JP2015177571A - 蓄電池付きパワーコンディショナ - Google Patents

蓄電池付きパワーコンディショナ Download PDF

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Abstract

【課題】DC変換部とインバータを繋ぐDCリンク部に第2のコンバータなしで蓄電池を直結するパワーコンディショナにおいて、蓄電池からの逆潮流を防止する観点から、蓄電池に対する充放電電力のゼロ電力収束制御を高応答性にする。【解決手段】太陽電池1からの直流電圧をDC/DCコンバータ2で昇圧し、DC/ACインバータ3で交流電力に変換する。コンバータとインバータを接続するDCリンク部4に蓄電池8を直結する。フィードバック制御系13は蓄電池における充放電電力に基づいてこの充放電電力が実質的にゼロに収束するようにインバータ3に対する電力指令値を与える。太陽電池1の発電電力を捕捉し(電力検出器14)、この電力補正値をフィードバック制御系13の電力指令値に加算して(加算器15)、インバータ3に対する二次電力指令値とするフィードフォワード制御系16を追加する。【選択図】図1

Description

本発明は発電源、DC変換部、DC/ACインバータを備え、さらに蓄電池を付帯する蓄電池付きパワーコンディショナに関する。より詳しくは、DC変換部とインバータを繋ぐDCリンク部に対し第2のコンバータを介することなく蓄電池を直結する方式の蓄電池付きパワーコンディショナにおいて、蓄電池からの逆潮流を防止する観点から、蓄電池に対する充放電電力をゼロ電力に収束させるための制御技術に関する。
蓄電池付きパワーコンディショナはその構成要素として、再生可能エネルギーを元にして発電を行う太陽電池などの直流発電源と、この直流発電源からの直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータ(昇圧チョッパ)と、DC/DCコンバータの出力を交流電力に変換する双方向性のDC/ACインバータ(これは系統電源と負荷に対する接続部を有している)と、蓄電池とを備えている。負荷に対して並列に接続される直流発電源・パワーコンディショナ主部の系と系統電源(商用電源)との系統連系運転においては、これら双方から負荷に対して電力を供給するようになっている。DC/DCコンバータは直流発電源からの出力電力が最大となるように運転される(最大電力追従制御)。負荷で消費する電力が直流発電源で賄えないときは系統電源からも給電する。つまり、直流発電源による電力が負荷の消費電力に対して不足するときは、系統電源からの給電で補う。逆に、直流発電源・パワーコンディショナ主部の系による電力が負荷の消費電力を上回るときは、その余剰電力が系統電源に向けて逆潮流される(売電)。これが系統連系運転である。
蓄電池における充放電端子の接続先について、旧来では、直流発電源とDC/DCコンバータとの接続ラインに対し開閉器を介して接続し、その開閉器は平常時はDC/DCコンバータとの接続を断っておくために開成状態に保持するが、系統電源の停電を検出したときは閉成して蓄電池をDC/DCコンバータの入力側に接続するように構成している(例えば特許文献1での従来例図2参照)。平常時に開閉器を開成しておくのは、蓄電池とDCリンク部ひいては系統電源との接続を常時的に切断しておくことにより、系統連系運転時(平常時)における蓄電池からの逆潮流防止の機能を実現するためである。系統連系運転時における蓄電池からの逆潮流防止については資源エネルギー庁の「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」に規定されている。
停電時に開閉器を閉成して蓄電池をDC/DCコンバータの入力側に接続することで、直流発電源の直流電力に加えて蓄電池の直流電力をもDC/DCコンバータとDC/ACインバータとで電力変換し負荷に供給する。これにより、停電のためになくなった系統電源の電力の代わりに蓄電池の電力を用いるようにしている。
しかし、DC/DCコンバータの入力側には直流発電源の直流電圧以外に蓄電池の直流電圧が印加されることになり、蓄電池の直流電圧が影響するようになるため、DC/DCコンバータによる直流発電源の最大電力追従制御(MPPT制御)ができなくなってしまう。
そこで特許文献1では、蓄電池の充放電端子の接続点をDC/DCコンバータとDC/ACインバータとの間のDCリンク部とし、そのDCリンク部と蓄電池との間に第2のコンバータとして双方向性のDC/DCコンバータ(双方向チョッパ)を介装し、系統連系運転時には逆潮流防止のためその第2のコンバータを停止させておき、停電検出時に第2のコンバータを動作させるという技術が提示された(特許文献1の図1、特許文献2参照)。これによれば、蓄電池の出力はDC/DCコンバータの入力側には影響しないので、停電検出時にもDC/DCコンバータによる直流発電源の最大電力追従制御が可能となる。
しかし、第2のコンバータ(双方向チョッパ)を必要とするため、設備面(イニシャルコスト、ランニングコスト、設置面積等)での負担が相当に大きなものとなってしまう。
上記のような技術変遷のなかで、蓄電池の接続先をDC/DCコンバータとDC/ACインバータとのDCリンク部とする蓄電池付きパワーコンディショナにおいて、さらに第2のコンバータを用いることなくDC/DCコンバータによる直流発電源の最大電力追従制御を可能としたのが図4に示す従来例の蓄電池付きパワーコンディショナである。
図4において、1は太陽電池、2はDC/DCコンバータ、3は双方向性のDC/ACインバータ、4はDCリンク部、5はパワーコンディショナ主部、6は系統電源(商用電源)、7は負荷、8は蓄電池、9は充放電ライン、10は電力検出器(電流・電圧センサ)、11は減算器、12は増幅器、13はフィードバック制御系である。DC/DCコンバータ2とDC/ACインバータ3とを繋ぐDCリンク部4に対して蓄電池8の充放電端子が充放電ライン9を介して接続されている。充放電ライン9とDC/ACインバータ3との間にフィードバック制御系13が設けられている。このフィードバック制御系13は充放電ライン9における蓄電池8の充放電電力Pbを捕捉するための電力検出器10と、この電力検出器10が検出した充放電電力Pbと電力目標値Pd(=0kW)との差分電力値Pe(=Pd−Pb=−Pb)を演算する減算器11と、減算器11の出力を増幅した電力指令値Pc(=−α・Pb)をDC/ACインバータ3の制御端子に出力する増幅率αの増幅器12とを備えている。
日射量が増えて太陽電池1の発電電力が増加すると、電力検出器10による充放電電力Pbが増加する。すると、減算器11において充放電電力Pbと電力目標値Pdとの差分電力値Pe(=−Pb)ひいては電力指令値Pc(=−α・Pb)がマイナス側で増加し、DC/ACインバータ3はDCリンク部4に現れている直流電力に対する交流電力への変換量を増大させる。その結果として、規定のゼロ電力から上昇した充放電電力Pbはもとのゼロ電力に収束するように低減される。
上記とは逆に、日射量が減って太陽電池1の発電電力が減少すると、電力検出器10による充放電電力Pbが減少する。すると、電力指令値Pc(=−α・Pb)がマイナス側で減少し、DC/ACインバータ3はDCリンク部4に現れている直流電力に対する交流電力への変換量を減少させる。その結果として、規定のゼロ電力から下降した充放電電力Pbはもとのゼロ電力に収束するように低減される。
前述の第2のコンバータを用いるタイプ(図示せず)では、そのコンバータを動作停止させればすむことで、動作停止によって蓄電池はDC/ACインバータから切り離されることになるため、常時的な監視は不要である。これに対して、図4の蓄電池直結タイプでは、蓄電池がDC/ACインバータに直結されていて常に電気的に繋がった状態にあるため、蓄電池の充放電ラインの電力を監視し、その電力が常にゼロ電力に収束するようにフィードバック制御をする必要がある。
特開2002−354677号公報 特開2012−139019号公報
上記で説明した図4の従来例の蓄電池付きパワーコンディショナにあっては、フィードバック制御系のループゲインが高くて、制御動作が不安定なものになりがちであった。以下、説明する。
太陽電池(直流発電源)1は再生可能エネルギー(日射エネルギー)を元にして発電を行うものである。そのエネルギーは変動を生じやすい。例えば太陽が雲に隠れたり雲が晴れたりすると日射エネルギーは大きく変動する。太陽電池1には入力エネルギーの変動という外乱要素が大きく働く。これが制御系に対する外乱となる。図4に示す従来例の蓄電池付きパワーコンディショナにあっては、DC/ACインバータ3に対する制御系がもっぱらフィードバック制御系13であるために、入力エネルギーの変動が太陽電池1の出力電力に変動をもたらすと、パワーコンディショナの制御動作に影響を与える。DC/ACインバータ3の出力電力に外乱による影響が現れ、フィードバック制御系13はその外乱の影響を加味した状態で充放電ライン9の電力がゼロ電力に収束するように制御することになる。つまり、外乱による影響を加味した状態でのDC/ACインバータ3に対するフィードバック制御は「後追い制御」となるため、系が安定するに至るまでの時間が長くなりがちである(応答性が低い)。また、フィードバック制御の場合はループゲインが高くなりがちである。これらが要因となって、充放電ライン9における蓄電池8の充放電電力Pbをゼロ電力に収束させる制御につき、その推移変化が過敏になって系の安定性に支障を来す。つまり、応答性と安定性に問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みて創作したものであり、DC変換部とDC/ACインバータを繋ぐDCリンク部に対し第2のコンバータを介することなく蓄電池を直結する方式の蓄電池付きパワーコンディショナにおいて、蓄電池に対する充放電電力をゼロ電力に収束させる制御につき、その推移を穏やかにして素早い収束性能をもつことができるようにすることを目的とする。
本発明は、次の手段を講じることにより上記の課題を解決する。
本発明による蓄電池付きパワーコンディショナは、
再生可能エネルギーを元にして発電を行う発電源と、
前記発電源からの発電出力が直流の場合には前記発電源からの直流電圧を昇圧する一方、前記発電源からの発電出力が交流の場合には前記発電源からの交流電圧を直流電圧に変換するDC変換部と、
前記DC変換部の出力を交流電力に変換するものであって、系統電源と負荷に対する接続部を有する双方向性のDC/ACインバータと、
前記DC変換部と前記DC/ACインバータとを接続するDCリンク部に充放電端子が接続された蓄電池と、
前記蓄電池の充放電端子における充放電電力に基づいてこの充放電電力が実質的にゼロに収束するように前記DC/ACインバータに対する電力指令値を与えてフィードバック制御を行うフィードバック制御系とを備えたパワーコンディショナであって、
さらに、
前記発電源の出力電力を直接的または間接的に捕捉する発電源電力捕捉手段と、
前記フィードバック制御系による前記電力指令値に前記発電源電力捕捉手段による捕捉電力値を追加して前記DC/ACインバータに対する二次電力指令値としフィードフォワード制御を行うフィードフォワード制御系とを備えたことを特徴としている。
すなわち、本発明の特徴は発電源電力捕捉手段とフィードフォワード制御系を追加した点にある。フィードバック制御では外乱の影響が現れるのを待って後追い的にゼロ電力制御を行うものであり、しかもループゲインが高いことからゼロ電力制御の推移が敏感で変化が大きいものとなるため、応答性が悪く制御系が安定するまでの時間が長くなる。これに対して、本発明のフィードフォワード制御は「先回り制御」であって、発電源が利用する再生可能エネルギーの変動(外乱)を捕捉し、その外乱の影響が現れる前に、前もってその影響を抑えるように修正動作することが可能となる。
本発明によれば、DC変換部とDC/ACインバータを繋ぐDCリンク部に対し第2のコンバータを介することなく蓄電池を直結する方式の蓄電池付きパワーコンディショナにおいて、蓄電池に対する充放電電力をゼロ電力に収束させる制御につき、ゲインが低いことも相俟って推移が穏やかでありながら素早い収束性能をもち、系の安定化を良好なものにすることができる。
本発明の実施例1の蓄電池付きパワーコンディショナの概略構成図 本発明の実施例2の蓄電池付きパワーコンディショナの概略構成図 本発明の実施例2の充放電電圧と電力補正値との関係を示すグラフ 従来例の蓄電池付きパワーコンディショナの概略構成図
上記構成の本発明の蓄電池付きパワーコンディショナにおいて、前記の再生可能エネルギーを元にして発電を行う発電源としては、太陽電池(太陽光発電)のほか風力発電や水力発電、潮力発電、波力発電あるいは地熱発電、バイオマス発電、さらにはこれらのうちの任意のものを組み合わせたものがある。
また、蓄電池については、ニッカド電池、鉛電池、リチウム二次電池、ニッケル水素電池などが使用できる。
さらに、上記構成の本発明の蓄電池付きパワーコンディショナには、次のようないくつかの好ましい態様がある。
前記の蓄電池に対する充放電電力を捕捉する手段については、蓄電池の充放電ラインでの充放電電力を検出する第1の電力検出器とするのが好ましい。この場合に、前記のフィードバック制御系としては、目標値であるゼロ電力と前記の第1の電力検出器による充放電電力との差分電力値を生成する減算器を備えたものとする。この点は従来例と同様の構成である。
また、前記のフィードフォワード制御系については、前記のフィードバック制御系における減算器が出力する差分電力値と前記の発電源電力捕捉手段が出力する捕捉電力値とを加算してDC/ACインバータに対する二次電力指令値を生成する加算器を備えた構成が好ましい。フィードバック制御系の減算器が生成する差分電力値はDC/ACインバータに対する一次電力指令値となり、フィードフォワード制御系の加算器は減算器が生成する一次電力指令値(差分電力値)に発電源電力捕捉手段による捕捉電力値を加算してDC/ACインバータに対する二次電力指令値を生成する。充放電電力のある量の変動に対して、その充放電電力をゼロ電力に復帰させるのに必要なDC/ACインバータへの電力指令値に関して、従来例であれば減算器でその電力指令値の全体を生成するためゲインが大きいものとなる。これに対して、本発明のこの実施の態様によれば、DC/ACインバータへ与えなければならない電力指令値(二次電力指令値)について、フィードフォワード制御系に加算器を設けているので、発電源の捕捉電力値に電力指令値の大きな部分を負担させることができる。その結果として、減算器で負担させるのは電力指令値のうちの小さな部分ですむ。したがって、減算器を含むフィードバック制御系でのループゲインは低めに抑えることが可能となる。このことは、蓄電池に対する充放電電力をゼロ電力に収束させる制御につき、その推移を穏やかなものにしながら素早い収束性能をもたせ、系の安定化を良好にする上で有効な対応策となる。
以下は、上記構成の本発明の蓄電池付きパワーコンディショナにおいて、充放電電圧の積算的な変動を収束する機能を追加するものである。上記した発電源電力捕捉手段とフィードフォワード制御系とを備えた蓄電池付きパワーコンディショナにあっては、充放電電力の瞬間的な変動をリアルタイムでゼロ電力に収束する。しかし、常時きわめて正確にゼロ電力に保つことには困難が伴う。ゼロ電力とは微小に異なる誤差電力が次第に累積し、長い時間スパンでは誤差電力の積算値が無視できない程度にまで増加し、蓄電池の充放電端子の電圧(電力ではなく電圧である点に要注意)が規定の電圧からかけ離れるようになる。そうなると、DCリンク部に直結の蓄電池から系統電源への逆潮流のおそれが生じてくる。この不都合をも回避して系のより良い安定化を図るのが、ここで説明しようとする充放電電圧の積算的な変動を収束する機能の追加である。
すなわち、上記構成の本発明の蓄電池付きパワーコンディショナにおいて、さらに、前記のフィードフォワード制御系に関して、二次電力指令値に対して蓄電池の充放電端子における充放電電圧に応じた電力補正値を追加してDC/ACインバータに対する最終二次電力指令値とし、フィードフォワード制御を行うようにした構成である。蓄電池の充放電ラインにおける充放電電圧(充放電電力ではない)を検出し、その充放電電圧に応じた電力補正値を二次電力指令値に足し合わせ、その結果である最終二次電力指令値をもってDC/ACインバータを制御する。ここで、充放電電圧と電力補正値との相関関係については経験や試験などから予め分かっている。充放電電圧が規定の目標電圧からずれると、そのずれを解消する分の電力補正値が求められ、その電力補正値を二次電力指令値に足し合わせて最終二次電力指令値としてDC/ACインバータの制御に用いる。その結果、充放電電力の瞬間的な変動に対してだけでなく充放電電圧の長い時間スパンでの積算的な変動に対しても、それらの変動を解消して規定の状態へと収束させることが可能となる。
そして、フィードフォワード制御系における前記の電力補正値を生成する手段としては、規定の目標電圧と充放電電圧との差分電圧値を生成する減算器と、この減算器の出力に一定係数を乗算する乗算器とによって構成するのが好ましい。
なお、前記の発電源電力捕捉手段については、発電源の出力電力を検出する第2の電力検出器とするのが好ましい。あるいは、DC変換部の出力電力を検出する第2の電力検出器とするのもよい。これらは発電源の出力電力を直接的に捕捉するものといえる。あるいは、発電源に入力される再生可能エネルギーの検出器としてもよい。例えば、発電源が太陽電池の場合に日射計とする。この日射計は太陽電池(直流発電源)の出力電力を間接的に捕捉するものの一例である。
以下、本発明にかかわる蓄電池付きパワーコンディショナの実施例1を図1を用いて詳細に説明する。図1は実施例1の蓄電池付きパワーコンディショナの概略構成図である。図1において、1は発電源の一例であって、再生可能エネルギーである日射エネルギーを元にして発電を行う太陽電池(直流発電源)、2は太陽電池1からの直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータ(昇圧チョッパ)、3はDC/DCコンバータ2の出力を交流電力に変換する双方向性のDC/ACインバータ、4はDCリンク部、5はパワーコンディショナ主部、6は系統電源、7は負荷、8は蓄電池、9は充放電ライン、10は第1の電力検出器、11は減算器、12は増幅器、13はフィードバック制御系、14は発電源電力捕捉手段の一例である第2の電力検出器、15は加算器、16はフィードフォワード制御系である。DC/DCコンバータ2が本発明の「DC変換部」に相当する。
太陽電池1の出力端子にDC/DCコンバータ2の入力端子が接続され、DC/DCコンバータ2の出力端子に双方向性のDC/ACインバータ3の一方の入出力端子が接続されている。DC/ACインバータ3のもう一方の入出力端子には系統電源6と負荷7が接続されるようになっている。DC/DCコンバータ2とDC/ACインバータ3とがパワーコンディショナ主部5を構成している。パワーコンディショナ主部5におけるDC/ACインバータ3と系統電源6とは負荷7に対して並列に接続されている。DC/DCコンバータ2とDC/ACインバータ3とを接続するDCリンク部4に対して蓄電池8の充放電端子が充放電ライン9を介して接続されている。
DC/ACインバータ3に対するフィードバック制御系13は第1の電力検出器10と減算器11と増幅器12と加算器15から構成されている。一方、フィードフォワード制御系16は第2の電力検出器14と加算器15から構成されている。フィードバック制御系13において、第1の電力検出器10は充放電ライン9に結合され、第1の電力検出器10の出力端子は減算器11のマイナス入力端子に接続されている。減算器11のプラス入力端子には電力目標値Pdである電力値ゼロが入力されるようになっている(Pd=0kW)。減算器11において、電力目標値Pdと蓄電池8に対する充放電電力Pbとの差分電力値Pe(=−Pb)が生成され、その差分電力値Peは増幅率αの増幅器12を介して差分電力値Pe′(=α・Pe=−α・Pb)となり、加算器15の一方の入力端子に出力されるようになっている。フィードフォワード制御系16において、第2の電力検出器14は太陽電池1からDC/DCコンバータ2への電力ラインに結合され、第2の電力検出器14の出力端子は加算器15のもう一方の入力端子に接続されている。フィードフォワード制御系16はフィードバック制御系13に対して加算器15を介して合流している。第2の電力検出器14は太陽電池1の太陽光発電電力Psを捕捉して加算器15に与える。加算器15はフィードバック制御系13における増幅器12からの差分電力値Pe′(従来例での電力指令値Pcに相当)に対してフィードフォワード制御系16における第2の電力検出器14からの太陽光発電電力Psを加算し、二次電力指令値Pc′(=Pe′+Ps=−α・Pb+Ps)としてDC/ACインバータ3の制御端子に与えるようになっている。
次に、上記のように構成された実施例1の蓄電池付きパワーコンディショナの動作を説明する。
太陽電池1による直流の太陽光発電電力PsはDC/DCコンバータ2に入力され、昇圧される。その昇圧された直流電力はDC/ACインバータ3に入力され、交流電力に変換され、負荷7に対して給電される。DC/DCコンバータ2は太陽電池1による太陽光発電電力Psが最大となるように運転される(最大電力追従制御)。負荷7で消費する電力が太陽光発電電力Psで賄えないときは系統電源6からも負荷7に対して給電する。つまり、太陽光発電電力Psが負荷7の消費電力に対して不足するときは、系統電源6からの給電で補う。逆に、太陽電池1・パワーコンディショナ主部5の系による電力が負荷7の消費電力を上回るときは、その余剰電力が系統電源6に向けて逆潮流される(売電)。
また、必要に応じて、蓄電池8への充電が行われる。蓄電池8への充電はDCリンク部4から充放電ライン9を介して行われるが、その要因の電力については、太陽電池1による太陽光発電電力Psの場合と、系統電源6からの給電電力の場合とがある。系統電源6が停電したとき、負荷7への給電を継続するためには、蓄電池8から放電される直流電力をDC/ACインバータ3で交流電力に変換した上で負荷7に供給する。このとき、系統電源6は停電状態にあるため蓄電池8から系統電源6への逆潮流は防止されている。
通常時(非停電時)において、蓄電池8から系統電源6への逆潮流を防止するためには、蓄電池8がDCリンク部4に直結されていて蓄電池8がDC/ACインバータ3に対して常時的な接続状態にある関係上、フィードバック制御系13は充放電ライン9での充放電電力Pbがゼロ電力に維持されるようにDC/ACインバータ3をフィードバック制御すればよい。
ここで、太陽電池1による太陽光発電電力Psの影響がなく、太陽光発電電力Ps=0と仮定する。その仮定の構成は上記の図4に示す従来例と等価の構成となる。
いま、充放電電力Pbが規定のゼロ電力から上昇したとする。このとき、充放電電力Pbはプラス値となる。減算器11が生成する差分電力値Peは、Pe=−Pb(マイナス値)、増幅器12が生成する差分電力値Pe′は、増幅器12の増幅率をαとして、Pe′=α・Pe=−α・Pbとなる。上記のように太陽光発電電力Ps=0であると仮定しているから、加算器15が生成する二次電力指令値Pc′は、Pc′=−α・Pbである。このマイナス値の二次電力指令値Pc′がDC/ACインバータ3に与えられ、DC/ACインバータ3はDCリンク部4に現れている直流電力に対する交流電力への変換量を増加させる。その結果として、規定のゼロ電力から上昇した充放電電力Pbは元のゼロ電力に収束するように低減される。
また、上記とは逆に、充放電電力Pbが規定のゼロ電力から下降したとする。このとき、充放電電力Pbはマイナス値となる。増幅器12が生成する差分電力値Pe′は、Pe′=−α・Pb(プラス値)となる。加算器15が生成する二次電力指令値Pc′=−α・Pbはプラス値である。このプラス値の二次電力指令値Pc′がDC/ACインバータ3に与えられ、DCリンク部4に現れている直流電力に対する交流電力への変換量を減少させる。その結果として、規定のゼロ電力から下降した充放電電力Pbは元のゼロ電力に収束するように増加される。
以上のようにして、太陽電池1で生成されDC/DCコンバータ2を通った直流電力は実質的にその100パーセントがDC/ACインバータ3での交流変換を受けることになる。ひいては、DC/DCコンバータ2は太陽電池1による発電電力を最大限に活かす変換動作を実行する。
太陽の日射量は経時的に変動するので、DC/DCコンバータ2からDC/ACインバータ3への出力電力も経時的に変動する。また、系統電源6には他のユーザーによる多数の分散型電源(太陽電池、燃料電池など)が接続されている関係で系統電源6の電圧も経時的に変動する。DC/ACインバータ3はその出力電圧が系統電源6の電圧と等しくなるように動作するが、系統電源6の電圧が経時的に変動するのでDC/ACインバータ3の動作状態も経時的に変動する。その結果、DC/DCコンバータ2とDC/ACインバータ3を結ぶDCリンク部4と蓄電池8との間の充放電ライン9における電圧・電流も経時的に変動することになる。
いま、それまで日射を遮っていた雲が流れ去り、太陽電池1への日射が増大化したとする。すると、太陽光発電電力Psが急激に大きく増加変動する。第2の電力検出器14は太陽光発電電力Psを検出し、検出結果を加算器15に与える。加算器15ではフィードバック制御系13の増幅器12からの差分電力値Pe′=−α・Pbと太陽光発電電力Psとを加算し、加算結果の二次電力指令値Pc′(=−α・Pb+Ps)をDC/ACインバータ3に与える。ここで、太陽光発電電力Psが増加しているので、二次電力指令値Pc′も増加する。その結果、DC/ACインバータ3による交流電力への変換量が増加する。このようなフィードフォワード制御系16によるインバータ制御が機能しないと仮定すると、太陽光発電電力Psの増加により充放電ライン9での充放電電力Pbが急激に上昇し、ゼロ電力制御が間に合わなくなる。しかし、ここではフィードフォワード制御系16によるインバータ制御が機能して、DCリンク部4における直流電力に対する交流電力への変換量が増加し、DC/DCコンバータ2から給電される直流電力を実質的に100パーセント交流電力に変換し、負荷7へと給電する。その結果として、充放電ライン9における充放電電力Pbはゼロ電力制御されることになる。
上記とは逆に、それまで日射があった太陽電池1に雲がかかって日蔭になったとする。すると、太陽光発電電力Psが急激に大きく減少変動する。ここで、太陽光発電電力Psが減少しているので、二次電力指令値Pc′(=−α・Pb+Ps)も減少する。その結果、DC/ACインバータ3による交流電力への変換量が減少する。このフィードフォワード制御系16によるインバータ制御が機能して、DCリンク部4における直流電力に対する交流電力への変換量が減少し、DC/DCコンバータ2から給電される直流電力の交流電力への変換が維持される。この場合も、充放電ライン9における充放電電力Pbはゼロ電力制御されることになる。
以上のようにして、蓄電池8がDCリンク部4に対して常時的直結状態であるにもかかわらず、系統連系運転時においてパワーコンディショナ主部5に対する蓄電池8の電力的な繋がりを実質的に切り離すことができる。結果として、系統電源6への逆潮流防止が機能する。
ゼロ電力制御についてフィードバック制御系13による「後追い制御」だけでは太陽光発電電力Psの急激な変動に対応するのがむずかしいが、フィードフォワード制御系16によるインバータ制御を合わせ込んで「先回り制御」としているため、応答性が良く、制御系が素早く安定化するのである。
次に、本発明にかかわる蓄電池付きパワーコンディショナの実施例2を図2を用いて詳細に説明する。図2は実施例2の蓄電池付きパワーコンディショナの概略構成図である。実施例2の図2において実施例1の図1で用いたのと同一符号は同一の構成要素を指すものとし、詳しい説明は省略する。図2においては、実施例1の図1の構成に加えて、減算器17と乗算器18と加算器19からなる第2のフィードフォワード制御系20を有している。この実施例2では実施例1の図1で符号16で示されるフィードフォワード制御系を第1のフィードフォワード制御系16と呼ぶこととする。
第2のフィードフォワード制御系20における減算器17は規定の電圧目標値Vdと充放電電圧Vbとの差分電圧値Ve(=Vd−Vb)を生成する。乗算器18は減算器17の出力に一定係数kを乗算して差分電力値Qe(=k・(Vd−Vb))に電力変換する。この差分電力値Qeは電力補正値として機能するため、以下、電力補正値Qeと称する。加算器19は乗算器18の出力である電力補正値Qe(=k・(Vd−Vb))にフィードバック制御系13の加算器15の差分電力値Pe′(=−α・Pb+Ps)を加算して最終二次電力指令値Pc″(=−α・Pb+Ps+k・(Vd−Vb))を生成し、これをDC/ACインバータ3の制御端子に出力する。
図3は実施例2の充放電電圧Vbと電力補正値Qeとの関係を示すグラフである。ここでは、充放電電圧Vbの規定値が一例として「354V」となっている。つまり、蓄電池8の正規の充放電電圧が「354V」である。このとき、電力補正値Qeは「0kW」とする。電圧目標値Vdが「354V」ということである。充放電電圧Vbとして例えば高めの「357V」を検出したときは、電圧目標値Vdとの差分は「3V」であり、電力補正値Qeとして「−0.6kW」が得られる。乗算器18の係数kについては、k=−0.6/(357−354)=−0.2となる。充放電電圧Vbとして例えば低めの「351V」を検出したときは電力補正値Qeとして「+0.6kW」が得られる。この図3の充放電電圧Vbから電力補正値Qeへの変換は図2の減算器17と乗算器18との協働で行われる。
蓄電池付きパワーコンディショナの運転を開始してからある長さの時間が経過すると、充放電電力Pbとゼロ電力との間の微小な誤差の電力が次第に累積し、長い時間スパンでは誤差電力の積算値が無視できないほどに増加し、蓄電池8の充放電電圧Vbが規定の電圧からずれを生じる場合がある。そこで、減算器17のマイナス入力端子では充放電ライン9における蓄電池8の充放電電圧Vbを監視している。減算器17では電圧目標値Vdと充放電電圧Vbとの差分電圧値Ve(=Vd−Vb)を算出し、乗算器18に出力する。乗算器18では入力した差分電圧値Veに係数kを乗算し、電力補正値Qe(=k・(Vd−Vb))を生成し、加算器19に出力する。加算器19はフィードバック制御系13およびフィードフォワード制御系16の加算器15からの二次電力指令値Pc′(=−α・Pb+Ps)に乗算器18からの電力補正値Qe(=k・(Vd−Vb))を加算し、最終二次電力指令値Pc″(=−α・Pb+Ps+k・(Vd−Vb))を生成し、DC/ACインバータ3の制御端子に出力する。
この第2のフィードフォワード制御系20の動作により、蓄電池8の充放電電圧Vbの長い時間スパンでの積算的な変動に対しても、それらの変動を解消して規定の状態へと収束させることができる。
なお、上記実施例では、発電源電力捕捉手段としての第2の電力検出器14を太陽電池1とDC/DCコンバータ2との接続ラインに設けたが、第2の電力検出器14の設置箇所としては、DC/DCコンバータ2とDC/ACインバータ3と繋ぐDCリンク部4であってもよい。
また、発電源電力捕捉手段として日射計を用いるときは、検出した単位面積当たりの日射量(kW/m2 )に乗算器を用いて太陽電池パネル1枚当りの面積(m2 )とパネル数とを乗算して電力補正値を求めるように構成すればよい。
図3の充放電電圧Vbと電力補正値Qeとの関係を示すグラフはリニアな関係であったが、両者の関係は必ずしもリニアである必要はなく、任意の曲線の関数としてもよい。充放電電圧Vbから電力補正値Qeへの変換については、加算器、減算器、乗算器等の演算器を用いるほか、換算テーブルを用いてもよいし、マイクロコンピュータによって演算で求めてもよい。
また、上記実施例では、発電源として太陽電池(直流発電源)を例に説明したが、発電源として交流発電源を利用した場合には、交流発電源からの交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータ(交流/直流変換手段)が本発明の「DC変換部」として機能する。さらに必要に応じてAC/DCコンバータにより交流電圧から変換された直流電圧をDC/DCコンバータを用いて昇圧する場合には、AC/DCコンバータとDC/DCコンバータとが本発明の「DC変換部」として機能する。
本発明は、DC変換部とDC/ACインバータを繋ぐDCリンク部に対し第2の双方向性のコンバータを介することなく蓄電池を直結する方式の蓄電池付きパワーコンディショナにおいて、蓄電池に対する充放電電力をゼロ電力に収束させる制御につき、素早い収束性能をもち、系の安定化を良好化するための技術として有用である。
1 太陽電池(直流発電源)
2 DC/DCコンバータ(DC変換部)
3 双方向性のDC/ACインバータ
4 DCリンク部
5 パワーコンディショナ主部
6 系統電源
7 負荷
8 蓄電池
9 充放電ライン
10 第1の電力検出器
11 減算器
12 増幅器
13 フィードバック制御系(第1のフィードフォワード制御系)
14 第2の電力検出器(発電源電力捕捉手段)
15 加算器
16 フィードフォワード制御系
17 減算器
18 乗算器
19 加算器
20 第2のフィードフォワード制御系

Claims (8)

  1. 再生可能エネルギーを元にして発電を行う発電源と、
    前記発電源からの発電出力が直流の場合には前記発電源からの直流電圧を昇圧する一方、前記発電源からの発電出力が交流の場合には前記発電源からの交流電圧を直流電圧に変換するDC変換部と、
    前記DC変換部の出力を交流電力に変換するものであって、系統電源と負荷に対する接続部を有する双方向性のDC/ACインバータと、
    前記DC変換部と前記DC/ACインバータとを接続するDCリンク部に充放電端子が接続された蓄電池と、
    前記蓄電池の充放電端子における充放電電力に基づいてこの充放電電力が実質的にゼロに収束するように前記DC/ACインバータに対する電力指令値を与えてフィードバック制御を行うフィードバック制御系とを備えたパワーコンディショナであって、
    さらに、
    前記発電源の出力電力を直接的または間接的に捕捉する発電源電力捕捉手段と、
    前記フィードバック制御系による前記電力指令値に前記発電源電力捕捉手段による捕捉電力値を追加して前記DC/ACインバータに対する二次電力指令値としフィードフォワード制御を行うフィードフォワード制御系とを備えている蓄電池付きパワーコンディショナ。
  2. 前記蓄電池に対する充放電電力を捕捉する手段は前記蓄電池の充放電ラインでの充放電電力を検出する第1の電力検出器であり、前記フィードバック制御系は目標値であるゼロ電力と前記第1の電力検出器による充放電電力との差分電力値を生成する減算器を備えている請求項1に記載の蓄電池付きパワーコンディショナ。
  3. 前記フィードフォワード制御系は前記減算器が出力する前記差分電力値と前記発電源電力捕捉手段が出力する前記捕捉電力値とを加算して前記二次電力指令値を生成する加算器を備えている請求項2に記載の蓄電池付きパワーコンディショナ。
  4. さらに、前記二次電力指令値に対して前記蓄電池の充放電端子における充放電電圧に応じた電力補正値を追加して前記DC/ACインバータに対する最終二次電力指令値とし、フィードフォワード制御を行う第2のフィードフォワード制御系を備えている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の蓄電池付きパワーコンディショナ。
  5. 前記第2のフィードフォワード制御系における前記電力補正値を生成する手段は、規定の目標電圧と前記充放電電圧との差分電圧値を生成する減算器と、前記減算器の出力に一定係数を乗算する乗算器とによって構成されている請求項4に記載の蓄電池付きパワーコンディショナ。
  6. 前記発電源電力捕捉手段は前記発電源の出力電力を検出する第2の電力検出器である請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の蓄電池付きパワーコンディショナ。
  7. 前記発電源電力捕捉手段は前記DC変換部の出力電力を検出する第2の電力検出器である請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の蓄電池付きパワーコンディショナ。
  8. 前記発電源電力捕捉手段は前記発電源に入力される前記再生可能エネルギーの検出器である請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の蓄電池付きパワーコンディショナ。
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