補強し当該シート部材20を支持するために設けられている。
次に、主として、図14及び図15を参照しながら、太陽電池複合型表示体10の作用について説明する。太陽電池複合型表示体10は、例えば、表示面12の配列方向である第1軸方向d1が鉛直方向に沿うようにして、配置される。具体的には、第1軸方向d1における一側が、鉛直方向における上側に相当し、第1軸方向d1における他側が、鉛直方向における下側に相当するように、太陽電池複合型表示体10が配置される。
図15によく示されているように、シート部材20のシート面に対して傾斜した表示面表示面12は、当該表示面12の正面方向から視認され易い。図15に示す例では、表示面12がシート部材20の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向D151から太陽電池複合型表示体10を観察したときに表示面12を視認し易くなる。
一方、表示面12に対してなす角度がより小さい方向からシート部材20内を進行する光L153ほど、表示面12に受光され難い。このことから、傾斜した表示面12に遮られずに光透過領域25を有効に通過する光L153は、図15に示すように、表示面12を視認しやすい方向D151とは逆側に傾斜した光L153となる。つまり、第1軸方向d1において他側に進みながらシート部材20へ入射する光、図示する例では、鉛直方向における下方に進みながらシート部材20へ入射する光L153が、光透過領域25を通過して太陽電池パネル50に導かれ易くなる。
以上のように、図14及び図15に示す形態によれば、第1面20a及び第1面20aに対向する第2面20bを有し、一軸方向d1に沿って複数の表示面12が配列されたシート部材20と、シート部材20の第2面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、一軸方向d1及びシート部材20の法線方向ndの両方に平行な主切断面において、表示面12は、一軸方向d1において一側に位置する端部12aが、一軸方向d1において他側に位置する端部12bよりも、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜または湾曲している。このような太陽電池複合型表示体10によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した表示面12がその正面方向となる方向D151から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D151とは異なる別の方向から太陽電池複合型表示体10に入射する光束L153は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D151と外光L153の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。その上、太陽電池パネル50がシート部材20の第2面20bに対向して配置されているため、太陽電池パネル50の受光面50aが外部に露出していない。このため、太陽電池パネル50をさらに目立たなくさせることができる。
加えて、本実施の形態による太陽電池複合型表示体10は、シート部材20の第1面20aに向けて光を投射する投光面71を有する光源70をさらに備え、光源70の投光面71から出射する光の輝度を、主切断面内の各方向から測定することによって得られる輝度の角度分布において、シート部材20の法線方向ndに対して一側に傾斜した方向dxに輝度のピークP1が存在する(図10参照)。このような形態によれば、投光面71から出射する光が、ある程度表示面12に正面方向から向かっていき、表示面12を効果的に照明する。このため、表示面12が明るく観察され、表示面12による表示機能を高めることが可能となる。
あるいは、本実施の形態によれば、シート部材20の第1面20aに向けて光を投射する投光面71を有する光源70をさらに備え、投光面71は、一軸方向d1において最も一側に位置する表示面12Tよりも一軸方向d1において他側に位置し、投光面71は、当該投光面71上の各位置から拡散光を照射する。このような形態によれば、投光面71から照射される拡散光の少なくとも一部が、シート部材20の法線方向ndに対して一側に傾斜した方向に向かいながらシート部材20の第1面20aに入射する。このような光は、ある程度表示面12に正面方向から向かっていき、表示面12を効果的に照明する。このため、表示面12が明るく観察され、表示面12による表示機能を高めることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、複数の表示面12は、シート部材20内部に配置されている。この場合、シート部材20をなす材料にて表示面12を保護することができる点で有利である。
≪第4の実施の形態≫
次に、図16及び図17を参照して、第4の実施の形態について説明する。図16及び図17は、それぞれ、第4の実施の形態における太陽電池複合型表示体10を示す斜視図及び断面図である。図16及び図17を参照して説明する第4の実施の形態は、表示面12及びレンズ面31の配置が異なるが、その他の構成は、第1の実施形態と同様に構成することができる。第4の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図16および図17に示すように、太陽電池複合型表示体10は、シート状のシート部材20と、シート部材20の第2面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を有する。
シート部材20の第1面20aは、第1軸方向d1に配列された複数のレンズ面31を含んでいる。複数のレンズ面31は、その光軸odが互いに平行となるようにして、並べられている。とりわけ図示された例において、レンズ面31は、その光軸odが、太陽電池複合型表示体10の法線方向ndと平行となるよう配置されている。
レンズ面31は、いわゆるレンチキュラーレンズまたはシリンドリカルレンズを構成している。すなわち、各レンズ面31は、その配列方向である第1軸方向d1に対して交差する方向、より詳細には第1軸方向d1に直交する第2方向d2に、直線状に延びている。
複数の表示面12が、レンズ面31に対応して、シート部材20内で第1軸方向d1に沿って配列されている。図17に示すように、各表示面12は、対応するレンズ面31と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。本実施の形態では、表示面12は、レンズ面31と同様に、配列方向である第1軸方向d1と交差する方向、より厳密には、第1軸方向d1と直交する第2方向d2に直線状に延びている。また、各表示面12は、太陽電池パネル50のパネル面及びシート部材20の法線方向ndに対して傾斜している。
次に、本実施の形態による太陽電池複合型表示体10の作用について説明する。太陽電池複合型表示体10は、例えば、表示面12の配列方向である第1軸方向d1が鉛直方向に沿うようにして、配置される。また、表示面12の第1軸方向d1における一側に位置する一端部12aが、鉛直方向における上側に位置し、表示面12の第1軸方向d1における他側に位置する他端部12bが、鉛直方向における下側に位置するように、太陽電池複合型表示体10が配置される。
図17によく示されているように、傾斜した表示面12は、当該表示面12の正面方向から視認され易い。本実施の形態では、表示面12がシート部材20の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向D171、D172から太陽電池複合型表示体10を観察したときに表示面12を視認し易くなる。とりわけ、法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に大きく傾斜した方向D172から太陽電池複合型表示体10を観察した場合であっても、レンズ面31の集光作用によって、入射したレンズ面31に対向する表示面12を観察することができるようになる。仮に、複数の表示面12がシート部材20の第2面20b上に、当該第2面20bに沿って並べられていた場合、図17に点線で示すように、観察するレンズ面31と隣り合うレンズ面31に対向する表示面12を観察してしまい、意図された表示機能が発現されなくおそれがある。すなわち、表示面12を太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜させることにより、表示面12が観察される視野角となる第1角度範囲AR1を、言い換えると、表示面12からの光の出射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を、高い自由度で調整することができる。
一方、表示面12に対してなす角度がより小さい方向からシート部材20内を進行する光束L174ほど、表示面12に受光され難い。このことから、傾斜した表示面12に遮られずに太陽電池パネル50に向かう光束L174は、図17に示すように、表示面12を有効に観察し得る方向D171、D172とは逆側に傾斜した光束L174となる。つまり、第1軸方向d1において他側に進みながらレンズ面31へ入射する光、図示する例では、鉛直方向における下方に進みながらレンズ面31へ入射する光束L174が、2つの表示面12の間となる領域60を通過して太陽電池パネル50に導かれ易くなる。
以上のように、図16及び図17に示す形態によれば、第1面20a及び第1面20aに対向する第2面20bを有し、一軸方向d1に沿って複数の表示面12が配列されたシート部材20と、シート部材20の第2面20bに対向して配置された太陽電池パネル50と、を備え、一軸方向d1及びシート部材20の法線方向ndの両方に平行な主切断面において、表示面12は、一軸方向d1において一側に位置する端部12aが、一軸方向d1において他側に位置する端部12bよりも、シート部材20の法線方向ndにおいて太陽電池パネル50から離間するように、太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜または湾曲している。このような太陽電池複合型表示体10によれば、表示面12が太陽電池パネル50のパネル面に対して傾斜しているため、傾斜した表示面12がその正面方向となる方向D171、D172から観察され易くなる。一方、表示面12を視認し易い方向D171、D172とは異なる別の方向から太陽電池複合型表示体10に入射する光束L174は、隣り合う2つの表示面12の間を透過して太陽電池パネル50に導かれる。このように、観察者からの観察方向D171、D172と外光L174の入射方向との相違を利用して、周囲の環境との調和を図ると共に、表示面12による表示及び太陽電池パネル50による発電の両立が効果的に可能となる。その上、太陽電池パネル50がシート部材20の第2面20bに対向して配置されているため、太陽電池パネル50の受光面50aが外部に露出していない。このため、太陽電池パネル50をさらに目立たなくさせることができる。
加えて、本実施の形態による太陽電池複合型表示体10は、シート部材20の第1面20aに向けて光を投射する投光面71を有する光源70をさらに備え、光源70の投光面71から出射する光の輝度を、主切断面内の各方向から測定することによって得られる輝度の角度分布において、シート部材20の法線方向ndに対して一側に傾斜した方向dxに輝度のピークP1が存在する(図10参照)。このような形態によれば、投光面71から出射する光が、ある程度表示面12に正面方向から向かっていき、表示面12を効果的に照明する。このため、表示面12が明るく観察され、表示面12による表示機能を高めることが可能となる。
あるいは、本実施の形態によれば、シート部材20の第1面20aに向けて光を投射する投光面71を有する光源70をさらに備え、投光面71は、一軸方向d1において最も一側に位置する表示面12Tよりも一軸方向d1において他側に位置し、投光面71は、当該投光面71上の各位置から拡散光を照射する。このような形態によれば、投光面71から照射される拡散光の少なくとも一部が、シート部材20の法線方向ndに対して一側に傾斜した方向に向かいながらシート部材20の第1面20aに入射する。このような光は、ある程度表示面12に正面方向から向かっていき、表示面12を効果的に照明する。このため、表示面12が明るく観察され、表示面12による表示機能を高めることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、複数の表示面12は、シート部材20内部に配置されている。この場合、シート部材20をなす材料にて表示面12を保護することができる点で有利である。
また、シート部材20の第1面20aは、一軸方向d1に配列された複数のレンズ面31を含み、レンズ面31は、或る方向D171、D172から向かってくる光を表示面12に導き、或る方向D171、D172とは異なる別の方向から入射した光L174を隣り合う2つの表示面12の間を透過させて太陽電池パネル50に導く。このような形態によれば、レンズ面31の集光作用によって、表示面12が観察される視野角となる第1角度範囲AR1及び太陽電池パネル50による発電が有効に行われる第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となる。