JP2015178669A - 金属微粒子の乾燥方法及び乾燥装置並びにそれを用いたニッケル微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 湿式法で晶析させた平均粒径0.05μm以上0.4μm以下のニッケル微粒子に代表されるような含水率が好ましくは40質量%以下の湿潤状態の金属微粒子を静置式乾燥装置やバンド型乾燥装置やスプレードライヤー等を用いて170℃以上500℃以下の過熱水蒸気の雰囲気で乾燥させた後、該乾燥後の金属微粒子を不活性ガス、または、還元性ガスを含んだ不活性ガスの雰囲気で冷却する。
【選択図】 図2
Description
本発明による金属微粒子の乾燥方法は、170℃以上500℃以下の過熱水蒸気の雰囲気で乾燥を行うことを特徴とするものである。これにより、真空雰囲気で乾燥を行う場合に比べて短時間で乾燥を行うことが可能になる。また、過熱水蒸気雰囲気にすることで該雰囲気ガス中に酸素がほとんど含まれないようにできるため、乾燥時の金属微粒子の酸化を抑えることができる。
本発明における乾燥処理の対象となるニッケル微粒子は、積層セラミックコンデンサの内部電極材料として好適に用いることが可能な、平均粒子径が0.05〜0.40μmの範囲の略球状であることが好ましい。このようなニッケル微粒子は、湿式法によりニッケル微粒子を晶析させた後、このニッケル微粒子を含んだスラリーをろ過などの固液分離手段で処理することで得られる湿潤状態のニッケル微粒子が特に望ましい。なぜなら、湿式法では晶析及び固液分離が比較的低温で行われるため、ニッケル微粒子の表面に酸化を阻害するような強固な膜は形成されない。このため、従来はニッケル微粒子の乾燥の際、酸化しにくいように真空乾燥等の乾燥条件で長い時間をかけて乾燥することが必要であった。
走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5510、日本電子株式会社製)を用いてニッケル微粒子の倍率10,000倍のSEM像(視野:縦9.6μm×横12.8μm)を撮影し、得られたSEM像に対して画像解析ソフト(Mac−View、株式会社マウンテック製)を用いることで、像内の粒子のうち粒子形状の全体が見えるものの面積と個数を計測し、これら計測データから各粒子の相当直径を求め、それらを平均して平均粒径とした。
300℃におけるカールフィッシャー水分測定によるカールフィッシャー水分量に基づいて含水率を求めた。すなわち、非酸化性ガス雰囲気下において試料を300℃で処理し、気化したガスからカールフィッシャー滴定により分析して含水率を求めた。
分析装置(LECO社製、TC436AR)にて測定することで酸素含有量を求めた。
湿式還元法で製造したニッケル微粒子を含むスラリーを洗浄・ろ過し、含水率が30質量%の平均粒子径0.18μmの湿潤状態のニッケル微粒子ケーキ500gを得た。次に図1に示す静置式乾燥装置を用いて、ニッケル製の200メッシュのシートを敷材として敷いた通気構造の載置台の上にこのニッケル微粒子を載置して乾燥を行った。まずはバルブの操作により、吸気口から蒸気加熱装置により生成した200℃の過熱水蒸気をニッケル微粒子に接触させ、1時間経過後バルブの操作により窒素ガスに切り替えて降温させた。処理室内の温度が40℃に到達した時点で再びバルブの操作により空気の導入に切り替えて乾燥ニッケル微粒子の試料1を得た。この試料1の乾燥ニッケル微粒子の含水率と酸素含有量を測定した。その測定結果をトータルの乾燥処理時間と合わせて下記表1に示す。
実施例1と同様にして作製した湿潤状態のニッケル微粒子500gを実施例1で使用したのと同じ載置台に載置し、実施例1と同様に図1に示す静置式乾燥装置を用いて200℃の過熱水蒸気をニッケル微粒子を1時間接触させた。その後バルブの操作により過熱水蒸気の導入を止め、処理室内の温度が40℃になるまで徐冷を行い、乾燥ニッケル微粒子の試料2を得た。この試料2の乾燥ニッケル微粒子の含水率と酸素含有量を測定した。その測定結果をトータルの乾燥処理時間と合わせて下記表1に示す。
実施例1と同様にして作製した湿潤状態のニッケル微粒子500gを用意した。このニッケル微粒子を、図4に示すような深さが50mmのステンレス製角型の匣鉢であって、底面が300mm角の200メッシュで構成され、該底面の上に更にニッケル製の200メッシュのシートを敷いたものの中に収納した。この匣鉢を図2に示すようなバンド型乾燥装置のコンベアに乗せ、一定の搬送速度で該乾燥装置内の昇温ゾーン、乾燥ゾーン、及び降温ゾーンに順次通過させてニッケル微粒子の乾燥を行った。なお、昇温ゾーンおよび降温ゾーンには窒素ガスを導入し、乾燥ゾーンには200℃の過熱水蒸気を導入した。また、これら窒素ガス及び過熱水蒸気はコンベアの搬送経路よりも下側に位置する吸気口からそれぞれ導入し、該搬送経路の上側に位置する排気口から排出した。このようにして試料3の乾燥ニッケル微粒子を得た。
実施例1と同様にしてニッケル微粒子ケーキを作製し、これを再分散させてニッケル微粒子を含むスラリーを作製した。このスラリーを図3に示す構造のスプレードライ型過熱水蒸気乾燥装置に200℃の過熱水蒸気と共に導入して試料6の乾燥ニッケル微粒子を得た。サイクロン回収器の下部に設けた回収容器の温度が50℃以下になったのを確認してニッケル微粒子を取り出た。また、導入した過熱水蒸気の温度を200℃に代えて300℃とした以外は上記試料6の場合と同様にして試料7の乾燥ニッケル微粒子を得た。これら試料6及び7の乾燥ニッケル微粒子に対して実施例1と同様に含水率と酸素含有量を測定した。その測定結果をトータルの乾燥処理時間と合わせて下記表1に示す。
実施例1と同様にして作製した湿潤状態のニッケル微粒子500gを実施例1で使用したのと同じ匣鉢に収納した。この匣鉢をボックス型の真空乾燥機(メーカー名:ADVANTEC、型番:VO−420)に入れて、200℃で1時間真空乾燥を行った。その後減圧したまま放置して50℃まで降温させた後、窒素ガスを導入すると共に5%の分圧となるように空気を導入した。この状態で1時間放置することで試料8の乾燥ニッケル微粒子を得た。この試料8の乾燥ニッケル微粒子を真空乾燥機の蓋を開けて取り出し、実施例1と同様に含水率と酸素含有量を測定した。その測定結果をトータルの乾燥処理時間と合わせて下記表1に示す。
2 搬送手段
3 遮蔽カーテン
4 昇温ゾーン
5 乾燥ゾーン
6 降温ゾーン
7 隔壁
10 匣鉢
10a 底部
10b 側壁
11 敷板
11a 周縁部
20 スプレードライヤー装置
21 スプレーノズル
22 チャンバー
23 移送配管
24 サイクロン回収器
25 回収容器
26 排ガスダクト
30 静置式乾燥装置
31 処理室
32 載置台
33 吸気口
34 排出口
35 蒸気乾燥装置
36a、36b、36c バルブ
D 被乾燥物
Claims (14)
- 湿潤状態の金属微粒子を170℃以上500℃以下の過熱水蒸気の雰囲気で乾燥させた後、該乾燥後の金属微粒子を不活性ガス雰囲気、または還元性ガスを含んだ不活性ガス雰囲気で冷却することを特徴とする金属微粒子の乾燥方法。
- 前記湿潤状態の金属微粒子は含水率が40質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の乾燥方法。
- 前記湿潤状態の金属微粒子を、匣鉢に収容した状態で前記乾燥を行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の乾燥方法。
- 前記匣鉢は底面が通気構造になっており、前記匣鉢に収容されている前記湿潤状態の金属微粒子に対して前記底面から流入する過熱水蒸気で前記乾燥を行うと共に、前記底面から流入する不活性ガス、または、還元性ガスを含んだ不活性ガスで前記冷却を行うことを特徴とする、請求項3に記載の乾燥方法。
- 前記湿潤状態の金属微粒子を、過熱水蒸気とともにスプレーノズルに導入して前記乾燥を行うことを特徴とする、請求項1に記載の金属微粒子の乾燥方法。
- 前記金属微粒子はニッケル微粒子であり、その平均粒径が0.05μm以上0.4μm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の乾燥方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の乾燥方法を用いて前記湿潤状態のニッケル微粒子の乾燥を行うことを特徴とする、ニッケル微粒子の製造方法。
- 前記湿潤状態のニッケル微粒子は、湿式法で晶析させたニッケル微粒子を含むスラリーをろ過したものであることを特徴とする、請求項7に記載のニッケル微粒子の製造方法。
- 前記ニッケル微粒子の酸素含有量は、1.5質量%以下であることを特徴とする、請求項7または請求項8に記載のニッケル微粒子の製造方法。
- 湿潤状態の金属微粒子を静置して乾燥を行う乾燥装置であって、該金属微粒子を静置する通気構造の載置台を内部に備えた処理室からなり、該処理室は該載置台の上下にそれぞれ排出口及び吸気口を有しており、該吸気口は乾燥時には過熱水蒸気が導入され、降温時には不活性ガス、または還元性ガスを含んだ不活性ガスが導入されることを特徴とする乾燥装置。
- 前記金属微粒子は匣鉢に収容され、該匣鉢は前記載置台に静置されることを特徴とする、請求項10に記載の乾燥装置。
- 湿潤状態の金属微粒子を匣鉢内に収容してコンベアで昇温ゾーン、乾燥ゾーン、及び降温ゾーンに順に搬送して乾燥を行う乾燥装置であって、これらゾーンの各々はコンベアの搬送経路の上下にそれぞれゾーン内の雰囲気ガスの排出口及び吸気口を有し、該乾燥ゾーンでは該吸気口から過熱水蒸気が導入されることを特徴とする乾燥装置。
- 前記匣鉢は底面が通気構造になっており、更に通気性の敷板を該底面の上に重ねて配置することを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の乾燥装置。
- スプレーノズルを備えたスプレードライヤーと、該スプレードライヤーに接続され上部に排気口を備えたサイクロン回収機と、該サイクロン回収機下部に配置された回収容器を備えた乾燥装置であって、前記スプレーノズルに、金属微粒子を含むスラリーと過熱水蒸気が導入されることを特徴とする乾燥装置。
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