JP2015178207A - インクジェット方法、インクジェット装置、及びインクジェット組成物収容体 - Google Patents

インクジェット方法、インクジェット装置、及びインクジェット組成物収容体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いたインクジェット方法、インクジェット装置、紫外線硬化型インクジェット組成物を収容した組成物収容体を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】重合性化合物と重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物とを含有する紫外線硬化型インクジェット組成物を、組成物の収容体積が2L以上で収容した組成物収容体から、流路を介して紫外線硬化型インクジェット組成物をインクジェットヘッドに送給する送給工程と、流路において、紫外線硬化型インクジェット組成物を脱気する脱気工程と、インクジェットヘッドから紫外線硬化型インクジェット組成物を吐出する吐出工程と、を備え、前記脱気後の紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が30ppm以下であり、前記組成物収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が10ppm以上である、インクジェット方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット方法、インクジェット装置、及びインクジェット組成物収容体に関する。
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する方法として、種々の方式が利用されてきた。このうち、インクジェット方式は、安価な装置で、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は騒音が小さいため、記録方法として優れている。
近年、高い耐水性、耐溶剤性、及び耐擦過性などを有する画像を被記録媒体の表面に形成するため、インクジェット方式の記録方法において紫外線を照射すると硬化する、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が使用されている。
例えば、特許文献1は、特定のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸類と、ヒンダードアミン化合物とを含み、溶存酸素量が20ppmである紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容したインク収容体が開示されている。
特開2013−177525号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインク収容体を用いた記録方法は、連続して記録が可能な記録量が少なく、インク収容体を頻繁に交換する必要があった。
そこで、本発明は、連続して長時間の使用が可能であり、かつ、保存安定性、吐出安定性に優れたインクジェット方法を提供することを目的の一つとする。
また、本発明は、上記インクジェット方法を行うインクジェット装置、上記インクジェット方法で用いるインク収容体を提供することを目的の一つとする。
また、本発明は、連続して長時間の使用が可能であり、かつ、保存安定性に優れたインク収容体、当該インク収容体を用いて行うインクジェット方法、当該インク収容体を用いるインクジェット装置を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討し、下記の本発明により上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
重合性化合物とヒンダードアミン化合物とを含有する紫外線硬化型インクジェット組成物を、組成物の収容体積が2L以上で収容した組成物収容体から、流路を介して紫外線硬化型インクジェット組成物をインクジェットヘッドに送給する送給工程と、流路において、紫外線硬化型インクジェット組成物を脱気する脱気工程と、インクジェットヘッドから紫外線硬化型インクジェット組成物を吐出する吐出工程と、を備え、前記脱気後の紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が30ppm以下であり、前記組成物収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が10ppm以上である、インクジェット方法。
[2]
組成物収容体が、窒素透過率が0.1cc・20μm/(m2・day・atm)以上であり、酸素透過率が1.0cc・20μm/(m2・day・atm)以上である部材により構成された容器に紫外線硬化型インクジェット組成物が充填されている、[1]に記載のインクジェット方法。
[3]
紫外線硬化型インクジェット組成物が、光重合開始剤としてチオキサントン系化合物を含有する、[1]又は[2]に記載のインクジェット方法。
[4]
組成物収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が10〜55ppmである、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット方法。
[5]
収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物の収容体積が2.5〜20Lである、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット方法。
[6]
収容体の使用期限が15か月以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット方法。
[7]
紫外線硬化型インクジェット組成物が、重合性化合物として、ビニルエーテル基を有する単官能(メタ)アクリレートを含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェット方法。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット方法で紫外線硬化型インクジェット組成物を使用するインクジェット装置。
[9]
重合性化合物とヒンダードアミン化合物とを含有する紫外線硬化型インクジェット組成物を、組成物の収容体積が2L以上で収容し、収容した紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が10ppm以上である、インクジェット組成物収容体。
本発明のインク収容体の一例を示す分解斜視図である。 本発明のインクジェット装置の送給手段、吐出手段の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「硬化性」とは、光に感応して硬化する性質をいう。「保存安定性」とは、インク組成物を保存したときに、保存前後における粘度が変化しにくい性質をいう。「吐出安定性」とは、ノズルの目詰まりがなく常に安定したインク組成物の液滴をノズルから吐出させる性質をいう。連続使用可能性は組成物収容体を交換することなく連続して組成物の使用が可能な性能をいう。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを意味する。
〔紫外線硬化型インクジェット組成物〕
本実施形態の紫外線硬化型インクジェット組成物(以下、単に「インクジェット組成物」ともいう。)は、インクジェット法によりインクジェットヘッドから吐出して用いる組成物である。以下、紫外線硬化型インクジェット組成物の1実施形態として紫外線硬化型インクジェットインク組成物(単にインク組成物とかインクともいう)を記載するが、組成物はインク組成物以外の組成物でも良い。以下、本実施形態におけるインクジェット組成物に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
〔ヒンダードアミン化合物〕
本実施形態のインク組成物は、重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物を含む。一般的に、紫外線硬化型インク組成物中の溶存酸素量が低いほど酸素によるインクの重合(暗反応)抑制の効果が得られにくいため保存安定性が低下する傾向にある。ところが、ヒンダードアミン系重合禁止剤をインク組成物に含有することで溶存酸素量が低い場合でもインク組成物の保存安定性を確保することができる。
ヒンダードアミン化合物としては、例えば、以下に限定されないが、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アルキル骨格を有する化合物、及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アシル骨格を有する化合物などが挙げられる。
ヒンダードアミン化合物の市販品として、アデカスタブ LA−7RD(2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル)(ADEKA社製商品名)、IRGASTAB UV 10(4,4’−[1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6−テトラメチル]−1−ピペリジニルオキシ)(CAS.2516−92−9)、TINUVIN 123(4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)(以上、BASF社製商品名)、FA−711HM、FA−712HM(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、日立化成工業社(Hitachi Chemical Company, Ltd.)製商品名)、TINUVIN 111FDL、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 765、TINUVIN 770DF、TINUVIN 5100、SANOL LS−2626、CHIMASSORB 119FL、CHIMASSORB 2020 FDL、CHIMASSORB 944 FDL、TINUVIN 622 LD(以上、BASF社製商品名)、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−68LD、LA−77Y、LA−77G、LA−81、LA−82(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート)、LA−87(以上、ADEKA社製商品名)が挙げられる。
なお、上記の市販品のうち、LA−82は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−メチル骨格を有する化合物であり、アデカスタブLA−7RD、IRGASTAB UV 10は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物である。
上記の中でも、優れた硬化性を維持しつつインクの保存安定性を一層優れたものとすることができるため、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物が好ましい。
上記の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物の具体例として、以下に限定されないが、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4,4’−[1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6−テトラメチル]−1−ピペリジニルオキシ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルが挙げられる。
ヒンダードアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒンダードアミン化合物の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、0.05〜0.5質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。含有量が0.05質量%以上であると、インクの保存安定性を一層優れたものとすることができ、含有量が0.1質量%以上であると、インクの保存安定性をより一層優れたものとすることができる。また、含有量が0.5質量%以下であると、硬化性により優れる傾向にある。
(その他の重合禁止剤)
本実施形態のインク組成物は、重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物以外のものをさらに含んでもよい。その他の重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
その他の重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その他の重合禁止剤の含有量は、他の成分の含有量との関係で決まるため、特に制限されない。
〔光重合開始剤〕
本実施形態のインク組成物は、光重合開始剤を含んでもよく、特に、溶解性、安全性、コスト性に優れるチオキサントン系光重合開始剤を含んでもよい。チオキサントン系光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられ、チオキサントン系光重合開始剤を含有することで、インク組成物の硬化性を向上させることができる。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及びクロロチオキサントンからなる群より選ばれた1種以上を含むことが好ましい。なお、特に限定されないが、ジエチルチオキサントンとしては2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンとしては2−イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントンとしては2クロロチオキサントンが好ましい。このようなチオキサントン系光重合開始剤を含むインク組成物であれば、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性により優れる傾向にある。このなかでも、ジエチルチオキサントンを含むチオキサントン系光重合開始剤が好ましい。ジエチルチオキサントンを含むことにより、幅広い領域の紫外光(UV光)をより効率良く活性種に変換できる傾向にある。
チオキサントン系光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサントン)、Speedcure ITX(2−イソプロピルチオキサントン)(以上、Lambson社製)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、0.5〜4質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましい。含有量が0.5質量%以上であると、インクの硬化性に一層優れる傾向にある。また、含有量が4質量%以下であると、優れた吐出安定性がより効果的に維持される傾向にある。チオキサントン系光重合開始剤を使用するとインク組成物の溶存酸素濃度が高い場合にヘッドからの吐出安定性が顕著に劣る原因は、チオキサントン系光重合開始剤がインク組成物中に微細な粒子として存在することにより、この粒子が気泡核となって、インク組成物中に溶けていた酸素がインク組成物の保存中に気泡となって現れることを促進するためと推測されるが、これは一推測であり、原因はこれに限られない。
(その他の光重合開始剤)
インク組成物はその他の光重合開始剤をさらに含んでもよい。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。その他の光重合開始剤としては、光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物の重合を開始させるものであれば制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオフェニル基含有化合物など)、α−アミノアルキルフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
このなかでも、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(アシルホスフィンオキサイド化合物)をさらに含むことが好ましい。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤の組み合わせにより、UV−LEDによる硬化プロセスにより優れ、インク組成物の硬化性が一層優れる傾向にある。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド)等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、上述の効果が一層優れる点で、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましく、7〜14質量%がさらに好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製)、Speedcure TPO(以上、Lambson社製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。
カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
カチオン重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、Irgacure250、Irgacure270等が挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、5〜20質量%が好ましい。含有量が当該範囲内であると、紫外線硬化速度を十分に発揮させ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けることができる。
〔収容体に収容された組成物の溶存ガス量〕
本実施形態における組成物は、組成物収容体(単に収容体ともいう)に収容された状態において溶存ガス量が10ppm以上であることが、インクの保存安定性の点で好ましい。本発明において溶存ガス量は、溶存酸素と溶存窒素の合計のガス量である。溶存ガス量は後述の実施例の方法で測定することができる。
収容体に収容された組成物の溶存ガス量は、下限は、12ppm以上が好ましく、15ppm以上がより好ましく、20ppm以上がさらに好ましく、上限は、限られるものではないが70ppm以下が好ましく、60ppm以下がより好ましく、50ppm以下がさらに好ましく、40ppm以下が特に好ましい。溶存ガス量が上記範囲であると、重合性化合物の重合がより阻害され、保存安定性により優れる傾向にある。また、ヘッドから吐出される際の吐出安定性を一層すぐれ、後述する脱気効率性にも一層優れる。特に本実施形態のインク組成物は、重合禁止剤として上述のヒンダードアミン化合物を含むとともに所定範囲内の溶存酸素量を有することにより、保存安定性が極めて優れたものとなる。収容体に収容された組成物の溶存ガス量は、例えば組成物調製の際の脱気の程度を調整することで10ppm以上にすればよい。
収容体に収容された組成物の溶存ガス量は、少なくともインクジェット記録装置で収容体を使用開始する際に、上記の所定範囲内であればよい。さらには、溶存ガス量が上記所定範囲内である期間が、インク組成物が収容されたインク収容体が出荷されてから、インクジェット記録装置で使用を開始する際までであると好ましい。なお、脱気機構を備える記録装置の場合、当該記録装置内で溶存ガス量を減少させることができる。だが、この場合でも脱気能力に限界があり得え、脱気効率性を確保することが好ましい為、インク収容体中の組成物の溶存ガス量が上記範囲内であるとよい。
ここで、溶存ガス量を減少させる目的で脱気などの処理をしない場合、インク組成物の溶存ガス量は最大で70ppm以上である。そのため溶存ガス量をこれより少なくする場合は脱気などの処理をおこなえばよい。当該処理としては、以下に限定されないが、例えば、脱気機構を用いる方法などが挙げられる。
収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物中の溶存ガスは、保存中に、組成物に含む重合性化合物の重合禁止剤としてガスが働く際に消費され減少することがある、反面、収容体の容器の部材の構成材料がガス透過性を有する場合、部材を介してガスが侵入し増加する。よって組成物の溶存ガス量は収容体の保存中に変化する場合がある。
〔重合性化合物〕
インク組成物は重合性化合物を含む。重合性化合物は、単独で、又は光重合開始剤の作用により、光照射時に重合されて、印刷されたインク組成物を硬化させることができる。重合性化合物としては、特に限定されないが、具体的には、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。重合性化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下これら重合性化合物について例示する。
単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸;該不飽和カルボン酸の塩;前記不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン、アミド及び無水物;アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のオリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
重合性化合物のうち、(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、30〜85質量%であることが好ましく、40〜75質量%であることがより好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性、開始剤溶解性、保存安定性、吐出安定性により優れる傾向にある。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ビニルエーテル基を含有するものも挙げられる。このような単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、が好ましい。
これらの中でも、インクをより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インクの硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、即ち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、何れも単純な構造であって分子量が小さいため、インクを顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
上記のビニルエーテル基を含有する単官能(メタ)アクリレート類の中でも、下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が上記の点で好ましい。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
インク組成物が当該ビニルエーテル基含有単官能(メタ)アクリル酸エステル類を含有することにより、インクの硬化性を優れたものとすることができ、さらにインクを低粘度化することもできる。さらに言えば、ビニルエーテル基を有する化合物及び(メタ)アクリル基を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリル基を一分子中に共に有する化合物を使用する方が、インクの硬化性を良好にする上で好ましい。
上記の一般式(I)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(I)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記ビニルエーテル基含有単官能(メタ)アクリル酸エステル類、特に、上記一般式(1)で表される重合性化合物、中でも、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、10〜70質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。含有量が10質量%以上であると、インクを低粘度化でき、かつ、インクの硬化性を一層優れたものとすることができる。一方で、含有量が70質量%以下であると、インクの保存安定性を優れた状態に維持することができる。
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトール骨格若しくはジペンタエリスリトール骨格を有する3官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。そのうち、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール骨格若しくはジペンタエリスリトール骨格を有する3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。インク組成物が、多官能(メタ)アクリレートを単官能(メタ)アクリレートに加えて含むことがより好ましい。
2官能以上の多官能(メタ)アクリレートの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、5〜60質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることがさらに好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性、保存安定性、吐出安定性により優れる傾向にある。
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物は単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合、インク組成物が低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、かつ、インクジェット記録時の吐出安定性が得られやすい。さらに塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレート及び2官能(メタ)アクリレートを併用することがより好ましく、中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレート及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを併用することがさらに好ましい。
上記重合性化合物の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、5〜95質量%が好ましく、15〜90質量%がより好ましい。重合性化合物の含有量が上記範囲内であると、粘度及び臭気をより低下させることができるとともに、光重合開始剤の溶解性及び反応性を更に優れたものとすることができる。
〔色材〕
インク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
(顔料)
色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しく言えば、ブラックインクに使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50〜200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インク組成物における吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
(染料)
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、優れた隠蔽性及び色再現性が得られるため、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、1〜20質量%が好ましい。色材を含まない、若しくは、着色することを目的としない程度に色材を含有する(例えば0.1質量%以下)、クリア組成物(クリアインク)としてもよい。
〔分散剤〕
インク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
〔その他の添加剤〕
インク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、スリップ剤(界面活性剤)、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
〔組成物収容体〕
本実施形態の組成物収容体は、紫外線硬化型インクジェット組成物を収容したものである。以下組成物収容体の1実施形態としてインク収容体と記載する場合もあるがインク収容体に限らず組成物収容体であればよい。本実施形態の組成物収容体の態様としては、以下に限定されないが、例えば、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンク、ビン、缶が挙げられる。これらの中でも、汎用されており、かつ、後述の酸素透過度を所望の値に制御しやすいため、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンクが好ましく、パックがより好ましく、フィルムのパックが特に好ましい。収容体が備える部品のうち組成物と接触して組成物が直接的に充填されている部品を特に容器と呼ぶ。例えばインクカートリッジである組成物収容体の場合、インクカートリッジの内部に備えるインクパックが容器である。容器がそれ自身で収容体であるような収容体としてもよい。例えばボトルなどである。
本実施形態のインク収容体の使用態様として、(A)記録装置とは別体であり、記録装置に装着されてインクを順次、記録装置に供給するインクカートリッジ等の形態と、(B)記録装置とは別体であり、インク使用時にはインクのみをボトル等のインク収容体から記録装置に移す形態と、(C)予め記録装置に備え付けられインクが収容されたタンク等の形態と、が少なくとも挙げられる。
上記の(A)及び(B)は、インク収容体を出荷してから記録装置にインクを供給する(移す)直前までのインク収容体と言うことができる。上記の(C)は、記録装置が出荷されてから当該記録装置で初めてインクの使用を開始する前までにおけるインク収容体と言うことができる。
なお、上記の(A)及び(C)は、インク容器からインクチューブ等の接続部を介して記録装置にインクを供給している状態で、記録装置の印刷を行うインク収容体と言うことができる。
また、上記の(B)は、インク収容体から記録装置にインクを移した後、当該記録装置で印刷を行うインク収容体と言うことができる。なお、当該(B)においてインクを移す対象としては、記録装置に備え付けられたタンク等が挙げられる。
また、容器の構成材料としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等のプラスチック、各種の金属(合金を含む。)、並びにポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられる。また、これらに限らず、上記の各ポリマーを適当な比率で配合あるいはラミネートして得られるポリマーやそのフィルム等であってもよい。
容器を構成する部材の構成材料のガス透過率(以下「ガス酸素度」ともいう。)は、窒素透過率として、0.1cc・20μm/(m2・day・atm)以上が好ましい。窒素透過率の上限は、限られるものではないが、15000cc・20μm/(m2・day・atm)以下が好ましく、5000cc・20μm/(m2・day・atm)以下がより好ましく、20cc・20μm/(m2・day・atm)以下がさらに好ましく、5cc・20μm/(m2・day・atm)以下が特に好ましい。また、ガス透過率は、酸素透過率として、1.0cc・20μm/(m2・day・atm)以上が好ましい。酸素透過率の上限は、限られるものではないが、5000cc・20μm/(m2・day・atm)以下が好ましく、1000cc・20μm/(m2・day・atm)以下がより好ましく、100cc・20μm/(m2・day・atm)以下がさらに好ましく、20cc・20μm/(m2・day・atm)以下が特に好ましく、10cc・20μm/(m2・day・atm)以下がより特に好ましい。ガス透過度が上記範囲であると、保存中の収容体のインク組成物にガスを侵入させ易く組成物の保存安定性を一層優れたものとできる。また、ガス侵入を適度に抑えて吐出安定性を一層優れたものとできる。
上記の構成材料ないし部材としては、特に限定されることはない。インクパックの場合、フィルムを熱融着(ヒートシール)して袋状に加工して用いることができる。インクパックに用いるフィルムとしては、高密度、低密度、又は線状低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びポリスチレン、等の延伸プラスチックフィルムが挙げられる。中でも、ガス透過性が好ましい範囲としやすく、フィルムの耐久性も優れる点で、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が好ましい。
複数層のフィルムを貼りあわせた積層フィルムとしてもよい。上記のフィルムで上記ガス透過度が得られる場合はフィルムのみから構成してもよいし、上記のフィルムにガスバリア層を積層することで酸素透過度や窒素透過度を確保してもよい。ガスバリア層は、アルミニウム層などの金属層、酸化ケイ素や酸化アルミニウム層などの無機酸化物層を用いてもよいし、上記のフィルムのなかでもガス透過度の低いエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールなどを積層してもよい。フィルムの総膜厚としては50μm以上が好ましく、70μm以上が好ましく、70〜200μmがより好ましい。上記膜厚であると保管中のインク組成物の溶存ガス量が変化しにくく、パックの強度や柔軟性が得られる。これらの中でもガス透過度が低く、強度が優れる点で、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるフィルムが好ましい。また、パック以外の収容体の場合は、上記の他に、その他の合成樹脂、ガラス、及び金属などが挙げられる。
なお、本実施形態におけるガス透過度は、単位をcc・20μm/(m2・day・atm)とし、当該「atm」は20℃且つ乾燥気体(相対湿度0%)の条件下での圧力(atm)とする。また、当該酸素透過度は、ISO 14663−2:1999(Annex C)に定められた方法で、即ち電量分析センサーを用いてフィルムを透過する酸素の透過速度を(相対湿度が平衡状態に達した時に)測定することで、算出できる。
本実施形態におけるインク収容体に収容するインク組成物の体積(収容体積)は、2L以上である。収容体積が2L以上の場合、収容体の連続使用可能性を確保可能な反面、収容体保存中に組成物の溶存ガス量が上昇する傾向が大きいことが判明した。これは収容体の表面積が大きい為と推測する。本実施形態によれば、収容体積を2L以上とし収容体の連続使用可能性を確保可能としながら優れた吐出安定性を確保することができる。
収容体積の下限は、2.5L以上が好ましく、3L以上がより好ましく、上限は限られるものではないが、20L以下が好ましく、10L以下がより好ましい。容量が上記範囲内であると、収容体の連続使用可能性に一層優れ、吐出安定性を一層優れたものとすることができる。
本実施形態において、収収容体の連続使用可能性は、容体に収容されていた組成物以外の組成物を補充したり収容体を交換したりすることなく、収容体に収容されていた組成物を使用開始してから全て使用するまでのインクジェット装置において記録などの組成物を用いて行う仕事の量により決まる性能である。
本実施形態において収容体の使用期限は20か月以下であることが好ましく、15か月以下であることがより好ましい。収容体の使用期限は、収容体を製造、出荷後、収容体の使用が可能な期限までの時間として、収容体の製造・販売者に指定された時間である。使用期限の下限は限られるものではないが、5か月以上が好ましく、10か月以上がより好ましい。使用期限が上記の範囲であると、保存安定性、吐出安定性、脱気効率性の点で一層好ましく、さらに、収容体の使用期限切れを少なくすることができる。
ここで、本実施形態のインク収容体の一例であるインクカートリッジについて説明する。図1は、インクカートリッジ40を示す分解斜視図である。インクカートリッジ40は、インクが充填される容器であるインクパック70と、インクパック70を内部に収めて保護する本体ケース76と蓋部78からなるカートリッジケース72からなり、インクパック70はインク供給口74を備え、本体ケース76は、鉤部84、切欠き部80、押さえ部82を備える。インクパック70の材質は上述のものを使用することができる。
〔インクジェット装置〕
本実施形態のインクジェット装置は、紫外線硬化型インクジェット組成物を、組成物収容体から流路を介してインクジェットヘッド(ヘッド)に送給する送給手段と、組成物収容体とインクジェットヘッドの間の流路において、紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量を30ppm以下に脱気する脱気手段と、インクジェットヘッドから紫外線硬化型インクジェット組成物を吐出する吐出手段を備える。本実施形態において、インクジェット装置の1実施形態としてインクジェット記録装置又はインクジェットプリンターとも記載するが、インクジェット装置は記録装置やプリンター以外のインクジェット装置でも良い。インクジェット装置は、吐出手段に加えて、吐出された組成物を紫外線の照射によって硬化する硬化手段も備えることができる。
〔吐出手段、送給手段〕
インクジェット装置は、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドから吐出するものである。以下、図面を用いて具体的に説明するが吐出手段は以下に限られない。図2は本実施形態のインクジェット記録装置のヘッドの周囲の一例を表す概略図である。サブタンク200はインクカートリッジ(図示せず)からインクの供給を受け、加圧ポンプ202によってインクを脱気機構の一例である脱気モジュール204、ヒーター220の順に通過させて、複数個設けられたヘッド100に供給する。
吐出手段の具体例であるヘッド100は被記録媒体(図示せず)にインクを吐出するものである。圧力調整弁108は開弁アクチュエーター320によって開弁され、サブタンク200からヘッド100へインクを供給する際のインクの圧力を調整する。
脱気モジュール204を通過したインクは、圧力調整弁108が開弁すると、分岐継手106に流入する。分岐継手106の内部では、往路214が複数の通路に分岐されて、複数個のヘッド100に接続されている。
ヘッド100から吐出されなかったインクは、開閉バルブ212が開いた状態において、統合継手210及び復路216を介してサブタンク200へ循環される。サブタンク200とヘッド100との間にインクを循環させることで、インクが長期滞留してインク成分が分離、沈降した場合にこれを回復させたり、循環するインクの温度を一定にしたりすることができる。インクはヒーター218,220,222によって加熱されることで粘度が低下し、ヘッド100からの吐出に適した粘度となり、ヘッド100から吐出される。
これらの装置は、主走査移動テーブル64に設けられており、主走査移動テーブル64ごと被記録媒体に対して移動しながらヘッド100から被記録媒体にインクの吐出を行う主走査が行われる。
送給手段は上記の組成物収容体から吐出手段まで組成物を送給する装置である。組成物収容体から吐出手段までの間の組成物が送給される経路を流路と言う。流路としては、図2のインクカートリッジからサブタンク200までのインクの経路、サブタンク200、サブタンク200からヘッド100までの経路、ヘッド100の内部においてインクがヘッドのノズルから吐出されるまでの経路、ヘッド100からサブタンク200までインクを戻しサブタンク200から再びインクをヘッド100へ送給可能とする循環経路があげられる。
〔脱気手段〕
本実施形態のインクジェット装置は脱気手段(脱気機構ともいう)を備える。以下脱気手段の1実施形態として脱気モジュールを記載する。図2の脱気モジュール204内には、インクが流入する脱気室(図示せず)と、空気などの気体を通してインクなどの液体を通さない分離膜を介して脱気室と接する減圧室(図示せず)と、が設けられている。分離膜としては中空糸膜などを用いることができる。減圧ポンプ(図示せず)によって減圧室を減圧すると、脱気室内のインクに混入していた気泡やインクに溶解していたガスなどの気体は抜けていくので、気泡の混入がなく、脱気モジュール204へ送られたインクよりも溶存ガス濃度を低くしたインクをヘッド100へ供給し、ヘッド100から吐出させることができる。本記録装置の脱気モジュール204は、サブタンク200からヘッド100へインクを供給し続けた状態で、連続的にインクの脱気を行うことができる。脱気手段はインク収容体とヘッドのインク経路の間に設けられていることが脱気効率の点で好ましい。
上記の記録装置は、例えば特開2011−240565号の図4(本願明細書の図2)のように構成することができる。なお、上記の装置が移動せずに、被記録媒体がヘッドに対して移動しながらヘッドから被記録媒体に向けてインクの吐出が行われるラインプリンターのような構成としてもよく、この場合、インクの使用量が多い為、本実施形態が特に有用である。また、脱気モジュールが上記のような連続的にインクの脱気を行うものである代わりに、分離膜を備えずに、圧力調整弁を閉じた状態にして、減圧室を減圧することでインクの脱気を行うことと、脱気を終了したら、減圧室を常圧に戻して圧力調整弁108を開いた状態にしてインクをヘッドに供給することと、を交互に断続的に行う形態としてもよい。前者はインクを連続的に脱気することができる点で好ましく、後者は脱気能力が高い点で好ましい。
本実施形態においては、脱気手段により組成物の脱気を行い、溶存ガス量を脱気前の物より下げるものである。脱気手段により脱気された組成物の溶存ガス量は30ppm以下であることで吐出安定性を優れたものとできる。脱気された組成物の溶存ガス量の上限は20ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、下限は、限られるものではないが1ppm以上が好ましく、5ppm以上がより好ましい。脱気された組成物の溶存ガス量が上記範囲であると、吐出安定性が一層優れ、脱気効率性にも一層優れる。本実施形態において脱気効率性は、例えば脱気を行うために必要な脱気時間で示すことができ脱気時間が短いほど脱気効率性に優れる。脱気された組成物の溶存ガス量を上記範囲にするには、例えば脱気手段による組成物の脱気の程度を調製すればよく、例えば上記の脱気モジュールの場合、脱気モジュールの減圧室の脱気の程度を調整したり、脱気モジュールを流れる組成物の流速を調整したりすればよい。
収容体に収容されていた組成物の溶存ガス量が前述の範囲であり、かつ脱気手段により脱気された組成物の溶存ガス量が上述の範囲である場合、組成物の保存安定性、吐出安定性、脱気効率性が何れも優れる点で一層好ましい。
〔被吐出対象〕
インクジェット方法を利用して、インク組成物を被吐出対象に吐出されること等により、組成物を用いる。被吐出対象の1実施形態として被記録媒体を記載するが被吐出対象としては被記録媒体には限られない。被記録媒体としては例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。下記インクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
〔インクジェット方法〕
本実施形態の収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物を用いたインクジェット方法は、被吐出対象に、組成物をインクジェット法により吐出する吐出工程を含み、上記吐出工程により吐出された組成物に紫外線を照射して、組成物を硬化する硬化工程と、をさらに含むことができる。このようにして、被吐出対象で硬化した組成物により、硬化物が形成される。インクジェット方法は、インクジェット記録方法、インクジェット成型方法等があげられ、インクジェット法により組成物を吐出する物であればよい。以下インクジェット方法の1実施形態としてインクジェット記録方法を記載する。
〔吐出工程〕
上記吐出工程においては、後述のインクジェット記録装置を用いることができる。インク組成物の吐出の際は、インク組成物の粘度を、好ましくは25mPa・s以下、より好ましくは5〜20mPa・sとすることが好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱しない状態として、上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させることができる。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
紫外線硬化型インク組成物は、通常のインクジェット用インクで使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかるインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
〔硬化工程〕
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出されたインク組成物が、紫外線(光)の照射によって硬化する。換言すれば、被記録媒体上に形成されたインク塗膜が、紫外線の照射によって硬化膜となる。これは、インク組成物に含まれ得る光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、重合性化合物の光重合反応が開始するためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
紫外線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線硬化型インクジェット用光源として期待されている。これらの中でも、UV−LEDが好ましい。
ここで、発光ピーク波長が、好ましくは365〜405nmの範囲、より好ましくは380〜400nmの範囲にある紫外線を照射することにより、硬化可能であるようなインク組成物を用いることが好ましい。また、照射エネルギーは、50〜1000mJ/cm2が好ましく、100〜700mJ/cm2がより好ましく、200〜600mJ/cm2がさらに好ましい。
上記の場合、上記インク組成物の組成に起因して低エネルギー且つ高速での硬化が可能となる。照射エネルギーは、照射時間に照射強度を乗じて算出される。上記インク組成物の組成によって照射時間を短縮することができ、その場合、印刷速度が増大する。他方、本実施形態におけるインク組成物の組成によって照射強度を減少させることもでき、その場合、装置の小型化やコストの低下が実現する。その際の紫外線照射には、UV−LEDを用いることが好ましい。このようなインク組成物は、上記波長範囲の紫外線照射により分解する光重合開始剤、及び上記波長範囲の紫外線照射により重合を開始する重合性化合物を含むことにより得られる。なお、発光ピーク波長は、上記の波長範囲内に1つあってもよいし複数あってもよい。複数ある場合であっても上記発光ピーク波長を有する紫外線の全体の照射エネルギーを上記の照射エネルギーとする。
本実施形態のインクジェット方法は、さらに、前述の送給手段により行われる組成物の送給(送給工程)、前述の脱気手段により行われる組成物の脱気(脱気工程)を備える。
以下、本発明の実施形態を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用原料]
下記の実施例及び比較例において使用した原料は、以下の通りである。
〔重合性化合物〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製商品名、下記表では「VEEA」と略記した。)
・SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製商品名、下記表では「DPGDA」と略記した。)
〔ヒンダードアミン化合物(重合禁止剤)〕
・アデカスタブ LA−7RD(2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、ADEKA社製商品名、下記表では「LA−7RD」と略記した。)
〔光重合開始剤〕
・DAROCURE TPO(BASF社製商品名、固形分100%)
・Speedcure DETX(Lambson社製商品名、固形分100%)
[方法例]
〔紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の作製〕
下記表1に記載の成分を、表1に記載の組成(単位は質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより、クリアインクである紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を調製した。調製後、インク組成物に対し脱気を行った。その際、脱気の時間が長いほど溶存ガス量が低くなることを利用して、各方法例毎に表の調製後の溶存ガス量となるように脱気時間を調整して各方法例に用いた。
〔溶存ガス量の測定〕
インク組成物の溶存酸素量の測定は、ガスクロマトグラフィー Agilent 6890(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、溶存酸素量と溶存窒素量をそれぞれ測定し合計したものである。キャリアガスとしてはヘリウム(He)ガスを使用した。体積基準のppmである。
Figure 2015178207
Figure 2015178207
Figure 2015178207
Figure 2015178207
[評価項目]
表2、3の各例の条件でインクジェット方法を、以下の方法により、保存安定性、さらに溶存ガス量(吐出時)、吐出安定性、硬化性、脱気効率性、連続使用可能性、を評価し、表2、3に記載した。
〔1.保存安定性〕
表2、3の例で用いた収容体としては、上述の図1に示されるようなインクカートリッジを用意した。表2の各例の条件で用意したインク組成物を、インクパック内に充填、密封して構成したインクカートリッジを25℃の室内において、RT1W後は7日間、RT3M後は3か月、保管した。そして、保管前後の増粘率を求めた。インクパックの容量としては表の各例の値のものを用意してパックに充填したインクの容量が表の各例の値となるようにした。インクパックの部材であるフィルムは下記のように構成し、フィルムの周囲を熱溶着して容器とし、インクの充填後、充填口を密封した。
収容体2:エチレン−ビニルアルコール共重合体製フィルム(フィルムの膜厚100μm)とした。
収容体3:ポリエチレンテレフタレート製フィルム(フィルムの膜厚100μm)とした。
収容体4:ポリプロピレン製フィルム(フィルムの膜厚100μm)とした。
収容体5:ポリエチレン製フィルム(フィルムの膜厚100μm)とした。
(参考)
収容体1:収容体2のフィルムにアルミ蒸着膜を膜厚13μmで設けたものとした。
各収容体の上記フィルムのガス透過率を測定したところ表4の値となった。なお、ガス透過率測定にはフィルムの膜厚を20μmとしたフィルムを用いた。保存安定性の評価基準は下記のとおりである。
○:4%以下
△:4%を超えて7%以下
×:7%を超えて9%以下
××:9%超
なお、表2の各例において、RT1W後のインクパック内のインクの溶存ガス量を上記の溶存ガス量の測定と同様にして測定したところ、表2の調製後の溶存ガス量とほぼ同じであったため、RT1W後のインクパックを用いておこなったインクジェット方法は、仮に調整後のインクパックを用いてインクジェット方法を行った場合と評価はほぼ同じであると推測する。
〔吐出試験〕
図2のような送給手段、脱気手段、吐出手段を備えるインクジェット装置を用意した。ただしテーブル64は固定とし、図示しない被記録媒体搬送機構を設けて被記録媒体をテーブル64に対して搬送させながら被記録媒体に対してインクが吐出されるラインプリンターして構成した。吐出手段のヘッド100は、吐出ノズル径20μm、吐出の駆動周波数20kHzとし、かつ、1回当たりのインク吐出量を7ngに調整し、1ヘッドあたり360個のノズルを備える。このようなインクジェット評価機(試作機)を用意した。収容体は、表2の例では保存安定性の評価のRT1WあるいはRT3Mの条件で保存したものであり、表3の例では調整後のものである。
各例毎にインク収容体(インクカートリッジ)をサブタンク200までのインクの経路に接続し、インク収容体からインクをサブタンクに供給した。サブタンク内のインクは常に所定量以上となるようにインクカートリッジからサブタンクへインクを送給した。インクカートリッジのインクが終わりになったら各例の各評価条件毎に同じ条件で用意したインクカートリッジに交換してサブタンクへのインクの供給を続けた。各インク送給手段を作動させてインクをヘッド100に送給した。脱気モジュールは中空子膜を介してインクを減圧脱気するものでありインクを送給しながらインクの脱気が可能なものとした。脱気させながらヘッド100へインクの送給を行いヘッド100のノズルからインクを吐出可能にした。ヘッド100のうち1つのヘッドを評価に用い他のヘッドへはインクが送給されないようにした。ヒーターを作動させインクの粘度を吐出に適した粘度(10mPa・s以下)となるようにインクの温度を調節した。そして、当該評価機を用いて、30分間インクの吐出を行った。ここで、脱気モジュールを作動させ脱気を行った場合(表で脱気有りと記載)と、脱気モジュールの作動を停止し脱気を行わなかった場合(表で脱気無しと記載)と両方で評価を行った。脱気モジュールを作動させた場合においては、下記で測定した溶存ガス量(吐出時)のインクの溶存ガス量の値となるように脱気モジュールを調整して作動させた。
〔2.溶存ガス量(吐出時)〕
上記の吐出試験が終了した時点で脱気モジュール204とヘッド100の間のインク流路からインクを採取し、ヘッドへ送給されるインクの溶存ガス量を測定した。測定方法は上述の溶存ガス量の測定の方法である。結果を表に記載する。
〔3.吐出安定性〕
上記吐出試験が終了した時点でノズル検査を行い不吐出が生じていたノズル数を求めた。評価基準は下記のとおりである。
○:なし(0本)
△:1〜4本
×:5以上
〔4.硬化性〕
上記吐出試験の吐出の最後の頃に、吐出をPETフィルム(PET50A PLシン〔商品名〕、リンテック社製)に吐出を行い、硬化後の塗膜の厚さが8μmになるようなインク塗膜を塗布した。塗膜を照射強度が700mW/cm2であり且つ波長が395nmである紫外線を照射して硬化させた。硬化した塗膜(硬化膜)を、綿棒を用いて110g加重で12回擦り、傷が付かなくなる時点の硬化エネルギー(照射エネルギー)を求めた。
なお、照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。
評価基準は下記のとおりである。
○:200mJ/cm2以下
△:200mJ/cm2を超えて300mJ/cm2以下
×:300mJ/cm2
〔5.脱気効率性〕
上述の脱気モジュールを作動させて吐出試験を行った際の脱気の効率性を下記の基準に基づいて評価した。
A:30分の吐出中に吐出を中断することなく各例の溶存ガス量(吐出時)の溶存ガス量に脱気できた。
B:30分の吐出中に、各例の溶存ガス量(吐出時)の溶存ガス量にするために吐出を中断してヘッドから循環経路を介してサブタンクにインクを戻す循環を行う必要が1回あった。
C:30分の吐出中に、各例の溶存ガス量(吐出時)の溶存ガス量にするために吐出を中断してヘッドから循環経路を介してサブタンクにインクを戻す循環を行う必要が2回以上あった。
〔6.連続使用可能性〕
上記の吐出試験の条件で吐出を行い、A4サイズの記録媒体に5×5cmのベタパターンを記録した。500枚の記録媒体に記録を行う際にインクカートリッジの交換を行う必要があったか否かを評価した。
○:インクカートリッジを交換することなく記録できた。
×:インクカートリッジの交換が必要であった。
以上の結果より、重合性化合物とヒンダードアミン化合物とを含有し溶存ガス量を10ppm以上とした紫外線硬化型インクジェット組成物を収容体積が2L以上で収容した組成物収容体から送給される組成物を、溶存ガス量を30ppm以下に脱気してインクジェットヘッドから吐出するインクジェット方法は、そうでないインクジェット方法と比べて、連続使用可能性、保存安定性、及び吐出安定性のいずれにも優れることが分かった。
さらに、表には記載しなかったが、方法例10の調整後のインク収容体をRTで20ヶ月保存した後、吐出時の脱気ありの条件で吐出安定性を評価したところ○であった。
40…インクカートリッジ、70…インクパック、72…カートリッジケース、74…インク供給口、76…本体ケース、78…蓋部、80…切欠き部、82…押さえ部、84…鉤部、64…主走査移動テーブル、100…ヘッド、106…分岐継手、108…圧力調整弁、200…サブタンク、202…加圧ポンプ、204…脱気モジュール、210…統合継手、212…開閉バルブ、214…往路、216…復路、218,220,222…ヒーター、320…開弁アクチュエーター。

Claims (9)

  1. 重合性化合物と重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物とを含有する紫外線硬化型インクジェット組成物を、組成物の収容体積が2L以上で収容した組成物収容体から、流路を介して紫外線硬化型インクジェット組成物をインクジェットヘッドに送給する送給工程と、
    流路において、紫外線硬化型インクジェット組成物を脱気する脱気工程と、
    インクジェットヘッドから紫外線硬化型インクジェット組成物を吐出する吐出工程と、を備え、
    前記脱気後の紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が30ppm以下であり、
    前記組成物収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が10ppm以上である、
    インクジェット方法。
  2. 組成物収容体が、窒素透過率が0.1cc・20μm/(m2・day・atm)以上であり、酸素透過率が1.0cc・20μm/(m2・day・atm)以上である部材により構成された容器に紫外線硬化型インクジェット組成物が充填されている、
    請求項1に記載のインクジェット方法。
  3. 紫外線硬化型インクジェット組成物が、光重合開始剤としてチオキサントン系化合物を含有する、
    請求項1又は2に記載のインクジェット方法。
  4. 組成物収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が10〜55ppmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  5. 収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物の収容体積が2.5〜20Lである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  6. 収容体の使用期限が15か月以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  7. 紫外線硬化型インクジェット組成物が、重合性化合物として、ビニルエーテル基を有する単官能(メタ)アクリレートを含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット方法で紫外線硬化型インクジェット組成物を使用するインクジェット装置。
  9. 重合性化合物と重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物とを含有する紫外線硬化型インクジェット組成物を、組成物の収容体積が2L以上で収容し、
    収容した紫外線硬化型インクジェット組成物の溶存ガス量が10ppm以上である、
    インクジェット組成物収容体。
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